はんどろやノート

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終盤探検隊 part171 ≪亜空間最終戦争一番勝負≫ 第70譜

2020年10月23日 | しょうぎ
≪最終一番勝負 第70譜 指始図≫ 7七同歩成まで

指し手 △7六歩


  [ループする “夏休み”]

何の確信だよ。
「我々は同じ時間を、もう何度も繰(く)り返し経験しているということをです」
それはさっき聞いた。
「正解に言えば八月十七日から、三十一日の間ですね」
古泉のセリフが、俺には虚(うつ)ろに聞こえる。
「僕たちは終わりなき夏休みのまっただ中にいるわけですよ」

  ※    ※    ※

「ハルヒはどうなんだ。あいつはちょっとでも自覚しているのか」
「まったくしていないようですね。してもらっては困るというのもありますが゙‥‥」
長門のほうへ流し目を送って古泉は宇宙人に尋(たず)ねた。さり気なく。
「それで、何回くらい僕たちは同じ二週間をリプレイしているのですか?」
長門は平気な顔をして答えた。

「今回が、一万五千四百九十八回目に該当(がいとう)する」

  (谷川流著『エンドレスエイト』(涼宮ハルヒ・シリーズ) 角川スニーカー文庫 より)





<第70譜 決断の時>


≪最終一番勝負 第70譜 指始図≫

 後手の次の手は △7六歩

 そして、「吉祥B図」と我々終盤探検隊が名付けた図になる。
 これで「千日手ループ」を一回半、繰り返していることになる。
 三回繰り返せば、その時点で千日手が成立するが、我々の意志は千日手にするつもりはなかった。しかし、なかなか何を指すか、決断ができないでいた。


 「吉祥B図」の調査の結果のまとめは次のようになっている。
 (ただし最新ソフトを使った戦後の調査である。戦闘時は、最新ソフトは使えず、「激指14」を相棒として戦っていた)

吉祥B図
   【00】7七歩  → 同歩成で「吉祥A図」 → 千日手ループ
   【1】3三歩成 (後手良し) → 先手良し
   【2】3三香 (後手良し) → 後手良し
   【3】8九香 (先手良し) → 先手良し
   【4】2五香 (形勢不明) → 先手良し
   【5】5四歩 (先手良し) → 先手良し
   【6】2六香 (先手良し) → 先手良し
   【7】2六飛 (先手良し) → 先手良し
   【8】2五飛 (先手良し) → 先手良し
   【9】3七桂 (先手良し) → 先手良し
   【10】3八香 (後手良し) → 先手良し
   【11】8一飛 (形勢不明) → 互角(形勢不明)
   【12】1五歩 (後手良し) → 先手良し
   【13】9八金 (後手良し) → 先手良し
   【14】6五歩 (後手良し) → 先手良し
   【15】3七飛 (先手良し) → 先手良し

 (※ (灰色字) は「吉祥A図」の調査結果)



 前回も書いた通り、我々が戦闘中に期待していた手――すなわち読みの中心は【4】2五香であった。続いて【7】2六飛、【6】2六香を考えていた。
 しかし、はっきりした「勝ち筋」はまだ見えてはいなかった。
 「7八歩、7六歩」の手交換を入れてからの(すなわちこの吉祥B図からの)【4】2五香なら、確かに先手に勝ち筋があったということが、“戦後研究”では明らかになったのであるが。


 結局、我々はそれらとは別の手を選んで、指したのであった。



≪指了図≫(=吉祥B図)

 ついに、“決断”した。
 
 我々――終盤探検隊――がこの図から選んで指した手は、しかし、上に挙げた(先日手ループ継続の【00】7七歩を含む)16通りの指し手とは別の手だった!
  “17番目の手” を指して、この千日手ループを打開したのである。

 その “17番目の手” を、あなたは予想することができるだろうか。



第71譜につづく
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