日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

企業理念の大切さ-最近話題の企業への疑問-

2005-10-20 22:38:04 | マーケティング
「これでおしまい?のまネコ」にトラックバック及びコメントを下さった「モナーを守る具体的方法・・・(以下省略。申し訳ありません)」のProtect MONAさん、ありがとうございました。

この「のまネコ」の問題について、「鎮痛剤『タイレノール』回収に関するJ&Jとエイベックスの対比」という提議をされています。
マーケティングに携わっている人なら、一度くらいは耳にしたことがあるかも知れない「タイレノール事件」。
改めて、「企業の社会的責任」ということを思い出させてくれた。

「タイレノール事件」というのは、ジョンソン&ジョンソン(以下J&J)が発売している鎮痛剤タイレノールに、毒物を入れ7人の方が亡くなった、ということに端を発する。
このとき、J&Jは「この薬は飲まないで下さい」と大々的に宣伝をし、タイレノール回収に努めたのだ。
当然のことながら、一時的な売上は大幅に落ち込んだのだが、むしろこの対応策が功を奏し、この事件収束後「タイレノール」だけではなく、J&Jそのものも高い信頼を市場や生活者から得るようになったのだ。

先月、日本環境協会という財団法人が「企業が社会的責任を果たしていると思うか?」という調査結果が、一部の新聞に掲載された。
ご覧になった方も多くいらっしゃるだろう。
そして、企業に関わる人間にとってこの調査結果は、余りにも哀しいものだった。
というのも、「まったく果たしていない」「余り果たしていない」と感じている消費者は実に57.9%。
調査期間が、自動車メーカーのリコール隠しや農協などの不正表示などが重なった、昨年12月~今年2月までだったことも影響しているのかも知れないが、消費者はとても厳しく企業を観ているとも言える。
そして、このような企業姿勢を正すためには「何をするのか?」というといに対しては「責任を果たさない企業の商品を購入しない」という回答が、43.6%で一番多いのだ。
この数字を、どう読み取り、企業理念へと発展させ、社員一人ひとりが理解をし行動とするのか?というのは、その企業がどれだけ「社会的責任を感じているのか?」ということへと繋がっていくはずである。

犯罪被害者であるJ&Jが「タイレノールを飲まないで下さい」と広告を打ち、回収に努めたその理由は、「我が信条」という「企業理念」に従ったからなのである。
強い企業というのは、社会性の「企業理念」を持ち、その理念に従って行動できる企業なのである。

今回の「のまネコ」だけではなく、今世間を騒がしている企業はどんな「企業理念」を持っているのだろう?
今年2月世間を騒がしたライブドアには、「企業理念」がHPにはなかった。
エイベックスのHPを見ても・・・らしきものは・・・「クリエイティブ企業」という文字だけが繰り返されていた。
そして「楽天」も・・・。
彼等が目指す「社会的企業のあり方とは?」今一度考えてみたい。