ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

『目の前の風景』

2016-06-04 06:24:38 | 日記
ポリープ摘出のために入院していた連れ合いが、退院してきました。
10日間の留守。
友人や仲間と、旅行へでも出かけたのなら、私も、やりたい放題に羽を伸ばすところです。
でも、
『亭主達者で留守がいい』
という諺は、「亭主達者」があってこそのものです。
取り越し苦労をしてみたり、
医師の、ふとした言葉に不安を増幅させてしまったり。

病院へは、近所に住む娘のクルマで、短時間とはいえ毎日通いました。
脚の痛みもあって、少々きつく感じられる日もありましたが、無事退院。
ほっとしましたら、にわかに全身の疲れが押し寄せてきた模様です。

病院のナースステーション脇にある談話コーナーでは、連絡やら、世間話をしながらの 
おしゃべりでした。
暮らしの中では、よく年代で区切って、〈六十の坂・七十の坂〉などと言いますが、
頷けることも多々あるようです。
数え年(昔は、数え年でした)で言えば、私どもも、今年は八十の坂を登ったことになります。
ぼんやり風景を眺めていますと、来し方のあれこれがよみがえって参ります。
一つ一つの近景から遠景に至るまで。

高台にある病院の窓からは、安達太良山・磐梯山・那須連峰、そして東には阿武隈山地の山々が、
穏やかに広がっていました。
かつて、室町時代に関東公方の弟である足利満直が下向してきたと言われる「篠川御所跡」辺りには、
町並みが広がっています。

昨年5月に亡くなられた詩人の長田弘さんは、
  《目の前の風景を眺めていて、気がつくと、自分の人生の風景を眺めている。
   そうした「思い」を深くするのが「眺め」です》
と、著書「なつかしい時間」に書いています。
また、同著書で、作家・尾崎一雄の「美しい墓地からの眺め」からの一説も紹介しています。
  《「眺め」というのは、ありふれたものを、さりげなくそこにあるものを、
   「初めて見るもののように」眺め入るということなのだ》と。
                                       〈ゴマメのばーば〉

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする