ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

「指輪物語」の「友情と信頼」

2004年10月06日 | 指輪物語&トールキン


今日の写真から昨年8月のイギリス旅行のものになります。これはThe Eagle and Childのインクリングスの溜まり場だったRabbit Roomの中の装飾です。トールキンやC.S.ルイスの写真、インクリングスのメンバーの直筆サインなども。写真が小さくてごめんなさいですが・・・(goo blogでアップロードできるのはこの程度の大きさが限度なのです・・・)
左上のサインではトールキンのサインは一番下のものてす。(下から三番目にはクリストファー氏の名前も)右下のランプの下は若い頃のトールキンの写真、左下の右下の写真の左側は大学のロープを着たトールキンです。

さて、話がどうも一日おきになってるような感がありますが(汗)再びPJ映画と原作の違いの話です。
私がRotKを初めて見た時に感じた微妙な違和感の大もとは、何度か書いてもいるのですが、「なんだか安っぽくなった」というものでした。
どうしてそうなのか・・・色々理由はあると思います。ペレンノール野の戦いがなんだか冗談のようなものになってしまったこと、サウロンの目があまりにもわかりやすい形になっていたこと(汗)そんなことも原因にあったと思います。
でも、一番の理由は(私にとって、ですが・・・)RotKに至って、この物語の最も大きい主題が「友情と信頼」であるかのような結論に収束してしまったから、だったのではないかと思います。
原作を読んでいない人たちのRotKを見終わっての感想をあちこちでみかけましたが、どうも「友情と信頼の物語だと思った」という人が多かったように思えて、違和感を感じていました。知り合いの人にも一言感想を求めたら「友情っていいね、と思わされた」と言っていました。
これは、一昨日の日記に書いた、「皆が主人公」という考え方と通じるものがあると思うのですが・・・
「友情と信頼」というのは、確かに原作の「指輪物語」の中でも大切な要素だと思います。実を言えば、私が「指輪物語」の中で一番好きな部分でもあります。
なのに、それが前面に押し出されている映画のどこがいけないのか・・・ということに、自分でもすぐには答えを出せないでいました。
でも、今はその答えを掴んだような気がしています。
私が原作を初めて読み終えて感じた感想は、少なくとも「友情っていいね」ではありませんでした。一番の衝撃は、やはり指輪の棄てられ方、そしてフロドが中つ国を去ってしまうという辛い事実でした。
それから、ガンダルフやエルフたちが去って行くという、物悲しさ。一回目ではまだよく理解できていない部分も多かったのですが、よくわからないながらも、物語全体に通奏低音のように流れる物悲しさ、というものに惹かれていました。そういう世界観の中で「友情と信頼」が描かれていたからこそ、心を動かされたのではないかと思うのです。
FotRにはそれが確かにあったし、TTT前半にもまだ残っていたように思います。それがTTT後半から「あれ?」という方向に転がってしまい、最終的にあのRotKになった、という印象があります。
映画でも「黒門開く」のあたりは、サントラが好きなのもあって(汗)よく泣かされたりして、好きな面もあります。
でも一方で、アラゴルンの檄とか、「For Frodo」とかはまだいいんですが(でもちょっとやり過ぎな気がするし、実はこのあたりには感動はしません(汗))、アラゴルンがトロルに踏み潰されそうになるあたりになるともう「・・・・・・」ですね(汗)
「指輪物語」の中で、「友情と信頼」は大切な要素だけれど、唯一の主題ではないし、最大の主題でもない。むしろ一番分かり易くて(だから最初に惹かれる部分でもあったのですが)、一番浅い主題なのではないかと思うのです。それを前面に押し出したことで、物語の核が違う方向に行ってしまった、そんな気がします。いや、そもそも違う方向に行っていたからこそそうなった、というべきなのでしょうか。
原作未読の人の中でも、(しかも特にファンでない人で)「3作目は子供っぽい感じになってがっかりした」という感想の人がいました。おそらく、私がなんとなく感じたことと同じことを感じていたのではないかな、なんて想像しました。そういう意味では、私も原作を読んでいなかったとしても同じように感じていたような気かします。
そして、私が一番衝撃を受けた、指輪の棄てられ方と、灰色港からの旅立ちについて、原作未読の人はどう思ったのかな、ととても興味があったのですが、驚くくらいそういう感想をみかけませんでした。
灰色港は、まあわかりづらいから仕方ないかな、と思うのですが、指輪がゴラムによって棄てられるという結果についての感想がとくにみあたらないという事実に、映画ではどうも指輪の棄却は「友情と信頼」ほどには印象に残らなかったのかな、と思ってしまいました。
レンバス事件などを作って、フロドとサムとゴラムの関係をあんなに分かり易く描いておいて、最終的な指輪の棄却というクライマックスにインパクトを与えられなかったのだとしたら、これは大失敗なんじゃあないでしょうか・・・(汗)
映画は原作と別物、というのはどうしても仕方ないことだと思います。でも、おそらく、映画しか見ていない人にとって、「指輪物語」は原作とはかなり違う印象になってしまっているでしょう。そして、映画だけ見た人の方が原作を読んだ人よりも圧倒的に多いという事実を考えると、やっぱり深刻な問題だよなあ、と思ってしまうのでした。
・・・とか言いながらも、DVD見れば泣くんですけどね(笑)自分が見る分には、脳内補完・脳内変換で好きなように解釈して見られてしまいますので・・・
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