日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





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 どうも中国指導部はやり過ぎてしまったようですね。

 煽り過ぎた、というべきでしょうか。聖火リレーの話です。いや、「愛国主義」という名のもとに横行する排外ナショナリズム(攘夷運動2008)、という方が正確かも知れません。

 私などは長野の一件でもう十分に辟易していたのに、昨日4月27日に韓国のソウルで行われた聖火リレーの凄まじかったこと。もはやプチ暴動でしょうあれは。しかも暴れているのは韓国人ではなく、大使館に動員されたとみられる現地在住の中国人留学生や華僑。人海戦術に物を言わせてアウェーも何のその。独り焼き肉パーティーや指切りげんまんをはじめ、こと「抗議運動」にかけては剽悍(笑)なことで有名な「反省しる!」の韓国人が圧倒されていました。

 驚きましたねえ。……韓国人が圧倒されていることではなく、他所の国でああいうことをやって平然としていられる中国人の神経。それから、連中を束ねている中国大使館やそのまた背後の中共政権の感覚です。聖火リレーって実は反中感情を広めるためにやっているのでは?と思えてきました。

 その聖火リレーもロンドン,パリ、サンフランシスコあたりまでは
「チベットに対する人権弾圧に抗議する活動家や地元市民vs動員された中国人」という構図だったように思います。

 ところがパリやサンフランシスコの後あたりから、中国当局がそれまでの「反ダライ集団」だけではなく人権弾圧に批判的な西側主要国やメディアにも鉾先を向けた宣伝工作を中国全土で展開し、むしろ「ダライ集団批判」を二の次にするような勢いで欧米と西側メディアを叩き始めました。そういうキャンペーンの受け手である中国国民も、特に30代から下は江沢民が始めた愛国主義教育を全身に浴びて育っていますから、「愛国」宣伝に燃え上がりやすくなっています。

 その結果、東南アジアツアー以降は「チベット問題をめぐる衝突」というより、
「聖火リレーに抗議する者を現地在住の中国人集団が人数でねじ伏せる」といった図式が確立されています。キャンベラや長野でもそうですし、ソウルもまた例外ではありませんでした。

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 もはや暴民といっていい中国人集団の非道な振る舞いについて、前回のコメント欄にて「arcadia」さんが、

「中国共産党教に染まった原理主義者」

 と見事に喝破しておられます。確かに中共史観と中共的価値観をバイブルとする「中共教」の信者ども、といった観がありますね。

 興味深いのは、数字に照らして考えてみると、あれら暴民というか信者どもの多くは中国共産党員ではない確率が高いということです。「攘夷」と「愛国」と「中共」がいまや渾然一体として、それぞれを隔てる垣根が限りなく低くなりつつあるのは注目すべきではないかと思います。

 もちろん原因は煽り過ぎたことと、学校教育を通じて燃え上がりやすい亡国の世代を量産している中共政権そのものにあります。ただその中共指導部にしてもそろそろ煽り過ぎたことを後悔し始めているのではないでしょうか。

 出先の大使館サイドはノルマを課されたが如く動員令をかけるよう北京から指令が出ているので、とにかく命令通りに、と動いているのではないかと思います。現地在住の中国人を保護する立場から考えれば、暴民動員はどう考えても愚挙でしょうから。……あるいは自国民の保護なんざ本音ではどうでもよくて、ここで大いに働いて自分の出世につなげようという大使さんや公使さんの方が多いかも知れませんけど。

 いかに愚昧な攘夷運動であれ、「愛国」の二文字をおっかぶせてしまえば錦の御旗ですから誰も文句が言えません。文句をつければ即「売国奴」扱い。要するに「愛国」モードに入ってしまうと中国からは良識が排除されることになります。

 ちょっと前に中国国内で展開されたフランス製品ボイコット運動、その具体的な目標にされたフランス系スーバー・カルフールに対する不買運動に苦言を呈したジャーナリストや評論家はネット世論から猛反発の十字砲火を喰らって沈黙せざるを得ませんでした。

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 そのカルフール、不買運動に恐れをなしたか5月1日から予定されていたバーゲンセールを急きょ中止すると発表し、北京市内などの一部店舗では店員が身につける制服に新バージョンが出現。赤地に黄色をあしらった要するに中国国旗風のデザインに加えて、帽子などにも北京五輪ロゴが入っているとか何とか……とにかく悪い言い方をすれば「媚びた」格好に一新されました。同時に北京五輪支持声明のようなものも出されています。

 何をそんなにビビっているのか、と思っていたのですが、最近スランプ気味なのが心配な楊冪を振り出しに巡回する芸能人系のブログ(汗)の中で、ある若手女優?が昨日付(27日)のエントリーにて、

「いま5月1日にカルフールの不買運動をやろうって話がネットで飛び交っているよね」

 と切り出し、
「やっぱここはボイコットだよね」調で締められていました。メールなどで出回ったあの火種、まだ健在だったのかとちょっと驚いたのですが、試しに糞青ども(自称愛国者の反日信者)が集う代表的なサイトのひとつで反日サイトの総本山的な存在ともいえる「中国民間保釣連合会」をのぞいてみたところ、何と長野で聖火リレーが行われた26日、湖南省・長沙市のカルフール前で不買を呼びかける有志による抗議活動が展開されていました。

 画像たくさんです。店内乱入のようなことは行われていませんが、かなり盛り上がっています。何という威力業務妨害(笑)。一応現場にいた警官とも和やかムードだったようです。他の都市でも何らかの活動が行われた形跡があります。

 ●長沙愛國運動高漲,毛主席與長沙青年在一起(中国民間保釣連合会 2008/04/26/22:56)
 http://www.cfdd.org.cn/bbs/viewthread.php?tid=54062

 ●美麗湘軍飛揚青春――4.26長沙愛國活動剪影(中国民間保釣連合会 2008/04/27/22:07)
 http://www.cfdd.org.cn/bbs/viewthread.php?tid=54083

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 それから、久しぶりにあの
「なんちゃってデモ」が北京のフランス大使館前で行われたと香港の親中紙『香港文匯報』(2008/04/27)が報じています。警官隊が居並ぶ前にタクシー数台で乗りつけた11名が、大使館の門前で平和的にお行儀よく形だけのデモを実施したとのこと。

 ●北京十餘民� 法使館前示威(香港文匯報 2008/04/27)
 http://paper.wenweipo.com/2008/04/27/CH0804270009.htm

 この記事を読んだ限りでは、「なんちゃってデモ」を実施したのは「中国民間保釣連合会」同様に、「自称民間」ながら実は政治的保護者という飼い主を持つ愛国団体のようです。取材に応じた参加者によると、

「もともと50名が参加することになっていたが、最終的には11名が時間通りに現場に集まった」

 と語っていますが、要するに治安当局から人数を制限されたということなのでしょう。抗議文と五星紅旗の小旗を手にしたこの連中、横断幕を広げようとしたら警官に阻止された模様。かつて日本大使館に対し行われた「なんちゃってデモ」においては、横断幕は許されたものの日の丸を焼くのは許されたり許されなかったりと、そのときどきの日中関係に応じてデッドラインはまちまちでしたから、このあたりの機微には留意しておきたいところです。

「仕方がないなあ」

 という顔で当局が渋々OKを出した、というのが今回の「なんちゃってデモ」ではないかと。本当はこれ以上騒いでほしくはないものの、封殺すれば糞青の可燃度がいよいよ高まるため仕方なくやらせた、といったところです。

 ちなみにこの連中、元々の計画ではこの
フランス大使館を振り出しに、英国大使館、ドイツ大使館前でも同じことをやるつもりだったそうです。やらなかったのは治安当局からNGが出たからでしょうけど(笑)……って笑っている場合ではありませんね。これまた事態の深刻さを感じさせるものです。ところでこの「なんちゃってデモ」、中国国内で報じられた形跡がないのも興味深いところです。

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 この糞青どもに代表されるような当局に煽られ過ぎて燃え上がってしまっている連中にしてみると、「愛国」に名を借りた攘夷運動の目下の標的はフランスを筆頭にイギリス、ドイツということになります。米国に対しては例の「反CNNネット署名活動」が大手ポータルなどで相変わらず続けられていますし、CNN相手に「中国と中国人民を誹謗中傷した」とかいうことで訴訟を起こす中国人グループがいくつか出ています。

 ただし、ネット署名とか訴訟とかいった手段はすでにファイヤーな連中にとってはヌルすぎるのでしょう。ネット上には
「CNNの主要株主企業一覧」みたいな怪文書が出回り始めており、シティグループ、エスティ、コルゲート、ヒルトンなどの名前が挙がっています。こいつらがボイコットの標的だ、ということなのでしょう。中国当局が何もしなければ抗議行動に発展する可能性があります。

 だいたいこれを告知しているのが「人民網」(『人民日報』電子版)ですからね。党中央の機関紙が騒げ騒げといわんばかりです。

 ●網友提供:與CNN利益攸關的公司(人民網 2008/04/26/07:06)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2008-04/26/content_8052671.htm

 ところが一方ではこの「人民網」が「理性的な愛国を」と暴走を戒める記事も掲載しています。糞青どもを散々煽った中国国内メディアが、それによって見事に燃え上がった糞青どもの姿をみて逆に煽られて……といった呈の、支離滅裂状態。ちょっと変になってきています。

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 日本に対する報道もまた然り。長野での聖火リレーについて新華社や『人民日報』は「予定通り無事終了」「五星紅旗の波に長野市民が感動」といった礼賛記事を掲げたのですが、その一方で今回最大の煽り役である『環球時報』(『人民日報』系国際紙)あたりからは、

「右翼が揉め事を引き起こして聖火リレーを妨害した」

「右翼との衝突で中国人留学生が負傷した」

「中国人留学生を負傷させるなど聖火リレーへの妨害行為に駐日大使が強く非難」

 ……などといった明らかに「反日」気運を高めることになる記事がどんどん出ており、大手ポータルのニュースサイトではむしろこの種の記事の方が大きく扱われています。

「奪われた国旗を取り返すために負傷した留学生」

 などといった脚色たっぷりな英雄談も登場。2005年春の反日騒動当時のように「煽るメディア」と「暴走を戒めるメディア」がはっきりと分かれていればまだわかりやすいのですが、今回は同一メディアが煽ったり落ち着けと言ったりしているのでどうにも不可解。ともあれ不穏な記事が出始めていることで「反日注意報」は取り下げられないままです。

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 メディアだけでなく、中国当局そのものも挙動不審。

 一時は大きなニュースとして扱われた
「ダライ・ラマ十四世との対話」が典型例です。中国当局がダライ・ラマの私的代表と「接触・協議する用意がある」と発表したそばから、

 ●チベット問題は民族問題ではない。
 ●ダライ集団の分裂の企ては必ず失敗する。
 ●チベット亡命政府はこんなにいかがわしい集団。

 といった論評記事を国営の新華社通信や『人民日報』、また胡錦涛の広報紙といえる『中国青年報』(共青団中央機関紙)から大々的に連日垂れ流しています。それでは「対話する」は一体何のための、どういう狙いを持った発表だったのか。「話し合う」と言った舌の根も乾かぬうちに話し合う相手に猛烈な悪罵を浴びせ始めているのですから、これでは国際社会に対する時間稼ぎにもなっていません。ダライ・ラマはこれを受けて、

「実のある対話でなければ意味がない」

 という趣旨の声明を発表。理解に苦しむ中共政権のドタバタぶりです。問題はこのメディアをも巻き込んだドタバタをどうみるか、です。

 ●(1)煽り過ぎて必要以上に燃え上がってしまった糞青どもを当局も持て余し、処置に苦慮している。
 ●(2)対外姿勢について党中央が強硬派と穏健派に割れ始めた。

 ……のどちらかではないか、と思うのですがしばらく様子をみないと結論を下せません。(2)だとすれば戦慄的な状況ということになるのですが、目下のところ政争の気配はなし。

 (1)であるなら、胡錦涛政権が本気で火消しにかからないと5月1日を節目に糞青どもの攘夷運動が一気に火の手をあげることになりかねません。そうなったとき標的にされるのは第一にフランスと米国。さらに日英独あたりにも飛び火しそうですが、そうなれば可燃度の高い「反日」が一気に前面に出てくる可能性は高いでしょう。

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 ともあれ、糞青どもはどうやら攘夷運動にヤル気満々。メディアと当局の足並みは乱れ、さらに両極端に割れています。煽り過ぎたためにこうなった、というところまでは確かでしょうが、乱れ具合、割れ具合が具体的にどういう状況なのかはまだわかりません。

 「愛国」に名を借りた攘夷運動が盛り上がれば「反日」も必至。社会も混乱しかねませんから、予定されている胡錦涛の訪日もどうなるかわかりません。反CNNネット署名活動が街頭でも行われるようになるとか、カルフールやCNN関連企業に対する不買運動が展開されるようになれば再び国際社会を巻き込んでの騒ぎとなります。

 そうなったとき、中共政権も「攘夷」を煽ってきた手前、また国民感情に照らしても対外姿勢で「弱腰」と指弾されかねない妥協的な態度は取りにくいでしょうから舵取りが実に難しくなります。

 本来は北京五輪の成功と「反ダライ集団」のために国民の意思統一を図るとともに、フランスなど特定の国家に軽度のプレッシャーを与えるべく行われた「煽り」なのでしょうが、胡錦涛政権も中国国民もそういった高等政略をこなせるレベルにはなかった、ということでしょう。

 その結果、つい煽り過ぎて糞青どもや聖火リレーで動員される中国人留学生が予定を上回るレベルでヒートアップしてしまい、その姿に今度はメディアそして胡錦涛政権そのものが煽られているようにみえます。

 繰り返しになりますが、中国国内メディアも胡錦涛政権も明らかに足並みが乱れ、ひいては意見が割れている可能性もあるのが現状です。事態を収拾できるかどうかはここ数日間の当局の出方次第でしょう。「攘夷」は下手をすると
「倒幕」に転化しかねないというのに、胡錦涛政権は反日騒動のときのように「煽り」を一切放棄して全力を挙げて「火消し」に動くといった気配は目下のところ、みられません。

 現在の社会状況が反日騒動当時よりはるかに悪化していることは改めて指摘するまでもないでしょう。聖火リレーに目を奪われている間に、中国国内が何やら急にキナ臭くなってきた、という印象なのです。


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 徹宵と徹昼を続けた上にいろいろな出来事があって、そのあと久しぶりに寝て,いまは久しぶりに起きた気分です(笑)。まだ疲れが残っている、というか体調不良。蒲柳の質のくせに体に負荷をかけすぎてしまったようで、明日に控えた定期検診で医者に怒られてしまうかもしれません。

 何日かぶりでマトモな睡眠をとったので、昨日(4月26日)のことが随分前のように感じられます。仕事を午前中で終えてから靖国神社で「御照覧あれ独りだけOFF」をやって、いったん帰宅してからデモに参加して、そのあとまた九段に戻って「私なりにがんがりました独りだけOFF」。雨が降り出していたので遊就館に避難を考えたのですが、2回も顔を出すのが何やら気恥ずかしくて外の喫茶店で一休み。

 それで帰宅しようと外に出たら、香港の友人T君から携帯に電話がありました。友人というよりは仕事上の元後輩というべきで、私より十歳くらい若くてなぜか私によくなついている奴らのひとりです。いまは身すぎ世すぎで親中紙の記者をしています。

 余談になりますが、私が香港で仕事をしていたころの仲間は、私が数年越しで口説かれていた台湾系企業に引き抜かれたあと、折からのネットバブルや労使紛争や権力闘争→分離独立運動でバラバラになり、いまは転々とした挙げ句、香港紙のあちこちにデスク級のポスト程度で散らばっている連中が多いです。コソーリ活動などで重宝している部分もありますが、ACG業界(アニメ・コミック・ゲーム)上がりなのでデスクといっても生活面とか文化面とか芸能面などばかりで、中国関連とは接点がありません。

 私の携帯に電話してきたT君もそのひとりで、例の没になった「喪服計画」メンバーでもあります。「いま東京です」というのでいつ来たのかと尋ねたら昨日(25日)。「喪服計画」のためにとっておいた有給、いったんキャンセルしたもののシフトの関係で時間が空いたので改めて旅支度をして来日したそうです。ヲイ!

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 なら何で昨日電話して来ないんだせめて今日(26日)一緒に動けたじゃないか、と私が言ったら、家の電話も携帯も何度もかけたのにつながりませんでしたとの返事。そうでした私は仕事のラストスパート状態だったので、通例として催促とか煩わしい邪魔が入らぬよう携帯を切って電話線を抜いていたのです(笑)。T君はといえば連中お決まりのパターンで「来日初日はまずアキバ」を満喫したとのこと。

 早速合流して、むさ苦しい拙宅に請じ入れて、私が録画しておいた長野の聖火リレーを一緒に観ました。うーんと二人でうなってから、香港の古株同業者(元を含む)の間では定番となっている近所の居酒屋で一杯やって密議。

 T君も親中紙では中国面とは無縁なのですが、そこは同じ会社の中ですから外部者にはうかがい知れない中国面編集部の空気や顔ぶれや北京との間に結ばれている約束事や掟のようなものを色々教えてくれました。

 間接的ながら中国観察の参考になる話題が多かったので私は専ら聞き役でどんどん飲ませて話をさせました(笑)。新聞社にしてみたら機密かも知れませんしT君がクビになっても困るのでここではちょっと明かせないのが残念ですが、今後のヲチにある程度貢献してくれると思います。

 そのあとT君とは別れて帰宅して記事漁り。ここ数日は特に情報量が多いので日本発と香港・台湾発の記事を片付けたところで朝になってしまいました。一昨日と昨日の中国国内メディアの記事は拾ってあるもののほぼ手つかず。てな訳で今日はヲチができません。

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 まずは、長野へ赴いて聖火リレーへの抗議行動に参加した皆さんに心から敬意を表したいと思います。皆さん本当にお疲れさまでした。夜行の列車やバスや車で現地入りして、休む間もなく悪天候下での活動はさぞや大変だったろうと推察する次第です。

 核となる組織もないまま、2ちゃんねるなどを通じて問題意識を持ち、情報交換をしつつ、ついに参加へと踏み切っても現地での集合は難儀だったことでしょう。しかも土地勘のない場所である上に現場がリレーコースであるため目標地点の絞り込み(兵力の集中または効果的な分担)も困難という最悪の条件下で、あれだけ雪山獅子旗を翻させたというのは素晴らしいことです(東トルキスタン組もGJ!)。身銭を切っての、文字通り自発的な参加者があれほどいたことは評価していいでしょう。

 リレー中の映像は専ら走者の前を走るメディアカーからのものが多く、いきおい道路の両側に詰めかけていたであろう人たちの姿はほとんど映りませんでした。ただときどき、沿道で振られている大きな旗がチラリチラリと画面に入ってきます。人数に圧倒的な差があったため中国の五星紅旗が多いなか、意匠の良さもあるのですがポツリポツリと目に留まる雪山獅子旗は贔屓目でなくいつも以上に目立ち、鮮やかに映りました。

 皆さんの頑張りが中国側の大動員を呼び、その結果、異様な聖火リレーであることが日本国民に広く認知されました。チベット問題のアピールになりましたし、そうでなくても中国人の多さに違和感を感じ、マトモなイベントでないことを悟った視聴者が多いと思います。

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 日本の新聞・通信社の報道からもそのことが証明されました。私が目を通したネット上での記事では全てのメディアがチベット問題に言及し、また今回の聖火リレーは中国が国威発揚を狙った政治的イベントであることを報じています。それも、皆さんの活動があってこそのことです。2ちゃんねるではいま失敗や反省点に関する統括が行われているところ。今回の準備段階で以前の事例(工作員の暗躍など)を教訓としつつ計画が練られていったように、長野で得た経験値もまた、次の機会に生かされることになるでしょう。

 過去に、自分たちとは直接は無縁な外国の人権問題に対し、ネット上でこれほど盛り上がり、それが現実世界での行動へと発展したことがあったでしょうか。それを「にわか」とか「流行」と評する向きもあるでしょうが、古来、世の中のことの多くはそうした「にわか」「流行」の大量参加によって時勢が動き、大局の転換が成立するものです。

 「にわか」「流行」組のことを、私の業界では「コアユーザー」の対極と位置づけて「ライトユーザー」と呼んだりします。アニメやコミックのヒット作もそうですが、特にテレビゲームのソフトやゲーム機の販売動向を左右するのは常にこのライトユーザーです。逆にいうと、コアユーザーとは好みやニーズが大きく異なる、しかしながら市場の圧倒的多数派(80~90%)を形成するこのライトユーザーを味方につけたところが勝利する訳で、いかにしてそれを実現させるかが常にメーカー側の販売戦略の重要なポイントとなっています(コアユーザー向けの作品なら別ですが)。

 今回の長野に参集したライトユーザーたちは、核となる組織もノウハウもなく、また情報を共有すべきセンター的な機関もないまま、三々五々に手弁当で駆けつけて、それでもあれだけ頑張ることができたというのは、反省点を率直に踏まえた上で高く評価すべきことです。聖火リレーの終着点である若里公園の特設ステージ周辺は中国人の集団で固められていましたが、それでもどのテレビ局も、その外側に陣取るしかなかったチベット支持グループを無視することはできませんでした。

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 むしろより反省すべきであるのは、ついに「ライトユーザー」を取り込むことのできなかった「コアユーザー」たちでしょう。政治的な立ち位置にかかわらず、以前から人権問題なりチベット問題に取り組んできて、この種の活動について経験値もノウハウもそれなりに有している筈の諸組織のことです。

 テレビゲーム機の広告戦略においてはもはや常識ともいえるのですが、あまりにコアユーザーに傾いたスタンスをとった陣営は往々にして「濃すぎる」としてライトユーザーから敬遠され、販売競争で大敗してしまいます。一方で、ライトユーザー取り込みを狙って見事に失敗する陣営も。

 今回の長野、というよりチベットをめぐる問題において、ライトユーザーが出現するという千載一遇の機会にもかかわらず、コアユーザーはこのチャンスを生かすことができずに、相も変わらぬ「濃すぎるルックスと言葉遣い」で十分にライトユーザーを取り込めないまま、泡沫的存在ないしは傍観者のままでいます。

 いざというときに頼りにならないのでは仕方がありません。チベット問題は現在進行形ではあるものの、現状から察するにコアユーザーの自己変革はちょっと望めそうにありません。むしろ「長野」を経て組織力と団結の必要性を痛感したライトユーザーの間により有機的な連携が生まれることを期待したいです。

 今回は、ニコニコ動画やYouTubeなどの動画媒体を用いたアマチュアによる宣伝が相当な訴求効果と吸引力を持つことを確認できたことも収穫のひとつです。これがライトユーザーの増大に果たした貢献は決して小さなものではありません。

 そうした小技も巧みに使える人々が、ホームであるネットを土台に今回の経験をしっかり総括して経験値を高めるとともに、オフラインにおける糾合も含めて成熟していければと思います。私は、私自身がやはりライトユーザーのひとりであるだけに、未成熟ながらもポテンシャルを秘めた、そうした一群に身を委ねたい気分です。

 ――――

 私自身、こうした活動への肩入れは当ブログとは別口のものとなりますが、今後ともできるだけ積極的に参加していきたいと思います。例えば「チベットに対する人権弾圧」そのものは当ブログの本旨からは外れるものかも知れませんし、また所詮は影響力皆無の「中国ヲチ専科・零細弱小・色物系」ブログに過ぎませんが、必要と感じればOTながらも今回のように、わずかながらも告知などのお手伝いをできればと考えています。

 もちろん、素人の中国観察という観点からお役に立てることがあれば、協力を惜しみません。まずは公休日となるメーデー(5月1日)以降の中国における愛国ムーブメント、ではなく排外的ナショナリズムという「攘夷運動」の動向を眺め探りつつ、胡錦涛来日を控えてライトユーザーたる自分に何ができるかを改めて考えていくつもりです。

 首から吊している雪山獅子旗の入ったネームプレートは、今後も外すつもりはありません。




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無理をしても、しなくてもいいのです。勇んでも、勇まなくてもいいのです。

それぞれが、それぞれに出来ることを。どんな小さなことでも。

独りひとりがそう思って少しだけ踏み出すことで、大きな流れが生まれることになります。






★★★長野★★★



※詳細




★★★東京★★★






※詳細


★「毒ギョーザに抗議するエプロンデモ」は
チベット国旗の持ち込みもOKとのこと。★

↓ただし、これだけは守って下さい。↓

●注意事項とお願い●

 中国の国民を侮辱する文言は使用しないでください。
チャンコロ、劣等国民、兇悪シナ人、死ね、うざい等、相手を侮辱したり露骨に差別したりする文言は禁止です。

平服+エプロンでお願いします。
日の丸鉢巻等、街宣ウヨク団体を思わせるような服や装身具はやめてください。
日章旗は小旗であれば可とします。

エプロンと共に、プラカードをご持参いただくのは大歓迎です。
こちらでも用意しますが、全ての方に行きわたる数は用意できません。
A3位からA1サイズのプラカードを作って、持参して頂ければ幸いです。

★★後方支援★★
長野に行きそびれた東京周辺の皆さん、ここはひとつ主計科烹炊班になろうではありませんか!




 ◆4/25(金)

 
●16:00~長野県庁で記者会見 ※記者クラブがないので誰でも参加できます
 ●19:00~「もんぜんぷら座」地階ホール(長野市新田町1485-1、旧ダイエー長野店)で、チベット文化交流会『チベット問題を知る集い』
 
在日チベット人、ツェリン・ドルジェさんもお話します。
 参加無料。主催:SFTjapan

 ――――

 ◆4/26(土)

 ●6:30集合 7:00~善光寺本堂で3月以降チベットの抗議行動で亡くなられた方の「追悼法要」

 国宝の善光寺本堂で善光寺の僧侶のみなさんが正式な行事として全ての犠牲者を弔って下さいます。
 ※一般参加歓迎

 主催:チベット問題を考える長野の会、SFTjapan
 呼び掛け人:雪蔵山十善院住職 チベット問題を考える会代表 小林秀英
 天台宗別格本山書写山円教寺執事長 大樹玄承
 曹洞宗円通院住職 名古屋デモ実行委員 高辻哲洋
 報恩寺住職    四方僧伽代表 井本勝幸
 賛同者:(株)独立総合研究所代表取締役兼主席研究員 青山繁晴
 チベット文化研究所所長 横浜桐蔭大学教授 ペマ・ギャルポ

 善光寺をはじめ長野市内の僧侶も多数、約30人の在日チベット人も参加
 ※善光寺は24時間オープン

 ●8:00~8:30 長野県勤労者福祉センター跡地で聖火リレー出発式(15分間)

 ●8:30~ 聖火リレー開始

 以下のポイントを中心に横断幕等を掲げ、声をあげてアピール
 ※一般サポーターは、それを見守るか、各自自由に沿道でアピールを
 
★善光寺大門交差点
 ★長野駅前
 ★エムウェーブ(←ここでリレーは30分の休憩予定。この間行われるイベントは中止)※当初予定では10:20~10:50

 ●13:00~13:30 若里公園で聖火到着式

 ●14:00~公園内芝生広場(県民文化会館の南側)で集会

 ※許可済(雨天の場合は、屋内別会場を予定)
 主催:TSNJ、SFTJapan
 集会後、その場で記者会見





 ◆現地で平和に旗振り組


 ■当日の行動計画・スケジュールについて

  チベット応援旗振り@長野聖火リレーまとめメモ [PC・携帯両方可]
  http://www.tok2.com/home/freetibet/

  【平和に旗振り】mobile [ほとんど携帯向け・情報確認などに]
  http://www.geocities.jp/hatafuri_nagano/m/


 ■現地の資料 
※参加される方は事前に地図etc..のプリントアウト・持参を推奨

  長野市内集合場所および移動用地図 http://www.geocities.jp/nagano_tibet/idou-map.html
  【第2集合場所:妻科(つましな)神社】地図 http://www.geocities.jp/nagano_tibet/2set.html

  【平和に旗振り】資料集 http://www.geocities.jp/hatafuri_nagano/


 ■避難所関連 
※鯖落ちなど不測の事態が発生した場合、慌てず避難所で情報交換・情報確認

  【平和に旗振り】避難所 http://jbbs.livedoor.jp/internet/182/
   ※鯖落ちなどスレが見れないときの情報交換に

  【平和に旗振り】現地情報アナウンス板 http://jbbs.livedoor.jp/internet/181/
   ※現地情報・行動計画の重要な変更etc...などのアナウンス専用(書き込み不可)
   ※前日ミーティングの内容はこちらでも報告予定。
   ※当日は、現地の状況によって充分に更新できない可能性があります。

  【平和に旗振り】ミーティング用 http://z.z-z.jp/?yakan
   ※前日ミーティング・前夜ミーティング用→当日は避難所に





 ◆現地で平和に旗振り組(更新情報)


 抗議行動が異なる方、単独行動を希望している方も、根底はチベットを応援しようと思う気持ちは同じです。仲間です。それぞれ、丁度日時があう集合などを利用なさってみるのもいいかと思います。集合し、のち独自に行動なさっても良いはずです。

 不測の事態など現地情報を共有できるのではないかと思います。

 当日の変更等、各スレにて要確認。

 ――――

 ●26日(土)

 【第一部】

 開会式の善光寺にて積極的な活動を行う。最重要なためできるだけ参加ください。

 06:30~07:45 国道406号沿線(空き地?大門)へ早朝に集合してカメラの位置などを確認し(善光寺サイドにより定められています)、より効率的にアピールできる場所を調査して確保することが目的。

 場所     善光寺裏口いかほ本館付近に案内役が立っています
 案内役目印  チベットカラーの三つ編み紐

 いかほ本館にたちよらず、直接見つけて合流も可。


 08:15    長野駅組
 場所     長野駅コンコース長野市観光情報センター付近(地図)
 案内役目印  さきっぽが水色のバトンを振り回している

 聖火が通過し行動が終わった後、各自散会→再集合→若里公園への移動
 再集合場所妻科神社(地図)

 ――――

 【第二部】

 11時頃   若里公園への案内役
 場所     長野駅長野市観光情報センター前に集合
 案内役目印  さきっぽが水色のバトンを振り回している

 11時半頃  若里公園へ再集合
 場所     若里公園、詳細場所未定
 案内役目印  チベットカラーの三つ編み紐





 ◆不法外国人・外国人スパイ・対日有害工作の通報・情報提供に使えそうな一覧

 ※些細なことでも気が付いたことは、すぐに匿名で通報・情報提供(重要)


 ●公安調査庁 ご意見・情報提供 
psia@moj.go.jp

 ●法務省入国管理局不法外国人情報受付 
http://www.immi-moj.go.jp/zyouhou/index.html

 ●警察庁ご意見箱 
http://www.npa.go.jp/goiken/index.htm

 ●警視庁情報提供 
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/anket/other.htm

 ●長野県警情報提供 
http://www.pref.nagano.jp/police/index/teikyo.htm




ギリギリまで状況は変化します。最新情報のチェックをお忘れなく。


◆◆◆◆ チベット関連総合スレッド ◆◆◆◆
http://sports11.2ch.net/test/read.cgi/offmatrix/1207886962/l50

胡錦濤来日迄に日本中チベット旗だらけにするOFF 12
http://sports11.2ch.net/test/read.cgi/offmatrix/1208873018/l50

チベット旗だらけ各地小規模プレOFF企画総合
http://sports11.2ch.net/test/read.cgi/offmatrix/1207052213/l50

【告知】チベット関連総合資料室【コピペ】
http://sports11.2ch.net/test/read.cgi/offmatrix/1208626114/l50

チベット応援長野聖火リレー 単独行動【自己責任】10
http://sports11.2ch.net/test/read.cgi/offmatrix/1209160499/l50

【東京】聖火リレー中国大量動員足止めOFF【開戦】5
http://sports11.2ch.net/test/read.cgi/offmatrix/1209145845/l50


2ちゃんねる」>左サイドの
「馴れ合い」「大規模OFF」で上記スレッドにたどり着けます。

ただし現在「人大杉」状態が続いているので専用viewer(フリーソフト)使用推奨。

「2ch viewer」などでぐぐって下さい。私はMacなので「マカエレ。」頼み。

PC用ピューワについては詳しい方からの情報提供をお待ちしております。






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シリーズ:攘夷運動2008【4】へ)


 あーあ。だから言わんこっちゃない。絶妙のタイミングで、怪しげな動きが始まりましたよ。

 今回の中国国内における
「攘夷」活動、まずは聖火リレーで屈辱的な記憶を中国人に焼き付けたフランス相手に、スーパー・カルフールをはじめとするフランス製品ボイコット運動やら抗議デモが先週末から今週月曜日(21日)にかけて発生しました。例によって、ネット上の盛り上がりから現実世界に広がったムーブメントです。

 ただし、
ネット世論をたきつけたのは他ならぬ中共政権。「ダライ集団」とそれを支援する各国政府や西側メディアに激しい非難を繰り返していたことによるものです。当局としてはそうすることで「ダライ集団」との「人民戦争」に勝利すべく国民の気持ちをひとつにし、同時に東トルキスタンや法輪功といった他の危険分子を押さえ込もうと目論んだのでしょう。

 チベット弾圧への非難を原動力とした聖火リレーへの抗議活動、そしてそれを好意的に報じる西側メディアの動きには、
「自由と繁栄の弧」ではありませんが当局は一種の「中国包囲網」めいたものを感じたことでしょう。それゆえ「ダライ集団」や米国やフランス、またBBCやCNNなどに中共政権は悪罵を放ち続け、ネガティブキャンペーンといった呈の集中豪雨的な報道を中国国内で行いました。

 ●チベット独立の動きを許すな。
 ●ダライ集団とそれを支持する連中はこういう不逞な輩。
 ●反中国分子どもから聖火を守れ。
 ●北京五輪を邪魔させるな。

 といった内容のものですが、どうやらやり過ぎてしまったようで。中国国民の「愛国心」に火がつき、それが
排外的ナショナリズムといった「攘夷」運動という形で表面化してしまいました。

 ――――

 馬鹿なことをしたものです。当ブログが再三指摘しているように、漢人には民族的病弊があります。重複を恐れずにいうと、

 ●もんのすごーく高いプライド(世界の中心を自任する中華思想)
 ●もんのすごーく強いトラウマ(中華という自信過剰ゆえに世界の潮流に背を向け、列強から散々喰い物にされたという自業自得)

 というビョーキ、ではなく医学で扱うべき真性の病気が一民族・一人格の中に同居しています。病的なプライドとトラウマの持ち主ですから「馬鹿にされている」「軽くみられている」ということに極めて敏感。それゆえ些細なことで
「辱華事件」などと事あるごとに騒ぎ立てたりします。

 要するに「愛国心」(われこそは中華民族!)という意識がもともと病的に高いのです。それだけでも厄介なのに、ここ十年ばかりの歪んだ形の経済成長で変に勘違いして増長しているうえ、江沢民が中共政権に対する「民」の怒りの鉾先をそらすため、反日風味満点の愛国主義教育を始めてしまいました。

 反日風味は措くとしても、十数年にわたってそれをやったために、いまや30代以下の世代は「愛国」なり「中華のプライド」といったものにいよいよ神経過敏になっています。北京五輪を
「中華民族復興の祭典」と位置づける意識もその一例。

 そういう漢人どもの最もナイーブなところを、過剰報道によって中国当局は著しく,必要以上に刺激してしまったのです。結果は上述した通り。

 ――――

 全国各地で行われたフランスに対する抗議活動にびっくりした中国当局は、薬が効き過ぎたことを知って慌てて抑えにかかりました。

 ●愛国には激情よりも理性が必要。
 ●自らの本分を尽くすことこそ最高の愛国活動だ。

 といった、今度はこれまでとは掌を返したかのような集中豪雨型キャンペーにに打って出ました。いわゆる
「火消しモード」です。

 ところがこの「火消しモード」は隙だらけなため不徹底で十分に機能する訳がない、というのはすでに当ブログで指摘した通りです。

 ●【反仏デモ】実効ある?当局の「火消しモード」は穴だらけ。(2008/04/21)
 ●「名誉市民」でヒートアップ必至!カルフール炎上目前か?・上(2008/04/22)

 「穴だらけ」な理由は2つあります。まずは
「ダライ集団」への非難はやめられないということ。「ダライ集団」を叩く以上、それを支援する外国政府や西側メディアも指弾しなければなりません。当然ながら従来通りの「敵視報道」が続けられます。

 さらに、これは今回の「攘夷」の特徴のひとつですが、国民をヒートアップさせる
「燃料」が常に海外から投下されるということです。

 例えば2005年春の反日騒動においては、騒動そのものが異なる政治勢力の主導権争いを反映したものだけに、「燃料」は基本的に中国国内メディアから供給され続けました。

 ところが今回は、ダライ・ラマ十四世の発言や外国政府との接触、また聖火リレーに対する抗議活動や北京五輪開会式ボイコットの動き、また西側メディアによる「偏向報道」など、「中共史観」に毒されている(あるいは中国共産党の私兵・人民解放軍の武力を背景に強制的に押しつけられ,刷り込まれている)中国国民を激昂させるネタは常に海外発のものです。

 そして、そうした「燃料」の多くは
中共政権にコントロールできないものばかり。

 ――――

 国内での活動を封じ込めつつ、もっぱら海外で抗議活動を展開して騒がせる、という考えが中国当局にあるのかどうかは知りませんが、これはどうみても空論であり暴挙です。ええ、痴人の夢。なぜかといえばネットの普及したこの時代に、海外の動きはいくら当局が管制しても最後には中国国内へとフィードバックされます。さすれば国内世論も刺激されることは必定。

 すでに実例がありますね。国内での混乱を防ぐべく、海外在住の華僑や留学生に欧米で抗議活動を行わせました。これは中国当局の重大な失点です。マニュアルが事前配布されたなどという状況証拠からみて官製デモに近いものだと思われますが、中国国内メディアはこのニュースに箝口令を敷くどころか、逆にこぞって賞讃し、英雄視する形の報道で足並みを揃えました。中国国民が刺激されない訳がありません。

 フランスの芸術的な「微笑み特使外交」については前々回及び前回にて紹介した通りですが、これもパリ市によるダライ・ラマ十四世と人権活動家・胡佳を名誉市民に認定するという決議でちゃぶ台がひっくり返されてしまいました。

 報道によると中国当局は予見されていたこの事態に際し、中国からも特使を派遣するなどして中仏関係の悪化を防ごうとしているようです。フランスも同様ですから、政府間の関係に重大な亀裂が走ることはないでしょう。

 しかし、
国民感情となれば別です。フランスの特使がパリでの聖火リレーで「ヒロイン」「天使」と中国国内で賞讃された車椅子聖火ランナー・金晶にサルコジ大統領からの親書を手渡しました。しかしこの親書は金晶への賞讃と敬意に満ちた措辞ではあったものの、謝罪の言葉が全くなかったことは当ブログにて指摘した通りです。

 そしてそのことを、親書をもらった当日に金晶自身が、

「遺憾遺憾というばかりで、謝罪の言葉がひとつもなかったのは残念」

 と語ったと中国国内メディアは報じています。不徹底で穴だらけの当局による「火消しモード」は、外圧に対する感情的反発の温度差という点で中国国内メディアの足並みを崩し始めているのかも知れません。

 ――――

 あるいは「火消しを主眼としつつも国民の愛国心維持を図る」という狙いが胡錦涛政権にあるのでしょうか。しかしこれは机上の空論ともいうべき高等戦術であり、実際にその企てが機能していないことは、金晶の「謝罪の言葉がない」報道やパリ市の「名誉市民」認定報道、そしてそれらに対するネットユーザーの反応から中国国民の反仏感情が好転していないことを示しています。

 そもそも聖火リレーでは「天使」「ヒロイン」と讃えられた金晶自体が、フランス製品ボイコット運動が開始された当初、それに否定的な発言をしたことでネット世論に売国奴扱いされています。それを踏まえてのことでしょうが、

「フランス大統領から親書までもらったというのに謝罪の言葉がないなんてツケ上がるなボケ」

 といった金晶批判の声もネット上で散見されました。ネット世論が先導しているかの観がある中国国民の感情は目下、非常に微妙な状態にあります。

 そうしたなか、中国国内ではいま、
海外在住の華僑や留学生に国旗(五星紅旗)を贈るとかいう運動が活発化しています。抗議活動を展開する上で海外で国旗の数が足りず困っているため応援しよう、というものです。海外での騒ぎに国内が刺激され、同調しつつあることを示す事例といってもいいでしょう。ただし、この活動にはNGが出ていませんから、中国当局は「これは許容範囲」と考えているものと思われます。

 この「国旗を贈ろう」運動が国内のガス抜きになるだろう、という考えも当初はあったのかも知れませんが、本気でそう考えているなら余りに甘すぎる認識ということになるでしょう。国民感情はその程度で大人しくなるようなものではありません。

 そして冒頭の、

「絶妙のタイミングで、怪しげな動きが始まりましたよ」

 ということになるのです。

 ――――

 タイトルに掲げた通り、大手ポータルのニュースサイトで
「ネット署名活動」が一斉に開始されました。私は今日4月23日に気付いたのですが、確認した限りでは、

 ●CNNを五輪報道から締め出す運動(網易、捜狐、新浪網)
 ●北京五輪支持・聖火リレーを守れ運動(捜狐、新浪網、人民網、環球網)

 の2つの動きがあります。そりゃそうです。不徹底な「火消しモード」と「煽り」が同居する情報環境のなか、国旗を海外の同胞に贈るだけでは中国国民は到底満足できないでしょう。「人民網」は党中央機関紙『人民日報』のウェブサイトですから、あるいは当局からもゴーサインが出ているのかも知れません。ちなみに「北京五輪支持・聖火リレーを守れ署名活動」には「反分裂」(チベット独立反対)の意思表示も含まれている模様。

 しかし、もし当局承知の上であれば、これは非常に危険な選択を行ったことになります。 例えば「網易」の「反CNN署名活動」のページには、

「愛国熱情一触即発」

 という大見出しが躍っています。「捜狐」の「北京五輪支持・聖火リレーを守れ署名活動」には、

「尊厳が踏みにじられたとき、中国人はもはや沈黙してはいられない」

 との文字が。剣呑というほかありません。

 http://qm.news.163.com/
 http://news.sohu.com/s2008/beijingolympic/
 http://news.sohu.com/s2008/dizhicnn/
 http://hi.news.sina.com.cn/news/anticnn/index.php?dpc=1
 http://hi.news.sina.com.cn/news/fanfenlie/index.php?dpc=1
 http://2008.people.com.cn/GB/22192/120377/index.html
 http://bbs.huanqiu.com/read.php?tid=12600

 きっと他にもあることでしょう。

  ――――

 「ネット署名活動」ならバーチャル世界のことだから。……と多寡をくくれるかも知れませんが、
反日騒動が示したように、これが何らかの出来事をきっかけに「街頭署名活動」という現実世界での活動へと発展する可能性は高いのです。

 そして
「街頭署名」が始まってしまうと、物の弾みでプチ暴動やデモにへと容易に「進化」する危険があることもこれまた反日騒動が証明した通りで、改めて強調する必要はないでしょう。

 そうでなくてもすでに国民感情はヒートアップしており、「理性的な愛国を」で大人しくなるようなレベルではありません。

 「理性的な愛国を」が機能しないために「ネット署名」が一斉に開始されたのかも知れませんが、カルフールかどうかはともかくフランスが再び標的にされる可能性がありますし、「反CNN」そして政府高官がダライ・ラマ十四世と会見した上で中国批判を行ったという流れから、米国系のケンタッキーやウォルマートが狙われるということも考えられます。

 そして
「反日」ということになります。どこのサイトだったか、「北京五輪支持・聖火リレーを守れ署名活動」のページで、

「聖火リレーにはあと2つ、越えねばならない難所がある」

 という意味のことが書かれていました。豪州と日本ですね。もし長野の聖火リレーが何らかの形で「荒れた」と認識されれば、すでに過熱気味な中国国民の感情が「反日」という新たな、しかも最大のターゲットを得て一気に爆発しかねません。

 署名活動を展開している上記URLのどこに飛んでも真っ赤な激情の炎がメラメラしているといった観があります。ビジュアルだけで何やら漢人どもの怨念が渦巻いているような印象。



 国内向けには「自重しろ」と呼びかけつつも、海外にいる同胞たちの活躍ぶりを余すところなく報じるというのは燃料投下に等しい作業。この袋の底が抜けているような状態を続けていれば、

「デモはともかく、署名活動くらいならソフトでいいんじゃね?」

「そうだな。海外にいる連中にも負けていられないし」

「頂!」(同意)

「狂頂!」(禿げ同)

 といった空気にネット上の掲示板が染まっていきかねません。「火消しモード」なのかも知れませんが、そういう甘さが今回の当局にはあります。


 ●【反仏デモ】実効ある?当局の「火消しモード」は穴だらけ。(2008/04/21)




 ……と、以前書いた通りの展開にとうとうなってしまいました。しかも日本での聖火リレーを目前に控えたこのタイミングは絶妙というか最悪というか。胡錦涛訪日の準備に忙しい中国外交部あたりはこの新事態に憤慨しているかも知れませんが、結局、対日外交よりも国民感情を優先させなければ危ないという認識に国家指導部が立ち至ったのではないかと思います。

 これで仮に長野が荒れて、そのリアクションが中国国内で派手に爆発すればもうこれは天命というしかないでしょう。

 以て瞑すべし。


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「上」の続き)


 先週末に全国各地で展開された「攘夷」活動が不完全燃焼であれば、不満のガスはいまだ充満状態。市民は燃料次第で再び、……いや今度は本格的に荒れまくることでしょう。問題はそれに見合う燃料があるか、どうかです。

 目下のところ「攘夷」の鉾先は第一にフランス,続いて米国(CNN)に向けられており、そこにドイツが加わりそうな様子。そして敵役としては
真打ちである日本もそろそろ、という気配が漂い始めているところです。

 しかしフランスはとりあえず「微笑み特使外交」によって華麗に身をかわすことに成功。……といいたいところですが、そうはいきません。もんのすごーい追加燃料が投下されてしまいました。



 ●ダライ・ラマは「名誉市民」=中国をさらに刺激か-パリ市議会(時事ドットコム 2008/04/22/06:44)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2008042200111

 【パリ21日時事】パリ市議会は21日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世(72)を名誉市民にするとのドラノエ市長(社会党)の提案を可決した。同時に、国家政権転覆扇動罪で今月3日に実刑判決を受けた中国の著名な人権活動家、胡佳氏(34)を名誉市民とすることも承認した。

 北京五輪聖火リレーへの激しい妨害が起きたパリで、市議会がチベットと人権問題で中国批判の姿勢を鮮明にしたことにより、中国で高まっている反仏感情をさらに刺激しそうだ。




 超A級の極上燃料ではありませんか(笑)。フランス政府による迅速かつ華麗な特使派遣も実はこれが念頭にあったのかも知れませんが、この一報で台無しですね。このニュース、遅かれ早かれ中国国内でも流れるでしょうから、これからは当分、平日でもカルフールには近寄れなくなることは必至です。

 ダライ・ラマ十四世といえばそろそろ米国高官と会見するタイミングですから、もしかするとウォルマートも血祭りに?

 ――――

 「攘夷」で燃える中国人民、どうやら差し当たっての火種探しには苦労しなくて済みそうですね。でも週末には長野で聖火リレーが控えている訳ですから、一応現時点での「反日」気運についてもみておきましょう。

 何もしなくても「日本」というだけで糞青ども(自称愛国者の反日信者)をはじめ中国人民は鮮やかに反応してくれることでしょうけど(笑)、一応チェック。

 まずは
聖火リレーを「日本にやらせる」ということ自体がネット世論にとっては不満なようです(笑)。さすがは真打ち、欧米との格の違いをまざまざと感じさせます。……その「何で日本でやらせるんだ」という聖火リレーについて、出発地点に予定されていた善光寺が辞退したことにもイラっときています。

 さらに例の「青服」、いわゆる
聖火護衛隊に冷たいことにも怒っている模様です。同じ感情が一部のメディアでも共有されているらしく、

「関係各国は聖火の護衛ランナーがオリンピックの慣例であることを理解してくれるよう望む」

 という声明(関係各国=日本・豪州)を外交部報道官が出した際、この記事のタイトルを故意にいじって、

「日本が護衛ランナーの参加を拒絶、警備の全権委譲を要求」

 と日本限定で、しかも悪し様な標題に仕立てたメディアがありました。そのタイトルにネット世論が怒りのボルテージが改めて高まるという香ばしい展開がみられました。

 そしていま現在の焦点はやはりお江戸御自慢の町火消し。……ではなく消火リレーが大得意な
「国境なき記者団」

「長野でも何かやる」

 との宣言がすでに出ています。そのこと自体は日本と関係ないのですが、「青服」冷遇との絡みがあります。

「あの小賢しい倭人どものことだ。聖火を危ない目に遭わせて、中国の面子を潰そうとするに違いない」

 という「確信」が早くも成立している模様。当日に団体で長野に駆けつける漢人どもにも、たぶん似たような感情があることでしょう。

 要するに早くも身構えているといったところですが、聖火リレーでトラブル発生となれば中国国内でも燎原の火の如き状況となる可能性があります。

 ――――

 胡錦涛・国家主席の訪日を控えているために「燎原の火」となることだけは避けたい中国当局ですが、その露払いとして来日した楊潔チ・外相が高村外相、福田首相をはじめ与野党の政治家と会見するたびに
「チベット」「チベット」と言い立てられて散々な目に遭っています。

 ●「アジアで注文付けるのは日本だけ」・チベット問題で中国外相(NIKKEI NET 2008/04/18/16:03)
 ●チベット問題聞く耳なし、中国外相激しい批判に終始(YOMIURI ONLINE 2008/04/19/01:36)





 楊潔チにしてみればこんな風↑に日本をイメージしていたかも知れませんから、福田政権はもちろん、民主、社民,共産党を含め正に「飼い犬に手を咬まれた」という苦々しさとともに、何て嫌な連中だと思ったことでしょう。その感情がが何らかの作用を果たす可能性も一応,指摘しておきます(笑)。

 それから糞青レベルでは気付いていないかも知れませんが、先日ダライ・ラマ十四世が訪米途上で成田に立ち寄った際、前首相夫人である安倍昭恵さんが会見したことに中国政府はムカついていると私は思います。これまで政略の必要から持ち上げ続けてきた相手だけに「憎さ百倍」なのではないかと。

 ●空戦機動だ!安倍前首相夫人がダライ・ラマと会談へ。 (2008/04/10)

 安倍晋三・前首相自身も何やらフフン♪には到底できそうにない良い仕事をしているようですよ。



 ●独首相、米の温暖化対策に懐疑的見解…安倍前首相と会談(YOMIURI ONLINE 2008/04/21/11:06)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080421-OYT1T00342.htm

 【ハノーバー(ドイツ北部)=中谷和義】安倍前首相は20日、福田首相の特使としてドイツを訪れ、ハノーバーでメルケル独首相と会談、地球温暖化が主要テーマとなる北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)への協力を呼びかける福田首相の親書を手渡した。
(中略)

 また、メルケル首相は、胡錦濤・中国国家主席の5月の訪日に触れ、中国政府とチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の対話を「日本側が提起してはどうか」と提案、日本政府の役割に期待を示した。

 ――――

 ●米温暖化策に懐疑的 安倍特使に独首相(MSN産経ニュース 2008/04/21/08:58)
 http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080421/erp0804210857006-n1.htm

 安倍晋三前首相(首相特使)は20日、ドイツ・ハノーバーを訪問し、同国のメルケル首相と会談した。メルケル首相は安倍氏に対し、ブッシュ米大統領が発表した地球温暖化対策に懐疑的な見方を表明した。
(中略)

 中国の胡錦濤国家主席による5月訪日についてメルケル首相は、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と中国首脳による対話実現を日本が促すことに支持を表明した。(共同)




 チベット問題については以前からどちらも積極的な姿勢を示していましたが、特使としての会見の本旨(地球温暖化問題)から外れたこの話題、どちらが切り出したのか気になります。とりあえず、いい感じで盛り上がった様子であることが行間からうかがえますね。

 ともあれ事態は一気に緊迫、中国国内が正に予断を許さない状況になってきました。


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 いやーお見事としかいいようのない芸を見せてくれました。
フランスの特使派遣です。

 パリでの聖火リレーがチベット弾圧に対する抗議活動で荒れに荒れたのは記憶に新しいところですが、当局の張った
「結界」(報道管制、思想統制、印象操作など)にコロリと騙されてしまった中国国民……というより中国の総人口の9割以上を占める漢族は、チベット弾圧こそ正義と考えているため抗議活動には一大反発。

 欧米メディアの「偏向報道と偏見」(笑)を煽り立てる当局の宣伝もあって、とうとう中国国内各地に多数出店しているフランス系スーパー・カルフールに対するボイコットを呼びかける声が例によってネット上であがり、19日(土)、20日(日)とデモを含む抗議活動が全国で展開されました。

 2005年の反日騒動以来といえる規模と内容をもつ春の嵐です。香港の最大手紙『蘋果日報』をはじめ各紙の報道を総合すると、20日に抗議行動が行われたのは
北京、上海、青島、済南、ハルピン、大連、合肥、武漢、西安、昆明、広州、深センの12都市。市内に複数出店している街もありますし、他に武警(武装警察=内乱鎮圧用の準軍事組織)で固めた北京のフランス大使館前を抗議の車列が通ったりしたようです。

 とはいえ月曜からは社会人は仕事、学生は授業があるのでデモはまずあるまい。……と私は楽観視していたらあにはからんや。今朝(2008/04/22)の香港紙『蘋果日報』及び『東方日報』の報道によると、その月曜である昨日(21日)も全国9カ所でカルフール前での抗議行動が行われ、このうち河南省・鄭州市の店ではちょっと荒れたらしくで臨時休業に追い込まれた模様。

 ニートや失業者が主役だったのかどうか詳細は不明ですが、土日の勢いをひきずって月曜日にもデモが実施されたというのは何やら剣呑ではありませんか。という訳でこの問題に関するエントリーは
【攘夷2008】というカテゴリーに分類することにしました(笑)。

 中国ですから「義和団」でもよかったのですが、今回の動きはひょっとすると
「倒幕」の端緒となりかねない要素を含んでいるため「攘夷」にこだわった次第。また、「中共人」という「異民族」による統治に対する庶民の反発、つまり中国社会最大の対立軸といえる「官vs民」フラグが立つかも知れない、という含みもあります。

 ――――

 ともあれ中国人の目の敵となってしまったおフランスですが、植民地をたくさん持っていた時代からの蓄積があるので危機管理はお手のものなのでしょう。まずは前回報じたように、在北京のフランス大使に巧みな答弁をさせて事態が深刻化するのを防ぐ一方、すぐさま本国から特使を派遣。

 中国人にとって屈辱の記憶となったパリの聖火リレーといえば、身を挺してトーチが奪われるのを防いだとされて正義のヒロインとなった観のある車椅子の聖火ランナー・金晶がもてはやされていますが、パリからの特使は直接上海入りして中国に着くなりその金晶のもとへ直行。彼女の「勇気ある行動」(襲撃者は中国当局の工作員で要するに自作自演という説もあります)に敬意を表するとともに、サルコジ大頭領からの親書を手渡すという実に心憎いアクションをみせました。

 この親書の内容がまたお上手で、大統領は金晶が襲撃された事件に
愕然とするとともにその卑劣な行為に義憤を発したとのこと。そして金晶がその場でとった勇気ある行動に敬意を表する一方で、「あなたの行為は祖国の栄誉」と賞讃。また事件を激しく非難した上で「中国人民の怒りは理解できる」とし、襲撃者は「ごく少数」の輩によるものゆえ中仏両国人民の友好関係にはヒビが入らないと確信している、と表明しました。

 そして親書の末尾には是非フランスに招待したいというプレゼント付き。国内の混乱悪化はどうしても避けるべく
「火消しモード」に入っている中国当局はさっそくこれにとびつき、

「来るのが遅くなったお見舞いではあるが、やはり歓迎に値する」

 と国営の新華社通信が美談に仕立て上げました。さすがに欧州はしたたかなものだ、私は感嘆してしまいました。中国当局が気付いているかどうかは知りませんが、フランス大統領からのこの親書には
謝罪を示す言葉が全く登場しないのです。いやーお見事(笑)。

 ――――

 これが19世紀であれば軍艦を派遣するところでしょうが、時代は21世紀ゆえ平和的な微笑み特使外交という訳です。一方でフランスのこの迅速なリアクションからは、当ブログが再三指摘しているように
中国が国際社会において存在感を強めている=いざというとき平然と居直ることのできる条件を持ち始めた、という状況が垣間見えるように思います。

 付言するなら、
19世紀に欧米列強が行った「砲艦外交」をこの21世紀に無理矢理やってしまおう、というのが中国のスタンス。「中華民族の復興」という言葉には「やられた分だけ今度はやり返してやる」というニュアンスが含まれていることは覚えておくべきでしょう。

 中共政権によるチベットをはじめとする様々な人権弾圧、そしてそれを国際社会が非難することでドタバタになってしまった聖火リレーは、つまるところ「微笑み特使外交」と「砲艦外交」という
現状認識や価値観が全く異なる者同士の衝突といえるかと思います。時代錯誤を承知の上で横車を通そうという中国は、やはりオリンピックの開催国になるには余りに不適格というほかありません。

 その中共政権に統治される中国国民もまた、武力を背景に押しつけられ叩き込まれる時代錯誤な「中共史観」で煮詰められているため、国際社会、少なくとも先進諸国のデ・ファクト・スタンダードを受け入れるレベルには程遠い民度で据え置かれています。

「私は『香港人』であって、『香港に住んでいる中国人』ではない。大陸の連中と一緒にされては迷惑だ」

 と自己を規定する30~50代の香港人(英国植民地時代の教育を受けて成人した世代)あたりがその「やるせなさ」を最も痛切に感じていることでしょう。

 ――――

 余談に流れてしまったので軌道修正。悪者にされたフランス政府は自国のビジネスに影響が出ぬよう、いま現在で打てるだけの手を打って「反仏」の鎮静化を図ったところです。一方の中国当局は、これまで先頭に立って西側諸国や特定メディアに対し、

 ●偏向報道だ。
 ●中国への偏見だ。
 ●ダライ集団と手を結んだ敵対勢力。

 などと痛烈に悪罵を放ち続けてきました。そうすることで国民の意思統一を図ろうとしたのでしょうが、薬が効き過ぎて排外的ナショナリズム、つまり「攘夷」運動という火の手が全国各地から上がってしまい、慌てて方向転換したばかり。それがいわゆる「火消しモード」で、19日、20日、21日の3日間は国内各メディアを総動員して、

 ●愛国には激情よりも理性が必要。
 ●自らの本分を尽くすことこそ最高の愛国活動だ。

 といった論調の記事をガンガン流すことで事態収拾を試みています(←いまココ)。しかし前回紹介した通り、今回の「火消しモード」は2005年の反日騒動に比べれば明らかに不徹底でスキだらけ。

 とりあえず「ダライ集団」は引き続き断固として指弾していかなければなりません。となると「ダライ集団」を支持する国家やメディアについても手を緩める訳にはいかないため、俯瞰してみると
「火消し」の一方でいまなお「煽り」(燃料投下)が行われているという泥沼状態。いま「新華網」(新華社電子版)をのぞいてみたら、

「来るのが遅くなったお見舞いではあるが、やはり歓迎に値する」

 という例の記事が相変わらずトップニュース。これは「火消し」ですね。では『人民日報』電子版の「人民網」は?と飛んでみたところ、

「たとえ『国際問題化カード』を切っても『チベット独立の夢』を実現することはできない」

 という論評記事がトップに躍っていました。これはどうみても「煽り」でしょう。しかも、たとえ国際社会を敵に回しても断固として許すまじ、という気魄に満ちた戦闘的な標題(笑)。

 「火消しモード」を発動させても「事態鎮静化」の願いはかなえられない、てなところでしょうか。

 ――――

 そもそも「火消し」を必要とするほど荒れているか?ということから考える必要があるように思います。

 ●適当に官製デモを何度か打つ。
 ●民衆を適度に荒れさせる。
 ●国民の不満のガス抜きとなる。
 ●社会から剣呑さがなくなる。終了。

 といったような観測が日本国内でも出ていますけど、胡錦涛政権と中国社会にそんな高等戦術を使えるだけの余裕があるのか?という疑問が第一。……という以前に、土日のデモで参加者は本当に「荒れた」のか?本当は不完全燃焼ではなかったのか?といったあたりを私は疑っています。

 するとうまいことに、コメント欄に「ケイズ」さんが現場映像をタレ込んでくれました(「ケイズ」さん、ありがとうございます)。

 ●中国人によるカルフールボイコットの様子in中国・安徽省(ニコニコ動画 2008/04/20)

 YouTubeでも同じものを観ることができます↓。何とデモ隊が安徽省・合肥市のカルフール店内に乱入した模様。



 日本の新聞報道はこちら。

 ●中国:反仏デモ拡大 カルフールに1000人乱入(毎日jp 2008/04/21/00:59)
 ●1000人が一時店内に乱入 安徽省のカルフール(MSN産経ニュース 2008/04/21/01:26)

 ……で、動画をみた私の感想ですが、
「何これ?全然荒れてないじゃん」です。だって商品が強奪されていませんし、現金が入っているであろうレジが破壊されてもいません。焼き打ちの気配もなし。これでは暴れた内に入らないでしょう。

 当ブログが過去に紹介してきた数々の都市暴動、それに2005年春の反日騒動を思い出してみると、この種の騒乱には
「破壊・略奪・放火」の三種の神器はまず欠かせないところ。それなのに乱入してシュプレヒコールを叫ぶだけ、というのは中国基準に照らせば余りに平和的です(笑)。サクラを動員したヤラセ映像?という可能性すら考えてしまいます。


「下」に続く)




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 一昨日,昨日と中国は反仏騒動で盛り上がっていたようです。具体的にはフランス系スーパー・カルフール前に屯集して騒ぐといったものですが、今日(4月21日)はたぶん静かな一日になることでしょう。

 それはなぜかといえばこれは簡単な話。中国当局による、

「愛国は感情に任せず理性的に。自らの本分を尽くすことこそ最高の愛国活動だ」

 といった類の論評記事の集中豪雨、いわゆる「火消しモード」が機能してくるから。……ではありません。
月曜日だからです。学生も社会人も平日は忙しいですから、土日か祝祭日くらいしか騒げません。

 これは2005年春の反日騒動のときもそうでした。相争っていた政治勢力同士が、

「おい、反日反日って言ってるけど、これって要するに毎週末に国内各地でデモが行われているってことだよな」

 と気付き、これが反政府運動のようなものに転化してしまったらたまったもんじゃない、ということで両者とも慌てて喧嘩するのをやめて、デモなどの行為を急ぎ全力で潰しにかかりました。双方とも「中共人」で、独裁体制だからこそ特権にありつける今の自分がいる、という点では認識が一致していたからです。

 もっとも一時的な手打ちにはなりましたが、妥協によって棚上げされた喧嘩は不完全燃焼。その結果、反日で胡錦涛政権を揺さぶった対外強硬派が納得できぬまま改めて策動し、政治状況が胡錦涛にとってかなり危険な段階に入りました。そこで起きたのがあの「呉儀ドタキャン事件」だろうと私は考えています。

 ――――

 要するに平日にも反仏デモなどが頻発するようになると亡国の兆。まあ亡国は大袈裟だとしても、社会がガタガタになるとはいえるでしょう。これはテーマが反仏でも反米でも反日でもいいのですが、職場放棄や授業ボイコットが広範に実施されなければ平日の昼間にデモが起きたりはしません。暮れなずむ広場に退勤後や放課後の野郎どもが集まってきて、

「それじゃカルフール前で一汗かこうか」

「じゃあおれ、今日はトリコロール燃やす係ね」

 なんてケースは、さすがにちょっと考えにくいでしょう(笑)。平日に相当規模のデモが起きているとすれば、それが純粋な学生運動でなければその都市の経済活動に大打撃を与えることになります。まあ実際は、たとえ学生限定のデモとしても平日の昼間に各大学がそれをやれば街はもうお祭り気分で半ば無秩序状態でしたけど。……1989年5月中旬、天安門事件という惨劇が半月ばかり後に発生するとは夢にも思わずに民主化運動が盛り上がっていたころの上海の話です。

 だから土日でない今日は静かだろうという見当がつくのですが、「火消しモード」に入った当局の、

「自らの本分に尽くすのが最大の愛国活動」

 という言い方は考えてみるとなかなか含みのあるものです。なるほど社会人なら仕事、学生なら勉強に集中しろということでしょうが、じゃあニート(たくさんいるのですこれが)の本分て何?職にあぶれた出稼ぎ農民や失業者が尽くすべきことって何?……とそれぞれ自問自答して「デモでもやろか」ということになったらシャレになりませんね。

 余太話はともかく。これから金曜日までの間に当局の「火消し」が奏功するか、それとも新たな「燃料」が投下されて週末に再び燃え上がるか、という微妙な時期に入ったことは確かです。その週末には長野での聖火リレーが予定されていて、これが別口の極上燃料となる可能性もあります。相手が日本となればもう脊髄反射で中国人民の反発度が対フランスの比でないことは言うまでもありません。

 ――――

 ところで、本当に当局は「火消しモード」に入ったのかどうか。

「愛国は感情に任せず理性的に。自らの本分を尽くすことこそ最高の愛国活動だ」

 という類の論評は確かに『人民日報』や新華社をはじめネットでは各大手ポータルのニュースサイトのトップに土曜日(19日)から並ぶようになりましたから、当局としては「火消しモード」なんでしょうけど、実効がどれほどあるかは甚だ疑わしいところです。

 まずは説得力がありません。CNNやBBCをはじめ欧米メディアに対して散々悪態をついてきた当の中国政府が、突如掌を返して「理性的に」って説き始めれば最初の反応はおそらく
「お前が言うか!」。「自らの本分を尽くすことこそ」云々とはこれまた白々しい物言いです。

 反日騒動と違って、今回は中国当局が先頭に立ってあちこちに放火して回りつつ煽りに煽ってきましたから、

「国家や社会の安定を脅かすような行動は許されない」

 といったような、暗示であれデモをやれば容赦しないぞ、という態度まで当局自身が踏み込んでいません。多少は後ろめたさを感じているのでしょうか(笑)。

 ――――

 「火消しモード」といいつつも、の別の実例は、海外で行われている華僑などによるデモの報じ方です。『人民日報』の電子版である「人民網」などでは見事だ立派だと英雄視。何でもCNNの建物を華僑5000人が包囲したとか、ベルリンで存在感を示したとか、ロンドンで頑張ったとか、パリでは留学生のひとりがフランス語の演説で近くにいたフランス人たちをも魅了した、といったテイストの記事ばかり。

 国内向けには「自重しろ」と呼びかけつつも、海外にいる同胞たちの活躍ぶりを余すところなく報じるというのは燃料投下に等しい作業。この袋の底が抜けているような状態を続けていれば、

「デモはともかく、署名活動くらいならソフトでいいんじゃね?」

「そうだな。海外にいる連中にも負けていられないし」

「頂!」(同意)

「狂頂!」(禿げ同)

 といった空気にネット上の掲示板が染まっていきかねません。「火消しモード」なのかも知れませんが、そういう甘さが今回の当局にはあります。「火消し」記事を前面に出す一方で、CNNなど西側メディアの「偏向報道」を批判する記事も相変わらずどんどん出ています。上述したように、その「偏向報道」の抗議に立ち上がった欧米在住の華僑や留学生を手放しで賞讃してもいます。

 さらに、土曜日までに出たボイコット賛成記事やボイコット自重を呼びかけた著名人を弾劾する記事、これらがいまでも「新華網」のトップページや各記事に囲みでついている「ピックアップ記事」の中に並んでいたりします。本来なら削除するなり目立つ場所から外したりすべきところです。

 中国当局にとっては自分がやったことの後始末をしているつもりかも知れませんが、同時に新たな火種をまいているというのはどういうことでしょう。どうも不徹底。特に海外の華僑や留学生たちによるデモ報道と国内向けの「自重せよ」「理性的に」といった論評の温度差は、いざというときに導火線となる恐れがあります。

 ――――

 ちょっとわからないのは、反仏活動としてカルフールいじめが行われている一方、CNNに怒っている中国国民は何か具体的な行動をしているのか、報道では確認できないところです。ケンタッキーが標的、というニュースは一時流れましたけど、土日に出てきた名前はカルフールとフランス大使館ばかり。米国向けには何か活動が展開されているのかどうか、御存知の方は是非ご一報下さい。m(__)m

 叩かれているフランスの方は上手に立ち回っています。パリでの聖火リレーについて在北京のフランス大使が記者団を前に
「遺憾だ」と明言しましたが、これは車椅子の聖火ランナーからトーチを奪おうとしたような暴力的な行為についてのもの。そして、怒りを募らせる中国国民に対し謝罪する気配すら示しませんでした。

 「命がけで聖火を守った」と中国ではヒロイン扱いされているその車椅子の聖火ランナー・金晶についても、「胸が痛む」「遺憾だ」「機会があれば訪ねたい」とは言いつつも、やはり謝罪の言葉は一切なし。

 また、「チベットは中国の一部」という中国側の見解に同意を示しつつも、それ以上踏み込んでいませんから、人権弾圧に批判的なスタンスを改めた形跡は確認できません。さらにパリ市が聖火リレー当日、チベット独立を支持するかの如き垂れ幕を市庁舎に掲げたことについては、

「あれは市が勝手にやっていることで国としては全く関知していないし、市のああいうことに国が介入できないように憲法がなっている」

 と堂々と言ってのける始末(笑)。
「フランスは北京五輪をボイコットしたりしない」とも語ったものの、「サルコジ大統領は開幕式に出席する」とは最後まで言いませんでした。ちなみにダライ・ラマ十四世の悪口も出ていません。

 要するに、カルフールが標的にされたことには動揺し手当をしているかも知れませんが、フランスの対中外交は従来の路線と何も変わってはいないのです。ネット上でこのあたりを叩いて反仏運動の「燃料」にする論客が出てくれば、今度の週末にもカルフール前に武装警察が人の壁を作ることになるでしょうけど。

 ――――

 ついでに欧米で行われたデモなどについての反応ですが、香港の親中紙『大公報』電子版(2008/04/20)が、

「主要メディアの論調には未だに変化がみられない」

 と切歯扼腕していましたから、
「全く困った連中だ。やれやれ」扱いをされたのでしょう。

 また香港紙『明報』(2008/04/21)によると、CNNの報道に抗議し中国への偏見を捨てよと要求した在米中国人のデモについて、AP通信は「偏見」とわざわざカッコ付きで表現。つまり「奴らにとっての偏見」(米国のモノサシで測れば偏見ではない)というニュアンスで、やはり
「こいつらの価値観ときたら全く。やれやれ」といったところなのではないかと(笑)。

 要するに中国国内では英雄視された漢人どもの示威活動は、米国でもヨーロッパでも実を結ばなかったことになります。……というのは至極当然な話で、中国国内でのみ武力を背景に通用しているまことにローカルかつ言語道断な「中共史観」を、事もあろうに欧米にも押しつけようとしたのですから何をか言わんやであります。

 なぜ聖火リレーがあれほどの抗議活動に遭ったかという基本点からして認識が全く異なっているのですから、連中のやったデモは……好意を込めていうならば、

「史上まれにみる大胆かつ極めて野心的な試み」

 とでもいうことになるでしょう(笑)。中国が国際社会においては、まだ前髪を落としていない
「元服前」国家であることが改めて浮き彫りにされた格好です。

 半人前の国にオリンピックを任せちゃいけません。しかも中国は本質的に大躍進や文化大革命のころから全く変わっていないのです。利権に目がくらんだのか認識が甘かったのか、
「2008年までには元服を済ませて、一人前の国になっているだろう」との判断を無理に通したIOCは全員切腹。……ではなくて士籍剥奪のうえ斬首。

 ――――

 そのうちダライ・ラマ十四世がパリの名誉市民になったというニュースも届くのでしょうか。実現すればまたとない点火装置になることは必定。

 中国としては胡錦涛来日を控えて日中関係の悪化は望んでいないでしょうが、露払いに訪日した楊潔チ外相が散々な目に遭ったことに加え、善光寺が聖火リレーの出発点となることを辞退し、例の「青服」による警備をも拒否したことで中国側はもう水面下でピリピリしている状態です。

 そこへさらに追い撃ちとばかりに、中共政権を神経過敏にさせている
消火リレーのプロたる「国境なき記者団」も長野狙いで来日するようですから、日本からもオクタン価の高い燃料が提供されそうです。

 ともあれ、昨日(20日)レベルのデモが平日にも展開されるようになると……というのがひとつの目安。本当はその段階に至っても中国に残っているようでは危ないのですが。


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 あーあ、始まっちゃったよ。……という口から出る感想とは裏腹に、戦慄するような感覚にとらわれています。武者震いかも知れません。

 当ブログのいう「変質」がいま、正に始まろうとしています。

 それも最悪の形で。

 ――――

 「変質」というのはチベット問題が勃発し、中国当局が事件を巧みに隠蔽・処理して事態収拾を進めている時点で、

「可能性は低いながらも、そのフォーメーションを崩すとすれば、これ」

 として、「流出」とともに挙げたものです。「流出」というのは要するに中共政権による流血の弾圧を余すところなく捉えた映像が海外で公開される、というもの。1989年の天安門事件のようなシーンが流れれば国際世論も本腰を入れるだろうと考えたのです(それで中国が態度を改めるかどうかは、別として)。

 「変質」とは、事件の当事者がチベット人から漢族へと転じるものです。中国の総人口の9割以上を占める圧倒的多数派の漢族が治安部隊と対峙し、ひいては激突となれば、圧倒的多数派が弾圧される側に回るだけに、この官民衝突はネットなどを媒介として全国各地に飛び火する可能性があります。

 中国社会における最も深刻な対立軸の
「官vs民」が著しく刺激されるからです。しかも現状は物価高でインフレ懸念が強まる一方で株価は続落続落、そして何よりも超格差社会。

 さらに「官vs民」の具体的表現である党幹部による汚職や特権ビジネスの蔓延、小役人の横暴などをごく日常的に目にしていますから、過去の都市暴動の数々がそうであったように、些細なことを発端に火の手が上がる可能性があります。

 私はその「些細なこと」について、当局の張った「結界」による宣伝活動で漢族によるチベット人排斥運動のようなものが始まり、それを収拾すべく出動してきた治安部隊と漢族が衝突して……といったシナリオを漠然と考えていたのですが、現実は予想の遥か斜め上。

 漢人どもはチベット人相手ではなく、何とフランスと米国に対して宣戦布告してしまいました。中国国内に多数出店しているフランス系スーパー・カルフールと米国系であるケンタッキーに対するボイコット運動です。同じ米国系でもマクドナルドやコカコーラでないのは、両社が北京五輪のスポンサーだからなのでしょうか。

 ――――

 早くも写真のような状況となっております。……ええ、2005年春の反日騒動のような「愛国無罪」モードに入りそうな気配です。

 「義和団」アゲインというべきかも知れません。中国国内の論調からすると現在の米仏両国に加え、ドイツが目標にされる可能性も高いからです。メルケル首相がダライ・ラマ十四世との再会見を望んでいるとか、ドイツのメディアが中国にとって不利益となるデマを流したとか、そういったことでネット世論の鉾先がドイツにも向きつつあります。

 前回も再三強調したように、
原因は中共政権の小細工にあります。

 聖火リレーが行く先々で手荒い「歓迎」を受けて、中国は自業自得ながら開催国としての面子を丸潰れにされました。国民に対し報道管制で隠蔽しきれるレベルではない、という判断がたぶん下されたのでしょう。中国当局は逆に「妨害される聖火リレー」報道を自らに都合良く垂れ流し、当然ながらその余勢でフランスや米国の悪口を繰り返しました。

 パリがダライ・ラマ十四世を名誉市民にしようとする動きがあることもタイムラグなく報じられました。さらにCNNが中国に対し不遜な報道を行ったのにしっかり謝罪していない、ということで漢人どもは怒髪衝天。

 30代以下の世代は江沢民の愛国主義教育を受けていますから、もともと
「中国が西欧列強にイジメられている!」というフラグが簡単に立ちやすい属性の持ち主です。フラグが立てば怒髪衝天で「愛国無罪」。悪者も「ダライ集団」という漠然とした手の届かない存在ではなく、カルフールやケンタッキーなら手軽に叩けます。

 という訳で「やっちまえ」なのです。写真のような騒動というか無許可デモのようなものが、すでに各地で発生、拡大しつつある模様。中国国内メディアと香港紙で確認した分だけで北京、西安、青島、武漢、昆明……いやはや。

 ――――

 昨日(4月18日)までの報道を含む中国のネット上の論調をみると、「愛国無罪」つまり
ボイコット派が圧倒的に有利。理性的に冷静にと火消し役を務めた連中は、

「こいつらはいつも肝心なところでヘタる役立たずだ」

 と売国奴扱いにされ、たちまち大破炎上してしまいました。
「不買運動も理性的な選択肢のひとつだ」という論評まで出ています。

 こうやって市民が勢いづいてしまうと、これまで毒々しく海外の政府やメディアに悪罵を放ち続けてきた中国当局も、牽引役だった手前、手綱の締め加減に苦慮せざるを得ません。

 急に掌を返して事態収拾に全力、となれば自らが敵視されかねないのです。

 かといって放置しておけば反日騒動の再来。しかも愛国分子ども(自称)にとって攻撃すべき目標が全国各地にあります。そして米仏ともに、日本とは違って簡単に譲歩したり平謝りしたりはしないお国柄。放置しておけば事態はこじれる一方となるでしょう。

 愛国分子どもの気分としては、歴史問題だの安保理常任理事国入りといったレベルの話ではないのです。パリで再三再四,聖火が消された(中国側が自分で消したのですけど)。おれたち中国の、北京五輪の聖火が消されたのだという強烈かつ屈辱的な映像が脳裏に焼きついています。それもつい先日の出来事。そりゃ「愛国無罪」フラグだって立ちまくりでしょうとも。

