日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 いやもちろん速報ってのは中国の話です。これから色々な記事が出てくるのでしょうが、とりあえず第3次小泉改造内閣についての第一報をまとめておきます。

 19時前に新華社のウェブサイト「新華網」をのぞいてみたら、トップページに早くも速報されていました。「小泉内閣改造」のニュースと並んで「外相に麻生太郎」となっていました。気になっていたんでしょうねえ外相人事。新華社電で文字通り速報したのはこの麻生氏外相就任だけでした。

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 ●速報:小泉首相、麻生総務相を日本の新外相に任命(新華網 2005/10/31/15:30)
 http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/31/content_3707809.htm

 新華網速報:日本の小泉純一郎首相は31日に内閣改造及び自民党役員人事を行った。麻生太郎現総務相が新外相に任命された。

 ……これが記事の全てですから。こういう論評抜きで事実だけ短く書いた簡潔な速報は、閣僚数あれど「麻生外相」だけにのみ行われました。まあ隣国として外相人事が気になるのは当然なことですが、町村氏に続く麻生氏の起用ですからねえ(笑)。東京特派員なら一応の知識があるでしょうから、嵐の予感が記者を震わせたのかも知れません(笑)。

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 それから香港紙『明報』の「明報即時新聞」も「麻生外相」だけ速報しています。

 ●保守派の麻生太郎氏が日本の新外相に(明報即時新聞 2005/10/31/15:30)
 http://hk.news.yahoo.com/051031/12/1i80q.html

 NHKによれば、日本の小泉純一郎首相は保守派に属する麻生太郎氏を新外相に任命した。麻生氏の主な仕事は小泉首相の靖国神社参拝で損なわれた日中・日韓関係を修復することにある。

 ……こちらは論評が入りましたね。こういうのを大きなお世話というのでしょう。「靖国神社参拝で損なわれた」云々が中共史観丸出し。まあ中共の植民地ですからこんなもんでしょう。あと香港マスコミは左派右派を問わず対日問題に関しては中共史観に忠実ですから。

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 ついでに親中紙もみておきますか。『大公報』もこれまた「麻生外相」だけが速報扱い。

 ●小泉首相、麻生太郎氏を新外相に任命(大公報即時新聞 2005/10/31/17:44)
 http://www.takungpao.com/news/05/10/31/YM-477977.htm

 内容は上の「明報即時新聞」と同じようなものです。別の記事で閣僚紹介があるのですが、麻生外相については、

「自民党における保守派のメンバの一人。大胆な発言をしばしば行う」
(後略)

 とのこと。

 http://www.takungpao.com/news/05/10/31/YM-477981.htm

 『香港文匯報』は共同電による論評抜きの簡潔な速報でした。

 ●小泉首相、前総務相の麻生太郎氏を新外相に任命(文匯即時新聞 2005/10/31/16:07)
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=IN0510310055&cat=000IN

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 どうも麻生外相がどこでも大人気です(笑)。速報されたのはこの人だけ、というところから中共政権の驚きと戦慄を読み取っていいかと思います。まあ次期首相候補の一人と目されているので入閣は確実視していたと思いますが、

「……って外相かよ!」

 といったところでしょうか(笑)。この人事は小泉首相から中国に向けた強烈なメッセージだと私は思うのですが、中国側はとりあえず動揺……というよりビックリしてしまったようですね。町村前外相よりやりにくそうな相手、という認識があるのかも知れません。とりあえずルックス対決なら紅衛兵より黒×会ということで李肇星外相を完全に圧倒(笑)。是非とも大車輪の活躍を期待したいところです。

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 じゃあ安倍氏は?というところですが、こちらは大本命扱いで、速報されることなく、普通の記事として「次期首相レース」と絡めてバンバン出ています。記事本数からいえば安倍氏の官房長官就任の方が多いです。いま「新華網」のトップニュース一覧にも出ています(2005/10/31/09:04)。

 ●安倍晋三氏が内閣官房長官に任命される見込み――日本メディア(新華網 2005/10/31/14:32)
 http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/31/content_3707495.htm

 ●小泉首相が自民党三役を発表、安倍氏は官房長官に(新華網 2005/10/31/14:34)
 http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/31/content_3707507.htm

 ●日本の小泉首相が内閣改造、安倍晋三氏は官房長官に就任(新華網 2005/10/31/17:14)
 http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/31/content_3708474.htm

 ●小泉首相再度の内閣改造、新閣僚の顔ぶれ(新華網 2005/10/31/18:48)
 http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/31/content_3708845.htm

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 このうち最後の1本、「小泉首相再度の内閣改造、新閣僚の顔ぶれ」は速報的な論評というところでしょう。まず、

「安倍氏が初入閣にも関わらず重要性では首相に次ぐ官房長官に任命された」

 として次期首相の最有力候補であることを示唆しています。あとはタイトル通り新閣僚の名前が連なっているのですが、この記事は論評的速報ですから最後の段落でその仕事をしています。

 これまで日本の世論は穏健派で元内閣官房長官の福田康夫氏が再入閣するものとみてきたが、常に対外的には強硬姿勢を崩さず、また首相の靖国神社参拝を支持してきた若手株の安倍晋三氏が初入閣し官房長官に任命された。さらに同じように首相の靖国神社参拝を支持している麻生太郎氏が外務大臣に就任しており、小泉新内閣の主なメンバーは靖国神社参拝を支持するああした人物たちによって固められていることが注目される。

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 早くも飛び出しました「ああした人物」(笑)。「小泉首相の靖国参拝を支持する右翼勢力」とはっきり書けばいいのですが、このあたりは明日以降の論評記事に期待できそうですね。特に『環球時報』とか『国際先駆導報』あたりですか(笑)。

 でも胡錦涛としては目下のところ「靖国ネタはとりあえず避けて」といったところでしょうから、「新華時評」や『人民日報』の「評論員文章」、あるいは署名論評には期待できないかも知れません。

 逆にそこが動くようだと政争含みの展開、でしょうか。先日の靖国参拝についても「敵」を「小泉&右翼勢力」に局限して他方面(特に経済)への影響を避けようとしているので、胡錦涛は日本の新内閣を丸ごと敵に回したくはない筈です。

 それとやっぱり軍主流派の意見を反映する『解放軍報』でも動きがあれば面白いところですね。

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 とりあえず現時点での印象として、今回の内閣改造は中共にとってある種の「燃料」投下となるかも知れません。町村氏の後釜が麻生氏ですから、関係修復には絶好だと思うのです。ええ、もちろん「10年、20年、30年」という長期的な話において、です(笑)。そんな余裕などない中共政権にあっては、下手をすると現執行部が揺さぶられることになるでしょう。

 ところで福田氏について私は反省することしきりです。前々回の「業務連絡。」(2005/10/29)において、

「今回も中国肺炎(SARS)のとき同様、WHOにタイミングよく渡航自粛勧告のようなものを出してもらいたいところです。靖国パンチでよろめいたところにbird-fluキック。さらに渡航自粛勧告の踵落とし。」

 と書いたのですが、実は途中に
「福田のフックだ」を入れようとしたものの、唐突すぎるのでやめてしまったのです。まあ「国立追悼施設建設」なんて言ってましたから、因果応報というやつでしょうか。

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 ちなみに台湾ですが、ヤフー台湾をみた限りにおいては「麻生外相」が驚きを以て報じられてはいません。安倍氏の官房長官就任=ポスト小泉の最有力候補」という手堅い記事が並んでいます。安倍氏がタカ派だというのはありましたが麻生外相については……あ、1本ありました。

 ●小泉新内閣は右派で固める、麻生太郎外相は対中強硬派(東森新聞網 2005/10/31/18:30)
 http://tw.news.yahoo.com/051031/195/2h69x.html

 安倍氏のポスト小泉シフトが敷かれた内閣という位置付けで、一方でタカ派的傾向が強いとこの記事は指摘しています。安倍官房長官は安全保障問題においてタカ派色が濃く、麻生外相はこれまで何度も靖国神社を参拝しており、対中政策でもタカ派とのことです。

 ……以上、あとは明日以降のお楽しみということで。



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 チナヲチ(中国観察)をやる上での必須条件のひとつは継続することだと思います。要するに情報収集を毎日欠かさずやらなければなりません。いまはネットで古い記事をある程度掘り起こすこともできますが、それ以前の紙媒体に頼っていた時代は新聞を買い損ねたらもうそこまでです。

 何が言いたいかといえば、東京を留守にしていたので私はここ数日、マトモな形で中国情報に接していません。一種の時差ボケです。いまその穴埋めをしようとしているのですが、仕事もあってなかなか思うようにはいきません。

 で、とりあえずニュースを扱うのは明日(10月31日)以降ということにして、前々回のコメント欄で「いとのこ」さんから頂いた御質問(下記)について馬鹿なりに考えてみました。回答になるかどうかは甚だ疑問なのですが。

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 この記事については?(いとのこ)2005-10-28 04:04:54

 よく行く「中国という隣人」の
 ttp://blog.goo.ne.jp/aquarellisute/e/89f23c11d144b16614857cb1b212ccc6
 で出てたのですが、
 ttp://gb.chinabroadcast.cn/2201/2005/10/21/145@748507.htm
 と、言う記事があるところで削除されてたという。
 ご家人さん的にはどんなところか拝聴してみたく投下。
 削除された割には結構あちこち残ってるみたいなんですが。

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 当ブログのコメント欄でお馴染みの「aquarellisute」さんのブログですね。削除云々については「aquarellisute」さんが再解釈をなさっているので、私は記事そのものについて考えてみることにします。

 まずは「aquarellisute」さんと「いとのこ」さんに感謝です。実は私、こんなサイトがあること自体知りませんでした。毎度のことながら素人の悲しさです。発信元は「世界新聞報」、いわゆる「北京放送」の電子版みたいなものなのでしょうか(エスペラント語のページもありますね)。

 http://gb.chinabroadcast.cn/2201/2005/10/21/145@748507.htm

 で、この記事から受けた印象ですが、一言でいえば「燃料志向の粗悪記事」ですね。

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 「燃料志向」とは言うまでもなく「反日」煽りを狙った可能性が高いということです(煽りでなければ記者が義憤?したもの)。いま中国マスコミの第一線で駆け回ったり記事を書いているのは悪名高き「江沢民チルドレン」です。たぶんデスクあたりまでは完全にその世代でしょう。

 みんながみんなそうだとは言いませんが、この業界は「問題意識」(笑)の強い連中が多いので、「糞青」(自称愛国者の反日教徒)の比率が高くなります。まあ反日記事を書いてそれで給料をもらっているのですから「珍獣」(プロ化した糞青)と言うべきですか。政府批判ができないから「反日」で憂さ晴らし、といった手合いも少なくないでしょうけど。

 要するに珍獣の書いた記事です。たぶん小泉首相による靖国神社参拝(10月17日)に憤激し(笑)、さらにそれに対する中国政府の弱腰(外相会談キャンセル、ではなく延期w)にも我慢がならず、熱き血潮ををたぎらせてしまったのではないかと思います。頭に血が上った状態で書いた記事、といっていいでしょう。

 その証拠に、この記事に出てくる王毅・駐日大使の抗議も李肇星・外相の抗議も参拝当日の17日に行われています。孔泉・外交部報道局長による定例会見は翌18日。それなのにこの記事が出たのは21日でしょう?何を今さらなのです。要するにこれは旧聞であってニュースではありません。

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 記事いわく、その定例会見には多くの日本マスコミが押し掛け、会見がスタートして13分目に飛び出した「外相会談延期」という報復措置(ショボすぎ)に揃いも揃って慌てふためき、相争って携帯電話で日本に報告したということになっています。

 実際にそうであったのかどうかはともかく、なぜこのあたりの描写が妙に丹念なものになっているかというと、糞青にここで溜飲を下げてもらうためです。

「へっ慌ててやがる、ザマーミロ小日本」

 てなところでしょうか。たぶん記者も溜飲を下げているところでしょう。

 実際「愛国者同盟網」「中国民間保釣連合会」など大手反日サイトの掲示板では「外相会談拒否」に「よくやった!」というレスがたくさんついていました。これは糞青の知的水準を示す出来事で、ある意味重視すべき事態です。だって私のような素人でしかも外国人が「キャンセルでなくて延期じゃん」と指摘できる(その正否はともかく)のに、糞青どもは「延期」の報道だけで舞い上がってしまっているのですから。

 中国語であれば
「取消」(キャンセル)を使ってもいいのに中国政府はなぜより穏当な「推遅」(延期)を選んだのか。取りあえずそこで立ち止まって意味合いを考えるべきなのに、それができない。新聞の行間が読めなくなったという点で、中国の若い世代の民度はそのひとつふたつ前の世代より深刻に低下していると指摘せざるを得ません。まあ糞青レベルの知能を若い世代の代表とするのは不穏当かも知れませんけど。

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 「粗悪記事」とも書きましたが、これは上述したようにニュースではなく、タイムラグがかなりあるので配信されても扱いに困ってしまうからです。しかも一応「燃料」(煽り目的)なのに、煽り自体も実に中途半端、というか幼稚です。「取消」より「推遅」を選んだ指導部の意図を慮れば、これを大きく扱うことはためらわれるところでしょう。あるいはそれ以前の問題として、粗悪炭(大袈裟に煙を吐く割に火力に乏しい)なのでスルーされるケースが多かったのかも知れません。ちなみに国営通信社のサイト「新華網」では一顧だにされていません。

 町村外相が王毅に頭を下げているかのような構図の写真ですが、記事の発信元である「世界新聞報」では明らかに意図的に選んで使ったのでしょう。稚気です。記事が記事ですから(笑)。転載先で写真が使われていないケースがあるのは、単に編集者が美術部隊(割付役)と相談して、

美術「これじゃレイアウト崩れるよ」
(少なくとも右端には置けない構図の写真です)
編集「じゃ写真なしでいいから」

 という会話が行われたように思います。そうではなく
「これ余りにオトナ気ないよ」という分別のある判断が行われたケースも考えられますし、分別ある判断を必要とした、つまり党中央の腰の弱さ(対日姿勢)と定まらなさ(政情不安)を考えて取りあえず使うのをためらったのかも知れません。

 「粗悪」である理由をもうひとつ挙げれば、発信元の「世界新聞報」で使われたこの写真が来歴不明ということもあります。キャプションはあっても、撮影者が明記されていません。これは中国のネット報道でも「よくあること」ではありません。そういう基本もなっていない。うさん臭い訳です。

 ――――

 以下はこういうケースで私がしばしば引き合いに出すものですが、日中関係の原点は
「日中共同声明」など3つの政治的文書(中国語では「『中日聯合聲明』等三個政治文件」)ということになっています。中国側からの抗議でこれが引っ張り出されるほど怒りのメーターが上がっているという目安のようなものです。

 一例として、2003年末に森喜朗前首相が台湾を訪問して李登輝氏らと会見したときの抗議声明は、

「『中日共同声明』など中日間で取り交わした3つの政治的文書の
基本原則を遵守するよう要求する

 であり、「違反した」「背いた」とは言っていません。これが昨年末の李登輝氏来日に際しては、

「『中日共同声明』など中日間で取り交わした3つの政治的文書の
基本原則に背いたもの

 とヒートアップしています。李登輝氏訪日は森氏訪台よりも外交上の重大事、と中共政権がみている証拠です()。

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 ところが今回を含め首相就任以来過去5回行われた小泉首相の靖国参拝、これに対する中国政府の抗議声明にはこの「『中日共同声明』など中日間で取り交わした3つの政治的文書の……」が出てきたことがありません。前回もそうですし今回もそうです。今回の参拝当日に出た中国外相の声明も、

「小泉首相は自らの過った行為によってもたらされる深刻な政治状況についての責任を負わなければならない」

 と、ここまでです。例のフレーズが出て来ないのは、小泉首相の靖国参拝が「『中日共同声明』など中日間で取り交わした3つの政治的文書」に照らしても、その精神にも基本原則にも背いてないからでしょう(笑)。

 牽強付会のパワープレイで無理矢理こじつけてもいいのでしょうが、それができない理由が中国側にはあるということです。それが何なのか、例えば経済問題だったり政治的なお家事情だったりという詮索は主題から逸れますのでここでは措きます。

「(駐日中国大使館の)新聞処筋が明らかにしたところによると、王毅大使の今回の抗議は最もランクの高いもの。過去に似たような事件が発生した際には大使館から(日本の)外務省次官クラスに対して抗議を行っていた。今回は大使が自ら町村外相に抗議したことで、中国政府による抗議の厳しさを際立たせている」

 と問題の記事には書いてありますが、ウソをついてはいけません(笑)。最高ランクなら
中国政府による駐日大使召還があるじゃないですか。たぶんこれも中国側の弱腰を取り繕っているのでしょうけど、虚言はいただけませんねえ。という訳で、「中国人民に対する重大なる挑発」なんて王毅声明は日本にとって痛くも痒くもありません。

「『中日共同声明』など中日間で取り交わした3つの政治的文書に……」

 も口に出来ない時点で王毅も李肇星も孔泉もヘタレです。思い切って口に出してもいいのですが、昨年の李登輝氏の一件同様、いくら恫喝しても手札がないから結局は吠えることしかできません。それで「もうおしまい?」(2005/01/09)みたいなことになります。

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 だからなのかどうか、今回の参拝に対する中国メディアの反応は実に抑制されていましたね。現今の社会状況や経済状況、また胡錦涛政権の基盤の弱さを反映したものでしょうが、李登輝氏訪日に関する一件で学習した部分もあるかと思います(日本が動じなかったという点です)。

 いずれにせよ、そういう状況が不満で珍獣記者がつい鬱屈を散じた、というのが「粗悪炭」が唐突に出現した実情ではないかと私は思います。

 抑制されているといえば、例の「香港は燃えているか?」(2005/10/25)で香港各紙が揃って騒ぎ立てた町村発言も「新華網」以下中国国内メディアは地味に扱って流してしまいました。そのうち蒸し返されるかも知れませんけど、もし本当に蒸し返されたら、そのときは党上層部で軍部も含めた政治的変動(主導権争い)が起きていると考えていいでしょう。



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 更新が滞ってしまい申し訳ありません。ちょいと御江戸を離れて上方の方へ行っておりました。

 香港や台湾から東京へ出張していたころはともかく、現在のように自宅で仕事をすることが多くなってしまうとモバイルも何もあったもんじゃありません。

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 ちょうど仕事で行く用事があったのと、香港誌の編集長が来ていたのでちょいと副業の打ち合わせなどを。いや香港人に嫌われる拡声器を紙媒体に置こうかなと思いまして。ただ嫌われすぎて不買運動などを起こされても編集長が可哀想なので、そこら辺の擦り合わせに検討を重ねました。

 紙媒体の業務用拡声器(これも副業)、実はすでにひとつ持っていまして、最近書く気がしないので放ってあるのです。

 これは一種の専門誌?なのですが、最近号を入手して目次を見たら私の拡声器が「今回は休載」となっていたので笑ってしまいました。もう2年ぐらい書いていないのに(笑)。こちらも復活させないとならないようです。

 そんな訳で少し忙しくなりそうです。ああそういえばまた年末進行の季節がやって参りました。旧正月までは地獄が続きます。

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 そういえば鳥インフルエンザがいよいよ中国上陸を果たしたようですね。香港紙をざっとみて回ると早くも「当局が隠蔽している」モード全開なので笑ってしまいました。まあ香港も渡り鳥が憩う場所のひとつなので他人事ではないのでしょう。

 今回も中国肺炎(SARS)のとき同様、WHOにタイミングよく渡航自粛勧告のようなものを出してもらいたいところです。靖国パンチでよろめいたところにbird-fluキック。さらに渡航自粛勧告の踵落とし。それにしてもイベントが続くものですねえ。やっぱり日頃の行い、ってやつでしょうね。

 ともあれ東京に戻ってきましたのでまず取急ぎの御一報。月曜にはブログへの復帰を果たしたいです。



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「上」の続き)


 香港紙が「反日」で足並みを揃えたものの、市民は無反応。それなら全然燃えてないじゃん、というところですが、市民は別なことでヒートアップしていたのです。

 ●香港:ビクトリア公園で阿波踊りなど日本の夏祭りイベント(毎日新聞 2005/10/22/20:03)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051023k0000m030052000c.html

 【香港・成沢健一】香港島のビクトリア公園で22日、日本の夏祭りを紹介するイベントが開かれ、「日本の祭」と題してステージで沖縄のエイサーや徳島の阿波踊りが披露されたほか、やぐらを中心にして盆踊りも行われた。縁日が再現された会場は地元の人や在留邦人でにぎわった。

 日本と香港の相互理解を目指して行われている「日港交流年2005」の主要行事。小泉純一郎首相の靖国神社参拝で中国本土では日本関連イベントの延期や規模縮小が相次いでいるが、日本の味をそろえた露店や浴衣の試着・記念撮影コーナーに長い列ができ、香港での日本人気の根強さを示した。

 国土交通省から「ようこそ!ジャパン応援団」に任命された女性アイドルグループ「美勇伝」がステージに登場すると、メンバーの名前を書いたプラカードを掲げた地元の若者たちが盛んに声援を寄せた。

 これですよ。これ(笑)。

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 ●「美勇伝」が日本文化宣伝に香港訪問、岡田唯の胸の谷間に会場騒然(『太陽報』2005/10/23)
 http://hk.news.yahoo.com/051022/197/1hxn9.html

 えーと真面目な話、香港紙の水準は『東スポ』ないしはタブロイド紙程度だと思えば間違いありません(笑)。

 『明報』(2005/10/22)の事前告知記事によると、

 上半期は韓流台風が吹き荒れた香港だが、下半期はついに日本ブームへと風向きが変わった。オバサンたちを騒がせたドラマ『大奥』に始まり、「御宅族」(そのまんまですね)の人生に希望の光をともした『電車男』、それに話題の映画『NANA』などが続々と香港上陸。そして今日と明日の2日間はビクトリア公園で「日本の祭」が開催される。日本の味覚に遊びに逸品(たぶん露店のこと)。哈日族なら絶対に足を運ばずにはおれない聖地だ。

 http://hk.news.yahoo.com/051021/12/1hwt8.html

 ……だ、そうです。「モーニング娘。」(美勇伝のこと)が来るとか、最新のアニメやマンガが観られるぞ、といったこともこの記事の後段には書いてあります。熱かった証拠に、コンサートの場所取りで徹夜組まで出たという記事もどこかで見かけました。まあ香港全土が湧いた、という程ではないでしょうけど、なかなかの盛況だったようです。

 ちなみに台湾でも報じられています。

 ●亀裂修復完了~ 靖国問題あれど中日の民間交流は盛ん(東森新聞網 2005/10/24)
 http://tw.news.yahoo.com/051024/195/2g4ak.html

「香港人で日本文化を好きな人はたくさんいるし、香港の文化を好きな日本人もたくさんいる。政治の問題なんて、実際には何も影響しないんだ」

 という香港人のものと思われるコメントを拾っています。市民レベルでの「反日」は社会に閉塞感が充満すると中共への不満を転化するような形で一気に表面化しますが、ふだんの香港人は確かにこんなものですね。胸の谷間に会場騒然ですか。ええ、「東モ」に先週行ってきた私にはよくわかります。

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 最後に「トンチキの極秘訪中で胡錦涛の危うさを再確認」(2005/10/22)で紹介した、インテリ向きとされる『明報』にしては「らしくない」コラム「中国評論」ものぞいておきますか。
「秦勝」というペンネームによる香ばしい署名コラムです。

 元々は「中道というよりはやや反中共」というスタンスだった同紙は、香港の中国返還後に少しずつ媚中路線に転換し、そのために販売部数を落としてしまっています。路線転換を機に腕のいい記者や硬派なコラムニストは『蘋果日報』など他紙やニュース系サイトの主力メンバーなどに転じてしまいました。私からみると、いまの『明報』に寄稿する評論家(議員や学者などは除く)でマトモなのは呉志森氏くらいのものです(『蘋果日報』でも書いていますけど)。この人とは是非一度飲茶を御一緒したいです。

 で、前回言及したときと多少重複することになりますが、この「秦勝」はまだ若いのか歳の割には未熟なのか、文章のレベルは低いです。しかも「糞青」(自称愛国者の反日教徒)的色彩に満ちた実にフレグランスなコラムです。

 冒頭から誰でも書けるような貧弱な内容をつらつらと書き連ねるのですが、最終段落で突如として反日サイトの掲示板レベルな「地」が出てしまうのが特徴。前回(2005/10/23)は日本経団連首脳と胡錦涛・温家宝の極秘会談がテーマでしたが、注目の最終段落は、

 中国は国連安保理の常任理事国である。いまなお発展ぶりにムラがある発展途上国ではあるが、26年来の改革開放政策によって相当な経済的実力と国力を蓄積するに至っており、日本をへこませるカードは政治・経済ともにたくさんある。(胡錦涛は)ここは背筋をピンと伸ばして日本の右翼にはっきりとノーと言うべきだ。さもなくば再び屈辱の目に遭う一方、日本の右翼をいよいよ増長させることとなり、どうにも国民に合わす顔がなくなってしまうだろう。

 ……と、こうなります(笑)。香港各紙が「反日」シフトに走った今回(2005/10/24)はいよいよ激語するだろうと思っていたら、やはり期待通りのまとめ方をしてくれました。

 ――――

 ただし、中国人は元来邪というものを信じない。とりわけ日本軍国主義の残滓が天下を取り得るとは思っていない。14年間の抗戦によって、中国人は外敵の侵略を受けて以来初めて民族戦争での偉大なる勝利を勝ち取った。それ以来、中国は世界の諸民族の中において巍然と屹立している。いまやその国力は十分に充実し、急速な経済発展も遂げた。そんな中国人が、日本の右翼勢力の蠢動をどうして恐れることがあろうか。ともあれ小泉首相と町村外相は、中日関係を破壊する言動をとったことについて自らその責を負わなければならない。現在日本の総人口はせいぜい1.2億人前後だ。再び中日戦争が勃発し、中国人のうち1~2億人が死んだとしても、まだ十数億人が残っている。日本人が1~2億人死んだとしたら、一体あと何人残っているだろうか?

 いやいやこれは期待以上ですね。筆致がすでに神韻を帯びています(笑)。

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 この数カ月ばかり私は「秦勝ヲチ」を続けているのですが、その魅力は第一にこの最終段落の「突如っぷり」にあります。陳腐な文章を書いていたと思ったら、文末になると唐突に激して「糞青」(自称愛国者の反日教徒)となってしまう(笑)。ああ原稿料をとっているでしょうから「珍獣」(プロ化した糞青)というべきでしょうか。

 第二にニュースの内容に簡単に「釣られて」しまい、理性をすっ飛ばして感情が丸出しになってしまうことです。要するに情緒不安定。「日本経団連首脳と胡錦涛・温家宝の極秘会談」を受けた文章では、

「(中国は)いまなお発展ぶりにムラのある発展途上国ではあるが」

 と控え目だったものが、今回の「町村発言」という更に強烈な「燃料」に接するとネジが何本か飛んでしまい、「発展途上国」という前日までの現実認識が消えてしまっています。そればかりか「もし日中再戦すれば」とこれまた唐突に極端な話題に飛んで、しかも総人口で勝敗を云々している。どうも毛沢東時代の「人海戦術」の信奉者であるようですね(笑)。それに局地戦という言葉を知らないようです。

 私は、この署名コラムを掲載させている『明報』の意図をつかみかねています。中共への媚態かとも思ったのですが、それにしては度が過ぎますし、質が低すぎるのです。左派系の香港人や親中紙を含む香港の新聞の中でも、このコラムは浮いてしまっている観があります。

 もちろん『明報』の中でも浮きまくりです。ということで私は、インタビューなどを通じて同紙との縁が深い「珍獣」の代表格・童増(中国民間保釣連合会会長)がペンネームで執筆しているのではないか、と勘繰ったりしています。その場合、敢えて実名で書かないのは、自分の立場が中国国内の政治状況に左右されないためということになります。

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 まあ童増でも誰でもいいのですが、私はこの「秦勝」とも一度飲茶をしたいところです(笑)。色々調べてみたのですが、どうやら香港のこの世界では不肖御家人の方がはるかに「前輩」のようですから、もちろん私のおごりということになります。

 まず水をぶっかけて大人しくさせてから(水はもちろん比喩ですけど、香港人を飼い馴らすには最初に腕力を振るうのが最も有効です。もちろん「腕力」も比喩ですが)、小一時間ほど説教することになるでしょう。

 ちなみに今日の「中国評論」(2005/10/25)は作家・巴金の死去がテーマですから反日には流れていません(やろうと思えば巴金から反日への展開は可能ですけど)。一応今回の最終段落を訳出しておきます。

 だが、中国の若者はもはや文化大革命がどういうものだったかを知らないのだ。虚言に満ち満ちた現在の大陸(中共政権)は、文革のころと比べてもいい勝負だ。巴金は天寿を全うしたとはいえ、憾みを全く残さなかった訳ではないだろう。

 童増は結構苦労人ですから、ペンネームであればこのくらいのことは書くと思います。まあ童増は別としても、「中国の若者」という表現、それに中共政権や文革の捉え方からすると「江沢民チルドレン」でないようです。まあ「江沢民チルドレン」と同世代ながら香港から中共を眺めているのでこういう書き方になった、という線もありますけど。中共政権を「大陸」と呼ぶのは香港ではデフォですし。

 それにしても巴金についての文章、前回と前々回の素晴らしいパフォーマンスとは釣り合わないようにも思えます。……てこともないですか。結局今回もニュースの内容に見事に流されて別のネジが何本か飛んでしまっていますから(笑)。


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 【※】本当は香港に続いて上海の話へと飛ぶ筈だったのですが……。orz



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 本来火曜日にする話ではないのですが、私のような完全夜型生活者にとって有り難いのが日曜日です。朝の7時半から「報道2001」「日曜討論」「サンデープロジェクト」と政治系の番組が続きます。

 私にとっては仕事が終わって、仕事をしながら集めた記事を整理しているか、整理した記事に拠って当ブログに取り組んでいる時間帯ですが、なるべく見逃さないようにしていました。

 ところが一昨日(10月23日)は記事が上ネタ満載でした。しかもトンチキの極秘訪中について書くのにあれこれ考えていて、うっかり3本とも逸してしまいました。しまったと思えど時すでに遅しです。来週はちゃんと観ようと思いつつそのまま寝たのですが、翌24日の香港各紙をみてビックリしました。

 町村外相、「サンプロ」で色々話したんですか?……本来火曜日になってから持ち出す話題でもないのですが、ふれておかなければならないものなので、賞味期限切れを承知でいきます。

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 その香港各紙(2005/10/24)のメインタイトルだけ並べてみます。

 ●小泉・胡錦涛会談での激語合戦を暴露――日本外相「もう中国の言いなりにはならない」(蘋果日報)

 ●町村外相、中日関係は不平等だと妄言――専門家「日本の対中路線強硬化を示すもの」(明報)

 ●日本側、小泉首相の靖国参拝は国益に合致するものと表明(星島日報)

 ●靖国参拝を支持、不服従を明言――町村外相、中国に外交面での宣戦布告(太陽報)

 ●「外国には屈服しない」日本外相が見苦しい弁明(香港文匯報)

 香港のマスコミはこと歴史問題となると中共史観で足並みが揃います。新聞も反中共色を帯びた『蘋果日報』から中共の御用新聞である『香港文匯報』まで御覧の通り。

 これは強制ではなく、香港人は底流に反日感情があるためこうなるのです。民度+小中華思想(大香港主義)の発露のようなもので、例えば香港人は中共史観で極彩色に染め上げられた南京何たら事件の映画などを「史実」と捉えているフシがあります。

 表面的には日本文化を積極的に受け入れているのでわかりませんが、何事かあると上のようになるのです。私のみた限りでは、日本のマスコミで香港紙のこの狂態を報じたものはありませんでした。ということで、鮮度落ちに構わず眺めてみましょう。

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 「テレビ朝日の取材を受けた町村外相が」などとなっているので「サンプロ」なんでしょうが、『蘋果日報』によると、

「小泉首相の靖国参拝は日本の国益に合致している」
「外圧に屈することはない」
「日本は今まで中国に従順すぎた。これからは平等な関係を確立していくべきだ」

 と語り、また昨年の小泉・胡錦涛会談では激論が交わされたことを明かし、

「これ(激論)はいいことだ。互いに相手の考え方がわかるのだから」

 と述べたようです。他紙の内容も概ね似たようなものになっています。

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 それにしてもセンセーショナルなタイトルを好む香港紙とはいえ、「もう中国の言いなりにはならない」「宣戦布告」など今回は飛ばしに飛ばしています。『蘋果日報』はメイン記事の後に解説記事が続いて、

「1972年の国交正常化以来、最も深刻な状態」
「原因は日本が歴史問題や台湾との関係を適切に処理しないからだ」

 という武大偉・外務次官(前駐日大使)の発言を紹介した上、
「中国人民に対する重大な挑発だ」という靖国参拝当時に王毅・駐日大使(※1)が出した声明を引用。さらに専門家の声として中国国内メディアによく顔を出しては底の浅い対日論をぶって回っている金熙徳・中国社会科学院日本対外関係研究室主任を登場させています。胡錦涛総書記や温家宝首相らが日本に得点を稼がれる一方なのは、こういう手合いをブレーン扱いしているのも一因だと思うのですが……どうかそのまま重用してやって下さい(笑)。

 解説記事はさらにもう1本。これは地元香港の中文大学・アジア大平洋研究所の王家英・助教授に取材しているのですが、

「日本がかような強硬姿勢である以上、中国側のリアクションも決して弱腰にはならず、やはり強硬的な態度に出るのは確実だ。王毅駐日大使を召還して抗議を示すという可能性すらある」

 と、これまた専門家らしからぬ御発言。時あたかも経団連の極秘訪中が日本で報じられ、それが香港でも比較的大きく取り上げられたばかりです。そこで「大使召還」まで持ち出すとは恐れ入りました。あるいは扇情的な報道において他紙の追随を許さない『蘋果日報』ですから、敢えて「色物芸人」を取り揃えたのかも知れません(笑)。

 他紙の報道も濃さでは『蘋果日報』に一歩譲ったとはいえ、やはり似たり寄ったりでした。

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 じゃあ香港は大騒ぎだろうといえば、そんなことはないんです。騒いだのはマスコミだけで、香港市民はいたって平静。靖国参拝当日もそうでした。日本総領事館へ抗議に訪れた団体がいくつかありましたけど、あれはマスコミへの露出を狙った一種の選挙運動のようなものですから。単なる騒ぎ屋です。

 実例があるのです。香港の民主化で騒ぎ日本の歴史問題でも騒ぎ、天安門事件(1989年)の名誉回復運動でも騒ぐという香港では有名な騒ぎ屋、いや活動家である
梁国雄(通称「長毛」)が、昨年の立法会議員選挙に立候補して見事当選、しかも得票数上位でしたから、それに続こうという思惑があっても不思議はありません。

 でも「長毛」は議員になっても騒ぎ屋のスタイルを変えないところがいいです。先月も胡錦涛政権における香港・マカオ問題担当の曽慶紅・国家副主席(江沢民の大番頭格)が香港を訪問し、立法会議員を招いたパーティーを開催した際、議員なのでやはり招かれていた「長毛」は本領を遺憾なく発揮。曽慶紅が挨拶を始めようとした途端に、

「平反六四!」(天安門事件の名誉回復を!)

 と叫びつつ着ていたGジャンをパッと脱ぐと、これまた
「平反六四」「莫忘六四」(天安門事件を忘れるな)など中国国内でのNGワードが大書されたTシャツ(笑)。即刻警官に四肢を抱え上げられて退場させられましたが、「長毛」は宙を飛びつつもなおスローガンを叫び続けていたそうです。

 他にも曽慶紅の宿泊先だか視察先だかにダンボールで作った手製の棺桶(笑)を仲間の活動家とともに運び入れようとして警官に阻まれたりもしています。最終日は香港ディズニーランドの開業日で曽慶紅はそのセレモニーに出席して香港を離れました。このときも「長毛」は会場に乱入しようとしたものの、またも警官に四肢を抱え上げられて御退場。それでも「長毛」は宙を飛びつつもなお……(以下略)。

 馬鹿だけど変に実があるところが面白い、といいますか、「長毛」はある意味有権者の期待に最も応えている立法会議員といえるでしょう(笑)。

 ……すみません余談に流れてしまいました。orz


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 【※1】王毅がMr.ビーン似という御説にも頷けますが、私はむしろ腹話術の人形に見えてしまうのです。>>hrさん。


「下」に続く)



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 前回のコメント欄でトンチキについて盛り上がっていました。私も一言口をはさませて頂きたいのと、毎日書いているとさすがに疲れがたまりますので息抜き代わりにまた独りで迎え酒を飲みたいと思います。

 まあ東京モーターショー開催記念、ということにでもしておきますか(笑)。私は義理によりプレスデーに行ってきたのですが、人は少ないしきれいなお姉さんはたくさんいるしで、完全夜型生活ゆえ寝ていなかった私にはまさに夢のような空間でした。配偶者が同行していなければカメラ小僧になっていたかも(笑)。

 ま、それはともかく、です。

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 一将功成万骨枯。

 ……これに尽きます。

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 トンチキがどれだけ偉いか知りませんが、日本の国際的地位や信用があるのはトンチキが汗を流したからじゃないでしょう。

 いま60代半ばから70代以上といった戦前・戦中派が復興に尽力したから、経済大国と呼ばれるいまの日本があるのです。畢竟トンチキはその中の一人に過ぎません。トンチキの会社の繁栄も下請けの苦労があってこそでしょう。

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 中国の話をしましょうか。15年前、20年前に上海郊外などで縫製指導をしたり工場長をやったりして悲鳴を上げている日本人がいました。あのころはマトモな(日本で商品となり得る)ポロシャツ1枚作ることができなかったものです。

 ひとつの事務にハンコがたくさん必要なために、色々な役所を必死に駆け回っている人たちもいました。

 そういえば私が留学していた大学には日本語学科があって、そこでのしかかるようにして一生懸命教えている日本人教師もいました。当時の中国人学生は質朴かつハングリーだったせいか、連中も教師に食い付くようにして学んでいました。ほぼ例外なく4年間で会話も読み書きもかなり達者な域に達していました。

 まだ大卒者が稀少だった時代の話です。

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 苦労していたのは中国駐在の日本人サラリーマンばかりではありません。

 日本には日本で、中国から輸入した食品が一部腐食していたために検疫でひっかかり、休日返上で横浜の埠頭に出向き、泣く泣く廃棄作業に当たっていた連中がいました。商社マンなんて華やかな語感からは程遠い、中小規模の対中貿易専門の会社です。むろん大手でも同じような苦労があったことでしょう。

 納期を守らない。仕様と違う。サンプル通りの型が取れない。歩留まりが悪い。一度二度ならまだ許せるんですけどね。

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 ……そういうどうにも使えなかった中国も、いまでは労働集約型産業なら何とかなるレベルまでになりました。ユニクロのような商法も成立するようになったのです。

 それは、中国の水準をそこまで引き上げるために汗を流した人たちがいたからに他なりません。

 でもいまだって、電力不足や分際をわきまえぬ畜類のわがままに苦労しつつ、何とか工場を稼動させている人たちがいます。

 北京でコンビニ1号店を開く準備をしていたら、中国人店員が平然と売り物を食べているのがテレビで紹介されていました。日本人店長に叱られてもニヤニヤ笑って咀嚼するのをやめない。犬以下ですな。

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 トンチキは何をしました?まあ契約成立のサインをしたり中国首脳の靴を嘗めるのが仕事なら、汗など流さなくてもいいのでしょうけど。

 でも大会社の会長で経団連のトップなら、汗を流さない代わりに、手前のゼニ勘定だけでなく少しは国益も考えてほしいものですね。

 それが出来ないならトンチキはやはりトンチキだな、としか私は言いようがありません。これまた一種の畜類ですね。それじゃトンキチかよ!……ってなるほどそういうオチでしたか。





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 日本経団連の奥田碩会長らが9月末に2回北京を訪問して、9月26日には温家宝首相、9月30日には胡錦涛総書記と会談したそうですね。

 奥田会長ってのはトヨタの会長でしたっけ?例のトンチキ爺ですね。

 ……私は大陸中国人を
「支那人」「支那畜」「政治的な畜類」などと当ブログで書くことがあります。香港人については、

「お前らは半世紀も遅れてる野蛮な中共に植民地扱いされても手も足も出ない奴隷どもだ」

 などと仕事仲間の「香港チーム」に言ったりします。連中は私が中共の悪口を言っていると知っているので笑っています(
「お前ら民度低すぎ」はさすがにまだ使ったことがありませんw)。

 でもさすがに同じ日本人にはひどい言葉は使いません(帰化人は別)。せいぜい
「トンチキ」です。ただ私がこの言葉を使う場合は、「売国奴」「死に損ない」「犬にも劣る私利一辺倒の畜生」「没義道の限りを尽す卑劣漢」などという意味を含んでいる可能性が多分にあります。ええ、相手によってはです(笑)。

 で、トンチキの奥田会長が9月末に慌ただしく日中間を往復して、温家宝や胡錦涛の靴を舐めてきた、ということなんでしょうか。

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 ●経団連首脳が極秘訪中 胡主席と経済で意見交換(Sankei Web 2005/10/22/15:38)
 http://www.sankei.co.jp/news/051022/kei036.htm

 日本経団連の奥田碩会長(トヨタ自動車会長)ら財界首脳が9月30日に北京を訪問し、中国の胡錦濤国家主席と会談していたことが22日、分かった。関係筋によると、経団連副会長である三村明夫・新日本製鉄社長や宮原賢次・住友商事会長らも同行し、日中経済や「靖国参拝問題」が両国経済に与える影響について意見交換したという。

 奥田会長は9月26日にも日中経済協会訪中団のトップとして、北京で温家宝首相と会談。いったん帰国して中国を再訪問していた。中国の首脳が、日本の財界人と短期間に会談するのは極めて異例。

 会談で胡主席が奥田会長に小泉純一郎首相が靖国神社に参拝しないように働き掛けたかどうかについては、関係筋は「取り上げられなかった」としている。(共同)

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 どうも不明瞭なのですが、奥田会長は温家宝や胡錦涛には会ったものの、今回は靴までは舐めなかったようにみえます。小泉首相による靖国神社参拝を前提に、「参拝後」も経済の冷え込みは避けましょう、みたいな話をしてきたように思えます。トンチキにしてはよくやった方ではないでしょうか。

 実はこの「密談」は今朝(10月23日)の香港各紙でも割合大きく扱われていまして、親中紙の『香港文匯報』(2005/10/23)も簡潔ながら報じています。22日の時事電の引き写しで、胡錦涛と会う4日前には温家宝との逢瀬があったことまでちゃんと言及されています。

「小泉首相は毎年靖国参拝を行っており(今年もするだろうということ)、中日経済関係が冷え込む恐れがある。財界の領袖(トンチキ)はそうした状況下で訪中したのだ。日本経団連の中で、小泉首相の靖国参拝を公に批判した者はいなかった」

 とこれまた意味不明瞭な文章になっていますが、要するに今年も靖国参拝はあるだろうと双方が予測し、日本側には靖国参拝賛成派もいれば、どうせ諌めても無駄だし派もいて、靖国参拝に批判めいた声は出なかった。……みたいなニュアンスかと思います。

 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0510230021&cat=002CH

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 ちなみに、以前から一貫してインテリ向きとされながら、最近は媚中傾向著しく販売部数を大きく落としているといわれる『明報』(2005/10/23)では、最近登場した「中国評論」という署名コラムがこのニュースを扱っています。

 書き手は「秦勝」という筆名で私は聞いたことがない名前ですが、まだ若いのかどうにもレベルが低い上に、「糞青」(自称愛国者の反日教徒)的色彩に染め上げられているという実にフレグランスな文章です。『明報』もよくこんな香ばしいコラムを連載させているものだと思います。これも中国への媚態なのかも知れませんが。

 で、今回の文章は以下のように締められています。

「中国は国連安保理の常任理事国である。いまなお発展ぶりにムラがある発展途上国ではあるが、26年来の改革開放政策によって相当な経済的実力と国力を蓄積するに至っており、日本をへこませるカードは政治・経済ともにたくさんある。(胡錦涛は)ここは背筋をピンと伸ばして日本の右翼にはっきりとノーと言うべきだ。さもなくば再び屈辱の目に遭う一方、日本の右翼をいよいよ増長させることとなり、どうにも国民に合わす顔がなくなってしまうだろう」

 これじゃ反日サイトの掲示板ですよ。これで許されるなら「御家人專欄」を是非設けてほしいものです。後悔させませんよ(笑)。

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 ……などと茶をシバキつつマターリしていたところ、時事通信が続報を配信しました。

 ●政府・内部にも伝達せず=胡主席、対日重視で期待-経団連極秘会談(2005/10/23/07:00)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051022-00000098-jij-int

 【北京22日時事】中国の胡錦濤国家主席と、奥田碩会長ら日本経団連首脳が北京で行った9月30日の極秘会談は、経団連の一部幹部にしか知らされず、北京の日本大使館など政府レベルにも詳細な内容が伝達されない異例の会談だったことが分かった。複数の日中関係筋が22日までに明らかにした。

 小泉純一郎首相が年内に靖国神社参拝に踏み切る可能性が高いとみられていた中、胡主席が4日前の温家宝首相と連続で奥田会長らと会談したのは、対日重視姿勢を示し、同会長とも関係の深い小泉首相の変化を期待した可能性が高い。極秘となった背景には「小泉首相が参拝した場合、胡主席はメンツをつぶされ、国内で対日弱腰姿勢を批判される」(日中関係筋)との懸念があったとみられる。 

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 うーん。胡錦涛が「小泉首相の変化を期待した可能性が高い」という見方には、私は同意しかねます。

 とりあえず温家宝、胡錦涛と中共政権の首脳が立て続けに経団連をもてなしたことで、
「中国必死だなw」ということは伝わってきます。ただ何に必死だったかということになると、「靖国参拝を止めてほしい」ではなく、「参拝があっても経済は今まで通りで」ということではないかと思うのです。たぶん中国側は「参拝が行われても反日騒動の再燃は防ぎますから」とも付け加えた筈です。

 2回の逢瀬は9月末、「五中全会」(党第16期中央委員会第5次全体会議)直前であることをまず思うべきです。その重要会議における最大の議題は「十一五」(第11次五カ年計画)の採択。今後5年間(2006-2010)の指針となる一大綱領です。しかも胡錦涛・温家宝オリジナルで、良否はともあれ独自色満載であることは以前紹介した通り。

 もし「靖国参拝」で経済的往来が冷え込んでしまうと、まずそこに影響が出るのです。早ければ年末にも祟りがあるでしょう。新規投資が減る。反日懸念で撤退に踏み切る日系企業も出る。中国には造れない重要部品や工作機械が入って来なくなる。それだけでも十分ですが、さらに言うならば、日本人観光客ももっと減るでしょうし、胡錦涛政権が実現を目指している「節約型社会」に必要不可欠な省エネ及び環境保護のノウハウも入って来なくなります。

 もともと経済では綱渡りの政策運営をせざるを得ない中国としては、大いに困る訳です。というより死活問題。だから温家宝・胡錦涛が直々にその点を確認し、合意したのではないかと。日本側は何といってもトンチキですから、渡りに舟とばかりに揉み手をしつつ「そりゃもう喜んで」てな感じでしょう。

 ただ端から見ると、「小日本」の商人風情に中国の首相と総書記がお願いせんばかりの光景で格好悪すぎる。五中全会直前の、政治的にも水面下で綱引きが行われていたであろう微妙な時期です。極秘になった機微はそのあたりにあるのではないかと思います。

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 「小泉首相が参拝した場合、胡主席はメンツをつぶされ……」という線はすでに消えている(参拝されれば指導力に多少影響が出るでしょうが)、と私は思います。いや正直に言えば私も以前は参拝でメンツ丸潰れだろうという見方だったのですが、考えてみたらメンツなんてとうの昔に潰されているのではないかと。まあ改めてメンツを潰されるという言い方もできますけど。

 昨年秋の小泉・胡錦涛会談に際して行われた事前調整で日本側は、

「首相は2005年も時期は別にして靖国神社を参拝する。それでも不都合がなければ首脳会談を受ける」

 と中国側に通告した旨、飯島勲首相秘書官が証言しています(※1)。それが事実なのか、あるいは事実としても胡錦涛に伝わっていなかったのかはわかりませんが、胡錦涛は首脳会談で靖国参拝の停止を求めています。そのあと中国側からの強い要請でほどなく小泉・温家宝会談が行われ、ここでも温家宝が靖国参拝の停止を訴えましたが、やはり小泉首相に事実上無視されました。

 
メンツが潰れるというならこの時点ですでにアウトであり、実際、発足後間もない胡錦涛政権がダメ出しされて対日路線の修正を余儀なくされたことは「分水嶺」(2005/10/06-07)で書いた通りです。この2回の首脳会談における感触から、2005年も靖国参拝があることは胡錦涛にとって織り込み済み、というか覚悟の上だったのではないでしょうか。

 もちろん、実際に靖国参拝が行われれば胡錦涛への批判が出るでしょう。ただどの派閥であれ「中共人」たちは4月の反日デモ+プチ暴動で懲りており、現在の社会状況下における大衆動員型の政争がいかに危険か(中共政権自体を潰しかねない)を学習しています。……とすれば伝統的なメディアなどを使った密やかな主導権争いという形になります。胡錦涛の唯一の危機は5月末、恐らく軍内部の過激派が蠢動してクーデター説が囁かれるほどの圧力をかけられた時期でしょう。

 切所に立たされた胡錦涛は訪中した武部・自民党幹事長らに靖国参拝の停止を再三にわたって強く求めましたが、武部幹事長らはこれを断固拒否。このため胡錦涛は呉儀・副首相に小泉首相との会談をドタキャンさせる、という非常措置)を採らざるを得なくなった(小泉首相のメンツを潰すことで軍内部の過激派を一応納得させた)のではないかと思います。

 ――――

 その後、表面上は大きな動きがなかったものの、胡錦涛は階級昇進やポスト昇格などで軍主流派の懐柔に努めています。これが7月中旬から8月上旬あたりでしょう。そして軍主流派を味方につけることに成功した(魂を売り渡した?)ことで、胡錦涛は「靖国参拝」が行われても、いきなり倒閣運動が始まるような事態は避けられる目処がついたのだろうと思います。

 ただそれが磐石といえるほどの後ろ盾でなかったことは、五中全会で人事に手をつけられなかったこと、また「江沢民が宇宙飛行士を出迎えた」という異常な記事が新華社から配信されたことでもわかります。とはいえ10月17日の小泉首相による靖国神社参拝後も、現在に至るまで党上層部で大きな動きは出ていません。

 例のいまなお真偽不明である「東京の中国人女子留学生が泥酔警官に殴打されて負傷&PTSD事件」が唐突に飛び出しはしましたが、肝心のネット世論の反応はいまひとつ。ただ、靖国参拝に対する報復措置として外相会談を流しはしたものの、「取消」(キャンセル)ではなく「推遅」(延期)にしたという切れ味の悪さは後々にしこりを残すことになるかも知れません。

 ということで、柔道でいえば胡錦涛が「有効」と「優勢」の中間あたり、あるいはようやく「優勢」を取った時点、といったところでしょうか。「一本」にはまだ遠いものの、「靖国」の余波は何とか抑えつつある。だがまだ気は抜けないぞという段階。

 あるいはトンチキ極秘訪中の最新電が中国国内に流れることで、試合の流れが微妙に変化するのでしょうか?ともあれ私としては、アンチ胡錦涛グループに
「教育的指導」を出しておきたいところです。


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 【※1】http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=HKK&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2005061301000981



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 唐突な話ですが、インタビューというのは本来、喰うか喰われるかの戦いです。人間力の勝負といってもいいでしょう。

 取材者というのは往々にして報道者を兼ねるものです。要するにインタビューしてきたことを自分で記事にする。インタビュー自体がメインという記事なら別ですけど、そうでなければ、あるテーマに基づいた記事を作るための一環としてインタビューをする訳です。

 より不遜にいうと、取材される人の思惑はどうあれ、インタビューなんて記事の内容や説得力を高めるための「刺身のツマ」でしかありません。だからこちらが欲しい内容を喋ってくれればそれでいいんです。そもそもこちらが主題を設定して臨んでいる訳ですし。

 ……もし私が取材者であれば、きっとそういう不遜極まりないインタビュアーになっていたと思います(笑)。

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 それはともかく、取材者と被取材者の喰うか喰われるかという話。人間力の勝負といいましたが、これはごく当たり前のことで、例えばインタビューされる人の話す内容をインタビュアーが理解できなければどうにもなりません。

 逆に、インタビュアーの質問レベルが低くても被取材者からいい回答を引き出すことができない。極端な話、大人と子供の会話のようになってしまいます。

 つまり、被取材者に対して互角に戦えるか、どうか。相手の力量に近い人間力を持つ記者にインタビューさせないと思うような取材が成立しないのです。

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 以上は、前回のエントリーにコメントを寄せて下さった「ユキ」さんの文章に触発されてふと考えたことです。

 「ユキ」さんは小泉首相に対するインタビュー、その一問一答の記事を紹介して下さいました。確かに某巨大掲示板の東亜板にもスレが立っていますね。以下はその記事です。リンクは切れてしまっているようです。

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 小泉総理大臣の靖国神社参拝でさらに悪化した日中・日韓関係について小泉総理は19日夜、記者団の質問に答え、両国と何の障害もなく対話を続けられる関係を作り上げるためには、10年から30年が必要だとの認識を示しました。

 記者「会談がキャンセルされては『対話』も進められないのでは?」

 首相「いや、これは十分、進められます。短期的な視点ではなくて、長期的に考えたほうが良い」

 記者「長期的とは?」

 首相「10年、20年、30年」

 また、「小泉総理自身の靖国参拝が、関係改善に向けた対話に影響を与えているのではないか」との質問に対し、
「長期的には大きな問題ではない」と改めて靖国参拝の影響を否定しました。

 http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/poli_news5.html?now=20051021123025

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 もしこの記者が「10年、20年、30年」という答を聞いて「うへぇ」と内心呆れてしまったのなら、まさに大人と子供の会話ということになります。煙に巻かれたと感じたのなら、首相に取材するには人間力がまだまだ足りないということです。要するに小泉首相に喰われてしまっている訳です。

 記事(ニュース映像)のリード部分にある
「両国と何の障害もなく対話を続けられる関係を作り上げるためには、10年から30年が必要だとの認識を示しました」という物言いが視聴者に「うへぇ」と呆れてもらおうという目的があるなら、さすがはテレビ朝日ということになりますね。

「中国が困りそうなインタビューです」

 と「ユキ」さんは仰っていますが、正にその通りで、中国側はこの一問一答に、大袈裟にいえば戦慄したことだろうと思います。

 「10年、20年、30年」という長いタームで日中関係を捉えようとした政治家が戦後日本にこれまでいたかどうか。

 あるいはいたかも知れませんが、様々な批判や圧力に屈することなく「10年、20年、30年」という意識に基づいて実際に行動したのは、恐らく小泉首相が初めてでしょう。行動とは、もちろん靖国神社参拝その他のことを指しています。

 ――――

 別に感傷的な話にまとめようとしている訳ではありませんけど、小泉首相は2003年2月、鹿児島県知覧町の知覧特攻平和会館を見学した際、黙然とひとつひとつの展示物を見学しつつ涙を流し、

「特攻隊の彼らの心を思うと、何でもできるね」

 と、呟くように言ったそうです。上の話とは何の関係もないのですが、毅然と、敢然と、あるいは苦悩しつつも出撃し散華した特攻隊員たちが脳裏に思い描いた「日本」も、5年や10年といった短いタームのものではなかったのではないか、と思います。

 懐かしい人たち、忘れ得ぬ人たちの面影を慕いつつも、その一方で自らの生命を投げ出して護らんとした日本と日本人の「未来」というのは、いまを生きる私たちにつながるような、次世代、そのまた次世代といった長い時間を見据えたものではなかったかと思うのです。

 ――――

 さて、ここからは現実的な話に戻ります。前回の「ひょっとして反日を煽る情報戦勃発?」で持ち出した、中国人女子留学生が酔った私服の警官に殴打されるなどしたニュース、きょうの『香港文匯報』(2005/10/22)が一応続報めいたものを出しています。

 ただ具体的な進展や「反日」気運に火をつけるようなニュースがあった訳ではなく、
駐日中国大使館が事実確認に動いているというだけです。つまりまだ事実かどうかもわからない、と。

 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0510220027&cat=002CH

 私が確認した限りでは、中国国内メディアはこの続報を流していません。

 何だか尻すぼみに終わりそうな気配です。主要反日サイトに立ったこの「事件」に関するスレッドも、閲覧者は多いのですがレスがほとんどつかないため沈んでいく一方の状態です。

 当局の規制が入ったような気がしないでもありません。思えば大手ポータルの「新浪網」(SINA)のニュースサイトのあちこちに合計5本も出たこの「事件」の記事ですが、そのいずれにも
【評論】欄、つまりニュース付属掲示板がありませんでした。これではネット世論が盛り上がりません。盛り上がらないようにしたのかも知れません。

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 日本側の報道からも威勢のいいリアクションは見い出せません。

 ●6カ国協議で進展目指す=靖国参拝の影響ない-中国(時事通信 2005/10/20/19:02)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051020-00000117-jij-int

 ●上海市、反日デモへの不参加呼びかけ(読売新聞 2005/10/19/20:36)
 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051019i213.htm

 ●靖国参拝で抑制報道を指示(静岡新聞 2005/10/21/20:03)
 http://www.shizushin.com/national_international/2005102101002729.htm

 ●反日サイトの上海警察批判が削除…当局抑え込み?(読売新聞 2005/10/21/23:46)
 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051021it14.htm

 ●首相靖国参拝中国反応 反日行動影潜める 当局、取り締まり強化(西日本新聞 2005/10/22)
 http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/morning_news030.html

 ●北京などで反日デモ警戒 首相参拝後初の週末(共同通信 2005/10/22/12:25)
 http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2005102201000878

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 ちょっと意地悪していいですか?

 そういう記事ばかりが出てくる中で、『毎日新聞』に出た以下の論評を書いた記者が「10年、20年、30年」と語る小泉首相に比べれば、いかに日中関係について貧弱な視点と眼力しか持ち得ていないかを如実に示しています。

 ●靖国参拝:中韓両国との関係改善シナリオ崩れる(毎日新聞 2005/10/19/20:03)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/asia/news/20051020k0000m030071000c.html

 それでもブロか?恥を知れ。……いや別に私が言ったのではなく、そういう声がいま遠くで聞こえただけです(笑)。まあしかし普段の「不摂生」がそのまま出てしまったような記事ですね。

 この記事だけを槍玉に挙げては可哀想なので、「新華網」に掲載された
「日本の各大手紙が小泉首相の靖国参拝を譴責」というタイトルの記事も改めて出しておきましょう。中国語ですけど。ちなみに「大手紙」とは『日本経済新聞』『朝日新聞』『毎日新聞』のことだそうです(笑)。

 http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/18/content_3637836.htm

 修業がまるで足りませんね、とは思いません。いまはもうマスコミに全てを頼らなくてもいい時代ですから、記者の皆さんはどうぞ心ゆくまで不摂生を心がけて下さい。どうせリーマンだから根性据わっていないでしょうし。

 ……いや別に私が言ったのではなく、そういう声がいま遠くで聞こえただけです(笑)。



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「上」の続き)


 この「事件」のニュースは中国の華僑向け通信社「中国新聞社」が配信したもので、「新華網」(国営通信社のウェブサイト)が間を置かずに掲載しています(2005/10/20/11:06)。

 大手ポータルの「新浪網」(SINA)だけでニュースサイトのあちこちに合計5本出ています。中国通信社の電子版である「中国新聞網」をはじめ、『重慶晨報』『光明日報』『新京報』などから転載したとされていますから、他の大手ポータルを含め中国国内の新聞やネット上で広範に報じられたことが予想されます。香港紙でも今朝(10月21日)の『香港文匯報』や『太陽報』が記事にしていました。

 私がこのニュースを「事件」とカッコ付きにしたのは、事件の存在自体を確認できなかったことと、この記事が日本で発行されている『中文導報』をソースとしているからです。私は『中文導報』を報道媒体としてみていません。前科と言えるかどうかはともかく、昨年冬の李登輝氏来日直前には「A級戦犯の息子!」(2004/12/24)でも一枚噛んでいますし。「事件」が事実かどうかはともかく、『中文導報』の報道は信用していないということです。

 それにしても「反日」気運を煽るという意味では
極上の燃料ですねこれは。先日入手した『電車男』中文版で喩えれば、

「大人的吻来了━━━(゜∀゜)━━━!! 」

 というところでしょうか。ああ大人のキスではありませんか。ともあれ「中国民間保釣連合会」や「愛国者同盟網」「反日貨聯盟網」など大手反日サイトの掲示板にはもうスレが立っています。

 まず言えることは、珍獣・糞青の力では到底仕掛けられない規模の「キャンペーン」ということです。少なくともメディアの一部を支配している有力な政治勢力にしてはじめて可能なことでしょう。ひょっとしてこれは情報戦なのでしょうか!?

 「事件」の信憑性が高ければ外交部-駐日中国大使館という筋で照会なり事実確認なりが行われるでしょう。『香港文匯報』(2005/10/21)の取材では外交部はまだ正式に動いていないようですが。

 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=GJ0510210003&cat=004GJ

 まあ、何事かを期待しつつ続報待ち、ということで(笑)。

 ――――

 さて、情報戦を仕掛けられたのかも知れない胡錦涛はといえば、10月12日に南京へ赴いて「第10回全国運動会」の開会式に出席した後、南京軍区及び江蘇省を視察しています。

 ちょっと興味深いのですが、視察の順番は南京軍区(13日)→江蘇省(14日)ながら、報道された順序は逆転していて、江蘇省視察は当日の14日に早くも記事になっているのに対し、南京軍区視察の記事は1週間後の20日になってようやく報じられました。

 江蘇省のトップである李源潮・省党委員会書記は共青団人脈でバリバリの胡錦涛派です。江蘇省といえば江沢民の牙城である上海市と隣り合わせ。そのうえ江沢民の故郷・楊州を管轄下に置いているのですから何かと気苦労も多いでしょう。胡錦涛は奮闘する子分をねぎらったものと思われます。

 もちろんそれだけではなく、胡錦涛はここで
「五中全会の精神を深く学び、実務においてもそれを徹底するように」という発言もしています。また、五中全会(党第16期第5次全体会議)で採択された「十一五」(第11次五カ年規画)の大筋は今後一定期間において中国の経済・社会発展の綱領的なものになるから、それに基づいてしっかるやるように、という趣旨の話をしています。

 言うまでもなく、「五中全会」では胡錦涛の提唱する「科学的発展観」「調和社会の実現」が今後の基本方針として前面に打ち出され、「十一五」も均衡を重視するという方針でそれに呼応した内容となっています。要するに江沢民時代のイケイケ路線(GDP成長率信仰)を否定し、均衡重視という意味ではトウ小平の「先富論」を押し退けるものです。

 トウ小平はともかく、胡錦涛が江沢民路線へのアンチテーゼともいえる「五中全会」や「十一五」を、江沢民がいまなお支配する上海市の隣(江蘇省)で談じていることに凄みを感じます。それとも嫌味でしょうか(笑)。いずれにせよ、江沢民派なり上海閥なりに対するデモンストレーションであることは確かです。

 なお、胡錦涛はこの視察に陳至立・国務委員と李継耐・中央軍事委員を帯同しています。陳至立は経歴からみると上海との縁が濃く、人脈としては江沢民に近い筋のように思われます。李継耐はミサイル畑ですね。それ故か、2003年10月の中国初の有人宇宙船プロジェクトで責任者(総指揮)を務めています。江沢民に従って「神舟六号」の宇宙飛行士を出迎えた曹剛川・中央軍事委副主席(国防部長を兼任)の副官だった時期もあります。現在は軍総政治部主任を兼務。

 李継耐についてはわかりませんが、陳至立を連れて上海市の隣に乗り込んだことも胡錦涛による江沢民への示威活動と言えなくもありません。

 http://news.xinhuanet.com/politics/2005-10/14/content_3617701.htm

 ――――

 でもより凄みを感じさせる行動はその前日、10月13日の南京軍区視察でしょう。軍権を握るポストの中央軍事委主席である胡錦涛はここで先代の江沢民を持ち上げつつ、翌日に江蘇省視察でやったように「五中全会」「十一五」の貫徹を強調しています。

「科学的発展観は我々が経済・社会の発展を推進する上で長期にわたり堅持しなければならない重要な指導思想だ。新世紀の新たな段階における国防・軍隊建設強化の重要な指導原則でもある」

 という発言は、江沢民は引退したんだよ、これからは俺の考えでやるからそれに従え、という意味でしょう。
「使命感・緊迫感を持って事に臨め」という久しく聞くことのなかった胡錦涛節も飛び出しています。

 この日は李継耐のほか、王剛・中央弁公庁主任(中央書記処書記を兼任)を連れています。王剛は五中全会直前まで、胡錦涛の後継者と目される李克強(遼寧省党委書記)にポストを奪われるのではないかとみられていた人物で、胡錦涛とは因縁の相手ということになるかも知れません。江沢民派だという報道もありましたが、私にはわかりません。

 例によって階級章などの一切ない軍服姿の胡錦涛が南京軍区の幹部と握手している写真が人民解放軍の機関紙『解放軍報』(2005/10/20)を飾り、それが「新華網」などに転載されています。このネタがまるまる1週間寝かされていた理由は不明です。

 http://news.xinhuanet.com/mil/2005-10/20/content_3652115.htm

 ――――

 なおこの記事に合わせるかのように、胡錦涛礼讃色の強い署名論評4本が『解放軍報』に掲載され、これまた「新華網」に転載されていまいす。

 http://news.xinhuanet.com/mil/2005-10/20/content_3652342.htm

 http://news.xinhuanet.com/mil/2005-10/20/content_3652435.htm

 http://news.xinhuanet.com/mil/2005-10/20/content_3652447.htm

 http://news.xinhuanet.com/mil/2005-10/20/content_3652459.htm

 胡錦涛礼讃と書きましたが、むしろそれよりは、

「胡錦涛に服従しろ、党中央に服従しろ、中央軍事委に服従しろ」

 ……と畳み込んでいるような印象に近いといえるかも知れません。

 畳み込まなければならない勢力が軍内部に存在している、ということでしょう。



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 もう「靖国参拝」ネタは出尽くした、と言ったばかりなのに、またそれについて書く破目になりそうです。ただ今回は話題があちこちに飛びますので散漫になることを諒として頂ければ幸いです。

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 まずは胡錦涛総書記の御用新聞たる『中国青年報』(2005/10/20)に出た署名論評。『人民日報』のウェブサイトである「人民網」にも即日転載されました。中国側による「靖国参拝」の位置付けと、「日中友好」についての本音が垣間見える興味深い記事です。

 ●小泉の「政治的知性」を観ずるに(『中国青年報』2005/10/20)
 http://www.people.com.cn/GB/news/37454/37459/3785909.html

 まず「靖国参拝」については、

「靖国神社問題は二国間関係の中にある様々な問題のひとつというような単純なものではなく、相互信頼確立のため、またその他の対立する問題を解決するための前提であり、礎石なのだ」

 ……と、つまり中国側にとって、「靖国」は日中関係を円滑にするための前提条件であり、譲れない原則だということです。「前提であり礎石」というほど重大な案件なら、「外相会談先送り」なんかでお茶を濁していないで、もっとガチな姿勢を示してほしいところですけどね(笑)。

 ――――

 北京の「なんちゃってデモ」だって遠慮することはありません。中国国内で報道させればいいじゃないですか。あとはメディアにもっと騒がせて、反日サイトの連中にどんどんデモを組織させないと。沿道で暴徒の参加を募りつつ進んで、大使館なり総領事館にまたどんどん汚物やレンガを投げ込ませて。日本関係の店鋪は破壊して日本車も大破炎上させて。大学は日本人留学生の受け入れ停止とか。

 ……無理ですよねえ。日本人留学生を拒否した瞬間に大学は収入激減で経営の危機に陥りますし、それ以前にこの社会状況でどんどんデモをやらせたらベクトルが意外な方向に向かって中共政権が危ない危ない。オリンピック消滅覚悟で戦車でも出しますか。でもその騒ぎで外資が逃げたら中国経済は失血死。

 だいたい今回は「反日」ではなくて「反小泉」なんですよね。孔泉・外交部報道局長も「日本政府が」じゃなくて、
「小泉首相が一切の責任を負うことになるだろう」と言っています。『中国青年報』のこの署名論評も「小泉の……」です。

 世論はどうあれ、それがオフィシャル。エネルギー浪費や環境破壊に代表されるような粗放きわまる発展モデルの中国にしてみれば、その点で何十年も先進的な日本は利用価値十分の大事な存在です。また日本企業にももっと中国に投資してほしい(※1)。

 だから目下のところは「反小泉」に攻撃対象を局限しています。中共政権にとってここでの「反日」は困る訳です。付言するなら、中共の言いなりにならず靖国神社参拝を続ける小泉首相の毅然とした姿勢に中共が「憎しみ」に加えて「戸惑い」を感じているということもあるかと思います。

 ――――

 
抗日何たら60周年記念も関連式典を全て済ませた。だからこれからは日本に歩み寄るシフトにチェンジしてやった。それなのに靖国参拝とは何事だ。……随分勝手な言い分ですけど、中国指導部は本当にそう考えているんですから日本も舐められたものです。

 まあ舐められているのは今に始まったことではないですからね。「日中友好」に対する中国側の本音が垣間見える部分を訳出してみましょう。

「中日関係正常化の立脚点は『歴史を鏡に』だ。国交成立前後、両国は現在よりも多くの、また深刻な問題に直面していた。だが当時の日本の指導者は『歴史を鏡に』を比較的よく尊重し、ときに『脱線』することがあっても迅速にそれを修正することができた。だからこそ中日友好という雰囲気が主流だったのだ」

 ……説明不要ですね(笑)。道理で熱烈な「反小泉」となる訳で、その熱烈ぶりには言いなりにならないことへの憎悪と戸惑いも含まれているとは上述した通りです。

 ちなみにこの記事の冒頭に例の『朝日新聞』による世論調査が出てきますが、
「回答者の65%が靖国参拝によって日中・日韓関係が損なわれるのではないかと考えている」と、それだけです。「参拝支持」が「参拝不支持」を上回ったことはスルー。相変わらずですねえ(笑)。

 ――――

 さて、小泉首相の靖国神社参拝を契機にデモなどの「アウトドア・ライフ」に入りたくて反日サイトを根城とする「糞青」(自称愛国者の反日教徒)や「珍獣」(プロ化した糞青)がうずうずしている、とは前回までに書いた通りです。

 それを当局は力づくで抑えています。上海や広州、深センなどで珍獣・糞青どもの企画したデモが治安当局の介入で潰されました。それ以前に北京で行われた珍獣・糞青十数名による「なんちゃってデモ」(参加者の少なさは当局による人数制限があったのだと思います)は中国国内では報道されていません。

 ……前回書いた通り、「なんちゃってデモ」をなぜ国民に知らせないのかは謎です。反日気運が高まるのを胡錦涛政権が懸念した、という説明もできますが、懸念して報道NGにできるくらいの統制力があるなら「江沢民情報」が新華社から流れるようなことは起きないでしょう。

 だいたい糞青の「飼い主」である政治勢力(たぶんアンチ胡錦涛グループ)が納得しないと思うのです。中途半端でガス抜きにもならない。どうせ「なんちゃってデモ」をやるなら五十人程度まで参加者制限を緩めるか、上海や広州でも同じようなことをさせる、でも国内での露出はNG。……ぐらいにしないとガス抜き&政治的妥協にはならないと思うのです。

 反日サイトの総本山格である「愛国者同盟網」には「この怒りのパワーを仕事や学業に振り向けよう」というスレが立って一定期間スレッド一覧のトップに固定されていましたが、「怒り」には「靖国参拝」だけでなく、自分達の行動を縛っている胡錦涛政権への批判も含まれているでしょう。上海でのデモ未遂事件で「愛国者同盟網」の中心的メンバーが警察に拘束された際には抗議スレも立っていました。

 まあ、こういう煮え切らなさや中途半端ぶりが現時点における胡錦涛の力量を示しているのかも知れませんが、だとすればいずれは珍獣・糞青以外からも「反小泉」ひいては「反日」気運を高めんとする動きが出てきてしまうでしょう。

 というかもう出てしまいました。昨日(10月20日)のことです。

 ――――

 ●中国人女子留学生、日本で故なく警官に殴打され身体中に負傷
 http://news.xinhuanet.com/overseas/2005-10/20/content_3653263.htm

 標題の通りの内容です。これはまた中国人の病的な自尊心の高さと赤剥けたコンプレックス、それに反日感情をピリピリと大いに刺激する、というか傷口に塩を塗り込めるようなベタなニュースですね(笑)。ということで以下に「事件」のあらましを。

 ――――

 10月7日夜、東京の某大学に通う21歳の中国人女子留学生が電車で帰宅途中、電車が新大久保を出て高田馬場に到着するあたりで50代とおぼしきスーツを着たサラリーマン風の男が突然近寄ってきて頭などを殴られました。

 これはまさに「電車男」的展開……かと思いきや、男は女子留学生の髪を強く引っ張りながら「俺と一緒に次で下りろ」「お前は外国人だろう。身分証を出して見せてみろ」とまくし立てて来ました。ざわめく他の乗客。それに気付いた男は「俺は警官だ」と身分証を示したそうです。

 駅で男に下車させられた女子留学生に他の乗客も付き添い、派出所まで行って確認したところ男は確かに警官。ただし酩酊状態だったとのこと。負傷した女子留学生は帰宅後病院へ行き、頭部打撲、頚椎捻挫、右腕打撲で内出血……などと診断されました。いずれも重傷ではありませんでしたが、PTSDのような心理的影響が出て大学にもアルバイトにも出かけられない状態のようです。

 東京中国人センターによると、男は近く刑事告訴される見通しとのこと。


 ――――

【※1】
 ●「民間」への影響、最小限に=靖国参拝、首脳と区別-中国方針(時事通信2005/10/19/19:10)
 http://www.jiji.com/cgi-bin/content.cgi?content=051020050613X578&genre=int

 【北京19日時事】中国政府は19日までに、17日の小泉純一郎首相による靖国神社参拝問題について、民間・経済交流への影響を最小限にとどめる方針を決めた。中国外交筋が明らかにした。中国は町村信孝外相の訪中を拒否したほか、一部市レベルの日中交流に影響が出ているが、中央が関与した民間訪中団などには指導者らも会談に応じる。日本外交筋によると、19日までに政府間の実務者協議もおおむね中止になっていない。


 ――――

「下」に続く)



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 小泉首相の靖国参拝。個人的信条によるものとは言いつつも、毎年毅然と参拝を続けることで「靖国」を取り巻く情勢がかくも変わるものなんですね。そのことを日本人に教えた、いや思い出させたという功績は大きいと思います。

 参拝への賛否はどうあれ、これは外国が口出しする性質のものではない、という意識も生まれています。あの朝日と共同の世論調査で、それぞれ「参拝支持」が「不支持」を上回ったのですから。

 事前調査では「不支持」が勝っていたことを思えば、参拝後に世論が一変したこの傾向は、中国や韓国の粘着かつ不必要な干渉が大きく貢献していることは明らかです。

 香港紙『明報』(2005/10/19)がこの調査結果に「日本人の意見は分かれている」としか書けなかったのはさぞや悔しかったでしょう(笑)。中国国内メディアも扱いに困っている様子がうかがえます。「参拝支持/不支持」のところは解説なしで目立たせずに流して、内閣支持率が微減したことを際立たせていたり。ご苦労様です。

 ――――

 一方で中国や韓国といった基地外国家に対し、敢然と年1回の参拝を継続することで「譲れないものは譲れないのだ」という日本の姿勢を毅然と貫き、それを理解させたことも非常に重要だと思います。

 これは「靖国」の件だけではないでしょう。中国や韓国が苦々しく受け入れるしかなかったのと同時に、日本あるいは日本人として毅然とした姿勢で信念を貫くことの大事さを私たちも学んだのです。後から振り返れば、これがある意味において戦後日本の転換点になるのかも知れません。それをリアルタイムに体験することができた私たちは幸運だと思います。

 『人民日報』(2005/10/18)は評論員文章(論説委員による重要記事ようなもの)で靖国参拝について、

「これは人類の良知と国際的正義への挑戦だ」

 とカッコよく書いていましたけど、反右派闘争、大躍進、その反動による全国的飢餓、そして文化大革命と続く中共政権の歩みこそ「人類の良知」を踏みにじる行為ではなかったでしょうか。

 寸鉄を帯びぬ自国民に対し、戦車まで投入して流血の武力弾圧を行った1989年の天安門事件は正しく国際的正義への挑戦であり、その証拠に西側諸国から経済制裁を喰らっています。

 ……ともあれ、過去60年近く戦争と魔女裁判ばかりやって、いまなお一党独裁に軍拡一直線の軍国主義国家には言われたくはないですね。

 ――――

 つい話が逸れました。要するに中国は華々しい論評が党中央の機関紙を飾ったりしたものの、所詮は口だけ。それもかなり抑制されており騒然たる雰囲気は生まれていません。

 報復措置マダー?(AA略)というところですが、政府のリアクションとしては外相会談の先送りしかできませんでした。キャンセルではなく延期なのです。小泉首相の靖国参拝という中共政権にとっての大事件に対し、「それだけ?」とこちらが聞き返したくなるショボさではありませんか。口だけなのです。やろうと思えば王毅・駐日大使(腹話術の人形)を本国に呼び戻すことだってできるのに。

 もちろんいま強硬策に出るのはリスクが高すぎる、という国内事情もある訳ですが、結局のところそれも利害調整や政治制度改革を無視した野方図な改革開放政策のツケであり、また一党独裁制のごく自然な帰結ともいえます。

 ちょっと乱暴な物言いになりますが、靖国参拝で流れるような外相会談なら別にやらなくてもいいでしょう。

 懸案の東シナ海ガス田紛争への影響がどうの、という向きもあるでしょうが、別に中国の許可が必要な訳でもなし、日本は日本の主張に則って試掘すればいいのです。ただ再三強調しているように、不測の事態に備えて自衛隊や海上保安庁がちゃんと働ける環境を整えてほしいのです。日本が試掘に動くことで不都合を感じれば、中国の方から接触してくるか、あるいは調停者が出てくるでしょう。

 ――――

 どうも雑談めいてしまっていますが、これは「靖国」に関する中国側のリアクションが余りに少ないからです。ええもうネタ切れです。「中国民間保釣聯合会」などが北京の日本大使館前で「なんちゃってデモ」をやったことは前回ふれました。それが中国国内メディアで全く報じられていないことも書きました。

 それに続く話題も「糞青」(自称愛国者の反日教徒)や「珍獣」(プロ化した糞青)になるのですが、やはり反日サイトの総本山格で北京での「なんちゃってデモ」にも参加した「愛国者同盟網」における中心的メンバー・虞海沢が昨日(10月19日)午後、上海の日本総領事館へのデモを実施しようとして警官に連行されました(当夜に釈放)。

 ●香港紙『星島日報』(2005/10/20)
 http://www.singtao.com/yesterday/chi/1020eo02.html

 一方で上海市の焦揚・報道官は昨日の定例記者会見において、現時点では市当局にデモの申請が出されてはいないと表明。反日気運が再び高まりつつある市民に対して冷静さを保ち、未許可デモに参加したりしないよう呼びかけています。「靖国問題」については、

「中国政府はすでに日本側に対し強い抗議を行っている。上海市党委員会と市政府は中央政府の立場を擁護するものである」

 とのこと。「強い抗議」ですか(笑)。その「強い抗議」が余りにみすぼらしいから市民のフラストレーションがたまっているのかも知れませんよ。「反日気運」とは言い条、弱腰な中国政府にも鉾先は向いていると思いますが、如何でしょう。日本サイドにすれば外相会談が流れるのは織り込み済みでしょうけど、それを察することなく快哉を叫んでいるのなら大平楽ですね。

 香港の親中紙『大公報』(2005/10/20)
 http://www.takungpao.com/news/05/10/20/ZM-472557.htm

 なお、糞青関連では広州市で抗議活動をやろうとした「広東愛国者志願網」に昨日警察の手が入り、掲示板が活動停止状態とのことです。

 ●広東愛国者志願論壇
 http://www.gd918.org/x/index.asp

 ――――

 実際のところ、中国国内では「靖国参拝」への直接的対応は外相会談を流すことで一段落しているように思います。現在はすでに「靖国参拝」に刺激された党上層部の暗闘、といった段階に入っているのではないでしょうか。これは先日閉幕した五中全会(党第16期第5次全体会議)以前から続いているものですが、「靖国参拝」で新たな要素が加わった部分もあるかと思います。

 まず感じるのは「胡錦涛君、大丈夫?」ということです。それを象徴する出来事が2つ起きていますね。まずは北京の「なんちゃってデモ」、これをやらせたのに中国国内のメディアは一切報じていません。中途半端です。私も合点がいかないのですが、アンチ胡錦涛で団結した諸派連合や対日強硬派に配慮した一種のガス抜きでしょうか。「中国民間保釣連合会」や「愛国者同盟網」の「飼い主」が胡錦涛総書記に配慮された側にいるのだろうとは思います。ただガス抜きにしてもこの扱いはかなり中途半端な気がしますけど……。

 もうひとつは前回紹介した江沢民出現報道です。こういう異常な報道が新華社から流れてしまうこと自体、胡錦涛の脇の甘さを露呈しているように思います。同時に、曹剛川・中央軍事委副主席(国防部長を兼務)や中央軍事委のメンバー2人が江沢民に従っていたことで、胡錦涛が制服組を掌握し切れていないことも示唆していますね。

 軍部が小泉首相の靖国参拝に相当ムカついていることは、人民解放軍の機関紙『解放日報』がこれを厳しく批判した署名論評をわざわざ掲載したことでも明らかです。

 http://www.chinamil.com.cn/site1/xwpdxw/2005-10/19/content_319527.htm

 ――――

 しかし目下のところ、胡錦涛はこれ以上事態を複雑にしたくはないでしょう。終始自分のペースで事が運べたとは言い難い「五中全会」ではありますが、そこで採択された胡錦涛オリジナルの「調和社会の実現」や、独自色を打ち出した「十一五」(第11次五カ年規格)に一意専心、邁進したい。

 そんなときに「靖国」の余波が国内に及んで反日騒動が再燃するのは困りますし、軍部に東シナ海ガス田紛争の現場近くなどで再び示威行動のような武断的アクションに出られても困る。そこで胡錦涛は少なくともいま暫くは大人しくしているよう軍部を必死に説得しているのではないでしょうか。あるいは、それに対する軍部の反発が「江沢民報道」という形で表れたのかも知れません。

 その折も折、温家宝首相が10月8日、「五中全会」の最終日に「十一五」についての説明を行った、という記事が「新華網」などに出ました。昨日のことです。

 http://news.xinhuanet.com/politics/2005-10/19/content_3648236.htm

 これは「五中全会公報」などとは比較にならないほど長文なので私はまだ読んでいませんが、香港紙によると各地方政府、すなわち全体より地元の利益を優先しようとする全国の「諸侯」に対し、中央政府に服従するよう警告した内容のもののようです。

 ●『星島日報』(2005/10/20)
 http://www.singtao.com/yesterday/chi/1020eo03.html

 ――――

 もともと基盤が強いとはいえない胡錦涛政権ですが、「靖国参拝」によって軍主流派との関係が微妙になるのではないかという懸念が出てきました。その「靖国」にしても、今回はメディアによる大がかりな反発キャンペーンを発動することも控えるほどです。国民を無用に刺激することを恐れている。むろんそれは現在の社会状況を反映したものです。そこまできてしまった、ということなのでしょう。

 中国側に動きがなければ、「靖国」ネタはこれで打ち止めということになるかと思います。呆気ないようでもありますが、いまの中共政権にとってはこれが精一杯、ということでしょう。今後は旧正月前までの期間、「調和社会」という空虚なスローガンが「人民内部の矛盾」によってどれだけ暴かれるかに注目したいところです。


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 これじゃあこちらが焦れてきます。どうも燃え上がらないんです。

 もちろん中共政権の話です。小泉首相がせっかく「靖国カード」を切ってやったというのに、今春の反日騒動のときのように踊ってくれません。あの反日騒動では火付け役(アンチ胡錦涛派)と火消し役(胡錦涛派)が華々しく綱引きをやってみせてくれたのに、何ですか今回のこのノリは。

 小泉参拝の翌18日には超党派の国会議員101名が大挙参拝して、改めて燃料を投下してやっているんですよ。

 ●靖国参拝:超党派の国会議員101人が集団で(「毎日新聞」2005/10/18/11:15)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20051018k0000e010038000c.html

 さすがは毎日、「101人が集団で」ってまるで武装グループか何かのようですね(笑)。

 ――――

 毎日といえば
「日本の各大手紙が小泉首相の靖国参拝を譴責」なんてタイトルの記事が国営通信社のウェブサイト「新華網」に出現しました。

 http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/18/content_3637836.htm

 ええっ!?と思って読んでみたら
『日本経済新聞』『朝日新聞』『毎日新聞』でした(笑)。読売とか産経はスルーですか、そうですか。

 直接関係ありませんが、こういうものもありました。情報として出しておきます。

 ●靖国参拝が影響、広州市での文化交流行事が延期に(「読売新聞」2005/10/18/19:34)
 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051018it12.htm

 広州市の大学構内で18日夕に予定されていた日中文化交流行事「爆笑、日本芸能の夕べ」の開催が、主催者・広州日本商工会の判断で急きょ延期された、とのことです。

 ――――

 それにしても困りました。

 靖国参拝→てやんでぇ→政争勃発→喧嘩だ喧嘩だぁ→火事だ火事だぁ→ブラックアウト→スタッフロール

 ……という展開を期待しているこちらのことも考えてほしいものです。だいたいここは日中関係が悪化するとアクセス数がはね上がる珍奇なブログなんですから(笑)。
お願いですから荒れて下さい。

 せっかく「糞青」(自称愛国者の反日教徒)が十数名で北京の日本大使館に「なんちゃってデモ」をかけたのに、中国国内メディアには黙殺される始末。つまり「なかったこと」扱いです。

 
「中国民間保釣聯合会」「愛国者同盟網」「反日貨聯盟網」という反日サイトの総本山クラスがズラリですよ(十数名ですけど)。「珍獣」(プロ化した糞青)の代表格ともいえる童増(中国民間保釣聯合会会長)まで参加しているのに、そんな殺生な。

