ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

多分、認知症を……

2015-01-17 06:42:06 | 日記
NHK連続テレビ小説「マッサン」。
サントリー山崎蒸留所が映りますと、私の好きな磯田道史氏の著書『歴史の愉しみ方』(中公新書)
を思い出します。

同著『関ヶ原見物作法○2三成篇』から、
  ≪………関ヶ原見物にはちゃんとした作法がある。
  東京から乗るときは徳川家康になったつもり、新大阪から乗るときは石田三成に
  なったつもりで新幹線に乗り込む。
  武将の目線で車窓の風景を堪能するのだ。

  ………まず新大阪駅から新幹線に乗り込むとき、進行方向左側の窓際に座る。
  このとき注意しないといけないのは決して柿を食べないこと。
  石田三成は柿がお腹に悪いと信じていて大事の前には食べなかったからだ。
  ………新幹線が動き出すと、早速、山崎合戦の跡をみる心づもりをする。
  本能寺の変後、秀吉が明智光秀を破った古戦場。
  サントリーの山崎蒸留所がみえてきたらその裏山が天王山。
  三成の主君、秀吉公の宝寺城があったところだ。
  秀吉公に可愛がってもらった懐かしさを思い出す。
  「山崎は水がいい。秀吉様はここの茶室待(たい)庵(あん)で茶を楽しまれた。
  いまはウイスキーの工場」などと考える。

  新幹線が天王山に一番接近するところから先が激戦地。
  右の車窓に日立物流の建物がみえるあたりが光秀軍の布陣地だ。
  古来、合戦は交通の要衡で起きる。
  古戦場は物流センターになっていることが多い。
  そしてここで、すっくと立ち上がりデッキに移動。
  車掌に不審者と思われるのを恐れず、右側の車窓から淀川の支流桂川を眺める。
  三成は淀川の葦の刈り取りに課税するアイデアで秀吉に褒められたことがある。
  だから、いとおしそうにその河川敷を眺め、はるかかなたに伏見城をさがす。
  ………≫
以後、東寺の五重塔・京都駅・野洲川・安土山・佐和山城・米原と続き、

  ≪………トンネルを抜けると伊吹山がみえ、またトンネルを抜けると、そこが関ヶ原。
  とにかく一瞬みえる白い関ヶ原病院の建物をさがす。
  そのかなたにみえる丘が三成の陣所。
  最後に、ここで
  「小早川はひきょう」
  と一声叫ぶ。≫

と、引用させていただきました。
実は、磯田道史氏の、こうした見物の仕方は私と似ているのです。
もちろん、知識の量・質、蘊蓄の深さにおいては、足もとにも及ぶものではありません。

私が、一両編成のローカル電車に乗り、運転士のすぐ後ろに 突っ立ったまま、
1時間を越えて前方を眺めている時などは、
「お客さん、どちらから?」
と、運転士さんから、やや不審の眼差しで声をかけられたりもします。

大阪へ主人が単身赴任を長くしていたということもあって、山崎工場あたりの映像は、
私も懐かしさが蘇るのです。
また訪れる機会があって、関ヶ原付近を通過したなら、
≪小早川はひきょう≫
と、声を出してしまいそうです。

多分、認知症を疑われることでしょう。
                                    〈ゴマメのばーば〉
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする