日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





(シリーズ:対仏「愛国」戦争【1】)


 例の「おフランス」で行われたオークションという事件ですけれども。

 本来「事件」というべきものでは全くないのですが、中国が無理を通そうと強引にねじ込んだことで、日本を含む世界中のメディアに注目されることとなってしまいました。

 とはいえ事態はスケジュール通り、サクサクと進行しました。ただ中国側が「おいちょっと待て」と因縁をつけて、その邪魔立てを図り見事に失敗しただけです。

 無理を承知で競売差し止め訴訟なんて横槍を入れたり、国内の対仏世論を悪化させたり、フランス在住はもとより、海外の中国人に騒がせようとしたり。

 この一連の動きをどう表現したらいいのか適切な言葉が思い浮かばないんですけど、強盗の理屈のようなものです。ある人が所有しているものをオークションに出そうとしたら、

「それは元々はおれのものだ。だから競売に出さずおれに返せ」

 とまあ、ジャイアンのようなことを。

 基本的に、先進国をはじめとする世界の主要国はみな、法律によって運営されています。法治国家ですね。それらの国々によって構成される国際社会もまた然り。様々な約束事があって、それを無視したり悪用したりすると非難を浴びたり、相応の報いを受けたりします。

 中国も一応その中で呼吸するような国家になっているものの、約束事云々という意味では例外的な存在といっていいでしょう。今年で建国60周年を迎えるというのに、未だに「法治国家の実現」(依法治国)を大目標に掲げている国なのです。法制あれど法治なし。

 さてその経緯ですが……書くのも面倒くさいし阿呆らしいので、時系列順に下に並べておきます。御参照あれ。

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 ●中国、略奪品の競売中止要求 清朝時代のブロンズ像(共同通信 2009/02/18/17:31)

 ●清代の銅像所有フランス人「中国が人権認めれば返す」(asahi.com 2009/02/21/14:07)

 ●競売中止の是非判断へ清朝略奪品で仏裁判所(共同通信 2009/02/23/23:12)

 ●仏裁判所、中国側の訴え棄却 清朝時代の略奪品を競売(共同通信 2009/02/24/07:59)

 ●<中仏>「クリスティーズを締め出せ!動物像の競売にネットユーザーが猛反発―中国(Record China 2009/02/25/16:57)

 ●<中仏>「盗難文化財」の競売に反論声明、「金儲けの道具ではない」―中国(Record China 2009/02/25/23:41)

 ●サンローランの競売総額463億円 競売史上最高額を記録(MSN産経ニュース 2009/02/26/10:07)

 ●「もっと歴史知るべきだ」 遺品競売で中国メディアが批判(共同通信→MSN産経ニュース 2009/02/26/10:28)

 ●中国、清朝略奪品競売会社を非難「一切の結果負うべきだ」(共同通信 2009/02/26/13:02)

 ●中国、クリスティーズの輸出入審査を強化(共同通信→MSN産経ニュース 2009/02/26/13:42)

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 ……こうやって眺めてみると「強訴」という言葉が適切かも知れません。平安時代あたりに寺社仏閣が僧兵を使って朝廷に無理難題を呑ませようとした、あれに似ているように思えてきました。

「中国、略奪品の競売中止要求」

 なんてタイトルの記事がありますけど、その競売中止を求める根拠が中国側にはありません。だから「それは元々は中国のものだから……」と理屈にならない理屈で横車を通そうとして、しかしながら拠って立つべきものが全くありませんから予定通り敗訴。

 その前後には国内のネット世論を盛り上げさせて、いかにも13億もの中国人民が切歯扼腕し憤慨して血涙を流しているかのような演出を行う。フランス在住の中国人にも集会を開かせたりする。ここら辺が僧兵みたいなものですね。

 しかしながら根拠のない無理難題ゆえにスルーされてしまい競売成立。するってーと今度は「歴史を知れ」とか「中国人民の感情を無視した」などといった、理屈にもならない言辞を弄して、往来で四肢をバタつかせて駄々をこね泣きまくる幼児かのような見苦しい振る舞い。

 さらに「一切の結果を負うべきだ」「クリスティーズの輸出入審査を強化」などと今度は逆ギレ。

 そうした一連の行為を「恥」と思わないのは、きっと自らを世界の中心と任じて憚らない中華思想という民族的宿痾のせいでしょう。まあ大国超大国も似たようなことをやったりしますけど、もう少し見映えよく、何事かを後ろ盾にしつつ、瀟酒にやってのけるものです。その意味で、フランスとの今回の喧嘩は見苦しさ満点で中国の完全敗北。

 ところで、こういう始末に負えない中国の恥ずべき挙措について私たち日本人はもうすっかり慣れていますね。例えば靖国神社に首相が参拝したときに中国外交部が出す抗議声明とか中国国内メディアの騒ぎっぷりがそれです。

 根拠がないので抗議声明は毎度毎度「中国人民の感情を傷付けた」という訳のわからないフニャフニャした理由が繰り替えされます。実は内政干渉をしているという時点で、中国は日中共同声明に明確に違反しているのですが。

 それでも日本人はお人好し、というより日本人の中に心得違いをしている者がいて、しかもそういった手合いは主として教師とかマスコミとか評論家や政治家あたりに群居しているため、この中国の無理難題に真面目に取り合う馬鹿が大勢出てきます。

 いや馬鹿ではありませんね。中国様の代弁者として働くことで、何らかの利権を得ようとしている訳ですから。

 ところがフランスはそんな甘い国ではありませんでした。駄々をこねる中国に対し冷笑を以て報い、

「ダライ・ラマ十四世がチベットに戻られるようにするなら返してやってもいいよ」

 と、銅像の所有者から切り返された中国は「無茶苦茶なことを」と逆ギレする始末。なるほど中国に対してはこういうあしらい方をすべきなんですね。……まあ僅々数年前、小泉純一郎・首相の時代には日本もそれをやっていたんですけど。

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 略奪や盗難などによって海外に流出した文化財を保護する約束事というのは、国際社会には実はあります。ユニドロワ条約というのがそれで、盗難なり略奪であることが証明されれば、当該文化財は本来の持ち主の国に返還されるというものです。中国がこの条約に調印したのは1996年。

 ところが、この条約の締結国というのは約30カ国のみで、アメリカもイギリスも日本もフランスもこれに調印していません。

 だから中国がいくら騒いでも約束事としては機能しませんし、法的根拠にもならず、実際フランスで今回行われた裁判がそうであったように、「何それ?」と一蹴されてしまうのです。

 要するに中国は手も足も出ません。悔しいのう悔しいのう。

 電波系対外強硬派あたりが好む『環球時報』、これは僧兵どもの主犯格のようなものですが、党中央機関紙『人民日報』の系列紙です。その電子版『人民網』の記者が26日に開かれたオークションの傍聴席にいたという記事がありました。

 中国人記者ということで、まず入場する時点でカメラの持ち込みを禁じられ(一般観客は持ち込みOK)、オークションが始まってみると、それまで静かに進められていた競売が、問題の銅像2体が落札されると期せずして会場に拍手が湧き起こったとのこと。悔しいのう悔しいのう。

 記者はさぞや不愉快だったでしょうが、さらにその拍手のなかで、意外にも記者の隣に座っていたフランス人のお婆さんから、

「まあ可哀想にねえ」

 と声をかけられたので、それに対して一瞥を与えることもなく、黙って席を立ち会場を後にしたそうです。悔しいのう悔しいのう。

 ●「人民网→環球網」(2009/02/26/09:29)
 http://world.huanqiu.com/roll/2009-02/385420.html

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 しかし、悔しい悔しいとも言っていられません。中国はいま常ならぬ状態にあります。

 江沢民型の経済成長モデルが超格差社会の出現という形で行き詰まる一方、一党独裁制の必然的な帰結ともいえる「官」による汚職や横暴がごく日常的に蔓延。さらに物価高の後にドカンと降って湧いた世界金融危機によって輸出頼みの経済構造が一頓挫。失業者が量産され、まずは出稼ぎ農民1億3000万人のうちここ数カ月で2000万人が職を失ったとか。

 その一方で、就業難も深刻です。今年の大学新卒者は大体いまごろ就職先が決まるそうですが、現時点での予定就業率は驚くなかれ35.6%。大雑把にいうと、新卒予定者の3人のうち2人までは身の振り方が決まっていないのです。じゃあとりあえずバイトでしのげばいいじゃん、フリーターになるしかないな、というのは日本の話。そういう職すらなくて、就職説明会で出稼ぎ農民と新卒予定者が就業機会を奪い合ったりしているのが現実です。

 こうした状況のなか、デモ・スト・陳情ひいては暴動といった「民」による抗議活動が連日頻発しているのが、いま現在の中国社会。「官」たる中共政権にとって、何が怖いかといえばこれが大規模な暴動→政権顛覆運動へと発展することでしょう。

 何らかの形で怒りのエネルギーが噴出してしまうと、その怒りの鉾先がどこであれ、展開次第ではいつの間にか「反政府」へとベクトルの向きが変わっていても不思議ではありません。庶民にしてみれば、現在のような状況を生み出したのは「官」であり、また特権を振りかざして汚職や不埒な悪行三昧を繰り返しているのも「官」ですから。

 ……という訳で、今回のようなケースで拠って立つべきものがないためにネット世論に騒がせて……要するに人海戦術で臨む、というお決まりのやり口も、実は白刃の上を素足で渡る際どさがあります。30歳から下は実に歪んだ愛国主義教育というものを受けている世代ですから、相手が日本であれロシアであれフランスであれ、例の「愛国無罪」が再燃して暴走し始めると、社会状況が改革開放政策を始めて以来最悪といっていい危険水域にありますから、解き放たれたエネルギーがどこへ向かうかわからなくなります。

 それゆえ、当局には「騒がせる」にしても自然発生的な「騒ぎ」にしても、あくまでもその手綱を自分で握っていられる状態をキープしなければならない、という微妙なさじ加減が求められます。今回のオークションの件にしてもロシアによる中国貨物船撃沈事件にしても、煽り役を担当する『環球時報』や『国際先駆導報』は怒りの記事と同時に火消し的なニュースも併せて流すことでバランスをとろうと試みています。

 むろんそうした国内情勢だけでなく、ロシアやフランスとの関係を必要以上に悪化させたくない、という党中央の意図もあるでしょう。

 ●沿海部の就職難、中国の不安の種に―米紙(RecordChina 2009/02/26/08:20)
 http://www.recordchina.co.jp/group/g28920.html

 ●今年度卒業生の就職率わずか35.6%、超氷河期か―中国(Record China 2009/02/25/07:14)
 http://www.recordchina.co.jp/group/g28896.html

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 ちなみに、「愛国無罪」にはそこに至るプロセスというものがあるように思います。

 (1)『環球時報』や『国際先駆導報』が煽る。
 (2)ネット世論が沸騰する。
 (3)ネット署名が開始される。
 (4)署名運動が現実世界の街角などでも展開され始める。
 (5)署名活動で集まった群衆が騒いだり、抗議デモが行われたりする。
 (6)プチ暴動発生。

 ……といったところで、2005年春の反日騒動は(6)まで行きました。昨年春のフリーチベットに伴う対仏感情悪化に端を発した動きは(5)まで進行し、フランス系スーパー・カルフールの前に群衆が屯集したり店内に乱入したりしました(「シリーズ:攘夷運動2008」参考)。皮肉にもその勢いを止め、エネルギーの向かう鉾先を全く違う方向へと転じさせたのが5月の四川大震災です。

 今回はロシアに対してもフランスに対しても、騒動は(2)から先には進みませんでした。オークションに対しては「環球網」(『環球時報』電子版)が大手ポータルサイト「騰訊網」(QQ.com)と共同ネット署名を開始した、との告知はありましたが、実際にそのページに飛んでみると、署名ではなく単なる怒りの声をぶちまける掲示板でしかありませんでした。当局による抑制が機能した、とみるべきでしょう。

 一方で、こうした対外的な騒ぎは往々にして政争を呼ぶものですが、ロシアやフランスではネタにならないのか、本来動くべきアンチ胡錦涛諸派にそれらしい挙動はみられませんでした。目下のところは別次元での綱引きが進行中です。

 以下は余談になるかも知れませんが、「歴史を知らない」とわめく中国には「お前が言うな」というツッコミが最適です。中共史観はそれを絶対に認めようとはしませんが、物事の価値観というものは、時代によって変化していきます。過去に、他国を侵略し植民地化して自国の勢力を伸張することが正義だとされた時代がありました。今回のオークションで騒がれた圓明園の銅像2体が流出したのは、正にその時代です。もちろん、略奪というのはほめられたことではありませんけど。

 第二次大戦における日本の敗北という作用もあったでしょうが、戦後、植民地だった地域が続々と国家として独立し、植民地化=悪という価値観が新たに登場します。その新たな価値観の時代に逆らうかのようにドサクサにまぎれてチベットに武力侵攻し、その地を併呑したのが他ならぬ「歴史を知れ」の中共政権です。

 その意味で、

「ダライ・ラマ十四世がチベットに戻られるようにするなら返してやってもいいよ」

 という銅像所有者による中国への切り返しは意地悪とかユーモアではなく、中国の返還要求に対する意外に見事な「返句」であるといえるかも知れません。

 という訳で、一件落着。……といくかと思えば、さにあらず。ネット世論で息を巻く糞青ども(自称愛国者の反日信者)を燃え上がらせるためには、やはり真打ちである日本の登場が欠かせません。

 ●尖閣めぐる首相発言に抗議=中国(時事ドットコム 2009/02/26/20:56)

 ●中国、首相発言に反発 尖閣の領有権問題で(共同通信→MSN産経ニュース 2009/02/26/21:20)

 ほーら。来ましたよ来ましたよ。心ときめく春はもう目の前なのであります(笑)。


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 今回は「おフランス」の話にするつもりだったのですけど、急きょ差し替え。初動期である現在の様子をみるに1日放置しても大丈夫ですし、それより何より、チベット暦の元日である昨日2月25日の様子について、『東京新聞』の素晴らしい記事を目にしてしまった以上、これをスルーする訳にはいきません。

 という訳で『東京新聞』さん、タイトルまで借用して申し訳ありませんです。m(__)m

 では電子版に出たその記事から。現地報告です。限られた行数の中でチベット人の怒りと悲しみ、そして中共当局による厳重なる監視態勢という緊張した状況を見事に表現した、私にしてみれば「さすがはプロ」な文章。「抗議込め読経響く」というタイトルからして、胸に迫ってくるものがあるではありませんか。



 ●チベット旧正月祭り自粛 抗議込め読経響く(東京新聞 2009/02/26)

 【黄南チベット族自治州(中国青海省)=小坂井文彦】チベットの旧正月を迎えた二十五日、昨年三月のチベット騒動の犠牲者に対する哀悼と、中国当局への抗議を込めた僧侶たちの読経が各寺院に響いた。例年行われる競馬などの祭りを自粛し、静かな新年の始まり。街では暴動を警戒して、新年には不釣り合いな武装警官隊が巡回を続けていた。

 同日早朝、青海省都の西寧市からチベット人居住区に向かう途中、出会ったチベット人男性(32)が携帯電話を差し出した。チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ十四世の所蔵写真を見せる。

 昨年の騒動弾圧以降、ダライ・ラマの写真を所蔵するだけで公安当局による拘束の理由となるが、「信仰は絶対だ」と話す。中国当局によるダライ・ラマを批判する教育にも、僧侶は「信仰がいけないのか。国連は何と言っているのか」と訴えた。

 午前八時半、青海省海東地区のシャチュン寺で読経開始の太鼓が鳴った。僧侶たちが経堂に集まる。近くの村人たちは、経堂の脇で祈りをささげた。今年は「喪に服す」ため、新年のごちそうも、服の新調も控えた。

 経堂の外では、警官約百人がにらみを利かせていた。約一週間前から毎日、警官が巡回に来ている。

 シャチュン寺も昨年三月に抗議のデモを行った。直後、警官約五十人がデモを封じ、警官は北京五輪の終わる八月末までテント生活をしながら監視を続けたという。

 僧侶の一人は「例年は漢民族と一緒に中国の春節(旧正月)も祝うが、今年は高僧の指導で祝わなかった」と話した。抗議の一環で地元政府からの爆竹費用の提供も断った。

 チベット自治区のほか、周辺省内のチベット族自治州にも数万人の警官が動員されている。来月まで警戒にあたるようだ。

 僧侶の一人は「できるか分からないが、騒動一周年の来月十四日には抗議行動を起こしたい」と語った。



 紙面ですとこの記事の隣には中共当局が無理矢理に新年のおめでたさを盛り上げようとしているとか、チベット統治の正統性を強調するとかいった記事もあり、できるなら紙媒体で是非、御覧頂きたいところです。その記事の中には、中共政権側のチベット人研究者が記者会見において、



 チベット族がダライ・ラマの写真を持つだけで拘束される現状をドイツ人記者が正すと、「ドイツでヒトラーの宣伝ができないのと同じで、ダライを公共の場で宣伝してはならない」と言い切った。



 という驚きの一節もあります。

 冒頭の電子版の記事を目にした私は、すぐ家を出て近くの売店に新聞を買いに走りました。売り切れたものもあり、手に入ったのは『東京新聞』のほか、『読売新聞』『朝日新聞』『産経新聞』の3紙でした(いずれも2009年2月26日付)。

 『産経』は全く報じていませんが、『東京新聞』『読売新聞』『朝日新聞』はいずれも現地からのレポート。ただしさすがにチベット自治区には入れなかったようで、四川省・甘孜チベット族自治州などで取材活動を行ったようです。

 『読売新聞』は短めの囲み記事でしたが、



 ●四川省甘孜チベット族自治州では、昨年3月14日のチベット自治区ラサ暴動に端を発した反政府デモ弾圧に抗議し、市民や僧侶らが恒例の祝賀を拒否した。

 ●「何百人もの仲間が投獄されたままだ。新年の気分ではない」。約100台の軍用車両を高台から見下ろすチベット仏教寺院・甘孜寺では、昨年3~5月に何度かデモが発生。州内では最大の厳戒態勢となっている。年配の僧侶は「犠牲者と投獄者のために読経をするだけだ」と話した。



 などと報道。

 一方、『朝日新聞』がなかなか頑張っています。

「チベット追悼一色 旧正月、人影まばら 自治州、警察が監視」

 というこれもビジュアルっぽい見出しを掲げ、甘孜自治州の州都・康定の様子を詳報。



 ●中心街では、例年なら鳴る爆竹の音は聞こえず、広場の人影はまばら。大通りでは約100人の治安部隊が「おう!おう!おう!」とかけ声を発して行進。

 ●ホテル従業員によると、1週間ほど前から携帯電話のメール機能が使えなくなった。

 ●甘孜自治州内に住むあるチベット族男性は「平日と同じように過ごす。私たちはひたすら読経するだけ。理由は聞かなくてもわかるだろう」と、昨年の騒乱の犠牲者を追悼する意思を示した。



 また、亡命チベット人の街であるインドのダラムサラ発の記事もあります。



 ●チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が亡命した59年以来、「身内に不幸がある人は新年を祝わないが、社会全体での自粛は初めて」(亡命政府報道官)という。

 ●ダライ・ラマは24日、新年に寄せて声明を発表した。「昨年は数百人の命が犠牲となり、数千人が拘束、拷問された。内外のチベット人の新年を祝わない決意をたたえる」と表明。チベットで中国当局による抑圧が厳しい現状に触れ、「外出して自らの希望をわずかに示唆しただけで、拷問と拘束に直面する。挑発に乗って命を犠牲にしないように」と呼びかけた。



 とのことです。……あ、『朝日新聞』の記事は電子版にも出ましたね。

 ●チベット、凍る正月 まもなく騒乱1年、強まる監視(asahi.com 2009/02/26/08:00)

 『朝日新聞』はこのほかマカオで反体制活動を厳格に取り締まる国家保安法(国家安全法)が成立したことも報じており、ポイントが高いです。

 ●マカオ、国家保安法スピード可決 反体制活動に罰則(asahi.com 2009/02/26/00:03)

 なーにマカオがどうなろうと痛くもかゆくもないんですけど、この法律が香港でも成立すると、私はコソーリ活動ができなくなってしまいます。当ブログも文字通りの「大毒草」で、私がこれを香港で発表すれば即逮捕間違いなし。

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 ともあれ。中国国内においてチベット人は「私たちは正月を祝わない」運動を見事にやり遂げたようです。

 米国では在米チベット人約300名がニューヨークの国連本部前でデモを行ったとのこと。

 ●(明報即時新聞 2009/02/26/07:50)
 http://www.mpinews.com/htm/INews/20090226/ca40750i.htm

 ダライ・ラマ自らが賞讃しているのですから、何のタブーもない筈です。日本でもTSNJをはじめ関係各団体による何か呼応する動きがあったのでしょうか?





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 忙しいったらありゃしません。報道量が倍加する毎年恒例の政治イベント・全人代(全国人民代表大会=なんちゃって国会)の開催を来月に控えたこの時期だというのに、中国関連の刺激的なニュースが次々と飛び込んできて、こちらは大わらわ。野次馬なんですけど「もう少し休ませろ」と文句も言いたくなります。

「尖閣諸島問題で5月に台湾の民間団体が上陸作戦。中国と香港からも活動家が参加か」

「日本が国連改革に乗じて、安保理常任理事国入りに再挑戦へ」

 という、これなんてパーフェクトなコンボが先週成立して、さてどうなるかなとこちらはwktk。「反日」フラグが立つことで、胡錦涛の敵対勢力がこれをネタに政権を揺さぶろうと暗躍するでしょうし、ネット世論を中心に庶民レベルでの「沸騰」の可能性も大。

 野次馬としては2005年春の反日騒動を想起せずにはおれません。政争勃発はもちろん、当時よりもんのすごーく悪化しているいま現在の中国の社会状況下で「沸騰」が起きたら一体どうなってしまうのだろう、という化学変化への期待感も膨らむというものです。

 ところがそう思っていた矢先に、幸か不幸かロシアによる中国貨物船撃沈事件が発生。

 「反日」の旗振り役である電波系対外強硬派メディア、『環球時報』や『国際先駆導報』は「反日」を放り出してこのニュースに飛びつきました。ネット世論も同様です。そりゃそうでしょう中国貨物船が理由が不明瞭なままロシアの巡視船に銃撃され撃沈し、しかも中国人船員に死者が出ているのですから。

 ただし当初はともかく数日眺めていると、対日問題に比べ、ネット世論の反応ぶりはいまひとつ勢いに欠ける感がありました。日本が相手であれば、

「東京を原爆で焼き払え」

「日本人の男は全員殺して女はレイプだ」

 みたいなどぎつい書き込み、これは中国語が即物的な表現に傾いていることにも起因するのですが、まあこういった言辞が掲示板を埋め尽くします。ところが今回の貨物船撃沈に対するロシアに向けての書き込みには、これほどの勢いがありません。

 そもそも悪意をこめてロシア人のことを「北極熊」と読んだりしています。「日本豬」とか「小日本」という明らかに侮蔑的な表現とはちょっと違います。ロシアとロシア人に対する畏怖のようなものが「北極熊」からはにじみ出ているように思うのです。なに遠慮してんでしょーね。ひょっとしてロシア人女性には食指が動かないのでしょうか?……おっと筆が滑り過ぎた。

 あるいは、反ロ気運のヒートアップぶりに勢いが欠けるのは、江沢民の始めた愛国主義教育で「反日」は叩き込んだけど「反ロ」はやらなかったから、なんてのも一因だったら嫌ですねえ。

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 中国当局(外交部)の反応も元気に欠けます。

「ロシア側に急ぎ接触した」

「ロシア側は中国のこの問題に対する関心について高度に重視している」

 という、『環球時報』や『国際先駆導報』より一歩遅れた初動から、

「ロシア側の対応ぶりには不満だ」

「貨物船撃沈についてロシア側の説明を受け入れられない」

 といった姿勢のまま、昨日(2月24日)の外交部報道官定例記者会見では、

「われわれはこの事件に深刻な関心を寄せている」

「すでに何度もロシア側に接触している」

「ロシア側は船員に死傷者が出たという悲劇的な結果に遺憾を表明した」

「ロシア側は中国側へ事件の調査状況を早急に通知するとしている」

「いまはその結果待ちだ」

 と、どうも及び腰。長年の交渉によってロシアからの20年に及ぶ石油供給契約が成立したということもあるでしょうし、対米関係、対ロ関係のバランスに対する配慮もあるでしょう。蠢動すべき対外強硬派などアンチ胡錦涛側もそれに同調しているのかも知れません。それから、「北極熊」という言葉が象徴するような、ロシアに対するそこはかとない畏怖のようなものをやはり指摘しておきたいところです。

 ●「新華網」(2009/02/19/22:22)
 http://news.xinhuanet.com/world/2009-02/19/content_10852065.htm

 ●「新華網」(2009/02/19/22:22)
 http://news.xinhuanet.com/world/2009-02/19/content_10850660.htm

 ●「新華網」(2009/02/19/22:22)
 http://news.xinhuanet.com/world/2009-02/19/content_10851635.htm

 ――――

 李輝・外交部副部長がロシア大使への不満表明を行ったりもしているのですが、ロシア側は、

「発砲は合法的行為」

「貨物船の沈没と乗組員多数遭難の責任は同船船長が追うべきもの」

 などと取り付くシマもなし。船長は刑事起訴される見通しですが、日本も尖閣問題における民間団体の領海侵犯に対しては、追い払うのではなく拿捕して日本の法律でサクサクと裁くことが必要ですね。実効支配の「実」をあげるべきです。

 まあ今回の事件、日本に撃沈されたなら取り返しのつかない騒ぎになっていたでしょうが、その騒ぎっぷりを受け止められる余裕がもはや失われているために、中国社会が大崩壊へと進む可能性もありました。その最悪のシナリオを、一方の当事者が日本でないために回避できたのは幸いというべきかも知れません。

 ●「新華網」(2009/02/19/19:15)
 http://www.mpinews.com/htm/INews/20090220/ca51915c.htm

 ●「明報即時新聞」(2009/02/20/21:39)
 http://www.mpinews.com/htm/INews/20090220/ca52139c.htm

 ●「新華網」(2009/02/19/17:35)
 http://news.xinhuanet.com/world/2009-02/19/content_10850660.htm

 ●「新華網」(2009/02/19/22:22)
 http://news.xinhuanet.com/world/2009-02/19/content_10852065.htm

 ●「環球網」(2009/02/20/15:12)
 http://world.huanqiu.com/roll/2009-02/379901.html

 ●「環球網」(2009/02/20/15:18)
 http://news.sina.com.cn/c/2009-02-20/151817256058.shtml

 ●「新華網」(2009/02/24/19:33)
 http://news.xinhuanet.com/world/2009-02/24/content_10886998.htm

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 そもそもネット世論がファイヤーしないようにするためか、この事件に関してはその内容にも関わらず新華社発の情報が少なく、また『人民日報』など機関紙系の筋の通った全国紙での扱いもそう大きくはありませんでした。情報の多くは例によって『環球時報』や『国際先駆導報』からもたらされ(その大半は独自取材)、

「ロシア側は弾庫がカラになるまで撃ちに撃った」

 というようなセンセーショナル見出しが躍ったこともありました。大手ポータルのニュースサイトがこれらをほぼ逐一転載しているため、電波系メディアの発した情報でも一応全国ニュースとなってはいます。

 ただ『国際先駆導報』などはその一方で、「中ロ人民は双方とも冷静に向き合うことが肝要」などといった火消し記事も掲載しています。大手ポータルでも「新浪網」の関連報道では船主である香港企業側の声明を掲載するたびに、

「当声明を掲載したのはより多くの情報提供のためであって、その内容を事実と認めたことを意味する訳ではない」

 という断り書きをわざわざ文末に付しています。……あ、騒いでいる張本人の「環球網」にも同じ文言がありました。恐らく当局の差し金か、当局の意を汲んでの前代未聞ともいえる但し書きなんでしょう。こうなってくると、撃沈された貨物船がクロだった可能性も勘繰りたくるというものです。

 ともあれ。「尖閣問題&常任理事国入り再挑戦」という反日ネタを吹き飛ばした北極熊の大暴れについて、中国のネット世論は鎮静化の方向へと進みつつあります。むろんこれは当局の何らかの圧力が奏功しているというだけでなく、フランスの例の事件、すなわち第二次アヘン戦争で北京に進攻した英仏連合軍が略奪した文化財が中国側の反対を一蹴してオークションに出されるというニュースへと中国国内メディアの目先が転じているからでもあります。

 という訳で次回はたぶん、おフランスということになるのでしょうか。この問題についても火消し記事が出始めており、多くを期待するのは望み薄なんですけど(笑)。

 いよいよ政治的に敏感な時期に入りつつある中国国内の問題になかなか入っていけないので困ります。

 ●「新浪網」(2009/02/23/10:47)
 http://news.sina.com.cn/c/sd/2009-02-23/104717270565.shtml

 ●『国際先駆導報』(2009/02/23/10:59)
 http://news.xinhuanet.com/herald/2009-02/23/content_10874616.htm

 ●「環球網」(2009/02/19/12:32)
 http://world.huanqiu.com/roll/2009-02/378299.html

 ●「新浪網」(2009/02/23/18:12)
 http://news.sina.com.cn/c/2009-02-23/181217272168.shtml

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 なお、今日2月25日はチベット暦の元日にあたりますが、以前紹介したように、中国国内のチベット人の間では「正月を祝わない」運動が広く行われる可能性があります。在台湾のチベット人たちもこれに同調しているようです。

 では日本は?ということになるので、伝手があるので電凸してみました。権威筋によるとこの運動は「目指せチベット独立」を標榜する(ダライ・ラマの主張より遥かに踏み込んだ)「チベット青年会議」が中心に行っているため、TSNJなどチベット関連団体が足並みを揃える可能性は低いとのことでした。

 それにしても「正月を祝わない」という、民族にとっては晴れのイベントであろう大切な伝統行事を敢えて自ら拒否する、という勢いと断固たる決意は、中国のネット世論とは全く別次元。比較にならない民族の怒りと悲しみの激しさを感じ、そこまで思い切ることにある種の戦慄を覚えずにはいられません。

 ●「明報即時新聞」(2009/02/22/20:57)
 http://www.mpinews.com/htm/INews/20090222/ca72057c.htm





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 中国・山西省で昨日2月22日、大規模な炭鉱事故が発生しました。

 血も涙もない言い方をすると、中国で炭鉱事故と聞いても「やれやれ、またか」という感想しか浮かびません。炭坑での事故は不可避ながら、中国ではそれに対する備えがずーっとザルのままだからです。

 簡単にいうと、事故を防ぐため、また安全に採掘するための機械などを「コスト高になる」として導入せず、その不足分を人命で補うという構造になっているからです。ですから大型の炭坑で事故が起きた場合、機械が潰れる代わりに炭坑夫がわんさか死ぬこととなります。

 前にも書きましたが、中国における最大の資源は人間。そして中国経済は人間を生産財として使うことで成立しています。以前の「いくらでも搾取OK」の工場労働者とか、農民からガンガン土地を巻き上げて開発事業を行い、補償金は新生活を始められないような雀の涙だったりとか(雀の涙でなくても、途中で役人どもが着服していくケースがままあるのです)。

 まあ地獄のような仕事環境とか路頭に迷う人を量産することで、中国は歪んだ形ながらも経済発展を実現してきました。対外依存度が高いことだけでなく、一党独裁制のため党幹部やそれに連なる輩どもが庶民を泣かせてカネ太りしていく、というのも「歪み」のひとつなのです。

 さて今回の事故。



 ●中国の炭鉱でガス爆発74人死亡 数十人取り残される(共同通信 2009/02/22/22:22)

 【北京22日共同】新華社電によると、中国山西省太原市古交の炭鉱で22日未明、ガス爆発が発生し、74人が死亡、114人が重軽傷を負った。坑内には依然として数十人の作業員が取り残されており、犠牲者がさらに増える恐れがある。

 爆発の原因は不明。事故発生時には坑内で436人が作業していた。地元当局が、取り残された作業員の救助活動を行うとともに、事故原因の究明を進めている。

 山西省では、鉱山に絡む事故が多発。2007年12月には臨汾市の炭鉱で100人以上が事故死した。昨年9月にも同市で違法操業の鉄鉱山のダムが決壊して土石流が発生、270人以上が犠牲となり、当時の孟学農省長らが監督責任を問われて事実上更迭された。



 ……という状況のようですが、坑内に取り残されている炭坑夫が相当数いることから、死者が100人に達する久々のスマッシュヒットになりそうですね。……不謹慎?んなこたーないですよ。不謹慎な経済構造を堅持しているのですから起こるべくして起こる悲劇なのです。

 毎度毎度のことなんですよねー。以前どこかで書いたかと思いますが、中国の炭坑夫の平均事故死率というのは、米国の100倍くらいじゃなかったかと思います。だいたい1億人死んでも総人口の1割にも満たない国です。逆に口減らしになってウマーなんて考えている政府高官もいたって不思議じゃありません。

 ちなみに炭坑夫の命の値段、つまり事故死した際の補償金の相場は20~30万元。どこの炭坑だって「まあウチは大丈夫だろ」くらいの気持ちで多寡をくくって操業していますから、運悪く事故さえ起きなければハイリターンで経営者はウハウハ。むろん利潤の一部は地元政府の要路に献上して、いざというときに刑事案件での逮捕を免れたり、メディアの口封じを行うために保険をかけていす。でも20人くらいまでならともかく、70人とか100人も死者が出たら以て瞑すべし。まあそのあたりも織り込み済みで、根拠もなく「まあウチは大丈夫だろ」と操業しているのだと思いますけど。

 当ブログもスタートして5年近くになりますから、こういう話題は嫌になるほど取り上げてきました。他にも関連エントリーが色々あるのですが、以下の記事で「人命は生産財」という「中国の特色ある社会主義」の大原則が御理解頂けるかと思います。

 ●悪魔の錬金術(2004/12/19)
 ●人命軽視?――仕様ですから。(2005/02/17)
 ●それでも人口は増える一方。(2005/08/09)
 ●やっぱり人命軽視は仕様、ていうか国是。(2005/08/25)
 ●お得意の魔法もそろそろ限界?(2005/08/26)
 ●Singin' in the Rain――大水害で張り切る連中。(2006/07/25)
 ●ぜーんぶ人災。事故じゃなくて事件でしょ。(2007/08/19)
 ●補遺として,北京五輪。(2008/09/05)

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 さて今回事故の発生した山西省は中国きっての石炭の生産地として知られています。当然ながら大惨事の発生する確率も高く、当局の責任問題となりますから、地元当局は致し方ないとしても、省当局にとったらシャレになりません。

 省のトップである山西省党委員会書記やナンバー2の省長(一党独裁国家ですから政府より党部門の方が格上なのです)あたりは、将来中央で活躍することを期待されて治世経験値アップのために武者修行的に回されたポスト、といった色彩が濃いのです。これは山西省に限りませんが、地方の治績で好成績を残した者には、任期満了とともに中央に呼び戻されて党中央政治局あたりへ昇格するケースが少なくありません。

 ですから炭鉱事故に限らず、任期中に死者3ケタとかいった事故・事件が起きてしまうと、省当局トップクラスにとっては政治生命を左右されかねません。最近は民意を慮って詰め腹を切らされるケースもあるので、油断がならないのです。

 ただし、斬られるかどうかは後ろ盾にもよります。要するに党中央の実力者が強力な政治的保護者として存在していれば、結構無事だったりするのです。

 上に並べた古いエントリーの中には広東省のスマッシュヒットな炭鉱事故頻発を紹介しているものがありますが、当時の張徳江・広東省党委員会書記と黄華華・広東省長はいずれも引責辞任に追い込まれることはなく、張徳江は党中央政治局委員(兼副首相)へと転出し、黄華華は広東省長のポストを維持しています。

 その実、両人にとって現在のポストは不本意なのかも知れませんが、失脚していないのですから、一応後ろ盾による庇い立てがあったとみていいのではないかと思います。ちなみに張徳江は江沢民に近い筋と目され、一方の黄華華は胡錦涛の出身母体で旗本的直系派閥ともいえる「団派」(共産主義青年団出身者)です。

 中央の覚えめでたく……というケースを挙げるとすれば、党中央政治局入りした李源潮・前江蘇省党委書記がいますし、現在その道を驀進中なのは汪洋・広東省党委書記です。特に汪洋は直轄市になってほどない不安定な重慶市で業績を残し,今度は中央との間に距離を置かんとする独立志向の強い広東省のトップ。これを勤め上げれば、すでに飛び級で党中央政治局委員入りしていますから、そのときの勢力図によっては、中国における事実上の最高意思決定機関である党中央政治局常務委員への昇格という可能性もあります。

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 ああ山西省の話でした。炭鉱事故というハイリスクを抱えているため、ここはトップクラスにとっては常に気の抜けない難治の省といっていいでしょう。しかしここで大過なく任期を全うすれば、前途洋々ということになります。

 ……で、最近の山西省当局のトップクラスに関する人事をみていると、何やら「団派」が修業する場となっている観があります。胡錦涛は千尋の谷に突き落とすような心持ちで期待する自派の若手を配置しているのかも知れません。

 そもそも胡錦涛自らもチベット自治区党委員会書記を任された間に暴動が発生し、すかさず戒厳令を敷いて容赦なく武力弾圧した経歴の持ち主。その果断さと「中共人」としての揺るぎなき一徹さを買われてトウ小平直々の大抜擢を受け、異例ともいえる江沢民の後継指名という栄誉に浴しているので、山西省のトップクラスくらい平気でこなせない奴は中央に戻しても使い物にならない、というくらいの厳しい考えを持っているのかも知れません。

 しかし人災ともいえる炭鉱事故や強制労働事件のような厄災は、山西省が石炭産地であるだけにどうしても起きてしまいます。当初私は、事故・事件の発生は不可避としても、善後処置やダメージコントロール、さらに中央に対する報告を見事にやってのければ合格点をもらえるのでは?と思っていました。ところが、どうも違うようなのです。

 前述した通り、山西省には近年、胡錦涛が「団派」のホープを送り込んでいるのですが、いずれも討ち死にして死屍累々の観があります。

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 まずは山西省長だった于幼軍が2007年に、レンガ工場強制労働事件で更迭されています。もっとも表面上は更迭のようでも中央のポストに就くという含みがあり、実際に文化部の副部長へと就任しました。ポストは副部長でも同部の党組織のトップを兼務することになったので、事実上の文化部トップです。

 中央政府における文化部という部門の格の高さが私にはわからないので何ともいえませんが、胡錦涛の温情人事だな、とそのときは思いました。

 ところが、翌2008年になって「文化部長に昇格かな」と思っていた矢先、于幼軍は汚職嫌疑でバッサリと斬られました。上海閥のプリンスだった陳良宇・元上海党委書記がそうだったように、汚職嫌疑は失脚劇のシナリオとしては何度も使い古されているセオリー。于幼軍はこれにて終了であります。

 その後を受けて2007年9月に山西省長(2008年1月までは省長代理)へと就任した孟学農も「団派」の有望株でした。胡錦涛に相当期待されていたのか、これは返り咲き人事。2003年の北京市長時代に中国肺炎(SARS)問題で更迭されている過去があるのです。本来ならいまごろ党中央政治局委員兼副首相になっていてもおかしくないのですが、これによって閑職へと回されて不遇の日々を送っていたところへ、山西省長起用というリターンマッチ。

 ところがこの孟学農は2008年8月の大規模土砂崩れ事故で引責辞任。

 他にもたぶん四川省の大型農民暴動の責任を問われたのか、四川省のトップだった張某さんが更迭され、中央に戻されたものの「社史編纂室」のような閑職に就いています。四川省も難治といわれており、「四川が定まれば天下が定まる」という言葉があるくらいで、「団派」の登竜門とされたりしています。

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 こういう「団派」有望株の扱いについても、そこへ送り込んだ胡錦涛と、それを追い落とさんとするアンチ胡錦涛諸派の権力闘争が影響しているのかも知れません。省のポストを引責辞任という形で離れるかどうか、中央に戻されても再起の機会を与えられるかどうか、といったあたりは、両勢力によるそのときそのときの綱引きの具合によって左右される可能性もあるのではないかと。

 そう考えると、「団派」の相次ぐ討ち死には中央における胡錦涛派の消長をみる上での目安にもなると思います。胡錦涛が「番長」であれば、中央に戻されてからも前途が用意されている筈です。ところがそうならないのは、胡錦涛が党上層部を未だにしっかりと仕切れていないからでしょう。

 そこで、今回の炭鉱事故の行方にも注目しておきたいのです。というのも、現在の山西省党委書記・張宝順はこれまた「団派」といえる経歴で、しかも1950年生まれですから若手を代表するホープのひとりといっていいでしょう。

 この張宝順が今回の事故を受けてどういう処遇を与えられるかは、ひとつのモノサシ。山西省のトップから引きずり下ろされるかどうかというより、むしろ更迭されてからどういうポストを与えられるか、という点に党中央に対する胡錦涛の掌握度がみてとれるかも知れないのです。

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 余談のようで余談でないかも知れませんが、北方領土に関する日ロ双方の姿勢を報じた記事が2月22日に流れています。これ、単なる国際ニュースのようで、何となく気になります。

 ●日俄領導人稱不在北方領土問題上採取極端手段(中国新聞網→新浪網 2009/02/22/13:46)
 http://news.sina.com.cn/w/2009-02-22/134615201858s.shtml

「北方領土に関して極端な手段に出ないことを日ロ指導者が確認」

 というニュースなんですけど、これって尖閣諸島問題で対外強硬派などがしゃしゃり出るのを牽制する意味を含んだものかも知れません。……むろん、邪推ですけど(笑)。





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 何やら分不相応のようで不思議な心持ちです。

 ブログの世界に「アルファブロガー・アワード2008★★★★ブログ記事大賞」というものがありまして、内容はその名前通りなのですが、どうしたものか、当ブログの「08憲章」に関するエントリーが、その候補にノミネートされたのは以前お伝えしたかと思います。

 ●ノミネートされました(2009/01/31)

 第一次中間発表で選出された80本の中に入ってしまいまして、続いて第二次中間発表にも残るという珍事。

 御存知の通り「日々是チナヲチ。」は裸の王様が素人であるのをいいことに、好き勝手&出鱈目にやっている弱小・色物系ブログです。

 それを書いていてこんな華やかな場に出ることがあるとは夢にも思わなかったので、主催者から送ってきたバナーをサイドに貼り付けたりして、二度とないであろう晴れがましい気分を人並みに味わったりしていました(笑)。そりゃやっぱり、嬉しいですから。

 

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 ところが。何とも驚いたことに、2月20日に発表された「記事大賞」の12本のエントリーのなかに、当ブログの記事も選出されてしまいました。えええ。

 ●アルファブロガー・アワード2008(主催者ページ)
 http://alphabloggers.com/

 ●アルファブロガー・アワード、「まゆたんブログ」など12記事選出(BroadBand Watch 2009/02/20)
 http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/24950.html

 いやホント、驚いたのなんの。第一次中間発表で名前が出ただけで「一期を飾る思い出になる」と喜んでいたので、正直、ちょっと呆然としてしまいました。

 翌日になって、

「これは、自分に御褒美をあげてもいいだろう」

 と思い、上野のアメ横へ行ってカシューナッツとふ菓子をオトナ買いしてきました。何だか急に食べたくなったものですから。

 私は節分に使われる炒り豆(大好物なのです)を食べながらベッドで戦記物の文庫本をのんびり読むことが数少ない楽しみのひとつなのですが、今回はなぜかカシューナッツ。

 調子に乗ってつい食べ過ぎまして、おかげで喉は渇くし腹は張るし放屁放屁放屁放屁で昨日は難渋しました。

 ……与太はともかく。

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 たぶん、「08憲章」について香港の著名なチャイナ・ウォッチャーである金鐘氏へのインタビューや一連の報道・解説記事、また金鐘氏がインタビューの原文をネットに乗せたら中国語系ニュースサイトが軒並み転載し、金鐘氏が社長兼編集長を務める政論月刊誌『開放』にも掲載されたりしたのが良かったのかなあ、と考えています。

 その程度のことが特筆されるに値することなのかなあ、というのも正直な感想なのですけど。だって香港在住時代の初期、やはり中国観察を余暇の娯楽としていたころは、地元新聞社や政論誌への電凸とか記者との飲茶とか、ごく普通にやっていましたから。

