日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)







 これは、許せません。日本もしっかりしなくちゃ。猿にも及ばぬ畜生を相手にしていることを、理解しないと。




 さすがは厚顔無恥で三千年。いけしゃあしゃあと「サンプルに問題なし」「安全」認定です。中国側がさらに伝家の宝刀、

「日本のメディアが騒ぎすぎ」

 を抜くかどうか注目しましょう。 ↓ ↓ ↓



 ●「農薬検出されず」中国側が会見、日本側と共同で調査へ(YOMIURI ONLINE 2008/01/31/21:25)
 http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080131-1068087/news/20080131-OYT1T00596.htm

 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザの中毒問題で、中国の国家品質監督管理検疫総局の王大寧・輸出入食品安全局長が31日、記者会見し、ギョーザの製造元「河北省食品輸出入集団天洋食品」への立ち入り検査を行った結果、「(保存していた)ギョーザのサンプルと原材料から(有機リン系農薬)メタミドホスは検出されなかった」と述べた。

 王局長はさらに、一両日中にも専門家チームを日本に派遣し、日本側と共同で、具体的な調査を行う考えを明らかにした。

 王局長によると、検査は30日深夜から、昨年10月1日と20日に製造したギョーザのサンプルと、現在使用されている原材料を対象に行われ、31日未明に結果が出た。また昨年は、ギョーザの原材料となるショウガや白菜などの残留農薬の検査が行われ、合格だった。工場内の生産記録も完全にそろっていたという。

 王局長は天洋食品について、「1996年に対日輸出を始めて以来、2004年8月に肉製品で基準を超える大腸菌が検出されたほかは、品質が非常に安定している」と強調した。




 ●被害は31都道府県410人に…読売調査(YOMIURI ONLINE 2008/01/31/22:43)

 ●毒ギョーザ、中国では死者も ずさんな農薬管理(MSN産経ニュース 2008/01/31/18:29)

 ●政府、中国に正式抗議へ ギョーザ薬物中毒(asahi.com 2008/01/31/17:52)

 ●サンプルから農薬検出せず 中国が製品の調査実施(共同通信 2008/01/31/17:23)

 ●中国製ギョーザ米当局も注視 安全策強化迫る(MSN産経ニュース 2008/01/31/17:01)

 ●天洋食品から19社輸入=ギョーザ以外も販売中止要請-厚労省(時事ドットコム 2008/01/31/16:33)

 ●「ギョーザで被害」17都道府県85人 さらに拡大の様相(MSN産経ニュース 2008/01/31/15:59)

 ●ギョーザ工場、「食の安全」官庁の最高幹部が視察していた(サーチナ 2008/01/31/15:53)

 ●「天洋」製品を自主回収…マルハ・日本ハム・加ト吉(YOMIURI ONLINE 2008/01/31/15:53)

 ●<中国製ギョーザ>検疫総局が調査開始、「日本で食品問題が多発」と報道―中国メディア(Record China 2008/01/31/15:16)

 ●中国製ギョーザ:3年前にもメタミドホス混入 天洋食品(毎日jp 2008/01/31/15:00)

 ●中国製ギョーザ:農薬メタミドホスで中国でも食中毒(毎日jp 2008/01/31/15:00)

 ●「天洋」全製品の販売中止、厚労省要請…新たに65人症状(YOMIURI ONLINE 2008/01/31/14:31)

 ●110人不調訴え 福岡の生協調べ ギョーザ中毒問題(西日本新聞 2008/01/31/14:13)

 ●同一製造日の「餃子」1万袋輸入、回収は難航か(YOMIURI ONLINE 2008/01/31/14:10)

 ●中国製ギョーザ中毒:報道陣と小競り合いも 従業員、答えぬまま--河北省の製造工場(毎日新聞東京夕刊 2008/01/31)

 ●販売中止を要請された「天洋食品」の製品一覧(YOMIURI ONLINE 2008/01/31/13:57)

 ●香港でも「天洋食品」の餃子販売中止(MSN産経ニュース 2008/01/31/13:43)

 ●「警察が捜査」と中国当局 駐日大使館通じ談話(共同通信 2008/01/31/13:43)

 ●中国当局、ギョーザ製造工場に立ち入り検査(YOMIURI ONLINE 2008/01/31/13:41)

 ●「天洋食品」03年に検疫免除、中国が通関迅速化へ優遇(YOMIURI ONLINE 2008/01/31/13:40)

 ●中国製ギョーザ:「天洋食品」の工場責任者は出勤せず(毎日jp 2008/01/31/13:34)

 ●中国製食品の使用中止 外食大手のすかいらーく(共同通信 2008/01/3113:32)

 ●中国警察が捜査開始=製造企業には自主回収指示-冷凍ギョーザ中毒問題(時事ドットコム 2008/01/31/13:28)

 ●<中国製ギョーザ>「中国の恥!」「これは中傷だ」ネット上での反応は多様―中国(Record China 2008/01/31/13:12)

 ●中国製ギョーザから検出のメタミドホス、使用禁止だった(サーチナ 2008/01/3112:55)

 ●中国では死亡例も、餃子から検出「メタミドホス」(MSN産経ニュース 2008/01/31/12:48)

 ●「独裁国家なんだからしっかりしろ」 石原知事(MSN産経ニュース 2008/01/31/12:48)

 ●ユニー、中国製ギョーザなど撤去=購入済み商品の返品呼び掛け(MSN産経ニュース 2008/01/31/12:46)

 ●中国当局が現地調査開始 冷凍ギョーザ、責任者らから聴取(共同通信 2008/01/31/12:35)

 ●ギョーザ問題を報道 中国、日本への反感も(共同通信 2008/01/31/12:33)

 ●情報処理システム見直し 中国餃子中毒事件で官房長官(MSN産経ニュース 2008/01/31/12:19)

 ●天洋食品からの輸入商品19社88品目 リストを厚労省が発表 中国餃子中毒事件で(MSN産経ニュース 2008/01/31/11:45)

 ●地元政府が検疫免除? 中国ギョーザ食中毒事件(iZaニュース 2008/01/31/11:18)

 ●関係省庁連携し原因究明へ 中国製ギョーザ中毒事件(MSN産経ニュース 2008/01/31/10:40)

 ●<中国製ギョーザ>有毒成分は生産途中に混入か、立ち入り調査中の現地工場には公安が待機―中国(Record China 2008/01/31/10:34)

 ●中国製餃子で被害の主婦、食後20分にめまい(YOMIURI ONLINE 2008/01/31/03:06)

 ●「死ぬかと思った」入院中も手足に震え 中国製ギョーザ問題(2008/01/31/01:18)

 ●天洋食品輸入、年1300トン=国内3社、問題のギョーザ-厚労省(時事ドットコム 2008/01/31/01:17)

 ●中国産ギョーザ:中国の製造元、門閉ざし取材に応じず(毎日jp 2008/01/31/00:45)

 ●中国では死亡例も=「メタミドホス」中毒(時事ドットコム 2008/01/31/00:20)

 ●中国製ギョーザなどの撤去・販売中止相次ぐ(YOMIURI ONLINE 2008/01/31/00:16)

 ●中国製ギョーザ中毒:輸入検査に穴 加工食品、農薬は対象外(毎日新聞東京朝刊 2008/01/31)

 ●自主回収対象の冷凍食品一覧…輸入ギョーザ食中毒(YOMIURI ONLINE 2008/01/30/23:02)

 ●加ト吉と味の素、中国「天洋食品」関連製品を自主回収(YOMIURI ONLINE 2008/01/30/22:40)

 ●中国産ギョーザ:製造元、説明を拒否(毎日jp 2008/01/3021:29)

 ●中国製ギョーザに農薬(共同通信 2008/01/30/20:30)

 ●中国当局、ようやく「調査開始」と声明 毒餃子(MSN産経ニュース 2008/01/30/20:28)

 ●「メタミドホス」とは? 毒餃子事件(2008/01/30/19:11)

 ●中国「調査中」、製造元「証拠があるのか」 日本、中国側に照会へ 毒餃子(MSN産経ニュース 2008/01/30/18:12)

 ●中国製ギョーザ食中毒、JTなどが23品目を自主回収(YOMIURI ONLINE 2008/01/30/18:11)

 ●中国餃子で中毒計10人に 兵庫でも、いずれも同一輸入業者 メタミドホス検出(MSN産経ニュース 2008/01/30/17:30)

 ●中国産冷凍ギョーザで一時重体 千葉・市川 製造過程で薬物混入か(MSN産経ニュース 2008/01/30/16:06)


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 本格的な権力闘争によって政局が一大転換していくというのは、眺めていて実にゾクゾクするものでした。政局の転換が中国の針路を左右するものでしたから、正に歴史が動いているという緊張感や昂揚感もありました。

 しかしトウ小平の「南方視察」が開始されて以降は改革派の圧倒的攻勢となるため、つまり余りに一方的な展開であったため、それ以前の時期に比べるとヲチは非常に楽でした。

 これが2005年春の反日騒動に名を借りた政争のように、争う当事者同士がいずれも決め手を持っていないようだと難渋します。敵対勢力をKOできるだけの力を持たない小粒な政治勢力同士の喧嘩ですから、事態が二転三転して大きな流れが形成されません。

 いきおい先行きが不透明になります。こうなると新聞報道からいろいろ察しなければならなくなるので困難な作業とならざるを得ません。それでもわかることができるのは、どことどこが争っていて、互いにいかなる大義名分を掲げていて、ひとつひとつのアクションの意味合いを察しつつ、いま現在はどちらが比較的優勢か、ということくらいです。

 結局、この反日騒動のときの政争も、反日の勢いが余りに拡大していることに喧嘩している当事者同士がびっくりして手打ちを行い、結局勝敗がつかぬまま終わっています。その不完全燃焼が直後に「呉儀ドタキャン事件」を引き起こすことになるのですが、これは余談。

 それとは対照的に、トウ小平の「南方視察」が始まってからの展開は実に鮮やかなものでした。味方陣内で相手のボールをインターセプトするなり、一斉にカウンター攻撃に転じるような切れ味の鋭さを感じたものです。



●トウ小平、改革加速・保守派攻撃へ積極的な動き(1992年1月27日)


 深セン・珠海を訪問している中国の最高実力者・トウ小平と楊尚昆国家主席は、同地滞在中、改革加速を強く打ち出す談話を次々と発表。江沢民総書記や李瑞環政治局常務委員もこれに呼応するかのような演説を行っており、改革派の攻勢がにわかに強まっている。

 トウ小平は19~23日に深センを訪れた後、珠海を視察。楊尚昆も21日から5日間深センを視察し、25日に珠海入り。両者は26日に会談している。

 87歳とは思えぬ精力的な視察を続けるトウ小平の狙いは、改革の本格化と改革派の援護。

「特区と珠江デルタ地帯を20年でNIESに並ばせる」
「広東は全国の経済発展の牽引役を果たせ」

 と語り、引き締め政策のなか独自の改革路線をとってきた広東省、経済特区に支持を表明し、一方で、

「イデオロギーを強調するあまり経済建設をおろそかにしてはならない」

 と保守派の動きにクギを刺した。また、

「香港の資本主義制度はあと百年は続くだろう」

 と注目すべき発言を行い、周南・新華社香港支社長が密かに深セン入りしてトウ小平に香港の現状を報告したという報道も流れた。

 楊尚昆の言動もこれと軌を一にしている。

「深セン特区を引き続き発展させ、21世紀に躍進しよう」

 と揮毫し、

「特区の建設には常に開拓が必要だ。保守的すぎるのはいけない」

 と発言。さらに改革・開放政策を、

「より拡大し、より大胆に」

 と呼びかけた。なお、中国のマスコミも26日、楊尚昆の一連の発言を報じて特区視察を初めて伝えたが、トウ小平の動静については一切ふれていない。

 一方、26日の中国各紙は江沢民総書記と李瑞環政治局常務委員の演説を掲載。江沢民は「中国の特色ある社会主義建設」のために実務の重要性を強調、形式主義を批判したが、これはイデオロギー偏重で経済建設という「実務」を軽視する保守派を批判するもので、上述のトウ小平の発言と呼応する。

 李瑞環の演説は全国宣伝部長会議の代表座談会で行われたものだが、改革・開放の推進と思想解放を強調。「中国の特色ある社会主義」の建設には科学技術の最重要視、計画ある商品経済、所得格差を容認する「先富論」、政治体制改革が欠かせないと指摘して、改革加速を打ち出すトウ小平に同調。

 また、指導者の会議や式典参加、長いばかりで無味乾燥な文章をマスコミが紹介することに「大衆は飽きている」とし、「この状況を断固改めねばならない」と保守派を強く批判している。

 最近、改革加速への機運が急速に高まりつつあるが、これは、

「国際情勢がどのように変化しようとも、安定最優先方針は堅持し、そのために経済建設を強化しなければならない」

 というトウ小平の主張に基づくもの。

 保守派は当初、「安定」をタテに漸進的な改革を打ち出し、一方で「和平演変」(西側による平和攻勢)反対闘争によって思想統制強化を狙った。しかし国営企業の不振をはじめ深刻な問題を抱える経済状況、また動揺する民心を前に、改革の加速化や思想解放といった、思惑とは裏腹の譲歩を余儀なくされている。

 トウ小平の目的は秋以降に開かれる党大会で改革派優位の指導部人事を行うことにあり、異例の長期日程を組んだ今回の特区訪問と改革派の攻勢はこのための足場づくり。今後もこの勢いは強まるとみられるが、病気などの理由で姿を見せない保守派長老がどのような形で巻き返しを図るか、注目される。




 私は文化大革命が発動された1966年にはまだ生まれていません。毛沢東が死去して四人組が逮捕されたり、第11期三中全会改革開放政策の導入が決まったり、トウ小平が主導権奪回を果たした時期はまだ小学生から中学生になるころで、もちろんリアルタイムに事態を把握していません。

 大学生のときに発生した胡燿邦失脚(1987年)は大局に変化を与えませんでしたし、1989年の天安門事件のときは上海に留学中でしたが、権力闘争という面でみると中途半端であり、趙紫陽自身が前年夏のスーパーインフレの責を負って半ば干されている状態でしたから、流血の弾圧はショッキングであったものの、その失脚で大きな流れが変わったともいえません(趙紫陽グループの失脚で政治制度改革が流産したことはその後の中国に大きな影響を与えていますけど)。

 ですから、この1992年の政局大転換・改革再加速のようなパワフルな権力闘争をリアルタイムで眺めるという経験は、私にとってこれが最初であり、その後の中国政治にも類似例が発生していないことを考えると、香港メディアの強力な解説陣に囲まれつつ事態の推移を眺められたことを含め、実に幸運だったとしかいいようがありません。

 トウ小平は人生最後のこの権力闘争によって、持論である改革開放路線を「国是」として定着させることに成功します。

 天安門事件において自ら手を下し血しぶきを浴びることでバランサーからカリスマへと昇格としたトウ小平が、その地位をより確固たる揺るぎないものにしたのも、この権力闘争に拠るところが大きいと私は考えています。

 ……って話をまとめるにはまだ早いですね。トウ小平の人生最後の権力闘争は、この段階ではまだ緒についたばかりにすぎませんから。


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 そろそろ使おうこのネタ、思いつつ日が経ってしまいました。気付いたらもうすぐ旧正月(旧暦の元旦は2月7日)。とすればその節目に国家指導者の年賀演説などが出てきます。そこが比較検討の場になるかも知れないのでここで出しておきます。

 ……しかも、胡錦涛の指導力は盤石ではありません(ええ、盤石ではないのです)。

 などといった表現を私はこの半月ばかりの間にしばしば使いましたが、別にその決め手となるような重大事件が経済統計や豪雪問題で騒がしい時期にひそかに発生していた、という訳ではありません。仮に発生していたとしても、むろん私には察知できようもありませんし。……ただし、

「胡錦涛はどうも頼りねーな」

 と思わせる根拠めいたものはあります。それがタイトル通り、胡錦涛の「核心」扱いについてです。これについては以前のエントリーで詳報していますね。

 ●広東掌握?胡錦涛に「核心」キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!!(2008/01/08)

 面倒なのでその冒頭を引き写して説明に代えさせてさせて頂きます。物臭御免。m(__)m



 これは歴史的な節目のひとつといっていいでしょう。タイトルの通り、胡錦涛・国家主席(総書記)にとうとう
「核心」がつきました。

 ――――

 ……経緯などを一応説明しておきますと、先代の最高指導者である江沢民はその最盛期、

 江沢民総書記を
核心とする党中央。

 と、まるで江沢民がいなければ党中央が成り立たないかの如き破格な扱いを受けていました。その後を継いだのが胡錦涛な訳ですが、2004年9月の江沢民完全引退=胡錦涛政権発足から3年以上を経ても、

 胡錦涛同志を総書記とする党中央(以胡錦濤同志為總書記的黨中央)。

 と呼ばれるばかりで、江沢民のように「核心」扱いをしてもらえないままでした。「核心」と呼ぶに足る指導力・統制力がある、と認めてもらえなかったからでしょう。逆にいうと、
いつ胡錦涛に「核心」がつくか、というのが実権掌握の上でのひとつのバロメーターだったのです。

 それがこの1月2日にとうとう現実のものとなりました。舞台は
広東省・深セン市の党幹部会議です。正確には1月2日午前。

 それまで深セン市のトップだった李鴻忠・深セン市党委員会書記が湖北省長代理へと転出したため、深セン市はトップ不在の空位状況が続いていたのですが、この党幹部会議で後任人事が発表されました。

 広東省党委副書記を務めていた
劉玉浦が深セン市のナンバーワンへと抜擢されたのです。そして、

 胡錦涛同志を
核心とする党中央(以胡錦濤同志為核心的黨中央)。

 という記念碑的な言葉もこの劉玉浦の口から出ることになりました。



 この歴史的といっていい劉玉浦演説は公の場でのものです。内容が内容ですから党中央の承認があったものと思われます。実際、中国国内の大手メディアがこぞって報じましたので公認扱い。これに香港紙『明報』『蘋果日報』が喰いついてニュースにし、さらに『明報』の報道をベースにした記事を台湾・中央通信社が配信しています。

 ところが。「広東掌握」については確かに胡錦涛直系の「団派」(共青団人脈)のホープたる汪洋・広東省党委員会書記(広東省のトップ)が、新任であることを全く遠慮せずに奮発せざる同省の幹部面々にガンガン活を入れてぐいぐい引っ張っていく形勢になっているのですが、
「核心」は後が続かなかったのです。これは一体どうしたことでしょう。

 また引き写します。上記エントリーのコメント欄に私が書いたものです。



「核心」の言い出しっぺはトウ小平です。江沢民のためにワンフレーズ創ってやったもので、自分はカリスマだと自任しつつ、「お前の代からは集団指導体制だけど仕切るのはお前」というニュアンスが込められているように思います。「核心」だった江沢民は確かに仕切ることはできましたけど確かにカリスマには程遠く、引退後に院政を敷く甲斐性すらありませんでした。

 留意するとすればこの胡錦涛を「核心」扱いする動きがどこまで広がるか、ということです。江沢民がそうだったように、「核心」はカリスマと違って「鶴の一声で何でも思うがまま」ではありませんから、従来通り「胡錦涛同志を総書記とする……」という言い回しが一方で残る可能性があります。

 ……というのは私の経験値に照らしたものです。1992年のトウ小平の南巡講話も、発表当初は都合の悪い部分を削除したりシリーズ論文を1回すっ飛ばしたりといった保守派を背景とした一部メディアによる「抵抗」がみられたものです。むろん瞬時に制圧されましたけど(笑)。胡錦涛はトウ小平に比べれば明らかに非力ですから、そういう統制不十分な動きが出てくる可能性はあると思います。




 この、

 「核心」扱いする動きがどこまで広がるか。

 という動きがどうしたことか、その後は全く出てきません。逆に、
「一方で残る可能性があります」と私が書いた、

 「胡錦涛同志を総書記とする党中央」

 という従来の表現が、併存するどころかそれ一辺倒のオンパレード状態なのです。特に事実上の最高意思決定機関である党中央政治局常務委員クラス、いわば中国指導部の面々が「核心」を鮮やかにスルーして従来の表現のままで通しています。

 ――――

 まあ時系列で並べてみましょう。いずれの演説(記事・論文)にも、

「胡錦涛同志を総書記とする党中央(以胡錦濤同志為總書記的黨中央)」

 という表現が使われています。まずは意外にもこの人。

 ●温家宝、国家科学技術奨励大会での講話(新華網 2008/01/08/22:26)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/08/content_7387833.htm

 「胡温体制」……と、胡錦涛と併称される温家宝が、深センでの「核心」扱いから1週間も経たないうちに、掌を返すがごとく、しかも他の面々を差し置き一番槍をつけて「胡錦涛=核心」を認知していないことを示してみせたのです。

 お次は江沢民系とされる賀国強。

 ●賀国強、党中央規律委員会学習会での談話(新華網 2008/01/10/21:18)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/10/content_7401149.htm

 そして三番手が何と、汪洋なのです。

 ●汪洋「思想解放・改革堅持で科学的発展観を実践する尖兵の座を勝ち取れ(広州日報-新華網 2008/01/14/10:45)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2008-01/14/content_7418153.htm