 ●『明報』(2005/10/18)
 http://hk.news.yahoo.com/051017/12/1hr1c.html

 ――――

 で、「中国民間保釣聯合会」といえば前回のコメント欄でそのサイトに入れないという報告を「aquarellisute」さんから頂きまして、早速アクセスしてみたら確かに入れません(※このエントリーをupした後で試したらアクセスできました)。でも「愛国者同盟網」には問題なくアクセスできたので、問題が生じて閉鎖状態にされたのなら「中国民間保釣聯合会」単独のことだろう、でも何だろうと考えたりしました。

 すると今朝の香港紙『太陽報』(2005/10/19)に原因らしきものが出ていました。さすがは珍獣に糞青、全国的なデモを計画したようです(笑)。
「各地で色々な抗議行動が起こるだろう」と珍獣・童増会長が豪語しています。まさに大胆不敵。この空気の読めなさ加減と必ず期待に応えて馬鹿をやってくれる、というところが珍獣・糞青の愛すべき点ですが、いくら何でも時機がマズかったようです。

 http://the-sun.orisun.com/channels/news/20051019/20051019022452_0001.html

 この件の背後にも複数の政治勢力による暗闘があったのでしょうか。つまり「火消し役」が「火付け役」を抑えたということです。

 今回は、逆のケースかも知れません。政策や好き嫌い、それに利害関係で反目があって様々な派閥があるとしても、いずれも現体制(中共による一党独裁)の崩壊は望んでいない
「中共人」。春の反日騒動で政権の屋台骨が揺さぶられたので懲りたのではないでしょうか(当時は毎週末に全国各地でデモが起きていましたから)。で、今回は「飼い主」の思惑を超えて暴走しようとする糞青どもに「飼い主」自身が慌ててブレーキをかけたのではないかと。

 大体いまや「反日」がなくても暴動やらデモやら農民の抗議行動やらが頻発している状況です。中共の言う「人民内部の矛盾」が沸点に達するかという段階ですから、「反日」に向けられた鉾先が唐突に別の方向へ転じかねないということは、「中共人」なら誰でも想像することでしょう。……それにしても糞青どもの不屈の魂には恐れ入ります。

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 という訳で、珍獣・糞青も励んでくれてはいるのですが、「靖国参拝」という大事件が起きたのにネタ不足で不完全燃焼です。目下のところ最大のニュースは外相会談の一件でしょう。

 ●町村外相の訪中拒否 対日報復で会談中止(「Sankei Web」2005/10/18/21:07)
 http://www.sankei.co.jp/news/051018/kok072.htm

 ●中国、「靖国」で町村外相の訪中拒否(「読売新聞」2005/10/18/20:53)
 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051018it13.htm

「中国外務省の孔泉報道局長は18日の定例記者会見で、23~24日で調整されていた町村外相の訪中について、『現在、中日関係が直面している深刻な状況下で、訪問は時宜にかなわず、受け入れには不都合がある』と語り、拒否を表明した。」(読売新聞)

 とのことですが、外交部報道局のエース孔泉を登板させた割にはショボい内容です。原文にあたればわかりますが、「拒否を表明した」は記者が付け加えた判断です。「受け入れには不都合がある」までしか孔泉は言っていません。まあそれを「拒否」と判断しても間違いではありませんけど。

 でもこれ「拒否」といっても、実はキャンセルではないんです。中国語では「推遅」で、延期する・先送りする、という意味。一部香港紙はそこをセンセーショナルに「取消」(キャンセル)に書き換えていますけど、キャンセルのような絶交じみたものではなくて、対話再開に含みを持たせた「延期」なんです。現時点では無期限延期ですけど、キャンセルではない。孔泉が偉そうに言い放った割に、かなり及び腰の内容なのです。

 ――――

 それにしても、「靖国参拝」に対するリアクションとして「外相会談延期」だけでは余りにヘタレで釣り合わないでしょう。というよりこんな半端な対応では、ネット世論に「弱腰すぎる」と政権が揺さぶられかねません。ビッグサプライズが準備されていることを切に望む次第です(笑)。それともいまの胡錦涛じゃ無理なのでしょうか。

 糞青・珍獣どもによるデモを仕掛けて政争を挑むかどうかは別として、胡錦涛政権のこの対応については党上層部内で批判が出て、それが主導権争いに発展する可能性はあります。

 たとえば胡錦涛を手放しで礼讃しているとはいえ、実質的には逆に胡錦涛を操り人形にしている観のある軍主流派、これは強硬派の劉亜洲少将とか核戦争発言が物議をかもした朱成虎少将のような「過激派」ではないとはいえ、やはり軍人ですから物足りなさを感じるのではないでしょうか。

 反発するのが軍部だけとも限りません。

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 「新華網」でちょっと気になる記事を拾いました。例の有人宇宙船「神舟六号」ですが、このプロジェクトに4名いる副責任者(副総指揮)の一人が江沢民の長男・江綿恒なのです。それが妥当なものかどうかはともかく、江綿恒は「中国科学院副院長」という肩書で参加しています。

 ●「新浪網」(2005/10/12)
 http://news.sina.com.cn/c/2005-10-12/13587150538s.shtml

 で、問題はこれではなく「新華網」の記事です。小泉首相の靖国参拝とかぶってしまった「神舟六号」の帰還を報じた記事です。これには2バージョンありまして、タイムリーに出た第一報ではなく、1日近く遅れてそっと出された第2バージョンが注目なのです。

 ●神舟六号のクルー、北京入りして熱烈な歓迎を受ける(「新華網」2005/10/18)
 http://news.xinhuanet.com/mil/2005-10/18/content_3636472.htm

 最初の4行が全てです。その部分を端折りつつ訳出します。

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 【新華網北京10月17日電】17日午前9時28分、宇宙飛行を終えたばかりで、祖国に帰還してほどもない有人宇宙船神舟六号の飛行士、費俊龍と聶海勝は内蒙古自治区の着陸場から専用機で北京へと飛んだ。

 神舟六号が無事帰還したことを
江沢民同志が祝福した。

 党中央政治局委員・中央軍事委副主席・国務委員の曹剛川らが空港で2人の宇宙飛行士を出迎えた。

 ――――

 何と江沢民が北京に来ていたのです。言うまでもなく、第一報に「江沢民」は出てきません。

 http://news.xinhuanet.com/politics/2005-10/17/content_3625902.htm

 曹剛川が党中央、国務院、中央軍事委員会を代表して出迎えた、となっています。が、実はその隣に江沢民がいた訳です。

 しかもこの第2バージョンによると江沢民が最初に出迎え、それに中央軍事委の曹剛川、陳炳徳、喬清晨、またプロジェクト関係者や飛行士の親族がその場にいたことになっています。

 そこでこちらはウーンと考え込んでしまうのです。他でもない江沢民ですから、北京に出てきただけでも政治的な勘繰りをしてしまいます。しかも胡錦涛を主席に戴く中央軍事委から3名を引き連れているのですからいよいよ怪しい。しかも曹剛川は中央軍事委副主席に加えて国防部長(国防相)も兼務しているのです。

 ――――

 とりあえず、珍獣・糞青だけでなく権力の頂点でこういう動きもあった、と記憶しておく必要があると思います。反日団体に江沢民、軍部……あと動くとすれば、上海に代表される地方勢力、「諸侯」のお歴々でしょう。

 動機はあります。先の「五中全会」(党第16期第5次全体会議)で大筋が採択された「十一五」(第11次五カ年規格)が具体的に内容を詰める作業に入るからです。この「具体的内容」をめぐって中央(胡錦涛政権)と地方が火花を散らすことが予想されます。

 中央は全体を見据えた割り振りを行う訳ですが、地方政府にとっては発展に枠をはめられ、開発を制約されるようなものですから必死で抵抗するのです。いま手元にある記事では上海市、広東省それに四川省など内陸部あたりが気になる動きをしているように思います。

 何はともあれ、荒れてほしい。ただそれだけです(笑)。





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 前回を「速報」扱いにした手前、本腰で色々書かなければならないところですが、何だか「速報」の筈がほとんど書き尽くしてしまったようで目下ネタ不足で悩んでいるところです。

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 とりあえず「なんちゃってデモ」いきますか。昨日午後に北京の日本大使館前に横断幕を持った十数人のデモ隊?が押し掛け、小泉首相の靖国参拝に抗議したそうです。デモは20分で終了したそうです。

 ●反日団体が大使館前で抗議 中国、規制は強化か(共同通信2005/10/17/21:44)
 http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=IBR&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2005101701003197

 大使館付近には警官多数が配備され、デモ隊?からの投石などはなく……と報じられていますが、ある訳ないじゃないですか「なんちゃってデモ」なんですから。ほら昨年に李登輝氏が訪日した際にやった、あれです()。

 メンバーも「愛国者同盟」「中国民間保釣聯合会」「反日貨聯盟網」といった反日サイトの総本山クラスの連中です。糞青(自称愛国者の反日教徒)や珍獣(プロ化した糞青)が謹慎を解かれ、久しぶりに屋外へと出て参りました(笑)。

 進歩したところが2点あります。まずは日本大使館が開いている日にデモが打てて、抗議声明のようなものを初めて大使館員に直接手渡すことができたということ。もう1点は言うまでもなく、許可制でしかも認可されにくい筈のデモが、靖国参拝の当日午後に早くも実施できたこと。

 ――――

 この種の団体は民間組織とはいえ、実際には党上層部におけるいずれかの政治勢力を飼い主としています。いわば官製の「反日民間団体」でして、「飼い主」の手足として甲斐甲斐しく活動しているのです。警官隊の増援からデモ認可までの一切は「飼い主」が手筈を整えてくれたのでしょう。NG行為についても言い含められていたと思われます。

 問題は、いま現在この連中の「飼い主」はどの政治勢力なのか、ということです。胡錦涛サイドでないのだとすれば、またもや「反日」に名を借りた政争に発展する可能性があります。

 御記憶の方も多いでしょうが、今年3~4月、当初は日本の国連安保理常任理事国入り反対のネット署名に入れ込んでいたこの連中が、街頭署名を始めたことからプチ暴動などが起き、さらに反日デモ+プチ暴動へと発展しましたね。これには胡錦涛ばかりか当時の「飼い主」とみられるアンチ胡錦涛勢力をも慌てさせ、政争そっちのけで党中央を挙げて火消しに躍起となった経緯があります。

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 胡錦涛政権としては、そういう展開はもう勘弁というところでしょう。極めて「不調和」で不穏な社会状況でもありますし。その「もう勘弁」な展開をこちらは待ち望んでいるのですが(笑)。その行方を占う意味で、糞青・珍獣の今後の動向からは目が離せません。そもそもこの連中が再復活を遂げたこと自体が政治的ニュースといっていいかも知れません。

 で、この「なんちゃってデモ」で気付いたこと。抗議の対象が「小泉首相」、あるいは「小泉首相とそれを支援する右翼勢力」と実にコンパクトにまとめられていたことです。前回紹介した王毅・駐日大使の声明と一脈相通ずるものがあります。

 というより、当日の脊髄反射として中共はその線で足並みを揃えているようにみえます。「小泉だけ叩く」ということです。

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 事実関係だけを並べていきますと、まず23日から北京で予定されていた日中外相会談が中国側の強い反発で取りやめとなったそうです。

 ●中国外相が強く抗議 日中関係、一段と悪化(共同通信2005/10/17/22:08)
 http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=IBR&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2005101701003525

 靖国参拝で駐中国日本大使が呼びつけられて説教されるのは毎度のことですが、李肇星外相自らが阿南大使を呼び、声明文を読み上げる形で抗議するというのは異例のことだそうです。李外相いわく、

「小泉首相は自分の誤った行為が引き起こす深刻な政治的な結果に全責任を負うべきだ」

 ほらまた小泉首相を狙い撃ちです。

 余波といえそうな出来事も起きています。山東省・青島市で開催されていた日中文化交流イベントに協賛していた青島ビールなど中国企業が相次いで撤退を表明したとのこと。イベント自体の報道にも規制が入ったようです。

 ●交流行事で中国企業が撤退 靖国参拝が影響、報道も規制(共同通信2005/10/17/22:09)
 http://www.sankei.co.jp/news/051017/kok096.htm

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 中国国内メディアの反応ですが、速報したものの、あとは事実関係だけを報じたり、共同電の引き写しでお茶を濁すといったものが多く、全体として抑制されたトーンです。ネット世論あたりから炎が噴き上がるのを避けるためでしょう。ただ昨日(10月17日)夜遅くになって新華社が解説めいた記事を出してきています。

 ●またも公然と靖国参拝、小泉純一郎は歴史の罪から逃れられない(新華網2005/10/17/23:26)
 http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/17/content_3635969.htm

 ●専門家「小泉はその重大な過ちによって歴史的責任を負うことになる」(新華網2005/10/18/00:19)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2005-10/18/content_3636098.htm

 またまた小泉首相に的を絞ってきています。まあ、そういう形にしたいのでしょう。これも「王毅声明」と同じで、攻撃する対象を局限することで他方面への影響を極力回避する狙いがあると思います。

 日本との経済交流が冷え込むのも困るでしょうけど、たぶんもっと困るのは「反日気運」の過熱化かと。「反日+α」で政権を揺るがすポテンシャルを秘めていますからね。そうでなくても暴動頻発ですし。

 あと直接関係はありませんがこういう記事が出ています。

 ●中国のガス田開発、7割が中止求める…読売世論調査(読売新聞2005/10/17/20:31)
 http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20051017it12.htm

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 それにしても日中双方ともやけに手回しがいいですね(笑)。王毅が声明を出すのも北京の「なんちゃってデモ」も打てば響くといいますか、待ってましたと言わんばかりの反応の良さ。日本大使館が警戒警報メールを出したのも珍しくといっては何ですが、素早い対応ではありませんか。

 両国間で、秋季例大祭期間中の靖国参拝で手打ちがあったのではないかと勘繰りたくもなります。その場合、誤算だったのは有人宇宙船の帰還日とかぶってしまったことでしょうか。まあ余談ということにしておきますけど。

 ただ有人宇宙船「神舟6号」の帰還日という中国にとって賑々しい日とかぶってしまったのは事実ですね。もう中国国内メディアも香港各紙も、小泉首相がわざとその日を狙って参拝したんだと決めつけています(笑)。赤剥けて痛々しいばかりのコンプレックスと病的なまでの自尊心の強さを足し算するとこうなります、といった格好です。この自意識過剰ぶりはビョーキです。もちろん治癒不可能。

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 個人的には中共内部でひと悶着あってほしいですねえ。そろそろ農閑期で農民も動きやすくなるでしょうし(笑)。

 糞青・珍獣の復活でそこはかとなく漂う政争の香り。胡錦涛政権による統制もすでに昔日の勢いを失っています。動け飼い主・働け糞青。千載一遇の好機逸すべからずです。この火を絶やしてはいかんざき。


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 【関連記事】「反日」ならぬ「反小泉」報道(2004/10/28)

       起爆剤・上――胡錦涛とりあえず政策論争を制す。(2005/04/20)

       起爆剤・中――勝利が一夜で崩れることも。(2005/04/20)

       起爆剤・下――危機は去ったか?(2005/04/20)

       分水嶺。・上(2005/10/06)

       分水嶺。・下(2005/10/07)



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 とりあえず速報しておきますね。小泉首相がきょう(10月17日)午前、靖国神社を参拝しました。

 今回は普通のスーツ姿で昇殿することもせず、一般の参拝者と同じような形をとりました。ただし事前に手を浄めてはいませんし、二拝二拍一拝ではなく、一礼したあとお賽銭を投じて、しばらく黙然と手を合わせていました。

 「私的参拝」を強調するためだろうとテレビでは解説していましたが、私的であれ公的であれ騒ぐところは騒ぐ訳ですし、私的なら私的で神社のルールに従うべきじゃないのかなあ……と思いました。

 ――――

 個人的感想として、「第二幕」という言葉が浮かびました。

 昨年の四中全会が序曲。

 4月の上海における反日デモが第一幕のピーク。

 そしてここからが第二幕です。

 いや、呉儀事件あたりが第二幕で、ここからが第三幕と言うべきかも知れません。では第三幕ということで。

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 小泉首相の靖国神社参拝については国営通信社・新華社のウェブサイト「新華網」でもすでに速報し(11:39)、駐日中国大使館の報道官を通じて出された王毅大使の声明を掲載しています(11:41)。

 ●第一報
 http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/17/content_3624700.htm

 ●王毅声明
 http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/17/content_3624704.htm

「17日は中国の有人宇宙船・神船六号が勝利の帰還を果たした日であり、中国人民がまさにそれを慶賀しているというその日に小泉首相が靖国神社を参拝するとは、中国人民全体に対する重大な挑発である」(王毅声明)

 だからお前は自意識過剰なんだよ王毅。中国の有人宇宙船がどうしたなんて知らないってそんなこと。そもそも中国国内のことだから日本に関係ないし。靖国参拝も日本国内のことだから中国には関係ないし。あと眉毛ちゃんと手入れしとけよ。

「小泉首相は中日関係を破壊した歴史的責任を負わなければならない」(王毅声明)

 おお、とうとう「中日関係を破壊」ときましたか。本当に破壊されるのなら嬉しいのですけど(笑)。物々しいようでもありますが、月並みな解説をすれば、この一句で「敵」を「小泉首相」ないしは「小泉首相を支援する右翼勢力」に限定し、
鉾先が日本及び日本国民全体、あるいは日中間の経済関係へと向かわぬよう配慮したともいえます。

 しかしまあ「日中間で取り交わされた3つの政治的文書」に違反したとか3つの政治的文書の精神に反したという言辞は今回も出てきませんから(つまり現時点の認識として靖国参拝はそれに違反するものではないのでしょう)、昨年末の李登輝氏来日に比べるとソフトな扱いといえます。

 あとは出先ではなく北京からどういう声明が出て来るのかに期待しましょう。ネット世論の動向も要チェックですよ。日本批判と同時に「胡錦涛政権は弱腰だ」という声がどういう形でどれだけ出てくるか。それとも削除職人がサクサク仕事してしまうのでしょうか。

 ――――

 お芝居の話に戻りますけど、これで五中全会も有人宇宙船も吹っ飛びますね(笑)。せっかくカネかけての国威発揚イベントだったのに(笑)。

 とりあえず、日本の国内問題である靖国参拝に口を出してしまったために、中国の政情は日本の内政問題で動揺することになるでしょう。

 胡錦涛も温家宝も昨年の首脳会談で小泉首相に
「参拝するな」と言っています。それは中国国内でもちゃんと報じられました。

 それなのに結局また参拝されてしまった。当時、日本側が首脳会談開催前に「来年も参拝するよ」という予告を中国側に対して行っていたという説があります。中国側はその予告を踏まえた上で首脳会談に臨んだということですが、そんなものは内々のことであって表には出てきません。逆に出てきちゃったらネット世論はいよいよ大騒ぎですけど(笑)。

 ともかく「参拝するな」が無視されてしまったので、表向きは胡錦涛と温家宝の面子丸潰れです。政治的失点ですね。
アンチ胡錦涛勢力には反撃の好機となります。

 反撃の方法として懐かしき糞青(自称愛国者の反日教徒)や珍獣(プロ化した糞青)を手足に使うこともあるかも知れません。反日デモ(なんちゃってデモではなく)まで事態が進むかどうかはまだわかりません。ただ、党中央は反日デモを「政治的に悪」と位置付けていない、つまり善悪の判断を留保したままなので、成り行きによっては再燃の可能性もあることは覚えておいて損はないと思います。まあ、ここで好きにデモをやらせたら政権が崩壊しかねませんけど(笑)。

 ただし、糞青どもの数少ない屋外活動(笑)のひとつ、尖閣諸島へ船を出すことはないと思います。今度尖閣諸島に船を出すなら、世論からして海軍艦艇ないしは巡視船の護衛をつけて公開処刑にならないようにするでしょうし、あるいは軍による奪回作戦ということになると思います。現時点ではさすがにそこまでは踏み切れないでしょう。

 ――――

 こうしたアンチ胡錦涛勢力の蠢動とは別に、中国指導部における軍主流派の台頭も懸念されるところです。連中は9月末から胡錦涛礼讃記事をどんどん発表しています。でも五中全会の結果からみて、胡錦涛が軍主流派を掌握したというより、軍主流派が胡錦涛を操り人形にした観があります。胡錦涛が軍主流派に魂を売り渡したというところでしょうか。

 主流派とはいえ軍人です。強硬姿勢を言葉ではなく武断的なアクションで示したいところでしょう。例えば東シナ海ガス田付近の海軍艦艇航行とか、空軍機の悪戯で航空自衛隊にスクランブルをかけさせるとか、まあそういう示威的なものです。

 今後、指導部内でそういう意見がいよいよ力を持つようになると思います。

 五中全会が示したのは胡錦涛政権の支配力低下です。公報を読んでも、胡錦涛は今回も「核心」をつけてもらえませんでした。

 
「胡錦涛総書記を核心とする……」ではなく「胡錦涛同志を総書記とする……」でしたね。

 言うまでもなく、これは胡錦涛が「核心」と称されるにふさわしい権力固めが未だできていない証拠です。最低でも江沢民が「核心」と呼ばれていた時期に比べれば統制力がまだまだ足りない、ということでしょう。

 要するに第一幕、第二幕を経てはみたものの、中国の政情はまだ落ち着いておらず、胡錦涛政権は磐石とはいえません。そこへ靖国パンチですから、事態が流動的になり、しばらく先が読めない展開になるのではないかと思います。暴動頻発という社会状況もありますし。

 ――――

 日本は日本のやるべきことを着実にやっていけばいいでしょう。

 個人的には強硬論が力を持つのではとみていますから、自衛隊や海上保安庁がちゃんと仕事をできるような環境を一刻も早く整備してほしいところです。

 以上、とりあえずの速報です。一本調子で馬鹿騒ぎするマスコミは放置して、きめ細かに事態の動きを眺めていきたいと思います。



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 えー前回にジニ係数の話で盛り上がってしまいまして、私も混ぜてもらって発言したかったのですが第一に忙しかったのと、コメント欄が長くなると読み込みに時間がかかってしまうということもありますので、ここで勝手にやらせて頂きます。独りで迎え酒を飲んでいる奴がいるとでも思って下さい(笑)。

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 ジニ係数なんて言葉を素人の私が振り回すのも面映いのですが、まずいえることがひとつ。前回のコメント欄で「電波小僧」さんが示して下さったように、現在の中国のジニ係数は諸説あるということです。前回のエントリーで私が引用した記事でも、

 ●「0.45」を超えている
 ●「0.45」に迫る勢い
 ●「0.45」

 と3つの値が出てきます。本当はもっと深刻だろうということで「電波小僧」さんが諸例をひいて下さいましたし、様々な「前科」からみてまずは「0.45」を疑ってかかるべきだと思います。「前科」の一例を挙げますと、例えば昨年のGDP成長率、国家統計局が弾き出した数字は「9.5%」なんですけど、各地区の報告に基づいて計算したら3.9ポイントも高い「13.4%」だったそうです。政府は「9.5%」説を採ったようですけど。

 ●「新華網」(2005/03/07/17:19)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-03/07/content_2663385.htm

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 ただ実勢は遥かに深刻だとしても、とりあえず私は国営通信社である新華社をはじめ中国国内メディアが警戒水域を突破した「0.45」という深刻な状態を公認していることを重視します。その上で、

「努力することによって、わが国は2010年のジニ係数を「0.45」という現在の水準で維持することが望めるだろう」

 ●数字による「十一五」展望
 http://news.xinhuanet.com/stock/2005-10/12/content_3606994.htm

 とはっきり言ってしまっていることに非常なる驚きを覚えました。だってそれじゃ現在と同じく「不調和」なままじゃないですか。それって「調和社会の実現は無理」って言っているようなものでは?……と、驚くままに書いたのが前回のエントリーです。

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 ジニ係数も一つの指標ではあるけれど……という「katze」さんの御指摘はその通りだと思います。確かにジニ係数だけでは見えてこないものがあると思います。で、私にとってジニ係数は、中国社会の「可燃度」を測るための目安です。部屋にガソリンをまいた、そのまきっぷりの度合いを示すものではないかと。

 タネ火を落としたときの燃え上がり方が違ってくる訳です。ジニ係数が高くなるほど激しく炎上するし、小さなタネ火でも炎を噴き上げる可能性が高くなるということになります。

 そのタネ火が何なのか、いつくるのかはわかりません。現状で考えられるのは党幹部の汚職、失業問題、失業から発展した重慶のようなデモ、あるいは物価上昇というのもあります。今年6月末に発生した安徽省池州市の都市暴動の発端になった交通事故(金持ちの車が自転車に乗った中学生に接触)のような、一見現在の社会状況とは無関係なものかも知れません(この暴動については無関係ではありませんが)。

 とりあえず、すでに「物のはずみでどうなるかわからない」状況に達しているとは思います。ですから私は中共政権がいつ潰れるかは予測できません。ただあと20年続くのであれば、そのときの中共は清朝末期のような、あちこちから喰い物にされて統治者としての実質を失った政権になっているだろうと思います。

 ――――

 貧困とか格差の源泉は、「在中国2」さんの御指摘のように「都市vs農村」だと思います。ただ中国の改革開放政策は当初は農村を潤す内容のものが主流でした。「働けば働くほど豊かになる」として農民の生産意欲を刺激し、余剰労働力の受け入れ口として郷鎮企業の設立などもありました。それが外資導入などで都市中心の発展へと足場を移していき、今では「三農問題」(農村・農民・農業)として農村は取り残された存在になってしまったのです。

 改革・開放の重点が都市に移ったあたりから対立軸が増えていきます。「都市vs農村」の他にも「沿海部vs内陸部」といった地域間格差、これには「上海vs広州」のような「沿海部vs沿海部」というケースもあります。同じ都市の中でも業種間格差があり、これも軽視できません。1989年の民主化運動の一因には「知識人の待遇が個人経営者(個体戸)に比べ非常に劣っている」ということもありました。そして伝統的ともいえる「官vs民」です。端的には汚職問題が挙げられます。

 前回書いたように、いま不労所得の伸び率が勤労所得を大きく上回っているという状況も、やがては新たな対立軸に発展していくと思います。

 ――――

 そういう様々な対立軸を「強権政治・準戦時態勢」(+子分である共青団人脈をどんどん地方のトップへと送り込む)によって中央の統制力を高めつつ、荒療治で対立の改善・解消を目指す、というのが発足当初の胡錦涛政権に対する私の見方でしたが、先の五中全会における公報(コミュニケ)、「ふわふわ感満載」と私が評したあの文章からは危機感・緊張感がすっぽりと欠落しています。

 それゆえ「ピリピリ」ではなく「ふわふわ」なのですが、要するに胡錦涛は危機感・緊張感を公報に盛り込む力を失ったのかも知れません。

 あるいは昨年9月の四中全会のピリピリ感あふれる公報は、「試用期間中だからまあ好きにやらせてやろう」ということだったのでしょうか。

 それで試用期間を経て「やっぱり胡錦涛の好きにやらせておいたら駄目だ」ということになったのかも知れませんが、いずれにせよ今回の「ふわふわ」公報は、胡錦涛政権には「強権政治・準戦時態勢」で荒療治を行う力がないことを示しているように思います。

 ――――

 格差(ジニ係数)が現在のままでも貧困層の生活が改善されればいいじゃないか、という考えもあるでしょうが、中国の成長モデルではちょっと成立しないのではないかと思います。

 無尽蔵な廉価労働力と格安の地価(耕地を潰した更地)、そこに外資をどんどん導入して経済成長を実現するというやり方は、農村・農民を犠牲にして成り立っているものです。労働力が廉価でなくなれば旨味を失う労働集約型の外資企業も多いでしょうし、じゃあ産業のグレードアップで……といっても現状では労働力の民度がついていけないかと思います。愚民政策のツケと言ってもいいでしょう。

 ――――

 以下は余談です。

 ジニ係数がガソリンのまきっぷりを示す度合いだとすれば、個人的には、タネ火は党幹部の汚職か物価問題ということになるのではないかと思います。

 汚職は言わずもがなですが、つい数日前には山西省でタクシー運転手約3000名による暴動が発生しています(『蘋果日報』2005/10/15)。無許可営業のタクシーを当局が取り締まらない、また警察が何かと難癖をつけては罰金を徴収するという理由によるものですが、これも一種の汚職を根にした問題といえるでしょう。農村や都市で起きている土地絡みの係争もやはり汚職ないしは汚職疑惑によるものです。

 物価では昨年秋の食品価格急騰で年金生活者のデモなどが発生していますし、つい最近はガソリン代高騰で音を上げた深セン市のタクシー業者がストライキを決行しようとして鎮撫されたという事件も起きています。

 食糧価格については補助金を出していわば「逆ざや」の形で価格安定を図る方針のようですが、それならオカズ系や光熱費がどう推移していくのかは要注目です。貧困者が圧倒的に多いから……という主張ももっともですが、食べられなくなれば話は変わってくるでしょう。

 ――――

 ジョーカーとして正攻法をおマケしておきますか。重慶市であった破産国有企業の従業員による抗議行動、ああいったものが失業者・失地農民といった似たような境遇の集団と横の連携を成立させれば警察の手には負えなくなると思います。

 特に重慶は失業者も失地農民も多い場所ですから期待したいところなのですが、どうも当局は従業員個々に脅しをかけて切り崩しを狙っているようです。

 以上、無駄話でした。




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