日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 週末なので雑談します。

 前回は私が独りで勝手に驚いて騒いでワクテカしてしまった観がありますが、私の中ではあのピリピリ感がまだ残っています。いやホントにビクーリしました。

 国家新聞出版総署という中央政府の一省庁のトップ入れ替えが100字そこそこという異動記事としても決して長くない地味さで報じられたと思ったら、その2日後にその異動の「事情説明」とも「宣戦布告」ともとれる記事を国営通信社・新華社が唐突に配信。しかも3300字以上というド長文です。

 中国国内在住者、まあ普通の中国庶民であれば、香港紙の解説をはさむことなく、ごく地味な異動記事の後にドーンと異様な長文記事を見せられたことになります。

 文化大革命などをくぐり抜けてきた中国人であれば新聞の行間を読んだり記事の掲載され方などからあれこれ想像するスキルを有していますから(文革当時はそのスキルがなければ政治の空気を読めないため生命の危険さえあったのです)、たぶん尋常でない何事かが起きていると感じたことでしょう。

 ただ、いまは文革当時と違いますから何事かが起きていても恐らく自分とは無関係だろうと読み流すことになります。私はその世代の人たちから中国語や中国の新聞の読み方を教わったのでやはり驚いてしまったのですが、いまどきの若い中国人はどう反応するのでしょう。

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 中国には
「80後」という時事用語があります。要するに1980年代(あるいはそれ以降をも含むかも)に生まれた世代ということですが、この「80後」世代の中国人にも以前のようなスキルが備わっているかどうか。

 1980年生まれだとしても天安門事件(1989年)当時は9歳ですから小学生。政治運動や総書記失脚といった政変を全く経験していませんから、文革を経験した世代のように深読みをするとか退路を確保しておくといった感覚には乏しいでしょう。

 また、成長期から成人する時期がインターネットの普及に重なっているというのも善し悪しです。掲示板で色々発言できたりするので連中が「自由な環境にいる」とつい勘違いしてしまっていることは、「深読みできない」「退路を確保する感覚がない」ことと共に、2005年春に反日騒動の一部始終を眺めさせてもらったおかげでよくわかりました。

 いまの日本には戦艦大和の46cm主砲を製造する技術が残っていないそうですが、「80後」世代にはまともなデモを打つノウハウさえ伝えられていません。中共政権の過去の歩みに照らせば、ある意味非常に恵まれている世代とはいえます。一人っ子政策の申し子ですから、甘やかされている部分もあるでしょう。

 恵まれているのと甘やかされているのと「おれは自由だ」と勘違いしているために、たぶん「80後」世代には現状肯定派が多いのではないかと思います。江沢民による反日風味満点の愛国主義教育がスタートしたのは1994年ですから、そのいわば「現代型愚民教育」を全身に浴びて育ってもいます。虚構の世界にたっぷり浸って純粋培養された世代です。当ブログでは「亡国の世代」と称していますけど。

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 偶然なのかどうか、日本では団塊の世代が社会において退潮していくあたりで政治や社会の潮目が変わった観があります。いま胡錦涛は江沢民型の愛国主義教育をもう少しマトモな方向にシフトさせようとしているようですけど、中国では30歳以下は「80後」を含む「亡国の世代」とみていいでしょう。こいつらがこれからいよいよ社会における中堅となり牽引役となっていくのです。考えてみればちょっと空恐ろしい感じがします。

 最近『中国青年報』や『解放軍報』で「80後」の若い兵隊がどうのこうのという記事をしばしば目にしました。いずれも「こいつらに戦争なんかできるのか?」「もっと気合い入れて仕込まないと軍人として物にならないぞ」「いや連中を教育するには今までとは違う相応のテクが必要」といった気分の漂うものです。

 いまの兵隊さんも相変わらず農村出身者が多いのならまだマシなのでしょうけど、佐官クラスがつい心配したくなるのもわかるような気がします。でも「80後」がその佐官クラスに達したあたりが別の意味でもっとアブナイように思います。第一線の実戦部隊の指揮官として独断専行に走ることができますから。

 対外的にも危険ですけど、先日農村暴動を扱ったときにふれたように、いま中共の統治機構が村落という末端部分で破綻し始めている観があります。それがさらに進行した時期に、部隊指揮官が「80後」で揃ってくるというのも危険な香りがしないでもありません。

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 少し真面目な話をしますと、外相など4閣僚の人事交代が昨日(27日)行われました。私は勉強不足ですから新外相の名前をいままで聞いたことがありませんでした。英語が堪能で米国通だそうですね。それに柔らかそうな物腰からも胡錦涛シフトという印象を受けました。

 個人的感覚というかビジュアルで言ってしまうと、江沢民を筆頭に、唐家セン、李肇星、呉儀といったある種の毒々しさを感じさせるゲテモノ系が消えていくのかなと思いました(笑)。

 ルックスで語ってしまうと真面目でなくなってしまうのですけど、胡錦涛の凄みを秘めた朴訥さと温家宝の親しみやすさ(擬態ですけどねあれ)、それから商務部長のあいつ、薄一波の息子(名前忘れました)のようなスマートというかマダムキラーめいた連中が前面に出てきたという感じです。

 薄一波がスマートなら上海市トップの習近平はポップということにしておきましょう(笑)。唯一江沢民時代の毒々しさをひきずっているのが曽慶紅ですね。

 で、今回の4省庁におけるトップ刷新が国家新聞出版総署の署長更迭とワンセットなのかどうかといえば、そういう気配は感じません。4閣僚の異動は一応定年退職扱いです。秋の党大会に向けた部門ごとの代表選出選挙が始まっていますから、それに対応したものかも知れません。

 仮に政変臭が漂うとすれば、外相から退いた李肇星くらいでしょう。今後どう処遇されるかで何かみえてくるものがあるかも知れませんけど、李肇星は肌合いが違うというかスタイルが異なるというか、ともかくそういう異質感のために胡錦涛から大事に扱われることはないように思います。

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 この新任4閣僚でひとつ注目していいと思うのは、科技部部長に就任した万鋼さんですね。いわゆる「民主諸党派」、要するに「なんちゃって野党」である8党のひとつ、致公党に属しているんです。非共産党員が閣僚になるというのは久しぶりではないでしょうか。これも「和諧社会」(調和社会)を掲げる胡錦涛カラーが出たもの、つまり胡錦涛シフトとみていいのではないかと思います。

 総じていえば、胡錦涛シフトは江沢民時代よりソフトな印象を受けます。ただそれはたぶん胡錦涛シフトがソフトなのではなく、江沢民政権がもともと天安門事件で成立し、中共の求心力低下、ソ連・東欧の崩壊、国際的孤立といった厳しい環境の下でやりくりしてきたために、ゲテモノ系のキャラで揃うことになってしまったのではないかと思います。

 胡錦涛を思うとき、私は奴が一昨年盛んに口にしていた
「落伍就要挨打」(立ち後れれば喰い物にされる)という言葉が常に頭から離れません。昔は列強各国に散々な目に遭わされたけど、今度はこっちがやる番だ、という密やかな意志を感じます。言うなれば「ソフィスティケートされた21世紀型帝国主義」を志向しているように思えます。

 とはいえ所詮は「かなりオシャレしてみた北朝鮮」ですからつい地金が出てしまい、アフリカで顰蹙を買ったりしてしまいます。ただ胡錦涛にはたとえ顰蹙を買っても気後れせずに実力で押し通す、といった凄みのようなものがあり、これからの中共政権の外交にはそうした色彩が反映されていくのではないかと思います。

 人懐っこい笑顔なんだけどよく見ると目だけは笑っていない、といった感じです。……まあ雑談ですから本気にしないで下さい(笑)。

 ただひとついえることは、中共が経済的な規模と対外依存度においてこれほど大きな存在になると、うっかりそれを潰すこともできなくなるということです。中共が勝手にすっ転ぶ可能性も十分ありますけど。

 例えば海賊版があふれている市場を正規品中心へと転換させたいとき、一番の近道は流通と小売のそれぞれで本来最も憎むべき大手の海賊版業者と手を組み、それを「更正」させることで市場全体の色を塗り替えていくというものです。

 結局海賊版時代の最大手が得をして、その後も市場の主導勢力として生き延びていきます。いまの中共政権はそれに似ていて、しかもそれを自覚して多寡をくくっているようなところがあります。対外的な影響が大きくならないうちに早いとこ勝手にすっ転んでほしいものです(笑)。

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 最後に安倍晋三首相、というか安倍首相に対する中共政権のスタンスですけど、持て余すほど困ってはいないものの、どこからどう攻めればいいのかちょっとわからず、得体が知れないところがあって戸惑っているという印象を受けます。

 小泉純一郎・前首相のような直球勝負型であれば正面から立ち向かえばいいのでしょうが、靖国参拝にしても「内緒」であるがゆえに手を出しにくい、という感じが中共側にはあるのだと思います。しかも中共にとって気になる動きはサクサクとし遂げていく。

 優柔不断なら扱いやすいでしょうが、曖昧さを擬装しつつ打つべき手は打っていくところに中共政権はどう対応すべきか迷いがあるのかも知れません。とりあえず中共が戸惑っている証拠に、安倍首相のことは持ち上げたりくさしたりするものの、首相夫人に対しては常にベタ褒めにして保険をかけています。

 最近は訪米の成果について悲観的な観測が中共メディアを支配していますが、これは「そうであれかし」という中共の希望的観測といったところでしょう。最近といえば例の慰安婦問題で「安倍首相がまた謝罪」というニュースが連日中国国内で流されています。あれは国内向けのメッセージでしょう。

 「また謝罪」「また謝罪」という記事が続くので日本人としてはうんざりしますけど、たぶん胡錦涛政権が安倍首相に対する国民の好感度を一定レベルで保つために流しているように思います。ネガティブキャンペーンではなく、その逆の効果を狙って行われているのではないかと。

 そういえば最近、日本関連のニュースで電波系基地外反日紙たる『環球時報』の出番がほとんどないのも印象的です。少なくとも対日外交においては、胡錦涛政権が中共内部で主導権を掌握しているといった観があります。でも「内緒」にしていた靖国参拝が明らかになったりすればどうなるかわかりません。どうなるかわからない、という不安も含めて、安倍首相に対する戸惑いが中共にはあるようにみえます。

 ただ個人的には、参院選を大過なく乗り越えたあたりから安倍首相には地金を出していってほしいところです。中共の党大会を目前に控えたあたりでその足元をすくうような手を打ってくれたらなあと思います。「靖国参拝」という切り札もありでしょうけど、その前に李登輝氏訪日&小泉前首相訪台といった台湾カードの方が、中共内部がささくれ立ってきていいかも知れません。

 まあ、雑談ですから(笑)。とはいえダラダラと長くなり済みませんでした。m(__)m




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 おおーこれは久しぶりにピリピリきました。異例の出来事です。何か大きな動きが党中央で起こったことを感じさせます。あるいは「大きな動き」への第一歩たるアクションとか。主役は胡錦涛ですね。敵役は李長春、というか李長春が掌握している中央宣伝部といったところでしょうか。

 発端は実に短い人事異動記事でした。4月24日のことです。


 ●柳斌杰が新聞出版総署署長に就任(新華網 2007/04/24/12:00)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2007-04/24/content_6020187.htm

 【新華網北京4月24日電】さきごろ党中央・国務院は以下の決定を下した。柳斌杰同志が新聞出版総署署長(国家版権局局長)、同党組書記に就任。龍新民同志は新聞出版総署署長(国家版権局長)、同党組書記の任を解かれ、中央党史研究室副主任(正部長級)へ転出。


 ……と、これだけです。異動記事は一応目を通すので新任の柳斌杰、この人の経歴を調べてみたところ胡錦涛の出身母体である共青団(共産主義青年団)の役職を歴任しています。いわゆる「団派」(胡錦涛直系の共青団人脈)です。そうか「団派」なのかあ、胡錦涛勢力の浸透だなあ、とぼんやり考えました。その着眼点は間違っていなかったと思います。

 ただし見落としがありました。解任された龍新民、党史研究室とは何やら社史編纂室みたいでいかにも閑職とか窓際族といった香りが漂うのですが、そのポストの後ろに付された「正部長級」という点にも注意を払うべきでした。「従来通り大臣待遇」という意味ですが、このオマケを付けてやったところに今回の人事の際どさがあったように思います。

 更迭断行、されど閣僚待遇のままということで当人やその子分、さらに後ろ盾となる大物の不満を和らげる、という含みがあったのかも知れません。要するに荒療治が行われたということです。後任が「団派」ですから断行したのは胡錦涛系、ということになります。

 ちなみに「新聞出版総署」というのは正しくは「国家新聞出版総署」で、中央政府の省庁のひとつ。政治的に害があると認定された本を禁書にする手続きを行うのがこの部門です。

 ただし政府の上に中国共産党が乗っかっている一党独裁制のお国柄ですから、正式な手続きは国家新聞出版総署が執行するものの、善悪認定を行う実権は党中央宣伝部にあります。とりあえず書籍を含む紙媒体を統括している国家部門が新聞出版総署ということになります。

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 さて、翌25日の香港紙のうち『蘋果日報』と『東方日報』がこの短い異動記事に喰いつきました。

 『蘋果日報』は状況が十分に把握できていないようで、反右派闘争を題材にした著書を禁書にされたため新聞出版総署を訴えて裁判に持ち込んでいる作家にインタビューしたりしています。その中で更迭された龍新民が、

「北京市党委員会で宣伝・文化部門を掌握するポストにあったとき汚職に関与した嫌疑と関係があるのではないか」

 という観察を引き出すのに成功。

 さらに新任署長の「団派」である柳斌杰の経歴を国営通信社・新華社や新聞出版総署のホームページで調べ、柳斌杰が2002年4月に新聞出版総署副署長兼同党組メンバーに就任し、その後昨年11月に同党組副書記に昇格、そしてこのほど署長・党組書記へと就任したことで「わずか半年間で2階級特進」と、その異例の出世ぶりに注目しています。

 また同紙によると、龍新民が国家版権局長を兼任していたのに、4月19日に同局主催で開かれたイベントに姿を見せなかったことで、「党中央紀律検査委員会に摘発されたらしい」との噂が流れていたそうです。この点は上の北京時代に「汚職に関与した嫌疑」と符合します。

 ちなみに龍新民が新たにあてがわれた党中央党史研究室副主任というポストは、閣僚待遇ながら「身分も地位も権勢も前職に比べたらガタ落ち」だそうです。

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 これが『東方日報』になると盛り沢山。のっけからいきなり、

「国家新聞出版総署の署長に就任して16カ月に満たない龍新民がこのほどその職を解かれ、中共中央党史研究室副主任へと転出、閑職へ回された」

 と、これです。この『東方日報』も龍新民が以前北京市党委員会の副書記を務めていたことに目をつけ、

「このため龍新民はその進退がどうなるか注目を集めていた」

 とのこと。消息筋を持たないうえ記事集めにも熱が入らない私はそんなこと全然知りませんでした。同紙によると、この龍新民の更迭は「北京の変」の始まりを示すもので、具体的には胡錦涛・温家宝(って併称していいほど足並み揃ってる?)側が北京市当局の綱紀粛正のため人事異動に着手したとのこと。

「北京市政界は『雪崩』段階に入ったことになる」

 と、連座者が続出する可能性を示唆して読者の期待を煽るあたりはさすがです(笑)。

 ●『東方日報』(2007/04/25)
 http://orientaldaily.on.cc/new/new_c90cnt.html

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 この『東方日報』によると、龍新民は北京市で長らくイデオロギー関連やメディア監督の仕事に関わった経歴があり、その当時の汚職嫌疑で党中央紀律検査委員会の内偵が昨年末から進んでおり、呼び出されて取り調べを受けたこともあるとの情報があるとのこと。ただ異動記事では名前の後ろに「同志」が付いているうえ、閑職とはいえ従来通りの大臣待遇であることから龍新民自身の罪は大したことはないのだろうと推測しています。

 同紙が指摘している更迭理由は4点。

 ●北京時代に発生したある新聞社の汚職事件に関わっていた。
 ●北京副市長だった劉志華が摘発された際、調べが進むうちに芋づる式に龍新民が浮かび上がった。
 ●新聞出版総署の署長に就任後、上述したような訴訟問題が発生して「禁書事件=中共の政治的汚点」とみられかねない状況となったため責任を問われ解任された。
 ●知的財産侵害(海賊版など)をめぐって米中間に激しい対立が持ち上がり、米国はこの問題でWTOに提訴する構え。この方面の監督部門として責任を問われ解任された。

 ……ということで、直接報道に携わっている人はさすがに物知りです。同紙はこの4点を指摘した上で、

「ただ龍新民の更迭はいくつかの要因が重なって発生したものだ。当人にもともと汚点があっただけでなく、新聞出版総署の署長としての働きもイマイチ。いちばん重要なのはイデオロギー監督に対する考え方が胡錦涛・温家宝の理念と大きく異なっていたことだ」

 ときれいにまとめています。さらに、胡錦涛・温家宝は今秋に控えた第17回党大会と来年の五輪開催を前に、党内で異なる見解を持つ者に対し、力づくでねじ伏せるのではなく、ソフトに包容して牙を抜いてしまう方針ながら、実権を握る党中央宣伝部は従来通りの力でねじ伏せるやり方を変えることなく、このため義和団事件に対する歴史認識において公式見解に異を唱える論文を掲載した「氷点週刊」(『中国青年報』付録)発禁事件や最近の禁書事件→訴訟といったゴタゴタを巻き起こしており、胡錦涛・温家宝はこれを不満としているとのこと。

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 要するに胡錦涛がイデオロギーやメディア監督部門の掌握に乗り出した訳で、だとすれば「北京の変」だけではなく党中央宣伝部にも刃が及ぶ可能性は大。どこまで切り込めるかは見てのお楽しみ、といったところでしょう。世代交代や大型人事の行われる党大会を控え、その前哨戦がスタートしていることが表面化したともいえるかと思います。

 ……ただ、これだけだと昨年の陳良宇(上海閥のプリンス)をぶった斬った「上海の変」の方がインパクトがあります。陳良宇の更迭もさることながら、あのとき中央は武警(武装警察=内乱鎮圧用の準軍事組織)を動員して駅や飛行場や港を警戒させ、一方でパスポートを取り上げるなどして幹部の脱出を防ぐという物々しさ。現地に乗り込んだ中央紀律検査委員会の特別チームには進駐軍といった雰囲気がありました。

 今回ピリピリきたのはこの『蘋果日報』『東方日報』の記事が出たそのまた翌日である4月26日(昨日)に、新華社が新聞出版総署のオフィシャルサイトに出た文章を転載する形で記事を配信したことによります。

 ●新聞出版総署が党中央の同署指導部異動に関する決定を発表(新華網 2007/04/26/10:14)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2007-04/26/content_6030165.htm

 3300字に及ぶこの長文記事は新聞出版総署が24日に同署党組の拡大会議(通常より参加資格が緩和されている会議)が開かれたことと、その一部始終を報じています。

 字面だけを追うと悪口や批判が全く登場しない、賞賛と期待が一杯に詰まった記事です。党中央組織部の副部長と党中央宣伝部の常務副部長が訓示を行い、龍新民の功績を讃える一方で後任の柳斌杰のこれまでの仕事ぶりに対する高い評価と署長就任後の活躍への期待を表明。続いて解任された龍新民の挨拶と後任者・柳斌杰の演説が全てです。

 ただ重要な点は、4人それぞれのスピーチの中に、

「大局に従え」
「党中央の決定に従え」

 といった表現が頻繁に登場すること。解任された龍新民は、

「胡錦涛同志を総書記とする党中央にぴったりと足並みを揃えていこう」

 とまで言わされています(たぶん強要でしょ)。

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 なぜそこまで畳み掛けなければならないのかといえば、それほどこの人事に対する風当たりが強かったからでしょう。少なくとも新聞出版総署の内部でよほどの反発があったものと考えられます。今回のタイトルに掲げた通り、
「お前らまず落ち着け」そして「中央に刃向かうのはよせ」といった、説得・慰撫・威嚇のニュアンスを織り交ぜた内容です。

 これが新聞出版総署のオフィシャルサイトに掲載されたのは、内部向けの記事だからでしょう。ところが、それを新華社が全国ニュースとして配信したのですから、これは他の部門ないし地方当局に「反発」が波及するのを未然に防ごうという意図によるものということになります。

 あるいは新華社による転載は、胡錦涛による全国各地の抵抗勢力に向けた「宣戦布告」なのかも知れません。今回の人事はそれほど際どく、また荒療治の色彩が濃かったものなのでしょう。

 ともあれ、政府の一部門のトップ人事についてこういう記事(しかも長文)が付されるということがそもそも異例中の異例です。しかもこれは恐らく一連の政治的変動の嚆矢。いわば前座で、これからがメインイベントなのです。

 そこで胡錦涛が我意を通せるかどうか、その展開は派閥力学を反映したものになるでしょう。党中央宣伝部、李長春、江沢民、曽慶紅、「上海閥」、「太子党」といった名前が頭の中で点滅します。ピリピリきた上にワクテカです。

 もう紋切り型でいいでしょう。「今後の展開に期待大」という言葉で締めておきます。




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 東京に居座ってチナヲチ(素人の中国観察)をしていると、どうしても歯がゆくなる部分が出てきます。

 ひとつは、消息筋を持っていないことです。これは私の努力次第で東京でも情報網を構築できるでしょうし、それをやるだけの条件も整ってはいます。とはいえやはり仕事優先。チナヲチは道楽でやっていることですから、そこまで身を入れることはできません。

 もうひとつ、これはより重要なのですが、現場の感覚がつかめないということです。

 例えば都市部における党幹部の威張り具合。上級部門から掣肘を受けることなく独立王国然とした統治が行われているらしいことは、以前紹介した分不相応な豪華庁舎を見れば察することはできます。ただ日常生活の中で党幹部がどう威張り特権を振りかざし、それを目の当たりにしている住民の心情はどういう感じなのか、というのは現地で生活していないとどうしても実感できません。

 現場感覚がないというのはイタいところです。以前上海に留学中に民主化運動が生起したとき(1989年)、上海で行われた小規模なデモ、野次馬も含めて数百人程度のものなのですが、それを見届けてから宿舎に帰って短波ラジオでNHKの国際放送を聴いたら「上海では数千人規模のデモが行われ……」と報じていたので驚いたことがあります。

 ……これは現場感覚とはちょっと違いますが、現地の実情と報道される内容にはそのくらい誤差が出ることはままある、と肝に銘じたものです。NHKは当時上海支局が機能していましたし、特派員の手足として日本人留学生が手伝っていたりもしたのですが、それでもニュースになると数字が膨らんでしまいます。

 農村についても同じことがいえます。当ブログはこれまで数々の農村暴動だの官民衝突といった事件を紹介してきましたが、肝心の「農村」がどういった感じのものなのか。……私は農村といえば外国人や他地区の視察団に見せるために建設されたモデル農村とか、都市郊外型農村といったものしか知りません。

 そもそも「郷」とか「村」といった行政の末端レベルの管轄区域、簡単にいえばひとつの「村」の面積や人口はだいたいどのくらいなのか、ということも知識としても実感としても理解できません。こうした点については現地に駐在されている方々が詳しいと思いますので、いろいろ情報を寄せて頂ければ幸いです。

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 ところで、官民衝突といえば今年10月1日から「物権法」が施行されます。私有財産の保有を合法的なものとして保護する法律です。同法の施行によって、官民衝突で最も多いケースと思われる地元当局による土地の強制収用が減少するという見方があります。

 強制収用とは、要するにダムや発電所を建設するとか開発区を設立するとか道路を敷くとか都市再開発をやる、といった名目で「官」が「民」から有無を言わさず土地(耕地や住宅地)をはぎ取る行為です。

 その過程で十分合理的な移転先や補償金が手当てされれば問題はないのですが、そういう理想的なケースでなければ官民衝突が発生します。そりゃ生活がかかっていますから住民も必死です。土地転がしで懐が温まる絶好の機会ですから当局もまた必死。

 本来満足な補償が行われていたのを役人が着服する場合もあります。帳簿の上では満足な補償金が支給されているものの、それが住民の手に渡る時点、つまり受給実績では大きく目減りしているケースです。

 住民は当然ながら「これじゃ話にならない」と怒ります。そこで当局は警官や武警(武装警察=内乱鎮圧用の準軍事組織)を出動させて武力衝突。力づくで住民を鎮圧して土地をかっさらうことになります。

 で、こうした土地収用において、収用される「民」の側が十分合理的な補償を受けられるよう法的な保護を加えたものが物権法です。ただし、既得権益も同法によって保護されるという点と、司法が行政から独立していないという問題があります。

 例えば過去の強制収用や国有企業の売却で党幹部が不当に獲得した資産も保護されることになりますし、司法の上に行政があぐらをかき、そのまた上に中国共産党が乗っかっている構造ですから、物権法が実際にちゃんと機能するのかどうか甚だ疑問です。

 司法が「民」でなく「官」の味方をすれば以前通りの展開となります。「官」にしてみれば司法を籠絡するという手続きがひとつ増えるだけ、となります。「民」にしてみれば「ないよりはマシ」程度のものになってしまうかも知れません。

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 ただし、中共政権は「対外的に見てくれのよいテストケース」と「見せしめ」がお好みです。前者は1980年代に設立された「経済特区」が好例。改革・開放政策のテストケースとして数カ所の候補地を指定し、そこをうまく発展させてみせることで外資の呼び込みを図ったものです。

 その経済特区が上海ではなく深センだったのは外資の主力たる香港に隣接していることと、ただの農村なので「古いものを壊し抵抗勢力を潰す」という「改革」作業の必要がなく、更地にどんどんビルや工場を建設すればそれで済んだからです。

 物権法も施行に際して同法がちゃんと機能しているという「テストケース」を党中央がつくり出してその成功例を大々的に宣伝する可能性が高いかと思われます。外国人参観者向けのモデル農村のようなものです。

 逆に、同法を機能不全に陥れた悪例もいくつか暴き立て、それを叩きに叩くことで、それまで土地収用で不当な権益を得ていた地方当局に対する「見せしめ」を行うこともあるでしょう。これは同時に「中央政府はちゃんと仕事をしている」という庶民に対するアピールでもあります。

 少し前に重慶市の「史上最強の居座り住民」という派手なケースが大きく報じられましたが、あれは物権法施行前の悪行、つまり地方当局による「駆け込み土地収用」への「見せしめ」である一方、国民に対しては「物権法施行前でもちゃんと監督しているのだ」というモデルケースになりました。

 最初からそういう筋書きだったのか、途中から「テストケース&見せしめ」対象とされたのかどうかはわかりませんが、結果的にはそういう効果をもたらしました。

 ただマスコミの大がかりな報道に対して、ネット世論などは「やらせ」らしいことを看破していた様子があります。非道への怒りと同情というよりは、イベント見物のような気分で事態の推移を楽しんでいた、という印象です。居座り住民のキャラが立っていたこともあって、この住民のアイコラなどといったお笑い画像も随分出回っていましたね。

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 ともあれ、好例とされるか悪例とされるかで「官」と「民」のどちらが喜ぶかが分かれます。ただ、こういう「テストケース」や「見せしめ」は経済特区同様、ほんのわずかな例でしかないでしょう。要するに物権法施行直前の「駆け込み収用」行為が現実にはあちこちで行われている、ということです。例えば、これ。

 ●催涙弾で土地強制収用……浙江省(明報 2007/04/25)
 http://hk.news.yahoo.com/070424/12/266qz.html

 この報道によると、浙江省瑞安市陶山鎮の霞林村で住民の同意を経ることなく村の党幹部が耕地をデベロッパーに内緒で転売。それに気付いた村民が抗議行動に出て土地収用に抵抗していたところ、4月4日の午前1時という深夜を狙って開発業者がトラック数十台を動員して耕地を土砂で埋め尽くし、慌てて飛び出してきた村民には催涙弾を発射。村民たちは涙ポロポロ手足ピリピリで動けないところをサクサクと排除され、デベロッパー側は典型的な強制収用を完了させたというものです。

 ただし、催涙弾を発射したのはさすがに開発業者ではないでしょう。この件につき瑞安市の方暉・副市長は、

「業者側はごく穏便に作業を行った。私はそのとき現場にいたからね」

 と言っていますから、「官」も加わっていたことは確かです。武警さんあたりを出動させていたのでしょう。またこれが副市長のコメントであることから、この「土地転売=売却益の一部を着服」計画に関与していたのが村の党幹部だけでなく、より上の行政レベルである鎮や市の党幹部も関わっていた可能性が……というより関わっていたのがミエミエです。

 仮に物権法の施行下でも司法を味方につけておけば無問題。「法制あれど法治なし」を地で行くケースとなったことでしょう。香港メディアに報道されただけ、この村はそれでも恵まれていたといえるでしょう。

 ちなみにこの記事では事件の舞台となった霞林村は「315世帯・総人口1365名」となっています。

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 こういう「官匪」としか表現しようのない当局の無体な振る舞いに生活を脅かされれば、農民も覚悟を決めざるを得ないでしょう。特に抗争が長期化している地区の農民にとっては、本来「官」である役人などは、自分たちを滅ぼしにきた「敵」としか思えなくなっても不思議ではありません。いきおい農民の側も半ば戦闘組織化していきます。

 典型的なのは広東省汕尾市のケース。例の「12.6事件」の舞台です。農民にロクな補償も手当てしないまま「官」とその眷属たるデベロッパーが耕地を強制収用、火力発電所の建設作業を始めたのに対し農民が工事を妨害するなど抗議行動に出たところ、汕尾市当局が武警を出動させ、何と実弾を装填した突撃銃を農民に向け乱射。農民側に「3死8傷」(当局発表)の被害が出たという2005年12月6日に起きた惨劇を御記憶の方も多いでしょう。

 報道ではこのとき農民側も手製爆弾を準備していたなど「武装農民」化していた様子なのですが、昨年11月にも抗議活動を行った農民を当局が拘束したところ、農民側が役場を襲撃してその場にいた役人を人質にとって拘束された農民の解放を求めたという事件が起きています。

 ●速報:惨劇再発の危機、「12.6事件」の村を武警が包囲!(2006/11/18)
 ●続・東洲村事件:「官匪」は再び実力行使に。(2006/11/19)

 発電所建設工事の妨害といった農民たちの抵抗はいまなお続けられています。湖南省で4日連続の都市暴動という派手な官民衝突が今年3月に発生しましたが、実はそれと同じ時期にこの汕尾市・東洲地区でもタチの悪い武力衝突が起きていました。

 タチが悪いというのは、農民の抵抗を排除するために「官」の側が動員したのは警官や武警ではなく、「黒幇」(黒社会)のチンピラだったからです。

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 事件が起きたのは3月11日。東洲地区・石古村の農民たちが建設工事が進められないよう交代制で見張っていたところ、デベロッパー側が工事強行を企図。それに気付いて村民たちが妨害活動に出ようとするや否や、突如わらわらとチンピラ数百名が出現して農民側に攻めかかり、棍棒や投石で村民多数が負傷したというものです。

 チンピラは開発業者が雇った模様ですが、その背後に地元当局がいるのは歴然。その証拠に被害続出の農民側が警察に通報しても警官が出動してくれませんでした。

 ところが、さすがに歴戦の農民たちですから怪我を負わされ泣き寝入り、という形には収まりません。石古村の村民が事態を近隣各村に急報したところ、

「敵襲!敵襲!」

 とばかりに各村で一斉にドラが鳴り響き、それに応じて4カ村から1000名以上の農民が棍棒などを手に現場へ急行。負傷者を病院へ搬送する一方、主力部隊は脇目もふらずチンピラ集団との白兵戦に突入したのです。

 今度は農民側が素手でない上に人数でもチンピラ側を圧倒しています。しかもこれまでにも武警相手に肉弾戦を繰り返してきた百戦錬磨の強者揃い。まさに衆寡敵せずで、チンピラ集団はあっという間に突き崩され、這々の体で敗走。農民たちはこれでも収まらず、開発業者が用意してきた工事用車両やトラックなど3台に放火。ぶわーっと火柱が立つ勢いで炎上し農民たちが勝鬨を上げていたところ、今度は警官が姿を現しました。ただし、

「ここはこっちの顔を立てて、どうか喧嘩はやめてくれ。ゆっくり話し合おうじゃないか」

 と変に弱腰です(笑)。チンピラ集団が潰走したら警官がすぐ出てきた、というのも当局が今回の武力衝突に関与している証といえるでしょう。

 衝突はこれで終了となりましたが、怒りの収まらぬ農民たちは翌3月12日、5カ村から合計1000名以上の農民が一群となって工事現場付近をデモ行進。抗議の横断幕やドラを打ち鳴らすという賑やかな抗議活動に対し、当局は武警1コ中隊を出動させて横陣に展開、防盾をズラリと並べて万一に備えたのですが、幸いこの日は衝突に発展することなく両者撤収となりました。

 ――――

 ちなみに、米国系ラジオ局「自由亜洲電台」(RFA)の報道によると、この地区の土地収用に対する補償金は1人当たり毎年150元。お前らみな死ね路頭に迷えと言わんばかりの金額です。

 かように過酷な「官」の出方には農民たちも自衛のために戦うしかないでしょう。そして抗争が長期化すればするほど、この地区の農民のように当局も迂闊に手を出せない一種の戦闘組織として洗練されていくことになります。

 それは取りも直さず、中共政権が構築した統治システムが、その末端で崩壊していることを意味します。地方当局が司法を籠絡することによって物権法を骨抜きにしてしまえば、こうした事態がいよいよ深刻な方向へと向かうことになります。

 ……ところで今回の衝突で「官」の側は黒社会のチンピラを動員したと報じられていますが、実際のところはどうでしょう。下駄を預けられた黒社会の側が、職にあぶれた出稼ぎ農民を日雇いで駆り集めたという笑えないケースである可能性もあります。

 いや、実際に別の地区でそうした例があり、このときはやはり農民側の反撃で拘束された「チンピラ」が、自分たちはカネで雇われた出稼ぎ農民だと白状し「命乞い」をしています。

 この汕尾市・東洲地区のケースは事態が泥沼化している点で特別な事例のようでもありますが、同じ広東省だけでも南海市や仏山市の農村部でやはり土地をめぐるトラブルが長期化し、官民衝突が何度か発生しています。幸い報道されたために私たちはそれを可視範囲に置くことができた訳で、香港メディアもカバーできない地域で似たような事件が起きている可能性は十分にあるでしょう。

 それぞれが連携のない個々の動きながら、こうした「村落の変質」は中共政権にとって少しずつ重荷になっていくのではないかと思います。まだその気配はないものの、もし各地で「連携」に発展する動きが出現すれば亡国一直線でしょう。

 ●「大紀元大陸版」(2007/03/11/23:34)
 http://www.epochtimes.com/gb/7/3/11/n1642734.htm

 ●「大紀元大陸版」(2007/03/13/02:43)
 http://www.epochtimes.com/gb/7/3/13/n1643920.htm

 ※下の記事はRFAからの転載。




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 申し訳ありません。純粋に体調不良で更新できませんでした。m(__)m

 なーに、かえって免疫が……じゃなくて、ちょいと体調を崩して医者から療養命令。なにせ五臓六腑のあちこちが「心電図ピー状態」の2歩半手前。……などと戯れることができるまでようやく回復した次第です。

 療養命令で仕事も強制休暇。療養といっても別に一見客を泊めない老舗旅館の離れを借りて松林越しに砂浜を眺めつつ、ざぱーんという波の音に耳を澄まし……なんて訳がありません。下級幕臣ですからただ自宅で大人しくしていろと。それでも分不相応なことに公方様の御匙とりをする御典医直々の言いつけですからこちらは恐縮して言われた通りにしました。

 しかし大人しくしているというのもなかなか根気のいるものです。一応日課の記事漁りは欠かしませんでしたが、病人ですからそれが精一杯。記事に目を通したり当ブログを更新するほどの気力・体力はさすがにありませんでした。

 ――――

 それでもコソーリ活動したりもしました。ちょっとだけですけどね。

 (1)チナヲチ=素人による中国観察。
 (2)中共の嫌がることを真心を込めて念入りにやってあげる。

 ……の2つが目下のところ私の娯楽でして、当ブログは(1)に当たります。(2)については以前は先輩方がたくさんいて私はその尻馬に乗って無闇に暴れていたのですが、現在は散開状態なのでときどき独りでちまちまと動いてみたりしています。

 私のホームグラウンドたる某巨大掲示板にある2つのスレッドも毎日欠かさずのぞいていますけど、目下のところは待機態勢(ROM)のままときどき単独で遊撃活動、といったところです。

 ただ今回コソーリ試してみたのはちょっと毛色の違うもので、(1)&(2)という詰め合わせコース。その分だけハードルが高いのですが、それゆえの楽しみやドキドキ感もあります。

 まあその作業に興じることでこの一週間、孤身六尺を持て余さずに済みました。結構楽しかったので体調がもう少し回復してからまたやってみるつもりです。

 ――――

 ……で、昨日(4月23日)久しぶりに外出して病院で検診を受けて晴れて療養解除、原隊復帰ということに相成りました。ただ無理は禁物とのことですからリハビリのつもりで少しずつ調子を上げていくことにします。

 ところで、病院からの帰路に靖国神社に立ち寄ってみたら、ちょっと雰囲気が慌ただしいのです。報道陣がウロウロしていたりして、でも警官は目立つほどいません。そこで撤収にかかったテレビクルーの一人に尋ねてみると、国会議員「だけ」の参拝があったとのことで、「だけ」であるがために肩を落とし加減のその人にお疲れさまと一声かけて零戦を眺めてきました。

 参院選が終わったら、堂々と参拝した方がいいと思います。>> 安倍晋三首相。

 最近の「うわべだけ融和ムード」という変によそよそしい&泥沼状態の「日中友好」は両国にとってかえって毒です。少なくとも日本にはプラスにならない、と私は思いました。寝技なら相手の方が上手のようですから、現状のままだとサクサクやられていくだけではないかな、と。

 首相がクネクネしているというのはペコペコしているのと同じようなもので単純に格好悪いです。参院選の後で結構ですから、どうか凛然として下さい。そして小泉純一郎・前首相から渡された「日中関係の構造改革」というバトンを手に疾走してほしいです。

 ――――

 余談ですが零戦を眺めたついでに改めてパラオ展を観てきました(入場無料)。素晴らしい催し物です。

 ……そこでふと思ったのですが、もし靖国神社に安倍首相が来て、ただし参拝はせずに遊就館に入り、しかし本道たる2階に上がらずにパラオ展を見学しただけで帰った、となったらマスコミや中共政権はどういう反応を示すのでしょう。とりあえずパラオの認知度が高まるのでよろしいのではないかと。

 温家宝が困る?ちょっと困らせてみたいじゃありませんか。先日はずいぶん日本人を舐めた国会演説をしてくれましたからね(それに拍手する議員どもも馬鹿なら連中を選んだ私たちも馬鹿)。窮地に立たせてみたいものです。なーに追いつめられたら南方視察。ワニさんの餌になってこれぞ緑色GDPの具現化ってなもんです。烈士確定。

 ――――

 【※1】業務連絡の業務連絡です。いまさらながら『趙紫陽軟禁中的談話』が6冊入りました。里帰り中の配偶者が運び屋になってくれるようです。もう需要もないでしょうけど、少し元気になったら出します。そのときはまた当ブログで告知します。

 【※2】配偶者には内緒ですが、帰郷中に予定通りコレを購入。昨夜拙宅に届きました。これでようやくdongzeさんやヒロさんと肩を並べることができるというもの。エッヘンであります。

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 四川省にある重慶という都市、私がチナヲチ(中国観察の真似事)から離れている間にいつの間にか直轄市に格上げされていました。私も旅行で立ち寄ったことのある街ですが、どうにも香ばしい都市、という印象がこのブログを始めてからすっかり定着してしまいました。

 一言でいえばもめ事が多いのです。都市暴動、これは2004年秋の万州暴動が有名ですけど、他に労働争議などが頻発しています。

 宿命といえば宿命。まずは三峡ダム建設に伴い大量の移転者を受け入れたということが一点。その際に十分な補償を受けていない人も多いので日雇い労働者や失業者などが多く、要するに暴動予備軍を抱えているということです。

 それからはるか昔、確か三線建設とかいった筈ですが、沿海部にある重要工場を戦時に備えて内陸部に疎開させました。それら国有企業がその効率の悪さゆえにお約束のように破産したり民間に払い下げられたりしました。

 順序立てていうと、まず経営が悪化した国有企業時代にリストラを行いました。対象は主に中国で「4050」と呼ばれる40~50歳代の従業員。現在大学新卒者と並んで就業問題のカナメとされている一群です。破産したり売却されたりして不当解雇され失業者に身を堕とした人もたくさんいます。

 ――――

 で、問題は破産後の処置や民間への払い下げの過程が往々にして「黒箱作業」(密室謀議)だったということです。売却益の行方が不明瞭だったり。

 当然ながら国有企業時代の上層部や市の党幹部、それに企業をわが手に収めた私営企業家が旨い汁を吸っているということになります。簡潔にいえば汚職です。国有企業は所有制に照らせば「中国人民のもの」ということになります。少なくともそこで働く人たちの共同資産であることは間違いありません。ところが、一般従業員には売却益の恩恵がほとんどない、というケースが頻発。

 一方で、売却後の経営者の方針でさらなるリストラや大幅な福利カットが行われたりしました。国有企業というのは本来「揺りかごから墓場まで」などと言われたように、住宅、学校、病院をはじめ従業員とその家族の生活を丸抱えしていました。ところが破産や民間への売却などでこれがカットになる。従業員にすればいきなり路上に放り出されたようなものです。

 ちなみに、このたび制定されて年内に施行される「物権法」は、個人の私有財産を法的に保護するという意味において、上述したような悪行三昧の連中が吸った甘い汁をも全て合法的な私有財産ということにしてしまう一面があります。庶民にとってはないよりマシの「物権法」ですが、関連法規の整備が追いつかないと新たな利権や汚職を生むことになってしまうでしょう。

 ……そういうことは中国全土で現在進行中なのですが、重慶は特に大型企業が多かったために、労働争議となれば目立ってしまいます。今回もそういうケースのひとつです。

 ――――

 さて今回の騒動。ごく簡単にまとめると、重慶のある紡績企業のリストラされた従業員たちが騒いだところ、そのリーダーが拘束され、その釈放を求めて抗議活動を行ううち他の紡績工場からも加勢が駆けつけていよいよ騒ぎが大きくなり、たまりかねた重慶市当局がリーダーを釈放。しかし労働者側にしてみれば肝心の問題は何ら解決されていないので今後も闘争を続けていく、というのが現時点での状況です。

 特筆すべきは、紡績工場ゆえに従業員は女性が主体。当然ながら抗議活動もオバサン中心で、ハンドマイクでアジ演説を行うのもオバサンならそれに拍手する御同勢もオバサン。

 重慶は大都市ですから何をしても目立ちますし、オバサン相手に武力鎮圧というのも聞こえが悪い。だから本来こういう場面で活躍する武装警察(内乱鎮圧用の準軍事組織)や防暴警察(機動隊)もうかつに手を出せない、といった点も今回の特徴のひとつです。

 以下、この種の騒動で大活躍するタレ込み系サイト「博訊新聞網」に寄せられた情報に基づいて事態の推移を紹介していきます。

 ――――

 最初に事件が起きたのは4月12日。すでに破産して再生作業が進められている紡績工場「重慶市綿紡一厰」のリストラされた従業員たちが集まって抗議鼓動に及ぼうとしたところ、重慶市公安当局が「治安処罰条例」違反だとしてリーダー格のオバサン・唐武さんを拘束し留置場に投獄。当局からは唐武さんの家族に12日間拘束する旨が通知されました。これがオバサンたちの怒の炎に油を注ぐことになります。

 ちなみにこの「重慶市綿紡一厰」は破産して企業資産などが取り押さえられた際、その清算過程で従業員の権益(福利など)が著しく侵害されたというのがそもそもの発端。さらにそれ以前に行われた株式企業化の過程が「黒箱作業」で、本来ならその株主に名を連ねるべき従業員たちが無視されました。

 余談ながら、こういう「黒箱作業」で懐が潤う地元党幹部やそれに結託した資産家らが、改革・開放政策の進展とともにその制度的なスキを衝いて甘い汁を吸って成り上がった「既得権益層」ということになります。言うなれば胡錦涛の敵であり、故・趙紫陽元総書記が「このままだと胡錦涛はゴルバチョフ同様、連中に潰されるだろう」と語り残した「連中」の一類に当たります。

 さて、企業側はさらに地元の公安(警察)と結託し、その武力を背景にしつつ合理化の名の下に「4050」のオバサン従業員を解雇、解雇、解雇、解雇。このため株主たる権利の侵害と不当解雇に抗議する活動が2005年11月前後から約1年間、重慶市内でデモなどの形で絶えず行われていました。

 そして今年の3月23日、市内某所に屯集して抗議活動を行っていた「重慶市綿紡一厰」のリストラオバサン約200名に対し、当局もこれは捨てておけぬとばかりに武警約100名を現場に投入。一触即発の事態となりましたが、やはり女性ばかりの集団に手を出すのは見てくれが悪い。さて困ったぞと手をつかねていたところ、オバサン側も武力闘争に及ぶ気配をみせず、大人しく解散したため事件には至りませんでした。

 それが20日後の4月12日、リーダー拘束という事態が突発してしまったのです。

 ――――

 こうなると闘争目標がより明確になったことで、事件は新たな段階に入ります。拘束された唐武さん(繰り返しますがオバサンです)は高血圧などの症状を持ちながら、獄中でハンストを開始。

 それを伝え聞いたオバサンたちが燃え上がらない訳がありません。拘束翌日の4月13日午前、リストラ仲間たちが留置場前にどんどん集まってきて「頑張れ唐武」のシュプレヒコールを叫びました。

 さらに意外にも似た境遇にあった「重慶市綿紡二厰」「重慶市綿紡三厰」「重慶市綿紡四厰」「重慶市綿紡五厰」「重慶市綿紡六厰」のオバサンたちも助太刀に駆けつけ、重慶市公安局前で抗議活動を実施して「唐武さんを釈放しなければより大規模なデモをかける」と当局に警告。

 さらに「国際歌」(インターナショナル)の歌声が期せずして湧き起こり、みるみるうちに大合唱となりました。以下は歌詞の最後の部分。

 這是最後的鬥爭 團結起來到明天
 英納雄納爾 就一定要實現

 這是最後的鬥爭 團結起來到明天
 英納雄納爾 就一定要實現

 「人民民主専政」を掲げている中共政権。その「人民」であり国家の主人公である筈の労働者たるオバサンたちが「インターナショナル」で中共当局に抗議の意を示すというのも皮肉な光景です。

 ……というより、実はそれよりも私には「おおおお」という理屈抜きの感慨がありました。私が上海に留学していた当時、1989年の民主化運動で連日デモをかけるたびにこの歌を必ず歌っていたからです。

 とすれば、「皮肉な光景」というのは軽すぎる表現かも知れません。知識人や大学生が民主化という形而上の理想を求めて街に出てデモを行い「インターナショナル」を歌っていたのと異なり、理想よりもパンを求める庶民(失業者)たちが公安局の前で歌う「インターナショナル」には本質的な違いがあるのではないでしょうか。……と、考え込まずにはいられません。

 そして、それははからずも現在の中国社会の状況、具体的には大学生が理想のためにデモをかけ「インターナショナル」を歌うのを野次馬として眺めていられるような社会的な余裕がもはや失われていることを反映しているように思えるのです。

 ――――

 そして、「4050」のオバサンパワーの前に、当局も譲歩することになりました。この4月13日に唐武さんを釈放したのです。ハンストで衰弱していた唐武さんは即入院。

 これにて事件は一件落着、めでたしめでたし。……かといえばそうではありません。「株主たる権利の侵害」「不当解雇」という根本的な問題は解決していませんから、今後もなおも闘争を続けていくとのことです。

 今回参考にした記事は以下の通り。上の記事では画像、さらに下の記事では勇ましい動画を目にすることができます(DL可能)。気合いの入った編集を経た動画は必見です(笑)。

 ●「博訊新聞網」(2007/04/15)
 http://www.peacehall.com/news/gb/china/2007/04/200704150247.shtml

 ●「博訊新聞網」(2007/04/15)
 http://www.peacehall.com/news/gb/china/2007/04/200704151140.shtml

 覚えておきたいのは、こういう労働争議や各種抗議活動が重慶市だけでなく、単に報道されないために私たち目に届かないだけで、実際には中国国内のあちこちで頻発しているということです。

 相手が日本企業だったら武装警察や防暴警察が抗議する労働者の支援に回ったりして(笑)。いやいや笑い事ではありません。そうならないためにも日頃の心がけが肝心です。地元の要路には山吹色の和菓子の献上と特権付与と、山海の珍味による日々のおもてなし、これをくれぐれも欠かさないようにしないと。……って、あれ?




