≪月4二歩図≫
[りんごの花びらが風に散ったよな]
りんごの花びらが 風に散ったよな
月夜に月夜に そっと ええ―――えええ―――
つがる娘は 泣いたとさ
つらい別れを 泣いたとさ
りんごの花びらが 風に散ったよな
ああ―――あああ―――
(楽曲『りんご追分』歌・美空ひばり 作詞・小沢不二夫 作曲・米山正夫 から一番の歌詞)
≪月2二玉図≫
〔一〕4一銀 → 後手勝ち
〔二〕2五玉 → 後手勝ち
〔三〕6六角 → 後手勝ち
〔四〕4五玉 → 後手勝ち
〔五〕7三歩成 → 後手勝ち
〔六〕9一竜 → 後手勝ち
〔七〕8二飛 → 後手勝ち
〔八〕6四角 → 後手勝ち
とにかく、我々(終盤探検隊)は、ここから先手の勝ち筋を見つけなければならない。そうでなければ、我々の≪亜空間の闘い≫は敗北で終わる。
〔九〕3三歩
3三歩(下の図)はあるだろうか。
3三歩図1
これを(F)同桂なら先手が勝ちになるし、(G)同銀も先手にとって希望のある変化となる。
まずそれを確認しておく。
3三歩に(F)同桂は、3一角と角を打ち捨て、同玉に、4一金と指す(次の図)
3三歩図2
4一金と打って、同銀に1一飛とする。(これを手順前後して4一金の手で先に1一飛、2一銀打、4一金だと2二玉とされ詰まない)
図での4一金なら同銀の一手。そこで1一飛、2一桂合、4一桂成、3二玉、2一飛成、同玉、2二銀、同玉、3一角、3二玉、4四桂、同歩、4二成桂――という手順で“詰み”。 先手勝ち。
3三歩図3
次に、3三歩に、(G)同銀の場合。これは、この図のように、4五玉と逃げる。
ここで4二桂だと後手玉は詰んでしまう。先手のねらいは5四→6四→7三の“入玉”で、それが実現すると先手の勝ちになる。
ここで後手5三金が成立するかどうか、それがカギとなる。
5三金には、3一銀、同玉、5一竜とし、後手は4一銀と合駒することになる。
3三歩図4
この図の「銀合」は必然で、これを桂合なら、4二角、同銀、2二金で後手玉が詰んでしまう。
「銀合」なら詰まないので、先手は5三竜とすることになる。後手は4二桂。
以下、同龍、同銀上、5四玉、5三飛、6五玉で、次の図となる。
3三歩図5
この図のソフト「激指」の形勢判断は「互角」である。我々としてはここから頑張って先手の勝ち筋を見つけられるのではと希望を抱いている。
が、しかし、それ以前の問題があるのだ。
初めの図に戻る。
3三歩図6
「3三歩図1」まで戻って、そこで(H)4二桂と打たれる手がある。
これは2五玉とするしかないが、そこで3三桂とされ、「3三歩」と打った一手が全くの無駄手にされてしまった。
この変化で、「後手勝ち」となる。
以下、先手の負けを確認しておこう。2五玉、3三桂、2六玉、3四桂、1七玉、2五桂、1八玉、3八金(詰めろ)、6五飛(詰めろの防ぎ)、1七銀(次の図)
3三歩図7
1七同桂に、3七桂成で、先手、受けなし。後手玉は詰まない。
ということで、結論は 〔九〕3三歩は「後手勝ち」、である。
≪月2二玉図≫
なんとしても我々は“先手の勝ち筋”を見つけたい。
しかしこの図で先手がぼやぼやしていると、「3三桂打」と「4二桂」という2通りの有力手が後手にあって、それで先手が負けになる。
ではこの図で、その2つの後手の手をかいくぐる手はないものだろうか。
そう考えて浮かんだ手が、次の手である。
〔十〕4二歩
4二歩図1
この手はソフト「激指13」の候補手にはなかった手である。我々が苦吟の末、ひねりだした手だ。(これで先手が勝ちになれば嬉しいのだが!)
