2度、鈴木すず子に乾物の定番商品について説明したあと、3度目はハンディを手渡し、(発注を取る小型機械)すず子に実際に数値を入力させた。
俺がついて発注してもらおうか・・・と思ったものの、すず子はちらっと俺の顔をみては、これでいいの? どのくらい発注するかと問われても・・・と、いった様子なのだ。結局、殆ど俺が発注数を口頭で伝え、すず子は入力していた。
「お米のフックは、発注単位は①ですが、10ずつ発注を上げてください」
(昔は、そこそこ売れていたものの、値引きして売らなきゃいけない状況も生まれたため、途中で6ずつ発注にしましたが・・・
By すず)
「カットだしは48発注。いりこは20。片栗粉は1ケース40入りですから、一度に40発注をあげてください。かつおぶしは、10入りそうなとき、10発注」 →これに関しては、後日、「10!」「いいえ、12入りですが」「10!」というバトルを繰り広げるのであるが・・・・ここでは省略。
「寿司太郎は
調味(←担当者、矢木さん)なので、間違って発注を上げないように気を付けてください!」
「胡麻は一度に20発注が良いでしょう。サラスパは売れるので、30発注。そのほかのマカロニは入るだけ・・・まぁ、一度に10発注が基本ですね・・・」
「オーマイ薄力小麦粉は、一箱に15個入っているので、発注単位は1ですが、15発注を上げてください。常に二段にして下さい。
ふっくらパンは6発注。強力粉は発注単位①ですが、他の小麦粉と同じ理由で発注15」
・・・・とまぁ、のちの鈴木すず子の記録を見ると、
俺ってかなり詳しく説明
を加えていた事が分かる。
これをすず子が引き継ぐときは、どうなったかというと・・・
「パスタの内、スパゲティ一箱20入りなので、私は一度に20か、下段の売れ筋は40発注を上げています。ただ・・・ミツ豆食品のときは、必ず箱で入荷されましたが、
4月からバラで入荷されることが多いんですよね・・・。日清製粉の売れ筋の小麦粉、500グラムと1キロは、流石に箱で入荷されますが、(それぞれ30入りと15入り)それ以外は、箱で20欲しいと思って発注を上げてもバラで入荷なので、あまり意味ないかも。
かつお節も、同じです・・・。だいたい、昔はふりかけなど10つ入りの商品の発注単位は10だったのに、今は箱物の中にも、発注単位が3とか、あって、へんてこな数字でしょ~? 毎日発注ってことで、こういう数字にしてるのかもしれないけど、意味無いですよね。発注飛ばすし。私は箱で欲しいから、12個発注をあげることにしていますけど・・・。
」
(この場合、④と入力することになり、殆どすべてこんな調子だから、ややこしいったらありゃしない。昔のシステムの方が良かったよ・・・ポンポン発注を取れて♪ バラで入荷されると商品はポロっぽくなって届くしさぁ・・・・と思いつつ仕事をしていた とあるスーパー晩年のすず、であった・・・・
)
そして、翌週の発注日。
俺は休みになっていた。
すず子が一人で発注をすべきところだが、本人が不安がって居る様子が、ありありと・・・伺えたのである。
よって、俺が気を利かせて前倒し発注を上げておいた。
あとから西村に聞いた話によると、すず子は西村に聞いたらしい。
「副店長、発注を上げているのでしょうか・・・?」
「何も聞いていませんが、今、モニターリストで観てみましょうか。
はい 発注は上がっていますね」
「ぁ~良かった・・・」
そしてー。
遅番でやってきた鈴木すず子は、まだ残っていた定番商品の荷出しをしている。
俺は そんなすず子の元へ行き、言った。
「それを出し終えたら、一人で定番商品の発注をして下さい」
「・・・・はい」
すず子の様子は・・・というと。
プライスカードの発注単位を一つひとつ確認し、メモを時折広げては見て・・・・。
最初の発注は何と! 2時間近くも費やしたのであった・・・・!
これが2度目は一時間半になり・・・
商品の前だしをしながら一時間程度で発注をするようになり・・・
急ぐときは前出し無しで発注をするため、10分で発注を取れるようになり。
俺のように 10分っ!
2時間近くかけて、最初の発注を終えたすず子に俺は言った。
「俺は、10分で発注を取ります。まぁ・・・早いのがいいって訳じゃないけどね~」
「え~ たったの・・・10分ですか・・・
」
発注を取り終えたすず子と共にパソコンの前へ来た。
モニターリストをざっと見る。発注を上げた商品数は全部で155。ちょっと、多目である。
「155か・・・・。後優先だから、発注中に接客しなきゃいけなくなって、再び売場へ戻ったときなど、何処まで取ったか分からなくなるときがあるから、そういうときは、念のためにもう一度、とって置いてください、と言いましたが、2度発注を上げた商品もある? 普段は120程度なんですよ ちょっと多目ですが、発注漏れはないでしょう」
俺は、モニターリストをプリントアウトし、すず子と一緒に確認のため、売場を回ったのである。
その結果は・・・。
バックへ下がりながら、ゴミ台車の前にさしかかったとき、俺は笑顔で言った。
「しっかりと取れていますね」
俺のこの台詞で、ようやく不安げな表情が消え、にこやかになった鈴木すず子であった・・・・!
ひとまず、やれやれ・・・。
ミナミ
あの頃は・・・特にお世話になりました、副店長!!
いっ・・・いやあ。どういたしまして。 それでは今日も良い一日をお過ごし下さいね!
商品によって個数が違うのがまた困りもの。
忙しくて他の仕事と平行して発注しなければ
ならなくなった時ほど、ミスが出そうで、出そうで・・・
お気持ちお察しします。
仕事を終えて帰宅して、まだ5分です。(苦笑)
仰るとおりです。
一番気を遣うのが発注かもしれません。
特に接客しながら発注は・・・。
でも。
一番やりがいがあるのも又、発注です。
これがないと、仕事をしている~という気になれないものです。
担当を持って初めて仕事が面白くなりますから。
私は特に誰よりも仕事に詳しい南副店長から
乾物を引き継ぐ事ができて、
幸せ者でした!!!