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 そりゃそうでしょう、気持ちはわかるけどそれは無理。大体順序が逆だし。……てのが率直な感想です。

 いや、こういう怪しげなブログをやっていると、ときどき読者の方から御質問を頂きます。ありがたいことです。それから私の知らない色々な情報をこっそりメールで教えて下さる方もいて、いつも感謝しています。

 頂いた御質問については、時間と体力の許す限り御希望に沿えるようにしているつもりです。そのために調べものをして勉強になることもあるので、ありがたいのです。

 ただ一応申し上げておきますが、私は中国語の読み書きが少しはできるものの、中国観察については全くの素人であることをくれぐれもお忘れなく。実際には知らないことばかりなのです。

 さて本題。先日、台湾に関する御質問を頂きました。


 ●Unknown (cruncher) 2007-04-13 12:48:59

 またもエントリと直接関係のない件で心苦しいですが、台湾がWHO加盟申請をオブザーバーから正式加盟に切り替えたそうです。

 http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2007041200819

 あえて「あの事務総長」にこれを突きつけたことには何か意味がありそうに思いますが、如何せん私の乏しい知識ではどうにも分析しようがありません。

 御家人さんはどうお考えでしょうか?



 いや、私も関連知識がまるでないもので。……でも素人なりに頑張ってみます。まず引用されている時事通信電はこちら。



 ●「台湾」名義でWHO加盟申請=事務局長に書簡-陳総統(時事通信 2007/04/12/18:00)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2007041200819

 【台北12日時事】台湾総統府の邱義仁秘書長(官房長官)は12日、陳水扁総統が11日に世界保健機関(WHO)の陳馮富珍(マーガレット・チャン)事務局長にあてて「台湾」名義で正式加盟を申請する書簡を送ったことを明らかにした。

 台湾は毎年、WHO年次総会でオブザーバー参加を求めているが、「1つの中国」の原則を掲げる中国の反対により10年連続で却下されている。正式な加盟申請を提出することで、国際世論を喚起する狙いがあるとみられる。オブザーバー参加も引き続き求めていく。

 中国はWHOを「主権国家だけが参加できる国連機関だ」と強調しており、「台湾」名義での加盟申請に強く反発するのは確実だ。



 ……お、いつもの「中国の反発は必至だ」ではなく「強く反発するのは確実だ」という新しい表現が登場しましたね。反発度もワンランク上といった印象を受けます。

 実際に中共政権は脊髄反射。これも「台独」活動(台湾独立運動)の一種だとし、中共と台湾の関係をいたずらに緊張させるものだと弾劾しています。先走っていえば、「一つの中国」と「台湾は中国の一部」という中共政権の理屈に対する重大な挑戦だからです。

 ●「新華網」(2007/04/13/16:42)
 http://news.xinhuanet.com/tai_gang_ao/2007-04/13/content_5973244.htm

 ――――

 今回の動き、基本的には歴史教科書を台湾史中心の内容(=中国史大幅減)に改めたり、蒋介石の銅像を撤去したり、郵便局や電話局などの名称の頭についていた「中華××××」を「台湾××××」に改めるといった
「去中国化」(中華民国カラー払拭)の数々の試みのひとつと位置づけていいでしょう。

 ただそれを国際社会でやろうとしたことで騒ぎが大きくなった次第。

 「去中国化」といえば、私の好きなプレステの「戦闘国家3」(もう3年近く遊んでいません。ブログとの二者択一ですから)で重宝していた台湾の戦闘機「經國」も性能向上型は「雄鷹」という名前に改められるようです。

 蒋介石と違って、その息子である蒋經國・元総統(1988年死去)は「私は台湾人」という当時としては衝撃的な発言を行い、また二・二八事件後ずっと施行されていた戒厳令を解除したことで知られています。日本の歌や映画やドラマもこの時期に解禁となりました。

 さらに副総統に台湾出身の李登輝氏を抜擢する(このため蒋經國死去に伴い李登輝氏が総統に昇格した)など、蒋一族による「台湾私有」を否定し、民主化の扉を開いたという意味で高く評価されていい政治家だと思いますが、それとこれとは別なのでしょう。

 ――――

 やや余談に流れますが、故・司馬遼太郎氏の『台湾紀行』の巻末に収録されている司馬氏と李登輝氏との対談で、李登輝氏は副総統として蒋經國と接した時期にふれ、

「そのとき話したことを書きつけておいたノートがあるんです。いまはまだとても発表できませんが」

 と述べています。一昨年和訳された『李登輝実録―台湾民主化への蒋経国との対話』は、そのノートを基にして書かれたもののようです。

李登輝実録―台湾民主化への蒋経国との対話

産経新聞出版

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街道をゆく (40)

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 ――――

 ところで、上の時事通信の記事において、

「台湾は毎年、WHO年次総会でオブザーバー参加を求めているが、「1つの中国」の原則を掲げる中国の反対により10年連続で却下されている」

 と何気なく書かれていますから、

「中共の妨害で台湾はWHOのオブザーバーにもなれないのか」

 と思う方も多いでしょうが、厳密にはWHOではなく、WHO年次総会(WHA)のオブザーバー参加を申請しながら、中共政権が、

「一つの中国」
「国家でなければWHOにもWHAにも参加できない。台湾は中国の一部であるから国家ではない」

 という理屈をこねて多数派工作を行い、台湾の参加を拒んでいるのです。改めて強調しますが、WHOのオブザーバーではなく、その年次総会(WHA)に限られたオブザーバー資格も台湾は手にすることができないでいるのです。

 ――――

 台湾は「中華民国」として国交を結んでいる国もあり、国連に加盟してはいないものの立派な独立国家といっていいでしょう。ただ「一つの中国」というのが邪魔になります。

 例えば日中関係の原則ともいえる「日中共同声明」において、日本政府は台湾が中国の一部であることを正式に承認してはいません。ただし「一つの中国」は支持しており、そのために日中国交樹立に伴い「中華民国」たる台湾と断交した経緯があります。

 ですから台湾が「中華民国」である限り、WHO加盟申請を公に応援することはできないのです。米国もまた「一つの中国」を承認していますから、事情は同じ。中国は原則的に国交樹立時に「一つの中国」を支持することを条件にしていますから、多数派工作が可能です。

 ただし、我らがファンタジスタ・麻生外相はそういう障害の中でもなかなか粋なことをしているようです。

 ●ほーら外交部が電波モードに。やっぱ制服組でしょ。・下(2006/03/12)

 文末に注目。

 まあしかし、いまのWHOは中共による従来からの妨害工作に加え、そのトップである事務局長がマーガレット・チャン女史です。この人は香港人ですが中共の全面的な応援を受けて事務局長選挙を勝ち抜きましたから、中共の損になることをする訳がありません。そうでなくても衛生官僚として著しく不適格だった経歴があるため地元香港での評判もすこぶる悪いのです。

 ●上海に居座る黄菊&世界を不幸にするWHOトップの誕生。(2006/11/09)

 ――――

 ともあれ、台湾の陳水扁政権は、

 ●WHO正式加盟国
 ●WHAオブザーバー

 の2本立てで攻める構え。なぜ2本立てかというと、いずれも「WHAメンバーの過半数の賛成」で実現するからです。それなら従来通りWHAオブザーバーの座を狙うと同時に、WHO加盟国入りという大手門から堂々と攻めかかる策も採るべし、といったところでしょう。

 ●『自由時報』電子版(2007/04/14)
 http://www.libertytimes.com.tw/2007/new/apr/14/today-o4.htm

 上述した通り「台湾」名義での加盟申請は陳水扁政権が次々に行ってきた「去中国化」を国際社会に持ち出してきたもので、

「台湾は台湾でひとつの国家なんだ」

 ということをアピールする狙いがあるのでしょう。ただこれには根本的な無理があります。「台湾」という国家が存在していないからです。陳水扁も「中華民国総統」であって、「台湾国総統」ではありません。

 ――――

 そりゃそうでしょう、気持ちはわかるけどそれは無理。大体順序が逆だし。……てのが率直な感想です。

 ……と冒頭に書きましたが、「無理」「順序が逆」とは憲法改正によって「中華民国」という名前を捨てて、同時にその主権が及ぶ範囲を台湾の現実に合わせる(現行憲法では中国大陸全土を自国領にしている)など、いわゆる
「正名」(「中華民国」をやめてありのままの台湾にする)がまず必要だということです。

 「台湾独立派」などと便宜上呼ばれてる民進党など「緑色陣営」ですが、台湾は中共政権の統治下に置かれたことは一度もありませんから、「独立」ではなく「正名」が正解。李登輝氏がちょっと前に、

「私は台湾独立なんて主張したことは一度もないよ」

 といった趣旨の話を香港系の台湾週刊誌に語って「変節か!?」などと一時大騒ぎになりましたが、これも現状に照らせば必要なのは「正名」であって、「独立」だと厳密には理屈が通らないということを李登輝氏は強調しているのです。そもそも「独立」という言葉自体が中共政権視点でしょう。

 この「正名」をしない限りは「台湾」名義での加盟申請は空論ですし、「一つの中国」の壁をぶち壊すこともできません。……このあたり、任期切れ&総統選挙(勝算は微妙)を来年に控えて焦りを隠せない陳水扁陣営のやけっぱちな行動のようにもみえます。

 ――――

 で、結局「一つの中国」を認めているため、米国は台湾の今回の行動に不快感及び不支持を表明しました。成算もなくいたずらに騒ぐだけのアクションなんかするな、空気が険悪になるだけだろ、ということでしょう。

 ●『自由時報』電子版(2007/04/14)
 http://www.libertytimes.com.tw/2007/new/apr/14/today-p5.htm

 日本政府の公式表明はまだのようですが、香港紙『明報』電子版によると、自民党の中川昭一・政調会長が遺憾の意を示し、支持することは困難だとの談話を発表したようです。WHAオブザーバー入りなら支援できるものの、国家としての加盟を応援することはできない、といった内容です。「日中共同声明」に照らせば、そう言わざるを得ないでしょう。

 ●『明報』電子版(2007/04/15/23:10)
 http://hk.news.yahoo.com/070415/12/25ie3.html

 遺憾の意は国家としてのWHO加盟申請に対するものですが、これは要するに、

「順序が逆だろ順序が」
「まず『正名』を果たすのが筋だろう」

 ということです。現在進行している「去中国化」はこの「正名」に沿った動きといえますが、肝心の憲法改正あるいは新憲法制定となると中共政権が「反国家分裂法」を発動して武力侵攻の可能性も出てきます。

 ●性犯罪ですよこれは。(2005/03/13)
 ●「三二六大遊行」雑感。(2005/03/28)

 まあ民進党は陳水扁総統を担いでいるため与党とはいいながら、立法府での勢力図(立法委員の議席数)は国民党など「青色陣営」に負けているというねじれ現象状態ですから、目下のところは「正名」もどこまで進められるかは極めて不透明です。

 ――――

 私自身は台湾の「正名」は現実的・合理的なので大賛成ですし、「台湾」名義でのWHO加盟もWHAオブザーバー入りも頑張れ頑張れ。ただ「正名」完了前のWHO加盟国入りは困難だろうという見方です。

 一応、陳水扁政権の言い分も紹介しておきましょう。


 ●陳水扁総統が『台湾』名義でのWHO加盟を正式に申請(台湾週報 2007/04/13)
 http://www.roc-taiwan.or.jp/news/week/07/070412d.htm

 4月12日、総統府で「2007年台湾の世界保健機関(WHO)参加推進」記者会見が行なわれ、邱義仁・総統府秘書長、黄志芳・外交部長、侯勝茂・衛生署長らが出席した。

 邱秘書長は、陳水扁総統が4月11日に陳馮富珍(マーガレット・チャン)WHO事務局長へ、「台湾」の名義でWHO加盟を申請する書簡を送ったことを明らかにした。

 邱秘書長は、従来から求めているWHO年次総会(WHA)へのオブザーバー参加と、専門的会議への「有意義な参加」に加えて、今年は直接「台湾」の名義でWHO加盟を正式に申請し、3つの柱でWHO参加を推進する方針を示した。

 「台湾」名義でのWHO加盟申請を進めることについて、邱秘書長は「一、世論調査では94.9%が『台湾』名義でのWHO『加盟案』の推進を支持しており、国内世論の非常に高い要求があること。二、立法院(国会)で過半数を超える110名の国会議員の署名提案により、WHAオブザーバー参加だけでなく、WHO『加盟案』を推進するよう政府に要求していること。三、過去長年の努力にもかかわらず、中国の圧迫によって順調に進むことができなかったので、政府はこのようなチャンネルとプラットフォームをさらに増やして努力してみる必要があると認識したこと」などを強調した。



 脊髄反射の新華社電でもふれていましたが、台湾紙『中国時報』など国民党系のメディアは今回の動きに批判的です。

 是非頑張ってほしいんだけど、あまりに現実離れしているから無理ぽ、といったところかと思います。




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 いやーシャレになりません。前回の冒頭で温家宝の「なんちゃって野球」イベントにふれた際、

 立命館大学で野球をやったのは孔子学院があるから?

 と冗談で書きました。ところがこれが冗談ではなかったので驚きました。異常な発汗と嘔吐の中で六感は冴え渡る、そんな気分です。


 ●温家宝首相、立命館大野球部と交流 京都(asahi.com 2007/04/13/22:01)
 http://www.asahi.com/politics/update/0413/OSK200704130084.html

 中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は13日、京都市右京区の西京極野球場で立命館大硬式野球部員ら約30人と交流した。
(中略)同大学は中国政府が中国語普及のため開いている「孔子学院」を05年に日本で初めて開設するなど日中交流に積極的に取り組んできたことから交流が実現した。(後略)


 本当に孔子学院つながりだったとはインド人もびっくりです。ラジャラジャマハラジャーといった感じでしょうか。そのうちに孔子学院があるかないかで依怙贔屓してもらったり一種の踏み絵になるかも知れませんね。

 しかし目下のところ孔子学院の効能が中国首相の「なんちゃって野球」イベント招致成功、という程度ではまだまだ重宝されないでしょう。孔子学院があるから学園祭に王毅・中国大使が来てくれた、というのもインパクトに欠けますし有り難くもありません。

 せめて海上自衛隊の制服を来て登場し、

「沈黙の艦隊!」

 とでも叫んでくれれば一発芸くらいにはなるかも知れませんけど(笑)。フィードバックの人形使いに情報求めてメタモルフォーゼであります。

 ――――

 それからこれも前回ふれたことですが、

 しかし温家宝サイドが中国国内の視聴者やネット世論、また対抗勢力からの批判をかわそうと必死なのは、逆にそこがアキレス腱だからでもあります。ここはひとつあちこちの反日サイトで温家宝に都合の悪いような悪戯を仕掛けてみましょうか。

 日本も対抗措置で魚釣島の灯台補修作業でもやったらどうでしょう。あと沖縄県知事の空からの視察を実施に移すとか。……ていう荒技はたぶん参院選が終わるまで使えないのでしょうね。安倍政権の支持率が落ちていることも中国側を増長させる要因になったと思います。

 できるなら参院戦後の秋に靖国神社参拝をやって大型人事や世代交代の行われる中共第17回党大会を思いっきり熱いものにしてほしいのですけど、参院選前でも打てる手はあります。

 李登輝・前台湾総統の来日です。もちろん靖国神社参拝はコミコミ。気候のいい5月あたりに是非お願いしたいところです。

 ……と書いたら、


 ●李前総統が心臓カテーテル治療 台湾(asahi.com 2007/04/15/01:46)
 http://www.asahi.com/international/update/0415/JJT200704140011.html

 台湾・中央通信によると、李登輝前総統(84)は14日、台北市内の病院で、心臓冠状動脈の血管狭窄(きょうさく)部分を拡張するカテーテル治療を受けた。術後の経過は順調といい、数日後に退院する見込み。
(後略)


 というニュースが飛び出して再びビックリ。「隣の印度人 何してるのーおー」てなところですが、台湾の報道によるとあと数日で退院できるそうです。ただその後しばらくは療養が必要だそうで、御高齢ですから5月来日は難しいかも知れません。5月下旬とか無理ですかねえ。

 ところで今回、朝日の記事を並べてわかったのですが、

 温家宝(ウェン・チアパオ)首相
 李登輝前総統

 と、李登輝氏には余計なカタカナがくっついていない分すっきりしていますね。でもどうして温家宝にはついている余計なものが李登輝氏にはないのか。頭のアルコールを注ぎだしてしまえばすぐに走れますし忘れる程度の疑問ですが、「抱きとめてーやーるさっ」と取り組んでみました。


 (1)「日中共同声明」における日本の立場、つまり台湾は中国の一部であることを正式に承認していない、という原則に忠実。
 (2)台湾は中国の一部だけど李登輝氏は台湾独立派なので中国人民扱いはしない。
 (3)台湾語(ミン南話)の発音がわからない。
 (4)実は李登輝氏はいまでも日本人だと朝日は考えている。
 (5)実は台湾はいまでも日本の一部だと朝日は考えている。



 ……などと考えてみたのですが、余計なカタカナが付いていない理由として考えてみると(5)がいちばん説得力がありそうな気が(笑)。

 だって(1)と(2)には、「でも外国人なんだから現地語が使われる筈だろ」とツッコミを入れられますし、(3)に対しては、「北京語を使えばいいだろ」ということになりますから。

 (4)については、「それなら名前は李登輝じゃなくて岩里政男だろ」の一言。それなら(5)にも同じツッコミが通じるかも知れませんが……ともあれ私には理由がわかりませんので御存知の方は是非ご一報の程を。m(__)m

 ――――

 ところで今回は少し文章が乱れて意味不明瞭な部分が随所にあるかも知れませんが、それは週末なのと「ようつべ」でライブ動画へと私を誘導した柴犬さんのせいです。ここ数日はHP(体力)が低下した際の回復魔法として使いまくっています。柴犬さん、心から多謝、であります。

ツインズ スーパー・ベスト・オブ 戸川純
戸川純
アルファミュージック

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 そういえば「YouTube」にupされている「好き好き大好き」のライブを収録したDVDはあるのでしょうか? >> 柴犬さん

 あと、こんなものまで出ている?とは思いもよりませんでした。私以外に買う人がいるとは考えにくいのですが……。


花田春吉なんでもやります (`85放送 / 出演 武田鉄矢、石黒賢)



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 さてここからは真面目に楊枝削りです(笑)。

「俺は、君のためにこそ死ににいく」

 という映画が5月12日に公開されます(予定)。特攻隊の映画です。予告編が良さげでしたし、鳥濱トメさんの回想を基礎にしていますし、そのトメさん役を岸恵子が演じますし製作総指揮が石原慎太郎ですから「男たちの大和」のように外すことはないと思うので私は非常に期待しているのですがどうなんでしょう。

 親しい人たちの面影や故郷の風景を慕いつつ出撃し、自らの命を投げ出すことで彼らが護ろうとした日本と日本人は、いまを生きる私たちにもつながっています。

 ただし、それは特攻隊員だけではなく、職業軍人、そして小泉純一郎・前首相がしばしば言及していたように「心ならずも」日常生活から赤紙一枚で引きはがされ、陸海軍上層部や現地指揮官の無為無策のために地獄のような最前線で散っていった人たち全てに言えることだと私は思います。

 その典型例でもあり対米戦争の帰趨を決したともいえるソロモン諸島・ガダルカナル島争奪戦に関する書籍、いずれも以前紹介したことがあるものですけど、時間も経過しているので再放送+αです。御託は本放送で並べている上に長文ですので今回は省略。

 ちなみに本放送はこちらです。もしよろしければ御一読下さい。

 ●心ならずも。(2005/11/28)


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ガダルカナル戦記〈第1巻〉

光人社

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ガダルカナル戦記〈第2巻〉

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ガダルカナル戦記〈第3巻〉

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ルンガ沖夜戦

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遠い島 ガダルカナル

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 以上はいずれも文庫本ですが綿密な取材に基づいた非常に内容の濃いルポルタージュです。下はビジュアルをふんだんに交えており副読本として最適。

太平洋戦跡紀行 ガダルカナル

光人社

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 特攻隊関連では個人的にこの本がオススメです。

特攻基地知覧

角川書店

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 これもいいです。

特攻の町・知覧―最前線基地を彩った日本人の生と死

光人社

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 いまの私には「俺は、君のためにこそ死ににいく」を観ること、それに5月中に一度、恩師と一緒に靖国神社を参拝する約束をしているので、それだけを楽しみに何とか生きています。最近は体調が思わしくないところに新年度早々仕事のストレスがどっと押し寄せてきているので大袈裟でなくそんな気持ちです。

 それゆえに現実逃避して当ブログが日々更新されているという奇怪なことにもなっていますけど(笑)。




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 ようやく帰りましたねあのトンキチ。

 立命館大学で野球をやったのは孔子学院があるから?

「子供のころから野球がやりたかった」

 なんて見え透いた嘘はやめてほしいものです。でもそうやってぬけぬけと媚びることができるから胡燿邦、趙紫陽、江沢民の下で働いて、とうとう首相にまで出世したのでしょう。いまでも嫌な役はみんな胡錦涛・国家主席に押し付けてるし。揉み手が上手そうで嫌ですねえ。(追記:野球は嘘ではなくて、学生時代に少しやったことがあるそうです。でも厚顔無恥で嫌なキャラという点は訂正の要なし)

 で、野球をやらせてみたら生意気にサウスポーでした。なーにやってんだバッターしっかりピッチャー返しだっぺよー!パーゲ。……と、使えないくせに茨城弁を真似てみたりして。

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 いまさらながら、ではありますが、ムカつきましたねえあの国会演説。「五香粉」さん御指摘のように、

「国会に中国国旗と日の丸が並んで写るという異常な光景」

 そして温家宝・首相の子供に説教するかのような聴衆を見下したかのような偉ぶった語気。全人代(全国人民代表大会)の政府活動報告と比べれば明白です。それなのに何を言われても拍手する日本の国会議員。どうせならですよ、

「日本が中国侵略戦争を発動し、中国人民に深刻な災難をもたらし、死傷者おびただしく、巨大な資産損失を来たし、中国人民の心に言い表せないほどの傷を与えた」

 ……ってところで万雷の拍手を送ればいいのに(笑)。舐められているのに気付かないとはおめでたい限りです。その連中を私たちの血税で飼っていると思うと余計に腹が立ちます。

 しかし温家宝の中国語は朱鎔基に比べると随分聞き取りやすいものでした。首相としての能力は朱鎔基の爪の先ほどもありませんけどね。



 ●温家宝首相:「氷を解かす旅」が成果を収めたと総括(毎日新聞 2007/04/13/23:18)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/asia/news/20070414k0000m010084000c.html

 中国首相として6年半ぶりに日本を訪れていた温家宝首相は13日、3日間の日程を終え、大阪空港から帰国した。離日前に京都で記者会見した温首相は「(訪日は)成功だった」と述べ、日中間の「氷を解かす旅」が成果を収めたと総括。中国側は今年後半の安倍晋三首相の再訪中を実現させ、日中関係のさらなる土台固めを目指す。
(後略)



 そりゃ成功でしょう。

 初日に発表された「日中共同記者発表」を見る限りでは「課題が先送りされた」とされていた東シナ海ガス田紛争も、日本側に無断でサクサクと既成事実を積み重ねていったのですから。

 温家宝が国会演説をやった日には外交部報道官がぬけぬけと、日中中間線付近のガス田「樫」(中国名:天外天)の本格稼働を認めたばかりか、

「あそこは係争海域ではないから『共同開発』の範囲外。正常な主権の行使だ」

 と言ってのけましたからね。

 そのうち「正常な主権の行使」とか言って尖閣諸島近海でもやり出すかも知れませんよ。

 ――――

 この一方的なガス田開発が温家宝訪日中に発表されたのは偶然ではないでしょう。前回紹介したように、上述したような外交部報道官のコメントや海洋権益関連の情報が国会演説当日(4月12日)にまとめて発表されました。温家宝の国会演説を「手ぬるい」として売国奴認定させないための援護射撃のように思います。

 同時に中国の強い意思表示ですね。これまた前回紹介したように、温家宝の国会演説で中国の経済発展に日本が寄与したことを感謝する文言と日本が戦後60年一貫して平和的発展を遂げたことへの評価は演説全体の中で
2.8%だけ。「台湾問題に介入するな」とクギを刺した部分の方が字数が多いのです。

 しかも本番では戦後、平和的発展を遂げた日本を評価する重要な部分が読み落とされて欠落。このため日本への感謝・評価は合計わずか44文字となり、演説全体に占める割合は
たったの1%という実に舐められた、日本の国会で演説しているとは到底思えない内容になりました。

 この読み落としについては演説映像と予定稿を引き合わせて確認したのですが、温家宝は例えば日本語で「私の本」というときの「の」にあたる「的」を省いたり、意味も発音も似ている単語を読み間違えることは何度かありました。しかしまるまる一段落省くというのは、中国で生中継されていたため「弱腰」批判を少しでもかわそうと故意にやったものでしょう。

 ――――

 それから『産經新聞』(2007/04/13)によると、同時通訳はあったものの、国会演説で演説原稿が議員に配られないという異例の事態だったそうです。「2.8%」や自画自賛、さらに安倍首相への牽制といった内容が国会議員の不興を買うことを恐れたのでしょうが、それを許した外務省も外務省です。

 外務省といえば中国側のガス田「樫」本格稼働に対する日本大使館(北京)からの反応は、

「中国側が東シナ海ガス田開発に関する活動に対して自制するよう望む」(井出敬二・公使)

 と、これだけだったようです。

 ●『香港文匯報』(2007/04/13)
 http://paper.wenweipo.com/2007/04/13/CH0704130015.htm

 他に何か抗議したのかも知れませんが、私の手元にある情報には見当たりません。

 ――――

 しかし温家宝サイドが中国国内の視聴者やネット世論、また対抗勢力からの批判をかわそうと必死なのは、逆にそこがアキレス腱だからでもあります。ここはひとつあちこちの反日サイトで温家宝に都合の悪いような悪戯を仕掛けてみましょうか。

 日本も対抗措置で魚釣島の灯台補修作業でもやったらどうでしょう。あと沖縄県知事の空からの視察を実施に移すとか。……ていう荒技はたぶん参院選が終わるまで使えないのでしょうね。安倍政権の支持率が落ちていることも中国側を増長させる要因になったと思います。

 できるなら参院戦後の秋に靖国神社参拝をやって大型人事や世代交代の行われる中共第17回党大会を思いっきり熱いものにしてほしいのですけど、参院選前でも打てる手はあります。

 李登輝・前台湾総統の来日です。もちろん靖国神社参拝はコミコミ。気候のいい5月あたりに是非お願いしたいところです。

 ――――

 「日中共同記者発表」では台湾の扱いで中国側から「より踏み込んだ表現を」と強く求められながら、日本側は頑としてそれに応じなかったそうです。

 それが「成功」といいつつも今回の日本訪問における中国側の数少ない痛点のひとつでしょう。そこへたっぷりと塩を揉み込んであげるということで。

 さらにいえば、台湾にも少しは働いてもらわないといけませんからね。私は台湾ファンですけど、当然ながら日本人であることをより優先します。ちったあ働け台湾、という意味も込めて、李登輝氏の訪日を希望します。




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 だから考えるだけでムカつくって言ったんですよ。温家宝・首相による国会演説の一件です。やらせてみたら果たせるかな、という結果になっちゃったじゃないですか。言わんこっちゃない。

 そもそも、なぜ一党独裁政権の首相に、普通選挙制の洗礼を受けた国会議員で構成される立法府で演説する資格を与えたのか。少なくとも日中関係の現状に照らして、そこまで許す必要がどこにあるのでしょう。

 演説が言いたい放題の内容であることを知っているのかどうか、聴衆たる国会議員どもは演説の合間合間に熱い拍手。まあ、こいつらを選んだ私たちが馬鹿だったということなのでしょう。orz

 言わずもがなのことですが、中国を一党独裁制で支配している中国共産党(中共)の価値観というのは、日本が到底共有できないものなのです。

 前回は「中共=ちょっとオシャレした北朝鮮」と書きましたけど、幻惑されている日本人がかくも多いということは、

「中共政権=かなりオシャレであか抜けた北朝鮮」

 くらいに修正しなければならないようです。

 ――――

 野暮を承知で申し上げますが、中共政権が言うところの「対話」「協議」とは
「中共の言い分の押しつけ」「中共からの命令伝達」であり、「協力」とは「中共への奉仕」ということで、「平和」とは「中共による制圧下での非戦時状態」という意味。

 「友好」とは
「中共に従順」です。「友好団体」「友好人士」なんて中共に呼ばれている連中の顔ぶれを思い浮かべればわかるでしょう。中共のいう「中日友好」とは「日本が中共に従順な国であること」という意味です。「孫子の代まで友好を」なんて冗談じゃありません。

 ちなみに「交流」とは
「中共の価値観の押しつけ&軽度の洗脳」。軽度の洗脳とは、

「中国はいい国だ」
「日本は昔なんてひどいことを中国と中国人にしてしまったのだろう。反省しないと」

 という気持ちにさせることです。

 それをわかっている人が少なすぎますね。政治家も国民もです。ざっくりと言えば、30歳以下だと天安門事件(1989年)をリアルタイムで認識していないでしょう。中共が牙をむいたシーン、流血・粛清を伴う常軌を逸した政治運動といった中共本来の得意技を「体験」していないのです。
「中共政権=かなりオシャレであか抜けた北朝鮮」ということに気付いていません。

 むろん、「対話」「協議」「協力」「友好」「平和」「交流」といった「中共語」も正確に翻訳できない訳で。



 ●「日本は何番目かの省に…」 中川政調会長が中国脅威論展開(Sankeiweb 2007/02/26 21:48)
 http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070226/skk070226003.htm

 自民党の中川昭一政調会長は26日、名古屋市内で講演し、中国の急速な軍事費の増大を指摘し、将来的に日本が中国の勢力下に置かれかねないと強い警戒感を表明した。

 中川氏は講演で「台湾が(今後)15年でおかしくなったら、20年ぐらいの間に、ここ(日本)は中国の何番目かの省になるかもしれない」と発言した。その後、国会内でも記者団に「中国は今は平和的台頭でおとなしくしているが、2010年(の上海万博)が終わると、いよいよ“非平和的台頭”になる可能性がある」と強調、「台湾が完全な勢力下に置かれた場合、次は日本になりかねない」との見方を明らかにした。
(後略)



 この人は中共の本質と「中共語」がわかっているようです。たぶん、中共とはどう付き合えばいいかも。

「台湾が(今後)15年でおかしくなったら、20年ぐらいの間に、ここ(日本)は中国の何番目かの省になるかもしれない」

 というのはシャレでも大袈裟でもありませんよ。

 ――――

 さてその温家宝による国会演説。日本の新聞各紙はきれいにまとめていたようですが、中共語の「対話」「協議」「協力」「友好」「平和」「交流」がたくさん散りばめられた内容でした。簡単にいえば温家宝の独壇場、言いたい放題のイベントといったところでしょう。

「中国本土でも生中継されるから」

 なんて余計な心配をしてやることはないのです。日本の国会で演説するのですから、その内容は日本人に向けられたものでなければなりません。そのために温家宝が帰国後「売国奴」扱いされてもそれは中国国内の御家事情ですから、日本がそれを思いやる必要は全くないでしょう。

 で、温家宝演説ですが面倒くさいので数字で出してみました。予定稿と思われる新華社が配信した記事を基にしています。

 ●日本の国会における温家宝の演説【全文】(新華網 2007/04/12/16:33)
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-04/12/content_5968135.htm

 私が数えたものなので正確な字数ではないかも知れませんけど、かくの如く相成りました。

 ●全文    :4333文字
 ●歴史問題  :1209文字
 ●日本への評価: 119文字
 ●台湾問題  : 121文字

 要するに温家宝演説のうち27.9%が歴史問題、つまり日本が中国を侵略していかに中国人民が災禍を被ったかとか、それでも大陸から日本へ帰国する日本人たちを助けてやったとか、残留孤児を育てた養父母がどうとか、そういう非難と恩着せがましい言辞、そして「寛容な中国人民」とかいう自画自賛で占められています。約3割ですよ。

 これに対し、中国の経済発展に日本や日本人が貢献したことに感謝する、とか戦後日本が平和的発展を遂げたことに対する評価、といった内容の部分はわずか119文字。全体の2.8%しかありませんでした。

 ちなみに、台湾問題についての言及にはそれより2文字多く費やされています。要するに日本と日本人への感謝や評価の言葉は「台湾問題に介入するな」という念押しよりも少ないのです。

 しかも何とこういう事実が発覚。



 ●温首相が原稿の一部を読み落とし、意図的との憶測も(読売新聞 2007/04/12/19:11)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070412i211.htm

 中国の温家宝首相が12日に行った国会演説で、準備されていた原稿の一部を読み落とす一幕があった。

 読み落としたのは「日本は戦後平和発展の道を選び、世界の主要な経済大国と重要な影響力を持つ国際社会の一員となりました。中国人民は日本人民が引き続きこの平和発展の道を歩んでいくことを支持します」などとした段落。

 演説終了後、中国政府から日本外務省に対し、「拍手の合間で原稿を読み始めるところを間違えた単純なミス」という連絡があったという。

 温首相の演説をめぐっては、歴史や台湾問題で厳しい表現が多かったため、日本政府が事前に「表現を弱められないか」と打診し、中国政府が拒否した経緯があった。このため、日本側では一時、「戦後日本の平和発展を評価した段落を意図的に省略したのでは」との憶測を呼んだ。



 この「読み落とした」部分を差し引くと、「日本と日本人への感謝・評価」はたった44文字になってしまいます。

 
全体の1.0%。

 残りの99%は歴史問題と「対話」「協議」「協力」「友好」「平和」「交流」といった中共語を交えた内容、そして安倍仲麻呂とか鑑真とか孫文とか魯迅といった過去の日中間の往来を例に引いた一種の外交辞令です。

 これでも万雷の拍手ですか、そうですか。……いや、やはり選挙で連中を選んだ私たちが馬鹿なのでしょう。

 ――――

 日本が中国に舐められているとしか思えないのは温家宝演説ばかりではありません。例の東シナ海ガス田紛争に関する問題です。温家宝演説では、

「東シナ海問題については、両国が争議を棚上げして共同開発を行うという原則に基づいて、積極的に協議を重ねて、対立軸を平和的に解決して実質的な一歩を踏み出し、東シナ海を平和と友好と協力の海にすべきである」

 となっています。「平和」と「友好」と「協力」の海ですか。上に示した「中共語」で翻訳すればどういう状況を中共が望んでいるかが理解できると思います。

 で、「争議を棚上げして」とのことですが、これについては国会演説が行われたのと同じ4月12日(きのう)、中国外交部の定例記者会見で秦剛・報道官がとんでもないことを言ってのけています。



秦剛「まず『共同開発』という概念についてはっきりさせておきたい。『共同開発』とは中日双方の間に係争がある海域で行われるべきものだ。いま中国が東シナ海で進めているガス田開発は日本との間に係争のない海域で行われている。中国側が主権という権利を行使した正常な活動なのだ。日本側がこのことを理解できるよう希望する」

記者「中海油(香港)公司が昨日『天外天』ガス田地区での採掘・供給活動を開始していると発表しているが、これについての見解を伺いたい。これは『共同プレス発表』の内容と精神に違反するものではないか?

秦剛「我々の立場は先刻の質問で述べた通りだ。いま中国が東シナ海で進めているガス田開発は日本との間に係争のない海域で行われている。中国側が主権という権利を行使した正常な活動なのだ。具体的なガス田開発は企業活動に属するものだから、具体的な状況についてはわからない」

記者「日本側は中国側が東シナ海で開発・採掘している一部のガス田が係争区域に含まれているとしている。中国は日本側の線引きによる主張を受け付けないということか?」

秦剛「中国側の東シナ海の線引きに関する主張は『国連海洋法条約』など一連の現代海洋法が規定する大陸棚自然延長論の原則に基づいており、我々には十分な法的根拠がある。日本側は東シナ海での境界線問題で別の主張をしており、中日間に係争が存在する。それについては友好的な協議を通じて解決したいと我々は主張している。いま御質問の内容は日本側が主張する『中間線』の原則に基づいており、中国のガス田開発活動が日本の主張する『中間線』を越えて行われているとするものだ。だが日本が一方的に主張しているいわゆる『中間線』について、中国側はこれを承認しない。この立場が変わることはない」

 ●「新華網」(2007/04/12/21:39)
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-04/12/content_5968837.htm



 中国側は「国連海洋法条約」の都合のいい部分だけを抽出して自らの根拠としているようですが、この辺の詳細は「有馬温泉 ◆BCjH.6d5ig 」さんの解説を待ちたいところです。

 ●私たちにできること。(2005/09/21)
 ●有志の方々によるまとめサイト(その1)
 ●有志の方々によるまとめサイト(その2)

 私に言えることは、11日の『共同プレス発表』と温家宝の国会演説、そして上の外交部報道官定例記者会見がリンクしているということです。さらにいうと、これは香港の親中紙『大公報』電子版(2007/04/12)が掲載した2本の記事ともつながっているように思います。

 ●日米の測量船を中国海監が海と空から厳しく監視(『大公報』電子版 2007/04/12)
 http://www.takungpao.com/news/07/04/12/ZM-720309.htm

 ●中国海監が日本の測量船を撮影・録画でしっかりマーク(『大公報』電子版 2007/04/12)
 http://www.takungpao.com/news/07/04/12/ZM-720426.htm

 「中国海監」とは中国国家海洋局に属する「海洋執法監察機構」のことです。この2本の記事はその中国国家海洋局が『2006年海洋行政執法公報』を発表したことに由来しているのですが、その『公報』も含めた一種のキャンペーンかと思われます。

 さらにこの『大公報』が以前掲載した似たような内容の記事を胡錦涛の御用新聞である『中国青年報』系列の『青年参考』が転載し、それが新華社によって配信されています。これもタイミングを合わせた動きでしょう。

 ●国家の海洋権益保存へ、東シナ海定期巡視制度を確立(新華網 2007/04/12/07:34)
 http://news.xinhuanet.com/mil/2007-04/12/content_5964941.htm

 全てが4月12日に出揃う、というのは偶然と呼ぶには出来すぎた話としか思えません。



 ●財布取られる…政府のガス田対応、中川政調会長が批判(読売新聞 2007/04/04/19:47)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070404i312.htm

 自民党の中川政調会長は4日、札幌市で講演し、中国が東シナ海の日中中間線付近でガス田開発を進めている問題について、「泥棒が入ってきて、タンスを開け、財布を取ろうとしたら、『タンスを開けるな、財布を取るな』と言うのが普通だが、そうではなかった」と述べ、これまでの日本政府の対応を批判した。

 そのうえで、「(中国の)温家宝首相が来るから、安倍首相が中国に行くからと理由をつけて先延ばしにし、黙って自分の財布が取られるのを見ているというのは、国民に対していかがなものか」と語った。
(後略)



 この中川政調会長の言葉が正しかったことが今回はっきりと証明されました。……なんて言っている場合ではありませんね。中共政権は「温家宝来日」という一大イベントで日本側を幻惑しつつ、温家宝に国会で日本を舐め切った演説を行わせ、一方では東シナ海の問題のガス田確保について既成事実を積み重ねているのです。正に「言いたい放題&やりたい放題」ではありませんか。

 本来なら、温家宝がまだ日本に滞在しているのですから、日本は中国側の動きに抗議する意味で温家宝のためにセッティングされた残りのイベントを全てキャンセルすべきです。それが
「かなりオシャレであか抜けた北朝鮮=中共政権」に対する付き合い方だと思うのですが、いかがでしょう。




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 中共政権の温家宝・首相がきのう(11日)来日しました。

 日本側は迎えるにあたって準備万端。東京では新華社電の表現をあざ笑うかのように「桜の季節」が終わってしまっていますし、

「江沢民はヒトラーだ」(ヒトラーに失礼)

 とのたまった石原慎太郎氏が都知事選で圧勝して三連覇を果たしたばかり。しかも温家宝が特別機から一歩出てみると空からは大粒の雨、雨、雨。

 でも日本は米国のようにジョークを飛ばさない基本的に生真面目な国ですから、傘を後ろからさしかけてもらい安倍晋三・首相と並んで臨んだ国歌吹奏に際して、胡錦涛・国家主席が昨春訪米したときのように、司会者が国名を「中華民国」と間違えるような意地悪はしませんでした。

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 きょう(12日)は確か国会演説でしたね。なぜ一党独裁政権の首相に、普通選挙制の洗礼を受けた国会議員で構成される立法府で演説する資格を与えたのか。考えるだけでムカつきます。

 しかし忠恕なる日本としては、胡錦涛の演説を法輪功系の記者ががなり立てて妨害し(警備員はそれを放置)、ついに胡錦涛を沈黙させてしまう、なんて真似は残念ながらできないでしょう。

 その代わり礼儀を重んじる国として、温家宝の国会演説には万雷の拍手を期待しています。

 温家宝登場と同時に嵐のような拍手。演説に入ろうとしても止まない拍手。いつまで経っても終わらない拍手。ついに予定時間を使い切って演説できぬまま去り行く温家宝の背中にも温かい拍手。

 もっとも、私はスタンディング・オベーションというのが嫌いです。あれは野茂投手が米国のメジャーリーグで活躍するころから日本にも入ってきた習慣ですけど、日本には日本の伝統があるじゃないですか。

 左様、座布団を飛ばすことです。拍手がだめなら議員1人当たり30枚くらい座布団を用意してどんどん投げさせる。大相撲で平幕力士が横綱を敗ったときのように、座布団が飛び交う中での演説は実にいい絵になると思います。

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 しかし「腐っても温家宝」とでも言うべきか、日本到着直後に開かれた安倍首相との日中首脳会談ではスーツの袖口が濡れたままその席に臨みました。

 あんなのタオルで一拭きすれば水気がとれると思うのですが、演出としてわざと拭かなかったのではないかと。そのうち新華社電による「訪日こぼれ話」みたいなもののネタになりそうです。

 スーツを濡らしたままなのが演出なら、下手すると農村見学では10年着古したジャンパー(自称)を本気で羽織ってくるかも知れません。それなら農家では青汁で万全のおもてなしを。「一気飲みする方が身体にいい」というアドバイスもお忘れなく。

 野球もやるという話ですが、キャッチボールでなく打席に立つのなら、社会人野球の投手を呼んできて140kmくらいの直球を内角高めにお願いします。ええ危険球の要領で。

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 ところで首脳会談終了後に「日中共同記者発表」なるものが発表されましたが、そこに書かれている「戦略的互恵関係」というのが一体どういうものなのか、私にはよくわかりません。トキをくれるってことですか?

 相手は一党独裁政権ですよ。日本や米国や台湾はもちろん、中共の植民地となった香港ですら価値観を共有できないため、中共があの手この手で香港人に自らの価値観を受け入れるよう強要しているのが現状です。

 ちょっとオシャレをした北朝鮮、というのが中共の本質。日本にとって対話の成立する相手ではありません。

 どうせ実を伴わないハイレベル協議を増やしてどうするのでしょう。

 不測の事態が発生せぬよう軍事関係部門レベルで危機回避メカニズムを構築しておくという理屈は一応わかります。

 でもそれ以外で日本にとって意味がある、ためになるものはあるのでしょうか。

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 それから民間交流だのスポーツ交流だのを増やすのは中共にとって逆効果だと思いますよ。日本人にしてみれば、知れば知るほど嫌になるのが中国人であり中国社会ですから。

 実際、北京で開催されたアジア大会では日本選手から運営上の不手際や設備の貧弱さに不満不評の声が噴出していましたよね。日本人の対中嫌悪感が強まったのも日本に滞在する中国人が増えて生活面で日本人が中国人と接触するようになったことが背景にあります。

 『警察白書』によると、日本国内における国籍別外国人犯罪件数は平成元年(1989年)から2006年(昨年)まで「中国人」がトップの座を譲っていません。

 つまり18年連続1位、驚くなかれの
18連覇です。「相互理解」だなんていって付き合ったらどんな目に遭うかわかりません。

 中国人犯罪については、民度が低いから日本社会のレベルに適応できない、というケースもままあるでしょう。北京市では五輪開催を控え、毎月11日を「自発的に行列する日」に制定しました(笑)。自分で行列することすらできない。首都住民でさえそのレベルなのに、そんな連中とどう付き合えと?(笑)

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 少し真面目な話をしますと、拉致問題に対する中共側の理解・協力を明記したことは一応前進かと思います。ないよりマシという程度でしょうけど。

 それから台湾問題について「日中共同声明」にならう、という線で落着させたのは日本側が頑張ったところでしょう。要するに日本が「台湾は中国の一部である」ことを正式に承認していない、という態度を貫くことに成功した訳です。

 逆に日本の国連安保理常任理事国入りについて中国側は言葉を濁し、東シナ海ガス田紛争は問題が先送りとなりました。このあたりは正直なところ台湾有事でも起きなければ解決できないでしょう。逆にいえば台湾海峡で一朝事あらばたちどころに片付く問題です。

 歴史問題については「双方が歴史を正視し、未来志向で」という記述にとどまり、この点では昨年10月の安倍首相訪中時と変化していません。

 温家宝としては台湾問題ともども以前より踏み込んだ内容を明記させて国内向けに政治的得点を稼ぎたかったでしょうけど、それは果たせませんでした。

 とりあえず、

 ●日本の首相による靖国神社参拝を受けてもグラつかないように内政をしっかりまとめること。
 ●ねつ造した「過去の栄光」とやらに頼らずともやっていける社会にすること。

 ……と温家宝には注文を付けておきます。無理でしょうけどねえ(笑)。

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 この歴史問題については、印象深い光景があります。4月4日に訪日を控えた温家宝が日本人記者団と会見した際、首相による靖国参拝に言及して、

「このようなことが二度とないように希望する」

 と述べたのに対し、安倍首相からは間髪入れずに、

「私の考えは今まで申し上げてきた通りだ。考えが変わることはない」

 と鋭い返答が浴びせられました。「今まで申し上げてきた通り」とは、

「国のために戦った方々に対する尊崇の念は持ち続けたい」

 ということです。

 ●中国・温家宝首相、安倍首相の靖国参拝をけん制(読売新聞 2007/04/04/13:48)
 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070404it04.htm

 ●靖国参拝で考えは変わらない 首相(Sankeiweb 2007/04/04/14:50)
 http://www.sankei.co.jp/seiji/shusho/070404/shs070404005.htm

 このリアクションの早さに中共は「安倍首相はコイズミ以上にコイズミ」という認識をしてもらわないと困ります。さもないと日本に対して靖国問題を持ち出して、

「靖国参拝は日本の国内事務。内政干渉はやめろ」

 と安倍首相に逆ねじを喰わされることになりますよ。小泉純一郎・前首相は日本が中共政権に対して堂々とそれを言える環境を整えた上でバトンを渡したのですから。

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 まあ、政治的セレモニーですから「戦略的互恵関係」なんていう耳ざわりのいい言葉で飾ってみるのも一興、といったところでしょうか。どうせマトモに機能しないんですから、せめて花火は華々しく打ち上げておくに限ります。

 ただひとつ気になるのは、旧日本軍が遺棄したとされる化学兵器を処理する「日中連合機構」を設けるといった点です。日本側から「江の傭兵」みたいなのがしゃしゃり出てくるという最悪の展開は何としても避けないといけません。

「まずそれが本当に旧日本軍が遺棄したものかどうか、武装解除後の処理が不当だったのではないか」

 といった点から洗い直せるようなメンバーにしてほしいです。

 それから私は仕事柄気になるのですが、知的財産所有権の侵害問題についての文言を読む限り、中共政権側には海賊版退治に全力を尽くすといったような本気度はうかがえません。「相互尊重及び互利互恵という基礎の上で」対話と協力を強化し問題解決に当たるというのは、海賊版業者の立場も考えてやれということでしょうか。少なくともいますぐ取り組む、といった緊張感はまるでみられません。

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 結語もないまま余談に入ります。温家宝訪日に合わせて、新華社が「百問日本」という記事を配信しました(国際誌『環球』からの転載)。一問一答式の日本に関する豆知識集、といった体裁の内容ですが、その中に、

「日本共産党の現状はどうなのか?」

 という質問があります。

「日本共産党は現在日本における第二の大型野党。党員40万人余り、2万4000カ所の支部を擁し、日本の国会では衆参両院でそれぞれ9議席を得ており、また約3400名の地方議員がいる。日本共産党の機関紙は『赤旗』で、読者は164万人。これらの数字で日本の民衆の中における日本共産党の浸透ぶりがうかがえる」

 というのがその回答。なるほど確かにわかりやすい解説です。衆参両院で各9議席を有する日本第二の大型政党。いやーよくわかりますその浸透ぶりが(笑)。

 ●「新華網」(2007/04/11/12:53)
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-04/11/content_5962219_2.htm




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 いやー香ばしくなってきました。……なんて嬉しそうな顔で言っちゃいけません。いやなに中国社会の話です。

