お菓子の入荷日。担当者が休みの為、私が補充をしていた。
「鈴木さん、その台車、小物(ガム、キャラメルなど)やろ?」
まず、矢木さんが手伝いに来てくれた。(感謝) わずか、2分後、今度は高田さんがやってきた。
「俺も出すよ。」
菓子売り場に三人寄れば、どうなるか、誰でも容易に想像できるだろう。昔から、お茶には菓子、菓子には、おしゃべり、井戸端会議、と決まっている。
「あ~この菓子、昔からありますよね。ブルボンシリーズ。私が物心付いたころから ありますよ。」
と、私。
「源氏パイって、知ってる?これも昔からあるよ。」
と、矢木さん。
「源氏パイって、昔は もっと大きかったでしょ?」
と、再び私。
「そう、前は、このくらいで・・・。」
と、同意する矢木さん。
「そう、そう!そういうのが、あった!!!」
思わず叫ぶ私。
「私と話が合う鈴木さんって・・・」
と、定年間近??の矢木さん。
ここで同時代を生きてきた事を意識した30代と50代の乙女達の お喋りは、一気に盛り上がったのである。
話は、芸能界にとんだ。
「青春時代、どんなテレビ番組、観てましたか?」
「 ・・・とか、観てた」
と高田さん。
(昔のドラマのタイトル・・・覚えられない。)
「えーっ!水戸黄門じゃないんですか?」
と、私。続けて私は言った。
「再放送で中学生の時、観たんですけど、森田健作の「俺は男だ!」が好きでしたよ。純で、まっすぐで、素直で。私も、あと、10年早く生まれて、この時代に青春時代を送りたかったなあって。私の時代は校内暴力の全盛期ですからね。」
「ほーっ。俺も、観てたよ。」
「私も。森田健作、いいよねえ。今も、若いし。」
三人の意見が一致した。
「特に、夕日に向かって教師の後に続いて全員で走るシーンとか。皆、素直で感動ものですよね。今の子達だったら、一人も走らないでじょ。」
と、私。
「うん、うん、逆に、走ったら、頭おかしい人って思われるかもね。」
と、矢木さん。 全員、爆笑 この おしゃべりは、明日へ続く・・・。
藤原達也はシブい!?
昨日の話の続き・・・。 話題は好きな俳優へ移っていった。
「藤原達也が いいですね~。」
すると、矢木さんは、まじまじと私の顔を見つめていった。
「へえ~。鈴木さん、シブい人が好きなんやね。」
「えっ 渋い・・・ですかね? 藤原達也って・・・。」
「うん、だって、おじさんやろ?」
「えっつおっ・・・おじさん???彼って、確か、まだ20代前半じゃ・・・ないですか。」
すると、今度は、高田さんが、横から口を挟んだ。
「ちょっと、あんた、もしかして、藤 たつや と勘違いしてない? すぐ、自分と合わせるんやからね~。」
「・・・」(矢木さん、沈黙 )
「ほら、大河ドラマ 新撰組で、沖田総司の役をした子ですよ。」
「ああ、分かった。知的で、無駄口たたかん人が、好きなんだ、鈴木さんは。」
と、言いながら、高田さんを意味ありげに見る矢木さんであった。