 広東省のトップであり、胡錦涛の子飼いである筈の汪洋が、省内の党幹部を前にした長い演説の最後で「胡錦涛同志を総書記とする党中央」と親分の顔を潰す発言です。胡錦涛の宿敵ともいえる李長春あたりが言うのならともかく、温家宝に加えて「団派」のホープですから。あれれ、おかしいな。……と私が感じ始めたのはこのときからです。

 ――――

 その次は演説ではなくコミュニケです。

 ●第17期党中央紀律検査委員会第二次全体会議公報(新華網 2008/01/16/13:01)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/16/content_7431180.htm

 この会議には党中央政治局常務委員のメンバーが顔を揃え、この席上で胡錦涛が重要講話を発表しています。しかし公報では「胡錦涛同志を総書記とする党中央」と、やはり「核心」扱いはされていません。

 深センの劉玉浦演説での「胡錦涛同志を核心とする党中央」が実のところどういう経緯で決められたのかはわかりませんが、胡錦涛が出席する会議で従来の表現が使われたということは、この
「胡錦涛同志を総書記とする党中央」を胡錦涛自身も受け入れたことになるといっていいでしょう。

 これに続いたのが賈慶林。宗教統括組織の成績優秀者を引見する場での演説です。

 ●「新華網」(2008/01/16/19:27)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/16/content_7432957.htm

 そして、お待ちかねの李長春が「5くらい」とか言いつつ軽やかに6ゲト。

 ●李長春、陶涛同志生誕100周年座談会での講話(新華網 2008/01/16/20:04)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/16/content_7433011.htm

 さらに李長春は連投です。

 ●李長春、全国宣伝思想工作会議での講話(2008/01/23/20:11)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/23/content_7482073.htm

 どうやら「核心」扱いはダメ出しされて一発芸に終わり、従来の「胡錦涛同志を総書記とする党中央」で固まったようだ、と私も思うようになりました。

 ――――

 その次がある意味で決定的でした。

 ●胡錦涛、北京駐屯部隊の老幹部を慰問する迎春イベントに出席(新華網 2008/01/28/22:05)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/28/content_7513448.htm

 これは演説や公報また論文ではなくイベント取材記事です。このニュースの中に、

「胡錦涛同志を総書記とする党中央の周囲により緊密に団結し、
(中略)……せよと老同志たちは表明した」

 という一節が出てきます。「老同志」の顔ぶれは不明ですが、主催者が中央軍事委員会ですから引退した将官や軍関係の党幹部ということになるでしょう。もちろん中央軍事委は胡錦涛を筆頭にメンバーはズラリと列席。いままでとは系統が異なり、しかも強面の「制服組のイベント」で軍の「退役組」から改めて念を押された(説教された)という意味で決定的ということです。

 そして賈慶林アゲイン。一昨日のことです。

 ●賈慶林、薄一波生誕100周年座談会での講話(新華網 2008/01/28/20:32)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/28/content_7513265.htm

 最後は格下になりますが昨日(29日)の話。山東省のトップである李建国・省党委書記が省人民代表大会常務委員会で行った演説です。

 ●「大衆日報」(新華網 2008/01/30/07:52)
 http://www.sd.xinhuanet.com/zfsw/2008-01/30/content_12353578.htm

 ――――

 ……てな感じで、今月初めに登場した「核心」がそれを打ち消すかのような従来の表現連発で早くも過去のものにされてしまった観があります。

 ちなみに上には記事とURLを並べているだけですが、実際には御家人が泣きながら3万字余りを読破していた(読んでみたけどどちらの表現も出て来なかった記事を含めると6万5000字くらい)ことにちょっとだけ思いをはせて頂けると私はうれしいです(笑)。

 それはともかく、全国ニュースで華々しくデビューした
「胡錦涛核心」が単発で終わり、すぐに指導部クラスの演説で従来の表現である「胡錦涛同志を総書記とする党中央」が次々と用いられて「核心」が一気に葬り去られた、というこの1カ月の動きは、目立たないながらも実に不穏といえます。

 タイミング的に符合する事件は政治面では特に起きていません。ただ経済面では供給逼迫などから穀物・穀物製品の輸出規制措置が1月早々に打ち出され、中旬には異例の行政干与である(中国では毎度のことですが)「価格統制令」という緊急措置が実施されています。

 その他の内政面や外交で特別なポカがあった形跡はありませんから、明らかになっている事象から原因を探すとすれば、経済運営失敗の責任問題で胡錦涛か温家宝(責任でいえば温家宝でしょうが)、あるいはその両人がイジメられた、ということになります。……あくまでも明らかになっている材料限定での推測ですけど。

 
「核心扱い」は国家指導者として事実上ワンランク上に進んだことを意味する重要なバロメーターですから、軽々しく扱われるものではありません。それがようやくゴーサインが出たと思ったらすぐにまた逆戻り、というのは、党中央の勢力図において胡錦涛にとっては望ましくない何らかの変化が発生していることを示唆するものではないかと思います。

 とりあえず、歳末談話や年頭講話などに注意してみる必要があると思います。




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 中国で大雪による被害が拡大を続けています。中央気象台によるとこの雪(一部は雨)は当分続くとのこと。交通や物価などへの影響は旧正月(旧暦の元旦=2月7日)まで続くものとみられていますが、とりあえず当ブログでは勝手ながら旧暦の歳末に始まった豪雪ということで干支をとって、

「丁亥雪害」

 と呼ぶことにします。

 予報によると、豪雪や大雨は湖北省、湖南省、安徽省、江蘇省、貴州省、江西省、広西チワン族自治区などであと数日は続くとみられ、このうち湖北、湖南、安徽、江蘇の4省では豪雪になる見込みだそうです。

 ●「中国新聞網」(新華網 2008/01/28/09:42)
 http://news.sina.com.cn/c/2008-01-28/094214843547.shtml

 まずは被害の最新状況について。電力供給は28日時点で石炭欠乏により合計4099万kw分の石炭火力発電施設が操業を停止。27日午後時点の3990万kwより深刻化しています。

 国家電網公司によると、送電線の凍結による断線や高圧鉄塔の倒壊や破損、また変電所などの損壊などにより電力不足も一段と厳しくなっており、特に河南、湖南、湖北、四川、江西、安徽、浙江の7省は非常事態。このため同公司は最高レベルの緊急措置を発動して電力供給の確保に全力を挙げているとのこと。石炭増産のかけ声のもと、石炭産出のメッカといえる山西省では炭鉱事故などのあおりで閉鎖されていた炭坑も操業を再開しています。

 しかし結局のところ交通が各地で寸断されているため、原料の石炭はもとより、備品や人員を含めた支援輸送が困難なのが現状です。水不足と渇水期のダブルパンチで水力発電所の稼働率が低下していることも頭痛のタネ。悪天候が向こう数日間は持続する模様のため、現在のような緊急事態が旧正月まで続く可能性もあると同公司は発表しています。

 ●「新華網」(2008/01/28/16:20)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/28/content_7512418.htm

 ●『香港文匯報』(2008/01/29)
 http://paper.wenweipo.com/2008/01/29/CH0801290013.htm
 http://paper.wenweipo.com/2008/01/29/CH0801290020.htm

 ●『大公報』電子版(2008/01/29)
 http://www.takungpao.com/news/08/01/29/ZM-857382.htm

 また民生部が昨日(1月28日)15時近くに発表した被害のあらましは、



 ●被災者総数   7786.2万人
 ●死者      24名
 ●被災地区    安徽、江西、河南、湖南、湖北,広西、重慶、四川、貴州、雲南、陝西,甘粛、青海、新疆
 ●被災耕地総面積 4219.8kha
 ●倒壊建築物   10.7万軒
 ●損壊建築物   39.9万軒
 ●損失総額    220.9億元

 ●民政部HP(2008/01/28/14:51)
 http://www.mca.gov.cn/article/zwgk/mzyw/200801/20080100010840.shtml




 ……となっています。ただ実際には浙江省や江蘇省でも大雪で鉄道や道路が寸断されるといった被害が出ており、これに空港閉鎖などを含めた交通面でのダメージを含めると上海市や広東省でも混乱が発生しています。

 留学時代に付き合いのあった上海に住む年金生活のお爺さんに先刻電話したところ、現地では連日の大雪とのこと。……といっても多少積もる程度で日本の豪雪地帯のような状況ではありませんが、報道によると積雪量は1984年以来の新記録だそうです。

 また、上海駅は28日から3日間、南方及び北方方面に向かう長距離列車の乗車券を販売中止にすると発表しています(全面販売中止との報道も)。鉄道が途中で寸断されているためダイヤを組めないのでしょう。浙江省杭州市の杭州駅も同様に28日から3日間、上海・南京方面行き以外の全ての乗車券販売を中止。

 広東省広州市の広州駅では北へ向かう長距離列車の運行がほぼ全面ストップしており、帰省しようという出稼ぎ農民約60万人が足止めを喰らって駅周辺に野宿するという異常事態が発生し、地元当局が帰省を諦めるよう呼びかけるとともに乗車券の払い戻し作業が開始されていることは前回紹介した通りです。

 道路と空の便を含めた交通の混乱については、



 ●上海市
 長距離バス約1400本が運行中止。行き先は湖南、河南、河北、山東、安徽、江西の各省と江蘇省北部。また浙江省、江蘇省南部への便も高速道路が間欠的に閉鎖されるため運航中止や遅れが続出しており、バスターミナルで700人余りが足止め状態。鉄道では長距離列車約1000本が運行中止となり、上海駅には旅客5万人が滞留。空の足は約370便のダイヤが乱れ、一部は欠航。

 ●江蘇省
 南京市から各地に通じる高速道路と省内7空港が全面閉鎖。ここ3日間で南京市で約30万人、浙江省全体では200万人の足に影響。鉄道は滬寧線のみが平常通りの運行。寧蕪線は不通となっており、北方への列車も大半が運行中止か大幅な遅れが出ている模様。

 ●浙江省
 長距離バス(1万余便)と空の足(数十便)が運航中止になったほか鉄道はダイヤが乱れており、ここ3日間で省全体だと200万人の足に影響。杭州市は鉄道の一部を除けば交通マヒ状態で、杭州駅では上述したように大半の乗車券販売を中止。旅客1万5000人が滞留中。

 ●湖北省
 省内を走る高速道路9本のうち8本が閉鎖されており、28日は武漢市から全国各地に向かう長距離バスの95%が運行中止。鉄道は京広線が封鎖されているため、28日だけで乗車券払い戻し者は約6000人。空の足にも武漢空港閉鎖などで大きな影響が出ている模様。

 ●湖南省
 28日時点で長沙空港、黄花空港などが閉鎖中で、搭乗券購入済みの乗客約1万人に空港側が宿泊施設を手配。また京珠高速道路が省内で寸断されているため、自動車1万1000台(約4万人)が立ち往生。国道107号線では大渋滞で1000台余り(約7000人)が足止め状態。長沙駅は1月25日~2月6日の乗車券の払い戻しに応じると発表。省全体でも鉄道に大幅な遅れや運行中止が目立っている。旧正月前に広東省方面へ向かう列車の乗車券は全て販売中止となっており、すでに購入した乗客には払い戻し作業を実施中。京珠高速道路は広東省との境界付近で封鎖されているため省内の下り線(南下)で大渋滞が発生中。省内の上り線(北上)は平常通り。

 ●安徽省
 省内の高速道路は全面封鎖で、国道・省道の半数がマヒ状態。省内で自動車1万1000台が雪のため立ち往生中。

 ●陝西省
 省内を走る高速道路の多くが閉鎖されたか大渋滞が発生している状況で、約数万人が車内で足止め状態。鉄道は広州行きを含む9本がストップし、西安駅に多数の旅客が滞留。

 ●広東省
 深セン空港で28日に78便が欠航、約80便に遅れが発生し、空港側は搭乗券の払い戻しや食事の提供などを実施。広州市の白雲空港では15便が欠航し37便に遅れが出ており、乗客5000人余りが滞留しているため空港側が宿泊施設や食事を提供。また京珠北高速道路が路面凍結(厚さ十数cm)のため寸断されており、氷の除去のためブルドーザー10数台を今日(1月29日)投入する予定。28日の凍結除去作業が不発に終わったため、装甲車で氷を圧殺する計画との報道も。広州発の長距離バスはほぼ全面運行停止。

 ●雲南省
 長江中・下流域地区の民用空港十数カ所が凍結により閉鎖されているため空の便に欠航や遅れが多数出ており(欠航11便、遅れ24便)、28日16時半時点で昆明空港に旅客5000人近くが滞留中。武漢、長沙、貴陽、鄭州、南京などに向かう便は21日から欠航や遅れが相次いでいる模様。

 ●『香港文匯報』(2008/01/29)
 http://paper.wenweipo.com/2008/01/29/CH0801290004.htm
 http://paper.wenweipo.com/2008/01/29/CH0801290006.htm
 http://paper.wenweipo.com/2008/01/29/CH0801290011.htm

 ●『大公報』電子版(2008/01/29)
 http://www.takungpao.com/news/08/01/29/ZM-857389.htm
 http://www.takungpao.com/news/08/01/29/ZM-857390.htm
 http://www.takungpao.com/news/08/01/29/ZM-857396.htm
 http://www.takungpao.com/news/08/01/29/ZM-857643.htm
 http://www.takungpao.com/news/08/01/29/ZM-857645.htm
 http://www.takungpao.com/news/08/01/29/ZM-857647.htm
 http://www.takungpao.com/news/08/01/29/ZM-857650.htm




 ……とのこと。28日時点で閉鎖された空港は20カ所以上にのぼり、陸路の大動脈である京珠高速道路も完全復旧する時期についてはメドの経たない状況にあります。ちなみに、鉄道では京広線(北京~広州)が湖南省で送電ストップにより不通となっているのに対し、鉄道部は全国各地からディーゼル機関車78両をかき集めて現地に投入しています。

 ●『大公報』電子版(2008/01/29)
 http://the-sun.on.cc/channels/news/20080129/20080129032140_0000.html

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 当然ながら、こうした交通の混乱は物流が寸断されていることを意味するものでもあります。……という訳で気になる物価の話となりますが、最大のトピックは1月15日に国務院(中央政府)が発令した「価格統制令」を解除してもよい、とのお触れが出たことです。食品を中心に供給不足による値上がりが続いている現状に鑑みて国家発展改革委員会が決断しました。翻って考えれば、「丁亥豪雪」による物価急騰はそれほど深刻ということになります。

 この「豪雪物価」に見舞われた都市は武漢、長沙といった被災地区ばかりでなく、北京、上海、広州など被災地区の生産する農産物に頼っている消費地も含まれるため、北京、上海、天津、江蘇、安徽、湖南、江西、広東、雲南、陝西、吉林、福建、海南、広西、内モンゴルなど24省(直轄市・自治区)で地元当局の介入による調整が行われています。

 値上がりが目立つのは肉類と野菜類とされているものの、物流が半ばマヒ状態であることから、昨年から高騰が目立っていた穀物・穀物製品や食用油なども軒並み値上がりしている模様です。またガソリンなどの燃料も安徽省など欠乏する地区に対する優先供給措置がとられています。

 もっとも「価格統制令」が解除されたから無闇に値を釣り上げる、というのはもちろんNG。このチェックのため中央政府は物価監督チーム11組を全国ツアーに出しています。

 ●『香港文匯報』(2008/01/29)
 http://paper.wenweipo.com/2008/01/29/CH0801290010.htm
 http://paper.wenweipo.com/2008/01/29/CH0801290021.htm

 ●『大公報』電子版(2008/01/29)
 http://www.takungpao.com/news/08/01/29/ZM-857376.htm

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 一例として、広州の卸売市場の価格推移は次のようになっています。豚肉は主な供給源である湖南省からの入荷がほぼストップしているため、省内調達分で穴埋めして価格を維持しています(当局の備蓄分投入による政策価格かも)。

          1月27日  1月28日
 ●トウガラシ    4.0元   5.0元
 ●菜心       2.5元   4.0元
 ●春菊       2.5元   3.5元
 ●レタス      1.5元   2.5元
 ●油麦菜      1.5元   2.5元
 ●セロリ      1.5元   2.5元
 ●キュウリ     2.0元   2.5元
 ●白菜       1.0元   2.0元
 ●豚肉(屠殺前)  8.7元   8.7元
 ●牛肉      15.0元  17.0元

 ……この影響で香港への各種食品の輸出量も豚肉や野菜を中心に減少しており、こちらも右肩上がりの価格推移となっている模様。豚肉赤身500gの小売値は一昨日の32~40香港ドルが今日の時点で42~44香港ドルとなる見通しです。



 ●被災耕地総面積 4219.8kha




 という前掲のこの数字、これは後々ボディーブローのように効いてくることになるだろうと思います。

 ●『香港文匯報』(2008/01/29)
 http://paper.wenweipo.com/2008/01/29/CH0801290008.htm
 http://paper.wenweipo.com/2008/01/29/CH0801290009.htm

 ●『東方日報』(2008/01/29)
 http://orientaldaily.on.cc/new/new_a08cnt.html?pubdate=20080129


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【※】関連エントリー

 ●武漢が大雪で大停電,物価高にも拍車か。(2008/01/23)
 ●大雪で電力不足・上:13省市がレッドゾーン突入!(2008/01/25)
 ●大雪で電力不足・下:これって「胡錦涛政権 vs 既得権益層」?(2008/01/25)
 ●豪雪はこれからが本番?ともあれ物価急騰。(2008/01/28)




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【昔の観察日記06】へ)


 1992年1月下旬。

 香港に渡ってから半年も経っていませんでしたが、中国情報満載の土地柄に狂喜した私は、素人の娯楽ながら親中系を含む香港各紙や政論月刊誌の編集部などに半ば強引に情報網?を張り巡らし、それら解説陣に恵まれたこともあって「観察日記」もようやく調子に乗り始めていました。

 1988年のスーパーインフレと1989年の天安門事件による政治・経済両面での強力な引き締め路線が一段落したころのことです。

 保守派が主導権を握るなか、息をひそめていた観のある改革派の動きがにわかに活発化していました。そのことを『人民日報』『解放日報』『深セン特区報』など中国国内紙による報道の微妙な変化によって確認しつつ、政局が今後どう展開していくのか私はワクワク・ドキドキしながら事態の推移を見守っていました(前回参照)。

 その矢先に驚倒すべき歴史的事件が発生しました。改革開放政策のシンボルであり私のいた香港に隣接する経済特区・深セン市に当時の最高実力者・トウ小平が出現したのです。あのときは本当にビックリしました。

 同時に、上海留学中に天安門事件の報に接したときと同じような得体の知れない戦慄に私は襲われました。……強いていえば「何か重大な事態が進行しつつある」「歴史が動き出した」という武者震いと、それをリアルタイムに観察しているのだという興奮のようなものです。

 ――――

 後になって振り返ってみれば、正に中華人民共和国の歴史における一大転換点でした。

 トウ小平はそのころの改革開放の先進地だった深センや珠海など広東省各地を視察して回りつつ、改革再加速の大号令となる重要談話を次々と発表。当時の改革派の主張すら色褪せて見えるほど大胆かつ野心的に改革開放路線の断行を呼号したこの「南巡講話」によって政局は改革開放一辺倒となるのです。

 保守派はこの大波に飲み込まれるようにして沈黙を余儀なくされ、政治勢力として改革派に張り合う力を喪失してしまいます。

 この特大級のドカンによって中国において「改革開放路線が大前提」ということが初めて国是として定着し、現在に至るのです。現時点でいえば、中国における最後の本格的な権力闘争だった、といえるでしょう。

 その「激変」の始まりを私は当時の「観察日記」で以下のように記しています。戦慄していたのでいつもより長文です(笑)。



 ●トウ小平、深センに現わる ……改革路線に追い風(1992年1月24日)


 ◆時間切れ迫るカリスマの焦りか 党大会に照準 保守派へ打撃

 中国の最高実力者、トウ小平が19日から5日間、香港に隣接する深セン経済特別区を訪問した。トウ小平の深セン訪問は2度目で、前回は1984年1月。このときは保守派の反撃で動揺していた特区に「お墨付き」を与え、改革再加速の呼び水となったが、今回の訪問にはどのような背景があるのか。深センでの足取りを追ってみた。

 特ダネをスクープしたのは、21日付の地元華字紙『明報』。他紙は完全に出し抜かれた形となった。同紙は中国の現政権に反対する姿勢を明確に打ち出しながら中国国内に有力な情報源を多数持ち、これまでにもいくつかの重要ニュースをものにした。今回のニュースソースは深セン市当局者といわれる。

 トウ小平は珠海経済特区を視察した後、19日、家族とともに船で深センに入った。87歳の高齢ながら心身とも強行軍に疲れた様子はなく、同市高官による詳しい説明にはいくつも質問を浴びせたと消息筋は伝えている。

 専用車で市内を回った際には、深センの発展ぶりにあちこちを指差して満足げな様子をみせ、53階建ての国際貿易ビルでは最上階から香港を遠望。この日、経済特区と珠江デルタ地帯を20年間でNIESに並ばせるという構想を明らかにしている。

 21日には華僑城、民俗文化村、ミニ・チャイナなどを回ったが、このとき遊覧車に乗って民俗文化村を見学するトウ小平の写真を、今度は『東方日報』が他紙より1日早く掲載。深セン市当局はトウ小平の同市滞在を異例ともいえる速さで発表し、香港各紙はこぞってこれを伝えた。