 治安の悪化というのもありますけど、それとは別種の物騒な事件がここ数年で増えているように思います。「和諧社会」(調和社会)の実現が叫ばれるほど不調和なんだから仕方ありません。

 ここ数年のトレンドは爆弾ですね。闇炭坑取り締まり強化でダブついているのかどうか、とにかく中国では爆薬が手に入りやすい状況にあるようです。

 毎日記事を拾っていると、間欠泉のようにドカンドカンというニュースを目にするようになりました。まとめれば相当な数になると思います。

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 爆弾を使った事件というのもいくつかのタイプに分かれています。まずは自衛・攻撃用爆弾。官民衝突に際して、あるいは隣村との武装闘争(械闘)において農民による手製爆弾が登場します。

 ●官民衝突で武警が実弾射撃、農民に多数の死傷者。(2005/12/08)
 ●調和社会に祝砲一発、激闘武装農民。(2006/02/05)

 用意はしたけど使わなかった、というケースもあるでしょう。農民、いや農村が自衛のために爆弾を密造するようになっているというのは注目すべき点かと思います。

 農村だけでなく、都市部の再開発で立ち退きを拒む住民が武装闘争に及ぶケースもありました。まあちょっと特異なキャラなので例外的なケースとも言えますけど。

 ●重機炎上・役人火だるま――立ち退き拒否で火炎瓶男が!(2005/07/18)

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 爆弾ではなく爆発事故や、愉快犯による「爆弾仕掛けた」電話事件も結構あります。調査するうちに爆発事故が爆弾事件に昇格するケースも。密造中に誤爆してしまったケースなどです。

 ●やっぱ爆発でしょ。(2005/07/23)

 その一方で、怨恨絡みや絶望感などに起因した自爆テロも起きています。甘粛省か陝西省か寧夏回族自治区、場所は忘れてしまいましたが内陸部の県レベルの裁判所で、判決に不服だった男が爆弾を身体に巻き付けて裁判官や党幹部を巻き添えに自爆しています。

 福建省・福州市ではバスの乗客が突然爆発して1死30傷。「末期ガン患者が絶望して自殺した」との当局発表でしたが、さてどうだか。

 ●それでも人口は増える一方。(2005/08/09)

 こうした自爆事件には考えさせられます。現世での利益、俗にいう「福禄寿」を追い求めるのが習性である筈の中国人が、その現世に絶望して自ら命を断つようになった、というのも「不調和」の一表現ではないかと思えます。

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 最近の爆発事件を挙げておきますと、まず広州・増城市で起きた製衣工場事務所でのドカーン。事件は4月2日の22時に発生。事務所内で突如轟音とともに爆弾が爆発し、事務所を吹っ飛ばすまでには至らなかったものの、窓ガラスは全部割れて分厚い壁にもヒビが入ったというもの。

 この事務所には警察が設置した監視カメラ2台と工場側が自分で設置した1台が仕掛けたあったそうですから、身に覚えのある怨恨ではないかと考えられます。負傷者はなし。

 ●『明報』電子版(2007/04/04/15:05)
 http://hk.news.yahoo.com/070404/12/25058.html

 さらに寧夏回族自治区の農村でもドカーン。何でも内蒙古自治区で拾った直径約15cm、長さ約70cmの鉄パイプ状のものを自宅に持ち帰り、

「これ、くず鉄で売れるんじゃねえか?」
「んだんだ」

 と台所近くで解体に取りかかったところ鉄パイプが突如スパーク。取り巻いて見物してい幼児も含め死者5名となりました。ちなみに、爆発物が旧日本軍の工兵用爆薬かどうかは温家宝の訪日時の状況によって決まると思われます(笑)。

 ●『明報』電子版(2007/04/04/23:35)
 http://hk.news.yahoo.com/070404/12/250zi.html

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 最後は爆弾ではないものの、これまた「不調和社会」の一表現ではないかと思われるケース。黒竜江省の同省中医研究院で集団食中毒が発生、ビンゴしちゃった人が203名にのぼるという大規模な事件となりました。「事件」なのは調べたところ食物から殺鼠剤の成分が発見されたため。

「地元衛生部門は状況からみて人為的な事件である可能性もあるとしている」

 という報道に、

「人為的でなかったらネズミがやったとでもいうのか?バカじゃねーか」
「報復に決まってるだろ」

 などというネット世論のツッコミが入っています。

 ●「新浪網」(2007/04/10/14:22)
 http://news.sina.com.cn/c/2007-04-10/142212743467.shtml

 ●「新浪網」(2007/04/10/19:40)
 http://news.sina.com.cn/c/2007-04-10/194012745061.shtml

 以前にも南京で朝食を出す店が故意に毒物を混入させて小学生多数を食中毒に陥れた事件がありました。最近も雲南省だか貴州省あたりで披露宴の料理に毒物を混ぜた者がいて、おめでたい席が一転して列席者がのたうち回る修羅場と化した事件が起きたばかりです。

 日本人も色々なストレスを抱えて生活していますけど、中国人は「不調和」がもたらすより過酷なストレスに苛まれているのでしょう。香港では最近、日本を真似た「炭焼自殺」が頻発していますけど、そのうち中国本土にも伝播していくかも知れません。




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 前回のエントリーで「ニュースは鮮度が肝心」とうっかり言ってしまいましたが、当ブログが再三強調しているように、放置して様子を眺めるタイプの、「まずは寝かせてみる」型ニュースもあります。

 その「寝かせてみる」ニュースが先日、日本側から飛び出したのでワクテカで様子をうかがっていました。まずはその日本発のニュースをば。



 ●財布取られる…政府のガス田対応、中川政調会長が批判(読売新聞 2007/04/04/19:47)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070404i312.htm

 自民党の中川政調会長は4日、札幌市で講演し、中国が東シナ海の日中中間線付近でガス田開発を進めている問題について、「泥棒が入ってきて、タンスを開け、財布を取ろうとしたら、『タンスを開けるな、財布を取るな』と言うのが普通だが、そうではなかった」と述べ、これまでの日本政府の対応を批判した。

 そのうえで、「(中国の)温家宝首相が来るから、安倍首相が中国に行くからと理由をつけて先延ばしにし、黙って自分の財布が取られるのを見ているというのは、国民に対していかがなものか」と語った。
(後略)



 おっとこれは可燃度がかなり高めの発言、いかに温家宝訪日を控えて友好ムード演出中とはいえ、中国側の反発は必至だ!……とほくそ笑みつつ「泥棒」の訳語は何になるのだろう、「小偸」(コソ泥)あたりかなあ、と考えていました。

 ところが意外に喰い付きが悪くて、香港でも翌4月5日の午後になってようやくロイター電と『明報』電子版がようやく報道。これはタイミングからして『読売新聞』の紙媒体の方から引っ張ってきた記事と思われます。

 ●「ロイター通信」(2007/04/05/13:30)
 http://hk.news.yahoo.com/070405/3/251kx.html

 ●『明報』電子版(2007/04/05/13:35)
 http://hk.news.yahoo.com/070405/12/251kw.html

 香港でもこんな感じですから、中国国内メディアによる報道は全くなし。

 ――――

 しかし、さすがは香港。翌4月6日の朝刊では各紙一斉にこのニュースを報じました。ちなみに「泥棒」の中国語は私が予想した「小偸」に加え、「賊」と訳した新聞もありました。なるほど悪い意味で例えられるにしても、「コソ泥」よりは「賊」の方がカッコいいかも知れません。

 ●『明報』(2007/04/06)
 http://hk.news.yahoo.com/070405/12/251rv.html

 ●『星島日報』(2007/04/06)
 http://www.singtao.com/yesterday/chi/0406eo01.html

 ●『東方日報』(2007/04/06)
 http://orientaldaily.on.cc/new/new_c04cnt.html

 ●『太陽報』(2007/04/06)
 http://the-sun.on.cc/channels/news/20070406/20070406014533_0000.html

 ●『香港文匯報』(2007/04/06)
 http://paper.wenweipo.com/2007/04/06/CH0704060010.htm

 ●『大公報』(2007/04/06)
 http://www.takungpao.com/news/07/04/06/ZM-717266.htm

 ●『聯合早報』(2007/04/06)
 http://www.zaobao.com/gj/gj070406_505.html

 このうち『香港文匯報』『大公報』及びシンガポールの『聯合早報』は親中紙で、ウェブサイト(電子版)には中国国内からもアクセスできます。つまり中国国内在住でも気付いた人は6日午前にこのニュースを知っていた、ということになります。

 ところが、この6日も中国国内で「中川発言」が報道されることはありませんでした。

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 こういう情報統制の現場というのはどうなっているのでしょう。中央宣伝部あたりで「これ流していい」「これはNG」と選別しつつ判断しているのでしょうか。大きな流れとしては「日中友好ムード醸成の線で」という方針があったでしょうし、実際にその類いのニュースが嫌になるほど中国国内では流されました。

 この前後に温家宝・首相の日本記者団に対する会見や中央テレビ局の安倍晋三・首相インタビューといった格式高めのニュースも大きく報じられています。ただその一方で、集団的自衛権がどうとかミサイル防衛システム云々といったネガティブ調の報道も出ています。総じていえば、

「一応友好基調だけど、それ一辺倒じゃなくて多少は手綱を引き締めておく」

 といったバランスとりが行われていたような印象です。友好ムードとはいえそれが表面的な、つくられたものであることは日中双方が承知している訳ですし、安倍首相の肚がいまひとつ判然としない部分があるから懐疑する余地を残しておくか、といった判断が行われたのかも知れません。

 小泉純一郎・前首相が2005年秋に靖国神社を参拝したあと、集中豪雨的な反日報道が行われた時期がありましたが、今回はそれとは違ってやや半身に構えた、「一応退路を確保しておく」といったある種の留保がついた「日中友好」キャンペーンといっていいかと思います。

 で、「中川発言」、香港では6日の朝刊で一斉に報じられた訳ですが、その翌日である4月7日になっても中国国内のメディアでは報道されませんでした。NG扱いだったのでしょう。「可燃度高すぎ」ということでしょうか。

 中共当局におけるこの2日間の躊躇?の理由が知りたいところです。例によって「報道させたい」勢力と「報道させない」勢力の間で綱引きが行われていたのかも知れません。

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 その「中川発言」が中国国内でようやく報じられたのが4月8日です。日本側の第一報からは中3日を置いたタイムラグ。このニュースを流すか流さないか、それなりに吟味されたことをうかがわせます。

 ●「捜狐新聞」(2007/04/08/01:36)
 http://news.sohu.com/20070408/n249275398.shtml

 ●「中国経済網」(2007/04/08/07:32)
 http://intl.ce.cn/zgysj/200704/08/t20070408_10966219.shtml

 ●「新浪網」(2007/04/08/14:59)
 http://news.sina.com.cn/o/2007-04-08/145911594876s.shtml

 ●『中国日報』電子版(2007/04/09/09:11)
 http://www.chinadaily.com.cn/jjzg/2007-04/09/content_846276.htm

 ●『環球時報』(2007/04/09)
 http://mil.news.mop.com/o/2007/0409/111826756.shtml

 ……反日基地外紙の『環球時報』も9日になっていよいよ報道。さあ本腰か?と言いたいところですが、温家宝がきょう(10日)から韓国・日本ツアーですから、せっかくの極上燃料も怒濤の外遊関連報道の中に埋没してしまうのではないかと。それを狙った中3日の「時差」なのかどうかは知りませんけど。

 8日の東京都知事選挙で石原慎太郎氏が三連覇を果たしたというニュースも、速報はされたものの本来ならその後に湧いて出て来る極右の石原がどうのこうのという粘着性の強い記事は続きませんでした。

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 ……てな訳で、抑制されたネガティブ報道が行われる中で日中友好キャンペーンが展開された、という印象を残して温家宝が日本にやって来ます。日本は中国と違って芸人に求められるレベルが高いですから、「親民総理」などと呼ばれている温家宝も特別機からタラップを下りる途中で派手にすっ転ぶくらいのことをしないと笑いはとれません。

 もっとも日本人記者団との会見では靖国問題に言及したり、訪日中には新幹線に乗らないといったように、意外に硬質な展開になるのではないかとつい期待してみたくなります。

 友好記事絡みで「新華網」で散々使われている安倍首相と握手している写真がなかなか印象的です。作り笑いは得意技の筈なのに、このときの温家宝の顔は笑っておらず、硬い表情のままなのです。

 アドリブ上手ではあるものの基本的には直球勝負の小泉前首相と異なり、安倍首相に対して中共はビシッと速球を投げ込まれることはなかろうと安堵しつつも、古井戸の底をのぞくような心持ちでいるのかも知れません。




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 ニュースは鮮度が肝心です。その時機を逸して放ったらかしにしておくと古びてしまい、面白味も失せます。

 今回の話題もその悪いお手本のようなものですが、前回のエントリーでお問い合わせを頂いたので臆面もなく取り上げることにします。



 ●楊丞琳(Rainie レイニー・ヤン)の問題発言って? (損政好)
 2007-04-09 01:16:00

 いつも楽しく拝読させて頂いております。

「流星花園」に出てた娘ですけど、御家人様、この発言と問題の背景についてご解説頂ければ幸いかと。。。

 MyPersonalLinks+ 楊丞琳(Rainie レイニー・ヤン)ってどうよ?~ビビアンスー、インリンに続く台湾アイドル~
 http://blog.goo.ne.jp/ykimata/e/f9af0be7534fbb88863ab0114986bb4e



 このニュース、私は「新華網」(国営通信社の電子版)の隅っこでタイムリーに拾うことができて「これは上ネタ」と喜んでいたのですが、仕事に追われていたため放置していたら鮮度が落ちて取り上げる機会を失ってしまった次第。原文はこちら。

 ●「新浪網」(2007/04/04/08:39)
 http://ent.sina.com.cn/s/h/2007-04-04/08391504383.html

 ●「新華網」(2007/04/04/08:44)
 http://news.xinhuanet.com/tai_gang_ao/2007-04/04/content_5931819.htm

 ●「新華網」(2007/04/04/09:50)
 http://news.xinhuanet.com/tai_gang_ao/2007-04/04/content_5932378.htm

 その後数日して日本のメディアにも取り上げられました。



 ●「前世は日本人」台湾アイドル、中国人の怒り招き謝罪(Sankeiweb 2007/04/08/00:41)
 http://www.sankei.co.jp/kokusai/china/070408/chn070408000.htm

 【北京=福島香織】台湾の人気アイドル、レイニー・ヤン(楊丞琳)さん(22)が、過去に抗日戦争の期間を言い間違え、中国人の怒りを招いたことなどについて、このほど北京で謝罪会見した。

 楊さんは4年前の台湾のバラエティー番組で抗日戦争の期間を質問され、11年と回答、司会者から8年だと訂正されると「たったの8年?」と答えたことに批判が集まった。さらに「私の前世は絶対に日本人」「(大陸の)中国人はかっこわるい」といった発言などについて、一部ネット・ユーザーの間では怒りがくすぶりつづけ、最近も楊さんのテレビCMが打ち切られたりしていた。

 楊さんは香港アイドルのイザベラ・リョンさんと共演した新作映画「刺青」の中国公開を12日に控えていたことから3日、北京で記者会見を開いて「私が歴史を知らないために誤解を招いてしまいました」と公式に謝罪した。しかし、逆に過去の発言内容が蒸し返される結果となったほか、「謝罪の動機が不純だ」といった新たな非難も巻き起こった。
(後略)



 この記事を書いた福島記者のブログでより詳細な事情をつかむことができます。

 http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/entry/148162/

 余談ながら、「抗日戦争」などと中国では呼ばれていますが、本当は「11年」も「8年」も不正解。厳密にいえば、日本と中国は「戦争」をそんなに長くやっていません。だから日本では「なんちゃって戦争」の期間を「支那事変」と称していた訳で。

 さらに余談を続けますと、

「台湾の人気アイドル、レイニー・ヤン(楊丞琳)さん(22)が、過去に抗日戦争の期間を言い間違え、中国人の怒りを招いたことなどについて……」

 とサラリと書いてのけた福島記者は粋筋ですねえ。なるほど確かにレイニー・ヤンは台湾人であって、中国人ではない。……と読むこともできます。深読みのしすぎでしょうか?

