浜田屋遼太

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ふぉん・しいほるとの娘

2009-11-13 | 読書


題名の通りシーボルトの娘、日本女医の草分け的存在「おらんだおイネ」のお話です。

主な登場人物は

シーボルト  鎖国をしていた江戸時代に唯一外交取引のあった清国とオランダ、そのオランダ(本当はドイツ人ですが)の医者として長崎に赴任した人物。

お滝  遊女としてシーボルトの世話をやく。

お稲  シーボルトとお滝との間に生まれた娘。

長崎の出島を舞台に始まった物語は、国禁を犯したシーボルトの永久追放、14歳お稲の宇和島藩卯之町での学問修行、備前藩岡山での産科習得へと進み「あいのこ」と呼ばれた青い眼のお稲の成長と、数々の悲劇が読者に睡眠時間を与えないほど続きます。

幕末から開国へと流れるこの時代、お稲の行動範囲は長崎から宇和島、岡山、大阪そして東京と広がります。

その当時の事情を考えると、女手一つでよくぞここまで頑張れたな…と思います。

今でいえば、さながら宇宙旅行でもするような感覚でしようか。

お稲が恩師に犯されて身ごもり生まれた高子を含め、動乱の時代に生きた三代の女のドラマ。

吉村昭の作品では一番の長編、そして最高傑作だと思うのでした。
コメント
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