 中国のマスコミは沈黙を続けたが、『人民日報』(海外版)はトウ小平の動きに合わせるかのように、沿海部の経済発展を紹介する連載を1面トップでスタート。

 翌22日以降、トウ小平は20日に深セン入りしていた楊尚昆国家主席と合流して植物園などを見学。23日に珠海に戻っている。

 今回の訪問が意図するものは主に、

 ●自らの健在ぶりを内外に誇示
 ●経済特区をはじめ現在の改革路線を改めて肯定
 ●重要人事が行われる党大会を控えた改革派援護

 ……の3点とみられるが、実際、訪問直前から指導部内で改革派の攻勢が強まる一方、保守派とされる李鵬首相がにわかに改革色を打ち出した。23日には天安門事件で失脚した趙紫陽前総書記の免責確定説まで流れ、トウ小平の目的はほぼ達成された観がある。

 しかし、発表されたトウ小平の写真からは、以前より顔にむくみがあるように見え、隣にはいつも娘のトウ榕が手を添えて付き添っている。気功師が同行していたという報道もあり、さすがに衰えは隠せない。今回の深セン訪問は、自らのタイムリミットを実感するカリスマの焦りを示すものといえなくもない。

 ◆トウ小平、最後の勝負に ……趙紫陽免責説も浮上

 改革派の攻勢が活発化し、一方で李鵬までが「思想解放」を語るようになってきている。トウ小平氏の深セン訪問に合わせるかのようなこれらの動きは、秋以降に予定される党大会を控え、トウ小平が勝負に出たことを感じさせる。

 今回の深セン訪問でトウ小平が狙ったのは、改革の加速化と改革派への後押し。

 中国経済はすでに世界経済の枠の中に組み込まれ、それに深く依存するようになっており、かつてのような「鎖国」に戻ることはできない。改革派と保守派の対立も改革の速度と範囲が焦点であり、改革が必要という認識では一致している。

 こうしたなか、トウ小平にとってより重要なのは、党大会で行われる世代交代でいかに改革派が優位を占めるかという点である。

 この状況下の23日、天安門事件で失脚した趙紫陽前総書記に対する審査打ち切りのニュースが流れたのは興味深い。中国消息筋は、それを伝える内部通達がすでに省長クラスまで回っているとし、別の筋は先月にその決定がなされたと伝えている。

 中国当局はこの事実を即日否定。真偽の確認にはしばらくの時間が必要だが、この情報で香港の株価が急騰したのは、現在、トウ小平の免責が現実化しても決して不思議でない政治局面になっているからといえなくもない。

 『人民日報』が連載した沿海部の経済発展を評価する特集記事は、趙紫陽がかつて提唱し、実質的にはすでに再開している「沿海経済発展戦略」が、近く公式に復活する可能性を示唆している。

 中国は88年のインフレと天安門事件後の経済制裁による打撃、また沿海部との格差で内陸経済が困窮した状態から十分に立ち直っていないところに、ソ連解体の衝撃を受けた。しかしトウ小平はこの逆境を巧みに転換。

「国民の動揺を防ぐため」

 という理由で改革加速を打ち出し、保守派を譲歩させることに現在成功しつつある。八中全会でトウ小平と真っ向から対立した保守派長老の多くは入院中で、健在を誇示できない。

 趙氏の免責・復活はともかく、党大会までの時間、自分自身の健康問題などから、あるいはトウ小平にとって今回の積極的な動きが最後のチャンスになるかも知れず、政局は正念場を迎えたといっていい。

 ◆李鵬も「軌道修正」 ――攻勢強める改革派

 江沢民総書記が今月中旬に上海を視察した際、改革推進を強く打ち出す談話を発表した。最近、以前よりも改革深化に踏み込んだ各指導者の発言が目立っており、保守派と目される李鵬首相にまで「軌道修正」が認められるようになっている。

 李鵬は年末の国務院会議の席上、経済改革について、

「『実施の前には試験段階を踏む』という原則のもと、『適度』に加速し、『積極的に慎重』に推進する」

 と発言、改革に慎重な姿勢を表明した。今月初めの全国経済体制改革工作会議でも、

「改革は安定した条件の下で行わなければならない」

 と演説している。

 しかし、昨秋以来勢いを盛り返してきた改革派はそれを上回る動きをみせている。朱鎔基副首相は年末の全国会議で、企業改革に必要なのは「快刀乱麻」だとし、「安定」をタテに改革に枠をはめようとする李鵬はじめ保守派に対立する姿勢をみせた。陳錦華体制改革委主任も「工場長、市長、もっと大胆に前進せよ」というスローガンを発表。最近では田紀雲副首相が北京で、また喬石政治局常務委員は視察先の広東省で改革・開放に積極的な発言を行っている。

 こうした両派による水面下での争いのなか、19日、江沢民の上海談話が発表された意味は大きい。

 江沢民はこの談話の中で、

「全党が終始一貫、全面的に党の基本路線(経済建設最優先)を貫徹し、思想解放をさらに進めて改革の歩みを速め、仕事への姿勢を改め、思い切って実行し、経済建設に専念しよう」

 と、改革の断固推進を強調。特に思想解放の促進を強く訴えたことは注目すべき点といえる。このニュースを1面トップで扱った20日付『人民日報』(海外版)は、隣に李鵬の中央民族工作会議における演説を掲載したが、

「改革の歩みを『適当に』速める」

 と李鵬はあいまいに表現。改革を語る際に「適当に」をかぶせなくなった江沢民との微妙な食い違いを示している。

 しかし、李鵬はこの演説で「思想解放をさらに進め、積極的な探求を」と、初めて思想解放に言及。改革派の主張に一歩近づく「軌道修正」をみせた。「安定」よりも「経済建設」(改革加速)を優先させるべきとしたトウ小平の主張には、深刻な経済状況を前に保守派も同意せざるを得なかったのである。

 今後、「改革加速」の空気がさらに強まると予想されるなか、李鵬の言動や保守派長老の動静が注目される。




 ……と、御覧の通りです。ここまで書かれてしまえば、もはや何も申し上げることはございません(笑)。

 これ以降、私の「観察日記」は事実上、政局大転換の実況中継と化していきます。


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 また、大雪の話をしなければなりません。

 ●武漢が大雪で大停電,物価高にも拍車か。(2008/01/23)
 ●大雪で電力不足・上:13省市がレッドゾーン突入!(2008/01/25)
 ●大雪で電力不足・下:これって「胡錦涛政権 vs 既得権益層」?(2008/01/25)

 ……と、お雪さんの話は3回も書いているので私自身が食傷気味なのですが、
「電力不足さらに深刻に」「流通ルート寸断」「早くも物価上昇」などと事態が拡大・深刻化へと動いているのでスルーする訳にもいかないのです。

 中国の大雪はもう峠を越えたものと私は勝手に思い込んでいて、それでも「家に帰るまでが遠足」だからと関連記事を一応片手間に拾っていたのですが、何と昨日(1月27日)あたりから
最高レベルの大雪警報が出て文字通り「レッドゾーン突入」な地域が続出し始めました。

 いまがピークなのかこれからが本番なのか、とにかく「常ならぬ大雪」などと形容して3回も書いた時期は前座に過ぎなかったようです。

 こうなると書かなければいけない話が色々出てくるのですが、どこから手をつけたらよいのやら。……まあ気象概況から入りますか。

 北京の中央気象台が27日昼近くに出した予報によると、29日までの間に大雪なり豪雨に見舞われる可能性のある地域は湖北、安徽、湖北、湖南、江西、貴州、雲南、青海、山西、河南、浙江、上海、広西、チベット、新疆など……要するに
中国東北部などを除いたほぼ全域にまたがる広範囲の悪天候ということです。

 27日夜には湖南、湖北,河南、安徽、江蘇、浙江、貴州、江西、広西といった各地区の一部または全域を対象に最高レベルの豪雪紅色警報が発令されています。このうち安徽省、湖北省、湖南省、貴州省あたりが今回の大雪で最も被害の出ている地域です。

 ●「中国新聞網」(新華網 2008/01/27/1:23)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2008-01/27/content_7501866.htm

 ●「中国気象局HP」(新華網 2008/01/27/23:58)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/27/content_7508258.htm

 ――――

 かくも広範囲が大雪に見舞われていますから、交通機関はあちこちでマヒしています。北京から南部~西部方面へと伸びている鉄道や高速道路が雪害で寸断されており、大袈裟にいえば鉄道と幹線道路は半身不随状態。何といっても旧正月(旧暦の元日は2月7日)を控えた帰省ラッシュのピーク時という最悪のタイミングで、地域によっては「半世紀ぶりの降雪量」となる豪雪です。

 とりあえず本日(1月28日)未明の段階では広州・深セン方面から上海・北京に北上するルートも内陸の湖南・湖北・貴州・四川といった各省に至るコースも、空の足を含めてほぼ全面ストップ。帰省列車に乗り継ぐべく広州駅までたどり着いた出稼ぎ農民など帰省組がそこで足止めを余儀なくされ、昨日時点で実に60万人が広州駅周辺に座り込み→野宿状態となっています。

 地元当局では駅前の一角を区切って野宿組のためのスペースを定めるとともに帰省を諦めるよう旅客に呼びかけ、広州近在であろう出発地までの無料便を準備する一方、帰省用の乗車券の払い戻し作業をスタートさせています。……この意外な手際よさは、帰省ラッシュ期に事故などが発生して混乱した場合を想定した最悪レベルの対応策を発動させたためだそうで、最悪のタイミングのおかげ、ともいえる皮肉な結果となっています。

 大雪で旅客機が飛べないのは当然として、高速道路もあちこちで通行不能となっており、ようやく開通作業が終わったと思ったら今度は別の場所が不通に、といった事態が各地で発生しています。幹線道路は湖北、江蘇、浙江の各省あたりでの被害が大きく、安徽省のように省内の高速道路が全面閉鎖となっている深刻なケースも。当然ながらマイカーや長距離バスはもちろん、貨物輸送面でも大きな影響が出ています。

 ●「新華網」(新華網 2008/01/27/23:52)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/27/content_7508259.htm

 ●『明報』(2008/01/28)
 http://hk.news.yahoo.com/080127/12/2nwtz.html

 ●『香港文匯報』(2008/01/28)
 http://paper.wenweipo.com/2008/01/28/CH0801280001.htm

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 で、当ブログでは今回の大雪から発電用石炭不足→電力不足→停電など電力供給規制へとつなげる切り込み方をした訳ですが、雪害の深刻化で石炭輸送が滞っているため電力供給への影響もいよいよ深刻化。石炭火力発電所の備蓄石炭が底を尽いたことにより27日午後の時点で、中国全土で全力発揮時の5.6%にあたる3990万kw分の石炭火力発電施設が稼働停止に追い込まれているそうです。

 石炭不足の一方で、大雪による送電線や高圧鉄塔、送電・変電施設への被害も出ており、時限停電や全面停電といった給電規制を敷いた地区は17省(自治区・直轄市)に拡大しています。