 ――――

 とはいえ、愛国分子どもの頭にあるイメージはは中国当局の編集によって都合良く極彩色に描かれた地獄絵図。脳内妄想であって主要国の認識とは真っ向から対立するものです。

 しかも米軍機による中国大使館誤爆事件とは違って今回は襲われる側の米仏にも米仏なりの正義があり、それに則して
「チベット弾圧をやめろ」と非を鳴らしています。さらにいえば、米仏の掲げる価値観こそが主要国における共通認識。中国当局にとって、大使館への投石などが行われるのは避けたいところでしょう。

 ヒートアップした愛国分子どもを、どこかで押さえにかからなければなりません。とはいえネット上の論調をみる限り、現時点では「愛国無罪」の空気が圧倒的優勢。中国当局にとって蟻地獄のような局面が目前に迫っています。愛国分子どもは早くも屯集して騒ぎ始めているのですから、対処が遅れれば強権発動に迫られる可能性は大。

 ところが、中国の総人口の9割以上を占める圧倒的多数派の漢族が治安部隊と対峙し、ひいては激突となれば、圧倒的多数派が弾圧される側に回るだけに、この官民衝突はネットなどを媒介として全国各地に飛び火する可能性があります。中国社会における最も深刻な対立軸の「官vs民」が著しく刺激されるからです。しかも現状は物価高でインフレ懸念が強まる一方で以下同文。

 現地にいないので単純な比較はできませんが、日本から眺めている分には、2005年春よりも中国社会は深刻な危険水域にあります。むしろ、民主化運動~天安門事件を招来する背景となった1988年夏以降の社会状況に似た剣呑さを感じます。経済状況がさらに怪しくなれば(怪しくなる気配なのですが)私は、

「ああ、あのときと同じだ」

 と思うことになるでしょう。

 ――――

 ……御覧の通りです。
事態はすでに「チベット問題」でなくなりつつあることがおわかり頂けるかと思います。「変質」です。「変質」がいま正に始まろうとしています。どういう形で決着するかは、胡錦涛政権の腕次第。



 歴史劇がいま、正に進行しています。私たちはそれをリアルタイムに眺めているのです。




 ……という表現をちょっと前のエントリーにて私は使いました。中共が牙を剥き返り血を浴びつつ「敵」を容赦なく弾圧する、という天安門事件以来の事態を現代中国史に特筆すべきもの、と捉えてのことです。

 中国在住でテレビを観たり現地紙を読んだり、あるいは私のように記事漁りという奇特な趣味を持つ方であれば実感したことでしょうが、「ダライ集団」を徹底的に敵視する報道と、中国政府がこれまでいかにチベットを優遇してきたかという宣伝が、ありとあらゆるメディアを通して中国国内で集中豪雨的に連日続けられました。そのことに辟易しつつ表現しようのない異様さ,違和感を覚えた方も多いかと思います。

 一方で国際社会においては居直り逆ギレする。そういう事態そのものが、天安門事件以来,絶えてなかったものなのです。歴史劇といっていいかと思います。

 ところが、数日前あたりから「歴史劇」が別の作品に差し替えられました。続編とか外伝ではなく、全くの別物。いま私たちがリアルタイムに眺めている中国の状況は、
下手をすると五輪開催が吹っ飛び、最悪の場合、中共政権そのものの致命傷となりかねない性質のものです。

 中国を支配している「中共人」たちは、特権を享受できる現在の独裁統治体制を維持するという目的のためにはどんなこともやってのけます。それが中共一党独裁体制の行動原理。相手が漢族でも決して手を抜かないことは、天安門事件が証明している通りです。

 ――――

 政争が招いた反日騒動のときは相争う両者が予想外の事態拡大に慌てて手打ちをし、足並みを揃えて政治的圧力をかけることで幸いにも収拾することができました。今回はどうでしょう。

 「愛国無罪」に対するメディアの足並みがやや不揃いなのは当時と似ていなくもありませんが、これは各メディアの政治的保護者の主張を反映したものではなく、自分で描いた地獄絵図をみて頭に血が上ってしまった一部メディア、具体的には電波系基地外国際紙である『環球時報』や『国際先駆導報』あたりが積極的に騒いでいるうちに事態がチベット問題から変質し始めているというべきでしょう。

 外圧に対する反応が過敏かどうか、という濃淡の違いを反映している可能性はあります。例えば軍部の若手制服組といった生きのいい対外強硬派が編集内容に口出しできるメディアは、必要以上に騒いでいるかも知れません。ただこれは外圧に対する反発レベルの差に過ぎず、政争ではありません。「ダライ集団」叩きから「列強」への悪罵に至るまで当局のスタンスに大きなブレがないことから、党中央は基本的に一枚岩であることが想像されます。

 愛国分子どもの勢いがまるで違う、ということも指摘しておくべきでしょう。海外の華僑がそれぞれの住む土地で大規模な抗議活動を行うといった状況です。これは一方で、中共政権の手の届かない場所で致命的な何事かが発生しかねないという可能性も意味しています。

 例えば、仮に米国における華僑の抗議行動が警官隊と衝突して華僑に死者が出た、といったことで中国国内の空気が一変しかねません。中国国内の愛国分子に対する武装警察の一発の銃声(威嚇でない実弾射撃)に匹敵するインパクトです。中国国内だけの事態であれば中共政権の行動原理に照らして、

「どーせ中共独裁優先の流れでしょ。武力弾圧で自国民を何人殺したって、独裁を維持できる武力がある限り国際社会からの反発や制裁にも居直るだろうし、居直ることのできる条件もあるし。もちろん、そういう最悪の事態にならないように当局は努力はするだろうけどね」

 ということになるのですが、海外の華僑までが「愛国」の列に加わっていることが今後の展開を読みにくいものにしています。

 ――――

 ところで、標題の件。善光寺が聖火リレーの出発点となることを拒否した一件は中国国内でも速報されています。その記事に付随する掲示板には、「小日本」だの「抵制日貨」(日貨排斥)だのという威勢のいい書き込みが早くも相次いでいます。26日の聖火リレー当日の状況次第では、騒ぎがエスカレートすることでしょう。

 とりあえず、
「反日注意報」を出しておきます。

 中国在住の方々から反感を買うことを承知の上で申し上げましょう。ヲチという乾いた視点から事態を眺めて私が思ったのは、

「さっさと反日にも飛び火しろ糞トンチキが」

 ということです。どうせ火の手が上がるなら、米仏そして独も加わろうかというこのタイミングで反日を始めてもらった方がいいのです。五目寿司状態なら単独でやられるより傷も軽いでしょうし国際協調での対応もききます。米仏独の騒ぎがやや終息してきたところで今度は反日、という最悪のパターンは避けなければなりません。



 もっとも日本でパリやロンドンの騒動の3分の1程度の騒ぎがあればシナの怒りは一気に爆発、日本のマスコミも隠せないでしょうが、在留日本人の事を考えるとシナのテンションが上昇するのを面白がる訳にもいきません。




 というコメントを前回、「90」さんから頂きました。私も全く同じ思いです。いざ騒動となればヲチを行う一方で、2005年春のときのように、自分で集められるだけの情報をこのブログに出して、また各方面からのコメントを募ることで、少しでも現地の方々のお役に立てるよう動くつもりです。

 ただし、ヲチ自体は別です。それが変動要因でない限り、在留邦人の有無や生死は一切無視して現状の把握・分析に努め、次の展開についての見通しを立てることに徹します。

 天気予報と同じなのです。天気図を描いて概況を適確に把握して、明日の天気がどうなるかを予測する。晴れるかも知れないし、雨になるかも知れない。

 仮に「雨」だとしましょう。「明日は雨」という結論へと達する過程で、傘を持っていない人が濡れて風邪をひくかもしれない、タクシー乗り場に行列ができるだろう、なんてことは当然ながら一切考えません。ただし、「雨」という予測に到達すれば、「お出かけの際は傘を持って」という一言を忘れることはないでしょう。

 要するに、私は愛国分子による現在の勢いがあと数日持続するなら、「反日」に飛び火する可能性が高い(不可避)とみています。そこで、

「反日をどうせやるなら早くやれ」

 となります。米仏独と一緒くたの五目寿司状態であれば、エネルギーが分散されるだけ、日本と日本人の被害も局限可能。この点からみれば「善光寺」だけではインパクト不足。速やかなさらなる「燃料」投下が望まれるところです。

  ――――

 基本的には長野での聖火リレーまで予断を許さない状況が続くことと思われますが、最大のカギはすでに動き始めた新事態に中共政権がどう対処するかです。今後数日間でネット上の掲示板を含むメディアにおいて、「ボイコット」派を押さえ込めそうな巻き返しの気配がどれだけ出てくるかにまず注目したいと思います。

 余談になりますが、今回の聖火リレーをめぐる数々のトラブルは「自由と繁栄の弧」を地で行くようなものですね。一種の「中国包囲網」ですから、中共政権がナショナリズムを強調して国民の意思統一を図ろうとしたのも無理のないところかも知れません。ただし薬が効き過ぎて「義和団」めいてきてしまっていますけど、そこはやはり民度ということなのでしょうか。


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(シリーズ:攘夷運動2008【1】)


 タイトルに迷いが出ています(笑)。むろん、表面的な事象に対して先行き不透明感が強まってきたからに他なりません。

 それが事態の質的転換、つまり当ブログのいう
「変質」を招来するものかどうかは、見極めに多少時間がかかるかも知れません。現時点ですでに動揺が始まっているのですが、オーストラリアや長野での聖火リレーという変動要因があるため、それを見届けないと結論を出しにくいように思います。

 何はともあれ、張本人が中共政権であることは間違いありません。

 ――――

 3月10日にチベット自治区の僧侶らが抗議行動を行いました。これに対し、翌11日には外交部報道官が定例記者会見にて早くも事件の背後に
「ダライ集団」がいると決めつけています。中国当局はこの時点で「チベット問題」にどう対処するか肚を固めていたものと思われます。

 事件が国際的に注目されたのは3月14日のラサにおける騒乱です。中国当局はこれに対し
「3.14事件」という犯罪めいた呼称を用いるとともに「人民戦争」という大袈裟な言葉で、この問題を「生きるか死ぬかの闘争」だと規定しました。全力を挙げて弾圧するという意思表示です。

 そこからはマニュアル通り。現地と中国全土に報道管制及び印象操作・思想教育といった
「結界」を張り巡らし、当局の正統性と「ダライ集団」がいかに暴虐であるかを大いに強調しました。国際世論に耳を傾けることなく、迅速かつただひたすらに「結界」の圧力を強めていったのです。

 ●【チベット】相変わらずな中共政権。処方箋ある?(2008/03/16)
 ●【チベット】人民戦争だ!当局は「六四モード」突入。・上下(2008/03/17)
 ●【チベット】「六四モード」を崩すには?【中間報告】(2008/03/22)

 この「結界」を張った段階でたぶん中国当局にとっても予想外だったのは、1989年の天安門事件(六四事件)のときとは対照的に、
中国国民が「ダライ集団憎し」で急速に一致団結したことです。理由は「ダライ集団」がチベット人なら事件現場もチベット人居住区という「異民族」が相手だったからです。当局発表の官製ルポも漢族が「異民族」によって襲撃され惨殺されるという描写に力が入っていました。

 
中国は総人口の9割以上が漢族であり、少数民族のマンパワーはまことに微々たるものです。しかも漢民族には「中華思想」というものがあり、少数民族に対しては建前はどうあれ本音は基本的に上から目線。特にチベットに対しては「政府が多年にわたり経済援助を行ってきた」(実際は殖民・同化政策)という教育が刷り込まれていますから、

「あいつら少数民族の分際で」
「これまでの恩を仇で返すとは許せん」

 といった感情で漢族の多くがまとまることとなりました。中共政権にとって、国内に対し打った手は予想以上の効果をあげた、ということになるでしょう。

 ――――

 国際世論はこうした動きに反発したものの、主要国をはじめとする各国政府の出足は鈍いものでした。

 政治的・経済的に中国が国際社会における存在感を急速に強めていることによります。「世界の工場」である中国は、逆にいえば世界のメーカーを人質にとっているともいえますし、海外には「13億市場」という中国に対する幻想がいまなお根強く存在しています。こうした算盤勘定が響いて、抗議姿勢もせいぜい
「政府首脳が8月の北京五輪開会式をボイコット」というレベルが精一杯でした。

 ところが、民間の反発が正反対に強烈なものだったことは、ロンドン、パリ、サンフランシスコで行われた聖火リレーで十分に証明されました。

 「聖火を警護する」という中国から派遣された
「青服」部隊の暴力的な行為には英国五輪委員長が悪罵を放ったのをはじめ国際的な嫌悪感が高まり、パリでは抗議の激しさを懸念して再三にわたり聖火リレーが「青服」の指示によって消され、サンフランシスコではコースを大幅に変更・短縮するという「神隠し」が行われました。いずれも聖火リレーにとっては前代未聞の出来事といえるでしょう。

 ちなみに、ロンドンの聖火リレーで「暴徒」から聖火を守ったということでリレー担当者の車椅子の中国人女性が中国国内でヒロイン扱いされていますが、この「暴徒」に関しても、真偽は不明ながら中国当局の自作自演ではないかとの説が出ていますね。

 ●大紀元時報(日本語版)
 http://jp.epochtimes.com/jp/2008/04/html/d32396.html
 http://jp.epochtimes.com/jp/2008/04/html/d21971.html

 いずれにせよ、北京五輪を「中華民族復興の象徴」と位置づけていた開催国の中国にとって、この聖火リレーは屈辱的なものとなりました。パキスタンでは万一を警戒してスポーツ施設内で非公開形式にてコソコソと「聖火リレー」を完了させる始末。豪州及び日本政府は「青服」による警護を「主権侵害だ」として拒否しています。

 こうした動きに猛烈に反発したのは、当局の「結界」によって、また「結界」の圧縮熱によって気分を昂揚させていた中国国民です。まずは「暴徒」「妨害活動」への非難に始まり、続いて西側メディアの「偏向報道」を叩き、さらに聖火の火を消すなど最も面子を潰されたフランスを相手にフランス製品のボイコット運動が開始されようとしています。

 フランス製品ボイコット運動にまで発展するとは中国当局も考えていなかったでしょうが、これは自業自得。
「結界」による圧力が強すぎたために、また江沢民時代以来の愛国主義教育が30代から下の世代には浸透しているため、中国国民の排外的行動への可燃度を高めてしまったといったところでしょう。この点も含めて「張本人は中共政権」なのです。

 ――――

 ボイコット運動では中国全土に展開しているフランス系スーパー・カルフールが標的とされています。メーデーで休日となる5月1日に各店舗前で入店しようとする買物客に不買を呼びかけるとか、五輪開会式3カ月前の5月8日から1カ月間にわたり不買運動を行うといった情報が流れていますが、実際にどうなるかはわかりません。ただしネット上の投票では、

「カルフールなどフランス製品ボイコットに賛成するか」

 という設問に「賛成」が42万4561票、「反対」が3万7318票、「どちらともいえない」が1万7255票とボイコット派が圧倒的な勢い。中国側は聖火リレーに対し散々外国の悪口を行ってきた手前、高圧的にそれをやめさせることもできず、「新愛国主義だ」などとほめる一方で、有名ジャーナリストに、

「ボイコットは無益だ。割を食うのは中国人店員」

 などと語らせたり、

「理性的に事態に対処しよう」

 などという記事を出したりして火消しも行っていますが、この程度では勢いを止められないのではないかと私はみています。

 ●「新浪財経」(新浪網 2008/04/16/23:31)
 http://finance.sina.com.cn/g/20080416/23314759196.shtml

 ●「中国経済網」(新華網 2008/04/16/07:09)
 http://news.xinhuanet.com/fortune/2008-04/16/content_7985024.htm

 ●『新京報』(新華網 2008/04/16/08:42)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2008-04/16/content_7985959.htm

 一方で、偏向報道問題ではCNNが槍玉に挙げられ、自称「有志」によって「www.anti-cnn.com」というサイトが立ち上げられたことは日本でも報じられていますが、これを持ち上げたに等しい報道も行われています。

 ●『京華時報』(新華網 2008/04/16/16:18)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2008-04/16/content_7989101.htm

 ――――

 こうした排外的ナショナリズムが中国の圧倒的多数派である漢族の間に盛り上がることで事態が「変質」するかも知れない、そのために長野の聖火リレーが火に油を注ぐ役割を果たすかも知れない、とは前回指摘した通りです。

 排外運動がいよいよ高まれば、さすがに国際社会においても北京五輪の開催を危ぶむ議論が出て来るでしょう。また漢族が行動に出れば、不測の事態(反政府運動への転化)を恐れて中共政権は当然ながら「火消し」ひいては「弾圧」に踏み切ることでしょう。その過程で官民衝突が発生して漢族が被害者となり、中国社会における抜き差しならない対立軸である
「官vs民」フラグが立てば、事態はもはやチベット問題ではなくなってしまいます。

 豪州及び長野の聖火リレーは、そういう際どいタイミングで行われることになります。

 その結果が中国国民をより激発させることとなれば。……特に「反日」属性の強烈なお国柄ですから、長野での聖火リレーの行方次第では「日貨排斥」とともに例の「愛国無罪」が巻き起こります。この場合、攻撃対象は日本とフランスだけではなくなるでしょう。中共政権の命運に関わってくるという大袈裟ないい方もできます。

 これまた反日風味の愛国主義教育を長年にわたり実施し、チベット問題ではCIAによる謀略を示唆する一方、「ダライ集団には米英が資金援助している」といった論評記事を垂れ流してきた
中共政権が張本人となります。自業自得なのです。

 そういう状況下でこのニュース。もはや極上燃料としかいいようがありません。



 ●パリ市長、ダライ・ラマを名誉市民に 中国さらに刺激(MSN産経ニュース 2008/04/17/01:08)
 http://sankei.jp.msn.com/world/china/080417/chn0804170110000-n1.htm

 パリのドラノエ市長は16日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世にパリ名誉市民の称号を贈ることを市議会に提案する考えを明らかにした。チベット情勢をめぐって中国政府は「ダライ集団」が暴動を画策したと強調しており、中国側の反発は必至だ。

 7日のパリでの聖火リレーの混乱などを受けて中国ではフランス系スーパーに対する不買運動も始まっている。ダライ・ラマ擁護の姿勢を明確にするドラノエ氏の動きはフランスに対する中国側の反感をさらにかき立てることになりそうだ。市議会への提案は21日。ドラノエ氏は声明の中で、名誉市民の称号を贈ることによって「平和の闘士をたたえ、チベットの住民への支援を確約する」と説明。チベットの現状については「住民は自らの尊厳と自由、生命を守ろうとしている」との認識を示し、チベット住民による戦いに「パリは連帯している」と強調した。(共同)


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 ●ダライ・ラマをパリ名誉市民に、市長が議会提案へ(AFP BB News 2008/04/17/16:52)




 さらに「謝罪しろ!」と叩きに叩かれてきたCNNが釈明声明を発表。これがまた実質的には「謝罪」ではなく「弁解」であるうえ、中国当局を激怒させる内容というまことに見事なリアクション。日本のマスコミには到底真似できないであろう喧嘩上手です。



 ●CNN、キャスターの対中侮辱発言に対して弁明(「人民網日本語版」2008/04/17)
 http://j.peopledaily.com.cn/2008/04/17/jp20080417_86912.html

 米ニュース専門の有線テレビ局CNNは現地時間の15日、キャスターのキャファティ氏が中国人を侮辱する発言を行ったことについて、CNNのサイト上で発言の標的は「中国政府であって、中国人民ではない」という内容の弁明をした。「中国新聞網」が伝えた。

 CNNサイトのトップページ「Popular News」欄に「China demands apology from Cafferty(中国がキャファティ氏に謝罪要求)」という見出しの文章が掲載。3段落目まではキャファティ氏の発言に対する中国外交部の非難と、謝罪要求についての内容で、四段落目にCNNは「キャファティ氏本人も、CNNも、中国民衆への攻撃はまったくの無意識によるものだ。この発言が人々に危害を与えたのなら、ここに謝罪の意を表明する」という声明を発表したという。

 続いて、報道におけるキャファティ氏の発言について、今回の発言の標的は「中国政府であって、中国人民ではない」と弁解するとともに、「キャファティ氏は長年、米政府やその指導者を含め、数多くの政府に対する批判的な発言をしてきた」とし、氏の対中侮辱行為に対して弁明した。

 米現地時間の9日午後、北京五輪の聖火リレーがサンフランシスコで行われた際、CNNは全ルートを追跡報道した。キャファティ氏は議論が中・米関係に及ぶと、侮辱的な言葉を使い、「中国人は50年間変わらない間抜けなチンピラと凶徒の一団」と罵った。(編集KA)




 「間抜けなチンピラと凶徒の一団」というより中国語でいえば「男盗女娼」がより適切だと思うのですが(笑)。中国当局はもちろん間髪入れずに脊髄反射です。

 ●外交部就CNN主持人發表攻�中國人民言論事向其駐京分社負責人提出嚴正交涉(新華網 2008/04/17/00:09)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-04/17/content_7991806.htm

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 ここまで激した状態でさらに「反日」フラグまで立てば、そりゃもう「あらえっさっさー」。お膳立てが整った上で長野での聖火リレーが行われるということです。ある意味カギを握るイベントといえるでしょう。

「チベット人、ウイグル人など少数民族に対する殖民・同化政策といった人権弾圧に抗議する!」

 として聖火リレーを中止(開催拒否)するのが正しい態度かと思われますが、そういう凛とした姿勢に出ることができずに姑息な方向へと逃げることになるんでしょうね、日本は。

 最後になりますが、チベット問題に少しでも関心を持つ方々には是非これを読んで頂ければと思います。

 ●わが聖地・チベットの苦しみ:野口健(アルピニスト)

 それからこちらもどうぞ。パリがダライ・ラマ十四世を名誉市民にするというアクションでも感じたことですが、多少政治的な背景があるにしても、欧州の人権意識の強さは私たちには到底及びがつかないものがあるようです。日本人も精進しないといけませんね。





 結語。今回の「変質」が本物で「胎動」というべきものであれば、中国にはほどなく「陣痛」が訪れることでしょう。むろん、その結果生み出されたものが中国人に幸福をもたらすとは限りませんけど。


シリーズ:攘夷運動2008【2】へ)




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 私の仕事は在宅勤務が基本なのですが、なぜかこのところ打ち合わせや企画持ち込みなどで外出することが多いので困っています。なぜ困るかといえば記事漁りの時間が限定されるから。

 ところが最近はチベット問題を中心に中国本土発の情報量がいつもよりぐっと増えていますから(2倍くらい)、ヲチに回す時間がほとんどありません。orz

 ……以上は観察日記の更新が滞ったことに対する自分への言い訳です。道楽に走る時間がないというのはまことに辛いもので。

 ただ外出自体は悪いことではないかも知れません。「歩くだけで意思表示」状態ですから。……ええ、胸にはピンバッジかブローチ、携帯にステッカー、カギにはキーホルダー、そして首から吊すはストラップ式ネームカード(名刺ではなく雪山獅子旗を入れてある)。

 さりげない街宣活動であります(笑)。効果のほどは非常に怪しいのですが、少なくとも私の仕事環境の周辺(日本サイド)では着実に浸透しつつあります。

 あとクリエイターなどはこういう政治的アピールのようなものをカッコよく思う属性が比較的強いので、本業の腕は三流で私泣かせな奴も(笑)積極的に支援してくれたりします。合言葉は「フリー・チベット&チャイナ・フリー」。

 出先でふと立ち寄ったコンビニに中国人アルバイトがいたりして、レジで何となく嫌そうな不満そうな表情をみせてくれるのも楽しみです(笑)。こちらも気を遣ってわざわざネームカードの前で小銭入れを開き、お釣りもその高さで受け取ります。店員は嫌でも雪山獅子旗を見なければなりません。

 中国人店員はさぞかし爽快な気分になることでしょう。一日一善であります。

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 いたたまれない気持ち、というものがあります。私などは単細胞ですのでしばしばそういう心理状態に陥ります。

 そこで今回のような事態に接し、都内での関連イベントには都合のつく限り参加しています。御家人=素人ヲチ屋というスタンスとは別に、ひとりの小市民のオサーンとしての出撃。今週末にも色々あるようなので時間がとれればいずれかに出かけるつもりです。

 イベント情報は某巨大掲示板に頼っているのですが、他にも情報源があれば是非ご教示下さい。都心近くであるほどありがたいです。m(__)m

 本当は、長野で聖火リレーが行われる26日に現地にいたいところです。ただ体調が万全でないのと、何よりも最低でもまる一日は時間をとられるので、無念なるかな仕事のスケジュールをどう調整してもヒマをひねり出せません。

 せっかくの「本土決戦」なのに。

 ……いや、この「本土決戦」は非常に重要です。私はチベットだけをみている訳ではありません。あくまでも中国情勢における一部分と捉えています。その視点に立つと、この長野の聖火リレーで中国が改めて面目を失すれば、もしかすると面白い事態に発展するかも知れない、という期待感があります。

 あ、最初に宣告しておきますと、以下は不謹慎ともとれる物言いをすることになります。「面白い事態」とか「期待感」とか、もう使っちゃってますけど、ヲチの話ですから、これでいいのです。

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 ヲチの対象としては退屈で仕方のなかったチベット問題に、かすかな綻びが生じました。

 中国メディアによる「叩き」の対象がダライ・ラマ十四世から、むしろ海外メディアの中国を暴虐政権とみなす報道(中共=暴虐は事実ですね。鐵證如山)に文句をつけ始めた数日前あたりから、私は中共のために案じていました。文化大革命調の批判は往々にして本来の思惑を越えてエスカレートしていくものですから。

 果たせるかな、やっぱり止まらなくなって当初の目的と思われる「国民の意思統一のための宣伝工作」が
「ネット世論に対する極上燃料投下」へと転化してしまいました。

 とうとう糞青ども(自称愛国者の反日信者)が
フランス製品ボイコットを掲げて動き始めたようです。差し当たって中国国内でも展開しているカルフールが狙われています。5月1日に有志それぞれが近くのカルフールに出かけて店の入口前に陣取り、入店を拒むよう説得するのだとか。

 このイベントが本当に実施された場合は、公安(警察)の反応が注目されるところです。威力業務妨害のような容疑で拘束するのか、それとも2005年春の反日騒動のときのように、これ以上は許さないというデッドラインを設けつつも、多少の狼藉には見て見ぬフリをするのか。……さあ盛り上がって参りました(笑)。

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 なぜロンドンやサンフランシスコはスルーでパリは見過ごせないのかといえば、市庁舎に中国に批判的な垂れ幕を掲げるといった奉祝ムードもさることながら、再三にわたり自らトーチの火を消すやむなきに至った、という状況に追い込んだフランス部隊のGJ!が大きいでしょう。

 トーチの火が消えた(実際には自分で消した)のをテレビで観ていた中国人にとっては面子丸潰れだからです。私は実況掲示板を眺めていたのですが、このシーンには糞青どもも愕然として声がありませんでした。

 そもそも漢民族というのは当ブログにて何度も指摘しているように、

 ●もんのすごーく高いプライド(世界の中心を自任する中華思想)
 ●もんのすごーく強いトラウマ(自信過剰により欧米列強&日本から散々喰い物にされたという自業自得)

 という医学で扱うべき2つの深刻な症状が、一人格・一民族の中に同居しています。北京五輪には「欧米列強に肩を並べるもの」というステータス感もあります。しかも中国人が最も忌み嫌う「面子を潰された」という事態が再三再四、聖火リレーという「中華復興」を意味するイベントにて発生したことに、心理的に我慢できなかったのでしょう。

 北京五輪を「列強に肩を並べるもの」とか「中華復興」とかいうあたりから何か間違っているように……むしろ建国以来、その半分の時間を愚昧な政治運動で浪費したことをまず自省すべきだと思うのですが、畜生の考えていることを理解しようとしても徒労無益。漢族はもともと自省しないのが仕様ですし。

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 ともあれフランス製品ボイコットの声がネット世論から上がり、盛り上がりつつあります。ところが文革型の非難キャンペーンを張っていたものですから急ブレーキをかける訳にもいかず、西側報道批判を続ける一方で、ネット世論のこの動きを「新愛国主義」だなどともてはやす始末。

 この時点で中国当局が警戒すべき対象が
「チベットの蠢動」だけでなく、「糞青どもの暴走」も加わることになりました。総人口の9割以上を占める漢族が騒ぎの当事者となれば、事態が違ったものになってきます。

 当ブログは以前、状況を一変させかねない要因として「流出」「変質」の2点を指摘しましたが、このうち中国の圧倒的多数派である漢族が弾圧の対象になるという「変質」の可能性が出てきました。

 フランス製品ボイコットが実行に移されれば、あとは2005年春の反日騒動を思い返せば済むことです。まず最初に「行動」を促すメディアと自重を主張するメディアが登場し綱引きが始まります(実はすでに始まっている気配があります)。この時点で党中央が一枚岩でなくなることになりますね。対外問題では強硬派と穏健派に割れやすいものですし。

 カルフールだと同じ業界の国有大手あたりが裏で糸を引いていてもおかしくありませんから、党中央の対応が時機を逸すればフランス大使館・総領事館襲撃やカルフール焼き打ちなどに発展しても不思議ではありません。

 ただし、敵がおフランスだけだとちょっとインパクトに欠けるというか、パワー不足。もっと可燃度の高い燃料が必要でしょう。

 ――――

 そこで「4.26長野決戦」なのです。

 ……いや、この「本土決戦」は非常に重要です。

 と上で私は書きましたが、正確にはこの
「本土決戦」が俄然重要なものになってきた、というべきでしょう。「日本鬼子」「小日本」が加われば、糞青どもの燃え方も尋常でなくなってきます。

 要するに日貨排斥やプチ暴動の再来によって、事態をチベット問題から国内騒乱へと転化させ、その騒ぎっぷりが海外メディアを通じて全世界へと伝えられることで、
チベットでの人権弾圧だけでなく、五輪開催国としての資質が国際社会において改めて問われることになります。

 やや具体的にいうと、
勝利条件は長野においてパリに劣らない屈辱を中国本土の連中に感じさせること。すでにフランス製品ボイコットへと動き出している糞青どもは、当局がよほどの圧力をかけない限り足が止まることはないでしょう。そこへ「長野」で追い撃ちをかけて一気に加速(笑)。「愛国無罪」アゲインであります。目下のところ報道機関ではCNNが、

「キャスターが中国人を侮辱する発言をした」

 と集中砲火を浴びています。CNNはくれぐれも謝罪などしてはいけません。謝罪しないことが燃料投下に等しいのです。

 しかもブッシュ米大統領の特使が訪米中のダライ・ラマ十四世と会見するとのニュースが流れていますし、すでに会見したことのあるドイツのメルケル首相も「もう一度会う」との意向を示している模様。中国当局としてはこうした動きを見過ごす訳にはいきませんから当然反発します。

 反発即燃料。「長野決戦」を受けて「愛国無罪」の再来となれば、胡錦涛の来日も微妙になります。これは日中関係(国民感情)の悪化と、国内情勢が緊迫しているため北京を留守にできない、という側面があります。

 ――――

 「本土決戦」に参加できない身としては悔しいところですが、チベット問題で盛り上がってきた事態が長野での聖火リレーで一気にレッドゾーン、という可能性が出てきたことを指摘しておきます。

 ええそりゃもちろんワクテカですとも。……不謹慎?何それ?だから何?




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 今朝は成田空港に行けませんでした。残念。ダライ・ラマ十四世が訪米途上で今日(4月10日)、日本に立ち寄るのです。……もう成田に到着しているのではないかと。

 日本でも記者会見を開く予定とのことでした。時あたかもサンフランシスコで聖火リレーが始まったばかり。チベット問題で国際世論が盛り上がっているいま現在のこの状況下で、何が語られるのかに国際社会は注目していることでしょう。もちろん中国も。

 日本も何かアクション起こさないのかな。でもフフン♪こと福田首相じゃ無理だよなあ。……と思っていたら、何とまあ妙手炸裂!

 これが事実で本当に実現するなら、もうただうなるしかありません。正にお見事の一言。



 ●安倍前首相夫人がダライ・ラマと会談へ(MSN産経ニュース 2008/04/10/01:07)
 http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080410/stt0804100109001-n1.htm

 安倍晋三前首相の昭恵夫人が10日、訪米途中に日本に立ち寄るチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世と面会することが9日、分かった。一方、政府はチベット騒乱などをめぐりダライ・ラマ氏を非難している中国に配慮し、「政府として接触する予定はない」(児玉和夫外務報道官)としている。昭恵夫人とダライ・ラマ氏との面会は、日本全体が人権問題を軽視しているわけではないことを国際社会に示す意味がありそうだ。

 昭恵夫人とダライ・ラマ氏の面会は、日本政府ではなく、ダライ・ラマ氏の亡命先のインド政府を通じてセットされたという。

 チベット騒乱に関連しては、安倍前首相も3月18日、ダライ・ラマ氏のアジア・太平洋地区担当初代代表を務めたペマ・ギャルポ桐蔭横浜大教授と会談し、「チベットに住む人たちの人権が確保されるように努力していきたい」と強調、中国側に働きかけていく考えを示している。

 また、欧州連合はダライ・ラマ氏を12月に欧州議会に招く考えを表明。ブッシュ米大統領は中国の胡錦濤国家主席に対し、ダライ・ラマ氏と実質的な会談を持つよう要請している。




 私はファンタジスタこと麻生太郎・元外相による「偶然バッタリおやこんにちは」あたりを期待していたのですが、安倍前首相の昭恵夫人とは驚きました。フフン♪なんてのはもちろん、安倍氏自身や麻生氏が会うよりも、これはピンポイントといえるかも知れません。

 外角低めストライクゾーンいっぱいのところに、速球がビシリと決まったようなもの。バッターは手も足も出ずに見送り三振といったところではないかと思います。

「昭恵夫人とダライ・ラマ氏の面会は、日本政府ではなく、ダライ・ラマ氏の亡命先のインド政府を通じてセットされたという」

 という部分に注目です。インド政府とのパイブは、首相在任中に訪印した安倍氏のものなのか、それともファンタジスタか森喜朗・元首相あたりのラインなのか。日本の政界事情に疎い私にはわかりません。

 ただ前掲記事にもあるように、安倍氏は先月のチベット弾圧事件が起きた直後、ダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当初代代表のペマ・ギャルポ桐蔭横浜大教授と会見しています。

 ●日本が舐められています。もはや「五輪でのボイコット」あるのみ。(2008/03/19)

 首相時代の訪印経験とともに、この縁が作用したとみるのが妥当なところなのでしょうか。あの安倍首相のインド訪問に際してはファンタジスタの「自由と繁栄の弧」の実践と受け取ったのか中国当局が異様に神経質になっていたのを思い出します。

 ●パール判事の息子と会ったら中共がもんのすごいパワープレイ。(2007/08/24)
 ●「公約」実行で中国が騒ぐ騒ぐ。内閣改造も気になる模様(笑)。(2007/08/28)
 ●安倍首相訪欧で痛点刺激、中共がピリピリピリリ。(2007/01/13)

 ――――

 ともあれ、福田内閣には到底できようのない芸当が、別口によって行われたことになります。第二の外交が機能して、日本を支えたといっていいかも知れません。

 ダライ・ラマと会見するということは、当然ながら中国を横目で意識しつつ……ということになります。フフン♪に望んでも無理であることは言うまでもありません。

 安倍氏や麻生氏なら出来ることかも知れませんが、将来のフリーハンドを確保しておくためには、いまは会わない方がいいともいえます。あるいは福田政権下にあっては二人とも反主流派のようなものですから、ダライ・ラマと会うことで、

「これは内閣揺さぶりか?倒閣の準備行動?」

 などといったネガティブな見方が自民党内で流れるのを避けたいタイミングという判断があるのか、このあたりの機微は私にはわかりません。しかしダライ・ラマの日本立ち寄りに際しては何らかのアクションを示す必要がある、と考える向きにしてみれば、ここで何かしておかなければなりません。

 そこで昭恵夫人。……という絶妙な人選に、私などはうならざるを得ないのです。

 ――――

 まずは安倍氏の影が当然ながらチラつきます。毒餃子事件、チベット弾圧、聖火リレーと続いて中国への不信感が日本国内で高まっている折も折。フフン♪も弱腰対応で国民から呆れられていますから、本格的な政治活動を再開してほどない安倍氏が中国を相手に示した別口外交で存在感を示す好機といえるでしょう(そこにファンタジスタが絡んでいればいよいよGJ)。

 そこで持ち出された
「昭恵夫人」というカードには、フフン♪相手に楽を続けてきた中国も久しぶりにピリピリせざるを得ません。

 安倍氏は小泉政権下における官房長官就任時に
「コイズミよりコイズミ」と警戒心を込めて国営通信社・新華社に評されたものです。

 その後のポスト小泉を決める自民党総裁選に際し、新華社をはじめとする中国国内メディアは安倍氏を冷遇する一方で、結局は出馬しなかったフフン♪を一時期、ものすごい勢いで持ち上げていました。ところが安倍氏が首相となってしまったため、気に入らない相手ながらも薄っぺらい融和ムードを漂わせて日中関係改善に動くこととなりました。

 安倍首相による中国訪問がその転機ということになり、訪中は「氷を破る旅」と中国国内でもてはやされました。ただ「コイズミよりコイズミ」ですから、安倍氏自身に対して手放しで評価することはありませんでした。

 その代わりに中共政権が大いに持ち上げたのが,他ならぬ「昭恵夫人」なのです。これは安倍首相時代を通じて一貫して変わることがありませんでした。
安倍首相をチクリと刺す際には「昭恵夫人」をほめあげてバランスをとっていた、といっていいでしょう。

 ――――

 その「昭恵夫人」が事もあろうか、中国が目下「人面獣心」「卑劣漢の親玉」「大嘘つき」などと極彩色に染め上げ、大悪役に仕立て上げているダライ・ラマと会見するのです。

 事件発生当初から中国当局によって悪者認定されている「ダライ集団」、昨日(9日)あたりからその鉾先が「チベット青年会議」へと集中し始めた気配が出て私はちょっと注目しているのですが、ダライ・ラマへの個人攻撃が明らかに下火になったという訳ではありません。

 その大罪人扱いしている憎きダライ・ラマと会見するのが、これまで一貫して持ち上げてきた「昭恵夫人」であることが中国にとってピンポイントではないかと。まずは顔に泥を塗られるような扱いを受けた、と中共政権は感じるでしょうから、どう反応するかが楽しみです。

 そして安倍氏の影。表舞台で振る舞うのは昭恵夫人であっても、実は同行していて裏でダライ・ラマと密会、という可能性もあります。そういう可能性を感じさせる人選ではあるでしょう。

 それからダライ・ラマの会見相手として中国がもてはやしてきた昭恵夫人をあえて登板させるということ自体が
中国に対する「宣戦布告」めいたメッセージにもなっている。……というのは邪推のし過ぎでしょうか。

 安倍氏ひいては麻生氏をも含むかも知れない、中国にしてみればフフン♪のように楽には扱えない「反主流派」からの、

「われわれは福田とは違う」

 だから覚悟しておけ、という意思表示です。「反主流派」とはいえ福田内閣は支持率が危険水域に突入して年内解散がささやかれるような状況。そして「反主流派」ながら、麻生氏はポスト福田の有力候補のひとりなのですから、決して重みに欠けるメッセージとはいえないでしょう。