この図では3一銀、同玉、4一金以下の“詰めろ”が後手玉に掛かっているので、ここで後手の<I>3三桂打はない。しかも次に4一歩成という有効な攻めがある。
後手はどう指してくるか。
<J>3三銀打だと、4五玉、6二桂、4一歩成で、これは先手勝ち。後手は6二桂で先手の“入玉”を阻止したが、持駒の銀桂を使ってしまったので、先手にせまる手がない。
かといって<K>3三銀も、4五玉、6二桂の時に、今度は3一銀以下、後手玉が一気に詰んでしまう。
したがって<J>3三銀打も、<K>3三銀も、先手が勝ち。
では、〔十〕4二歩を<L>4二同金だとどうなるのか。
3一銀、同玉、5一竜で、次の図。
4二歩図2
ここで後手は「4一桂合」か「4一銀合」の2択だが、「桂合」だと、4二竜、同玉、5一角、同玉、6一飛以下詰み。
だから「4一銀合」だが、それには同桂成、同銀、5三角(次の図)とする。
4二歩図3
これは先手の勝ち。(3三銀には2三玉と行く)
4二歩図4
だから戻って、〔十〕4二歩には、<M>3一歩(図)と受けるのが最善のようだ。
ここで先手に好手があるかどうか。
(a)4五玉は5三金でまずい。(b)2五玉は、3三桂、2六玉、3四桂、1七玉、3八金で、これも後手勝ち。
「3一歩」の補強が盤石で後手玉にスキがない。
図で(c)4一歩成で勝ちならよいのだが、それは――
4二歩図5
図の3三桂打で先手勝てないようだ。3六銀などで“詰めろ”を受けるしかないが、そこで2四歩(または4四歩)で後手勝ちである。
4二歩図6(4二歩図4から4一銀、3三銀と進んだ)
だから後手<M>3一歩に対し、(d)4一銀でどうか。
これは3二銀成、同玉、4一角以下の“詰めろ”になっている。
したがって、後手は3三銀(図)とする。
以下、2五玉、2四銀打、2六玉、2五桂(詰めろ)、1五歩、5三金(次の図)
4二歩図7
5三金と桂馬を取ったところ。これは3四桂、1六玉、1四歩のねらい。
受けがむつかしいが、しかし詰めろではないので、5一竜でどうか。この5一竜は“詰めろ”(3二飛以下)だが、5一竜、3四桂、1六玉、1四歩となった時、後手1四歩が逆に“詰めろ逃れの詰めろ”になっている。
以下、3二飛、同歩、同銀成、1三玉、3一角、2二飛(次の図)
4二歩図8
これで後手勝ち。続けるなら2六歩くらいだが、1五歩、2七玉、3七銀成、同桂、同金、1八玉、2六桂、2九玉、3八金まで詰み。
以上の検討の結果、〔十〕4二歩は「後手勝ち」、と出た。 (まことに残念!)