「22日午後から23日かけて、一時は省内17県が停電するという大変な状況だったようですが、24日10時の時点で電力供給が回復していない県を10県にまで減らすことができたとのこと」

 と以前のエントリーにて紹介した貴州省などは逆に被害が急増して、省内41市・県が停電状態。これは給電規制ではなく雪害による送電不能が原因です。

 その石炭不足を解消するため国務院(中央政府)の温家宝・首相を筆頭とした各部門、例えば経済運営を司る国家発展改革委員会や輸送担当の鉄道部・交通部から電力部門の元締めである国家電監会、そして闇炭坑や余分な炭坑の閉鎖を督励して回った国家安監局に至るまでが声を揃えて「石炭を掘れ」「石炭を運べ」の大合唱。

 とはいえ輸送路が確保できないため石炭供給は思うにまかせず、全国の石炭火力発電所における石炭の総備蓄量は25日時点で2142万トンと、正常時の半分にも満たないレベルです。

 石炭備蓄量が3日分にも達していない発電所は89カ所・7795万kwに及び、これは全国の発電施設をフル稼働させた場合の1割を超える数字というのですから尋常ではありません。地区でいうと上海市の備蓄量が3~4日分、江蘇省が4日半、山東省は8日前後とカウントダウン状態。さらに水不足と渇水期の影響で水力発電所の一部が稼働できなくなっていることも電力事情の悪化に拍車をかけています。

 このほか、高速道路が全面閉鎖状態である安徽省の省都・合肥市で補充が続かなくなったためにガソリンスタンドの大半が閉鎖状態。湖北省・武漢市では凍結した水道管が破裂して市内の大半が断水状態に陥り、とかした雪で渇を癒す市民が出る有様(赤痢が心配)。また湖南省・長沙市では雪害で地元テレビ局の放映が一時中断するといった事故が発生しています。

 ●「中国新聞網」(新華網 2008/01/27/23:59)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/27/content_7508260.htm

 ●『香港文匯報』(2008/01/28)
 http://paper.wenweipo.com/2008/01/28/CH0801280016.htm

 ●『明報』(2008/01/28)
 http://hk.news.yahoo.com/080127/12/2nwu2.html

 ――――

 もちろん雪害による家屋倒壊など住民への被害もあり死者も出ていますが、それらは瑣事としてスルー。それよりも流通の混乱による物価高が早くも顕在化しています。

 北京市では広東省など南方からの野菜供給が滞っているため、キュウリや柿などがこの1週間近くの間に30%前後も値上がり。豪雪は暫く続くとの予報から、旧正月期間中も高値が続くものとみられています。

 南京市では卸売市場における野菜の取引量が供給不足により通常の一日600余トンから26日には200トン近くへと急減。パクチョイ、ホウレンソウ、ニンニクなどの野菜は軒並み高値をつけており、25日には500g0.3元だったパクチョイの卸値が26日に同1~1.1元へと暴騰しています。昨年から値上がりが続いている豚肉は地元の備蓄分から1500トンを適宜投入することで当分しのぐ構えですが、ホウレンソウなどの生鮮野菜や淡水魚、生卵などは外地からの供給に頼っている部分が多いため関係者は頭を痛めているとのこと。

 広東省の広州市でも豚肉やコメなど近隣各省からの供給が大幅減となっているためこちらも高値基調。野菜・肉類とも通常の3~4倍に急騰しています。湖南省や湖北省からの豚肉やホウレンソウ、白菜の入荷が交通マヒの影響で大幅に減少しており、このうち湖南ブタは3日連続の入荷ゼロ。白菜の取引量は26日が27kgと通常より20kg減。このために白菜は1kg0.4元だったのが1.5元にまで値上がりしています。

 ●「新京報」(新華網 2008/01/27/08:18)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2008-01/27/content_7501082.htm

 ●「東方網」(新華網 2008/01/27/11:51)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2008-01/27/content_7501935.htm

 ●『東方日報』(2008/01/28)
 http://orientaldaily.on.cc/new/new_c03cnt.html?pubdate=20080128

 ――――

 広東省が「大雪物価」になると、生鮮食料品は主として同省からの輸入に頼っている香港にもそれが飛び火することとなります。このうち豚肉は輸入元の6割を占めていた湖南、湖北,河南、浙江の各省がいずれも雪害で大きな被害を受けた地区ばかりのため、ここ3日間供給がストップしており、価格はふだんより20~40%高。小売値(街市)だと500gで32~40香港ドルとのこと。

 業界関係者によると、旧正月を控えた歳末商戦のこの時期、香港では例年、1日平均で最低でも4500頭分の豚肉が必要とされるところ、ここ数日は他の輸入分や自給分を含めても3300~3900頭しかないと指摘し、この状態が続くようだと値上がりはさらに続くとの見方を示しています。

 一方、江西省、湖南省から広東省を経由して入荷される野菜も雪害で農家の出荷量が大きく減っており、香港への輸出量も16%減。このため品目により多少バラつきはあるものの、概ね普段より3割から5割高い値段になっています。鶏卵は1個0.7~0.8香港ドルだったのが、27日には1個1香港ドルへとこれも値上がりしています。

 さらにこの鶏卵、そして中国からの輸入総量規制が行われている小麦粉の高騰は製麺業の生産コストを押し上げており、生麺・乾麺とも小売値は20~25%値上がりしているとのこと。

 ●『大公報』(2008/01/28)
 http://www.takungpao.com/news/08/01/28/ZM-856899.htm

 ●『明報』(2008/01/28)
 http://hk.news.yahoo.com/080127/12/2nwtz.html

 ●『東方日報』(2008/01/28)
 http://orientaldaily.on.cc/new/new_a07cnt.html?pubdate=20080128
 http://orientaldaily.on.cc/new/new_a15cnt.html?pubdate=20080128

 ――――

 ところで、「石炭確保を急げ」という中央から電力業界に出された指令(27日)には、



 ●電力企業は党中央および国務院の指令を真剣に貫徹し、社会的責任感と大局意識を高めること。
 ●各発電企業は安全かつ安定した操業を維持し、大局に従って、指導・規律を厳格に守ること。

 ●「中国新聞網」(新華網 2008/01/27/23:59)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/27/content_7508260.htm




 という文言が盛り込まれています。「大局」とは全国的視点での判断を優先させろ、という地元優先意識を戒める言葉です。「社会的責任感」というのは業界エゴに走るな、ということでしょう。要するに、

 ●何事も地元優先で事を運ぶ。
 ●業界の利益を優先して社会への影響に顧慮しない。
 ●操業に際しては中央からの指示に必ずしも従順ではない。

 といったことが電力業界では現実に行われているということでしょう。これは先日のエントリーで紹介したように、

「寡占・独占体制に甘えてやりたい放題だった既得権益層」

 という体質が電力業界にあることを中央が指弾したものとみていいかと思います。胡錦涛・温家宝がガツンと浴びせたことになるのですが、これに対し電力業界がいつもの面従腹背を行わずにちゃんと帰順するかどうかは興味深いところです。

 ――――

 これまた先日のエントリーとやや似た内容になりますが、
「電力不足は独占体質が生み出したもの」という論評記事も登場しています。

 ●「中国経営報」(新華網 2008/01/27/15:41)
 http://news.xinhuanet.com/fortune/2008-01/27/content_7502558.htm

 今回の電力不足問題は決して常ならぬ大雪だけが原因ではない、とするもので、より大きな要因として「独占体制」を指摘しています。

「競争にさらされることのない環境(独占体制)で自らに甘く臨んできた体質(独占体質)が、石炭火力発電に関わる業界に染み付いている。それが最大の原因だ。今回は記録的な豪雪がたまたまそれをあぶり出してくれた。この独占体制と独占体質を改めない限り、同じことはまた起きるだろう」

 という趣旨です。「石炭火力発電に関わる業界」とは発電業界、電力業界だけでなく、炭坑業界とその地元当局、そして石炭を輸送する鉄道部なども含まれ、いずれも業界エゴを通すことで石炭火力発電の歯車がうまく回らなくなったとし、その実例として不合理な運営体制を挙げています。……とは、

 ●石炭価格決定メカニズム
 ●石炭輸送体制
 ●石炭火力発電所の稼働量と石炭備蓄量
 ●電力供給体制

 などであり、各業界がそれぞれ我を通したことで石炭火力発電体制が歪んだものとなり、そのため豪雪に対し予想以上に脆かった、と分析しています。特に今回の雪害の被害地区が主として石炭生産地でなかったことで、その歪みがより明確に現れたとのこと。

 炭坑業界とその地元当局の「エゴ」と電力業界の「思惑」については先日のエントリーでふれた通りですが、鉄道部の「独占体質」についてこの記事は、

「旧正月の帰省とUターン期の大混雑は毎年指摘されているのに、一向に改善される気配がない」

 として、競争相手がいないのをいいことに鉄道部が事実上聞く耳を持とうとしないのだ、と鋭い一撃を浴びせています。もし今回の事態に際して「胡錦涛政権 vs 既得権益層(電力業界)」という一面があるとすれば、この記事は胡錦涛側の言い分を代弁しているかのような内容といっていいでしょう。

 ――――

 それにしても今回の混乱は、肝心の豪雪がもうしばらく続きそうな見込みだけに、電力事情はもちろん、貨物輸送ルートの復旧といった問題がいつごろ解決するのか未だ不透明です。農家の受けた打撃、生産・輸送コストの増大、商品供給量の大幅減などによって、この雪害が短期的にも長期的にも物価を押し上げる強力な要因となることは間違いないでしょう。

 そして社会不安を呼び大暴動発生。……てなことにはならないと思いますけど、地方当局自らが「石炭強盗」になる可能性は決して低くないかも知れません。

 石炭産出地区から目的地へと向かう貨物列車が、途中で通過する地域に設けられた「検問」で停車させられ、番をしている地元の武装警察が、

「貨車一両分の石炭を置いていけ。さもなくば通さない」

 と脅し上げて石炭を強奪するというものです(笑)。

 ……いや、これは冗談ではなく、1980年代末の経済過熱期には実際に各地で発生していたことです。私がチナヲチ(素人の中国観察)から離れていた1990年代の過熱期にもたぶん起きていたのではないでしょうか。

 駐在経験のある方なら御存知でしょうが、現地では外資企業に対して地元当局が違法な賦課金を徴収する
「灘派」(tan1pai4)という行為が日常的に横行しています。資源争奪戦が苛烈な段階に入るとあれが大がかりになる。……ただそれだけのことです。




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 オリンピックのの話なんですけどね。何度も書いているように、北京五輪、本当にやるのかなあという気持ちが未だに脳裏を離れません。まあ何事もなければ8月8日に開催される訳ですが。