 ――――

 ちょっと期待し過ぎでしょうか(笑)。ただダライ・ラマを迎えてフフン♪路線とはかけ離れた本来あるべき「別口外交」が行われることには昂奮を覚えずにはいられません。

 そしてその人選の妙、この点にやはり感じ入ってしまうのです。

 このところグダグダ感の続いていた日本の政治状況にあって、久方ぶりに閃光の走るような鮮やかさを思わせるアクションといえるのではないでしょうか。

 空戦機動。空戦機動ですよ、これは。




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 今回は表面的な事象に翻弄されてみましょう。

 昨夜(4月8日)、日付も変わろうかという時間に耳寄りなニュースが飛び込んで来ました。AFP電です。



 ●北京五輪、海外聖火リレー中止の可能性も(AFP BB News 2008/04/08/23:30)
 http://www.afpbb.com/article/sports/sports-others/sports-others-others/2375521/2808023

 【4月8日 AFP北京】チベット暴動への中国政府の対応に抗議し、ロンドン、パリなど北京五輪の聖火リレー通過ルートで妨害行動が相次いでいる問題で、国際五輪委員会(International Olympic Committee、IOC)の理事らは初めて、今大会の海外リレーを中止する可能性について言及した。

 グニラ・リンドバーグ(Gunilla Lindberg)IOC副会長によると、北京(Beijing)で10日から開かれるIOC理事会で、北京五輪の聖火リレーに関して見直される方針だという。また今後の大会におけるリレーについても取り上げるとみられる。海外リレーの中止はありうるかと質問された同副会長は、報道陣に「全面的な見直しが必要だと思う」と答えた。

 ロンドン、パリの聖火リレーでは、中国政府のチベット(Tibet)自治区の統治手法やそのほかの人権弾圧に反対するグループなどが抗議行動を起こし、リレーに対する大規模な妨害が発生した。今後通過が予定されている都市でも、同様の抗議行動の計画が明らかにされている。

 ケバン・ゴスパー(Kevan Gosper)IOC委員は、聖火リレーが世界中の人権活動家らが中国への反感を表す機会になってしまった点を指摘し「非常に失望している」と述べ、「彼らはその時々の問題が何であれ反感をぶつける。反感は今、中国が主催国となる五輪の聖火に向けられている」と批判した。




 おおお。要するに日本を含む海外での聖火リレーは一切中止して、やるなら中国国内限定、ということですね。

 ロンドンもさることながら、パリ部隊が余りにGJ!でしたから。火種はバスの中に置いてあるとしても、トーチに移した聖火を再三にわたり消さなければならないという異常事態はインパクト十分でした。

 トーチの火が強風などで消えた前例はあるものの、抗議活動の激しさに屈したというのは前代未聞。本来慶祝されるべき聖火リレーが行く先々でブーイングと妨害活動の嵐に見舞われています。次の舞台となる米国のサンフランシスコ市などは、「警戒と抗議を以て聖火を迎える」みたいな市議会決議が可決されていて早くもバトルモード(笑)。

 しかも聖火の露払いとばかりに、チベット人支援組織のメンバーが金門橋に横断幕を掲げたばかりです。パリを超えるかとか大荒れになるかとかいったことはともかく、和やかな歓迎ムードにならないことは必定。静観を決め込んでいたIOCも、これでは五輪の権威にかかわる上に悪しき前例を残してしまうということで、いよいよ重い腰を上げるといったところでしょうか。

 乱暴に言ってしまえば、IOCなぞ所詮は「五輪」という神聖なる御神輿を担ぐことで威張ったり利権にありついたりしている連中。その御神輿の有難味が薄れてしまってはたまったものではないでしょう。

 この記事はケバン・ゴスパー委員のコメントを紹介している最後の段落が味わい深いです。ガッカリしているのと同時に相当ムカついているようですが、その怒りの鉾先は人権活動家というより中国に向けられている、と読むべきではないかと思います。過去の聖火リレーにおいては今回のような驚天動地の大騒ぎなどは起きていませんからね。

 ――――

 この記事、契約者向けの配信はずっと早かったようで、8日午後に開かれた中国外交部報道官定例会見でこの件に関する質疑応答がなされています。



 質問:報道によると、IOC高官は、オリンピックの聖火リレーの路線を短縮すると語ったそうだが、この点につき確認したい。

 回答:IOC高官がそのようなコメントを発表したということを、私は聞いていない。(以下建前&原則論)

 ●「外交部HP」(新華網 2008/04/08/20:23)
 http://news.xinhuanet.com/world/2008-04/08/content_7941610.htm




 知らないフリをしているのか本当に虚を衝かれたのかはわかりません。そもそもIOCもこの件につき公式発表を行った訳ではなく、外電が拾ったコメントを記事にしたものですから。……でも「その話題、待ってました」というときには、

「その報道にはわれわれも注目している」

 なんていう前のめりなリアクションもしたりするんですけど。とりあえず中国当局としては肯定も否定もしてはいないことになります。

 本当に中止になっちゃったら開催国としての面子丸潰れですから、うかつな対応はできないところでしょう。国際社会に対しては居直ることもできるでしょうが、国民を丸め込むための仕込みがまず必要になりますから。

「チベット独立を企てるダライ集団とそれを支援する国際勢力の陰謀によって……」

 という作文を例によってこしらえて体裁を繕わなければなりません。中止となれば大事態ですから、作文の内容も激烈ならトーンもかなり高めになるでしょうし、それを端緒とする新たな思想統制キャンペーンの段取りを考える必要もあります。

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 ところが、当局がまだ意思表示を行う前から中国国内メディアがこのAFP電を流してしまいました。党中央の機関紙『人民日報』の系列下にある国際紙『環球時報』のウェブサイト(環球網)です。



 ●IOC、海外聖火リレーの繰り上げ終了を会議で検討へ(環球網 2008/04/08/15:32)
 http://2008.huanqiu.com/news/2008-04/86498.html

 AFPの報道によると、IOCのある高官は火曜日(8日)、北京五輪の聖火リレーが行く先々で妨害に遭っていることから、海外での聖火リレーを予定より早めに打ち切って終了させることを今週中に検討することになると語った。




 ……と、たったこれだけのごく短い記事なんですけど、中国当局と中国国民にとっては驚愕すべき内容。ひょんなことで報道管制の網をくぐって電子版に掲載されてしまったのか、と思ったら、「捜狐」など大手ポータルのニュースサイトにも転載され始めており、現時点においては削除された気配はなし。

 まあ上で紹介したように外交部報道官の会見でも記事にしていますから隠すつもりはないのかも知れませんけど、だとすれば聖火リレーに対する抗議の激しさが予想以上であることに中国当局が辟易している、ということなのでしょうか。

 今後行く先々で聖火リレーが「中国晒しage」状態にされてそれが中国国内に悪影響を及ぼすよりも、「繰り上げ終了」で恥をかく方がまだマシという判断?確かに今回の聖火リレーは進めば進むほど国際社会でチベット問題がクローズアップされていくという展開にはなっています。

 ただこれまでもパワープレーに徹してきた中国です。北京五輪への国際世論による非難が高じたとしても、それが実際に行動に移されるとなればせいぜい主要国首脳の開会式ボイコット、といった程度でしょう。中国にとってはさほど痛くはないレベルではないかと思います。とすれば、とうとうIOCから圧力がかかった、ということなのでしょうか。このあたりは邪推する材料がまだ十分にありません。

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 海外ルートを早々に打ち切るとなると、聖火リレーは国内限定(中国本土&香港&マカオ)。海外と違って抗議活動は封殺されるでしょうし取材・報道も制限されるでしょうから、今回事態を盛り上げているチベット問題への国際的関心は抑制されてしまうことになるでしょう。

 ただ、国内ルートでも聖火はチベット自治区を通りますしエベレスト登頂も予定されています。中共政権としてはこの線は絶対に譲れないところでしょうが、強行することで不測の事態が発生する可能性はあります。これはチベット人がまとまって居住しており抗議活動も行われている青海省や甘粛省でもそうですし、ウイグル人の東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)でも何かが起きても不思議ではありません。

 民族の誇りや迫害され続けてきた歴史への怒り、そして何よりも信仰というものが原動力となりますから、過去半月にわたるチベット人の抗議行動がそうであったように、いかに人民解放軍が戦車と機関銃を揃えて厳戒態勢を敷いても、起きるときには起きてしまうことがあります。

 その映像が海外に流出したり、あるいは少数民族に対する反感だか生活苦だか地元党幹部の汚職に対する怒りの爆発だか、動機は何であれ漢族が暴動を起こしてそれを当局が武力弾圧してしまったりすると、国際社会の反応や北京五輪へのスタンスにも劇的な変化が生じる可能性があります。

 また総人口の9割を占める漢族が暴動~弾圧される側の当事者となれば、「敵は異民族」だったこれまでと違い、中国社会の空気も微妙になることでしょう。なにせ「官vs民」という根深い対立軸が存在する上に超格差社会。この「官」への反目というフラグが派手に立つようになると、先の読みにくい展開となります。

 むろん、中共政権の行動原理という根っこに則して考えれば答はひとつ。「中共人による独裁統治」という一線を守るために当局側はいざとなれば容赦なく軍事力の行使に踏み切り、「人民解放軍は国軍ではなく中国共産党中央の私兵」「銃口から政権が生まれる」という言葉が伊達でないことを実証してくれるでしょう。

 1989年の天安門事件のときと同様に、中国はそのために国際的に孤立することも厭わない筈です(孤立化を避けるべく極力努めるでしょうけど)。それによって「中共人による独裁統治」というカタチは維持されることになるでしょうが、それと引き換えに、これまで30年ばかり積み上げてきたものの多くが失われることになるかも知れません。そうなったとき、「中共人」がなおも一枚岩でいられるかどうかがひとつのカギとなるように思います。

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 ……邪推する材料に乏しいものですからつい妄想へと走ってしまいました。orz

 せっかくですから最新ニュースの中で面白げなものを並べておきます。



 ●聖火通過控え大規模集会  米サンフランシスコ(共同通信 2008/04/09/07:08)

 【サンフランシスコ(米カリフォルニア州)8日共同】「自由なくして五輪はありえない」。北京五輪の聖火リレーで北米大陸唯一のルートで、聖火通過を9日に控えた米サンフランシスコで8日、1000人以上が参加して中国当局によるチベット暴動鎮圧を批判する大規模な抗議行動が行われた。サンフランシスコ中心部にある市庁舎近くの広場で開かれた集会は赤と青、黄色のチベット旗で埋め尽くされ、各地から集まったチベット人らが参加。「中国はチベットから出て行け」「チベットに自由を」などとシュプレヒコールを上げた。


 サンフランシスコも燃え上がる予感。聖火リレーの打ち切り論がIOC内で浮上しているのなら、ここでの荒れ具合が流れを決めそうです。

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 ●9日に訪米の途に=日本にも立ち寄り-ダライ・ラマ(時事ドットコム 2008/04/08/15:34)

 【ニューデリー8日時事】インド亡命中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は9日、日本経由で訪米の途に就く。チベット自治区で3月に暴動が起きて以来、外国訪問は初めて。日本と米国で予定される記者会見や講演の機会をとらえ、中国当局との対話再開などを改めて訴えるとみられる。


 日本も盛り上がってほしいところですね。ダライ・ラマ十四世の記者会見に中国が反発すればするほど吉。あとファンタジスタとの「ニアミス」を激しく希望(笑)。

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 ●欧州議会:五輪開会式「欠席決議案」採択も(毎日jp 2008/04/08/12:43)

 【ブリュッセル福島良典】欧州連合(EU、加盟27カ国)の欧州議会は、中国政府がチベット自治区情勢をめぐりチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世との対話に応じない場合には、加盟国首脳に対して、北京五輪開会式のボイコットを呼びかける決議案を9日にも採択する見通しとなった。ロイター通信が伝えた。

 ロイター通信によると、決議案は超党派で作成され、今年前半のEU議長国スロベニアに対して「北京五輪開会式について、中国当局とダライ・ラマとの対話が再開されない場合には、欠席の選択肢を含め、EUとして共通の立場を見いだすよう求める」としているという。
(後略)

 聖火リレーの騒ぎがEUにも影響しているのでしょうか。楽しみな空気になってきました。

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 ●サルコジ仏大統領 ダライ・ラマ14世との対話を条件に(MSN産経ニュース 2008/04/09/01:11)

 【パリ=山口昌子】フランスのサルコジ大統領は8日、北京五輪開会式への出席問題に関し、「中国政府とダライ・ラマ14世が対話すればフランスが出席する条件について決定する」と述べた。7日の聖火リレーが抗議デモで「大失敗」(仏紙フィガロ)に終わったとの見方を考慮しての発言とみられる。クシュネル外相も同日、デモは「大統領の仕事を複雑にした」と述べ、デモの影響を認めた。
(後略)

 こちらは間違いなく聖火リレーの余熱。とうとう「対話」が「出席の条件」と仏大統領自身が明言しました。ちなみにパリの副市長は「中国の人権状況が改善されないなら、今年の五輪は北京ではなくアテネでやるべきだ」「中国に対しては明確かつ直截的な圧力が必要」と神発言連発。

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 ●チベット弾圧で日本の文化人有志が声明(MSN産経ニュース 2008/04/08/19:56)

 中国チベット自治区での騒乱を中国政府が強権的に鎮圧したことを受けて、映画監督の龍村仁さん、ジャーナリストの下村満子さん、音楽評論家の湯川れい子さんらが8日、東京・内幸町の日本記者クラブで会見し、文化人有志65人の連名による「14世ダライ・ラマ法王と中国政府首脳との直接対話を求める声明文」を発表した。

 声明文は「ダライ・ラマ法王に扇動された一部チベット人による暴力的反政府活動」という中国政府のキャンペーンを「真実とかけ離れたもの」と批判したうえで、国際的な仲介者のもとでの中国政府首脳と法王との対話を提言。「それこそ中国政府が世界の信頼を取り戻すことのできる唯一の道」と訴えている。

 ダライ・ラマ法王の「愛と非暴力」を貫く姿勢に共感する龍村さん、下村さん、湯川さんが呼びかけ人となり、作家の池澤夏樹さん、女優の岸恵子さん、俳優の堺正章さん、詩人の谷川俊太郎さん、音楽家の細野晴臣さんら計65人が賛同者として名を連ねた。
(後略)

 日本でもいよいよこういう動きが。細野さん応援しています!



 最後にこれ。私もずっとムカついていたんです。



 ●聖火消したのは中国側=リレー打ち切り自ら決める-仏(時事ドットコム 2008/04/09/06:18)

 【パリ8日時事】AFP通信は8日、パリで7日行われた北京五輪の聖火リレーで、聖火を消したり、リレーを打ち切ったりしたのは、中国からパリに派遣されていた北京五輪組織委員会の警備隊だったと報じた。この警備隊が聖火に付き添い、リレー進行を取り仕切っていたという。AFPによれば、この警備隊は青いジャケット姿で約10人。仏警察筋は「治安部隊の精鋭だろうが、身元は何も知らされていない」と話している。




 この連中、親中紙『香港文匯報』(2008/04/08)によると武装警察(内乱鎮圧用の準軍事組織)や警察の特種部隊から選抜され、公安大学で錬成を重ねてきた野郎どもとのことですが、こいつらが権限を持たない外国で抗議する市民を払いのけたり地面にねじ伏せたりするシーンを目にするたびに腹が立って仕方がありません。

 お前ら何様?もし聖火リレーが長野でも行われるのであれば、宿泊先関係者の皆さん、リレー前日の晩餐は是非中華で、お約束のメタミドホス漬け中国毒餃子で念入りにもてなしてあげて下さい。

 ああいう人治な独裁国家丸出しの言語道断な行為を日本で許してはなりません。もし長野県警が抗議した人を拘束するのであれば、それを振り払ったり押さえつけたりした畜生どもをも決して見逃すことのないようお願いします。くれぐれも。




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 チベット問題、聖火リレーに関するニュースでいよいよ盛り上がって参りました。

 某巨大掲示板にはチベット支援や反中国関連などのOFFスレが乱立しています。

 長野で予定されている聖火リレーや胡錦涛来日に合わせて雪山獅子旗(チベット亡命政府の国旗)を持って沿道に詰めかけるとか、中国大使館にデモをかけるとか、毒餃子事件を含め弱腰対応で一貫している福田内閣の非を鳴らそうとか。東京だけでなく全国の各大都市ごとのイベントも行われているようです。関連シンポジウムもいくつか予定されていますね。

 日本のマスコミも深さと広さ、つまりニュースとしての質を別とすれば、私が巡回する記事漁りルートだけで毎日平均20本以上は関連記事が出ています。

 それよりも辟易させられるのは中国当局による「思想統制」というべき、洪水のような
「ダライ集団は人面獣心」「ダライ集団は独立分子」「ダライ集団は五輪を利用する悪逆卑劣な連中」型の報道です。

 様々な意味から、チベット問題及びそれに端を発した諸々の出来事は、1989年の天安門事件以来といっていいでしょう。私たちは、歴史劇がいま正に進行しているのをリアルタイムに眺めているのです。もちろん、色々な形でそれに参加することも可能です。

 私のような単細胞はそれだけで昂奮を抑えかねています(笑)。

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 しかしながら、チナヲチ(素人の中国観察)という作業を行う身としていえば、この半月以来の事態の推移については当ブログにて早々に見立てを書いてしまっていたうえ、特に加筆修正する必要もなかったので正直、現時点に至るまでは実に退屈なものでした。

 かように大量の関連報道が飛び交いながら、事態の質的転換を示唆するものは何ひとつありません(私見ですけど)。

 ●【チベット】「六四モード」を崩すには?【中間報告】(2008/03/22)

 ほーら予想通りじゃないか。……というのではなく、中共政権は今回もその行動原理通りに事態に対処したまでのことです。根っこの原理原則を理解しておけば、表面的な事象に惑わされることはありません。

 中華人民共和国というのは、
「中共人」という一握りの特権階級によって独裁統治されている国家です。

 国家としてどうすべきかという選択肢に突き当たると、
「独裁体制の維持に有利」なチョイスを必ず行います。

 これまでは常にそうでした。そして、今回もまたそうだった、変わっていなかった。……ということを再確認できたのが、ヲチする上での最大の収穫でした。

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 チベット問題において中国が譲歩することはありません。中共政権からみればチベット人の抗議活動は内乱として断固鎮圧すべき対象。蜂起には圧倒的な武力で臨み、帰順するか罪人になるかという容赦のない選択をチベット人に迫るのみです。

 国内的には報道統制を敷いて「チベット独立を企てるダライ集団が背後で糸を引く陰謀」という定義づけを大量の記事や映像で国民に刷り込みを行います。相手がチベット人という「異民族」であることが、潜在意識において「中華」(世界の中心)を自任する漢民族の心を刺激して、当局によるこの工作は予想以上の効果を上げつつあるようです。

 むろん、「内乱の黒幕」たるダライ・ラマ十四世を頂点とするチベット亡命政府との公式対話(密使はあるかも)などは言語道断。それを求める国際世論は一切はねつけて逆ギレあるのみです。
北京五輪が流れても構わないという覚悟のもと、五輪開催への影響を局限すべく立ち回ったり居直ったりしているのがいまの中国です。

 最悪のケースとして北京五輪が流れたとしても、
「悪者」は総人口の9割以上を占める身内の漢族ではなく「異民族」ですし、また「異民族を支援して中国の分離独立を進めようとする国際勢力」ですから、中共政権に対する国民の求心力がかえって高まる可能性があります。国際社会においては暴挙と受け取られようとも、「独裁体制の維持」にとって決して不利ではありません。

 一方の国際社会も高まりつつある中国の存在感を前に、踏み込んだ対応には二の足を踏んでいます。天安門事件当時のような経済制裁はおろか、各国首脳の五輪開幕式出席をどうするかといったレベルでグラグラと揺れている程度です。

