golf130のクラシックお笑い原理主義

オッサンのしがない日常や妄想話とその日聴いた音楽。

武満徹「ギターのための12 の歌」

2008-03-07 08:26:59 | Weblog
「悪い人、ダメな人ってことは、あたし良く分かってるの。でも、あたし離れられないの。あの人」

「クラ原主義者としては、許しがたい曲だっていうことは、十分自覚しております。でも、ついつい楽しく聴いてしまいます。この曲」

鈴木大介(ギター)(フォンテック盤)

武満徹、近年惜しくも亡くなられた世界に誇る、歴史に残るであろう現代作曲家。
ゲンダイオンガクということで敬遠されている方も多いかもしれない。でもその響きは優しく繊細で美しい。調性無くてもどこかメロディアスだったりもする。

今日の曲は露骨なメロディ、しかも原曲はいずれもクラシックではない。

彼はギターを愛し、素晴らしい作品を残してくれた稀有な大作曲家。クラシックギターのレパートリーが少ないのを危惧し、現代音楽の語法による曲は勿論のこと、こんな作品も遺してくれた。

1.ロンドンデリーの歌
2.オーバー・ザ・レインボー
3.サマータイム
4.早春賦
5.失われた恋
6.星の世界
7.シークレット・ラヴ
8.ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア
9.ミッシェル
10.ヘイ・ジュード
11.イエスタディ
12.インターナショナル

12の良く知られた世界の民謡、ヒット曲をギター用に編んだもの。そう、編曲ではない「編み物」である。(また出た!クラ原主義者の風上にも置けない勝手な解釈)。優しく愛情のこもった手編みの風合いなのである。

余計な加工などせず、ほとんど素のメロディを生かしている。知らずに聴いたら、あの武満とは誰も思わないだろう曲。

演奏の鈴木大介さん。この人が凄いと思うのは、まず音楽ありきで、変な言い方だがギターを感じさせないこと。ギタリストである前にまず音楽家であること。

高名なギタリストでも、ギターやラテン臭ギラギラで、音楽は後から着いて来ている感じの演奏家もいる。クラシックギターの狭い世界に留まっている感じの人も多い。

しかし彼の演奏にはその感が全く無い。ギタードメスティックではなく、ミュージックインターナショナルだぜベイビ~(なんじゃそれ?!)

そこに素晴らしい音楽があった、それがたまたまギターで演奏されていたという感覚。高度なテクニックを持っていながら、決してそれをひけらかそうとしない。素晴らしい音楽を紡ぎ出すことにのみ注力している。

優れた演奏家をどんどん輩出している日本のギター界であるが、その中でも特筆すべき一人であることは間違いない。

ああ、もう時間無い。会社最寄駅到着です。鈴木大介さんの続きはまた今晩。

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