ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

ホビット再読

2009年07月03日 | 指輪物語&トールキン
ここしばらく「ホビット」を読んでたんですが、あっという間に読み終わりますねー(汗)
しかし読むたびに、よくできた話だなあと改めて思います。
最初の方のビルボとガンダルフの会話、ドワーフたちが押しかけるところのおかしさは素晴らしいですね~
その後のドワーフたちのわがままっぷり、ビルボとのちょっと腹黒な?やりとりも絶妙でたまりませんね。ガンダルフの大人げなさっぷりも(笑)
その前半のコミカルな展開から、後半の感動的な展開に向かうバランスがまた絶妙だなあと。
ドワーフたちの自分勝手だけど信義に篤く、勇気があるけれど金銀財宝への憧れが強いところなどのキャラクターも、個性的で、それでいてキャラクターがしっかりしていて見事な造形だなあと思います。
ビルボとのコミカルなやりとりの中でもそういうのは自然と感じられますし、逆にビルボのドワーフたちとは違う現実的なキャラクターも面白いですね。
そして、ベタな友情が描かれているわけではないけれど、そんなやりとりを通して、知らず知らずのうちにビルボとドワーフたちの絆が読み手にも感じられるようになっているのも上手いですねえ。
ビルボがアーケン石を使って交渉しようと決意するところや、エルフ軍のところに留まるように言われても「仲間のところに帰ります」というところ、そしてエルフ王やバルドの尊敬を勝ち得るところは「指輪」にも通じて感動するところですが、その後のガンダルフの登場がまたタイミングいいんですよね~。ビルボと一緒に読んでいる方までなんだか嬉しくなってしまうようで。
こういうところ、トールキンは物語の作り方をよく心得ているよなあと、ストーリーテラーとしてのトールキンの能力に感嘆しますね。
終盤の五軍の戦いのようすや、トーリンが飛び出すところの感動的な展開もカッコイイですねー。こういうの、英雄伝説が好きなトールキンらしいかなとも思います。
そして、トーリンとビルボの和解と別れは泣けてしまいます。トーリンの格調高い別れの言葉がまたカッコよくて。こういうのも英雄伝説好きな趣味が出ているなあと思いますが。
ガンダルフがテントに入っていく時の、「トーリン、いかがかな」という言葉が優しくてまたうるっと来てしまいます。ビルボに対しての「あんたは呼ばれているんじゃよ」という言葉も・・・
前半のコミカルさからはこんな感動的で悲しいシーンが出てくるなんて思いもよらないですが、あのコミカルなやりとりがあったからこそ、トーリンとの別れも悲しくなって、読者もビルボと一緒に悲しくなってしまうのですよね。
こういうバランス、よくよく考えて構成した・・・のではないのでしょうね。もともと試験の答案用紙の落書きから思いついたホビットの物語、子供たちに語りながら形づくられていったというのですから。
語っているうちに、それまでに考えていた中つ国の神話とリンクさせることを思いついて、それはスパイスのように物語にさりげなく深みを与えているとは思うのですが、やはりこの物語の面白さは、物語としての展開の上手さにあるよなあ、と思います。これは「指輪」もそうだと思うのですが。
言語を創造することから生まれたトールキンが創造した世界の緻密さもすごいことだと思いますが、それ以前にストーリーテラーとしての持って生まれた能力を持っていたことが、トールキンの描く物語が面白いものになった一番の要因なんだろうなあと思います。
ビルボが、蜘蛛相手には活躍しますが、五軍の戦いで勇敢に戦ってしまったりしないところも、主人公としては斬新ですし。こういうところは「指輪」につながっていますね。フロドやサムやメリーやピピンの活躍も、ビルボありきなんだなあと改めて思ったりしました。
そうそう、今回読んでいて、多分初めてバルドってカッコイイなあ・・・と思いました。いや、映画化したらどうなるかな、なんてちょっと思いながら読んでたから・・・
スマウグを、ビルボでもドワーフたちでもなく、突然出てきたバルドが倒してしまうあたりも斬新ですよね。バルドだけ突然英雄伝説から抜け出して来たような感じで。ちょっと馳夫さん初登場の頃を思い出しました。やっぱりバルドってちょっとアラゴルンを思わせますね。
そう言えば、以前TORnで「レゴラスにホビット映画に出てきてほしいか」というアンケートをやっていた時、カメオ程度にちょっと出るのがいい、という意見が確か一番多くて、皆結構まともな感覚だなーと思ったのを覚えてますが、今回読んでいて、ビルボを発見してトーリンのところまで運んでくれたエルフがレゴラスだった、というのもいいかなあなんて思いました。
そんなわけで、映画も気になりますねー。いい映画になると良いのですが。
LotR映画が公開されていた頃、「ホビットだったら話も単純なので映画にしやすいのでは」という声も聞かれましたが、私は「ホビット」にもこだわりがあるから、がっかりさせられるのはやだなあ。ビルボやドワーフやガンダルフのコミカルなところも、後半の感動的なところも、原作から大きく外れないことを祈ります・・・
それにしても映画のキャスト、そろそろ発表になるかも・・・という噂もありましたが、その後どうなったのかなあ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする