日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 予定通り、午前中に靖国神社へ行き参拝してきました。

 暑かったです。もうただただその一言のみ。暑い。暑すぎ。

 自分にも責任があります。7時半から8時くらいに参拝するつもりだったのですが、その前にひとつ片付けておかねばならない仕事がありまして。……5時に起きて取っ組み合っていたのですが予想外に時間がかかってしまい、考えていたより1時間半ほど遅れてしまいました。

 そのために現地に着いてみると朝の気配などカケラすら残っておらず、待っていたのは猛暑と蝉時雨と物々しい警備。参道の両端には観光バスがズラリと並び、その先には毎年恒例の記念式典のために大きなテントが設置されていて、隅っこを伝い歩くようにして二の鳥居にたどり着きました。

 参道を風が抜けているときはそれほど暑さを感じずに済みますけど、あいにく今日はほぼ無風状態、というより湿度も高いのか蒸し風呂同然でした。あちこちに疾患を抱えていて副作用で薬太りしている私はもう汗ダラダラです。

 ……あ、でも上背はある方なのでハンプティ・ダンプティのような丸っこい体型ではありません。それから川べりの散歩が日課となったこの2カ月で10kg近く体重を減らしましたし。ああ、歩いて汗を出す癖が身体についてしまったのかも知れませんね。

 ――――

 閑話休題。二の鳥居から先はいつも通り静かに参拝することができました。団体客が多いため賑わってはいましたけど、初詣のときのように参拝するために行列することはありませんでした。

 普段と同じように我流の所作で参拝を済ませると、予定通りに遊就館直行。館内は冷房が効いています。売店などをうろついて汗を退治してから、カブリモノを先日ゲットした超レアアイテムにスイッチ。喫茶室モードで零戦&海軍カレー&海軍コーヒーと相成りました。

 この喫茶室、平素なら団体客が多くてもみんな2階の展示スペース(有料)に回るので意外に空いているものなのですが、きょうは個人の参拝客も多いため大にぎわい。いつもの席で海軍カレーに舌鼓を打っているうちに老夫婦と相席になりました。……前回



 どうも私は、8月15日の靖国神社参拝に際してお婆さんと縁があるようです。今年もそうなるのでしょうか?



 と書きましたが、このジンクス?が今年も現実のものとなりました。ただし今回はお婆さんだけでなくお爺さんが一緒で、主役はむしろこのお爺さん。

 私は相席となると澄ましていられないタチですから、

「暑いですねえ」

 とまず一言。お爺さんがそれに応じていやあ暑いですね、本当に暑い……などと話しているうちに、身内に戦没者がいるのかという意味のことを尋ねられたので、前回書いたような内容を手短に話すと、お爺さんはお婆さんともども大きく頷いてくれました。

「月に2~3回はここに来ます。私は小さい頃から零戦が好きで。……ほら、これも」

 と、私が喫茶室モードである自分の頭をポンポンと叩いてから調理場の方を指差すと、お爺さんもお婆さんも笑顔になりました。

 で、受けたボールをお爺さんに投げ返してみると、何とお爺さん自身が戦時中は日本海軍に在籍していて、今日は戦友に会いに来たのだと言うのです。

「私は海軍ではフネに乗っていましてね」

 と、お爺さん。当年とって87歳とのことでしたが、背筋はピンと伸びているし杖なしで普通に歩けますし悠々とタバコをくゆらせているあたり、とてもそんな高齢には見えませんでした。

「フネといいますと?」

「巡洋艦です。『高雄』というフネです」

「あっあの重巡の?……ではレイテ沖海戦で潜水艦の魚雷を喰らって」

「おや、よく御存知ですね」

 お爺さんの表情がパッと明るくなりました。

 ――――

「確かパラワン水道でしたね?そのあとシンガポールに戻って」

「あなた、お詳しいですな」

 お爺さんは嬉しそうです。……いや、私は軍ヲタではありません。その道に危うく進みかけた小学生のころに仕入れた知識をたまたま記憶していただけです。

「あのときは、仕方がないので駆逐艦をイッパイつけてもらって、シンガポールに行ったのです。浮きドックで修理しようと」

「あ、イギリス軍が残していったあれですか」

「そうです。ところがB29の空襲で浮きドックが壊れてしまいまして、そのまま戦争が終わるまでシンガポールでした」

 お爺さんがだんだんノッてきました。

「確かあのとき、雷撃したアメリカ軍の潜水艦が戻る『高雄』を追跡していて、途中で暗礁にひっかかって自沈したんですよね」

「お、そんなことまで御存知でしたか。そうです。イッパイだけでしたが」

 ああ、確かに往時の海軍さんだ、と私は内心感動していました。駆逐艦がイッパイ、潜水艦がイッパイ。……「イッパイ」というのは1隻のことなのです。

 ――――

 それからは合間合間に質問をはさみつつ、私はお爺さんの話を傾聴しました。

 お爺さんは航空科の整備兵で、昭和17年、横須賀航空隊でのんびり日を送っていることに退屈してきたとき、ちょうど「高雄の手が足りないから希望者は申告しろ」と上官に言われ、台湾の高雄ならバナナをたらふく食べられるからここより面白いだろう、と思って戦友と願い出て転出したところ、台湾ではなく重巡「高雄」だったこと。

 「高雄」は下駄履き(フロートのついた水上機)の偵察機と弾着観測機を搭載していたこと。

 レイテ沖海戦のときは飛行機が足りなくて、戦艦や巡洋艦の多くは搭載機なしで、搭載していた艦もカタパルトで射出したら陸上基地に向かわせたこと。

 整備兵だったので戦闘中は特に配置もなく手持ち無沙汰だったこと。

 ソロモン諸島の攻防戦当時、内南洋における海軍の一大拠点・トラック島に進出し、陸兵などを満載した重巡戦隊の1隻としてラバウルに向かったこと。

 ところがラバウル入港後間もなく、待ち伏せていた米機動部隊による250機の大空襲に遭遇。「高雄」も二番砲塔の横に被弾して、たまたま二番砲塔がなぜか砲塔出入口を開けたままだったため装薬に引火して誘爆し、二番砲塔配置の砲員が全滅したこと。

 空襲のときは「高雄」から撃ち出される対空砲火が隅田川の花火のようだったこと。

 終戦時は一等兵曹だったこと。

 ……お爺さんの話は尽きませんでした。話題が幸い守備範囲の中で私も適確に相槌を打つことができたので、お爺さんにしてみれば恰好の聞き役だったのかも知れません。身振り手振りを交えつつ、私にのしかからんばかりの勢いで当時の色々なことを話してくれました。

「あの本を持ってくれば良かったですね。1冊差し上げられたのに」

 と、婦人というより姐御といった雰囲気を残すお婆さんが口をはさみました。驚いてお爺さんに尋ねると、自費出版で以前、戦争体験記を出したのだそうです。

 お爺さんとお婆さんは東京在住で、毎年この日には靖国神社に来ているとのことでした。

「いままではね、境内をうろうろしていると海兵団の同期の連中と二人か三人くらいは顔を合わせたもんです。でももうこの歳ですから、最近はなかなか。……戦友会も解散してしまいましたし」

 先刻までの熱弁とは打って変わって、そう話したときだけお爺さんはちょっと淋しそうな顔をみせました。

 ――――

 話が一段落したとき、お爺さんが、

「おい、あれを」

 と言ってお婆さんにバッグから携帯電話を取り出させました。

「これ、みて下さい」

 と携帯電話を受け取ったお爺さんがニコニコしながらストラップを私に示すのです。先端が楕円形のフォトフレームのようになっていました。たぶん戦友との記念写真から自分のところだけを切り抜いたのでしょう、その細長い枠の中には若かりしころのお爺さんが水兵服姿で収まっていたのです。

「これは、一等水兵のころでした。いや、兵長だったかな」

 と話すお爺さんにどこか無邪気で誇らしげな色を感じて、そのとき私は、

「1945年夏、それでも青春だった」

 という、特攻兵器「回天」と学徒出陣組を描いた映画「出口のない海」のキャッチフレーズを思い出していました。

 それから、先月亡くなったばかりの、私に「昔話」や「娘時代の話」を聞かせてくれたお婆さんのことを。



 そのうちに、

「今でも8月15日にはね、靖国神社に昔の格好(軍服)をしてお参りに来てくれる若い人たちがいるんですよ」

 と言うのです。生き残ったお年寄りが軍服姿で整列する映像はニュースで流れたりします。その人たち全て、とは言いませんが、中には戦死していまなお若い姿のままの戦友に会いに来るために、当時と同じ軍服姿で向き合うのが自然であり、礼儀でもあると考えている人は少なくないでしょう。

 ただ若い人のそれはただのコスプレじゃないかと私は思っていたのですが、お婆さんのような捉え方もあるようです。

 ●見せてあげたかった。(2006/10/24)



 あのお婆さんにも「それでも青春だった」という気持ちがあったのかも知れません。あのときお婆さんは、

「ようやく8月15日に小泉さんが来てくれましたね。ありがたいことだなあ、と思いましたよ」

 とも言っていました。甲斐があった、という思いもどこかにあったことでしょう。

 ――――

 以下は帰途、蒸れるような暑さと蝉時雨に包まれた参道を歩きながら考えたことです。

 あの苛酷な時代に青春期を送り散華した人たち、また幸運にも生き延びて「それでも青春だった」と振り返る人たちの多くにとって、靖国神社は「約束の場所」です。これについては、現代の価値観で云々すべきものではないでしょう。外国からの容喙に至っては論外です。

 その靖国神社に総理大臣が参拝することで、せめて日本の最も困難な時代(戦争~敗戦~復興)を背負う破目になった世代の青春に花を手向けてもいいのではないでしょうか。

 国民を代表して感謝と敬意を表することで、日本のために尽くしてくれた先人たちに少しでも報いるのです。

 恥じる必要もためらう必要も何らないでしょう。日本には日本の歴史観がある筈です。また現代の感覚からすれば違和感があっても、当時は当時なりの価値観があり、その時代の人々は好むと好まざるとにかかわらず、それを当然のものとして受け入れざるを得なかったのですから。

 重巡「高雄」乗組だったお爺さんは、わざわざ携帯ストラップまで見せてくれたほどですから、私との会話が楽しい思い出となるかどうかはともかく、決して不快な出来事ではなかったと思います。

 私にとっても、お爺さんとの出会いは間違いなく貴重な記憶として残るでしょう。……ただそれと同時に、拭いきれないやるせなさのようなものを、改めて胸の中に抱え込んでしまったような思いが、いま私の中にあるのです。




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 よく晴れた空の下、まだ朝の気配を残す静かな参道を、蝉時雨を浴びつつ歩くというのはいいものです。

 都心でありながら近くに高層ビルが少ないこともあって、靖国神社から見上げる空は意外に広くて大きくて、青空がまたよく似合う場所でもあります。

 今年も好天であれかし、と願っています。



 と書いてから1年が経ちました。一昨年がそういう清々しい空気に包まれていたのです。参拝の後に立ち寄った喫茶店では先日亡くなられたお婆さんと縁を結ぶことができました。

 昨年は悪天候のうえ小泉純一郎・首相(当時)の参拝に出くわしてしまったため散々でしたけど、今度は栃木県から朝一番で上京してきたというお婆さんと一緒になりました。

 どうも私は、8月15日の靖国神社参拝に際してお婆さんと縁があるようです。今年もそうなるのでしょうか?とりあえず暑さで熱中症になるのを案じて参拝を断念した恩師から「私の分もお祈りしてきて下さい」と頼まれています。

 8月10日に閉店した馴染みの床屋で常に私の担当だった「尊攘さん」も行くそうですから、会うことができたらいいな、と楽しみにしています。

 今年は天気に恵まれそうですね。報道陣は肩透かしの気分かも知れませんけど、あの清々しく爽やかな雰囲気のなか参拝できると思うと、何だか遠足前夜のような気持ちです。

 私は午前の早い時間に参拝を済ませて、例によって零戦&海軍コーヒーを楽しんでから帰ろうと考えています。

 ――――

 日本の近代化に尽くした人たち、その過程で戦没した人たち、そして大東亜戦争で心ならずも戦死された人たちや戦争に巻き込まれて亡くなられた民間人の人たち、そして戦争を生き抜き戦後の復興に尽力された人たち。……いまなお健在の人たちも含めて、いまの日本を私たちに遺してくれた先人たち全てに心から、

「ありがとうございました。本当にありがとうございました」

 と感謝と敬意を表したいと思います。皆さんのおかげで現在の日本があり、繁栄を享受している自分がいます。

「それは違う」

 という声が挙がることでしょうけど、私にとっての靖国神社は「みたま」だけに祈りを捧げるだけでなく、そういう場所なのです。

「ありがとうございました。本当にありがとうございました」

 と祈念する一方で、先人の方々からバトンを渡された私たちはどうあるべきか、ということにも思いを馳せたいと考えています。私にとっての靖国神社は、自分が日本人であることを再確認し、そのことに向き合う場でもあるのです。

 8月15日だけでなく、毎回足を運ぶたびに祈り,思いをこらすのです。日本人の生活とは切り離せない、春夏秋冬を身体いっぱいに浴びながら。

 ――――

 心に沁み入る絵本『お父さんへの千羽鶴』の「あとがき」に、次のような一節があります。



 折り鶴を集めて作る千羽鶴は、仕上げるまでに大変な手間と時間がかかりますが、それでも作り上げる根気というのは、願いや思いの強さによるものです。

 あの人の病気が治りますように。
 あの人が無事でいますように。
 あの人の願いが叶いますように。
 あの人が安らかに眠りますように。

 そんな祈りの込められた千羽鶴は、自分のためではなく、他人への祈りから作られます。

 その祈りの対象は、今生きている愛する人から、会ったことのない故人まで、実に様々ですが、いずれの千羽鶴も、自分の時間、つまり寿命の一部を割いて,私心なく他人の幸せを祈って作られるものなのです。




 私もまた、千羽鶴を折るような心持ちで、普段と同じように、明日、靖国神社に行こうと思います。


 ――――


お父さんへの千羽鶴
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 昨日(7月13日)の話です。仕事で青山方面に出たので帰路に靖国神社に立ち寄ってきました。毎年恒例の「みたままつり」の初日です。

