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ゴルバチョフ氏の訃報に思う

2022-08-31 15:57:17 | 徒然

昨日の、京セラ名誉会長・稲盛和夫さんの訃報に続き、今朝、ゴルバチョフ氏の訃報が報じられた。
現在の30代未満の方々にとって、ゴルバチョフ氏の名前は、「歴史の中」という感じなのかもしれない。
というのも、東西冷戦の象徴であった「ベルリンの壁」が崩されたのが、1989年11月だからだ。
このことをきっかけに、いわゆる「東欧諸国」の社会主義国家は、次々と崩壊していくこととなる。
それだけではなく、巨大な権力を持っていた「ソビエト連邦」という国の、崩壊でもあった。

この時のソ連邦の指導者が、ゴルバチョフ氏であり、ゴルバチョフ氏であったからこそ起きた、「ソ連邦の崩壊」だったのかもしれない。
西側諸国からは、「東西冷戦を止めた人物」として高い評価を受けているが、現在のロシア国民からは決して高い評価を受けてはいない。
特にプーチン氏が掲げる「大ロシア的」発想が、ロシア国内で支持されるようになると、「ソ連邦を崩壊させた政治力の無い指導者」という評価になってしまうようだ。
毎日新聞:平和構築の功労者か、社会主義の破壊者か ゴルバチョフ元ソ連大統領

ただ、ソ連邦がロシアという国になり、社会主義国家で無くなったことで、ロシアの著しい経済発展ができたというのは事実だろう。
特に2000年代、「経済発展が期待できる国」として「BRICs」と呼ばれることとなったことは、ロシア経済そのものへの発展が国内外から期待され、国としても勢いがあった。
その勢いの乗れた人達は、ロシア国内外から類を見ないほどの「富裕者」となり、そのようなチャンスに恵まれないどころか、かかわることがなかった多くの人たちにとっては、ロシアの経済発展とは無縁であり、結果として「経済格差」が生まれる事となったのも事実だろう。
今現在、ゴルバチョフに否定的なロシア国民の多くは、この「経済格差」によって、以前よりも厳しい生活を余儀なくされている人たちでもある。

ソ連邦からロシアへと代わり、ロシア国内で「富裕層」が誕生したのが、ロシアの地下資源(=欧州向けの天然ガスや石油)があったからだ。
ゴルバチョフ氏の後を引き継いだエリツェン大統領は、その陽気な雰囲気(という印象しか個人的には無い)で民衆の気持ちを掴み、目覚ましい経済発展の中で「社会主義よりも自由主義社会のほうがよいな~」という、雰囲気をつくることに成功したような気がしている。
エリツェン氏は、ゴルバチョフ氏に引いたレールに上手く乗ることがでた大統領だったのでは?という、気がしている。

そのエリツェン氏に健康問題が浮上し始めた頃から表舞台に出てきたのが、プーチン氏だ。
プーチン氏は、ゴルバチョフ氏やエリツェン氏とは逆の「引き締め」によって、民衆を掴むことができたように思う。
そこには、開いてしまった経済格差社会の不満を吸収することで、「ソ連邦」とは違う「大ロシア」という思想に共感する社会を創り出しているようにも思えるのだ。
当然「大ロシア=旧ソビエト連邦」の再構築、ということになれば、旧ソ連邦から独立した国々を併合し、ロシアの配下に収める必要がある。
そんな中、一人警告を発し続けていたのが、ゴルバチョフ氏でありプーチン氏のブレーキ役の期待を西側諸国もしていたのでは、ないだろうか?

そのゴルバチョフ氏が亡くなられたことで、西側諸国とロシアとの関係改善を目指すことが、より難しくなったような気がしている。
ゴルバチョフ氏の思い描いていた「ロシアの平和」が、また遠のいたように思えるのだ。



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