2023年7月31日(月) 大相撲の新たな世代
大相撲名古屋場所が、先だっての、7月23日に千秋楽を迎え、終了した。話題の多い場所だったが、そのいくつかについて取り上げてみたい。
当ブログで、大相撲関連の記事が登場するのは、久しぶりである。
○大関豊昇龍の誕生
3人いる関脇陣で、誰が大関になるかが、今場所の大きな話題となった。
関脇から大関に推挙する目安は、慣例的に、3場所通算33勝といわれる。
(参照:関脇から大関に昇進するには三場所で30勝以上が必要ですが―――)
名古屋場所直前での通算勝ち数から、目安までの所要勝ち数は、以下のようで、大栄翔が、最短距離にいた。
場所直前まで 目安までの勝数
大栄翔 23勝 10
豊昇龍 22勝 11
若元春 20勝 13
関脇陣の今場所の成績は下記である
豊昇龍 成績12勝3敗 33勝で目安もクリア
大栄翔 成績 9勝6敗 32勝で目安に届かず
若元春 成績 9勝6敗 29勝で目安に届かず
結果、場所優勝を果たした豊昇龍は、12-3で、目安もクリアし、先頭を切って大関に推挙された。一方、今回、目安には達せず昇進できなかった、2人の関脇だが、上記のように、大栄翔、若元春とも、勝ち越して関脇の地位を維持しており、次場所以降の、活躍が期待される。
場所後の臨時理事会で、豊昇龍の大関昇進が決定され、7月26日、立浪部屋は、協会の使者を迎え、伝達式が行われた。下図は、その時の様子。(参照:大相撲 豊昇龍 大関に昇進 “気魄一閃の精神で努力” _ NHK _ 大相撲.html)
新大関豊昇龍 立浪師匠
注目された、新大関の口上は、
“気魄一閃の精神で、努力いたします”
で、聞き慣れない四字熟語だが、叔父で、先に横綱を張った、朝青龍の地位を超えたいという、新大関の気概が窺えたことだ。
○大関霧島の誕生
この3月の大阪場所の成績は、
関脇 霧馬山 12勝3敗で、決定戦を制し優勝
小結 大栄翔 12勝3敗で、決定戦で敗れ、準優勝
となった。
霧馬山を含めた、4関脇の成績は、
霧馬山 12-3
大栄翔 12-3
若元春 11-4
豊昇龍 10-5
で、豊昇龍が最も後ろにいたのである。
このように、霧馬山が優勝し、場所後の臨時理事会で、大関に推挙されている。
霧馬山は、大関に就任するに当たり、部屋の師匠である、陸奥親方の四股名を継承し「霧島」と変えている。
伝達式での大関霧島の口上は、
“つつしんでお受けいたします。大関の名を汚さぬよう、今まで以上に稽古して頑張ります。”
と、四字熟語のない、わかりやすいものだったようだ。
3月場所、7月場所とも、モンゴル出身者が大関に推挙されたことには、不満もあるのだが、モンゴル以外の若手の、今後の活躍に、期待したい。
千秋楽当日、NHKTVの大相撲放送の解説役だった、玉の井親方(大関栃東)は、大関以上の優勝者であり、親方は、住まいの近くの足立区に部屋を持っていて、親近感があることだ。
○途中出場
場所の途中で、一端、休場し、再登場するケースがある。
大関霧島は、新大関になって初めての今場所だが、初日から2日休んで、3日目から登場した。結果は、6勝7敗2休となり、負け越したため、来場所は、角番となる。
なぜ、体を整えてから出場しなかったのかとの疑問は残るのだが、現役力士としては、場所を離れることへの、不安もあるだろうか。
今後が期待される朝の山は、勝ち越しを決めて後、休場していて、8勝4敗3休の成績である。
横綱照の富士は、全休の次の場所で、優勝したこともある。
大関になったのに、優勝したことがない高安だが、途中で休場し、再登場したことがある。
○場所名のこと
大相撲の場所制については、江戸時代以降、色んな歴史があるようで、現在のような、6場所制になったのは、1963年(昭和38年)からのようだ。
東京場所と地方場所を交互に繰り返すパターンになっていて、場所名は、正式には、開催される月から、
1月場所 初場所
3月場所 大阪場所
5月場所 夏場所
7月場所 名古屋場所
9月場所 秋場所
11月場所 九州場所
と呼ばれるが、右欄に記したように、地方名を冠した愛称が使われることも多い。
季節感からすると。5月場所を夏場所と呼ぶのには、いささか、違和感があるが、旧暦に基づいているからかも知れない。(旧暦の5月は初夏である)
○今場所は、若手の台頭が注目された。
・その、最たる力士が、伯桜鵬(宮城野部屋)である。
今場所で初入幕し、幕尻の前頭17枚目で、まだ髪が短く、髷が結えない頭である。
それなのに、令和の怪物と言われ、優勝争いに絡んできて、105年振りの優勝かと騒がれたことだ。
残念ながら、上位の壁は厚く、本割で朝昇龍に破れて、三賞のダブル受賞に終わったが、元横綱白鵬の宮城野親方の指導の下、今後の活躍が大いに期待される。
・今場所では、あまり知られていなかった力士や、若手の活躍が目立ったといえる。
三賞受賞者は、以下である。
・殊勲賞 錦木 (前頭 照ノ富士を倒す。3関脇に勝利)
・敢闘賞 朝昇龍 (関脇12-3)
琴乃若 (小結11-4)
北勝富士 (前頭12-3 優勝決定戦)
毫の山 (前頭 10-5)
湘南の海 (前頭10-5)
伯桜鵬 (前頭11-4)
・技能賞 伯桜鵬 (前頭11-4)
余談になるが、筆者の好きな力士の一人が、今回、大いに沸かせて、準優勝し、三賞を受賞した、北勝富士である。
時間がきて立ち会う直前、左右の足で土俵を、トントンと踏みならす癖があり、筆者は、この力士に「とんとん」ちゃんと愛称をつけている。猪突猛進型の取り組みに好感が持てることだ。