 まず参拝してから遊就館に回って喫茶室のいつもの席で零戦を眺めつつ海軍コーヒー。……のつもりでしたが、「みたままつり」の人出の影響でどのテーブルも埋まっていました。そこでいつもの席に独りで座って書きものをしていた年配の男性に挨拶して相席させてもらいました。

 学習院大学の先生?だったようです。ひとしきり雑談して意気投合。色々いいお話を伺うことができたことにお礼を言って辞しました。そのあと配偶者と合流して献灯ひとつひとつに目を通してから、屋台で食事。

 金曜日なんですけど、学校帰りの高校生や退勤後に立ち寄ったとみられるスーツ姿の男性やOL風の人、それに浴衣を着たギャル系なんかもいて予想していたよりずっと賑わっていました。

 相席での話題では靖国神社が願をかける神社ではないとか、参道で春夏秋冬を感じられるのが素晴らしいといった話も出たのですが、夏の蝉時雨のものすごさ(蝉時雨を浴びて感じる静寂)に話題が及んだとき、その先生が、

「今日、もう鳴いていましたよ。ミンミンゼミでした」

 というので驚きました。そのあと境内を歩いていたら本当にセミの鳴き声を耳にしました。アブラゼミとヒグラシでした。そういえば7月も半ばですからねえ。

 配偶者と屋台で食事をしていたらブラスバンドが参道を行進していきました。あれを間近で聞くと私は東京ドームの都市対抗野球を反射的に思い出してしまいます。ファン歴30年以上という生まれ故郷のチームは、昨年のドラフトでエースをロッテにとられてしまったためか、2年連続予選敗退。

 「北関東の暴れん坊」という異名を持ち、伝統的にダイナマイト打線が売り物のチームなのですが、それが湿ってしまって先行されて逃げ切られるという最悪のパターンを大事な試合で続けてしまったのですから仕方ありません。orz

 献灯で印象的だったのは写真の伊東四朗さんによるもの(写真)です。

 ――――

 日本人は日本人らしく
 男は男らしく
 女は女らしく
 子供は子供らしく

 昔こんな時代がありました

 素敵でしたよ。

 ――――

 あとは「生き残ってしまった」元特攻隊員が出撃してついに還らなかった戦友に思いをはせるものとか、戦死した父親を追想して、

「どうして出征のとき優しい言葉をかけてあげられなかったのだろう」

 という、いまはもうお婆さんであろう娘さんの献灯などには毎度のことながらホロリとさせられます。

 それから毎年献灯を欠かさない女優の森光子さんはすごいです。何がすごいって、前線にいた人の戦争体験記などに「森光子さんたちの慰問団が来てくれた」なんて記述があるのです。それでいまも元気に現役。でも慰問団に加わって各地を回ったのですから、戦争で散華された人たちへの深い想いがあるのだろうと思います。

 ともあれ、平日なのに意外な人出、それも若い世代が中心だったことに意を強くしました。帰路、参道を大鳥居に向かって歩いているときに、

「上野の彰義隊が」

「アームストロング砲で」

 なんて話していた高校生くらいの男の子がいました。故・司馬遼太郎氏の『花神』の読者でしょう。その主人公である大村益次郎の銅像を囲んで「大東京音頭」や「木曽節」などが流れ、地元の人が浴衣姿で輪になって踊っていました。そのまた外周は飛び入り参加の人たち。

 あとギャル系のお姉さん方がすれ違いざまに、

「サンフランシスコ講和条約がさー」

 などと話していたので思わず振り返ってしまいました。人は見かけによらないものです。……って、そういう私も海坊主ですし(笑)。

 あとは
「カセイソーダはないよねー」なんて会話も。これは例の「肉入り段ボールまん」でしょう。中国と中国人がいかに常軌を逸しているか、そのことが浸透していくのは日本人の正確な対中認識につながりますから喜ばしいことです。

 お祭独特の浮き立つような気分を楽しみつつも、献灯の文面に思わず立ち尽くしてしまったり。心に沁みる素晴らしいイベントです。今年初めてのセミの声も聞けましたし、配偶者ともども満足して帰途に就きました。




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 行ってきました。驚いて、途方に暮れて、やれやれと思って、とにかく疲れました。

 持ち前の現場運の良さが災いしたようです。小泉首相をナマで見ることができました。でも、だから何?という感想です。私は参拝に行ったのであって、小泉首相見物をしに行ったのではありませんから。

 ――――

 去年と同じ時間に行ったのに、雰囲気が一変していました。曇天は残念でしたが、それより何より九段下の駅から吐き出されて靖国神社に向かう人の数が多いのです。上空にはあちこちにヘリの姿が。

 小泉首相の参拝が確実視されていたせいか警備も物々しく、去年は人影もまばらだった参道は蝉時雨だけが相変わらずで、参拝客は前年比2倍か3倍といった盛況ぶりです。盛況はいいことですが、私はその人出を避けるためにわざわざ早い時間に出てきたのです。天気に恵まれなかったこともあり、残念ながら清清しさと静謐さを楽しむことができませんでした。

 去年遭遇した香港のテレビクルーにまた会えるかな、とかすかに期待していたのですが、人数が多くてそれどころではありません。プレスはもうすっかり本番モード。参拝客が多いため、今回は打って変わって最後の鳥居をくぐったところで行列する破目になりました。いやあれは並ぶというより人間が屯集しているという感じです。

 脇には各局のテレビカメラや紙媒体のカメラマンがズラリと勢揃い。そして私たちの行列はある程度進んだところで止まってしまいました。すると神社側の人が出てきて、

「前の方の人は座って下さい」

 と連呼し始めたのてす。それで小泉首相が昇殿参拝することがわかりました。ふと空を見上げると私の視界内だけでヘリが6機も飛んでいます。他にも視界外に何機かの姿があり接触事故が起こるのではとこちらが案じてしまいます。まあ接触して墜落するなら御近所に朝鮮総連という恰好の目標がありますけど(笑)。

 ――――

 私は普段出かけるときはコンパクトなデジカメをバッグに放り込んでおくのですが、あいにく今は人に貸していて手元にはありません。写真は素人ですけど、取材者になるときのため一眼レフのデジカメ及び関連機材一式は持っています。

 今年の靖国も去年同様の静謐な好ましい雰囲気があるだろうと思って、それを記念に撮影しておきたかったのですが、大仰なカメラを持ち歩いていて「プレス登録して下さい」などと言われると面倒なので今日は持っていきませんでした。

 ところが、それが杞憂であることがすぐにわかりました。まずは悪天候に加え参拝客や報道陣がたくさんいて、私が写真に残しておきたかった清清しい雰囲気がまるでなかったこと。そしてモーニング姿の小泉首相が渡り廊下から本殿に入っていくと、みんながデジカメや携帯を振りかざして一斉にパシパシパシッと連写の嵐。

 誰もが爪先立ちで背伸びして携帯電話を高くかざして撮ろうするものですから、将棋倒しになりかけたこと数回。一億総プレス時代であることをはからずも実感させられました。ちなみに私は携帯を持っていません。どうせ仕事の催促とか原稿の締め切りがどうのとか日本側でトラブル発生とか……いいニュースを全く運んでこないので、せめて外出している間は気楽でいたいのです(笑)。

 参拝を終えた小泉首相が帰っていくところでまたパシパシパシッです。お前ら参拝に来たんじゃねーのかよ、と言いたくなりました。小泉首相が姿をみせたときには万歳万歳の声や「いいぞーっ」という掛け声、それに期せずして拍手喝采が湧き起こりました。

 が、私は何もかも期待外れだったせいか拍手も万歳もする気がしなくて、ただ、

「これでよし」

 と思いました。

 ――――

 当ブログで何度か書いていますが、小泉首相は日中関係の構造改革を意図的に進めてきたのではないか、というのが私の考えです。麻生外相の言を借りるなら「上下関係のない対等な二国間関係」。……価値観や歴史観の違いがあっても現実的かつ実務的な付き合いの成立する関係です。

 それを構築するために、小泉首相は5年連続で頑に靖国神社を参拝してきたのではないかと。何かといえば歴史問題を持ち出し自らの歴史観や価値観を押し付けてくる中共や韓国に対し、靖国参拝という象徴的な行動を以て、身を張って、

「譲れないものは譲れない」
「内政干渉は断じて許さない」

 という新しい日本の姿勢を示してきたように思うのです。中韓から「問題発言」とクレームがついて閣僚が引責辞任させられる、という馬鹿げたこともなくなりました。

 次期首相がこの構造改革路線を継承していけば、いずれ毅然とした態度で、

「それは内政干渉だ」

 と明言することができるようになると思います。相手も「この手はもう使えない」と認識するようになるでしょう。たとえそう認識できなくても現実に通用しなくなるのです。

 その土台を小泉首相が5年間かけて築き上げ、最後に「八・一五靖国参拝」という最も象徴的なパフォーマンスをみせて、バトンを後継者に渡す。小泉首相は、日中関係で為すべきことをちゃんとやり遂げたと私は感じました。だから「これでよし」なのです。

 ――――

 小泉首相が去ってから、ようやく人込みが動き始めました。どうやら半数はナマコイズミ目当てだったようで、私はほどなく賽銭箱の前に立つことができました。

 「トラ・トラ・トラ」という映画で真珠湾奇襲に出撃せんとする第一波攻撃隊の搭乗員たちが、空母の艦内に設けられた神社の前でキビキビと二拝二拍一拝を済ませていくシーンがあります。

 普段の私が参拝するときはそれに似ていて、短いその一刹那に思いを込めて「ありがとうございました。本当にありがとうございました」と念じています(それが正しい作法なのかどうかはわかりませんけど)。

 ただ今回は「田舎のじいちゃん」さんの御依頼を受けているので二拍の後の間を長くしました。お引き受けした務めは果たせたつもりです。……あ、僭越ながら「90」さんの分も祈念してきました。

 ――――

 で、ともあれ帰途ということになるのですが、これは小泉効果なのかどうか、今年は右翼団体の関係者とおぼしき人数が去年とは段違いに増えていました。

 中には「英霊たちの犠牲の上に現在があることに思いをめぐらせよう」という趣旨のプラカードを掲げて歩いている人もいましたが、率直に言ってあれは低能だと思いました。それとも一種の自慰行為なんでしょうか。

「英霊たちの犠牲の上に現在があることに思いをめぐらせよう」

 という趣旨は正論で全くその通りだと私も思いますけど、マーケティングというものを考えていませんね。わざわざ8月15日に足を運んで来る人たちなら先刻承知の理屈を大書したプラカード、それを靖国神社で高々と掲げることにどんな意味があるのでしょう。

 簡単にいえば、ライトユーザー(一般市民)を取り込むという発想が全く欠落しています。テレビに露出させるのが目的なら、変な服を着て頭五分刈りの段階でダメ出しでしょう。異質感満点で濃すぎるため逆効果です。

 バカ高い年間購読料で薄っぺらい機関誌を上場企業に売りつけるという独特の商法がいまも健在なのかどうかは知りませんが、多少の資金があるなら篠原涼子とか伊東美咲とかエビちゃんとか、男なら速水もこみちか伊藤英明あたりに15分限定でプラカードをかざしてもらうとか(笑)。

 テレビクルーにとってはいい絵になるところなんですけどねえ。……まあタレント事務所の方がそんな仕事を承けたりはしないでしょうけど。

 ――――

 帰宅して「新華網」(国営通信社の電子版)をのぞいたら中国外交部が早くも抗議声明を出していました。「07:13」は北京時間ですが、小泉首相が参拝を終えてから30分と経たぬうちのリアクションは予定稿が準備されていたからでしょう。

 ●「新華網」(2006/08/15/07:13)
 http://news.xinhuanet.com/world/2006-08/15/content_4961332.htm

 この声明、
「強烈抗議小泉又一次参拝靖国神社」というタイトルになっているのですが、「強烈抗議」というほどには気合が入っていません。まず小泉首相の靖国神社参拝を非難しているのですが、法的根拠がないものですから、

「人民の感情を傷つけた」
「A級戦犯」(中共政権とは全く無関係)
「国際的正義に対する挑発で、人類の良知を踏みにじる行為」

 とフニャフニャした理由付けになっています。ちなみに、中国はこの声明を出したことで内政干渉行為ということになり、「日中共同声明」第6条及び「日中平和友好条約」第1条第1項に明確に違反したことになります。

 中国側にはそういう根拠がないものですから「日中間で取り交わされた3つの政治文書」に違反するとかその精神にもとると言うこともできないのです。

「小泉首相は歴史問題において絶えず中国人民の感情を傷つけ、国際社会での信用を失っただけでなく、日本人民の信頼も失い、日本の国家的イメージと利益を損ねた」

 と、「日本人民」を持ち出したところに以前とは違って日本国内の共闘勢力の退潮が著しく、有効な共同戦線を張れない焦りがのぞいています。同時にこの物言いで悪者は小泉首相限定となります(タイトルからしてそうですね)。下手な声明を出して日本側の世論が硬化し、日中関係に影響が及ぶことを恐れたのでしょう。

 そして最後の段落で「お互い手を携えてやっていこう」という違和感たっぷりの前向きスタンスで声明が終わっています。

 これで「強烈抗議」ですか(笑)。これまたヤル気に欠けた初動ですねえ。あとは定例記者会見でのパフォーマンスに期待したいところですが、孔泉の抜けた外交部報道官は大根揃いですからねえ。

 それよりいまは「内憂」で手一杯のところでしょう。外患で遊んでいる余裕があるとは思えませんが。……まあ余裕がないから上のような気の抜けた「強烈抗議」声明なんでしょうけどね。



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 8月12日から御盆休みに入るというので、その前日、仕事の合間を縫って床屋に行ってきました。

 行きつけの店はカットハウスとかそういうカッコいい体裁のところではなくて、伝統的な日本の床屋さん。カットというより「散髪」という言葉がよく似合います。

 小さな店ですけど腕は確かです。

 その店構えにしては不釣り合いにすぎる気宇壮大な店名(例えば「バーバー北海道」とか「大阪理髪店」といったような)を冠しているところも気に入っています。

 ――――

 いつもの人にカットしてもらいました。むろん雑談しながらですが、どういう流れからだったか、

「御家人さん、私は今年は15日に靖国に行きますよ」

 という話になりました。

「あ、私も行きます」

 と私。そのために休みに入る直前に散髪してもらいに来たのです。

「行くなら早い時間の方がいいですよ。まだ人も少ないですから」

 と昨年の経験に照らして言うと、

 散髪屋
「早い時間って、何時くらいですか?」

 御家人
「8時くらいです。それならまだ静かですから」

 散髪屋
「8時?……8時ですかあ。そこまで早く出るのは難しいなあ」

 などという会話を交わしました。

 ――――

 私の場合、靖国神社には地下鉄ですぐですし、完全夜型生活(参拝から帰宅して就寝)でもあるので、早い時間は得意です。去年は参拝を終えて喫茶店に入ったら8時くらいでした。

 あの時間ですと特設ステージや主催者のテントなどもまだ準備中の物腰で、参拝客も少なく、普段と同じような感じで御祭神に向き合うことができます。

「ありがとうございました。本当にありがとうございました」

 と、いつも通りに念じるのみです。

 去年は香港のテレビクルーに喧嘩を売って大感謝されるという思いがけないイベント(笑)がありましたが、参拝を終えて参道を歩き終えるまでの間に日本のテレビ局の取材も受けました。

 特に人目をひくような風体もしていないのに。……たぶんまだ参拝者が少ないせいでしょう。合計3回、カメラの前に立たされてのインタビューです。

 もっとも、私はときに「取材者」の立場になることもあるので「要領」はわかっています。ですから至極気軽に、いい加減にやりとりして済ませました。……とは、あの時間のインタビューというのは取材者にとっては予行演習でしかないことが多いからです。

 インタビュアーにとってはリハーサルのようなものですし、カメラマンにとっては立ち位置の調整(背後に靖国神社っぼい風景が入るような場所の確認)なのです。「要領」とは、そういうことです。

 本気の取材であれば、きっと私は緊張してしどろもどろになってしまうことでしょう(前例あり)。

 ――――

 以下は余談のようなものですが、そのあとひと息入れたくて、喫茶店に立ち寄りました。

 近くだと混むかも知れないので靖国通りから折れて、5分近く歩いたところにあった小さなお店です。ドトールとかスターバックスのようなものとは違う、何の変哲もない個人営業の地味な喫茶店でした。

 菅井きん(ビッグマザー)似のお婆さんと、その息子夫婦とおぼしき人がやっていました。客は私だけです。

 お婆さんが水を持ってきたときに、私が脇に置いていた日の丸の団扇を目ざとく見つけました。二の鳥居を過ぎたところで「桜チャンネル」が配っていたものです。

「お参りに?」

 と言うのでそうですと答えると、

「私もそろそろ行ってこないと。今日は混むでしょうからね」

「そうですね。いまならまだ人が少ないからいいですよ」

 と私。……ところが、それで話を切り上げて注文をとるのかと思ったら、お婆さんは隣のボックスに座り込んでしまい、

「昔話ですけどねえ」

 と勝手に話を始めてしまいました。お婆さんがまだ娘時代だった昭和18年の秋、学徒出陣に際して雨の神宮外苑で行われたあの有名な「壮行会」に見送る側として立ち会ったそうです。

 学業半ばで兵隊にとられる学生さんたちが可哀想で。……とそのとき思ったそうです。いまでも不憫に思う、と話してくれました。

 そのあとひとしきり話をしてお婆さんはようやく注文を聞いてくれたのですが、私は柄にもなく、立原えりかという作家の小篇「ピアノのおけいこ」をふと思い出していました。

 それだけの出来事でオチも何もありません。その喫茶店にもそれ以来足を運ぶ機会がないのですが、靖国神社へ行くたびに、そのときのことを思い出します。

 ――――

 よく晴れた空の下、まだ朝の気配を残す静かな参道を、蝉時雨を浴びつつ歩くというのはいいものです。

 都心でありながら近くに高層ビルが少ないこともあって、靖国神社から見上げる空は意外に広くて大きくて、青空がまたよく似合う場所でもあります。

 今年も好天であれかし、と願っています。



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 だから言ったじゃないですか。
「反靖国攻勢が始まるような感じはあまりしなかった」って。……いや、別に誇っているのではなくて、この分だと明日は晴れそうだ、とごく当たり前のことを言って、それがごく当たり前にそうなっただけのことです。

 安倍晋三・官房長官の靖国参拝が発覚?それで場違いな抗議声明みたいなものが中共政権から出ることはあっても、それ以上は騒ぎ立てないでしょう。もし表立って安倍氏攻撃を始めてしまえば靖国問題についての日本の世論に変化が生じ、同時に自民党総裁選でかえって安倍氏を利することになるでしょうから。

 また、ここで過度に騒げば逆に中共内部ひいては中国社会が荒れてしまう。……ということくらいは判っているでしょう。この十数日にわたって騒がなかったことが示しているように、です。

 まあ、荒れるのを見てみたい気もしますけど(笑)。そのときは胡錦涛の器量が試されることになるでしょうね。でも中共の「核心」と称されるようになるためには、そのくらいの試練を乗り切れるスキルが必要でしょう。

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 『日本経済新聞』が昭和天皇の元側近のメモと称した真偽未だ定からぬものを持ち出したのが7月20日。A級戦犯を合祀したから靖国には行かないと昭和天皇が言ったとか何とか。
「だから私はあれ以来参拝していない。それが私の心だ」でしたっけ。

 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060720AT1G1700819072006.html

 でも昭和天皇もいまの天皇も春と秋の例大祭には毎年靖国神社に勅使を派遣しているそうですね。勅使が現存していることには驚きました。故・司馬遼太郎氏の幕末を描いた歴史小説をいくつか思い出してしまいました。やはり衣冠束帯とか、そういう雅びた装束で出かけていくんでしょうか。

 http://www.sankei.co.jp/news/060720/sha060.htm

 小泉純一郎・首相にもこの話題を軽くスルーされてしまいました。

「自身の靖国参拝への影響について『ありません。それぞれ心の問題ですから。行ってもよし、行かなくてもよし。誰でも自由ですから』と従来通りの見解を示した。首相官邸で記者団に答えた。」

 http://www.sankei.co.jp/news/060720/sei099.htm

 今回の「日経報道」はまさに「空気読めボケ」の典型ともいえる愚挙だったように思います。タイミング悪過ぎ。8月15日とか9月の総裁選を見据えた時機としては絶好。……なんて見方もあったようですが、私は切り札として出すには遅過ぎだと考えています。

 だって中共政権が合いの手を入れて一緒になって騒いでくれないと空振りは必至だ、という類のものじゃないですか、こういうネタは。使うのなら春が終わるまでに使うべきではなかったかと思うのです。

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「日本の指導者が靖国神社参拝をやめるなら首脳会談を行う用意がある」

 と日本の代表的媚中派どもを北京に呼び寄せてトボけた「重要談話」を胡錦涛が発表したものの、日本側から無視同然の扱いを受けてしまったのは記憶に新しいところです。

 あの学芸会めいたイベントからなし崩し的に中共が日本の準備した土俵に上がる形になってしまった日中外相会談、あえて言うならこの学芸会から外相会談開催合意までの短い時間が「賞味期間」だったと思います。中共の助太刀を期待できた、ということです。

 その後は改革についての指導理論をめぐる争いで「科学的発展観」を掲げる「擁胡同盟」(胡錦涛擁護同盟)が「反胡連合」(反胡錦涛諸派連合)を退け、「反胡連合」は一気に勢いを失ってしまいました。日本側で「それが私の心だ」効果を期待する向きが中共と組むとすれば、反日色がより濃いこの「反胡連合」と結ぶべきでした。

 ところが理論闘争で一敗地に塗れたために「反胡連合」はゲリラ戦へと移行。「擁胡同盟」の居座る中央に対し、各地方が面従腹背・慇懃無礼の姿勢でもって従来型改革路線である効率無視の成長率信仰路線(きれいに言い繕うとすればトウ小平の「先富論」)を継続するという挙に出ました。

 するとこれが意外に奏功して経済過熱&諸侯経済化懸念が出てきたため、胡錦涛以下はそりゃもう大慌て。「手を組もう」なんて言われても炎上しそうな経済に水をかけるのに必死でそれどころじゃないですし、もともと胡錦涛政権は現実優先の対日融和路線(融和度は当社比w)を志向してもいます。

 「空気読めボケ」とは、そういうことです。元々日本側で「それが私の心だ」効果を期待する向きは中共の応援がなければ大したことは何もできないのですから、もう少し中共側の事情に注意を払う必要があったと思います。

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 で、そのメモについて中共がどう反応するかと眺めていたのですが、どうもいまひとつノリが悪いのです。初動としては気合不足といった印象で、これからメディアを総動員した反靖国攻勢が始まるような感じはあまりしませんでした。

 ……と件のメモが報じられた日に私は書きましたが、現時点までの流れをみていると、その初動のノリの悪さを今なお引きずっているようです。「昭和天皇発言」にも大きく反応することなく、その後も抑制された報道に終始しています。

 靖国問題の関連記事は少なくないのですが、宣伝攻勢、キャンペーンといった有機的連携や連続技のような流れがなく、散発安打ばかりで実を全く伴っていない。だから勢いが全く感じられないのです。せいぜい『毎日新聞』と『日本経済新聞』の世論調査で靖国参拝反対派が過半数を上回ったことを言い立てたくらいでしょう。

 「昭和天皇発言」を殊更に取り上げて騒ぐような記事はほとんどありません。そもそも天皇を持ち上げるのは中共にとって好ましいことではないでしょう。条件が許すなら「昭和天皇こそ戦争責任者」と言いたいところでしょうから。

 あとはA級戦犯の遺族が
「前相談なしに合祀された」「小泉首相の参拝には反対」などと語ったとか、御祭神の遺族が祀ることをやめろ訴訟を起こすなどという『朝日新聞』や共同通信の報道を引き写したり、やはり参拝反対派の河野太郎・法務副大臣なんて小物のコメントまで持ち出してくる始末。

 そういえば小沢一郎・民主党代表の小泉首相批判も記事にしていましたが、この人は端武者ではないにせよ、すでに終わっているといって差し支えない政治家でしょう。……要するに「ショボい花火」というか「散発安打」を中共系メディアは打ち続けているのです。しかもそうしたベタ記事の数々の大半が、独自取材ではなく日本メディアの翻訳版。

 なぜかといえば、それがお約束だからです。胡錦涛に騒ぐ気がないのでしょう。「参拝やめたら首脳会談」との条件提示は済ませていますし、実際にそれ以来、首脳会談をやっていない。だから後は小泉退陣まで静かにしていればいいのです。ここで改めて「参拝するな」と騒いで小泉首相に参拝されちゃったら胡錦涛の面子が丸潰れになってしまいます。

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 まあ面子はもう春の訪米時に散々潰されてしまっている(笑)からいいとしても、騒ぎ立てることで国民の不満、具体的には反日感情を高めてしまう恐れがあります。その不満なるものが最初は反日気運という形で現れたとしても、いつどういうエネルギーに転化されるかわからないほど中国の社会状況は悪化しています。統治者たる中共は「SAYURI」を上映禁止にしたほどビクついているのです。

 だいたい騒いで参拝されたら「反胡連合」に絶好の反撃機を与えてしまうことにもなります。そうでなくても暴走気味の経済に中央が有効な手を打ち出せないでいる状態。過去の中共における権力闘争や失脚劇の多くは経済運営の失敗に端を発しているのです。

 ……そうしたあれこれを考えれば、騒がないのが賢明かと思いますし、実際に中共系メディアはショボい花火を打ち上げるばかりで本気で騒いではいませんね。駐日大使の王毅が小泉首相の参拝に反対の意を示したようですが、これだって、

「一応、言うことは言っておきました」

 という中国国内向けのアリバイづくり。王毅が参拝阻止活動に対していかにヤル気がないかは、一昨年の李登輝・前台湾総統訪日直前に放った、

「トラブルメーカーが戦争メーカーになる」

 といった王毅お得意の「脱力系激語」と比べてみれば一目瞭然でしょう。比較でいうなら中共自体も当時のような切羽詰まった姿勢を示してはいません。逆に「八・一五靖国参拝」に対する心の準備を促すような報道が中共系メディアによって流されたりしています。

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 そして、頼みのフックだがキングストン弁を開いて自沈してしまったことも中共にとっては痛かったですね。「小泉路線が極端だっただけに次期首相は大胆に逆方向へと舵を切れる」という望みがこれで絶えてしまいました。しかもこの「自沈」で次期首相にはよりによって昨秋、

「小泉以上に小泉」

 と新華社に評された安倍氏が就任する可能性がいよいよ高まりました。こうなると下手に騒げば藪蛇になってしまうかも知れません。ポスト小泉での関係改善を中共が考えているなら、ここは隠忍自重するのが得策でしょう。

 ……あ、隠忍自重というのは中共の立場からの見方であって、実際には中共が靖国問題に口を差し挟むことは明白な内政干渉であり、それ以前にA級戦犯を云々できる資格も根拠もありません。日本側が大人しくしていたから頭に乗ってしまったのです。

 そういう意味では日本側にも中共を増長させた責任があります。だいたいテレビのニュースでも新聞でも、

「小泉首相の靖国神社参拝で悪化した日中関係……」

 という言い方がいまなお使われているというのはどうしたことでしょう。靖国神社を枕詞にするなら、

「靖国問題に中国側が内政干渉したことで悪化した日中関係」

 というのが事実でしょう。靖国問題はあくまでも日本国民のみに是非を決する権利が許されているのですから。付言するなら、中国による内政干渉は日中関係の原点である「日中共同声明」をはじめとする「日中間で取り交わした3つの政治文書」に明白に違反する行為でもあります。

「中国は、私が参拝するなら日中首脳会談を行わないと言っている。こういう考え方は理解できない」
「突き詰めると、中国の嫌がることはしない方がいいということになるように思えてならない」

 http://www.asahi.com/politics/update/0803/002.html

 ……中国や韓国などの反発を意に介さず小泉首相が毎年靖国神社を参拝してきたことで、日本の首相がこうしたかくも真っ当な言葉を公然と口に出来る土壌ができました。きわめて不健康だった日中関係が、小泉政権の構造改革によってその異常さが改善されつつあるのです。中共が最も恐れていた事態になりつつある、といえるかも知れません。

