日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

個人情報とマスコミ

2012-11-08 16:37:18 | 徒然
昨日、「尼崎連続殺害事件(?)」の首謀者と思われる女性の写真が公開された。
公開された写真を見て、今まで一部マスコミが報じてきた、間違われた女性と印象が違い過ぎて、ビックリすると同時に、いろいろなコトを考えてしまった。

それが以下のような点。
1.間違われた女性の写真の出所
2.何故容疑者の写真公開がされなくなったのか
3.間違われた女性への損害賠償

1.写真の出所は、同じ写真が使われていているので、おそらく写真提供をした人は、限られた人物だったのでは?と、想像する。
写真提供をした人に悪気が無かったのかも、気になるトコロだが、何故、個人的な写真が簡単に出てしまうのだろうか?
昨今の「個人情報保護」の意識の高まりで、学校などでは連絡網などが作れない、と言う状況になっていると聞く。
それほど、神経質な取扱となっているはずの個人情報の一つである、写真がいとも簡単に公表してしまう。
「凶悪犯罪者だから、写真くらい出しても良い」という考えなのかも知れないし、警察発表がされない為に、業を煮やした結果なのかも知れない。
なら、何故公式発表では無い写真を、容疑者の弁護人を通して確認をしなかったのだろう?
間違われた女性と、容疑者女性との接点は無いようなので、周辺取材をしていた記者さんたちは、その写真をどこで・どうやって手に入れたのか?
取材そのもののあり方が問わる、問題のように思う。

2.一部マスコミが暴走した(?)理由の一つが、容疑者の写真公開がされなかった、と言うコトにあると言われている。
言われてみれば、確かに最近容疑者の写真公開は減ってきている様に思う。
逃走犯の場合は、顔写真を公開して広く情報を集めると言うコトになっているが、ここ20年くらいの間で、犯人逮捕の時には顔を隠すようになり、その後写真公開される様になってきた。
それが、ここ2,3年写真公開もされなくなってきた。
背景にあるのは、犯人と言えども人権がある、と言うコトだろうか?
それとも、被害者家族への配慮だろうか?
いずれにしても、キチンと説明をしなくては興味本位で「犯人が見たい!」と言う欲求を高めるばかりなのでは?
なぜなら、以前公開されていた情報が公開されなくなった、と言うのはある種の不信感と興味をそそるからだ。

3.間違われた女性への賠償、と言うのは相当な金額になるのでは?
最初は一社だけの報道だったのが、次々と複数のマスコミが同じ写真を使い犯人扱いをしたのだから、当然と言えば当然だろう。
マスコミは「お詫び」だけで、済むかも知れないが、マスコミがよく使う「人権」というコトを考えれば、間違われた女性の人権侵害は相当な被害となっているはずだ。
その責任としての賠償は、考えているのだろうか?

確かに、間違われた女性の写真は、とても優しげな表情だった。
マスコミ的には、「温和で優しい女性が、実は凶悪犯だった」というストーリーのほうが、話題性もあり、面白かったのかも知れない。
でも、マスコミの使命は「公正な情報を的確に提供する」というコトだと思う。
「お詫び」で済む問題なのだろうか?
事件そのものの奇っ怪さとは別に、マスコミの取材のあり方の問題を浮き彫りにさせた事件という気がする。