 ともあれ、このエントリーを推薦して下さったブログ「絵文録ことのは」様、また投票して下さった皆さんに心から御礼申し上げます。

 本当にありがとうございました。m(__)m

 遺憾ながら、私はあくまでも私に過ぎませんので、賞を頂いたことで当ブログの何かが大きく変わる、ということはまずありません(笑)。これからも無理に精進することなく、マイペースでのんびりやっていきますので、宜しければ今後とも当ブログにお付き合い頂ければ幸いです。

 これからも宜しくお願い申し上げます。m(__)m

 取り急ぎ、ご報告と御礼まで。





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 週末といえば楊枝削りでございます。m(__)m

 誰に頼まれた訳でもありませんが、私にとってはチベット問題を改めて復習しておくべき時期になってきましたので、関連書籍を大特集。

 チベットというと現状が現状だけに殺伐としたイメージになってしまうのですが、ダライ・ラマ関連の書籍(自伝は別)は読んでいると心がホクホクとしてきて、不思議に癒されます。オススメです。


















扶桑社新書 中国が隠し続けるチベットの真実 (扶桑社新書 30) (扶桑社新書)
ペマ・ギャルポ
扶桑社

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中国はいかにチベットを侵略したか
マイケル ダナム
講談社インターナショナル

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雪の下の炎
パルデン・ギャツォ
ブッキング

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ゆるす言葉 (Dalai Lama’s word collection)
ダライ・ラマ14世(著),野町和嘉(写真)
イースト・プレス

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思いやりのある生活 (知恵の森文庫)
T・ギャムツォ (ダライ・ラマ14世)
光文社

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ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)
ダライラマ
文藝春秋

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チベットを知るための50章 (エリア・スタディーズ)
石浜 裕美子
明石書店

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中国はチベットからパンダを盗んだ (講談社プラスアルファ新書)
有本 香
講談社

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チベット侵略鉄道 中国の野望とチベットの悲劇
アブラム・ラストガーデン
集英社

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 チベット情勢が風雲急を告げてきたようです。

 今年の3月10日はチベット蜂起50周年。昨年はチベット自治区・ラサ市でその日に始まったチベット人の抗議活動に対し中国当局が武力弾圧を行っています。50周年という節目であるからには何が起きるかわからない、ということで、中国当局は早くも外国人のチベット自治区入り禁止を打ち出した模様。

 以下は日本の関連報道から。



 ●外国人の入境禁止 中国 チベット自治区に(東京新聞 2009/02/19)

 【上海=小坂井文彦】中国政府が、チベット自治区への外国人と台湾住民の立ち入りを来月末まで禁止したことが十八日分かった。来月はチベット動乱から五十年、昨年の騒動から一年の節目にあたる。

 同区を訪問した観光客によると、ラサでは銃を構えた武装警官隊が二十四時間体制で警戒。外国人の目に、同区の現状を触れさせないための措置とみられる。チベット観光局は十七日、旅行会社に対し、三月末までの外国人のツアーを認めないと通知した。表向きの理由は、「宿泊施設などインフラ整備のため」とされている。

 四川省の旅行会社によると、同区周辺のチベット人居住地域でも近く、車の検問によって外国人の立ち入りが禁止されるという。昨年は三月の騒動後、三カ月以上、同区への外国人の立ち入りが禁止されるなど観光が制限された。昨年の同区への観光客は前年より44%減少している。

 ――――

 ●外国人客の受け入れ一時中止 チベット自治区(共同通信→MSN産経ニュース 2009/02/19/21:31)

 中国チベット自治区の地元旅行会社は19日、外国人旅行客の自治区内への受け入れを一時中止したことを明らかにした。昨年3月に区都ラサで起きた大規模な暴動から1年となるのを控え、警戒態勢を強めている当局の指示を受けた措置とみられる。受け入れ再開は4月以降になる見通しという。

 チベット自治区では今年1月、1959年に中国政府が「チベット動乱」を制圧し同地域の統治権確立を宣言した3月28日を「農奴解放記念日」と制定。チベット民族の住民の間で反発が強まっている。

 昨年の暴動後もチベット自治区では、中国人の団体観光客や外国人旅行客の受け入れを一時中止。中国人団体客は4月下旬、外国人客は6月下旬にそれぞれ受け入れが再開されていた。(共同)



 Xデーまでまだ2週間以上もあるのに、ずいぶん早めに手を打ってきたものです。今月末にはチベット暦の新年もめぐってきます。



 ●チベットの民衆、チベット暦の新年を迎える(中国国際放送局 2009/02/19/16:37)
 http://japanese.cri.cn/881/2009/02/19/1s135578.htm

 チベット暦の新年はチベット族の最も盛大な伝統的な祝日です。すでに700年余りの歴史があります。チベット族の人々が新年を楽しく過ごせるため、チベット自治区はチベット暦の新年を法定の祝日として、7日間休暇することを確定しました。チベット暦では、今年2月25日が新年の1日です。新年を控え、チベットのあらゆるところでは、楽しい祝日の雰囲気に満ち溢れています。(後略)



 2月25日が元日。……とすると、絶好の観光資源を逃すことになるではありませんか。惜しいことです。

 それにしても、「銃を構えた武装警官隊が二十四時間体制で警戒」という状況と「楽しい祝日の雰囲気に満ち溢れています」というのは、甚だ矛盾する表現ですね。果たしてどちらが正しいのか。

 本当に「楽しい祝日の雰囲気」が街を包んでいるのなら、外国人を立ち入り禁止にしたりはしないと思うのですが、どうでしょう。

 今回の外国人立ち入り禁止措置が来月のチベット蜂起50周年をにらんでのものであることは当然ですが、たぶん、2月25日が元日となるチベット暦の新年をも標的にしているのではないか。……というのが、今回のお題です。

 昨年3月に武力弾圧が行われましたから、今年のチベット暦の正月は荒れかねない、という判断もあるのではないかと。

 ――――

 散発的な抗議活動というのは現在もチベット人がまとまって暮らしている地域でしばしば行われているのかも知れませんが、中には騒ぎがエスカレートして戒厳令状態になったところもあります。

 四川省のカンゼ(甘孜)・チベット族自治州のリタン(理塘)県。チベット人僧侶ら若干名が2月15日、

「チベットの独立を!」

「ダライ・ラマをチベットに!」

「チベット人は正月を祝わないぞ!」

 といったシュプレヒコールで県城(県政府所在地)をデモ行進。しかし、すでに検問を設けるなどして交通規制にあたっていた治安当局が、中心人物である僧侶を逮捕しました。

 ところが、この逮捕劇がチベット人住民の怒りを爆発させたようです。

 米国の中国向けラジオ放送RFA(自由亞洲電台)によると、この僧侶逮捕をきっかけに、理塘県でのチベット人による抗議活動がエスカレート。

 デモだけでなく、通りがかった車を破壊したり燃やしたりするといった暴動にまで発展したため、当局は武装警察多数を進駐させ事実上の戒厳令状態を敷く一方、検問を強化して厳格な交通規制を行うとともに、同県への外国人立ち入りを禁止したとのこと。少なくとも21名のチベット人が逮捕されたようです。

 地元筋によると交通規制は今日(2月20日)までの予定ということですが、外国人がチベット自治区に入れなくなった以上、四川省とはいえ理塘県を含む甘孜チベット族自治州にも同様の措置がとられる可能性が高いでしょう。

 理塘県では恐らく夜間外出禁止令をはじめ様々な規制措置が出されているとともに、「銃を構えた武装警官隊が二十四時間体制で警戒」するという、「楽しい祝日の雰囲気が満ち溢れて」いるに違いありません。

 ――――

 それにしても、チベット人僧侶が叫んだという上のシュプレヒコールのなかで、

「チベット人は正月を祝わないぞ!」

 というのはどういうことでしょう。……私はその辺の知識が全くないのでRFAの解説に拠ります。

 それによると、チベット人は隣家に死者が出ると札を吊るして一年間喪に服すという伝統的習慣があるそうです。そして、その期間中は新年を祝うことはもちろん、民族の祝祭日を舞踊などで慶祝するのも御法度とのこと。

 そこで昨年3月の武力弾圧となります。たとえ隣家に死者が出ていなくても、心あるチベット人は民族に降りかかった禍いとして、今年の正月を祝う気持ちにはなれないのです。……そう考えると、チベット暦の新年を祝おうとはやし立てることが、チベット人の神経を逆撫でにするに等しい行為だとわかります。

 前述した中国国際放送局の記事、

「チベット族の人々が新年を楽しく過ごせるため、チベット自治区はチベット暦の新年を法定の祝日として、7日間休暇することを確定しました。チベット暦では、今年2月25日が新年の1日です。新年を控え、チベットのあらゆるところでは、楽しい祝日の雰囲気に満ち溢れています」

 というのは、正にそれ。

 ……この辺の機微は実際にチベット人に聞いてみないとわかりませんが、中国当局が「まずは正月」とみて警戒態勢を強化し、外国人の立ち入りを早々と禁止したことも頷けるというものです。

 3月10日の前に、まず2月25日に何事かが起きる可能性もある、ということですね。

 ●RFA北京語(2009/02/16)
 http://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/senglu-02162009101509.html

 ●RFA北京語(2009/02/19)
 http://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/zang-02192009092326.html

 ――――

 以下は全くの余談ですが。

 以前、女子高生5人に頼まれて、フリーチベットのカンバッジを買ってやったことを当ブログにて書いたことがありました。

 ●マ・クベじゃないのに。……JK相手に調教開始?(2008/11/27)

 私も連中から「チベたん」と呼ばれるようになって間もなく3カ月。この間,例によって茶をしばいているところを囲まれたり、マクドナルドに屯している連中に引っ張り込まれたりして散々な目に遭っているのですが、そこはそれ、

「なあ、お前ら小学生のとき遠足のおやつ代はいくらだった?」(300円だそうです。三十年前と同じ!)

「ゲッ、お前の父ちゃんは俺と同い年じゃねーかorz」

 などと他愛のない会話をしつつも、肝心の調教には見事成功。

「デモ?行ってもいいよ」

 というまでに育て上げました(笑)。

「だけど何か怖くない?」

 と言うので、

「1000人とか2000人とかのデモになると、もう祭なんだよあれは。去年の5月になんか4000人以上参加しデモがあってな、表参道のあたりとか通ったんだけど、歩いていても一番先頭の列が見えないし、後ろを見ても最後尾がどこかわからない。すごいぞ。あれだけは参加してみないとわからん」

 と説いたり、忍者さんや鎧さんや股旅さんも来るんだぞ、などとさも面白げに説明してやると、

「それ、いい。私らも行ってみたい」

「よし、じゃあそのときは前もって教えてやる。でもお前らは制服着用な」

「どーして?」

「女子高生ってのは一種のブランドだからな。制服着てデモしてたらコスプレみたいで盛り上がるかも知れないだろ」

「いいよー別に」

 ……というところまで話が進んでいます。(´々`)y━・~~~

 進んでいるのですが、問題点が2つ。

 まずは連中が揃って高校三年生ということです。要するにもうすぐ卒業。大学や専門学校に進むそうですが、女子高生でなくなってしまうのです。それに卒業してしまえば、連中が屯する時間もなくなってしまうでしょう。「チベたん」組解散は必至。

 そして、もう一点はデモの規模について。数百人規模だと「祭」めいた昂揚感が生まれず、私の口車に乗って参加する女子高生どもはライトユーザーですから間違いなくドン引き。「チベたん」としては嘘つき呼ばわりだけはされたくありません。とはいえ、いまどき2000人くらい集まるフリーチベットのデモなんて期待できませんよね。

 手塩にかけて育てた?連中ですし、向こうもある程度その気になっているので、是非デモデビューをさせてやりたいところなのですが。ううむ。





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 物情騒然、多事多端、などと最近冒頭で書き続けています。……いや、記事漁りを再開してみての正直な感想なのです。

 例えばデモ・スト・暴動・官民衝突や知識人の民主化声明などといった、反体制系タレ込みサイト「博訊網」あたりで拾うべき記事。以前は数日に1度くらい官民衝突があって、私も「おおお」と思いなるべく当ブログで紹介するようにしていたのですが、いまはその種のネタが毎日2~3件は入って来るので対応しきれません。生半可なネタには見向きもしなくなりました。

 何というか「一寸先は闇」とでもいったところで、日々刺激的なニュースが飛び込んできています。「おおお」という記事を拾って明日はこのことを書いてみよう、と考えていたら、翌日には「おおおおお」というニュースの出現で急きょ差し替えになることも珍しくありません。

 最近では尖閣諸島問題から日本の「国連安保理常任理事国入り再挑戦」というコンボ成立を受けて見送られたネタがいくつかあります。きのう2月18日付の記事にはその続報もあったりしたのですが、幸い新たな展開という訳ではないので一休み。

 実は2月16日から中国人民解放軍の葛振峰・副総参謀長が防衛交流ということで来日していて、尖閣問題についても話し合われる可能性がある、とみられているのですが、目下のところこのオッサンについての報道はなし。まあ制服組ですから突っ込んだ議論は期待できないかも知れません。

 ●中国軍副総参謀長が来日へ 日中交流、防衛相と会談(共同通信 2009/02/14/17:13)
 http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009021401000409.html

 ――――

 という訳で尖閣問題を含めた中国国内の「反日」気運については充電中といった観があり、ようやく中国国内の旬な話題に移ることができる、と考えていた矢先、「おおおおお」級の新たな対外ネタが飛び込んできてしまいました。実に刺激的な……というか中国のネット世論をピリピリピリリと著しく刺激するニュースではないかと思います。またまた差し替えです。orz

 まずはちょっと意外ですがフィリピンから。といってもこれまた領有権争いでフィリピンが一歩踏み込んだため中国外交部が即座に猛反発しています。



 ●「南沙諸島は我が国領土」―中国がフィリピンを非難(サーチナ 2009/02/19/10:09)


  フィリピンの国会が17日、南シナ海のスカボロ礁(黄岩島)とスプラトリー諸島(南沙諸島)の一部を自国領とする海洋基本線法案を可決したことを受け、中国外交部は18日、同国の動きを非難する声明を発表した。

  声明によると、黄岩島と南沙諸島はすべて、歴史的にも中国領土の一部。中華人民共和国はこれらの島と周辺海域について、争いの余地がない主権を有している。声明はさらに、「いかなる国が黄岩島と南沙諸島の領土権を要求しても、すべて不法で無効である」と主張した。

  黄岩島(北緯15度7分、東経117度51分)は南シナ海の中沙諸島中、唯一水上に出ている島。周辺海域は漁業資源が豊かで、石油・天然ガス資源が存在する可能性もある。中国(中華人民共和国)、台湾(中華民国)、フィリピンが領有権を主張している。

  南沙諸島はフィリピンのパラワン島の西方、ベトナム本土の南西方向にある、約100カ所の小島で構成される。海洋資源、石油など地下資源が豊かで、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイがそれぞれ全島または一部の島の領有権を主張している。軍を駐留させるなどで、台湾、中国、フィリピン、ベトナムがそれぞれ一部の島を実効支配している。(後略)



 外交部が緊急声明を出したり、王光亜・同部副部長が在中国のフィリピン大使館の代表を呼びつけて抗議したりしています。日本大使館への尖閣問題に関する「厳正なる申し入れ」に比べると緊迫度・強硬度とも段違いであることがわかりますね。

 ひとつにはフィリピンを弱国として舐めてかかっているのかも知れませんし、上の記事にある通り、南シナ海の領有権問題は他にも複数の国が絡んでいて、フィリピンに続く動きが相次いでは問題が複雑になってかなわん、という肚かも知れません。ともあれ外交部にとっては尖閣問題を後回しにしてしまう緊急案件の出現といえるでしょう。

 しかしパラワン島ですか。レイテ沖海戦、戦艦「武蔵」や重巡「愛宕」などの喪失をつい思い浮かべてしまいます。個人的には米潜水艦の雷撃で大破した重巡「高雄」乗員だったお爺さんとの邂逅が印象的です。連絡先を聞いておかなかったことをいまでも後悔しています。

 閑話休題。中国側の記事は以下の通りです。

 ●外交部の緊急声明(外交部HP 2009/02/18)
 http://www.fmprc.gov.cn/chn/zxxx/t475934.htm

 ●外交部による「厳正な抗議」(外交部HP 2009/02/18)
 http://www.fmprc.gov.cn/chn/zxxx/t475955.htm

 ●「新華網」(2009/02/18/19:34)
 http://news.xinhuanet.com/world/2009-02/18/content_10842511.htm

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 それからもうひとつ、ロシア発のニュースがあります。

 中国とロシアといえば、20年に及ぶロシアから中国への石油輸出契約がようやく締結されたばかり。

 ●ロシア、中国への石油輸出長期契約で合意 2.3兆円の融資条件(NIKKEI NET 2009/02/17/00:38)
 http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M1702L%2017022009&g=G1&d=20090217

 あにはからんや。いやーめでたい、ようやくまとまったね。……と関係者がホッとしている矢先、これなんてブラッディな事態が突如出現。



 ●中国の貨物船、ロシア海軍に砲撃され沈没=中国人船員7人が行方不明―ロシア(Record China 2009/02/19/09:59)


 2009年2月18日、中国外交部は今月15日にロシア東部・ナホトカ市沖で沈没した貨物船が、ロシア海軍の攻撃によって沈没したことを発表した。環球時報が伝えた。

 問題の貨物船はシエラレオネ船籍のニュースター号。船主は広州明洋船務有限公司。当初、ロシア海上救急センターは「天候のため」沈没したと発表したが、17日にロシアメディアが海軍の砲撃により沈没したことを明かした。18日、中国外交部も攻撃による沈没であることを確認した。

 砲撃にいたる背景はまだ不明。密輸の嫌疑があったニュースター号が停船命令を無視し逃走を続けたため、あるいは取引先とトラブルになり船が接収されそうになり逃走したなど、複数の説がある。外交部の発表によると、中国人船員10人のうち7人が行方不明となっている。またインドネシア人船員6人が乗り込んでいたことも判明しているが、その安否は不明となっている。(後略)



 おおおおお。30mm連装機関砲で撃沈したようですが、詳細は未だ不明。ただし中国の貨物船が撃沈されたこと、中国人乗組員に行方不明者が出ていること、またロシア側が中国人船員をすぐ救助しなかったことなどから、ネット世論は激怒&切歯扼腕モード。大手ポータルのニュースサイトでは早くも特集ページが組み上がっています。記事付属掲示板にも怒りのレスが殺到。ロシア人を見下して呼ぶときは「北極熊」だということを不肖御家人は学習しました。

 ●「新浪網」(2009/02/18/20:53)
 http://news.sina.com.cn/c/2009-02-18/205315182958s.shtml
 http://news.sina.com.cn/z/zgcyzeyx/index.shtml

 ところが。中国外交部は相手がロシアとなると物腰が低くなるようで、これほどの事件が発生していながら、ロシア側に対しては「厳正なる申し入れ」でも「抗議」でもなく、「交渉」(接触・協議・問い合わせ)を開始して詳細な情報公開や乗組員の救助、また事件の真相解明などを求めているところだとか。

 撃沈された貨物船には怪しげな点もあるようなのでいきなり「抗議」はできないのかも知れませんが、この「交渉」にも中ロ双方の担当者名とポストが出ていません。フィリピンに対する扱いと比べると低姿勢であるとはいえるでしょう。

 ●「新華網」(2009/02/18/22:16)
 http://news.xinhuanet.com/world/2009-02/18/content_10844104.htm

 新華社からも「中国の貨物船が沈没」「中国人船員に行方不明者7名」「善処を申し入れ」というだけで「ロシアに撃沈された」とはしていません。非常に慎重な姿勢であることを感じさせます。

 中国当局からはこれ以上の続報が出ていないので、尖閣問題でも敏感に反応した「環球網」は外電を基に報道しているようです。

 ●「環球網」
 http://china.huanqiu.com/roll/2009-02/377498.html
 http://world.huanqiu.com/roll/2009-02/376971.html
 http://world.huanqiu.com/roll/2009-02/377507.html
 http://world.huanqiu.com/roll/2009-02/377456.html
 http://world.huanqiu.com/roll/2009-02/377528.html

 で、これらの報道が中国国内メディアに拡散中である模様。記事削除が行われたりしていないところをみると、中国当局は政府としての正式な姿勢について未だ肚を据えかねているのか、あるいはいきなり強腰に出られない状況ということもあるのか、こういう非公式な形で関連情報が国内に広まるよう仕向けているように思われます。

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 今回紹介した2つのニュースは尖閣問題と違って当局の管制外で事態が進んでいるため、中国側も対処に苦慮することになるかも知れません。とりあえずはフィリピンに続く周辺諸国の刺激的なアクションがあるかどうか、そして中国に対しロシアが不誠実な対応を示すかどうか、続報に期待したいところです(ヲイ!)。




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 尖閣諸島問題、というより尖閣諸島問題で中国が一方的に熱くなっている件、というべきですか。御存知の通り中国はいま多事多端にして物情騒然ですから他に書くことが色々あります。

 ……ありますし私も早いとこそっち方面へ行きたいのですが、如何せん極上燃料が投下されてしまいました。これです。



 ●日本、常任理事国入りに再挑戦 安保理改革19日に政府間交渉(共同通信 2009/02/17/16:15)


 【ニューヨーク17日共同】国連安全保障理事会改革をめぐり実質的な議論の場となる政府間交渉が19日、ニューヨークの国連本部で開始される。2005年に安保理拡大を盛り込んだ枠組み決議案提出までこぎ着けながら、最終的に挫折した日本は悲願の常任理事国入りに再挑戦する。

 第1回交渉では、国連総会のデスコト議長が加盟国に交渉の手順などを記した作業計画を提示する予定で、どのような内容になるのかが焦点。議長は交渉を数カ月で集中的に行う方針を示しているが、国連外交筋は「議長は任期切れの9月までにどこまで進めるつもりなのか注目される」としている。

 議長の報道官は政府間交渉について「あらゆる形態がありうる」とする一方、論点は(1)安保理の拡大規模(2)常任理、非常任理の数(3)地理的な配分(4)拒否権(5)安保理の手続き面での簡素化-の5点に集約されるとした。



 2005年春に発生した反日騒動、その真因は胡錦涛下ろしに向けて対外強硬派を含むアンチ胡錦涛諸派が仕掛けた政争、と私は考えていますが、表面的には、

「日本の国連安保理常任理事国入りと歴史教科書への猛反発」

 という動機でネット世論から現実世界へと反日気運が高まり、ついにかくなってしまいました。

 むろん自然に盛り上がったムーブメントなどではなく、その過程ではメディアを通じた様々な煽りがありました。なぜ煽るかといえば、

「反日なら客を呼べる、売れる、儲かる」

 という認識によるものです。単に新聞の販売部数が伸びるとかサイトのヒット数が急増して広告が……というだけでなく、「反日」を掲げて胡錦涛政権を揺さぶることで江沢民時代の既得権益を維持したり、予算を分捕ったり、狙っていたポストをゲットしたり。……というのも「儲かる」に含まれます。

 煽るメディアの政治的保護者としてアンチ胡錦涛勢力の存在があった、といっていいでしょう。掌握下のメディアを使って敵方のメディアと代理戦争を展開させる、というのは中国政治の権力闘争における最も典型的なスタイルです。

 それはともかく。要するに江沢民時代にはそれを繰り返し声高に叫ぶことで対日外交カードや中共政権への不満そらしとして機能していた「反日」は、江沢民が完全引退してからは一貫して胡錦涛による政権運営の足を引っ張る切り札的アイテムとなってきました。

 いまでもそれが有効と認識されていることは、前回書いたように尖閣諸島をめぐる問題について中国の顔色がやや紅潮してきたことから察することができます。尖閣問題という「反日」そのものではなく、「反日」カード発動による政争の気配がにわかに高まったことで「紅潮」してきたということです。

 その前回紹介した「台湾の活動家が5月に上陸を狙う」という電波系基地外反日誌『国際先駆導報』の記事は掲載当日午後に「新華網」にも転載され、国営通信社による全国ニュースへと昇格しています。

 ●「新華網」(2009/02/16/15:09)
 http://news.xinhuanet.com/tw/2009-02/16/content_10828136.htm

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 この記事を改めて読んでみて、さらに他の関連報道にも接して「おや?」と思ったのは、前々回に私が散々くさした「厳正なる申し入れ」が、少なくともメディアやネット世論においては熱烈歓迎されているらしい、ということです。

 かつての小泉純一郎・首相(当時)による靖国神社参拝に対する中国政府の反応について、「また抗議・遺憾の軟弱外交か」という怒りの声が中国のネット上では参拝の度に噴出していましたが、

「海上保安庁が尖閣諸島付近にPLH型巡視船を常時配置」

 という『産経新聞』による消息筋報道について、外交部が初動にてマニュアル通りの反応に終始し正面からの言及を避けた(日本側の公式発表でないため)ことについても、同様の非難が相次いでいました。

 ところが、外交部アジア局が2月10日、北京の日本大使館に対して行った「厳正なる申し入れ」については、

「よく言った!いいぞ!」

 という反応に一変したのです。

「釣魚島と周囲の島々は昔から中国固有の領土であり、中国はこれに対して争う余地のない主権を持っている。日本側が釣魚島問題に関してさらなる行動に出た場合、中国側も強い反応をせざるを得ず、日本側はこれを明確に意識すべきだ」

 というのが、そのポイントである模様。日本のメディアはこの部分について、

「日本側に冷静な対応を求めた」
「けん制した」

 と軽く流しているのですが、中国の自称愛国者どもにとっては溜飲が下がったようで。「次に同じことをやったら無事では済まないと思え!」というノリが受けたのでしょうか。

 ●「人民日報日本語版」(2009/02/12/11:41)
 http://j.people.com.cn/94474/6591314.html

 ●尖閣の巡視船配置で申し入れ=中国(時事ドットコム 2009/02/11/17:56)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009021100353

 ●尖閣諸島めぐり申し入れ 中国が日本に(共同通信→MSN産経ニュース 2009/02/11/21:32)
 http://sankei.jp.msn.com/world/china/090211/chn0902112134006-n1.htm

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「日本に対し強い反発で最後通牒:東海艦隊は衝突に備え待機態勢!」

 という威勢の良すぎる記事まであったようです。「あったようです」というのは現在は削除されているからで、出ていた場所は中国中央テレビ局(CCTV)のニュースサイト。

 http://news.cctv.com/military/20090217/101583.shtml

 あれこれ検索してみたら「新浪網」のブログに似たようなものが転載されていました。たぶんこれではないかと。

 ●中国強烈反応対日発最後通牒:中国東海艦隊作好衝突準備!(2009/02/17/09:39)
 http://blog.sina.com.cn/s/blog_4b773c640100bvit.html

 糞青(自称愛国者の反日信者)が反日掲示板に書きなぐって満堂の喝采を浴びそうなノリと内容です。プロの記者が書いたのでしょうけど、30歳前後から下は江沢民による反日風味満点の愛国主義教育を受けて成人していますから、血潮をたぎらせていたのであれば、まあこんなもんでしょう。海上保安庁の巡視船に対抗して中国海軍を出す、という発想からしてイタいような気がするのですが……。

 そのCCTVの軍事関連ニュースのページに飛んでみると、

「日本が艦艇を出動させ魚釣島の実効支配に動いたら、中国はどう対応すべきか?」

 というアンケートが。結果は言わずもがなですね(笑)。





 (1)ドカンと一撃浴びせておいてから協議……1742票
 (2)極めて強硬な姿勢で恫喝することで手を引かせる……1628票
 (3)こちらも武力で臨み盛大に一戦交える……1396票
 (4)放置して対立の激化を避ける……59票

 ●「央視網軍事社区」
 http://news.cctv.com/military/
 http://www.cctv.com/vote/see11174.shtml

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 ……と、いい感じになってきたところへ「日本が常任理事国入りに再挑戦!」という報道が流れるというタイミングの妙はどうでしょう。

 社会状況だけでもう必死なのに、尖閣問題を持ち出されて何となく盛り上がってきたところに、この極上燃料。このネタにも飛び火して炎上となれば、最近かの江沢民がアップを始めている模様なので胡錦涛にとってはかなり苦しい展開になりそうです。

 この「常任理事国」ニュースは日米外電総合という形で、英字紙『チャイナ・デイリー』電子版を通じて中国国内にも速報されています。

 ●国連改革、日本が安保理常任理事国入りを要求へ(新浪網 2009/02/17/17:58)
 http://news.sina.com.cn/w/2009-02-17/175815176651s.shtml

 そしてこちらにもアンケートが。「あなたは日本の常任理事国入りを支持しますか?」という設問への回答は……





 ……ええ、全くお約束の通りでした。というよりこれからの展開が楽しみ?(笑)

 http://survey.news.sina.com.cn/voteresult.php?pid=30799

 国内の状況が大変だというのに、こんなことやっていて大丈夫?と他人事ながらつい心配してしまいます。2005年春の反日騒動だって当局の予想を超えて盛り上がったため、「中共人」たちは身の危険を感じて喧嘩している同士で慌てて手打ちを行い,全力で鎮静化に努めたという経緯があります。

 あれから4年。現今の経済・社会状況は当時と全く比較にならぬほど悪化しているというのに、庶民を盛大に踊らせて政争を繰り広げる余裕があるのでしょうか?

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 こと尖閣問題については領有権争いですから、胡錦涛や外交部にしても日本に譲歩するつもりは少しもないでしょう。ただし、いま現在において日本にどう対応してみせるか、という「強硬度」についてはネット世論との間に相当な隔たりがあるように思います。

 日本の常任理事国入りに至っては「100%反対!」ではなく、反日騒動時の初動期に示したように「容認もやむなし」というのが胡錦涛の本音かも知れません。……とはいえ、世論や政敵が盛り上がってしまうと、未だに「番長」ではないだけに胡錦涛は涙目になってしまうかも知れません。というより、本当に盛り上がってしまえばその線が濃厚。

 「続報に期待」と前回の文末に書いたら、とんでもない展開になってしまいました。(・∀・)

 最後に尖閣関連情報。

 5月に魚釣島上陸を目指す台湾の活動家グループ「中華保釣協会」は船の準備も整い、香港の団体も参加する見通しとのこと。中国本土からの参加も求めるとのことですが、これについては本土の総本山「中国民間保釣連合会」の童増・会長が香港紙の取材に応じ、

「中国国内でも非常に盛り上がってきている。当局も協力的だし、中国と台湾の関係も良好だ。それに馬英九も活動家上がりだ」

 などとコメント。「ここ10年来で最大規模の民間によるアクションとなる可能性が高い」と強い期待を示しています。長らく御無沙汰していた童増ですが、口の軽さは相変わらずのようです。

 「当局も協力的」なんて軽々しく言っちゃうあたりが何となく憎めなくもあるのですが、ここは「中国当局内の有力者には『反日』に協力的な者がいる」と読んでおくべきでしょう。

 ●台湾の団体が尖閣上陸計画(共同通信→MSN産経ニュース 2009/02/17/17:01)
 http://sankei.jp.msn.com/world/china/090217/chn0902171702005-n1.htm

 ●『蘋果日報』(2009/02/17)
 http://www1.appledaily.atnext.com/

 あとこれも。



 ●侵入は主権示すため 中国、尖閣諸島問題で(共同通信→MSN産経ニュース 2009/02/17/13:19)


 新華社電によると、国家海洋局の孫志輝局長は17日までに、昨年12月に尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖で中国の海洋調査船が日本の領海に侵入したことについて「実際の行動で中国の立場を示した」と述べ、中国の主権を主張することが目的だったことを明らかにした。

 16日に北京で開かれた海洋局関連会議の中での発言。孫局長は、昨年1年間で中国が主権を主張する海域で延べ200隻余りの船舶、同140機余りの航空機を出し監視、警戒などの活動を行ったと指摘した。



 なるほど。海洋調査とか言っていたのに、やっぱり本当の目的は示威活動だった訳ですね。それにしても、こういうニュースが中国国内に流れることで、いよいよ「反日」気運が高まっていくのでしょう。

 ……天意?



 【追記】上の「侵入は主権示すため 中国、尖閣諸島問題で」というニュースについて元ネタである新華社では当該記事が削除されていました。転載された先でも削除されているケースが多々。政治臭がプンプンしますね。下は現時点で残っていたものひとつ。(2009/02/18/16:19)

 ●2008年我国海洋維権航程近50萬海里(新華網→温州網 2009/02/16/21:36)
 http://news.66wz.com/system/2009/02/16/101144204.shtml






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 今回は勝手ながらお手軽&手短に切り上げましょう。タイトルの通り、物情騒然であります。

 世間が殺伐としてくれば政争の気配も。政権発足後4年半にもなるというのに、仕掛けられるのはいつも胡錦涛。「科学的発展観」という中共政権の延命策を掲げて登場したにも関わらず、それを全国各地に徹底させられないまま時間ばかりが過ぎてしまいました。

 胡錦涛イズムが徹底されなければ、粗放で超格差社会へと驀進する江沢民型の経済発展モデルが改まりません。

 おかげで一時は温家宝あたりが「和諧社会」(調和のとれた社会)という言葉をぶち上げて、さあ中国社会に存在する様々な格差の是正に取り組むぞ、とか意気込んでいたのに、江沢民時代に美味い汁を吸った地方勢力だのそれと癒着したデベロッパーや寡占業界、さらには江沢民に引き立ててもらった軍首脳までが激しくこれに抵抗。

 具体的には、これら「抵抗勢力」が表面上は「和諧社会」を唱和しつつも実務ではそれを骨抜きにしました。いまも骨抜きです。既得権益層によってオイシイ江沢民モデルがいまも維持されている訳で、江沢民モデルですから超格差社会は深刻化するばかり。とうとう温家宝も匙を投げたのか投げる状況に追い込まれたのか、党中央の公文書で「和諧社会」という単語が使われなくなってしまいました。

「格差是正なんて無理。頑張っても現状維持が精一杯」

 といったところでしょう。

 ――――

 ところで政争の気配について。結局はお約束の旧正月イベントが今年は異例の展開となったように、先代の最高指導者・江沢民を黙らせることが未だにできないというのが全てです。

 手強い政敵の存在は政権運営者にとっては致命的でしょう。経済政策にしろ何にしろ、きっちり仕事をしないとすぐ突っつかれて叩かれて、下手をすれば政権の座から引きずり下ろされることとなります。実例をあげれば、反日騒動が起きた2005年の春を起点に、同年夏あたりがまでが胡錦涛にとって最も危険な時期でした。

 民意とは全く別の次元で、特に軍部の大方を味方につければ「政変」が成立してしまう国ですから話になりません。

 その政権運営についても、第一の考課指標となる経済政策はそろそろ盛りを過ぎてソフトランディングさせなきゃいけないのに上手く減速してくれないよどうしよう、などと言っていたと思ったら、突如降って湧いた世界金融危機で軟着陸どころか、エンジンが息をつくわ脚が出ないわで胴体着陸する破目に。

 要するにハードランディングということですが、滑り込んでみたものの滑走路を逸れて森林に突入。炎上するかどうかの瀬戸際というのがいま現在です。そして以下のような事態が頻発しているのは皆さん御存知の通り。

 ●中国「民工」が警官と大規模乱闘、事故処理不満で(YOMIURIONLINE 2009/02/15/20:40)
 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090215-OYT1T00659.htm

 ●タクシー運転手がストライキ 白タクに激怒-青海省(サーチナ 2009/02/16/15:33)
 http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0216&f=national_0216_009.shtml

 ●突然の工場閉鎖に労働者ら抗議 中国広東省(共同通信-MSN産経ニュース 2009/02/16/23:18)
 http://sankei.jp.msn.com/world/china/090216/chn0902162319005-n1.htm

 ●中国で漢民族と回族が乱闘(共同通信-MSN産経ニュース 2009/02/16/23:07)
 http://sankei.jp.msn.com/world/china/090216/chn0902162308004-n1.htm

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 出稼ぎ農民の主な引き受け先だった広東省が内外の経済状況を受けて求人需要が激減。その影響が他の都市にも及び始めたというのも無視できない状況です。

 ●上海市、失業農民工の就業支援 南部から流入(共同通信-MSN産経ニュース 2009/02/16/19:40)
 http://sankei.jp.msn.com/world/china/090216/chn0902161941003-n1.htm

 こういう事態は地域間の確執を生みやすく、それが生まれて激化してしまえば「本位主義」、すなわち各地方が自分とこ優先で「保護主義」に走ることになりかねません。それが最終段階のちょっと手前まで進んでしまえば「諸侯経済」で、さらに最後までいくと大国解体。

 ●失業者らから意見聴取 中国首相、民衆重視をアピール(NIKKEINET 2009/02/15/21:47)
 http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090215AT2M1500W15022009.html

 民意がシステムとして反映されない国で↑こういうイベントをしてみせても効果なぞありません。そもそも庶民派たる「親民総理」の温家宝にしてこれです。朱鎔基と違って腕に覚えがありませんから演出ばかりしている訳ですが、「親民」などといって色々やっても結局は、

「前例のない拝謁」

「異例の行幸」(自称10年着古したジャンバーで前線視察)

 といった歴代王朝テイスト。なるほどインテリ層が身を張って「08憲章」を世に出す訳です。それでも結構、そうしたミエミエの演出に民衆が魅了されてしまうあたりは民度という他ありませんし、「08憲章」の先行きが危ぶまれる所以でもあります。

 大体いまや民意どころではなく、まずは主要国の景気後退を起因とする超対外依存型な中国の経済構造への大鉄槌に始まり、労働集約型産業の大破炎上とそれに伴う失業者わらわら問題、さらには歴史的な大旱魃。……という破格の悪条件に囲まれている胡錦涛政権です。政敵も怖いけど民衆の蹶起も怖い、といったところでしょうか。いや蹶起は上述したように各地で散発的に起きているものの、幸い、地域や立場を超えた連携による一大蹶起……易姓革命につながりかねない状況はまだ醸成されていません。

 あるいは、アドリブとか当意即妙なんてことは大の苦手ながら、平然と民草を撫で斬りにする胆力だけは人一倍ある胡錦涛ですから、自らのイニシアチブ確立&中共政権の延命という点では、一大蹶起を武力鎮圧してしまう方が最高指導者から最高実力者へと飛躍する近道かも知れません。そういえば1980年代末期の「諸侯経済」状態は、人民解放軍を投入して民主化運動を武力弾圧するというトウ小平の荒療治(1989年の天安門事件)によってリセットされた、ともいえます。

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 で、タイトルにある「尖閣再燃」というのは前回の「空騒ぎ」話ではありません。台湾の活動家が5月に船を出して尖閣諸島への上陸を目指す、という具体的にして実のある動きです。

 きのう(2月16日)発売された例の電波系基地外反日誌がこれを報じ、やはり大手ボータル「新浪網」がすかさず転載しています。

 ●「国際先駆導報」(2009/02/16/09:32)
 http://news.xinhuanet.com/herald/2009-02/16/content_10825981.htm

 ●「新浪網」(2009/02/17/03:30)
 http://news.sina.com.cn/o/2009-02-17/033015171800s.shtml

 これが、いわば2006年秋(このときは胡錦涛ペースで落着)以来の「尖閣上陸作戦」になるかも知れない、ということになってきました。この台湾の活動家グループ、1970年代の尖閣諸島の領有権をめぐる愚劣な運動の闘士として知られる馬英九が台湾総統であり、さきの海上保安庁巡視船との衝突事故でも日本に対し強く出た政権であることに安んじているのか、どうか。

 むしろこのタイミングですから、中国の「空騒ぎ」に煽られて、また台湾の馬英九政権は「空騒ぎ」をしてくれないことに業を煮やして立ち上がったという線が濃厚であるように思います。

 ……と、そういう腰の軽さによるものであればいいのですが、ひょっとして中国におけるアンチ胡錦涛筋からの密かな「オファー」を受けてのことであれば、明らかに胡錦涛潰しの政争とリンクすることになりますから、事態は厄介になります。

 今回の『国際先駆導報』は一面トップが、

「風雲・東シナ海領有権紛争の海上監視活動」

 みたいな見出しの記事になっていますから、現時点ではまだ「空騒ぎ」であれ、その第二段階(日本の巡視船問題→台湾活動家の上陸作戦)に移行しつつあるというべきでしょう。

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 前回書いたように、『国際先駆導報』や『環球時報』などの煽りに乗じる動きが党上層部、地方勢力、軍内部に及ぶようであれば、騒ぎも次第に実を伴ってくるようになります。

 時期も時期なのです。党中央は3月の全人代(全国人民代表大会=なんちゃって国会)を前に重要会議を開催する可能性があります。政府の重要ポストで5年に1度の世代交代が行われた去年はそうだったのです。「二中全会」(党第17期中央委員会第二次全体会議)が開かれて、全人代で発表する世代交代名簿についての最後の詰めが行われました。

 その「二中全会」を控えた頃に香港で、

「ポスト胡錦涛最有力候補の習近平・党中央政治局常務委員が中央軍事委員会副主席に抜擢される」

 という消息筋情報が流れたのを御記憶の方はいらっしゃるでしょうか?

 ●明報:習近平が中央軍事委副主席へ!ポスト胡錦涛に当確?(2008/02/11)

 結局「二中全会」は開かれたものの習近平の中央軍事委員会入りはありませんでしたが、もし今年も重要会議が開かれるとすれば(「四中全会」か党中央政治局会議)、この1年で政権を取り巻く状況が一変した「胡温体制」にとって、あまり望ましくない人事が行われる可能性があります。

 仮に重要会議があるとすれば、人事の焦点はやはり習近平で、やはり中央軍事委員会副主席就任、といった線ではないかと(党と政府の両方に存在する「中央軍事委員会」の場合、そのメンバーは原則的にどちらも同じ顔ぶれ。メンバー入りする場合は党部門が先で、そのあと政府の同ポストに就任するのが習わし)。

 今回の「尖閣再燃」が、その展開と出演者の顔ぶれ次第ではそういう人事への追い風となります。人事問題まで至らなくても胡錦涛や温家宝にとってはいよいよ仕切りにくくなる訳で、以前より手数が必要になれば政権運営から切れ味が失われてしまうのは必定。

 危機的な現状の改善への手当てが遅れ、要するに超格差社会や地域ごとの政治的・経済的割拠状態が進行するという、中国にとっての地獄絵図を呼びかねません。

 とりあえず、火種がまたひとつ増えたことになります。続報に期待。





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 あまり気乗りはしないのですが、いま現在の日中関係におけるホットな話題のひとつといえる、尖閣諸島をめぐる問題について。

 ……と書いていて我ながら疑問に思うのは、

 ●本当にホットな話題なのか?
 ●旬のネタなのか?
 ●騒いでいるのか?

 ということです。中国国内メディアの記事漁りをしていると何やら熱くなって多少は盛り上がっているようにもみえるのですが、日本側は正に音無の構え。……ええ、事態を静観しているのではなく、報じるに値する素材がないので記事にならない、というだけのことではないかと。

 中国側の一連の動きをざっと見渡してみると、

 (1)『環球時報』『国際先駆導報』など電波系基地外反日メディアはここを先途と必死に立ち働いている。
 (2)一部メディアがそれに悪ノリしている気配も。
 (3)人民解放軍の内部には、この騒ぎに乗じて……という向きがいるかも。
 (4)外交部をはじめとする中国政府はあからさまに迷惑顔で、マニュアル対応に徹し事を荒立てたくない模様。

 ……との印象を、現時点では受けます。これからどうなるかは、わかりませんけど。

 ――――

 中国メディアの一部が騒いでいるとすれば、その発端は日本側の報道です。これですね。



 ●尖閣諸島周辺にヘリ搭載巡視船を常置 海保、領海侵入監視を強化(MSN産経ニュース 2009/02/04/01:45)


 東シナ海・尖閣諸島周辺の日本領海で警戒監視活動で、海上保安庁はヘリコプター搭載の大型巡視船(PLH型)を常時配置する態勢に切り替えた。尖閣諸島警備では、これまでも状況に応じてPLH型巡視船を派遣してきたが、常時配置するのは初めてという。中国海洋調査船の領海内への侵入監視が強化された。

 海保では、昨年12月から続けてきた巡視船3隻態勢を以前の2隻へと減少させる一方、PLH型巡視船の投入で「ヘリコプターによる機動力が活用でき、警戒能力はこれまで以上のレベルを維持できる」(海保幹部)としている。

 中国海洋調査船が昨年12月8日、同海域の領海に侵入し、約9時間に渡って航行したことから、海保ではそれ以前の常時2隻態勢を、常時3隻態勢に一時的に強化し、石垣航空基地からの航空機による監視も続けていた。

 しかし、昨年12月の中国調査船の領海侵犯は、魚釣島の西方沖と島周辺という巡視船の死角となる南東海域からだったことから、海保では「ヘリコプターを投入することで効率的に事態に即応できる」として、PLH型巡視船の投入を決めた。

 PHL型巡視船の投入は1日から始まった。海保は新たな巡視船の配置について、「申し上げられない」としている。



 この記事から今回の煮え切らない動きがスタートしました。厳密にはこれ、「海保幹部」から得た消息筋情報ですね。

「海保は新たな巡視船の配置について、『申し上げられない』としている」

 と、海上保安庁はこれを正式に認めてはいません。とはいえ否定してもいないのと「海保幹部」のコメントから、確度は低くないように見受けられます。

 日本メディアでこの前後にこれを報じたところはないので、

「2月1日から海保が尖閣諸島周辺にPLH型巡視船を常時配置」

 というのは『産経新聞』のスクープ、ということになります。ただし、他紙による後追い報道もなく、『産経新聞』からも続報が出ていません。実は現在に至るまで、このニュースについては「That's all.」でして、要するに根拠は消息筋情報1本のみ、ということになります。

 ――――

 ところが、これに中国メディアが敏感に反応して騒ぎ始めることになるのです。尖閣問題でひときわ敏感に反応するのはもちろん電波系基地外反日紙あたりですが、先陣を切ったのはその代表格である人民日報系の『環球時報』。産経報道の翌日である2月5日付紙面(第三面)にてバーンと脊髄反射してくれました。内容は主に産経報道の引き写しです。

 ●『環球時報』2009年2月5日付紙面一覧
 http://www.huanqiu.com/newspaper/default.html?type=hqsb&date=2009-02-05&block=4

 その電子版である「環球網」は一足早く、4日当夜に同じ記事を配信しています。大手ポータルの「新浪網」がこれを即転載。

 ●日本が釣魚島海域に巡視船常駐へ(環球時報ー新浪網 2009/02/04/19:42)
 http://news.sina.com.cn/c/2009-02-04/194217149047.shtml

 これで消息筋情報は、「日本の2月4日付『産経新聞』の報道によれば」という書き出しに始まる「国内新聞」(中国本土のニュース)として認知されました。ちなみに「釣魚島」とは尖閣諸島の魚釣島のことですね。

 ともあれ、こと反日ネタとなれば、脊髄反射には脊髄反射で臨むのが中国における自称愛国者どもの正しいスタイル。……てな訳でこの記事の付属掲示板には現時点で2203件ものレスがついています。その内容たるや推して知るべし。大漁というほかありません(笑)。

 さて、2月4日の『産経新聞』報道が当日夜に中国国内のネット媒体で全国ニュースとなり、翌5日には紙媒体の『環球時報』が報道。この日は折よく外交部報道官定例記者会見が開かれており、さっそく質問が飛んでいます。



 ●日本は釣魚島実効支配のいかなる強化策も即時停止すべき(人民日報日本語版 2009/02/06/16:42)


 外交部の姜瑜報道官は5日の定例会見で、日本は釣魚島に対する実効支配を強化するいかなる行動も直ちに停止すべきだと表明した。

 ――日本の海上保安庁が、中国の海洋調査船の「侵入」を監視するためと称し、ヘリコプター搭載可能な巡視船(PLH型)を釣魚島海域に初めて常時配備させたと報道されているが、これについてコメントは。

 釣魚島およびその付属諸島は古来中国固有の領土であり、中国はこれに対し争う余地のない主権を有している。同島に対する実効支配を強化する日本側のいかなる行動も中国の領土主権に対する侵害であり、不法かつ無効であり、直ちに停止すべきだ。(編集NA)



 記者会見録全体の原文はこちら。

 ●「外交部HP-新華網」(2009/02/05/19:29)
 http://news.xinhuanet.com/world/2009-02/05/content_10769921.htm

 そして尖閣問題についてのみピックアップした記事はこれ。

 ●「新華網」(2009/02/05/21:25)
 http://news.xinhuanet.com/world/2009-02/05/content_10770347.htm

「釣魚島およびその付属諸島は古来中国固有の領土であり、中国はこれに対し争う余地のない主権を有している。同島に対する実効支配を強化する日本側のいかなる行動も中国の領土主権に対する侵害であり、不法かつ無効であり、直ちに停止すべきだ」

 と、外交部報道官はあくまでもマニュアル通りの対応であり、「海保が尖閣諸島周辺にPLH型巡視船を常時配置」といった具体的な言及は避けています。だって元ネタが消息筋情報なんですから。

 しかし電波系基地外反日メディアはこの機を捉えて放しません。『環球時報』が東の横綱なら、こちらは西の横綱とでもいうべき新華社系国際時事誌『国際先駆導報』が4日後の2月9日には関連記事をしっかりと掲載。

 毎週月曜・木曜発売の雑誌ですから、「事件」直後の最新号(9日発売)に満を持して炎メラメラな解説記事を出しています。同誌ウェブサイトにも同じ日に掲載されました。

 ●日本が釣魚島海域を全面封鎖(国際先駆導報HP 2009/02/09/10:13)
 http://news.xinhuanet.com/herald/2009-02/09/content_10786583.htm

 こうした中国の特定メディア(笑)による扇動的な動きは差し詰め前述した中の、

「(1)『環球時報』『国際先駆導報』など電波系基地外反日メディアはここを先途と必死に立ち働いている。」

 ……に相当します。

 ――――

 しかしその裏で、政治の世界では様々な駆け引きが行われたのかも知れません。中国にとっては領土紛争。となれば「国家主権と領土の保全」を神聖な使命とする人民解放軍とて反応せざるを得ません。

 その感度は軍内部においても様々だったでしょうが、公式には未確認の消息筋情報とはいえ確度は高めですし領土が絡んでいますし、また台湾問題とリンクする部分もあるので坐視できない事態ということになるでしょう。

 ただし「感度は様々」というのは、すぐ頭に血が上ってカッとする向きもあれば、現実に則した判断を重んじる筋もある、ということです。もちろん、頭に血が上ったフリをしているけど真の狙いは別にある、という勢力もいるでしょう。

 「純粋派」は熱血青年将校、といったイメージを結べそうですが、将官クラスにもやんちゃ坊主がいる可能性は否定できません。

 香港の活動家が2006年10月、オンボロ漁船に乗り組んで魚釣島上陸を試みたとき、中国・東海艦隊が尖閣諸島からわずか300kmの地点を管制区域とし、上陸予定日に合わせて?実弾射撃練習を行ったという「前科」もあります。

 規模にもよりますが、これ、佐官クラスの判子だけでは実施できない演習ではないかと思うのですが、さてさて。

 ●尖閣近海に中国海軍展開!なのに主役は台湾沖でヨタヨタ。(2006/10/25)

 こうした純粋にメラメラして鉄砲玉になりかねない単純な対日強硬派に対し、軍のトップである最高指導者・胡錦涛(党中央軍事委員会主席)を好まない向きは事を急がず、これに乗じて発言権を強めたり、軍における権限や予算分捕り、また経済政策面での譲歩を引き出そうとするなど、胡錦涛に圧力をかける方向へと動いているかも知れません。

「(3)人民解放軍の内部には、この騒ぎに乗じて……という向きがいるかも。」

 に相当するのがこれです。多少分別のある対外強硬派や、いまなお胡錦涛にプレッシャーをかけ続けている先代指導者・江沢民に引き立てられた将官、さらには制服組ではなく地方勢力&寡占業界のような既得権益層もポイントを稼ごうとするところかと思います。

 そういう口うるさい連中を迷惑に思っているのが他ならぬ胡錦涛であり、また対日関係の実務を担当する外交部あたりでしょう。

 胡錦涛も決して負けていないようです。これは別の機会に回しますが、人民解放軍機関紙『解放軍報』に目配りしておくと、胡錦涛も黙って打たれている一方ではないことがうかがえます。

 ……ただし、その反撃を行うために、胡錦涛は自分を擁護してくれる軍内部の勢力に何らかの見返りを与えたりしているのかも知れません。

 ――――

 一方、

「(4)外交部をはじめとする中国政府はあからさまに迷惑顔で、マニュアル対応に徹して事を荒立てたくない模様。」

 というのは上述の定例記者会見でもみせた動きですが、(3)の勢力に手当てすべく一応形だけのことはやっておこう、という外交部の姿勢が如実に表れたのが2月10日(『国際先駆導報』当該号発売の翌日)の出来事。日本大使館に対する申し入れです。



 ●外交部、釣魚島の巡視船問題について交渉申し入れ(人民日報日本語版 2009/02/12/11:41)


 外交部のウェブサイトによると、外交部アジア司の担当者は10日、ヘリコプターが搭載可能な巡視船を釣魚島の海域に日本が常駐させているとされる問題について駐中日本大使館に厳正な交渉を申し入れた。

 日本メディアの報道によると、日本海上保安庁は1日から、ヘリコプター搭載のPLH型巡視船を釣魚島海域に派遣し、釣魚島に対する警備態勢を強めている。この報道が事実であれば、中国領土の主権に対する重大な侵犯であり、中国側はこれについて重大な関心を示している。

 アジア司担当者によると、釣魚島と周囲の島々は昔から中国固有の領土であり、中国はこれに対して争う余地のない主権を持っている。日本側が釣魚島問題に関してさらなる行動に出た場合、中国側も強い反応をせざるを得ず、日本側はこれを明確に意識すべきだ。(編集MA)



 原文はこちら。

 ●「外交部HP-新華網」(2009/02/11/17:52)
 http://news.xinhuanet.com/world/2009-02/11/content_10802261.htm

 「厳正な申し入れ」といいながら気乗り薄なのは、まず外交部のこのアクションが確たる根拠のないもの(あくまでも『産経新聞』の消息筋情報ですから)であるため、……つまり形式上は事実無根ということになるので、「抗議」ですらない「申し入れ」でしかなかったこと。

 また、日中双方の担当者の実名や具体的なポスト名すら出ていないほど(日本側は「大使館員」)、格の低いで外交活動であること。そりゃ未確認情報で日本大使館に殴り込みなんて、外交官としては恥ずかしくてできたものではないでしょう。……それから、

「この報道が事実であれば」(這一報道如属實)

 といった腰の引けた表現(根拠不明瞭)からも嫌々っぷりがうかがえます。形だけ仕事はしましたからね、といったノリです(笑)。しかも申し入れは10日にやっているのに、外交部HPと新華社電という形での公式発表は翌11日の夕方になってから。

 さらに原文になると、日本語の「外交部アジア司の担当者は10日(中略)駐中日本大使館に厳正な交渉を申し入れた」という部分が、

「外交部亞洲司負責人奉命(中略)向日本駐華使館館員提出嚴正交渉」

 となっていて、外交部アジア局責任者が「命を奉じて」(奉命)……という余計とも思える単語が登場しているのです。

「はいはい承った御命令の通り仕事はしてきましたよ」

 という外交部の迷惑顔が、申し入れから公式発表までのタイムラグともども垣間みられているようで実に微笑ましい一節というべきでしょう(笑)。なお公式発表が遅れたことは、日本側の報道がやはり11日夕方に行われた点からもみてとれます。

 ●尖閣の巡視船配置で申し入れ=中国(時事ドットコム 2009/02/11/17:56)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009021100353

 ●尖閣諸島めぐり申し入れ 中国が日本に(共同通信-MSN産経ニュース 2009/02/11/21:32)
 http://sankei.jp.msn.com/world/china/090211/chn0902112134006-n1.htm

 ……総じていえば、日本側の報道は中国メディアに比べて非常に淡々としています。消息筋情報に対し、国内的には踊るフリをしてみせた中国外交部のアクションでは、目を引く記事にはなりにくいからでしょうか。

 ●中国軍副総参謀長が来日へ 日中交流、防衛相と会談(共同通信 2009/02/14/17:13)
 http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009021401000409.html

 には尖閣問題への言及がありますが、

「日本側との会談では、20年連続で2けたの伸び率を示す中国国防費の不透明性や、昨年12月の尖閣諸島沖での中国の海洋調査船による領海侵入が議題となる可能性もある」

 ……と、中国側から「厳正な申し入れ」が行われた今回の件は華麗にスルー。「空騒ぎ」扱いなのです。

 ――――

「(2)一部メディアがそれに悪ノリしている気配も。」

 という点にもふれておきましょう。

 ●尖閣問題:中国の掲示板が“炎上”―日本の巡視船配備で(サーチナ 2009/02/12/12:36)
 http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0212&f=national_0212_011.shtml

 炎上したそうです(笑)。

「中国新聞社が主催する掲示板『中新網社区』は12日、尖閣諸島問題で日中両国が『衝突する可能性が増大。君の見方は』と題するアンケートを掲載した」

 そんな「衝突する可能性が大」なんて決めつけて煽れば、そりゃ炎上しますとも。……もっとも、

「同アンケートは、日本の海上保安庁が尖閣諸島周辺にヘリコプター搭載の巡視船の常置配備したことをきっかけに掲載された。」

 という文言は消息筋情報に対して使うべき表現ではありませんが、これはどうしたことでしょう。それはともかく、

 ●「君はなぜ反日か?」―「反省ないから」:中国でアンケ(サーチナ 2009/02/12/11:39)
 http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0212&f=politics_0212_003.shtml

 この記事もいきなり「君はなぜ反日?」と認定してかかるところから結果はみえています。のっけから「反日認定」しても圧倒的多数派から苦情が出ないあたり、さすがは中国のネット世論(笑)。

 他に「尖閣問題での日本側の強硬姿勢は、麻生政権の支持率低下を挽回せんとする狙いがある」といった怪論もあれば、例の『環球時報』も相変わらず毒を吐き続けており、「中国側が海洋調査船を再度派遣する可能性も」といった香港親中系通信社発の消息筋情報も掲載しています。どの辺の筋なのか、ちょっと気になりますけど。

 ●「南方新聞網」(2009/02/12/14:55)
 http://news.sina.com.cn/pl/2009-02-12/145517202116.shtml

 ●「環球網」(2009/02/13/09:32)
 http://www.takungpao.com/news/09/02/13/images_0702-1031584.htm

 ●「環球網」(2009/02/15/08:32)
 http://world.huanqiu.com/roll/2009-02/371937.html

 ――――

 延々と書き散らしてきましたが、単純な軍部の対日強硬派を別とすれば、要するに、

「尖閣なら客を呼べる」

「反日は売れる」

「儲かる」

 という認識のもと、中国側の関係各方面がそれぞれの思惑に応じて、公式には根拠のない「空騒ぎ」を演じ、やはり領土問題について日本に譲るつもりは少しもないであろう胡錦涛や外交部すら、このプチ狂躁曲ぶりに辟易している、ということではないでしょうか。

