つれづれの記

日々の生活での印象

生き延びたクニマス

2010年12月22日 22時10分43秒 | 日記
2010年12月22日(水) 生き延びたクニマス



 病院に入院中の先週の14日、富士五湖の一つ西湖で、絶滅したとして、環境省のレッドリストに登録されていた、「クニマス」が確認された、との、嬉しいニュースが流れた。
 退院後、ネットが使えるようになったので、少し、調べてみた。このクニマス、終戦前の、1940年ごろに、絶滅したとされただけに、70年振りの、生存確認である。京都大学の中坊教授のグループが、科学的に確認したようだが、その裏には、東京海洋大の、魚の絵の得意な先生、「さかなクン」のお手柄もあったようだ。 
 レッドリストに登録されている、国内の絶滅種には、何種かあるが、その中には、中国からの移入で、復活が試みられている、周知の「トキ」なども含まれている。
西湖のクニマス(asahi.comより)

 この魚、秋田県の田沢湖のみに生息していた、固有種である。 以前は、食用とされ、漁業の対象にもなっていた、高級魚だったという。田沢湖から水を放流し発電するため、それを補うため、玉川の水を田沢湖に入れる導水工事を行った結果、この川の水が、強酸性だった(玉川毒水)ため、クニマスが死滅してしまったようだ。 軍国主義の盛んな時代、環境問題など、全く顧みられなかった、時代背景であった、といえよう。
 絶滅する5年ほど前、人口孵化調査のために、クニマスの受精卵を、全国、数か所の湖などに放流したようで、其の中の一つ、西湖に放たれたクニマスが、親から子へと、延々と命を繋ぎ、現在まで生き延びてきた、ということだ。これまで、アルコール標本しかなかったクニマス、どっこい、生きていたとは、なんとも、感動的である。

 これまで、西湖では、それらしき魚は、時折、釣れることがあり、クロマスなどとよばれ、ヒメマスの変種くらいに思われていたようだ。 西湖の漁協では、早速、禁漁区を設定する等、クニマス保護の対応策を決めたようだ。 現在の釣りビジネスの邪魔になりかねない、ニュースでもあるのだが、ここは、関係者が知恵を絞り、環境保護と、漁業や観光資源との両立を、実現して欲しいところだ。
 西湖の環境が、如何に素晴らしいか、クニマスが、最高の生き証人なのである。

 一方の田沢湖側はと言うと、これまで、懸賞金付きで、クニマスを探したこともあっただけに、大変な喜びようだが、湖水の酸性度は高く、早期の里帰りは、困難なようだ。
 田沢湖に纏わる伝説も伝えられている固有種の、恒久的な復活に向けて、西湖と連携した、着実な取り組みを期待しよう。

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