ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

シアトルのファンタジー展でトールキンの生原稿を見たこと

2017年12月07日 | 指輪物語&トールキン
トールキンアドベントカレンダー7日目の記事です。

2013年夏にシカゴにTTTサントラ生演奏上映を観に行ったのですが、その時にシアトルのEMP博物館でファンタジー展というものをやっていて、そこでなんとトールキンの生原稿が展示されているという情報を得ました。TORnの記事はこちら
実は同時期に同じ西海岸のバークレーでサーイアン&サーバトリックのNoman's Landを上演していて、日程的にどちらかしか行けなかったので迷ったのですが、結局トールキンの原稿の方を選びました。生マッケラン様には会えなかったけど、Noman's Landはその後NT Live Theaterで映画館で観られたから、選択としては正解だったかもしれません。
この原稿というのは、ミルウォーキーのマーケット大学が所蔵しているもので、展示されていたのはごく一部でした。
マーケット大学のサイトはこちらです。(実は全然読んでいないのですが…)年に数回閲覧可能な日が決まっていて、2018年はこちらの日程で公開されるようです。ただ、来年はオックスフォードでトールキン展が開かれ、マーケット大学所蔵の原稿も展示されるようなので、時期が重なると展示内容が少なくなる可能性ありますね。どのくらいの原稿が展示されるのかわかりませんが。

EMP博物館というところは、ロックやSFの常設展(ジミ・ヘンドリクスの展示が有名みたいです)がいくつかあり、並行して特別展も行っているようです。ファンタジー展はその一つとして行われたもののようでした。
様々なファンタジー映画の衣装や小道具が展示されていました。古いものではプリンセスブライドストーリーとか(プリンセスブライドストーリー欧米でなんだか人気あるみたいですね。私も好きですけど)があり、よく保管されていたなあと。近いところではナルニアとかハリポタ、GoT(ゲームオブスローンズ)の展示もありました。ちょうど日本でハリポタ展をやっていた時期だったと思うのですが、シリウス・ブラックの衣装があって、これだけこっちに来てるんだな、思ったものです。

トールキンの原稿は、最初のコーナーを過ぎてメインの部屋に入ってすぐのところに、ガラスケースに入って展示されていました。
他の展示はフラッシュ焚かなければ撮影可能だったのですが、トールキンの原稿のところだけは撮影禁止でした…
展示されていたのはトールキンの原稿3枚-LotRから2枚、ホビットから1枚と、LotRの手書きの時系列表、そしてワシントン大学のバウアー教授という人にあてた手紙でした。最後の手紙はなんなんだろう…と思いましたが、おそらくシアトル地元のワシントン大学に保存されていたものなのかもしれません。

LotRからは、モリアの扉のイラストが描いてある完全手書きの原稿と、ガンダルフがモリアで墜落する場面あたりの、タイプ原稿に手書きで追記がある原稿、ホビットからは袋小路屋敷でドワーフたちが竜の話をしているあたり、でした。
手書き原稿を見て、トールキンは絵も字も上手いんだなあと思いましたが、手書き文字は達筆すぎて解読困難でした(^^;)

タイプ原稿の追記部分も、手書き文字はかなり読みづらく、頑張って読みましたが少ししか読めませんでした…。
解説プレートにはTrotter(Striderの前の名前)とelfstoneとなっていたところがアラゴルンに直されている、と書いてありましたが、他にも興味深いことがいろいろありました。
モリアでアラゴルンがガンダルフを助けようと橋に戻る場面で、ボロミアも一緒に行くように付け加えられていたり、橋を渡る時に、「アラゴルンが先頭、ボロミアがしんがり」という部分も付け加えられていました。ボロミアの出番が少ないと思ったのか、あるいは後でデネソールにピピンがボロミアのことを話す時の整合性のためでしょうか?

ホビットの原稿は、今日本で読める第二版の内容とはかなり違いました。改定前を知らないので、改定前のものなのか、それ以前の段階で出版されなかったものなのかわかりませんが…
解説では、竜の名前がpryftanからスマウグに訂正されているとあって、確かに訂正されてました。
しかしそのほかに、ビルボが自分から牛うなりの話をしていたり、それをグローインが「その話ならよく知ってます」と遮っていたり、地の文で「ゴルフが好きなグローインが-」となっていたりして、びっくりしました(^^;)
そして、Bladrthinという名前が出て来ていたのですが、グローインが「Bladrthinにいいバーグラーがいると聞いてここまできた」というようなことを言っているので、ガンダルフの前の名前?と思いました。が、ガンダルフという名前も出て来ていたんですよね。ちょっと謎でした。
中つ国wikiによると、やはりガンダルフの前の名前なんですね。名前が混在していたのはなぜでしょう。単に訂正漏れかもしれませんが。

LotRの時系列表は1949年から1950年ごろに書かれたもののようで、フロドとサム、ガンダルフと他の旅の仲間、人間と友たち(味方くらいの意味でしょうか?)、オークと敵たち、に分かれてしました。自分でも整理するために作ったのでしょうか。

読めたのはわずかな原稿でしたが、それでもとても興味深かったです。一人でガラスケースに貼り付いて読んでいて、係の人に怪しまれてました(^^;)マーケット大に行けばもっとたくさん見られるんでしょうね。来年のオックスフォードでのトールキン展ではどのくらい見られるのか楽しみです。

他の作家の原稿では、ル・グィンのゲド戦記のプロット?の手書きメモや、G.R.R.マーティンの「炎と氷の歌」の原稿などがありましたが、G.R.R.マーティンなどはもう完全にPCで書いたものを打ち出したものでした。もう今どき手書きで原稿を書く作家はいないでしょうね。
そう思うと、トールキンが手書き原稿を遺す時代の人だったことには感謝しないといけないかもしれませんね。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「農夫ジャイルズの冒険」に... | トップ | トールキン作品の女性たち »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

指輪物語&トールキン」カテゴリの最新記事