 とはいえ鉄砲玉が突如飛び出さないとも限らないのが、この話題のちょっと油断ならないところなんですけどね。……まあ失業だ旱魃だ金融危機だといった容赦のない現実を前にすれば、やはり気の乗らないテーマではありますが、跡づけておく必要は一応ありますから。

 それよりも「在中日系企業」の「在中」とか「対中投資」の「対中」が中国語では「在華」「對華」と表記されるようになったのはいつからなのか、またそれを平然とやってのけられる民族的な精神構造、といったものの方に私は興味があります。ていうか、何となくムカつくんですけど。





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「上」の続き)


 こちらの9冊は定番というよりユニークな内容のものが中心。

 うーむ中国勤務ですか……私の場合は生命の危険が(真剣)。賎業と自嘲しつつも気楽極楽な現在の東京駐在員がやはり分相応かな、と。

 ただし勤務先は香港企業なのです。固定給も歩合も副業の原稿料も、頂くものは現地通貨ゆえ米ドルと一蓮托生。orz


















異形の大国 中国―彼らに心を許してはならない
櫻井 よしこ
新潮社

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日本と中国は理解しあえない
日下 公人,石 平
PHP研究所

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逆検定 中国歴史教科書―中国人に教えてあげたい本当の中国史 (祥伝社黄金文庫)
井沢 元彦,金 文学
祥伝社

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今、あなたが中国行きを命じられたら―失敗事例から学ぶ中国ビジネス
高田 拓
ビーケイシー

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扶桑社新書 中国が隠し続けるチベットの真実 (扶桑社新書 30) (扶桑社新書)
ペマ・ギャルポ
扶桑社

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中国危うい超大国
スーザン L.シャーク
日本放送出版協会

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中国人に絶対負けない交渉術
吉岡 健
草思社

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中国大虐殺史ーなぜ中国人は人殺しが好きなのか
石 平
ビジネス社

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新・中国若者マーケット
松浦 良高
弘文堂

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 ……それにしても今日の東京は異様に蒸します。気温は現在20度だそうで。

 気合いを入れて「Ver. 2/14」で臨んだ善男善女は可哀想ですね。真冬を想定した瀟洒な装いもこれでは総崩れ。

 皆さんの御健闘を祈念申し上げております。





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 楊枝削りでございます。m(__)m

 誰に頼まれた訳でもありませんが、ここ1年くらいの間に出た中国関連書籍を大特集。

 まずは押さえておくに如くはない保存版+丸わかり早わかりの9冊をば。


















不平等国家 中国―自己否定した社会主義のゆくえ (中公新書)
園田 茂人
中央公論新社

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トウ小平秘録 上
伊藤 正
扶桑社

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トウ小平秘録 [下]
伊藤 正
扶桑社

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危ない中国 点撃! 福島香織の「北京趣聞博客」
福島 香織
産経新聞出版

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人民解放軍は何を考えているのか (光文社新書 364) (光文社新書)
本田善彦
光文社

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チベット大虐殺の真実―Free Tibet! チベットを救え! (OAK MOOK 216 撃論ムック)

オークラ出版

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中国貧困絶望工場 「世界の工場」のカラクリ
アレクサンドラ・ハーニー
日経BP社

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愛国経済 中国の全球化(グローバリゼーション) (朝日選書)
吉岡 桂子
朝日新聞出版

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中国の民族問題―危機の本質 (岩波現代文庫)
加々美 光行
岩波書店

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 ……え?何だか「チナヲチのタネ。」に並んでいる本とダブってる?

 もちろん気のせいです。


「下」へ続く)





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 いま現在の中国をみる上で私は、

 ●主要国の景気後退で対外依存度がバカ高い「中国の特色ある経済発展モデル」がどうなるか。
 ●中国経済・社会の行き詰まり的な状況が政局に反映されるか。
 ●記録的な旱魃で、ただでさえ大量輸入しているのに豊作がいよいよ難しくなった国内の小麦生産がどう影響するか。
 ●出稼ぎ農民や大学生、そしてリストラ被害者の就業難。
 ●広東省や上海市をはじめとした沿海部の各地区は押し寄せる出稼ぎ農民らをさばき切れるか。
 ●庶民,特に都市部における「官」に対する抗議活動の原因と活動方式はどうか。

 ……てなことを中心に、あとは素人なりに経済統計などを眺めて色々ぼんやりと考えています。

 ただ2月に入ってからちょっと無視できない別種の動きも出てきています。中国国内における「制服組」、つまり人民解放軍の鼻息が荒くなってきたような気配があるのです。

 鉄砲玉的な対外強硬派の先走りだけならともかく、今回はこれまで一応、最高指導者の胡錦涛・国家主席を支持してきた軍主流派の動きも何やらキナ臭くなってきている模様。

 佐官級までなら今までも言いたい放題な部分がありましたが、主流派の将官、やや具体的には中央軍事委員会のメンバー(同委主席である胡錦涛以外は全て制服組)と胡錦涛の間に微妙な隙間風が吹き始めたような気がしてなりません。

 要するに胡錦涛は先代の最高指導者・江沢民の影を未だに払拭できないでいる、といった観があります。それを示唆するような記事を探しては拾い回っているのがここ数日です。

 ……いや、重要論文などが出ていてあれこれ憶測しなければならないのですけれど、私自身が記事漁りを再開したばかりで、いわばリハビリ中ですから頭がまだ邪推モードに入り切れていません。ただでさえ馬鹿なのに。orz

 ただ全体の印象としては、尖閣諸島をめぐる動きより、海賊対策のためソマリア沖に海軍艦艇を派遣したことの方が大きく作用している、といった感じです。

 それはともかく。

 ――――

 これからもリハビリモードで徐々に巡回点を増やしつつ、記事漁りを本来あるべき分量まで回復させ3月の全人代(全国人民代表大会=なんちゃって国会)を迎えたい、と私は考えています。

 ただし、再三当ブログで泣き言を述べているように、ヲチはこの上なく楽しいものの、そのためにしなければならない記事漁りは、やはり苦行。

 そこで、拾う記事の量が少ないうちに記事漁りのモチベーションを保つための「遊び」を入れよう、と思いついた次第。この作業、体力とヤル気で支えているようなものですから。

 という訳で標題の業務連絡です。私が拾い上げた中国関連記事の倉庫をオープンしました。なーに日付別に漁った記事を並べるだけのブログめいたものです。

 記事漁りの分量が平時に復すると、当ブログの役に立つ記事というのは1~2割程度しかありません。残りは将来使うことがあるかも知れないと考えてとっておくのですが、要するに捨てているも同然。

 とはいえ、この「捨てている」部分に価値を求める方がいるかも知れませんので、記事漁りについては手の内を全て明かしてしまおうと、そう考えた次第。


 ●チナヲチのタネ。
 http://chinawochi-seed.seesaa.net/


 ここで大っぴらに告知する必要があるのかどうか甚だ疑問な内容なのですが、私自身にも便利なので楽しみつつも備忘録として活用していきたいと思っています。

 「遊び」の部分はまず記事を並べること。それからニコニコ動画の珠玉の作品を毎回附すのと(いま現在の最新エントリー「2009/02/06」の文末付録「総統閣下のクリスマス」は必見w)、余りにえげつないAMAZON攻撃(笑)。仕様上、このgooブログでは不可能なことなどもできるので、いつまで続くかわかりませんが、あれこれ楽しみつつやっていきたいところです。

 ただし私による私のための娯楽でしかない当ブログ「日々是チナヲチ。」のマイナーリーグのようなものですから、どうみても大したものではありません。どうしようもなくヒマだ、死にそうなくらいヒマだ、というときに、のぞきに来て頂ければ幸いです。

 ――――

 余談ですが、例の「アルファブログアワード2008★★★★ブログ記事大賞」、このブログの当該エントリーは青息吐息ながら第二次中間発表にも何とか残ったようです。

 「08憲章」については一連の取材・邪推活動がキモであるシリーズもの。その中のエントリーひとつだけを取り上げてもあまり意味がないように私は思うのですが、こういう晴れやかな場に出させて頂くだけでも非常に有り難いことなので、ここは素直に喜ぶことにしています。

 以上、取り急ぎ御報告まで。





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 遅ればせながら報告をば。

 ビルマ・タイ国境地帯の先住民であるカレン族のナショナル・デイ記念イベントに2月7日、参加してきました。

 カレン族といえば私にはLさんという友人がいて、そのLさんと一緒に参加したお正月イベントではちょっと滑ってしまいました。

 今回はLさんが仕事を休めないため私は単独出席ということになり、どうしようかなーと前日まで色々悩んだのですが、悩むときは積極策で打って出るべしという信条に基づいて御茶の水の会場へと足を運びました。

 結果から申し上げますと、参加して大正解。

 前回は純粋にカレン暦での新年を祝う集まりだったのですが、今回は日本に3つあるカレン族の政治組織のひとつ、在日カレン民族同盟(KNL=KAREN NATIONAL LEAGUE)の主催であり、ナショナル・デイといえばカレン族にとっての建国記念日のようなもの。厳密には偶然ながら日本と同じ2月11日がそれに当たります。

 ビルマ独立直後である1948年2月11日にカレン族が独立・自治を求めて大規模デモを行ったのが由来です。今年で61年目。そして翌1949年1月31日(革命記念日)にはビルマ政府の弾圧に対してカレン族がついに蹶起し、現在に至るまで内戦を展開中です。

 さて記念イベント。最初に国旗掲揚が厳粛に行われ、そのあとカレン族のルーツ、ナショナル・デイの由来、その他カレン族に関する色々なことや他の政治組織からの来賓挨拶などがありました。

 

 



 今回は新参者である私の他にも多少の日本人出席者がいたためか、日本滞在歴の長いカレン族の人がそれぞれのスピーチの後にその内容を流暢な日本語で要約してくれたので、退屈することがなかったのが有り難かったです。

 ……いや正直、カレン族といっても様々な部族がいて、スゴー・カレン語やポー・カレン語など、それぞれの言葉での演説なので私は大人しく座っていることしかできませんでした。部族ごとの言葉も北京語と広東語並かそれ以上の距離があり、スゴー・カレンであるLさんもポー・カレン語はわからないそうです。

 さらにいうと、最近の若いカレン族にはいずれのカレン語も全く話せないか、話せてもカレン文字を読み書きできない人が増えているとか。

 ――――

 イベントが始まる前に会場に入った私は目立たないように隅っこの方に座っていたのですが、目ざとく見つけられてしまいました。

 前回、お招きにあずかった御礼に50個進呈した「FREE KAREN」の小さなカンバッジ(日本でも大使館の眼が光っていますから、わざと目立たぬよう小さなものにしました)を胸につけた人たちが開会前に挨拶に来て下さり、私はもう恐縮頓首。



 その後で若いカレン族の人が寄ってきて、

「横の部屋で展示などもしています。よかったら観に行きませんか?」

 と誘ってくれたので、是非是非とばかりに喜んでステージ横の部屋に入ったところ、思わず絶句してしまいました。こんな感じです。

 



 ビルマ軍事政権によるカレン族迫害の……というか民族浄化の証拠写真や、地雷や化学兵器の被害者の写真、また海外の組織などによる救援活動の様子などが紹介されていました。

 ただし、後日Lさんに聞いたところ、突如政府軍が来襲して故なく村を焼かれ殺戮されるカレン族の生存者は追撃を恐れて山岳地帯の奥深くに隠れてしまうため、医療活動や教育も受けられない、それこそ21世紀にあるまじき生活を余儀なくされているとのこと。

 化学兵器は中国から供与されたものだそうです。それに限らず、中共政権による資金と兵器の援助によって軍事政権は近年急速に強化されており、カレン族の態勢が目立つようになっている、とLさんが教えてくれました。

 政府軍の所業は手当り次第にカレン族の村々を襲撃し、家々を焼き打ちして男や子供はその場で殺され、女性はレイプされた上で殺されて家畜を奪う。……という、内戦継続中とはいえ、

「昔ビルマにカレン族という民族がいました」

 というほどの勢いで、正に民族浄化としか言いようのない事態が進行しています。私はこうして弱小ブログで紹介することしかできないのですが、こうした状況をより多くの日本人に知ってほしいとの意を新たにしました。

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 で、ここで楊枝削りではなく告知です。このビルマ軍事政権によるカレン族虐待をテーマにしたのが「ランボー 最後の戦場」という映画。

 
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 これは是非、レンタルで構いませんから一度は御覧になって下さい。カレン族に対する民族浄化の有様が随所に登場します。その内容たるや目を覆うほどの残虐なものですが、Lさんによると「これは日常茶飯の序の口」だそうです。

 在シンガポールのカレン族をはじめ反軍事政権派は映画館をひとつ貸し切って上映会を開いたというエピソードもあります。

 ちなみにWikipediaの「ランボー/最後の戦場」によると、



「ジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)はタイの北部のジャングルで、ボートによる運搬や毒ヘビ狩りを生業としながら、ひっそりと暮らしていた。人権弾圧が続く隣国のミャンマーでは、軍事政権が少数民族カレン族を虐待し、土地や天然資源を奪取していた」

「現地のガイドにカレン族の村へ案内された傭兵たちはそこで惨殺されたカレン族を目の当りにし、しり込みする。そしてミャンマー兵による残虐な殺人博打を目撃し、帰途につくことを計画する」(殺人博打=地雷を田んぼの中に投げ込み、捕虜を田んぼの中を走らせて彼らが爆死するかどうか競うゲーム)

「本作品の舞台がミャンマーになったのは、『現実に、残忍な暴力や虐殺が起こっている地域を舞台にしたい』というスタローン本人の強い希望で、ミャンマーが舞台となった」

「日本や、現在の米国においてはイラクの方が報道は多いが、世界の中で本当に人間の権利が踏みにじられていて、それが注目されていないか忘れ去られている事への警告として、スタローンの持つ本質的なメッセージ性が顕れていると言えよう」(ミャンマーの報道もたまにあるが、そのほとんどがアウンサンスーチーや民主化運動関係の報道である)

「本作にミャンマー人役として出演した役者たちの一部には弾圧されているカレン族や、出演したという理由のみで親族が逮捕された役者もいる」

「撮影地もミャンマーとの国境からそれほど離れていないタイ北部の地域であり、ミャンマーから脱出したカレン族も多く住む地域である」



 ……などと紹介されています。下は予告編です。



 もしよろしければ、こちらの「Rambo 4 Real: The Karen Massacre」も。カレン族が直面している現実です。

 そして、ここにも中共政権の影が。

 ビルマ軍事政権への強力なバックアップの狙いは、天然ガスなどの資源を買い叩くことと、インド洋に出る軍港の確保です。

 アジアにおける軍事的バランスの不安定化とシーレーンを脅かされるという意味において、日本と日本人にとっても無縁な問題ではないことを強調しておきます。





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