つれづれの記

日々の生活での印象

消費者金融 その3

2010年12月05日 23時53分27秒 | 日記
2010年12月5日(日) 消費者金融 その3 



 少し前になるが、11月20日のNHK番組、追跡!AtoZで、「漂流する主婦~“借金難民”500万人の衝撃~」という、派手なタイトルで、改正貸金業法の施行後の、波紋について放映された。この6月18日から、改正貸金業法が、完全施行となった訳だが、その際に、当ブログでも、
  消費者金融 その1(2010/6/3)
  消費者金融 その2(2010/6/17)
として、身近な立場から、私見を述べてきたところである。

 今回の放送は、完全施行から、約5カ月経過した時点での、まさに、追跡番組である。多重債務問題の解決、という当初の狙いから見れば、大きな効果があったようである。上限金利を20%と低くしたことで、少し借りやすくはなるが、反面、総量規制枠として、融資額を収入の1/3以下に抑えることで、大幅に借りずらくなってしまうことから、表向きの正規の借り手は、かなり減ったと思われる。このことは、当然ながら、多重債務者が減ることにもなるのだ。

 先のブログ、消費者金融 その2 でも述べたが、結果的に、不法な裏金融(ヤミ金)に頼る人たちが、増えることとなったようだ。 特に、収入の無い専業主婦には、大きな問題になっているという。専業主婦にとっては、施行前には、大手の貸金業者は、一時的な生活資金などを、比較的自由に融資してくれたのが、施行後は、融資を行わなくなった、という。理由は、業者側としては、総量規制枠をクリアするためには、家族の同意書が必要で、貸付けの事務手続きが、面倒で、複雑になるため、と言う。それよりも、借り手側として、家族にオープンになることを、躊躇うことが、大きな理由でもあるようだ。
クレジット枠の現金化、等の、資金調達の新たな手法も、使い尽くしてしまった上では、主婦としては、ヤミ金融に頼ることとなる。

 番組では、数万円の借り入れをしたのが、金利を返すために、別のヤミ金から借り入れるなどしたため、短期間に、借金が数十万円に膨らんでしまった、主婦の話などが紹介された。
大半の主婦達は、特に贅沢をしている訳ではなく、親元の面倒をみる費用や、子供の教育費、家族の病気の費用など、やむを得ない費用という。夫の収入が減っているご時世だけに、夫には相談しにくいようだ。

 ヤミ金業者を弁護する積りはないが、或る意味、人助けである。悪質なケースもあるようだが、誰にも知られずに、簡単に金が借りられる、というのが何と言っても魅力なのである。 借金するとなると、親しい友人や知人程、なかなか相談はしにくいものだ。プライドもあるし、友人関係が壊れてしまうのでは、と言う不安もある。世上、真逆の友が真の友、などとは言うが、これはある意味、真実ではなく、お互いに好調な時だけ、交友関係は維持できる、と言うのが、人生の真実のように思える。でも、パートナーである、最も身近な夫にも相談せずに(できずに)、深みに嵌っていく、と言うのは、どうであろうか。

 ルールを変えると、いい面だけでなく、反作用的な側面は、必ず出るものだが、今回の改正でも、このような事態は、十分に予想できたことであろう。
 今回の報道を見て、連想されるのは、待機児童のニュースである。 託児所や幼稚園の、開設条件や、受け入れ条件を厳しくすることで、受け入れて貰った児童にとっては、事業のサービスレベルや安全性は保障される。だが、反面、サービスを受けられない、待機児童が増える事態になってしまう、こととなる。 待機児童が増える理由は、働きたい女性が増えたため、希望する児童が増えた、など、他の要因も、勿論、ある。
 多少、サービスのレベルは下がっても、安全性に、多少の不安はあっても、待機児童を減らす、出来ればゼロにすることが、社会や行政上の、本来の目標であるべきなのだ。
 云ってみれば、消費者金融での専業主婦は、この待機児童に似ているかもしれない。

 報道によれば、現在でも、社会福祉協議会や、自治体の窓口などに相談すれば、専業主婦でも、融資を受けられる道は、あるようだが、余り知られていないし、審査や手続きが、どのようになるかも、良く見えていない。
 多面的で、きめ細かで、血の通った、セーフティネットの整備の問題のように思われる。
コメント
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