経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

サービス・ドミナント・ロジックと知的財産

2021-04-08 | その他

 noteに知財ネタを書きました。
 そちらでボチボチ投稿を再開していく予定です。

 サービス・ドミナント・ロジックと知的財産


あなたの会社の「知的財産」を活かせていますか? ー会社を元気にする中小企業のための知的財産活用術

2016-06-06 | お知らせ
 ちばぎん総合研究所発行「MANAGEMENT SQUARE(2016年5月号)」に寄稿した
 あなたの会社の「知的財産」を活かせていますか?
 ー会社を元気にする中小企業のための知的財産活用術
のPDFをホームページの以下のURLに公開しました。
 http://www.ipv.jp/data/documents/ms1605.pdf

 「知的財産はうちには関係ない」と思っておられる中小企業経営者の方々に向けてということで、「知的財産」は一般にイメージされるよりその範囲が広く、効果も多様であることを、できるだけわかりやすく説明するように努めたつもりですが、これだけ「知的財産」という単語を使っていること自体が、「知的財産はうちには関係ない」という方々を遠ざけてしまっているのかもしれません。うーん、そこが難しいところですね...

知的財産を「紛争の種」ではなく「成長の種」として意識しよう

2016-01-13 | お知らせ
 1月5日発行の特許ニュース・新春特集号(No.14114)に、
知財活用の裾野拡大に向けての提言 -中小企業経営を支える知財活動促進のヒント-
が掲載されました。
 以前に「中小企業が抱える課題と知財活動の効かせ方」や「中小企業は『知的財産』をどのように捉えているか」でも紹介した、昨年度の近畿経済産業局の調査事業で行った中小企業へのアンケート調査結果をベースに、これまで知財を意識してこなかった中小企業に、知財活動を通じてステップアップしていただくためには、どのような取組みを推進していくべきかを論じたものです。
 その要旨は、「知財権をおさえないと模倣されてしまいますよ」「他人の知財権を侵害したら大変なことになりますよ」といった従来からありがちなパターン化された啓発活動ではなく、知財活動には多様な効果があること、販売力や人材面など各々の企業が抱えている課題に対して知財活動が有効に働き得ることを広く伝えていくことが必要ではないか、というものです。前者のようなアプローチばかりだと、「知的財産」を「紛争の種」とイメージされてしまいがちですが、自社のオリジナリティ・他社との差異化要因であり、競争力の源泉となる「知的財産」を、まずは前向きな「成長の種」として認識することをスタートラインに設定しましょう。
 全文をこちらに掲載していますので、少々長いですがご一読いただけると幸いです。

「ノウハウ」管理の前さばき

2015-10-28 | 企業経営と知的財産
 知財の世界で「ノウハウ」というと、「ノウハウ=営業秘密」という前提で、技術流出をどのように防ぐかという文脈で語られることがほとんどではないかと思います。
 一方で、中小企業関連の仕事でノウハウが話題になると、そのストーリーでは話がかみ合わなくなることがあります。「ノウハウ」に関する問題意識が、技術流出ではなく、「Aさんの仕事のやり方(ノウハウ)を、Bさんにも真似てほしい」「Cさんの優れた手法(ノウハウ)を多くの社員に広めて、会社全体のレベルアップを図りたい」といったところにあるようなケースです。
 
 こうした食い違いは、「知財(法律)用語としてのノウハウ」と「社会通念上のノウハウ」が必ずしも一致しないことによって生じるのではないでしょうか。
 goo辞書で検索しても、「ノウハウ」には次の2つの意味があると説明されています。
1. ある専門的な技術やその蓄積のこと。
2. 技術競争の有力な手段となり得る情報・経験。また、それらを秘密にしておくこと。
 1.が「社会通念上のノウハウ」、2.が「知財(法律)用語としてのノウハウ」です。
 そうすると、はじめから「営業秘密」を対象にするコンセンサスができているのであれば、「ノウハウ=営業秘密」という前提で、技術流出という課題にどのように対処するかを検討していけばよいのですが、そういうコンセンサスがない状態で「『ノウハウ』について考えましょう」といった場合には、「社会通念上のノウハウ」を前提にした各々の企業が抱えている課題の整理が必要になってくると考えられます。その流れを簡単な図にして整理してみました。
 整理の軸は、「社会通念上のノウハウ=専門的な技術やその蓄積」について、「模倣リスクが懸念されるか」「社内での積極活用が求められているか」の2つです。
 模倣リスクが懸念され、多くの社員が情報を共有するニーズには乏しいのであれば、営業秘密としてしっかりと管理する方策を検討すればよいことになります。
 逆に、模倣リスクはあまり懸念されず、社内での情報共有・積極的な活用が求められている場合には、厳格な秘密管理は利用促進の妨げになるおそれもあり、異なる観点での対応策を考えていかなければいけません。模倣リスクがあまり懸念されない理由には、(1)ノウハウが絶えず進化している、(2)一部のノウハウだけ真似ても効果がない、(3)企業の信用力とセットで価値がある、(4)コア技術が特許化されている、といったパターンが考えられますが、特にサービスエンジニアリングを含めたサービス業の領域では、いわゆる営業秘密としての管理より、情報共有システムなどのノウハウ管理(「ノウハウ活用」というほうが適切かもしれません)を求められるケースが少なくないものと思われます。
 難しいのは、模倣リスクへの対策と利用促進のニーズが重なり合う領域で、情報の種類や利用形態などに応じた管理方法や、利用のインセンティブなどを個別に考えていかなければいけません。

 尤も、いずれのケースにも共通するのは、(社会通念上)のノウハウが漠然とした状態では扱いようがないので、ノウハウが形式知として「見える化」されている必要があるということです。「見える化」を第一歩として、模倣リスクと活用ニーズの両面から取り組むべき課題を認識し、管理方法の基本方針を確認する、といったプロセスが、「ノウハウ」管理の前さばきとして必要になるのではないでしょうか。

中小企業に関わりのある方はぜひご一読を。

2015-09-30 | 書籍を読む
 拙著・元気な中小企業はここが違う! でもご紹介させていただいた株式会社エンジニアの高崎社長が、「『ネジザウルス』の逆襲 累計250万丁の大ヒット工具は、なぜ売れ続けるのか」を上梓されました。出張時の移動中に読み始めたところ、そこに高崎社長とエンジニアの社員の皆さんがおられるかのような気分になってきて、すっかり本の世界に入り込んでしまっているうちに、あっという間に読み終えていました。
 中小企業にとって大切なことは何か、それがすごくリアルに伝わってきます。社長のお人柄(僭越ながら「人柄」というよりもっと総合的な「人間性」と言ったほうがいいかと感じます)と思い、そして社長と社員の方々との関係性、それが新商品という形で実を結び、社会に広がっていく喜び。知財戦略についても具体例を含め大変示唆に富む理論が展開されていますが、中小企業の知財に関わられる方には、テクニカルな講釈を垂れる前に、ぜひこのリアルな人と人との関係性の部分をしっかりと感じとってもらうことが必要ではないかと思います。
 ベンチャーファイナンスに携わっていた頃も、よく同業者と「結局は人(=経営者)だよね」と言い合っていましたが、改めてそのことを思い起こすことになる一冊でした。

「ネジザウルス」の逆襲 累計250万丁の大ヒット工具は、なぜ売れ続けるのか
クリエーター情報なし
日本実業出版社