日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

メディアの力とALL JAPANの力

2014-10-07 19:11:20 | アラカルト

今週は「ノーベルウィーク」。
昨日の医学生理学賞に続き、今日、物理学賞の発表があった。
受賞されたのは、名古屋大学特別教授であり名城大学終身教授の赤崎勇先生と名古屋大学教授の天野浩先生、そして米国サンタバーバラ大の中村修二先生が、受賞された。
受賞対象となったのは、「青色LEDの開発と製品化」。

3、4年ほど前、名古屋大学で赤崎先生の記念講演があり、「無料だし、取りあえず青色LEDとは何か?わからないから、聞いてみよう」という軽い気持ちで、出掛けたのだった。
その時、初めて赤崎先生が「青色LED」の開発者で、一緒に研究をされていたのが天野先生だというコトを知った。
今では当たり前の様にある「青色LED」だが、LEDの中でも青色の実現は不可能と言われていた時代が長くあった(と言う)。
その為、「青色LEDが作られたら、即ノーベル賞」と言われていたらしい。
それほど難しい「青色LED」だったのだが、様々な苦難の乗り越え成功したのが赤崎先生と天野先生だった、と言う。
「様々な苦難」と言うのは、難しい物理の話だったので全くと言って良い程理解できずに「なんだか凄い研究をされていたのだな~」と、感心したことと「青色LED」の特許によって、名大にもたらされた特許利益の凄さに驚いて帰ってきたことだけは覚えている。

ただ、「青色LED」の開発に当たっては、赤崎先生が勤められていた松下電器(現パナソニック)の協力や、トヨタ系の研究機関、そして文科省の研究支援があっての成果だというコトで、赤崎先生は、自分の研究としてではなく、様々な人が関わってできた研究で、言うなれば「All Japanの成果」だったという趣旨と感謝の言葉を講演の最後にされていた。

そんな控えめな研究者のためか(?)、「青色LED」というと、中村修二先生ばかりにスポットライトが当たる。
中村先生は、「製品化が難しい」と言われていた青色LEDの量産化に道筋をつけた研究をされていた、と言うことがスッポリ抜け落ち、いつしか「青色LEDの開発者」というイメージが作られてしまった。
その大きな理由の一つが、中村先生が当時勤務していた会社との「特許を巡る裁判」だと思う。

実は私も名古屋大学の講演会があるまで、赤崎先生が青色LEDの開発者だとは知らなかった。
それほどメディアの力は大きかったのだ。
今日の速報でも、赤崎先生の写真を掲載するメディアよりも、中村先生の写真を掲載しているメディアのほうが多い。
残念なコトだと思うのだが、それが「(メディアによって)つくられたイメージ」というモノなのかも知れない。

いずれにしても、久しぶりのノーベル物理学部門での受賞者の誕生は、素晴らしいコトだと思う。
赤崎先生、天野先生、ノーベル物理学賞受賞おめでとうございます。