〔十一〕4二銀
〔十〕4二歩は発想は良かったが後手“3一歩”の応手があって先手が敗れた。
それなら、〔十一〕4二銀(下図)ならどうか。歩を銀に代えてみた。(この手も「激指」の候補手群の中にはない)
4二銀図1
この〔十一〕4二銀に対する後手の次の手は、<R>3一歩、<S>3三銀打、<T>4二同金とあって、どれも有力。
<R>3一歩、<S>3三銀打、この2つはいずれも調査はまだ十分とは言えないが、「互角」にちかい微妙な形勢となり結論ははっきりしないところがあるも、“先手良しの可能性あり”と我々は手ごたえを感じている。
しかし最も気になるのは<T>4二同金である。これで駄目なら他の変化を調べてもしかたがないし、後手にとってもおそらくは<T>4二同金が一番指したい手のはずである。だから<T>4二同金をまず調べていく。
4二銀図2
先手の4二銀に、同金と後手が応じたところ。
ここで3一角、同玉、5一竜(次の図)と攻めるのが、先手の予定だ。
4二銀図3
これは先ほど〔十〕4二歩の検討で調べた変化(4二歩図2)と同じ攻め方だが、持駒が違う。今度は先手の持駒の「角」が一枚少ない(反対に後手の持駒に「角」がある)、という違いがある。
ここで後手「4一桂合」か「4一銀合」か。
実はこの場合も、やはり「桂合」だと、4二竜から後手玉は詰むのだ。4二同玉に、7二飛と打つ。5二歩合なら5一角から、5三玉なら4二角から詰みとなる。7二飛に5二飛合なら、同飛成、同玉、6二金、同玉、6一飛から。
したがって後手は「4一銀合」。以下、同桂成、同銀で次の図
4二銀図4
〔十〕4二歩で現れた図(4二歩図3)と同じ図だが、持駒が違う。後手は「角銀桂桂」と持っているために、先手玉が“詰めろ”になっており、その詰めろも一通りではない。(最も単純な詰み筋は3三金以下)
なので先手の指し手が難しい。うまい攻防の手はないか。
(ア)1一角は、3三歩、4五玉、6三角、5四歩、4四銀以下、詰まされる。
(イ)6四角、(ウ)5三角を考えてみる。
4二銀図5
(イ)6四角は、この図のように2五銀で先手負けである。先手玉は詰んでいる。
2五同玉は、3三桂、3六玉、2四桂、2六玉、3五角、1五玉、1四歩まで。
4二銀図6
それなら(ウ)5三角(図)はどうか。この角は3五にも利かせている。
しかし2二桂、4五玉(代えて2三玉には6七角がある)、6三角、5四歩、4四銀、同角、同歩、同玉、3二桂(次の図)
4二銀図7
となって、これも“詰み”である。以下、4五玉、3三桂、3六玉、2四桂、2六玉、3五角、1五玉、1四歩まで。
「4二銀図4」では、攻めるどころか、どうやっても一気に詰まされてしまうようだ。
そういうわけで、結論はこうなる。
〔十一〕4二銀は、同金と取られて「後手勝ち」、である。
≪月2二玉図≫再掲
〔一〕4一銀 → 後手勝ち
〔二〕2五玉 → 後手勝ち
〔三〕6六角 → 後手勝ち
〔四〕4五玉 → 後手勝ち
〔五〕7三歩成 → 後手勝ち
〔六〕9一竜 → 後手勝ち
〔七〕8二飛 → 後手勝ち
〔八〕6四角 → 後手勝ち
〔九〕3三歩 → 後手勝ち
〔十〕4二歩 → 後手勝ち
〔十一〕4二銀 → 後手勝ち
もはやこれまで。他に有効手は思いつかない。
この≪月2二玉図≫はどうやら、「後手勝ち」のようだ。
≪月5二金図≫
(猪)3一銀 → 後手勝ち
(鹿)2五玉 →後手勝ち
(蝶)4五玉 →後手勝ち
(蛙)4一桂成 →後手勝ち
(燕)9一竜 →後手勝ち
(雁)6四角 →後手勝ち
(鶴)7七角 →後手勝ち
この≪月5二金図≫から、「3一銀、5一歩、2二銀成、同玉」と進んだ局面が、上で調べてきた≪月2二玉図≫である。 我々は(猪)3一銀をこの≪月5二金図≫での“先手最後の希望”としていたが、3一銀以下の変化である ≪月2二玉図≫=「後手勝ち」 となったため、≪月5二金図≫は結局「後手勝ち」という結論になる。
5二金に対して、先手の勝ち筋は、ついに見つからなかった。
すなわち、≪亜空間戦争≫の結果は、「後手の5二金で後手勝ち」、となった。
我々は、闘いに敗れたのである。
[りんごの花びらが風に散ったよな]
りんごの花びらが 風に散ったよな
月夜に月夜に そっと ええ―――えええ―――
つがる娘は 泣いたとさ
つらい別れを 泣いたとさ
りんごの花びらが 風に散ったよな
ああ―――あああ―――
(楽曲『りんご追分』歌・美空ひばり 作詞・小沢不二夫 作曲・米山正夫 から一番の歌詞)
≪月2二玉図≫
〔一〕4一銀 → 後手勝ち
〔二〕2五玉 → 後手勝ち
〔三〕6六角 → 後手勝ち
〔四〕4五玉 → 後手勝ち
〔五〕7三歩成 → 後手勝ち
〔六〕9一竜 → 後手勝ち
〔七〕8二飛 → 後手勝ち
〔八〕6四角 → 後手勝ち
とにかく、我々(終盤探検隊)は、ここから先手の勝ち筋を見つけなければならない。そうでなければ、我々の≪亜空間の闘い≫は敗北で終わる。
〔九〕3三歩
3三歩(下の図)はあるだろうか。
3三歩図1
これを(F)同桂なら先手が勝ちになるし、(G)同銀も先手にとって希望のある変化となる。
まずそれを確認しておく。
3三歩に(F)同桂は、3一角と角を打ち捨て、同玉に、4一金と指す(次の図)
3三歩図2
4一金と打って、同銀に1一飛とする。(これを手順前後して4一金の手で先に1一飛、2一銀打、4一金だと2二玉とされ詰まない)
図での4一金なら同銀の一手。そこで1一飛、2一桂合、4一桂成、3二玉、2一飛成、同玉、2二銀、同玉、3一角、3二玉、4四桂、同歩、4二成桂――という手順で“詰み”。 先手勝ち。
3三歩図3
次に、3三歩に、(G)同銀の場合。これは、この図のように、4五玉と逃げる。
ここで4二桂だと後手玉は詰んでしまう。先手のねらいは5四→6四→7三の“入玉”で、それが実現すると先手の勝ちになる。
ここで後手5三金が成立するかどうか、それがカギとなる。
5三金には、3一銀、同玉、5一竜とし、後手は4一銀と合駒することになる。
3三歩図4
この図の「銀合」は必然で、これを桂合なら、4二角、同銀、2二金で後手玉が詰んでしまう。
「銀合」なら詰まないので、先手は5三竜とすることになる。後手は4二桂。
以下、同龍、同銀上、5四玉、5三飛、6五玉で、次の図となる。
3三歩図5
この図のソフト「激指」の形勢判断は「互角」である。我々としてはここから頑張って先手の勝ち筋を見つけられるのではと希望を抱いている。
が、しかし、それ以前の問題があるのだ。
初めの図に戻る。
3三歩図6
「3三歩図1」まで戻って、そこで(H)4二桂と打たれる手がある。
これは2五玉とするしかないが、そこで3三桂とされ、「3三歩」と打った一手が全くの無駄手にされてしまった。
この変化で、「後手勝ち」となる。
以下、先手の負けを確認しておこう。2五玉、3三桂、2六玉、3四桂、1七玉、2五桂、1八玉、3八金(詰めろ)、6五飛(詰めろの防ぎ)、1七銀(次の図)
3三歩図7
1七同桂に、3七桂成で、先手、受けなし。後手玉は詰まない。
ということで、結論は 〔九〕3三歩は「後手勝ち」、である。
≪月2二玉図≫
なんとしても我々は“先手の勝ち筋”を見つけたい。
しかしこの図で先手がぼやぼやしていると、「3三桂打」と「4二桂」という2通りの有力手が後手にあって、それで先手が負けになる。
ではこの図で、その2つの後手の手をかいくぐる手はないものだろうか。
そう考えて浮かんだ手が、次の手である。
〔十〕4二歩
4二歩図1
この手はソフト「激指13」の候補手にはなかった手である。我々が苦吟の末、ひねりだした手だ。(これで先手が勝ちになれば嬉しいのだが!)
