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テスラの中国でのリコールは、EV車だけの問題か?

2024-01-06 21:48:06 | ビジネス

昨日から、話題になり始めた「テスラの中国で販売した、全車を対象としたリコール」。
Bloombarg:テスラ、中国で販売した事実上の全車をリコール-自動運転支援に問題  

まずこのニュースを聞いた時に感じたことは「EV車で世界をリードしようとしている、中国側の思惑があるのでは?」という点だった。
ご存じの方も多いと思うのだが、中国は国を挙げて世界のEV車市場を獲りに行こうとしている。
その状況の中で、テスラの存在は邪魔なだけだ。
いくら自動運転支援の問題があるにせよ、販売をした全車対象のリコールとなれば、テスラそのものの資金的体力が持つのだろうか?と、感じたからだ。

テスラは自動運転支援についてのリコールは、今回が初めてではない。
昨年暮れにも、米国でリコールを行っている。
これほど短期間に大規模なリコールとなれば、経営的には相当手痛いのでは?と、想像することができる。

野心的なイーロン・マスク氏が、昨年完全買収をした短文SNS「X」についても、現在問題が起きている。
現在起きている問題とは、1月1日に発生した「能登半島地震」に対する、デマポストだ。
ある一定数のリポストがされると、投稿者に対して報酬が支払われることもあり、報酬目当てでデマポストを投稿する人達が絶えなかったからだ。
確かに旧ツイッターでも、そのようなデマツイートが無かったわけではないが、ツイッターの時代には「ファクトチェック」をする担当者が在籍していたが、「X」に変更する時にこのような「ファクトチェックをする人財」がいなくなったからだ。
その為、ツイッターの頃よりも遥かに多いデマポストが増え、「X」上で本当に必要な情報か否か分からないポストが次々と投稿され続け、災害現場を混乱させている、という。
このような状況は、「X」にとっても決して良いことではないのだが、未だにその混乱は続いている。
その意味で、かつて「災害情報の即時性と現場に近い情報発信」として、信頼されるようになってきたツイッターが「X」になったことで、その信頼を大きく失うことになってしまっている。という現状がある。
そのようなイーロン・マスク氏にとって「歓迎できない状況」の中で起きたのが、今回の中国における販売全車リコール、ということになる。

しかし、このニュースを聞いた時イーロン・マスク氏の財務状況だけではなく、何となくだが「中国におけるEV車をはじめとする様々なインフラ事業の排除」が始まったのではないか?とも感じたのだ。
というのも、テスラはEV車を販売しているだけではなく、いわゆる「EVステーション」と呼ばれるEV車用の充電所を持っている。
そしてテスラの「EVステーション」の仕様=テスラ規格が世界を席巻している、と言われている。
Impress Watch:電気自動車の充電はテスラ規格が席巻?今後の急速充電はどうなる? 

テスラはEV車だけを販売している訳ではないのだ。
むしろEV車向けの急速充電の規格を抑えることで、EV車よりもより大きな市場を獲得している、ということになる。
日本の自動車メーカーでも、トヨタや日産やホンダ等がテスラ規格陣営(というと大げさだが)になっている。
勿論、これはあくまでも北米について、という注釈付きだが、市場として決して小さなものではない、ということが分かると思う。
このような状況のテスラの高速充電システムに対して、EV車市場で世界を獲りたい中国にとって目障りなコトはないだろう。

米国でのリコールもそれなりの規模のモノではあったが、今回の中国側が発表したリコール内容は、常識的な範疇を越えている。
とすれば、単なる「自動運転支援システム」の問題だけではないのでは?という気がするのと同時に、中国の本音はどこにあるのか?ということも考える必要があると考えている。




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