 次期首相にはこの構造改革路線をさらに継続・深化させることで、例えば靖国問題に中共が容喙すれば「それは内政干渉だ」と明快にはねつける、正常で健康的な日中関係、麻生外相の言う「対等な二国間関係」を構築してもらいたいものです。

 ただし、中国は一党独裁を奉じる特殊な国家ですからときにマトモな付き合い方が成立しなくなるときがあるかも知れません。そのときは中国の横っ面を張り飛ばすなり水をぶっかけるなり、毅然と一蹴する姿勢を示してほしいと思います。

 ――――

 最後に、これは既報しているのですが改めて。

 ◆署名論文「靖国神社問題とはいかなるものか」……国際在線。
 http://news.sina.com.cn/w/pl/2006-07-31/093010583918.shtml

 今回の一連の報道の中で目を引いた数少ない記事のひとつです。「国際在線」は中共の主要メディアに数えていい存在ですから、そこの署名論文となるとそれなりに格のある記事ということになります。ところがその文中において、

「(靖国神社には)東条英機ら14名のA級戦犯、1000名余りのB級・C級戦犯が祀られており……」

 とB級戦犯・C級戦犯にもわざわざ数字まで挙げて言及しているのです。さらに中共政権下では「中国侵略を企図して日本が起こしたもの」とされている
日清戦争・日露戦争での戦没者が祀られていることにもふれています。

 つまり、そういうことなのです。A級戦犯が焦点のようにいわれていますが、A級戦犯が片付けば次はB級戦犯とC級戦犯、そしてその次は日清・日露戦争と中共政権は踏み込んでくるでしょう。

 たとえそれが総意でないとしても中共政権の中にはそういう声があり、一党独裁体制であるうえ報道統制が強化されるなか、主要メディアでの署名論文という格式を以てその見解を発表することが許されているのです。

 ……私の見落としかも知れませんが、日本でこの記事について報道されたのを見かけなかったので、ここで改めて指摘しておくことにします。今回の一連の靖国報道が「お約束のショボい花火大会」である一方で、こういう動きがあることも忘れてはならないと思うのです。



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 たびたびここで書いていますが、私は平素完全夜型生活でして、昼間は寝るものと決まっております。

 なぜ夜にしか仕事をしないのかといえば、仕事仲間である「香港チーム」も「台湾チーム」も夜にしか仕事をしてくれないからです。正午近くに電話をかけると、眠そうな声で応答してきます。前夜から働いて泊まり込んでいる奴らです。ええ、みんな寝袋持参で(常識)。

 だから仕方なく私も連中に合わせているのですが、日本サイドは当然ながら昼間に仕事をします。それでも午前11時出勤のだらけた業界なのですが、打ち合わせなどで人と会ったりするときは昼間(午後)ですから、私は徹夜同然になります。実に理不尽です。

 その代わり、そういう用件で飯田橋や市ヶ谷、青山や神保町あたりに出ると、帰途に靖国神社へ立ち寄ることができます。靖国神社、実は拙宅から地下鉄ですぐなのですが、こういう機会でもないと、あとは初詣やお花見といったイベントにしか来る機会がありません。だいたい昼間は寝ていますし。

 立ち寄るときは、まず参拝してから遊就館で零戦を眺めつつ海軍コーヒーや海軍カレー、と私には決まった型があります。悦楽の時間であります。

 ――――

 私の配偶者は香港人です。仕事を持ってはいますが、時間の融通がききます。それで私が昼間に出かけると、きまってどこかで合流して、一緒に靖国神社へ行きます。

 配偶者も靖国神社が好きだと申しております。花より団子、つまり出店に猿回し……というのもありますが、都心なのに公園のように緑に包まれていて、散歩できるので癒されるとのことです。

 言われてみれば確かにそうですね。春は桜、夏は蝉時雨、秋はイチョウの葉の色が変わっていくのを楽しんで、冬はあの冴え冴えとした青空。都心で四季を感じられる場所は他にもあるでしょうが、「零戦+海軍コーヒー」というオプションまでついてくるところは靖国神社しかありません(笑)。

 ちなみに、私は配偶者に参拝を強要していません。参拝するときもあれば、参拝せずに私が参拝するのを眺めていたりします。ひそかに観察していると、どうも節目節目には参拝しているようです。初詣はもちろんですが、昨年配偶者が軽い手術をすることになったとき、私がお守りを買ってきて配偶者の手に握らせて、

「お前には日本がついているから、大丈夫だ」

 と訳のわからないことを言って聞かせて恩に着せたのですが、配偶者も訳がわからないまま安心していたようです。それで全快したときに、

「ありがとうを言いに行くから」

 といって参拝していました。あとは香港に里帰りするときも前後に参拝しています。

「香港に帰るから、挨拶」
「日本に帰ってきたから、挨拶」

 だそうです。私も小さいころ、夏休みや冬休みで親の実家に行くと、まず仏壇でお線香をあげて手を合わせて挨拶して、帰るときもそのようにしていました。従兄弟たちもそうしていましたし、ごく自然な習慣でした。配偶者の「挨拶」参拝も、そういうものなのかなあ、と考えたりします。

 ――――

 どうもチナヲチから外れて雑談モードですが、例えば反日サイトや中国国内メディアの大手サイト、例えば「新華網」(新華社)、「人民網」(人民日報)、それに大手ポータルの「新浪網」(sina)や「捜狐」(sohu)などで靖国関連のニュースが出ると、よく使われる写真があります。いちばん多いのは、小泉首相が和服姿で参拝するカットでしょうか。

 あと「日本の右翼は軍国主義の復活を目指している」といったキャプションを伴って、軍服姿のお爺さんたちが整列している写真などもよく見かけます。あれは8月15日の風景なのでしょうか(私はその日に靖国神社へ行ったことがないのでわかりません)。これは反日サイトでは常用されていて、「新華網」や「人民網」などでは特集記事の際に使われたりします。

 正直に申し上げます。あの写真、最初は、なんだかなー、と思っていました。

 若い人が軍服姿でいる写真には「コスプレかいっ」と内心ツッコミを入れていたのですが、まあ趣味や信条は自由だし違法性もないのだからいいだろうと。

 でも80歳前後であろうお爺さんたちが軍服姿で整列している写真、さすがにあれを見てコスプレとは思いませんでしたが、どこか馴染めないもの、要するに「なんだかなー」という違和感を抱いていたのも事実です。

 浅慮でした。

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 この間、配偶者と「みたままつり」に行ったとき、献灯をひとつひとつ見て歩きました。有名人のものもありますし、普段は市井の一隅で暮らしているであろう人のものもあります。

 その中に、献灯いっぱいを闊達な文字で埋めているものがありました。読んでみますと、戦死した戦友たちへのメッセージなのです。

「自分は不覚にも生き残ってしまい、今では孫までできて、老いさばらえてしまった、みんなに合わす顔がない、申し訳ない」

 ……詳しい文意は忘れてしまいましたが、そういう趣旨だったかと思います。文字も闊達なら語り口も飄々としたものでしたが、それだけに胸を打たれる内容でした。様々な献灯が並んだ中で、私にとってはいちばん印象的なものでした。

 それで、ようやくわかったのです。お爺さんたちがなぜ軍服姿なのかということが、愚鈍な私にも理解できました。

 お爺さんたちには、たぶんあれが正装なんですね。私などとは違って、お爺さんたちにとって靖国神社は、戦没した仲間たちに向き合う場所なのでしょう。それに際して、あの服装こそが正装であり、礼服であり、いわばタキシードのようなものなのだと。

 もちろん、お爺さんたちみんながみんな軍服を着て参拝する訳ではないでしょうが、「なんだかなー」とは、浅慮でした。

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 翻って中国をみるに、「新華論壇」や反日サイトの掲示板などで、

「もしおれが日本人だったら必ず靖国神社に参拝する。国のために命を捧げた英雄に感謝の意を表すのは当然のことだ」

 という意見がしばしば出てくるのは可哀想な気がします。中国には靖国神社に相当するものがありません。社会主義を標榜している以上、神聖的なオブジェは御法度なのでしょうか。烈士墓所のようなものはありますが、つまりはお墓が並んでいるだけで、象徴的な場所、という訳ではありません。

 記念碑のようなものも各都市にありますけど、全中国を代表した場所なら、やっぱり天安門広場の人民英雄記念碑でしょうか。でも毛沢東(充電中)にはわざわざ記念堂を建ててやっているのに、その他一同は石碑で済ますというのも可哀想ですね。

 しかも現在の社会状況に照らせば、厳かに献花することすら難しいかも知れません。献花しようとすれば、恐らく厳戒中の警官や私服警官がデモか陳情者のアピールかとすっ飛んできて、地面にねじ伏せられかねません。

 その人民英雄記念碑ですが、そもそも「人民英雄」とはどういう定義になっているのでしょう。革命に命を捧げた人(烈士)を悼むという意味だとすれば、国民党に殺された人も含まれるでしょう。国民党との内戦で散った人も含まれます。それから、日本軍との戦闘で死んだ人も。……でも実際に中国戦線で日本軍の正面を担当したのは国民党軍です。さてその戦死者も含めているのかどうか。

 「一つの中国」とか「台湾は不可分の領土」とか寝ぼけたことを中共は言っていますけど、この「人民内部の矛盾」(笑)については一度胡錦涛を問い詰めてみたいところです。胡錦涛といえば最近夢の中に奴が出てきて私が何かインタビューしていました。電波浴が過ぎるとビョーキになるようですから皆さんも御注意を。

 ――――

 徹宵のせいか、それとも蝉時雨の中を歩いて「零戦+海軍コーヒー」を楽しんできたせいか、本当は別なことを書くつもりだったのにとうとう雑談で終わってしまいました。すみません。



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 いつも仕事にかまけてブログ更新が滞ってしまい申し訳ありません(最近謝ってばかりですねorz)。私事ながら仕事上の拡声器を使う必要に迫られまして苦慮しているところです。随分長い間中国語を使っていますが、愚鈍な私にとってはいつまでたっても外国語。このブログを始めてしみじみと思ったのですが、日本語だと本当に思ったまま書けるので気楽でいいです。

 それはさておき、たまにはニュースを丸投げしてもいいですか?これは是非ふれておかなければいけない出来事ですし、さほど説明を要する内容でもないと思うのです。感想を言えば、とうとう出たこの一言、というところでしょうか。

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 ●靖国参拝、日中・日韓関係の「核心でない」…首相(読売新聞2005/06/22/13:49)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050622i105.htm

 ●小泉首相:靖国参拝「日韓・日中関係の核心とは思わず」(毎日新聞2005/06/22/14:08)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050622k0000e010056000c.html

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「日中、日韓関係で私の靖国神社参拝が核心だとは思っていない。日中、日韓ともに未来志向で過去の歴史を直視しながら、いかに発展させていくかが核心だ」
(読売新聞)

 というのは、先の日韓首脳会談で盧武鉉大統領が靖国問題を
「日韓関係の核心だ」としたことに対する返歌のようなものです。むろん中国にも鉾先は向けられています。そして、

「韓国や中国の言う通りに全部しろ、という考えを私はとっていない。日本には日本の考え方がある。違いを認めて友好増進を図ることが国と国として大切だ」
(読売新聞)

 ……と、このコメントです。ごく当たり前の内容なのです。が、日中国交樹立以降、かくも明確な言辞を示した首相がいたでしょうか。その意味でこれは、
歴史的発言だと思います。

 私は長屋の熊公みたいなものですから、溜飲を下げたといいますか、とりあえず祝杯といきたいくらいスーッとしたのですが、仕事中なのでアルコールは控えて、さりとて海軍コーヒーを飲みに行く時間的余裕もないので、日本海軍伝統の三つ矢サイダーにしておきます。

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 ●「日本側の努力必要」 加藤氏、中国要人と会談(産経web)
 http://www.sankei.co.jp/news/050620/sei080.htm

 一方で加藤紘一や野田聖子ら親中派を自任する連中が北京詣でを行っているようですが、今回の小泉発言はそれらを一瞬でセピア色にしてしまう(笑)ものだったと思います。河野洋平が首相経験者らを動員して説得に当たらせ、一方では反日署名論評連発の国内メディアや外交部定例会見で小泉包囲網ともいうべき猛攻を繰り返してきた中共政権ですが、小泉発言は、

「韓国や中国の言う通りに全部しろ、という考えを私はとっていない。日本には日本の考え方がある」

 ……と、それらに屈することは断じてない、と真っ向から旗幟鮮明なる態度を示したものです。しかも中国・韓国を名指しですから(笑)。

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 名指しされた中国も反応は早かったですねえ。上が香港、下が中国国内(新華網)に流れた速報です。

 ●小泉首相が中韓には絶対屈服しないと宣言(明報2005/06/22/15:15)
 http://hk.news.yahoo.com/050622/12/1drv2.html

 ●小泉首相、靖国参拝停止に圧力をかける中韓には屈服せずと発言(中新網2005/06/22/15:39)
 http://news.xinhuanet.com/world/2005-06/22/content_3120221.htm

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 中国としては、最近は台湾を使った尖閣問題などでチマチマと点数を稼いできました。これは台湾国内の反日感情を高める上でも妙策だったように思います(敵ながら天晴れ)。ただ、今回の小泉発言を受けて、改めて戦略を練り直す必要に迫られるでしょう。党上層部における勢力争いがあるとすれば、胡錦涛の立場がいよいよ悪くなりそうです。

 もし今後の対日外交が反胡錦涛派=軍部主導で動くなら、硬質なリアクションもあるでしょう。いままで抑えていた香港の尖閣防衛組織にゴーサインを出して、小型船を使った現地上陸を試みさせる。その際に巡視艇(海軍ではない)をつかず離れずの間合いで遊弋させたり、日本の主張する領空範囲のギリギリ外側まで軍用機を飛ばす、なんて示威(自慰?)行為があるかも知れません。

 あとは反日デモですね。「愛国者同盟網」など大手反日サイトの謹慎を解いた効用が示される訳です。まずは
「七・七」(盧溝橋事件)で「なんちゃってデモ」(動員数50名前後のお行儀のいいデモ)。あるいは公式なイベントを現地盧溝橋で大々的に執り行うかも知れませんから、「なんちゃってデモ」は日本大使館に向けて行われる可能性もあります。そのあともし小泉首相による「八・一五参拝」があれば、本格的な反日デモ再燃(もちろん対外強硬派が煽ることによるもの)の目もあるでしょう。

 ひるがえって言えば、安保理問題でも意思表示してしまっていますし、経済面でのアクションも起こせないとなると、そのくらいしか選択肢はないように思うのですが。ええ、つまるところ伝統の「人海戦術」です(笑)。

 でもこれ以上「反日」を煽ってしまうと、別な方向(社会問題)から火の手が上がりそうな気もします。いやすでに散発的にパチパチと火花を散らしている訳ですが。その点についていえば「時間との競争」(時限爆弾)であることに少なくとも胡錦涛は気付いているようですが、対外強硬派はどう認識しているのか、気になります。

 ――――

 ともあれ、今回の歴史的発言に対し、中国からどんなボールが投げ返されてくるでしょうか。とりあえず新華社や人民日報あたりではいま現在、署名論評をせっせと書いている記者がいることでしょう。最近の反日記事はネタ切れで勢いが感じられなくなっていただけに、一発奮起に期待です。どうか久々の怪電波をよろしく。……怪電波宜候、との応答を心待ちにしております(笑)。



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 いやーどうしてもわからないのです。かれこれ20年になりますが未だにわからない。日本の首相の靖国神社参拝に中国や韓国が目くじらを立てる理由がです。韓国は真性でキムチ食い過ぎの基地外国家、ぐらいの認識しか私にはありませんから放置しておきますが、中国は畜類同然(前回参照)とはいえ、

「日中間で取り交わされた3つの政治的文書に違背しないことを望む」

 などと一応理屈をつけてきます。ところが靖国神社に首相が公式参拝することは、この「3つの政治的文書」のどこにも違背するものではありません。その証拠に、小泉首相が過去に靖国参拝をするたびに中国政府から出される抗議声明には、
「3つの政治的文書」云々という文言は出てきません。これが一昨年の森前首相訪台とか、昨年末の李登輝・前台湾総統の来日、それに今年2月の日米2+2などといった台湾関連の問題に対しては必ず引っ張り出されるのですが。

 ――――

 
日本の首相が靖国神社に参拝することは、問題だとすればそれは日本国内の問題であって、どう考えても中国政府がとやかく言える筋のものではありません。逆にとやかく言ってしまうと、「お互いに内政干渉はしない」と明記された「3つの政治的文書」(のうち、確か日中共同声明)に違反することになります。小市民としては、日本政府がそこら辺で鋭く切り返してくれると溜飲が下がるんですけどねえ。根拠がないために、

「中国人民の感情を傷つけた」

 という理由にもならない理由を中共は引っ張り出してきていますけど、それでは、

 ●増加の一途をたどる中国人による日本での犯罪や密入国
 ●昨年のサッカーアジアカップにおける中国人サポーターの振る舞い
 ●中国原潜の日本領海侵犯

 ……などはどうでしょう。これに日本国民の多くが感情を傷つけられ、対中嫌悪感が8割に達したではありませんか。今年3月から4月にかけての一連の反日活動や日本関連施設を標的にしたプチ暴動もまた然りです。日本側がこれらの問題を言い立てたとして、それらの中に内政干渉と胸を張って言い返せるものがあるでしょうか。それとも中国人犯罪も歴史問題が原因とでも強弁しますか?

 だいたい「人民の感情を傷つけた」という曖昧模糊とした理屈が通るなら、これは何でも理由にできますね。「江沢民の下衆じみたルックス」「朱鎔基の変な形の眉毛」「胡錦涛の無表情」が「日本国民の感情を傷つけた」、ということもできます。外交部報道官として記者会見に出てくる孔泉のヒョットコ顔や劉建超のブタ面も同様。……まあ冗談ですけど。

 ――――

 首相の靖国神社参拝は、純然たる日本の国内問題です。

 胡錦涛や温家宝が人民英雄記念碑に献花しようが南京何たら記念館を訪れようが、日本から文句が出ないのと同じことです(※1)。

 日本は東京裁判の結果を受け入れて、サンフランシスコ講話条約を結んでいる。これは小泉首相も言明していることです。中国はその点をついて、A級戦犯がどうのこうのと言いますが、そこは国民を畜類扱いする前近代的社会の悲しさか、A級にせよB級にせよC級にせよ、
戦犯は罪名を得て刑に服したことで戦犯たる責任を果たした、という常識が理解できないようです。

 さらにいえば、戦犯は刑を執行されたり恩赦されたりすることで戦犯たる責任を全うしているうえ、
日本の国内法では犯罪者とはされていませんよね。現に米国やロシアや英国、フランスからは抗議が出て来ない。ところが中国は抗議してくる。「アジア人民の感情を……」と大きく出ることもあります。これは素で知らないのですが、東南アジア諸国の政府から、小泉首相が靖国神社を参拝したことへのリアクションして、正式な抗議声明が出たことはあるのでしょうか?(華僑は騒ぎますけどね)まあ、あったとしてもいいのです。日本としては内政干渉で片付ければ済むことですから。あとODA減額してほしい?と尋ねてあげるのも親切でいいでしょう。

 ――――

 最近の中国国内メディアの報道を見ていると、中国お得意の「離間の計」、つまり小泉首相と日本国民一般を切り離し、小泉首相を集中攻撃することで、日本政界が与野党ともにそれに乗ってくれることを期待しているようです。ああ財界の取り込みも忘れてはいけませんね。ちなみに石原都知事、町村外相、中川経済産業相は小泉一派に含められているようですが。

 でもネタ不足なのか、中国国内メディアはここ数日も相変わらず森岡・厚生労働政務官の発言(A級戦犯は日本国内ではもう罪人ではない)を粘着に叩き続けています。森岡発言に反駁する署名論評も連日のように出てきますね。あれはきっと、相当苛立っているのだと思います。
「失言による引責辞職か罷免」という以前なら当たり前の展開になる気配が全くないからです。何やってるんだ、早く辞めさせろ、ほら朝日もっと働け(笑)、ということなのでしょう。

 ここら辺が猿回しの猿以下たる所以であって、ちょっと前に中山・文部科学相による教科書問題に関する発言がお咎めなしで終わったことから学習できていない訳です。教科書といえば「従軍慰安婦」という記述が全ての歴史教科書から消えましたし、歴史教科書に関しては町村外相もゴルフに例えて中共が反発しそうなコメントを出しています。こんなに材料がありながら、全く学習できていない。少しは空気を読んだらいいのにと思うのですが。というか空気嫁。

 ――――

 最近の国会における小泉首相の答弁をみていると、今年も靖国神社を参拝する意向のようですね。ただ「一個人として」とか「首相の職務としてでなく」とか但書きをつけるようになったのは嘆かわしいことですけど。実際に参拝するときにいきなり「首相としての公式参拝」に豹変したら面白いのですが。国連改革などとの絡みもあるので時期の選定には慎重になるでしょうが、もちろんベストは
「八・一五参拝」です。

 中国政界にとって「五中全会」(党中央委員会総会=重要会議)を秋に控えた
今夏は権力闘争の季節ですから、「八・一五参拝」が実現したらインパクトがあるでしょうねえ。反日デモ再燃という可能性もあるかも知れません。

 4月のデモが未許可で違法だということを中共政権は認めていますが、かの国では法より政治が優先されます(※2)。以前当ブログで何度か指摘していますが、その政治的価値判断(定性)、つまり
政治的に善か悪かという公式見解を、党中央は現在に至るまで明らかにしていません。違法行為でも政治的に善ならOKですから(※3)、やるやらないは別として、中共は日本に対するアクションのひとつとして「反日デモ」という選択肢を留保したままなのです。

 もちろん、仮に反日デモが再発するとしても、その実質は靖国問題を口実にした権力闘争の表現です。もし「八・一五参拝」がなかったとしても、何らかの日本の「罪状」を口実にした反日デモ、という可能性もあります。いずれにせよ、
靖国参拝への内政干渉も反日デモも、中国政界の政争の具であり、権力闘争の一環として行われることになります。先の「反日」騒動も、結局は対外強硬派と胡錦涛派が相争う舞台でしかなかった、と私は考えています。

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 靖国神社への首相の参拝に中国が初めて文句をつけてきたのは1985年の中曽根政権当時です。北京では大学生による反日デモも行われました。とはいえ本当の目的はそこにはなく、これらもその実質は、改革派(改革開放推進派)と保守派(計画経済など社会主義理論に忠実な勢力)の政争を反映したものでした。

 というより、
「靖国問題」が中国の権力闘争のためでなく、純粋に提起されたことがこれまであったでしょうか。常に「政争の具」ではありませんか。昨年の日中首脳会談で胡錦涛、温家宝がいずれも靖国問題に言及したのも、そうしないと党内や軍部の統御に支障を来たすからでしょう。一見すると日本へのメッセージなのですが、実は国内政治向けに持ち出しているのです。「歴史教科書」も同じです。脊髄反射をしてもいいのですが、ああ党上層部でまた何か起こっているな、毎度毎度お疲れさん……と思いを巡らすのがヲチの態度というものではないかと。

 だから、日本としては相手にする必要はないんです。国内統御が……と胡錦涛に泣きつかれても、そのくらい最高指導者(国家主席+総書記+党中央軍事委主席)なんだから自分で何とかしろ、と袖にしてやればいいのです。温家宝がウソ泣きしたって放置プレイということで。子供じゃないんですから。

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 それより温家宝、お前いまちょっとチャンスじゃないの?と言ってやりたいです。

 「棲息地その2」でも書きましたが、権力闘争で対外強硬派が大局を制して「五中全会」を迎えたとしても、主導権を握っているなら胡錦涛を今のままのポストに残したまま、対外強硬派の言いなりにさせておく方が内外の混乱も少なくていいのではないかと私は考えています。が、もし大きな人事が行われるのであれば、江沢民派の筆頭格である曽慶紅ではなく、
民衆から支持されている温家宝の方に目があるんじゃないかと思うのです。

 「胡温体制」とか言われつつも、オイシイところを持っていくのはいつもこの人です。炭坑事故でのウソ泣きもそうですが、全人代閉幕時の記者会見でブルース・リー(李小龍)をパクって大見得を切ったこと()、それに4月の反日活動は当初報道NGだったのに、その禁を破って訪問先のインドでの記者会見で反日デモに言及(新華社記者のヤラセ質問に応じる形だった筈です)、

「これで日本人も反省するだろう」

 などと言って火に油を注ぐ役目を担ったのも他ならぬ温家宝です。特にこの
反日デモの口火を切ったことは、胡錦涛が火消しに躍起になっていただけに留意しておくべきだと思います。

 この二人、結構仲が悪かったりして(笑)。


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 【※1】この話は中国の反日掲示板でときどき話題になるのです。そのたびに、「俺がもし日本人だったら、やはり靖国神社を参拝しているだろう。祖国に殉じた人々を追悼するのは当たり前だからだ」とか、「どうして中国の指導者は人民英雄記念碑や八宝山(革命に殉じた「烈士」や要人の墓所)、それに南京何たら記念館を毎年訪問したりしないのだろう。嘆かわしいことだ」といった書き込みが散見されます。

 【※2】法制あって法治なし。中国語なら「有法制却没有法治」というところでしょうか。発音すると駄洒落というかオヤジギャグになってしまいます(笑)。

 【※3】逆に、合法的行為でも定性(政治的価値判断)で悪とされればアウトなのです。1989年の天安門事件で失脚した故・趙紫陽氏(元総書記)に対する処遇がそうでしたね。法を犯していない証拠に法廷の被告席に立たされることはありませんでしたが、政治的に悪とされたため終生軟禁生活を余儀無くされました。


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 一晩経って、日中双方から色々とニュースが出てきてはいるのですが、どうも書くべきことは概ね前回で書き尽くしてしまい、それを新しく出た情報が裏付けてくれているといった観があります。

「自公幹事長は胡錦涛・総書記との会談で明らかに位負けしていましたが、それでも訪中期間中の一連の会談において、
守るべき一線は守ったということでしょう。この訪中は中国側が日程調整までして要望し、実現した異例のものだったのですが、その結果は中国側の望んだ形にはならず、現状に対する突破口(靖国参拝中止を確約させる)にはならなかった。……と中国側は判断したのではないでしょうか。」

 ……と、これは前回の文末部、昨夜(23日)21時近くの、まだ情報が揃わない段階で勝手に書いてしまったものですが、どうやらやはりこの部分がカギだったようですね。少なくとも、数少ないカギの中の重要なひとつでしょう。ある意味、
胡錦涛に引導を渡した訳ですから。

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 「『内政干渉だ』と言っている人もいる」
と指摘して王家瑞・党対外連絡部長から平静さを失わせた武部勤・自民党幹事長、GJ!お見事です。胡錦涛・総書記相手にも位負けしながらよく踏みとどまりました。まさに守るべき一線を守り切って胡錦涛に匙を投げせしめ、中共当局の企図を挫いたのです。ハンプティ・ダンプティに似ているなんて今まで思っていてごめんなさい。……あ、隣にいた草加煎餅党の幹事長は逝ってよしです。

 胡錦涛は昨年秋に小泉首相と首脳会談を行った際、初めて靖国問題を提起しました。
でもそれが最初で最後。それ以来、胡錦涛は小泉首相との会談であろうと他の日本要人との会見であろうと、「靖国」という固有名詞を一切出さないまま、現在に至っています。……いや、中国国内ではそうなっているのです。中国国内メディアの報道では、

「歴史問題や台湾問題について意見交換を行った」

 というような漠然とした記述で済ませ、「靖国」問題が討論されたとは一文字も書かれません。

 本当は書きたいでしょうし、胡錦涛だって書かせたいのでしょうけど、万一小泉首相が今年も靖国参拝を行ったらその時点で胡錦涛の面子が丸潰れとなり、党内でも批判を浴び、中国国民からも弱腰だ売国奴だと叩かれることになります。