 スポーツと政治は別物というのは所詮は建前。一党独裁国家で、様々な自由が制限され、台湾に対して武力侵攻という選択肢を未だに放棄していない。そんな野蛮な国でオリンピックをやるのはどう考えてもおかしいでしょう。中国にしてみたら国威発揚、国民の政府に対する求心力の向上につながる一大イベント。有人ロケットを打ち上げるのと同じようなものです。

 何も北京五輪だけが政治に利用されているというつもりはありません。古くはヒトラーのベルリンオリンピックがありますし、あの「9.11」の後に米国で開かれた冬季五輪、場所は忘れちゃいましたけど、あの開会式も政治臭がプンプンしていて、観ていて嫌になりました。

 政治のことを措くとしても。環境問題とか治安とか国民の民度とか、いくら背伸びをしても中国には五輪を開催するレベルに達していないでしょう。開催地の北京で毎月11日を「自発的行列デー」と定めて、この日は自分から秩序正しく行列するようにと当局が懸命に指導しています。

 行列すらできない民度は靖国神社に登場する猿回しの猿にも劣りますね。芸ができるだけ猿の方がマシ。観客を楽しませてくれますし、GDP創出力も中国人一人当たり平均に比べれば、猿回しの猿の方が高いでしょうし。

 ――――

 猿回しの猿には首輪がついていて、首輪からは縄が伸びていて、師匠というか相方というか、とにかく人間がそれを握って猿が狼藉を働かないようにしています。中国人には首輪もついていませんし縄の制約もない。それでロクに行列もできない日光猿軍団以下の民度ですからどんな狼藉を働くかわかったもんじゃありません。

 ……いや、これは私が心配しているのではなく、中国政府のシンクタンクである中国社会科学院のレポートがそれを懸念しているのです。まあ懸念なんて上等なもんじゃありません。

「荒れる可能性が高いから一応覚悟されたし」
「天気も環境も出たとこ勝負」

 と、天晴にも開き直っているのです。厚顔無恥はいつものことですけどね。

 中国国内からもアクセスできる海外の親中系サイト「星島環球網」がそれを報じています。

 ●「社会青書」狭隘な民族主義者が五輪で騒ぐことを懸念(星島環球網 2008/01/19/10:53)
 http://www.singtaonet.com/hot_news/gd_20080119/200801/t20080119_716332.html

 ……て読んでみたら共同電じゃないですか。それなら日本語の記事の方が。



 ●五輪中“衝突”の危険も/「狭量な民族主義者」が騒いだり… 中国シンクタンク「社会青書」で指摘、反日応援を念頭
 2008/01/21(FujiSankei Business i.)
 http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200801210013a.nwc


 中国政府のシンクタンク、中国社会科学院は20日までに、今年の社会情勢を展望した2008年版「社会青書」を発表、北京五輪の項目で反日応援などを念頭に「狭量な民族主義者」が競技場で騒いだり、社会に不満を持つ人々が「異常な行動」を取る可能性を指摘、十分な対策を取るよう関係者に求めた。

 青書は大気汚染、交通渋滞、食品安全、サイバーテロなど五輪の支障となりかねない10項目の危険性も列挙。中国政府のシンクタンクが五輪にかかわる懸念を率直に認めて公表するのは異例で、問題の深刻さを改めて示した。
(中略)

 その上で、1964年にサッカーの東京五輪出場権を争うペルー対アルゼンチン戦で観客が乱闘、約300人が死亡したケースなどを例に「歴史、民族」問題などが原因で五輪中に衝突が起きる危険性があるとした。

 深刻な北京の大気汚染については「汚染源は多い」「(地形などから)処理は困難」と認め「空気の質の良しあしは天に任せるほかない」と指摘。また、新型肺炎(SARS)など感染症発生の「危険が依然存在する」とした。
 さらに、転換期にある中国では暴動などが頻発し、失業者らが五輪期間中に実力行動に出る可能性を「排除できない」とした。
(後略)



「反日応援などを念頭に『狭量な民族主義者』が競技場で騒いだり、社会に不満を持つ人々が『異常な行動』を取る可能性を指摘」
「『歴史、民族』問題などが原因で五輪中に衝突が起きる危険性があるとした」

 ……って指摘じゃなくて予告でしょう(笑)。
「ちゃんと事前に注意報は出したからね」ってなアリバイ作り。

 ●汚染源は多い。
 ●(地形などから)処理は困難。
 ●空気の質の良しあしは天に任せるほかない。

 ……って開催国が匙投げてどうする。
「天に任せるほかない」とは無責任も甚だしい開き直りですね。そもそも「天意」がそろそろ易姓革命をお望みなのでは?ただ現在の社会構造からすると全国的な政権崩壊というよりは群雄割拠に近い事態が起こるように思います。で、中国は核を持っていますから、義和団のときのように八カ国連合軍みたいのが駐留して暫時分割統治、てなことになるかも知れませんよ(笑)。

 そもそも騒乱は反日ばかりとは限りません。

「転換期にある中国では暴動などが頻発し、失業者らが五輪期間中に実力行動に出る可能性を『排除できない』」

 と「社会青書」も指摘しています。おまけに中国肺炎(SARS)みたいな
感染症発生の「危険が依然存在する」って何それ?

 そのくせ、いやしくも国営通信社・新華社系の大手メディアが自国の食の安全問題や環境汚染を棚に上げて、海外勢の事前合宿が日本に集中していることをやっかんでいるのですから話になりましぇん。

 ●これだからねー。さすが中国クオリティ(笑)。(2007/01/19)

 反日騒乱や困窮した庶民の蹶起があるかどうかは別にして、とりあえず世界最高峰のアスリートたちが持てる力を発揮してしのぎを削るにふさわしい場所でないことは確かですね。

 ――――

 で、私から提案。

 ●衝突が起きる危険性がある。
 ●失業者らが実力行動に出る可能性を排除できない。
 ●感染症発生の危険が依然存在する。
 ●汚染源は多い。
 ●空気の質の善し悪しは天に任せるほかない。

 ……と御用学者部隊がこれだけ不安要因の存在を認めている訳ですから、中国政府もここは率直に
「五輪開催辞退」を申し出るべきではないでしょうか。ドタキャンになりますけど、自らの面子を丸潰れにしても断行する勇気が必要なときではないかと思うのです。

 「中共人」たちに対する究極の二者択一です。
五輪を開催しますか?それとも亡国の道を選びますか?

 オリンピックなんて大層なものを運営するとなると、統治メカニズムにいままで以上の負荷がかかります。運営そのものがまず大仕事。これに交通規制を敷いたり一部住民を強制疎開させたり中共政権にとっての反動分子や人権派弁護士を片っ端から取っ捕まえて軟禁したり投獄したりする。開催期間中には万一の事態に備えて警備陣は超厳戒態勢で臨むことにもなるでしょう。余計な労力(マンパワーではなく統治メカニズムへの負荷)がかかるのです。

 しかも政情からしてこのところは経済問題の陰に隠れていますけど、胡錦涛の統制力はとても盤石といえたものではない(ええ、盤石ではないのです)。胡錦涛が中央すらしっかりと掌握できていないので、課題の「構造改革」などは夢のまた夢。逆に地方政府や一部業界が面従腹背に徹して社会・経済状況が悪化する可能性の方が高いでしょう。

 例えば目下の至上課題である物価ひとつとっても、五輪開催で色々なものが値上がりする可能性はあっても、下がるということは考えにくい。大体のっけから大雪で流通に影響が出て野菜価格あたりは早くも上昇しているそうじゃないですか。豚肉とか油脂とか穀物・穀物製品など昨年から値上がりを続けている品目からみても、構造的に今年中にそれが劇的に改善される可能性は低いといえるでしょう。そういう足場がフラフラしているところに北京五輪がさらに畳み掛けることになるのです。

 当局の御用学者部隊が上述したようにいくつもの懸念材料を並べるというのは、五輪万歳ムードに水をぶっかけるようなものです。当局にとって嬉しいこととは到底思えませんから、異例といっていいでしょう。もし当局の意を汲んでのことなら、それは五輪参加国に一種の覚悟を促すものということになるでしょう。

 そこまでリスクの高い、統治者に負荷のかかる北京五輪をやって「中華人民共和国」が致命傷を負うことになっても(即大ダメージとはならないとしても)いいんでしょうかね。いいならそれで、楽しみに待つことにしますけど(笑)。

 ――――

 ちょっと話題を転じるようですけど、日本政府は「万一」に備えて策は練ってあるのでしょうか。

 半島有事については在留邦人の退避についてシナリオのようなものがあるようですけど、台湾有事についてはどうなのか。さらに、中国で大変なことが起きたときの手配りは準備されているのか。

 最近はどうもそういうことまで気になって仕方ありません。



 ●東アジア選手権で中国が日本の安全約束(nikkansports.com 2008/01/23/09:28)
 http://www.nikkansports.com/soccer/world/p-sc-tp3-20080123-310803.html

 日本代表が、2月中旬に中国・重慶で開かれる東アジア選手権での安全を約束された。04年夏、同地でアジア杯1次リーグを戦った際に、反日感情などで試合後に選手バスが囲まれるなどの危険に直面した。現地での大会運営会議に出席し、22日に帰国した日本協会の小倉純二副会長は「中国側は4年前のことを覚えていて、今回は特にセキュリティー面に神経を使うと言っていた」と明かした。会議では謝小軍・重慶副市長らに警備体制などの説明を受けた。




 ……さあ、どうだか。いざとなって「約束が違う」とか言っても手遅れですからね。




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【昔の観察日記05】へ)


 昔の観察日記のこの部分は以前紹介したことがあるかも知れませんが、【昔】シリーズということで勝手ながら再掲載。中国観察の醍醐味が詰まった一連の記事が登場した時期です。

「大転換の前兆」

 という標題にしましたけど、この1992年1月20日に私が観察日記を書いているときには、実はすでに政局の大転換が始まっていました。当時の最高実力者であるトウ小平が前日の1月19日に経済特区・深セン市へと到着し、南方視察を開始しているのです。

 この視察行で発表されたトウ小平による一連の重要談話が
「南巡講話」という改革再加速の大号令となり、保守派やや優勢とみられていたそれまでの政局をひっくり返してしまいます。

 これが歴史的な転換点となり、改革路線に懐疑的ひいては否定的であった
保守派は政治勢力としての実質をほぼ喪失。それ以降は改革開放政策が中国の大前提として据えられて、基本的に保守派の横槍が入ることもなく、そのまま現在へと至ります。

 もっともこの1月20日時点では、素人の私はもちろん、香港メディアも前日からトウ小平がすぐ隣の深センに来ているとは察知できませんでした。……いや、この日に察知した『明報』の記者が翌21日に他紙を出し抜いて大スクープをものにすることとなります。