 レイニー・ヤンの方も「謝罪」を営業活動の一環と割り切ってやっていますね(たぶん)。彼女の「謝罪文」の内容が「新華網」の記事(上記原文記事の2本目)において写真付きで紹介されています。

「みなさんこんにちは。レイニー・ヤンです。私は口下手ですけど、幸い全てのメディアとファンの皆さんにずっと応援してもらっています。これからも私はもっといい仕事ができるよう努力していきます。本当に本当にありがとう」

 ……謝罪してないじゃん(笑)。ていうか逆にネット世論を煽っているような。釣り師の素質十分とみました。

 ――――

 中国には台湾の芸能人に対して「緑色芸人」という分類の仕方があります。というか一種のレッテルですね。「緑色」というのは台湾独立派ということで、「芸人」は芸能人。要するに陳水扁・台湾総統あるいは李登輝・前総統などの政治的スタンスを支持している芸能人に、

「緑色芸人」

 というレッテルが貼られます。具体的に支持表明したのではなく、仕事として独立派のイベントに呼ばれてゲストとして登場するだけでもアウトのようです。台湾の代表的モデルである林志玲は両親が陳水扁との縁が深い、ということで「緑色」扱いされました。

 他にも台流の中心的存在であるF4、コミック「花より男子」を原作とした台湾ドラマ「流星花園」で一躍ブレイクしたあの男性グループも「緑色芸人」認定された時期がありました。いまはどうだか知りませんが、私の周囲にいるF4ファンの人に尋ねても、レッテルを貼られた理由は「わからない」ということでした(ケンちゃんが「東京裁判」に出演しているからチャラになったのかも)。

 ●そっと「チーリンたん」と呼んでみる――もしかして烽火?(2005/08/12)

 この「緑色芸人」というのも内情は複雑で、単に政治的スタンスに「緑色」の香りがする、ということでレッテルを貼られる場合と、2005年春の「反日騒動」のように党上層部内の主導権争い(より具体的には対台湾政策に関する争い)の具にされているケースがあります。

 道聴塗説・事実無根の話がネットを通じて広まって事実扱いされて騒ぎになる、ということもありますから手に負えません。民度の成せる業です。

 ――――

 今回のレイニー・ヤンの場合は「緑色芸人」とは無縁のようです。彼女を叩いたネット世論やそれを煽った気配濃厚の中国国内メディアにしてみれば、

「あいつはムチだから批判されるんだ」

 といったところでしょう。ムチとは「無知」であり「無恥」です。「無知」とは中共史観について無知、ということ。では「無恥」とは何かといえば、

「私の前世は絶対に日本人!和服を着て雪の中を歩くあの感覚がたまらない!」

 という発言です。日本びいき・日本ファンたる「哈日族」を自認するあたりが気に入らない、シャクにさわる、といったところではないかと。

 そういえば、やはり台流の一角を担うジェイ・チョウ(周杰倫)にも似たようなことがありました。



 記「大陸をどうみますか?」

 周「僕が大陸をどうみるかなんてことじゃない。そんなこと全く僕とは関係ないことだ」

 記「でも私たちも大陸に属しているじゃないですか。私たちが中国人ではないとでも?」

 周「そんなことは自分に聞いたらどうだ!(語気強まる)何度言えばわかるんだ?僕は台湾人であって、大陸人ではない。僕たちの祖父母はかつて日本人だったことをしっかり覚えておけ」(インタビュー強制終了)



 という記者とのやり取りが台湾であった、というニュースが中国国内の掲示板を一時大いに賑わせたものです。これは事実無根のネタが広まったケースだと思います。

 ●尖閣ツアー中止で新たな報道管制?(2007/03/14)

 ――――

「日本びいき・日本ファンたる『哈日族』を自認するあたりが気に入らない、シャクにさわる」

 といった空気がなぜかくも濃厚なのか、といえば理由は簡単。当ブログで再三強調してきたように、中華意識にあぐらをかいて世界の潮流から超然としていたために19世紀以降散々な目に遭った(自業自得)ことに起因する「中国人」の民族的疾患によるものです。

 ●もんのすごーく高いプライド(中華意識)
 ●もんのすごーく強いトラウマ(屈辱の歴史)

 という2種類の特異な性質がいずれも医学で扱うべきレベルに達していて、しかもその両者が一人格・一民族の中に同居しているということです。

 一人格としていえば絶対隣人にしたくないタイプですけど、遺憾ながら日本の隣にそういう始末の悪い連中が棲息しています。しかもわらわらと13億も。

 さらに江沢民が十数年にわたって行った「愛国主義教育」のおかげで30代以下は「反日」と「なんちゃって愛国」でキレやすくなっています。

 ●愛国主義教育でオトナになった「亡国の世代」面目躍如。・上(2006/12/08)
 ●愛国主義教育でオトナになった「亡国の世代」面目躍如。・下(2006/12/08)

 そのくせ「コナン」や「ガンダム」とかJ-POPや日本のグラビアアイドル画像がないと困る連中がたくさんいますから連中を束ねている中国共産党も骨が折れることでしょう。

 もとより中国国内は「和諧社会」(調和のとれた社会)の実現を呼号しなければならないほど社会状況が悪化していますから、「反日」であれその逆であれ、舵を大きく切りすぎると胡錦涛政権存続の危機。中共による一党独裁制が揺るがないという前提のもとであれば、それを虎視眈々と狙っている政治勢力も少なくないかと思います。

 それはともかく。ここまで騒ぎになったのは中国人の民族的疾患の症状がモロに出てしまったのと同時に、レイニー・ヤンに対する需要が強いことを示すものではないかと。

 中国国内メディアが騒ぎを大きくした部分もありますけど、「謝罪した」と報じたことでみそぎは済ませたから、レイニー・ヤン解禁ってことでよろしく。……というニュアンスもあるように感じられます。

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 そういえば香港のスターであるアンディ・ラウ(劉徳華)が昔、北京でコンサートを開いた際、MCで「北京」を「北平」(中華民国における呼称)と言ってしまったという武勇伝(笑)を耳にしたことがありますけど、あれって事実だったのでしょうか。




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 どうもすみません。「少しずつ更新していきます。」と書いておきながら、はや土曜日になってしまいました。

 体調は回復しているのですが、頭の方がちょっと……。前週来の「まとまった仕事」にようやくケリをつけた、というか先送りに成功したばかりで、まだ余熱が散じていない状態なのです。

 これは副業の方からの依頼で、中文コラムとは別に編集部の示すテーマに沿ってあれこれ書いてくれ、というもの。むろんチナヲチ(素人の中国観察)とは全く無縁のジャンルです。ただ「ヲチ」という点は一緒。とりあえず示されたテーマの中のひとつについてあれこれ書いて出しました。

 ところが聞いてみると一応書籍の形態をとっているらしいのです。私はその全体像を把握しようと「ちょっと構成を見せてみろ。見せなきゃ書かないぞー」と駄々をこねました。それで企画書めいたものに目を通すことになったのですが、その種の読み物としてはかなりズレている部分と、時期的に合わないという印象を受けました。時期的に合わないのは編集部も承知しているようですが、それでも1冊出しておきたいという御家事情があるようです。

 この時期に私を急き立てるのは7月に「書展」(ブックフェア)という香港最大級のイベントが開かれるからでしょう。この「書展」、1日平均入場者数だと確かTMS(東京モーターショウ)を上回っている筈で、毎年、大人しく行列して入場待ちをしている香港人の長蛇の列という珍しい光景を目にすることができます。

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 東京のブックフェアと違って香港の「書展」は基本的に「B to C」。要するに出版社同士の商談の場ではなく、出版社と読者が交叉する舞台です。香港は狭い割に、あるいは狭いがゆえに書籍流通は未成熟で、目にしたときに買っておかないと後で取り寄せが利かない、ということがままあります。

 ……で、来場者たる「読者」はそういう本が売られていることや特売、それに著者サイン会やイベント限定本などを期待してどっと押し寄せることになります。出版社からすればこれは絶好の商機。在庫になってしまった雑誌のバックナンバーを売りさばくという一掃セールでもあります。また、このイベントに合わせて本を出せば普段より好調なセールスが見込めます。

 それで編集部は私を急き立てた訳ですが、「お前ら慌ててこんな本出すくらいなら雑誌で特別企画を組んだ方がいいぞ。本は来年の『書展』に合わせて書いていけば時期も合うし絶対いいものが作れる」と懇々と説きまくり、ようやく企画を先送りさせることに成功しました。

 ただ私はもう中国語でたっぷり書かされています。それは雑誌の特集に回せばいいのですけど、書いていたこちらはクールダウンが必要になります。

 私にとっては稚拙ながらも中国語を書くという作業、これもまた「海軍カレー&海軍コーヒー&零戦」には劣るものの一種の愉悦です。ただ集中力が必要ですから、反日サイトで糞青ども(自称愛国者の反日信者)と戯れるのならともかく、仕事としてその作業をやり終えると何やらボーッとしてしまい、しばらく別のことに手がつきません。昼夜ぶっ通しでやるので床に入ってしまえばいいのですが、まだピリピリした状態が持続しているので眠ることもできません。ただあれはあれで達成感を伴う楽しい時間ではあります。

 ……要するに更新が滞っていたことに対する言い訳を長々と書いているのですが、そういうクールダウンに加えて、中国問題という全く異なるジャンルにシフトチェンジするのも容易ではありません。今週も記事集めという日課は欠かしませんでしたが、興味のある記事に目を通すということまではできませんでした。

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 雑談を続けることになりますが、先日配偶者(香港人)の従妹から電話がありました。幼少のころから配偶者によくなついていたので従妹でも配偶者を「姐姐」(お姉さん)と呼びます。ですから私は「姐夫」。

 ……で、たまたま私が電話をとったので、いい機会だと思って北京語での会話を試みました。いま香港では確か小学校から北京語が必須科目になっている筈です。従妹はハイティーンですからそのカリキュラムで育成された世代ということになります。

 すると驚いたことに、香港人である従妹がペラペラと流暢に北京語を扱うのです。私がコラムを連載している雑誌の編集長が実戦で身につけた北京語よりずっと上手なので私はあんぐりです。

「でもお前、その発音は台湾なまりだな。語尾でわかる」

「そうなの?……あ、それたぶん台湾のドラマが好きでいつも観ているからだと思うよ」

 などと会話しました。語学教室に通っていた人は別として、これまで香港人の北京語といえば両手で耳を押さえたくなるような「やめてくれー」的な発音にばかり接してきた私には大きな驚きでした。香港が名実共に中共の植民地と化しつつあることの証?そんな野暮なことは言わずもがなでしょう。

 本物の「植民」だって着々と進行しているのです。観光客として香港に入った中国本土の妊婦が香港で子供を出産すれば、その赤ん坊は香港人扱いになります。おかげで産婦人科のベッドが占拠されてしまい地元香港の妊婦が困っているというニュースも一時期大々的に流されました。

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 ここで話題を転じます。4月5日は中国で言うところの「清明節」でした。お彼岸のようなものです。

 ちなみに1989年6月4日の天安門事件は「第二次天安門事件」とも呼ばれています。「第一次」は1976年4月5日。1月8日に死去した周恩来首相(当時)を追悼する意味で人民英雄記念碑に市民が自発的に花輪等を持ち寄り、自作の詩を捧げるなどして賑わったのですが、これは文革末期の江青をはじめとする「四人組」に対する無言の批判でもありました。

 少なくとも政権を牛耳っていた「四人組」はそうみなし、「反革命活動」だとして公安(警官)多数を現場に投入、流血の惨事となりました。これが「第一次天安門事件」です。私は上海に留学中、時勢に敏感な学生の多い大学ならこの4月5日に壁新聞でも貼り出されるのではないか、と期待して授業をサボり市内の大学巡りをしたものです。

 そのときは結局空振りに終わったのですが、その10日後に胡燿邦・前総書記(当時)が死去し、それが第一次天安門事件における周恩来の役割を果たして私もとんでもない場所に居合わせてしまうことになるとはさすがに予想できませんでした。

 ●昔話その1(2004/10/29)
 ●昔話その2(2004/10/29)

 さてさて「清明節」。お彼岸のようなものと書きましたが、中国本土でも香港でも先祖のお墓参りに出かけます。おかげで当日は深センのボーダーが香港からの人津波で入境手続きは大渋滞。香港人の多くは先代か先々代が広東省からの密入境者ですから、お墓は広東省の故郷にあるのです。

 ちなみに香港ではこの「清明節」に植民地時代の名残であるイースターを組み込んだ4連休(今年は週末と重なったので5連休)。この期間に桜見物を見所のひとつとするツアー客もたくさん来日します。中国本土でも「清明節」を休日にすべきではないかという議論が最近起きています。

 ともあれ私は由来を知りませんが、「清明節」は中国人古来の伝統行事、ということになるのでしょう。

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 ところが、この「清明節」に異を唱える主張が台湾から飛び出しました。台湾独立派系の新聞『自由時報』の社説です。

 ●清明節の墓参は民間のプライベートな行事という扱いに戻すべきだ(自由時報 2007/04/07)
 http://www.libertytimes.com.tw/2007/new/apr/7/today-s1.htm

 「清明節」は中国人の伝統行事にすぎない。ここは台湾だ。原住民もいる。原住民は「清明節」と無縁だ。さらにいえば台湾は元々それら原住民が住んでいたところに漢人が移住し、地元民と結婚することで融和していった。これが台湾人のルーツだ。だから台湾人を純粋な中国人とする見方は史実に合わない。……ということで、台湾人の本土意識に照らせば「清明節」などは民間のごくプライベートな行事という扱いにすべきだ、といった趣旨です。

 いま「台湾は台湾人の国」ということで、第二次大戦後の国共内戦に敗れて台湾に押し入ってきた外来政権たる国民党、その象徴的存在である蒋介石の像を撤去しようとか蒋介石の名にちなんだ空港や施設の名前を改めようという動きが台湾独立派である与党・民進党の主導で進められています。今回の『自由時報』社説もその線に沿ったものといえるでしょう。

 ああ、違うな。やっぱり台湾は香港とは違うんだな。……と、こういう場面に出くわすと改めて思います。

 例えば香港で世論調査をやると7割以上の香港人が台湾独立に反対と答えています。台湾の蒋介石像撤去運動のような中国色を薄める動きは政治主導のものとはいえ、もし台湾人に対してその是非を問えば、「7割以上が反対」ということはまずないでしょう。

 この動きがさらに進めば、公用語の筆頭に台湾語(ミン南話)が据えられることになるのでしょうか。

 私は台湾の出版社で仕事をしていたとき、社内で台湾語を耳にしたことが1度もなかったのは台北だったからなのかどうか、終始仕事漬けで台北からついに出ることがなかったため私にはわかません。私のいた出版社では、私の編集局に属する部下たちはもちろん、私に遠慮する必要のない別の編集局の方からも北京語しか聞こえてきませんでした。

 ただ、テレビには必ず字幕がついていました。北京語を話せない人や客家に対する配慮だと思います。李登輝氏も総統時代、しばしば台湾語で演説していて、私はその内容を字幕で追った覚えがあります。

 台湾ファンとしてはやはり台湾語が話せる方がいいでしょう。この歳になって語学を初歩からやるのは非常に辛い作業ですけど、取り組んでみようかなと考えたりもしているところです。でもやっぱり時間とれないだろーなー。




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 ブログの更新が随分滞ってしまい誠に申し訳ありません。m(__)m。

 この一週間ばかり、元々疲れていたところへ急にまとまった仕事が入ったり、花見に引っ張り出されたり、恩師の引っ越しでほぼ日課となっていた電話連絡(いつもこれで癒されるのです)が途絶えたりして消耗しておりました。

 あと誕生月なので役場の指示通り無料健康診断を受けたら案の定「再検査」印が次々に点灯したり(笑)……まあ色々あったので体調を崩してしまい気力・体力ともに更新する余裕がありませんでした。

 うれしい、というか恐縮することがひとつだけ。誕生日祝いにさる方から大変なものを頂いてしまいました。本来なら博物館に展示しておくべきじゃないの?……という来歴及び由緒正しき一品です。拙宅は夫婦共働きで子供はいませんから私が死ねば当家の改易は必定。私の棺桶へ一緒に入れてもらうか生地の文化施設に寄贈するか、5年くらいかけてゆっくり考えてみます。

 ……あ、でもそれを目当てに強盗に来てもらっても肝心のものは畏れ多くて拙宅には置いておりませんので空振りになってしまいます。念のため。

 ともあれ不期遭遇戦で半壊していたのがようやくダメコンの効果が出始めたようなので少しずつ更新していきます。m(__)m

 余談ですが靖国神社の遊就館1階展示室でパラオ展をやっております(入場無料)。必見です。




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