 だからいつも「靖国」という文字を記事に出すことができないのです。

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 そりゃあ書くことはできませんよね。「『内政干渉だ』と言っている人」のひとりが
他ならぬ小泉首相なんですから。しかも「万一」どころか、参拝にはヤル気満々(笑)。

 ●靖国参拝継続の意向 首相が中韓に不快感(共同通信2005/05/16/11:26)
 http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=HKK&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2005051601001033

 小泉純一郎首相は16日午前の衆院予算委員会の外交問題などに関する集中審議で、今年中の靖国神社参拝の有無について「いつ行くか、適切に判断する」と参拝継続の意向をにじませた。
 同時に、首相は「戦没者の追悼でどのような仕方がいいかは、他の国が干渉すべきでない。靖国神社に参拝してはいけないという理由が分からない」と述べ、首相の参拝に反発する中国や韓国に強い不快感を表明した。
 また、首相は「中国側は『戦争の反省』を行動に示せというが、日本は戦後60年間、国際社会と協調し、二度と戦争をしないという、その言葉通りの行動によって、戦争の反省を示してきた」と強調し、靖国参拝の取りやめを求める中韓に反論した。

 ただ、中国国内メディアはこの発言に対し、ほとんど論評を加えず事実関係だけを報じました。
騒ぎ立てずにスルーしたのです()。実はこの発言が出るちょっと前に山崎拓・首相補佐官(当時)が訪中して色々と働いてきた様子でした。

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 ●中国、首相の参拝中止困難は分かっている…山崎補佐官(読売新聞2005/05/13)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050512ia26.htm

 自民党の山崎拓首相補佐官は12日夜のTBS報道番組で、小泉首相の靖国神社参拝について「中国側は(首相が)靖国参拝を完全にやめるのが難しいのは分かっている」と述べた。
 そのうえで、「日中双方が知恵と勇気を持って処理しようと提案があった。知恵はいろいろある」と語り、参拝中止以外の方法で事態打開を探る考えを示した。

 ……と、この謎めいた言葉は当ブログでも何度か繰り返し引用しています。

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 このヤマタク発言があって、その後に飛び出した上記小泉首相の談話を中国側がスルー。すると数日後(20日)の小泉発言が
微妙にトーンダウンしたのです。

 ●小泉首相:靖国参拝は私的との認識 参院予算委で答弁(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20050520k0000e010070000c.html

「『首相の職務として参拝しているものではない。個人として参拝しているものだ』と述べ、事実上、私的参拝との認識を示した。」
(毎日新聞)

 ……こういう流れでしたので、
私的参拝という形で手打ちなのかな、と私は考えていました()。

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 ところが、22日に行われた自公幹事長・胡錦涛会談では全く違った展開となります。香港の親中紙『香港文匯報』(2005/05/23)によるとこの席で胡錦涛は、

「日本の政界は中日関係が損なわれないよう、A級戦犯の祭られている靖国神社への参拝をやめなければならない」
(※1)

 と、強い姿勢に一転するのです。原文が伝える語気からすれば、実に高圧的な物言いです。

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 これによって、ヤマタク訪中による根回しも吹っ飛んでしまった形です。「私的参拝で手打ち」という私の見方がそもそも誤りだったのか、中国側の方針が変わったのか、前日(21日)の自公幹事長・王家瑞会談での武部幹事長による「内政干渉」発言で王家瑞だけでなく胡錦涛までもがキレてしまい、つい翌日の自分の出番でも喧嘩腰になってしまったのか。

 とにかく胡錦涛は、この会談で日本側に靖国参拝中止を強く迫ったのです。そこで武部幹事長が折れていれば、中国国内向けの報道にも「靖国」の二文字が織り込まれていたかも知れません。しかし、武部幹事長は終始原則を崩すことなく胡錦涛の再三再四の攻勢に耐え抜きました。

 そして、今回も当然ながら、「靖国」という具体的な名前は中国国内メディアの報道には登場しませんでした。新華社電の伝える会談風景は、和気藹々とした雰囲気を彷佛とさせるものです(※2)。

 武部幹事長が胡錦涛に引導を渡したというのは、
「靖国」に関して日本側は原則を変えない、中国が何度持ち出してきても無駄だ、と胡錦涛に知らしめたという意味です。そして翌23日、訪日中の呉儀・副首相に対し、小泉首相との会談をドタキャンせよとの指令が出されることになります。

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 外交儀礼に反したドタキャンという行為、それも副首相が首相を袖にするというのは極めて異例であり、国際社会での評判も芳しくないでしょう。要するに日本の得になっても中国に利することは何もない筈です。

 それでもこういう振る舞いに出るというのは、やっぱり
中華思想の発露とでも言うべきものなのでしょうか。中国からみると日本は「小日本」で、「小日本」の癖にこちらの言うことを聞かず小癪な態度だから、ゲスト(呉儀)を途中退席させて主人としての面子を潰してやろう、恥をかかせてやろう、という発想です。

「先の大使館への破壊活動と一脈通ずるものがある」

 という「外務省首脳」改め町村外相(名前が公開されました)の発言は正に然りです。

 いや、実際そうとでも考えなければ私には全く理解できません。何せ
中華思想的発想で懲罰だ懲罰だと言ってベトナムに戦争を仕掛けた国(んで負けてやんのw)ですから。基地外の考えることを常人の頭であれこれ推察しても無駄ですが、中国は野蛮ながらも中華思想というカギがあるからまだマシですね。やっていることは基地外と寸分違わぬものですけど。

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 で、改めて申し上げますが、私は中国などが靖国参拝を云々するのは
完全なる内政干渉と考えていますから、小泉首相は堂々と参拝すればいいという意見です。参拝の是非が議論されてもいいと思いますが、その議論は日本国籍を有する者の間でのみ行われるべきです。これが大原則。

 以前、私は自公幹事長の訪中を「ヤマになるかも知れません」と懸念していましたが、確かにヤマ場だったようですね。ただ懸念は杞憂に終わったどころか、しっかり胡錦涛に学習させることができたのですから大したものです。

「靖国は内政干渉になるから言っても無駄」

 と躾けられた胡錦涛は、これを機に転じて、一体どういう芸を見せてくれるのか興味津々です。まあ、そんなに選択肢があるようにも思えませんけど。それにあのネチネチした顔立ちからして、内政干渉をこれできっぱり諦めるような爽やかさは持ち合わせていないようですし(笑)。

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 ところで「激しいやり取り」を「和気藹々の会談」に仕立て直した新華社の報道(※2)によると、武部幹事長は胡錦涛との会談の席上、

「日本は日中間で取り交わした3つの政治的文書の原則、これを改めて認識、また厳守し、一つの中国という立場を引き続き堅持する」

 とわざわざ言っています。ナイスな反応です。まず、
中国が「靖国」に口出しするのは「3つの政治的文書」が禁じるところの内政干渉ですね。それから「一つの中国」を堅持するとはいっても、「3つの政治的文書」に照らせば日本は台湾が中国の一部だと正式に承認してはいないのですから。これが、日中関係の原点なのです(※3)。

 ともあれ小泉首相の靖国参拝、今回の一件によって逆に参拝時期に関する選択肢は増えたのではないでしょうか。一難去ってまた一難という中共当局は、内憂外患でいい感じになってきました(笑)。ぜーんぶ自業自得・因果応報のような気もしますけど、気のせいでしょうか。


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 【※1】http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0505230023&cat=002CH

 【※2】http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/22/content_2987575.htm

 【※3】ですから、「日中間で取り交わした3つの政治的文書」の遵守を自ら謳っておいて「台湾問題への内政干渉をやめろ」とする中国側の立場には何の根拠もありません。「反国家分裂法」に日本が米国との2+2で応じたのはごく当然のことですし、町村外相が「台湾は以前から日米安保の範囲内」と米国で演説したのも「何をいまさら」な当たり前のことなのです。


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 【追記】申し遅れました。私は一小市民にも出来ることとして、中国の各種掲示板に武部幹事長の偉功や、格下の武部幹事長を押し切れなかった胡錦涛の情けなさ、呉儀赤っ恥のドタキャン大脱走(海外の反応)など、事実をありのままにどんどんカキコし、情報を流していくていくつもりです。香港・台湾メディアにコピペにぴったりのおいしい記事がたくさんあります。あ、それに江沢民の植樹した紅梅が伐られた件、中共当局が反日デモに関する対日賠償に応じると表明した件、それに以前紹介した読売新聞の世論調査結果も国家機密ですからこれらのニュースを流すこともまだまだ有効です。まあ、個人的にやっている「棲息地1」の活動に普段より力を入れるということですけど。(2005/05/24/12:48)


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 石原慎太郎・東京都知事が沖ノ鳥島まで視察に行ってきたようですね。

 ●東京都知事、沖ノ鳥島に上陸(ロイター)
 http://tw.news.yahoo.com/050520/14/1uwit.html

 この記事に上陸後の写真が出ているのですが、年齢に似合わぬがっしりした体格にライフジャケットを纏った姿で大きな日の丸を掲げて、実にいい笑顔です。あまりに爽やかなんで画像を保存してしまいました(笑)。

 国営通信社・新華社のウェブサイト「新華網」ではこのニュースをトップページに掲載して、

「日本極右分子石原……」

 という標題をつけていますが、その「極右分子」が前回の東京都知事選において、記録的な大勝によって再選を果たしたという事実を、このタイトルを付けた記者はどう分析してくれるのでしょうか。

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 先月の「反日デモ+プチ暴動」で日本大使館が襲撃され、日本料理店も破壊され、ドライバーが中国人であろうと日本車には投石されました。日本人かと念を押されて殴られた日本人留学生もいますし、タクシーによる乗車拒否などもあったとか。ああ愚昧きわまる日貨排斥もありましたね。

 さらには北京でデモが実施された4月9日、観光で天安門広場を訪れていたフィリピン人一家が中国人に襲われ、父親が刺殺されるという事件がありましたが、香港紙『サウスチャイナ・モーニングポスト』は犯人が相手を日本人と誤認して刺した可能性を指摘した記事を載せていました。

 見境なしです。

 中共当局は力づくで「反日活動」を押さえ込みましたが、こういう盲目的な行動は突発する恐れもあるので、日貨排斥の非であること、また日中関係がいかに重要かを国内メディア総動員で諄々と説いて聞かせたりしています。ただ今年は抗日何たら60周年記念。「胡錦涛政権=媚日」と目されるのも避けなければなりません。ですからその一方で、

「××(地名)で日本軍の中国侵略の新証拠発見!」

 とかいうニュースを頻繁に流している訳で、火をつけているのか消しているのかわかりません(笑)。とりあえず「反日気運」は一定のレベルで維持されているとみるべきでしょう。

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 でも見境なしにやられては困るので、「原点」に立ち返ることを国民に求めているのが目下の中共当局のスタンスのように思います。日中国交樹立時に毛沢東や周恩来がしきりに言っていたことなのですが、以前紹介した香港の親中紙『香港文匯報』の社説にそれがよく出ています。

「でも、日本の大多数の市民とごく少数の軍国主義分子は区別しないとね。大半の日本人には戦争責任はない。彼らも戦争の被害者で、中国や広範なアジア人民と友好関係をとり結ぶことを願っているんだ。」

 ……と、これです。区別です。要するに靖国に祭られている英霊の中でA級戦犯だけは分祀しろ、というのと同じ理屈です。「極右」のついた石原氏は「ごく少数の軍国主義分子」ということになるのでしょう(笑)。

 いやこれ冗談ではないんです。この社説を掲載した日の『香港文匯報』(2005/05/17)には、小泉首相を頭目とした「日本右翼の三大猛将」として小泉首相の「重臣」に町村外相、中川経済産業相、そして石原都知事の名前が挙げられ、それぞれに記事が付されています。

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 ●反中勢力を引っ張る日本の右翼三大猛将
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=GJ0505170010&cat=004GJ

 ●小泉首相
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=WW0505170002&cat=005WW

 ●石原都知事
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=GJ0505170011&cat=004GJ

 ●町村外相
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=GJ0505170012&cat=004GJ

 ●中川経済産業相
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=GJ0505170013&cat=004GJ

 ちなみにこれは売れない親中紙の記事ですけど、例えばメジャーな『蘋果日報』にこうした記事が出たとしても、香港人は底流に素朴(幼稚)な「反日感情」を有していますから、違和感なく受け止めることでしょう。

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 中国国内の報道にも毛色の変わったものが出始めました。

 ●謝罪の旅を続ける91歳の元日本兵シリーズ
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/17/content_2965920.htm(北京)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/19/content_2977645.htm(盧溝橋)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/20/content_2980415.htm(上海)

 ●八路軍の日本人部隊:抗日戦争中の「在華日本人反戦同盟」
 http://politics.people.com.cn/GB/1026/3402991.html

 91歳の元日本兵が謝罪するのは個人の信条の自由ですから構わないのですが、この人は抑留中に中共に洗脳されてしまった中帰連(中国帰国者連絡会)の人ですね。でも思想の自由ですからそれも構いません。

 ただそういう背景を持った人、つまり一般人ではありませんから、強制労働の被害者に北京のホテルで謝罪したその場に偶然新華社の記者が居合わせていたりしますし、盧溝橋で跪いて懺悔する姿もたまたまそこにいた新華社のカメラが捉えています。その後上海に回った元日本兵氏は、そこでもばったり出くわした記者にその姿を写真に撮られ、言動を記事にされています。

 こうした記事も
「日本の大多数の市民とごく少数の軍国主義分子を区別すべし」という当局の方針の下に企画・制作されたものでしょう。そんな阿呆らしい手に引っかかるか普通……と思うところですが、そこはそれ、民度が違います。記事に附随した掲示板を見る限りでは、概ね好意的に受け止められているようです(笑)。ちょっと単純すぎるぞ糞青(自称愛国者の反日教徒)。まあ単純でなければ糞青にはならないでしょうけど。

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 他にこういう記事もあります。

 ●心臓発作を救われた日本人、訪中し命の恩人と8年越しの再会
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/10/content_2938090.htm

 ●阿南日本大使夫妻(夫人は米国人)、中国が縁で結ばれる
 http://news.xinhuanet.com/world/2005-05/18/content_2971631.htm

