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「プライスレス」という価値

2019-01-20 19:52:43 | 徒然

先日、忌明けの手紙と共に品物が送られてきた。
手紙を拝読し、そして送られた品物をみたとき「プライスレス」とは、このようなものをいうのだな~と、感じた。

頂いたものは、亡くなられた方がお好きだったコーヒー。
そのコーヒーを出されていた店が、訃報を聞いて特別に焙煎されたコーヒーをご仏前に、と送ってこられたそうだ。
そのコーヒーのおいしさに、忌明けの品物として選ばれ、送られてきたのだった。

某クレジットカード会社のテレビCMで、「プライスレス」というキャッチコピーが使われている。
「値段」がないもの、という意味で使われているのだが、CMでは「大事な思い出には値段はない。その大切な思い出作りに当社のクレジットカードをお使いください」というのが趣旨となっている。
確かに「思い出」には、値段というものは付けようがない。
何故なら「思い出」そのものは、とても個人的なものであり、相場というような値段を決めるような場所や積算根拠となるものが無いからだ。

今回「プライスレス」だと感じたコーヒーには、「思い出」というものはない。
送ってくださったコーヒーそのものには、特別に焙煎されたとはいえ「値段」というものはある。
私が「プライスレス」だと感じたのは、亡くなられた方のことを思い、特別に焙煎をされたコーヒー店の店主さんの思いと、その思いを受けとられたご遺族の思い、そしてその二つの思いを私に届けてくださったように感じたからだ。

今回の忌明けの品として送られてきたコーヒーのみならず、これから先は「プライスレス」となるようなギフト商品が、主流になっていくのでは?という気がしている。
ギフトに限らず、商品そのものに「物語性があるか?」ということなのだ。
この「物語性がある商品」ということは、随分前から言われてきているが、現実には「物語性」よりも「有名ブランド志向」なのではないだろうか?

「有名ブランド」そのものには、ある種の「安心感」がある。
「(誰に差し上げても)失敗が無い」という安心感だ。
それは「ブランド力」の裏返しともいえる。
違う言い方をするなら「自分の審美眼」に対する自信の無さ、だともいえるかもしれない。

なんとなくだが、これまでの価値観が大きく揺らぎ始めているのでは?という気がするときがある。
「価値観の変化」といってしまえばそれまでだが、どのような時代であっても変わらないものがあるとすれば、それは「変わることの無い人への思い」ではないだろうか?
それが「プライスレス」という価値のような気がする。






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