この図では3一銀、同玉、4一金以下の“詰めろ”が後手玉に掛かっているので、ここで後手の<I>3三桂打はない。しかも次に4一歩成という有効な攻めがある。
後手はどう指してくるか。
<J>3三銀打だと、4五玉、6二桂、4一歩成で、これは先手勝ち。後手は6二桂で先手の“入玉”を阻止したが、持駒の銀桂を使ってしまったので、先手にせまる手がない。
かといって<K>3三銀も、4五玉、6二桂の時に、今度は3一銀以下、後手玉が一気に詰んでしまう。
したがって<J>3三銀打も、<K>3三銀も、先手が勝ち。
では、〔十〕4二歩を<L>4二同金だとどうなるのか。
3一銀、同玉、5一竜で、次の図。
4二歩図2
ここで後手は「4一桂合」か「4一銀合」の2択だが、「桂合」だと、4二竜、同玉、5一角、同玉、6一飛以下詰み。
だから「4一銀合」だが、それには同桂成、同銀、5三角(次の図)とする。
4二歩図3
これは先手の勝ち。(3三銀には2三玉と行く)
4二歩図4
だから戻って、〔十〕4二歩には、<M>3一歩(図)と受けるのが最善のようだ。
ここで先手に好手があるかどうか。
(a)4五玉は5三金でまずい。(b)2五玉は、3三桂、2六玉、3四桂、1七玉、3八金で、これも後手勝ち。
「3一歩」の補強が盤石で後手玉にスキがない。
図で(c)4一歩成で勝ちならよいのだが、それは――
4二歩図5
図の3三桂打で先手勝てないようだ。3六銀などで“詰めろ”を受けるしかないが、そこで2四歩(または4四歩)で後手勝ちである。
4二歩図6(4二歩図4から4一銀、3三銀と進んだ)
だから後手<M>3一歩に対し、(d)4一銀でどうか。
これは3二銀成、同玉、4一角以下の“詰めろ”になっている。
したがって、後手は3三銀(図)とする。
以下、2五玉、2四銀打、2六玉、2五桂(詰めろ)、1五歩、5三金(次の図)
4二歩図7
5三金と桂馬を取ったところ。これは3四桂、1六玉、1四歩のねらい。
受けがむつかしいが、しかし詰めろではないので、5一竜でどうか。この5一竜は“詰めろ”(3二飛以下)だが、5一竜、3四桂、1六玉、1四歩となった時、後手1四歩が逆に“詰めろ逃れの詰めろ”になっている。
以下、3二飛、同歩、同銀成、1三玉、3一角、2二飛(次の図)
4二歩図8
これで後手勝ち。続けるなら2六歩くらいだが、1五歩、2七玉、3七銀成、同桂、同金、1八玉、2六桂、2九玉、3八金まで詰み。
以上の検討の結果、〔十〕4二歩は「後手勝ち」、と出た。 (まことに残念!)
〔十一〕4二銀
〔十〕4二歩は発想は良かったが後手“3一歩”の応手があって先手が敗れた。
それなら、〔十一〕4二銀(下図)ならどうか。歩を銀に代えてみた。(この手も「激指」の候補手群の中にはない)
4二銀図1
この〔十一〕4二銀に対する後手の次の手は、<R>3一歩、<S>3三銀打、<T>4二同金とあって、どれも有力。
<R>3一歩、<S>3三銀打、この2つはいずれも調査はまだ十分とは言えないが、「互角」にちかい微妙な形勢となり結論ははっきりしないところがあるも、“先手良しの可能性あり”と我々は手ごたえを感じている。
しかし最も気になるのは<T>4二同金である。これで駄目なら他の変化を調べてもしかたがないし、後手にとってもおそらくは<T>4二同金が一番指したい手のはずである。だから<T>4二同金をまず調べていく。
4二銀図2
先手の4二銀に、同金と後手が応じたところ。
ここで3一角、同玉、5一竜(次の図)と攻めるのが、先手の予定だ。
4二銀図3
これは先ほど〔十〕4二歩の検討で調べた変化(4二歩図2)と同じ攻め方だが、持駒が違う。今度は先手の持駒の「角」が一枚少ない(反対に後手の持駒に「角」がある)、という違いがある。
ここで後手「4一桂合」か「4一銀合」か。
実はこの場合も、やはり「桂合」だと、4二竜から後手玉は詰むのだ。4二同玉に、7二飛と打つ。5二歩合なら5一角から、5三玉なら4二角から詰みとなる。7二飛に5二飛合なら、同飛成、同玉、6二金、同玉、6一飛から。
したがって後手は「4一銀合」。以下、同桂成、同銀で次の図
4二銀図4
〔十〕4二歩で現れた図(4二歩図3)と同じ図だが、持駒が違う。後手は「角銀桂桂」と持っているために、先手玉が“詰めろ”になっており、その詰めろも一通りではない。(最も単純な詰み筋は3三金以下)
なので先手の指し手が難しい。うまい攻防の手はないか。
(ア)1一角は、3三歩、4五玉、6三角、5四歩、4四銀以下、詰まされる。
(イ)6四角、(ウ)5三角を考えてみる。
4二銀図5
(イ)6四角は、この図のように2五銀で先手負けである。先手玉は詰んでいる。
2五同玉は、3三桂、3六玉、2四桂、2六玉、3五角、1五玉、1四歩まで。
4二銀図6
それなら(ウ)5三角(図)はどうか。この角は3五にも利かせている。
しかし2二桂、4五玉(代えて2三玉には6七角がある)、6三角、5四歩、4四銀、同角、同歩、同玉、3二桂(次の図)
4二銀図7
となって、これも“詰み”である。以下、4五玉、3三桂、3六玉、2四桂、2六玉、3五角、1五玉、1四歩まで。
「4二銀図4」では、攻めるどころか、どうやっても一気に詰まされてしまうようだ。
そういうわけで、結論はこうなる。
〔十一〕4二銀は、同金と取られて「後手勝ち」、である。
≪月2二玉図≫再掲
〔一〕4一銀 → 後手勝ち
〔二〕2五玉 → 後手勝ち
〔三〕6六角 → 後手勝ち
〔四〕4五玉 → 後手勝ち
〔五〕7三歩成 → 後手勝ち
〔六〕9一竜 → 後手勝ち
〔七〕8二飛 → 後手勝ち
〔八〕6四角 → 後手勝ち
〔九〕3三歩 → 後手勝ち
〔十〕4二歩 → 後手勝ち
〔十一〕4二銀 → 後手勝ち
もはやこれまで。他に有効手は思いつかない。
この≪月2二玉図≫はどうやら、「後手勝ち」のようだ。
≪月5二金図≫
(猪)3一銀 → 後手勝ち
(鹿)2五玉 →後手勝ち
(蝶)4五玉 →後手勝ち
(蛙)4一桂成 →後手勝ち
(燕)9一竜 →後手勝ち
(雁)6四角 →後手勝ち
(鶴)7七角 →後手勝ち
この≪月5二金図≫から、「3一銀、5一歩、2二銀成、同玉」と進んだ局面が、上で調べてきた≪月2二玉図≫である。 我々は(猪)3一銀をこの≪月5二金図≫での“先手最後の希望”としていたが、3一銀以下の変化である ≪月2二玉図≫=「後手勝ち」 となったため、≪月5二金図≫は結局「後手勝ち」という結論になる。
5二金に対して、先手の勝ち筋は、ついに見つからなかった。
すなわち、≪亜空間戦争≫の結果は、「後手の5二金で後手勝ち」、となった。
我々は、闘いに敗れたのである。