浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

八正道と作善止悪

「御垂訓」

2020-07-04 00:16:19 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

~ 恩師の「講演集」より ~

            講演集、 一

      反省の体験


私は十年前、
山の中で四日間程坐って反省をさせてもらいました。
「お母さんと自分」について反省をさせてもらいました。
ずっと幼い時から振り返ってみますと、
お母さんにはいろんな恩恵をいただいております。
しかしそれに対して私がどれだけのお返しをできたか、
いただいたお母さんの無償の愛に対して、
その万分の一のお返しもできていません。
それどころか、心配をかけたり、
嘘を言ったり、けがをしてお世話をかけたり、
病気の時にはずっとわが子に付き添ってくれた、
そういうお母さんに対して自分が幼い時からしてきたことを
振り返ってみますと、もう、申し訳なくて、
羽があれば今すぐ飛んで帰ってでもすぐにお詫びをしたい、
という心に目覚めてきたのです。

親からいただいたご恩というのはどれ程お返ししても
お返ししきれないものですね。
しかしそれを当たり前のように思っていました。
感謝することも知りません。
そのお母さんに対してせめて万分の一のお返しでも
させていただかなくてはいけないという心に目覚めてきたのです。
これが反省の功徳ですね。
そして山から降りてたまらなくなりまして、
お母さんに電話をかけました。
私もその時は子供が大きくなっておりましたから、
おばあちゃんと呼んでいましたが、
幼い時の記憶に戻って反省をさせてもらいますと、
自分の心がふっと幼い子のようになっていました。

電話をしますと、幸いおばあちゃんが出てくれたのですが、
幼い頃私達は「おかちゃん」と呼んでいましたので、
それでおばあちゃんの声が電話に聞こえて来ますと
「おかちゃん堪忍してや、堪忍してや、とても申し訳ないことでした」
と泣いてお詫びをしたのです。
自分では、
そういう反省をさせてもらうまでは全く気付かないでいたのです。
反省を通してお母さんだけではないですね。
夫婦の場合もそうです。子供に対してもそうです。
その至らない、できていない自分に目覚めるのです。
そして今度はその償いのために善を行っていけば、
それは必ず幸せにつながっていきます。

「家内と私」についても反省させてもらって、
目覚めました時には、もう二時間ぐらい泣き続けました。
ちょうど三月頃で、パッチ二枚とジャージのズボンを穿いておりましたが、
目を開きますと、目に最初に入った二本のものがあり、
これは何だろうかと思いますと、鼻水が切れないで繋がって垂れていたのです。
涙と、その鼻水とでズボンもパッチ二枚も濡れて、
座布団までボトボトになっておりました。
反省というのは、深く入りますと、自分の過ちの深さに目覚めた時に、
涙と鼻水でグチャグチャになってしまうものです。
そのような反省の涙は、自分の魂の汚れを流してくれる法の雨です。
常に反省し反省させてもらうのです。


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