 それどころか、チベット人弾圧を断行している当局の外相来訪を今月に予定しており、また弾圧の最高責任者である胡錦涛・国家主席を5月に国賓待遇で受け入れるという途方もなく恥知らずな国が西側主要国の中にあります。

 受け入れた時点で、その国は中国によるチベット弾圧を肯定したも同然ではありませんか。中国に厳しい国際世論にも水をぶっかけることとなります。

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 チベット人やウイグル人を弾圧し、容赦のない殖民・同化政策を進めている中共政権の最高指導者を、事もあろうか国賓として迎え入れるという、そのどうしようもなく病んだ主要国というのがニッポンであるということに、私はどうにも我慢がなりません。

 憤懣やるかたなし、といったところです。

 一方で、チベット人やウイグル人にとって、今回の事態は半世紀以来,初めて巡ってきた正に千載一遇の好機といえるでしょう。正直にいいますと、純粋に応援したいという気持ちが、まずあります。

 と同時に、今回の事態は中国という国が
「ちょっとオシャレな北朝鮮」ともいうべきマトモでない国家であることを広く知らしめる絶好の機会であり、それが日本の国益にもかなうという考えもあります。

 
「純粋な思い」と、悪くいえば「打算」のようなもの。……しかし私はまず日本人であると自らを既定しているので、「打算」にそぐわない動きに賛同することはありません。台湾独立を応援している動機にも、もちろん「純粋な思い」と「打算」の両方があります。

 素人の中国観察者としていうなら、
チベット人やウイグル人にとってまたとない機会である今回の「喧嘩」は、中国の勝ちで終わることになるでしょう。少数民族が迫害されているという事実を国際社会に周知させるという意義は残せるものの、喧嘩そのものでは「五輪が流れても」との覚悟がある中共政権が負かされる可能性は極めて低いといわざるを得ません。

 もちろん、何らかの内的要因が加味されれば別。例えば漢民族を相手に死者多数が出る大規模な武力弾圧が公然と行われるとか(前掲エントリーにおける「変質」など)、超格差社会において国民の5割以上の暮らしが立ち行かなくなるほどの物価急騰が発生するとか、疫病の大流行といったものです。……が、これらはいずれも偶然に頼るものにすぎませんから計算には入れられません。

 物価高は確かに進行しており、これは時間とともに中共政権による独裁統治に強い負荷をかけていくことになるでしょう。ただチベット問題で国際社会が盛り上がっているいま現在から北京五輪前後の時期にかけて、庶民を蹶起させるほどの状況がいきなり現出するとはちょっと考えにくいように思います。

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 要するに、チベット人やウイグル人は喧嘩では中国当局に勝つことはできないだろう、という素人観察者としての見立てはあるのです。

 でもそれはそれとして、私自身には
チベット人やウイグル人を応援したい、という気持ちがあります。日本政府、というより福田政権に対する意思表示も行いたいです。こと対中外交においては毒餃子事件以前からの恨みつらみがありますから。

 むろん「打算」を伴うものでもあるのですが、例えばチベット問題の経緯についてネットや本などで知識を仕入れるにつれてこの気持ちは高まるばかりで、何やら居ても立ってもいられない、という気分になります。

 ですからこのブログとは別に、個人的に行動していこうと考えています。……実際にはもう行動していたりするのですけど(笑)。

 時間と体力の許す範囲内で、一人の小市民として関連のデモやOFF、それにシンポジウムなどに参加しています。これからも続けていくつもりです。

 そういうイベントに出ないときでも、ささやかな意思表示は行っています。仕事でも私用でも、スーツやジャケットを羽織って出かける際には襟に雪山獅子旗の
ピンバッジをつけています。もっともピンバッジはとても小さなものですから、やはり雪山獅子旗のブローチも着けたりしています。男性が着けても違和感は全くありません。

 でもこれだけでは、あまり目立ちません。

 そこで少し勇気がいるのですが、
プレスパスのツールがあります。展示会などで報道陣や出展者が首からぶら下げている、あれです。中に名刺を入れたりするのですが、ここに名刺大の大きさでプリントアウトした雪山獅子旗を入れておくのです。拙宅のプリンターは調子が悪いのでステッカーで代用しています。

 ちょっと気恥ずかしくもあるのですが、このくらいはしないといけない、と自らに課している作業です。地下鉄などで誰かが目を留めて、その中のごく一握りの人でもチベット問題に関心を持ってもらえれば、素晴らしいことではありませんか。

 あるいは、これも名刺大ですけど、外部者を社内に入れるときにスーツの胸ポケットに掛ける
プラスチック製の名札のようなものがありますね。あそこに雪山獅子旗を入れるのも一策です。これはかなり目立つかと思います。

 ――――

 イベント参加とは別に、そうした
「歩くだけでしっかり意思表示」を目下、私は仕事で関わる日本サイドの業界人を相手に伝道活動中。ブローチには乗ってくれる人が結構います。

 中にはそれをひけらかして、「俺って問題意識あるんだぜー」みたいな感じで異性の気を引こうとする向きもいるようですが(笑)、それはそれで知らしめることにつながるのですから善しとしています。結果オーライ(笑)。

 ところでステッカーは自作できるとして、ピンバッジやブローチ、といった小道具の仕入れ先ですが、私は専ら下記のウェブサイトに頼っています。有名どころですので御存知の方も多いことでしょう。

 ●「TIBET AID Japan」

 
「Enter」で入って、INDEX画面上部の「チベットグッズ販売」でいろいろ選ぶことができます。注文してから発送までが速いですし、安いですし、料金代引きでもOKですので重宝します。

 募金活動も行っているようです。私は長野の聖火リレーには出向けないので、当日の日当を振り込もうかと考えているところです。

 皆さん、せめてブローチなどを上衣に着けるだけでも、如何でしょう?それで変に目立つことはありませんし、「何それ?」から話題が広がることもあるかも知れませんし。

 遊就館の喫茶室あたりで、海軍コーヒーを飲みつつ零戦を眺めている変なオサーンの首から雪山獅子旗が吊されていたら……そしてもしあなたに勇気があれば、その顔をのぞき込んで、

「フランシスコは死にました」

 と合言葉を口にして下さい。わかる人にはわかるリアクションで反応致します。それ知らんかっとんてんちんとんしゃん(笑)。

 ともあれ、同志求ム。




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 2日前に流れたニュースですから別にたったいま飛び出したという訳ではありませんけど、たまには【緊急】なんて言葉を使ってみたいじゃないですか(笑)。

 いやいや笑い事ではありません。「業界に激震」「日系企業に戦慄」というほどではないでしょうけど、これは無視できない情報です。まだ謎な部分がありますが、当ブログの読者層からすると割とピンポイントな話題なので些か鮮度落ちのネタながら紹介しておきます。

 NNA~Yahoo!で流れたニュースですから先刻承知という方も多いかと思いますが、念のため。



 ●【中国】進むビザ取得厳格化、マルチ発給停止に(NNA 2008/04/01)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080401-00000001-nna-int

 中国でここにきて、一部の査証(ビザ)に対する発給制限が急速に進んでいる。当局の正式な通達は今のところ確認されていないものの、先には境外でのマルチビザ発給が全面的に停止され、3月31日現在で境外での申請が可能なのは留学(X)ビザなどを除き、基本的に30日の滞在のみ可能な観光(L)ビザ、訪問(F)ビザだけとなっている。このほか香港では就業(Z)一次ビザの発給停止も確認されており、日系企業も人員の異動などに際して十分気を付ける必要がありそうだ。

 31日午後現在で、ビザの発給に関する公安部からの通達は確認されていないものの、香港の旅行社では、28日からFマルチビザ、Z一次ビザの発給が停止された。また日本の申請代行業者も31日から「中国大使館の通達」を理由に、X、Z一次ビザ以外の受付を、随時30日滞在のL一次ビザ、F一次ビザのみに切り替えているもよう。ただ日本ではL、Fともに一次ビザのみ申請可能となっているのに対し、香港の旅行社は「二次ビザの申請も可能」としており、地域ごとに制限内容は多少異なるようだ。
 
 ビザ発給停止の期間や対象地域、目的などについては明らかにされていない。ここ数カ月は、一部地域でFマルチビザの期限が申請よりも大幅に短縮された形で発給されたり、上海や北京で就労を希望する25歳以下の新卒者にZビザの発給が認められないケースが確認されるなど、従来に比べ各種ビザの取得が難しくなっていたこともささやかれており、今回の措置はそれをさらに推し進めた形ともいえる。
 
 ■長期出張に注意
 
 一部には今回の発給停止について、北京五輪開催を前に外国人の頻繁な出入りや長期滞在に一定の制限を設けることで、治安維持を図るのが目的とした見方もある。期限内であれば出入国は無制限とされていたマルチビザの申請が今回停止されたことで、香港など境外に拠点を置き、本土に長期出張扱いで従業員を送っていた日系企業にとっても、しばらくは人員の配置や手続きの見直しが迫られることになりそうだ。
 
 中国本土内でビザ手続き代行を行っている旅行社の間では「現時点では何も聞いていない」「話として聞いてはいるが、通達はない」など、いまだ情報は錯綜しているもよう。さらに地域間で対応に差がある可能性も強いことから、しばらくは地元当局の動向に注意しつつ、関連手続きを慎重に進めていくことが求められる。




 この件については旅行会社勤務というkatsuさんのブログ「喝!」が外務省や中国総領事館への電凸も行うなどして詳報しておられます。

 ●緊急速報!中国と断交せよ!!(2008/04/02/20:30)

 エントリーのタイトルのような過激な内容ではありません、念のため。大変参考になりますので是非ご一読の程を。

 皆さんからの情報提供もお待ちしております。m(__)m

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 さて、ようやく金曜日になりました。時間がとれたので午後から御花見の梯子。そのあと来日直後の親しい香港人たちと酒盛りです。

 これから一眠りして、散髪を済ませてから繰り出す予定です。天気は悪くないようですけど、靖国神社も千鳥ヶ渕も桜がまだ散らずにちゃんと残っていてほしいものです。それだけが心配。






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 靖国神社を題材にしたドキュメンタリー映画を中国人監督が制作した、という話は中国国内メディアが昨年には報じていたので興味を持っていたのですが、題名が「靖国 YASUKUNI」であることは迂闊にも最近になって知りました。

 長い時間をかけ、あちこち取材して作り上げた結構真面目な内容のようです。機会があれば観てみたいものだと思っていたところ、日本で予定されていた映画館が相次いで上映中止を決めたそうで。実に残念です。

 所詮は中共政権が許容する範囲内の作品……といえなくもありませんが、「大国崛起・日本編」(百年維新)のような、「反日」「小日本」などお約束の臭みを伴わないテレビドキュメンタリーが中国国内で好評を博したりしていたので、電波ゆんゆんなものではあるまいと想像していました。

 「大国崛起・日本編」は中国人民にとって毒にも薬にもならない内容に乏しい作品でしたが、少なくともあのレベル以上で、とはいえ中国国内で御禁制の品となったNHKの「激流中国」には及ばない程度だろうと。要するに中共政権のドグマ(中共史観)から踏み出す新解釈は期待できなくても、参考までに一度観てみるのもよかろう、といったところです。

 ただし、この映画の制作にあたって文化庁の所轄法人から助成金が出ていたというのは不見識というべきでしょう。「南京」同様に、日中関係において「靖国」は歴史問題ではなく政治用語。特に「靖国」は外交カードにも使われる性質のものです。しかも事あるごとにそれで騒ぎ立てようとする中国は、日本とは価値観を到底共有しようのない一党独裁国家。

 詳しいことはわかりませんが、表現の自由など保障されていないその一党独裁国家の映画監督が、政治属性の強い「靖国」をテーマに撮る作品に、……つまり中共政権のプロバガンダに利用されかねないモノに対して、あろうことか日本政府系の組織がカネを出す。その感覚が私には理解できません。もし国民の税金が使われているのだとすればもちろん怒髪衝天。

 ――――

 映画の内容についても詳細は知らないのですが、韓国で上映されて評判がよく、香港国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を獲得したとか。でも香港なんざ、いまや中共政権の植民地ですから。配給会社のアルゴ・ピクチャーズは「国際的な評価も高い作品」としていますが、それって「特亜」向きって意味?

 ……報道によると、



 「靖国」は中国人の李纓(リ・イン)監督が、10年間にわたり、終戦記念日の靖国神社の様子などを取材した映画。軍服姿で参列する人々や、小泉純一郎前首相の参拝、合祀(ごうし)に反対する台湾や韓国の遺族が抗議する姿を、靖国神社のご神体とされる日本刀を作る刀匠の映像を交えながら紹介していく。

 ●映画「靖国」上映中止=東京、大阪の5館が自粛(時事ドットコム 2008/03/31/21:26)




 ……とのことですから、やはり香ばしい映画なのかも知れません。wikiにあたってみるとやはり香しそうな上に何やらトラブルも発生している様子。配給会社の制作したポスターも「ニッポン人に物申す」とかいう挑発的な、いかにも頭が悪そうな出来映えのものでした。

 それでも百聞は一見に如かず。日本政府が出資した基金から制作費の一部が出ていることを踏まえて、内容をしかと見確かめたいという気持ちが私にはありました。

 ところが上映中止になってしまったんですね。街宣右翼の脅しに屈した、といったニュアンスの報道がありましたが、それが事実なら連中は相変わらず低能だなあ、という感想しか残りません。幼稚なことをしたものです。

 ただし上映を予定していた映画館というのは、果たして日本全国をこぞってどのくらいあったのか。目下のところ上映中止を発表したのはたったの6館だけ。でもそれで「当面上映されないことになった」と記事にあります。

 つまりそのわずか6館が全てということなのでしょうか。そうであれば何という「国際的な評価も高い」新作!……テラワロスw。

 ――――

 ところでその6館のうち、街宣右翼とおぼしき政治団体から脅迫めいたものを受けたと認めているのは1館だけで、あとはノーコメント。要するに上映中止の真相は不明なのですが、するってーと新聞などが騒ぎ出して、騒ぎ出したと思ったら、



 ●嫌がらせや何らかの圧力により、結果的に作品発表の機会が失われたことは大変残念。表現の自由や制作者の活動に、何らかの制約が加わらないか危惧している。(渡海紀三朗文部科学相)

 ●嫌がらせや圧力で表現の自由が左右されることが不適切であることは言うまでもない。(町村信孝官房長官)

 ●もし、嫌がらせなどが原因で上映が中止になるというのであれば、誠に遺憾なことだ。(福田康夫首相)




 と政府首脳から相次いでコメントをとってまた記事にします。……これって費用対効果が抜群の宣伝方法ですね。上映館数が思いっきりショボいくせに全国紙で見出し付きで露出、というのは、鳴かず飛ばずに近かったしょこたんが自分で書いたブログが大ウケして華々しく復活したことを想起させます。

 ただし、しょこたんは特に意図したものでなかったのに対し、「靖国」がもし故意であれば実に入念な仕込みです。配給会社、なかなかいい仕事をしているといえますね。……って、そのくらいのことができるなら会社を潰したりしてませんか(笑)。

 そもそもちょっと話題になったくらいで「靖国」が数字を取れるとも思えません。ただ、
もしこれが中国映画ではなく邦画だったとすれば、新聞が騒いで政府首脳が「表現の自由」だのといった大仰な物言いをしたかどうかは気になるところです。

 ともあれ上映中止というのは惜しいことです。私はやはり観てみたいですし。……となればこれはもう中国大使館の出番。孔子学院を持っている大学に片っ端から圧力をかけて「靖国 YASUKUNI」の上映会を開催させるのです。

 それをマスコミに報道させて、政府首脳から改めて「表現の自由」云々のコメントをとって騒がせて、……という段取りを踏めば予定していた映画館でもたぶん上映できることになるでしょう。興行成績だけはどうにもならないでしょうが(笑)。

 でもこれによって孔子学院の真の立ち位置というか化けの皮もはがれますので日本人にとってもおトク。まあ、ここまでの騒ぎも中国大使館がマスコミに「厳命」した可能性がありますけどね。あるいは北京経由の遠隔操作?

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 ところで、われらがフフン♪こと福田首相の「靖国 YASUKINI」についてのコメントは上で紹介した通りですが、この談話には続きがあります。



 ●福田首相:映画「靖国」上映中止、「誠に遺憾」(毎日jp 2008/04/02/21:56)

 福田康夫首相は2日夜、靖国神社を舞台としたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映中止が相次いだことに「もし、嫌がらせなどが原因で上映が中止になるというのであれば、誠に遺憾なことだ」と記者団に述べた。

 チベット暴動の鎮圧で強硬姿勢を貫く中国政府への批判が国際的に高まっていることには「人権にかかわるようなことがあるならば、懸念を表明せざるを得ない」と述べた。ただ、北京五輪開会式への対応は「中国が努力している最中に、参加するとかしないとか言うべきではない」と述べ、中国政府の対応を見守る姿勢を強調した。【塙和也】




 この後半部には腹が立ちました。

「人権にかかわるようなことがあるならば」

 というその「ならば」って何ですか?さらに、人権にかかわることがあったとしても、

「懸念を表明せざるを得ない」

 ……ってその程度のリアクションでお茶を濁すのか、と。毒餃子事件にせよチベット問題にせよ、この消極的な姿勢、どうみても日本国民の間に広がる怒りの代弁者たるべき首相にふさわしいものとは思えません。

「中国が努力している最中」

 という言葉も見逃せません。ラサの僧侶をどんどん逮捕したり寺院にまとめて軟禁したり、デモを行ったチベット人を射殺するといった残虐きわまる行為が中国の行っている「努力」ということになるではありませんか。欧米諸国の対応も予想通り、決して気合いが入っているようにはみえないのですが、それに比べてもこの温度差はどうでしょう。

 それからこういう報道も。たぶん同じ場でのコメントだと思います。



 ●首相、チベット問題に懸念表明・五輪ボイコットは否定(NIKKEI NET 2008/04/02/21:13)

 福田康夫首相は2日夜、チベット自治区ラサで起きた大規模騒乱への中国の対応について「中国にとっては内政問題だが、人権にかかわるなら懸念を表明せざるを得ない」と指摘した。ただ、北京五輪へのボイコットに関しては「だれもそういうことは期待していないでしょう」と否定的な見方を示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。




 おやおや
「内政問題」ときましたか。「内政」なのに国際社会が騒いでいるのはなぜなのでしょう?北京五輪のボイコットについて「だれもそういうことは期待していないでしょう」と含みを残すことなく鮮やかに断定してみせたのもお見事の一言に尽きます。

 どうもフフン♪は「人権」についての感覚が欠落しているように思えてなりません。それゆえに民意への配慮が薄くなりますし、国民の安全を守るという政府としての基本的な務めも疎かになります。毒餃子事件をはじめとする中国食品の安全問題から在日中国人犯罪に至るまで、なぜこうも逆行する施策ばかり打ち出すのか。こういう感覚も私には理解できません。


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【追記】アルゴ・ピクチャーズによると、「靖国 YASUKUNI」の上映を予定していたのは全国で18カ所の映画館。このうち5館が公開中止を決定し、残り13館は現時点では上映する方針とのことです。

 ●映画「靖国」、来月大阪で上映…初の一般公開(YOMIURI ONLINE 2008/04/03/12:14)

 それはそれとして、どうでもいいようなニュースを振りまいているメディアもいるようで。

 ●海外最大の日本映画祭が開幕=「靖国」も上映-独フランクフルト(時事ドットコム 2008/04/03/10:59)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_date2&k=2008040300186

 ●「靖国」ドイツで上映へ 日本映画祭が開幕(asahi.com 2008/04/03/12:05)
 http://www.asahi.com/international/update/0403/JJT200804030002.html

 「靖国」がよっぽど大事なんでしょうねー。(2008/04/04/03:58)




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