 で、私は中国国内で出始めたこうした毛色の変わった報道、これが抗日何たら60周年記念の年における日本関連報道のひとつの流れとして定着していくなら、それは第一に「大多数の市民とごく少数の軍国主義分子を区別」させるためであり、第二に
「心の準備」をさせるためだろうと思うのです。

 小泉首相はごく少数の軍国主義分子のひとりであり、それゆえA級戦犯も祭られている靖国神社に参拝したのだ。だが憎むべきはそれらごく少数の軍国主義分子であって、大多数の日本人はそうではないのだ
……てなところでしょうか。

 江沢民が植樹した仙台の紅梅が何者かにザックリ伐られた事件は未だに報じられていませんし、反日デモ絡みで日本が謝罪・賠償要求を出していることも中国国内では内緒です。また、「小泉首相の靖国参拝反対」が61%(賛成34%)に達したTBSの世論調査(※1)は報道しても、

 ●反日デモに対する中国側の対応に納得できない=92%
 ●(反日デモによる日本側の被害について)謝罪と賠償を求めるべき=85%
 ●北京五輪に不安感=74%
 ●(対中外交では)日本の立場をもっと明確に主張すべき=77%
 ●「首相の靖国参拝」賛成48%、反対45%

 ……という『読売新聞』(2005/05/18)の世論調査は国家機密(※2)なのです(笑)。

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 そこでこの記事を改めて引っ張り出します。この発言を軸に日中の足並みが少し揃ってきたように思うのです。

 ●中国、首相の参拝中止困難は分かっている…山崎補佐官(読売新聞2005/05/13)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050512ia26.htm

 自民党の山崎拓首相補佐官は12日夜のTBS報道番組で、小泉首相の靖国神社参拝について「中国側は(首相が)靖国参拝を完全にやめるのが難しいのは分かっている」と述べた。
 そのうえで、「日中双方が知恵と勇気を持って処理しようと提案があった。知恵はいろいろある」と語り、参拝中止以外の方法で事態打開を探る考えを示した。

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 日本側でも昨日(20日)、微妙な動きがありました。

 ●小泉首相:靖国参拝は私的との認識 参院予算委で答弁(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20050520k0000e010070000c.html

 ●靖国参拝「個人」を強調=私的明言せず-小泉首相答弁(時事通信)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050520-00000774-jij-pol

 ●靖国参拝は個人として 参院予算委で首相(共同通信)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050520-00000086-kyodo-pol

「『特定個人のために参拝しているわけではない。軍国主義を美化するとの批判は当たらない』と述べ、A級戦犯合祀を問題とする中国や韓国に反論した。」
(共同通信)

 と、原則的な立場は崩さないものの、その一方で小泉首相は、

「『首相の職務として参拝しているものではない。個人として参拝しているものだ』と述べ、事実上、私的参拝との認識を示した。」
(毎日新聞)

 ……と、
参拝はするけど譲る部分があるかも、というトーンになっています。

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 私は中国などが靖国参拝を云々するのは完全なる内政干渉と考えていますから、堂々と参拝すればいいという意見です。参拝反対の声が国内から上がって、議論されてもいいと思います。ただ、その議論は日本国籍を有する者の間でのみ行われるべきです。これが大原則です。

 自民党・公明党の両幹事長が訪中して胡錦涛・総書記に会うようです。小泉・呉義(副首相)会談よりも先に行われるそちらの方がヤマになるかも知れません。靖国問題では公明党の腰が砕けているのが気掛かりです。


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 【※1】http://news.sina.com.cn/w/2005-05-09/22035840975s.shtml

 【※2】報道禁止の筈なんですけど、でも「捜狐網」(sohu.com)の検索には1件だけヒットします。米国で発行されている華字紙でした(たぶん親中紙)。



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 小泉首相の発言、もう
「靖国参拝宣言」としちゃっていいですよね?情報が集まらず中途半端になってしまった前回(そのくせ「予定調和?」などと大胆な標題)の続報です。寝て起きてみたら多少情報が出始めているようです。

 しかしまずは訂正とお詫びから。

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 ●中国側は素早く報じたものの、可燃度の高い大ネタの割には異様ともいえる静まり返ったスタンス。一晩経っても論評記事1本すら出さない(不可解)。

 ……と前回の文末で書いたのですが、「一晩経っても論評記事1本すら出さない」は間違いでした。小泉発言を伝えた『人民日報』(2005/05/17)の国際面、その右下に
「強烈的反差」(強烈なコントラスト)と題された署名論評がありまして、その中で小泉発言にも言及されていました。これはその上に位置したドイツの歴史問題に関する長文コラムの付属のような形でレイアウトされていたのでつい見逃してしまいました(言い訳)。

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 この署名論評、「新華網」にも転載されています。
 http://news.xinhuanet.com/world/2005-05/17/content_2965898.htm

 「強烈なコントラスト」とはドイツと日本のことを言っているようです(中共は何事も善玉と悪玉に分けるのが大好きみたいですね)。ですから目新しい内容ではないのですが、

 ●小泉首相が謝罪した日に80余名の国会議員がA級戦犯を祭ってある靖国神社を参拝している!
 ●5月16日には小泉首相が将来も引き続き靖国参拝を行うと表明している!

 と、いちいち語尾にびっくりマークをつけるあたり、若手なのか基地外なのかわかりませんけど、さらに平頂山何たら事件に関し、被害者に対する日本政府の謝罪と賠償を求めた訴えが日本の司法によって退けられていることに言及したのは勇み足?なのか無知なのか無恥なのかわかりません。いやしくも党中央の機関紙『人民日報』の署名論評なのですから、とりあえずまずは過去に日中間で出された共同声明なり関連条約を読んでほしいものです。

 香港にもこういう勘違いに基づいた馬鹿がいて、それを応援する(選挙運動)トンチキな政治家がいたりします。その裁判が話題になるたびに骨董屋で売られている旧日本軍の発行した軍票の値段が上がったり下がったりするのですが、中国人が個人賠償を求めるならそれは中国政府を訴えるのが筋。香港人は英国政府に対してやって下さい。

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 そうやって「平頂山」「平頂山」って騒ぐものだから、ほーら同名の河南省・平頂山がとんだとばっちりを受けました。

 ●炭坑で落盤事故、8死122傷。
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/16/content_2963999.htm

 私はこういうことに黙祷したり哀れんだり合掌したりはしません。そんなことしてたらキリがありませんから。そもそも中国の労働現場では人死にが出るのはハナから織り込み済み。人命軽視は仕様ですから。9割が犠牲になって1割の繁栄を無理矢理ひねり出すような、そういう成長モデルで突っ走ってきた酬いがここ数年で出始めているのです(※1)。貧富の差とか失業とか失地農民とか党官僚の汚職、これらはそういった発展形式と無関係ではない筈です。

 本来そうしたアンバランスを是正するシステム(政治制度改革)が導入される筈でしたが、そのシステムを入れれば問題が解消されたかどうかは別として、導入しようとした総書記(趙紫陽)が、
中国より中共の延命を優先させた党中央の決定によって失脚させられてしまいました。16年前の話です。システム導入はもちろん立ち消え。

 それ以来中国経済は走れば走るほど様々な格差や対立が拡大・悪化していくという
「最悪の資本主義」(趙紫陽の弁)を十年以上続けてしまっているので、いまはもう軽く「反日」を煽っただけで党上層部がびっくり仰天する(政権維持に不安を感じる)ようなリアクションが返ってくるほど社会状況が悪化してしまっています。

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 ああ「靖国参拝宣言」の話でした。外交部報道局長の孔泉が昨日(17日)の定例記者会見(※2)でこれに言及していますが、

「歴史への反省を実際の行動に移し、中国人やアジアの人々、国際社会の信任を得ることを希望する」
(※3)

 と通り一遍という感じで、目新しいことは何も言っていません。語気でいえば対米貿易摩擦に関する反発の方が激しいように思えます。李登輝氏訪日時のような逆上&恫喝めいた言辞に比べれば、対日姿勢としてはごく普通の反発モードです。
「中日共同声明」など中日間で取り交わした3つの政治的文書の……」という言葉ももちろん出てきません。

 逆に日本側の自民党・公明党幹事長の訪中、国会絡みで一度キャンセルされたものが復活しましたが、これも「靖国参拝発言」のリアクションといえるのでしょうか。中国側の要請により一転、訪中となったそうです(※4)。

 ――――

 以上が現時点までの状況で、中国側の反発にはやはり
パワー不足の観が否めません。そんな訳で、

「実は靖国参拝ではもう日中合意が成立していて、あとは参拝時期の調整だけなのでは?」

 という下衆の勘繰りがまだ私の頭から消えてくれないのです。それとも、時間的にも党中央の腰が定まって然るべきタイミングですから、明日あたりから中国国内マスコミの攻勢が開始されるのでしょうか。

 そういえばさり気なく補助燃料の投下も行われていますよ(笑)。

 本籍:竹島、尖閣諸島、沖ノ鳥島の日本人数 答弁書で判明(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20050518k0000m010052000c.html

 まあ、今後予定されている小泉首相と呉儀・副首相の会談も含めて、私は
下衆の勘繰りを捨て切れぬまま、様子見の姿勢を崩せないといったところです。しかし有り難いものです。「反日」の乱痴気騒ぎが収まって、こちらは中だるみになりそうでしたから(笑)。


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 【※1】関連:【貴州省】総人口の半分にフッ素中毒症状【補足編】

 【※2】http://news.sina.com.cn/c/2005-05-17/19485913692s.shtml

 【※3】http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20050518k0000m030045000c.html

 【※4】http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20050518k0000m010068000c.html


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 うーん、と現状では首をひねるしかないのですが、ともあれ「靖国参拝」という燃料が昨日(16日)、日本側から改めて投下されました。

 前回()のような側近の呟きなどではなく、小泉首相直々のお達しです。格が違います。言辞もより明快な意思表示となっております。
「他の国が干渉すべきでない」とまで言っています。最近の対中関係に関する小泉首相の発言としては、抜群ともいえる可燃度の高さです。

 まずは中港台マスコミの大半が元ネタに使っている共同通信の記事をどうぞ。

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 ●靖国参拝継続の意向 首相が中韓に不快感(共同通信2005/05/16/11:26)
 http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=HKK&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2005051601001033

 小泉純一郎首相は16日午前の衆院予算委員会の外交問題などに関する集中審議で、今年中の靖国神社参拝の有無について「いつ行くか、適切に判断する」と参拝継続の意向をにじませた。
 同時に、首相は「戦没者の追悼でどのような仕方がいいかは、他の国が干渉すべきでない。靖国神社に参拝してはいけないという理由が分からない」と述べ、首相の参拝に反発する中国や韓国に強い不快感を表明した。
 また、首相は「中国側は『戦争の反省』を行動に示せというが、日本は戦後60年間、国際社会と協調し、二度と戦争をしないという、その言葉通りの行動によって、戦争の反省を示してきた」と強調し、靖国参拝の取りやめを求める中韓に反論した。

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 ……で、中港台マスコミの反応はおしなべて速かったです。ロイター電(中文版)が流れたのは小泉首相の発言後ほどもない当日の12時41分(※1)、香港紙『明報』のリアルタイム版である「明報即時新聞」での報道が14時30分(※2)。間髪を入れずに、というタイミングです。

 中国も今回は負けてはいません。国営通信社・新華社の電子版である「新華網」が中国新聞社電を14時15分に掲載(「明報即時新聞」より速い!)、胡錦涛の広報紙『中国青年報』のウェブサイト「中青在線」は、同じ記事を15時30分に掲載しています(※3)。

 また「人民網」(党中央機関紙『人民日報』電子版)での掲載は22時35分と大幅に遅れましたが、これは東京特派員によるオリジナル記事です(※4)。前回、掲載するまでに約30時間も逡巡したのがウソのようです。ともかく入れ食い状態と言いますか、大漁です(笑)。

 この勢いで釣れたのですから、日中関係も再び大荒れ間違いなし(中国の反発は必至だ)……の筈なんですけど、
実は反応が速い割にあまり盛り上がっていません。

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 今回の小泉発言は
タイミング・内容とも中国側の感情を逆撫でするようなものなのです。バンドン会議で村山談話を持ち出し、胡錦涛・総書記との首脳会談を実現。この胡錦涛と温家宝・首相は昨年それぞれ小泉首相と会談しており、その席上でいずれも靖国参拝問題が中国側から提起されたのは記憶に新しいところです。

 先日の日中外相同士の会談では李肇星・外相から
「靖国神社には絶対参拝すべきではない」との言葉が飛び出し、秦剛とかいう外交部の報道副局長も定例記者会見で何か吠えていました。実務者レベルでは関係修復を模索する戦略対話もとりあえず緒に就いて……という矢先にこの発言です。正に機を捉えるに敏、絶妙すぎます(笑)。

 とりあえず李肇星の面子は丸潰れ(秦剛は格下だから潰される顔がまだない)。胡錦涛と温家宝にとっても顔に泥を塗られたも同然の方向で事態が進んでいる(まだ参拝した訳ではないので)ので、面子はもちろん、また対外強硬派あたりから突き上げを喰うことになるのでしょうか?

 温家宝で思い出しましたが、実は呉儀という強面のオバサン副首相がきょう(17日)、愛知万博視察のため来日するのです。元々日本側は温家宝を引っ張り出したかったようですが、昨年末の李登輝氏訪日をまだ根に持っているのか、温家宝は首を縦に振らない。それで格下の呉儀の来日、となった訳ですが、その前日に小泉首相は上の発言でお出迎えという訳です。そこまで狙ったのかどうかは知りませんが、
中国側にとっては二重三重の「意地悪構造」になっていることは確かです(笑)。

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 ところが、不思議なことに
中国国内メディアはこの話題で盛り上がっていないのです。「新華網」や「中青在線」が転載した中国新聞社電は冒頭に掲げた共同通信の記事をなぞった内容で、「小泉首相がこれこれこういう発言をした」という事実関係のみが並べられており、論評は加えられていません。

 22時半になって出た「人民網」の東京特派員電も、時間をかけた割にこれまた事実関係のみ。今朝の『人民日報』(2005/05/17)でもその記事が使われているのですが、国際面に回されて大事な扱いは受けていません。標題に憎々しさを滲ませた観があるものの、レイアウト上で色々細工して目立たせるといったようなこともなされておらず、淡々とした印象を受けます。

 中国での第一報が14時すぎですから、翌朝の新聞に載せるための論評記事を書く時間的余裕は十分にあった筈です。実際、香港の親中紙『香港文匯報』(2005/05/17)は社説でこの題材を扱っています。しかし現時点では中国国内の主要メディア(電子版)に記事以外のものは登場していません。

 そこでこちらは、うーん、と首をひねるしかないのです。ひょっとして先日の訪中でヤマタクは意外と大きな仕事をしてきたのでしょうか?中国側のこの静まり方はどうでしょう。なにやら
「靖国参拝」について日中間で何らかの合意が密かに成立しているかのようではありませんか。

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 ●中国、首相の参拝中止困難は分かっている…山崎補佐官(読売新聞2005/05/13)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050512ia26.htm

 自民党の山崎拓首相補佐官は12日夜のTBS報道番組で、小泉首相の靖国神社参拝について「中国側は(首相が)靖国参拝を完全にやめるのが難しいのは分かっている」と述べた。(後略)

 この謎めいた言葉が改めて思い出されます。

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 仕方がないので『香港文匯報』の社説(※5)にあたるしかないのですが、これがまた抑制されたトーンになっています。

「支那人+華僑+朝鮮人=アジア人民」

 という相変わらずのお間抜けな認識に立ってとりあえず小泉発言を批判しているのですが、内容は紋切型という印象で目新しいものもなければ、激しいものもありません。むしろ最後の段落いっぱいを使って、

「でも、日本の大多数の市民とごく少数の軍国主義分子は区別しないとね。大半の日本人には戦争責任はない。彼らも戦争の被害者で、中国や広範なアジア人民と友好関係をとり結ぶことを願っているんだ。中国政府と中国人民も、日本との善隣友好関係の確立を望んでいる。ここ何年かは色々と波風も立っているけど、両国関係は常に友好・協力が主流をなしている。この点ばかりは誰にも変えることはできないんだ」

 と、いよいよトーンダウンしつつ、何やら明るいまとめ方で締めに入ります。最後の最後で、

「日本政府は中日間のこの得難い友好・協力関係を大事にするべきで、アジア人民の感情を傷つけるようなことはもうしないでほしい」

 ……というお約束の文言が出て終わるのですが、何というか全体的にソフトな内容で、いつものあの恫喝めいた言辞を弄するところが全くないため、読者は満腹感を得られません(笑)。……これは違います。
いつもの中国じゃありません。

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 時間がないので情報が揃わず、この程度の内容になってしまい申し訳ありません。あと半日ぐらい様子を見れば何か動きが出てくるかも知れませんが、いま私の身体は睡眠を欲しています(笑)。夜勤明けなのです。どうか諒としてやって下さい。

 とりあえず、

 ●中国側は素早く報じたものの、可燃度の高い大ネタの割には異様ともいえる静まり返ったスタンス。一晩経っても論評記事1本すら出さない(不可解)。

 ●香港における中共の御用新聞『香港文匯報』は社説を出したものの、紋切型かつソフトな内容に終始(失望)。

 ●共同通信が今回は「中国の反発は必至だ」を使っていない(意外)。

 ……ということに非常なる違和感を感じて頭がクラクラします。ああこれは眠いせいかも知れません。床に就きます。おやすみなさい。




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 【※1】http://hk.news.yahoo.com/050516/3/1cjqa.html

 【※2】http://www.mpinews.com/content.cfm?newsid=200505161430ta11430a

 【※3】http://news.xinhuanet.com/world/2005-05/16/content_2963109.htm(新華網)
     http://news.cyol.com/gb/news/2005-05/16/content_4830.htm(中青在線)

 【※4】http://world.people.com.cn/GB/1029/42354/3392226.html

 【※5】http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=WW0505170002&cat=005WW


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 元日の東京は上天気でした。

 午後に配偶者と近場の神社に参拝。あ、近場といっても歩いて行くには骨の折れる距離ですから、さすがに地下鉄を使います。いかに御府内とはいえ貧乏御家人の屋敷がそんないいところにある訳がありません。しかも家賃取られますし風水悪いですし。公方様……。

 愚痴はともかく、小泉首相、今年は元日参拝ではなかったのですね。ちょっと残念。どうせなら1年に何回も参拝して「靖国インフレ」にしちゃえば中共も諦めるでしょうに。諦めなければ尚更いいんです。参拝する毎に胡錦涛政権の弱腰に批判と反感が高まっていきますから。もちろん、そのときは私もちゃんと「反日」を煽ってあげますよ(笑)。

 昨年もそうでしたが、靖国神社は20代くらいの若い人(カップルとか)が意外に多いんですね。行列して待つこと約40分。私たちの前は家族連れだったのですが、私より少し若いであろうパパが、小学生くらいの男の子に、

「この神社はね、お願いするところじゃないからね」

 と言って、噛んで含めるように色々と説明していました。ちょっと驚きました。

 参拝のあとは、零戦を眺めつつ海軍コーヒーというお約束のコースです。

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 そういえば、今年も猿回しをやっていました。

 いまは芸だけじゃなくて、芸の合間合間に掛け合い漫才のようにボケとツッコミが入るんですよね。それもちゃんとこなすのですから、猿も大したものです。

 外国人にはちょっと聞き取りにくい部分もあったでしょうが、配偶者は手を叩いて喜んでいました。……あ、申し遅れましたが配偶者は華人なんです。ただし大陸ではありません。

「靖国神社?お正月もお花見のときも屋台がたくさん出るから好き。A級戦犯?何それ?大陸は馬鹿じゃないの?」

 と、いつもこんな調子です。変な教育を受けていないのでピュアなのです(笑)。それで、こうして遠慮なく連れて来ることが出来ます。

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 猿といえば以前私は「棲息地その1」で問題発言をしたことがありまして。


「仮に命に値段があるとして、平均的日本人一人と平均的支那人一人が等価であるとは思えません。
 生産力から何から違いすぎるから。
 これって差別?
 経済効果を考えれば、日光猿軍団の猿5匹>支那人一人でもおかしくない。 」


 そのあと、さすがにそれはないだろうと思ったので前言を撤回しました。


「5匹は支那人への過大評価ですね。『日光猿軍団の猿2匹>支那人ひとり』こんなところでしょう。」


 ……きょう昨年の元旦に続いて猿回しの精妙な芸を見まして、上の思いをいよいよ強くした次第です。

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 ずっとそのまま馬鹿でいろ。安い賃金で死ぬまで働け。せめて猿並みに働け。

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 それが国際社会に担わされた責務であることを、中国は早く気付かなければなりません。実際、「世界の工場」とかいって自己肥大してますけど、有り体は外資という阿片にどっぷりはまって、もはや経済植民地同然じゃないですか。

 中央の高級幹部は一族郎党を要職に就かせるなり阿片絡みの特権ビジネスをさせるなりして、地方は地方で党幹部は阿片欲しさに農村の耕地を叩き売って、都市では地上げをやって。もちろんそのたびに自分の懐も潤います。

 追い出された人たちは満足な補償を受けられませんから、その日暮らしの生活に堕ちて流民同然。そうなるのがわかっているから、さすがに農民一揆だって起きます。地上げでの流血事件も発生します。

 「官」がそれにどう対処するかといえば、百姓一揆には軍隊投入。都市の地上げでは政府がチンピラを雇って力づくで住民を立ち退かせる。そんな陳腐な時代劇に使われそうな噺が、現実に起きているのです。「世界の工場」もあと何年もつか……外資はそろそろ次の候補地の見当をつけておいた方が、いいかも知れませんよ。

 ――――

 そういう無理を重ねて作り上げた繁栄を、ごく一部の人が享受しています。

 本来なならここで知識人と大学生の出番なんですが、教授は副業に精を出していて忙しいし、学生は学生でストリートダンスの全国大会なんか開いて盛り上がっているし。

 大体いまは学費の一部が自己負担になっているので、頭が良くても貧乏なら入学できません。それでも子供に教育を受けさせようと、営利誘拐に走る父親や、自殺して保険金を残そうとする母親が出てくる。実話ですよ。

 自殺未遂に終わった母親が、娘に泣いて詫びるのです。こんな情けない親でゴメンね、と。1919年の五四運動当時の北京大学生がこれを見たら、あるいは魯迅がこれを見たら、果たして何と言うでしょうか。

 ――――

 ま、所詮は自分と無関係なよその国の話ですから、こう書いてはいても、あまり身を入れちゃいません。何たって余暇の娯楽としてやっていることですから。それに、隣国が愚民政策で馬鹿を大量生産してくれる方が、日本としては有り難いじゃないですか。

 チナヲチとは、まあ気象予報官のようなものでしょうか。天気図を出して概況を説明して、明日の天気を予測する。

 違うのは、私の場合、概況の説明が出鱈目で、予報もまるで当たらないということです。こればかりはどうしようもありません。恥じ入るのみです。

 いや、「歴史を鑑に前向きに」いくべきですね(笑)。昨年よりは少しはマシになるよう、励みます。

 改めて、本年も宜しくお願い申し上げます。



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 えーと、またまた御質問を頂いてしまいまして(汗)。今度は靖国問題です。私はあまり詳しくないんで、他の方が回答なさった方がいいとは思うのですが……。
 質問者の方の趣旨は次の通りです。

「小泉首相の靖国参拝は日本側からすると『中国側は反日カードとして戦略的に騒いでるだけ、日本側は内政干渉として突っぱねるべき』という意見が多いと思うが、中国人の掲示板での書き込みやテレビによく出てくる帰化中国人の話を聞くと、結構本気で日本の右傾化やそれにつながる靖国参拝を恐れている様にも見える。もしそうなら、首相は靖国参拝を戦略として逆に控えた方がいいのか、それとも、中国政府の戦略的反日政策に踊らされているだけの庶民は無視して、このまま内政干渉として突っぱね続ける方がいいのか」

 恐縮しつつ、「私が一介の素人にすぎないことはどうか忘れないで下さい」と前置きした私の回答は以下の通りです(一部加筆・改行修正)



 ――――


 結論からいえば、
「中国側は反日カードとして戦略的に騒いでるだけ、日本側は内政干渉として突っぱねるべき」
 という意見に私も与する者です。
 在日中国人犯罪問題やアジアカップのとき、中国のスポークスマンは、
「日本のメディアが騒ぎ過ぎていることにも責任がある」
 という趣旨のことを言っていましたが、日本の官房長官にも是非そう言ってほしいものです。

 小泉首相が靖国神社を参拝することで、日本は何を失ったでしょうか?
 現地で日本人がイジメられたとかいう話は別として、例えば東シナ海の資源紛争や、日本の経済水域内での違法な事前通知なしの海洋調査などは、参拝しなくても起きていたと思います。
 参拝したのに、今回の在来線高速化プロジェクトは日本企業の参加したコンソーシアムがものにしました(私は反対でしたが)。対中ODAも減額されましたよね。

 中国の掲示板に書かれる靖国関連の発言は私もいくつも読みましたが、何だか伏魔殿のように描写されていますね。靖国にお骨が置いてあると思っている奴もかなり多い。
 正確な知識がないんです。そこに反日教育が重なるから、伏魔殿になるんです。
 例えば靖国が初めて問題化した1985年の中曽根首相(当時)以前にも、多くの首相が靖国を毎年参拝しています。もちろんA級戦犯合祀後も含めてです。ところが、奴らはそのことを知らない。
 幕末のエピソードで、尊王攘夷派の志士が鎖国は徳川時代から始まったという事実を知って驚いたというのがありますが、ちょっと似ています。
 韓国のことは知りませんが、中国の靖国批判は、外交カードとして使えた過去があるためある意味調子に乗っているのと、中共に対する国民の不満を外にそらすためのものでしかありません。

 奴らが「結構本気で日本の右傾化を恐れる」のは、気にしないで下さい。新華社や人民日報の報道に毎日囲まれて暮らしていけば、自然とそうなります(手近な例として日本における自虐史観教育の成果があります)。
 新華網や人民網のサイトへ行って日本関連記事を読めばわかります。感心してしまうほど偏向していて、日本を軍国主義復活を狙う悪者に位置付けています。
 大半のニュースにそういうテイストをまぶすのですから、これは大変な才能ですw

 ところで、対日偏向報道といえば実は香港もそうなんです。そして香港にも底流には反日があります。
 でもサブカルチャー(ゲームやマンガ、ドラマ、音楽)を含めた日本文化の受容度が高いせいか、靖国参拝で騒ぐのはいつも一握りの活動家だけです。領事館に少人数でデモをかけたり……選挙があるんで彼らも大変なんですw
 結局は、そういうことです。
 日本としては、毅然とした態度(内政干渉)で放っておけばいいんです。
 そのうち消費力と民度が向上すれば香港のようになるでしょうし、
 そうなる前にあぼーんしてしまえば靖国どころじゃなくなりますし。

 ご質問ありがとうございます。おかげで思い出しました。
 今日は九段の方へ行く用事があるので、ついでに靖国神社に寄って、海軍コーヒーを飲みながら零戦を眺めてくることにします。

 あ、それから年初の靖国参拝に対する中国側(外交部)の声明を読んでみて下さい(すみません忘れていました)。
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2004-01/01/content_1256873.htm

 中国語なんですけど、声明のどこを探しても、
「日中共同声明(あるいは××条約)に違反した」
とも、
「日中共同声明(あるいは××条約)の精神に違反した」
とも書いてありません。
 つまり根拠に乏しい言い掛かりであることは中国側もわかっている訳です。



 ――――


 もっと良い答え方があるだろ、この馬鹿!――とお怒りの向きもあるかと思います。ごもっともです。でも私は一介の小市民(しかも頭脳不明晰)でして、非武装中立とか日本の軍国化反対とか言っている方々や、あるいは勤王の志士の皆さんのような豊富で系統立った知識などありませんから、高邁な議論などできる筈もありません。
「だいたい俺に聞くのが間違いなんだよ」
 と逆ギレする元気もありません。ただ恥じ入るのみです。

 以上、昨日の出来事ですが、言葉通り海軍コーヒーを飲みながら、夕陽に染まった零戦をたっぷりと眺めてきました。


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