弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

証拠の一角 崩れたならば 全面開示を 命じては?

2024年06月14日 09時32分55秒 | 裁判

今日の中日社説から

https://www.chunichi.co.jp/article/912820

この問題に関連して、私が最近思いついた再審ルールの改正案を披露したい。

最高裁白鳥決定が樹立した判例では、新規性のある証拠が提出された場合、新旧両証拠を総合して、新証拠の明白性の有無により、再審開始の可否を判断することになっている。

しかし、その具体的な判断は区々に分かれており、基準としては極めて不安定である。

そこで私案だが、新証拠の新規性が認められる場合は、検察官に公判未提出証拠の全面開示を命じ、その検討を経た上で、再審開始の可否の判断をしてはどうだろうか。

新規性のみで再審開始をするには法改正が必要だが、全面的証拠開示命令をするだけならば、現行法の下でも運用ルールとして可能と思われる。

死刑判決の決め手であったはずの歯型鑑定を崩したのに再審開始にならない名張事件、DNA鑑定を崩したのに再審開始にならない飯塚事件などの事例に接するにつけ、事ここに及べば、もはや全ての証拠を開示して決着を図るべきではないかと痛感させられる。