はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

炸裂! カニカニ銀!

2008年06月04日 | しょうぎ
 順位戦が始まりました! 昨夜は僕もネット観戦しましたが、いやあ、おもしろかった!

 昨日行われたのはC2クラス。順位戦ピラミッドの最下層で棋士43人が3つの昇級枠をめざしています。しかし9勝1敗でもそれが勝ち取れるかどうか、保証はない。きびしい~。
 この中で一番若いのが、プロ2年目豊島将之四段で18歳、その若さでプロになったということは、つまり才能があるという証明ですから、堂々の昇級候補筆頭です。
 2番目に若いのが糸谷哲郎五段で、プロ3年目、19歳。
 そして3番目に若いのが、この四月にプロ棋士になったばかりの稲葉陽四段。兵庫県西宮市出身。彼の奨励会三段リーグでの成績を見てみると、5-13、13-5、13-5、12-6、12-6、13-5、安定した実力の持ち主とわかります。
 毎年四人の新人プロ棋士が生まれます。彼ら新人棋士が順位戦でどう戦うのか。それもC2クラスの見どころの一つ。さあ、19歳稲葉四段はどうだったでしょうか?

 稲葉陽四段、敗れました。

 その相手というのが、児玉孝一七段。
 やってくれました児玉孝一!   「よっ! カニカニ銀!」 ←拍手!拍手!拍手!
 そう、「カニカニ銀」で新人・稲葉を粉砕したのです!
 児玉七段は今年57歳。順位戦での最高クラスはB2ですが、この年齢ですから力もおとろえC2まで落ちてきました。もともと将棋のプロになった年齢が28歳と遅く、生涯勝率も4割台。それでも、この児玉孝一の名が棋士として輝いているのは、愛すべき戦法、「カニカニ銀」の創始者だからです!
 60前のベテラン棋士が、カニカニ銀で大物新人棋士を粉砕! なんと痛快な!
 児玉さんがカニカニ銀を公式戦で指し始めたのは、1986年からだという。どんな戦法なのか。ご紹介しよう。



 この2枚の銀が「カニカニ」というわけ。命名者は森信雄七段(故村山聖、糸谷哲郎らの師匠)。
 「居玉」で戦う。しかもすごいのは二枚の「金」を動かさないこと。(▲7八金と上らない!)
 カニカニ銀は飛車を5筋に振り、角を9七にのぞいて中央を攻めることが多いが、上の図は3筋から仕掛けたところ。この図からの手順を最初に見たとき、僕は、驚いたなあ…。そして、笑った。 「えっ、これでいいの!?」 だって一手も受けの手を指していない…

 上図からの手順
  △8六歩▲同歩△同角▲7七桂△4二角▲8八飛△同飛成▲同角△2八飛▲8二飛

 スゴイでしょう!?  8筋、受けないままで闘うんですよ!  プロなのに~!
 (ただし、これは昨日の対局ではありません。)
 昨日のカニカニも、児玉さんは「居玉」のまま勝ちきっています。(中央突破型でした。)
 カニカニ銀の洗礼を受けた稲葉四段がこの戦法のすごさを知り、カニカニ銀を受け継いで勝ちまくる、なんてことになったら面白いのだが…、と、空想。

 児玉孝一さんの写真を見て、僕は漫画『鉄コン筋クリート』(松本大洋作)の中に登場するシブイ中年ヤクザ(下の絵)を思い出しました。そのイメージで顔を描いてみました。イマイチだったかな。


 さて、順位戦C2クラスは有望な若手が多いので、だれが昇級してもふしぎではありませんが、僕の昇級予想を書いてみます。

 田村康介六段(昨日の勝ち方はかっこよかったぞ~!)
 佐藤紳哉六段(昨日は負けたが、のこりを全部勝つのだ!)
 村田顕弘四段(順位戦初参加だが、勝ちまくっている21歳!)

 ハハ、見物人は気楽なもんです。あえて豊島将之四段は外しました。

 ところで、昨日の対局で僕がいちばん面白かったのは、山本真也-大内延介戦。大ベテラン大内さんの力強い「受け」の芸に、感動!
 千日手指し直しになって、深夜4時まで戦った佐藤天彦-横山泰明戦もすごかった。
コメント
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