 この記者と何度か飲茶を共にする機会がそれまでにあったことから(もちろん私が強引にアポを取ってセッティングしたのですw)私は厚かましさ丸出しですぐ『明報』編集部に電話して、彼から情報は深セン市当局筋から得たものだったと教えてもらいました。

 とはいえそれは翌日以降の話。この1月20日付の観察日記はそれまでの一週間程度の、要するにトウ小平が動き出す以前の動静をまとめたものとなっています。この時期からにわかに改革派の動きが活発になったのがトウ小平の動きと連携していたのかどうかはわかりません。

 トウ小平が深センに来るなどとは夢にも思わなかった当時の私は、中国国内紙の報道から
「改革派が積極的になってきている」という気配を感じるのみでした。



 ●江沢民総書記、保守派を暗に批判(1992年1月20日)


 江沢民総書記は先ごろ、視察先の上海で「改革・開放の深化」「思想の解放」に言及し、保守派を暗に批判した。一方でこの論調は、経済政策を主導する李鵬首相の姿勢とも微妙なくい違いをみせている。

 江総書記は15~18日に上海を訪問し、現在開発が進められている浦東地区をはじめ主要産業や重要プロジェクトを視察。この際、上海開発の重要性を強調し、党中央や国務院、また「一代先輩のプロレタリア革命家たち(長老を指す)も上海人民に大きな期待を寄せている」として、大きな支持を表明した。

 改革に関しては「全党が終始一貫、全面的に党の基本路線を貫徹し、さらに思想解放を進めて改革の歩みを速め、仕事への姿勢を改め、思い切って実行し、経済建設に専心しよう」と、改革の断固推進を強調。このニュースを1面トップで扱った『人民日報』(海外版)は、その隣に李首相の中央民族工作会議における演説を掲載したが、同首相は「今年から改革の歩みを『適当に』速める」とあいまいに表現。これに対し、改革推進を語る際「適当に」をかぶせない江総書記は、政治姿勢での微妙な差を感じさせる。

 江総書記の今回の談話には、一方で改革の速度と範囲に枠をはめようとする保守派を暗に批判する側面もあり、そのキーワードとなるのは「実務の強調」と「科学技術の重視」、そして「思想解放の促進」の3つ。

 「実務」について同総書記は、「中央の大方針はすでに確定しており、その実行がカギとなっている」と表明。幹部各人が思想・仕事に対する姿勢を改め、「現実の状況に精通し、形式より実務を多く行い、実効を求めなければならない」とした。これは党・政府部門の効率向上を求めると同時に、ともすれば経済建設とイデオロギーを同じ高さに置こうとする保守派を批判したもの。同総書記は科学技術の重要性にも言及しているが、これも示唆するものは同じ。こうした「科学技術」と「実務」の強調は、イデオロギー重視を「生産力の向上につながらない『空論』」として、改革派が保守派を批判する際に使われる。

 89年の天安門事件以前によくいわれた「思想解放の促進」は、昨春以来、上海の『解放日報』がこれを掲げ、保守的な論陣を張っていた『人民日報』(国内版)と改革論争を展開したことで急浮上。論争自体は昨年10月、上海を視察した李瑞環政治局常務委員が「思想解放の促進」を訴えたことで『解放日報』に軍配が上がった観があるが、今回、上海で江総書記が改めてこれを語った意味は大きい。

 注目されるのは、前述の演説で、李鵬首相までが少数民族地区の幹部に「思想解放」を求めたこと。最近、田紀雲、喬石といった他の指導者にも改革の加速化を求める発言が目立っており、状況は改革派に追い風。月末に国連出席を控える李首相の動きは、こうした勢いに押されたものなのかも知れない。




 江沢民と李鵬の談話の内容から改革に対するスタンスの違いをみてとることができます。

 ●江「改革の歩みを速める」
 ●李「改革の歩みを適当に速める」

 ……と、言うまでもなく李鵬の方が「改革加速」に消極的だということですが、これに気付いたときは素人のヲタなものですから独り興奮したものです。

 
政局も煮詰まって大詰めの段階に入ると、指導部各人のコメントに単語がひとつ加わるかどうかで政治姿勢の明確な相違をみてとることができることもあるのだ、という貴重な体験を私は実地に学習する僥倖を得たのです。

 ただこのときは「江沢民と李鵬のスタンスが違う」というより、観察日記の中でふれているように江沢民から保守派を暗に批判する言葉が次々と飛び出したことで、

「ずいぶん改革に積極姿勢を示すようになったなあ江沢民も」

 という印象の方が強かったです。

 また、前回紹介した『人民日報』(保守派)と『解放日報』(改革派)による代理戦争が、『人民日報』が改革派の論調を受け入れたことで事実上白旗を掲げたこととなり、考えていたよりも早く改革派が制高点を奪回しつつあることが感じられました。

 ある意味、政局が煮詰まっているだけにこちらも微妙な変化にも神経質となっていて、事態の推移を捉えやすかったといえるかも知れません。しかし「政局が大詰めの段階」という機会は滅多にあるものではありません。

 2004年夏にスタートした当ブログにおいては、
2005年春の反日騒動に名を借りた政争やその直後の呉儀ドタキャン事件がそれに似た状況だったといえるかと思います。

 ともあれ、まさかトウ小平による人生最後の権力闘争が進行しつつあるとは露知らぬ身でしたから、何やら急に慌ただしくなったぞ、改革派に追い風が吹き始めたようだ、という感想しか当時の私には浮かびませんでした。

 そして、私は翌日に『明報』をみて驚倒することになるのです。さらに、トウ小平の口から次々と飛び出す改革再加速に関する言動も「積極的になってきた」江沢民ら改革派の論調すら色褪せて保守的にみえてしまうほど大胆かつ力強い内容に満ちていました。


【昔の観察日記07】へ)



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 土曜日であることに安んじて閑話。

 いまさら?と言われそうですけど、「初音ミク」というソフトがなかなか面白そうで気になっています。……笑うな。

 そういうものがある、ということは以前テレビのニュースか何かで観た記憶があります。どうせ大したもんじゃなかろう、とそのときは流してしまいました。

 ところが「有馬温泉」さんがROM専というので私もチェックするようになった某巨大掲示板の麻生研究スレ、ここで面白い動画に遭遇。

 ●組曲「麻生太郎」 featuring 初音ミク

 これは必見です(笑)。小泉政権下の外相時代、ローゼン閣下こと麻生太郎氏に「ファンタジスタ」との称号を奉った当ブログとしては、当然ながら捨ててはおけません。

 ●ファンタジスタ。・上(2005/11/04)
 ●ファンタジスタ。・下(2005/11/04)
 ●ファンタジスタはボール持ち過ぎ?それともやっぱり政争の香り?(2005/11/14)
 ●ファンタジスタが新ネタ連発、そしていよいよ神光臨か?(2006/03/16)

 楽しいしノリがいいし元気が出るのでいまでは記事漁りの前に聴いて気合いを入れる楽曲として愛用しています。巻き起こした祭はおっくせんまん!おっくせんまん!(はぁん♪)

 で、「初音ミク」って結構いろいろできるらしい、ということを認識した次第。それでニコニコ動画?ってところを少しさまよったところ今度は名曲(個人的には余韻が残らないから最後の和音の展開だけチト気に入らないけど)にたどりつきました。

 ●【初音ミク】オリジナル曲「秋空」

 私の場合はこれを聴いてゲルニカ(戸川純)の「マロニエ読本」を想起しました。おお、これはなかなかいいかも、ということになって、打ち込みなら多少の心得がある私は一変して興味津々。でもMacには対応していないんです残念。orz

 ――――

 それでも使い勝手など具体的なことが知りたい。……となればそこはアキバ系に囲まれている仕事環境が生きてきます。早速香港サイドに電話してみると、

「御家人さん、そんなことより……」

 わかったわかった。年末進行の最後のヤマ場だからね。では副業先の編集部に……と思ったのですが、この時期なら地獄の様相を呈していることは明らかですし原稿を催促されると薮蛇なのでこれは回避。

 香港のアニメ・ゲーム関連の第一人者的存在である昔の仕事仲間に連絡してみると、

「ああ『初音ミク』ですか。私,持っています」

「何だお前あれ買ってたんだ」

「いえ、私はダウンロードで」

 ヲイ!

 ともかく詳細について尋ねてみたのですが、

「私、音楽ができませんから、ダメです。だから、使っていません」

 あーそうですか(怒)。でもそういえば香港で一緒に働いていたころ、

「おれはお前らと違って二次元ヲタじゃないんだよ。一緒にされると迷惑だ」

 という自己主張を兼ねて昼休みにシーケンサーをいじくっている私を奴らはいつも不思議そうに眺めていましたから、さもありなん、というべきかも知れません(アリスソフトの会員手続きを手伝わされたりwとか、そういうのばっかなんでムカついていた時期があったのです)。

 ――――

 という訳で、

 ●操作はシーケンサーの打ち込みのようなもの?
 ●音色とか豊富?
 ●リズム隊とかバッキングにプリセットパターンがある?
 ●トラックはいくつ?同時発音数は?
 ●Mac版で似たようなソフトある?

 といったことを御存知の方は是非ご一報下さい。m(__)m

 それにしても、こういうソフトが日本人の職人魂をくすぐってアマチュア層をさらに厚くし、結果的にサブカル業界の強化につながっていくんでしょうね。正にとてつもない日本。

 ちなみに、初音ミクというキャラには萌えませんけど衣装がDX7をベースにしている、ということに私は感動。あのシンセ、高校生のとき『広辞苑』の綴本工場でバイトしてカネ貯めて買った名機なのです。懐かしー。

 ――――

 最後に「いきものがかり」のニューシングルを。今年のサクラはそう来たか!秀逸秀逸。

花は桜 君は美し
いきものがかり,渡辺善太郎,中村太知,水野良樹,山下穂尊
エピックレコードジャパン

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 香港に渡った当時の私は仕事に没頭せざるを得ない状況にありました。まだ20代半ばだったので苦にはなりませんでしたが、日付が変わるまで残業することが多く、いまでいうと「毎日が年末進行」状態。

 それでも「香港=中国情報満載」という嬉しさがまだ持続していて、忙しくても観察日記は少しずつ書き進めていました。12月も下旬になって1991年の総括めいたことを記しています。



 ●「安定」優先で懸案先送り 来春の改革再開に期待……中国この一年(1991年12月20日)


 この1年の中国の動きにおけるキーワードは「安定」である。中国はこれを掲げて国際情勢の激変を切り抜け、また内政面での懸案を先送りした。

 外交ではまず湾岸戦争の際、米国をはじめとする西側諸国にも、またイラクに同情的なアラブ諸国にも、国連の場において貸しを作った。また、89年以来冷却化していた西側との関係も本格的改善への一歩を踏み出し、経済制裁の実質的解除に成功。この背景には、ベトナム、韓国、インドなど周辺諸国との関係強化によるアジアでの発言力拡大があり、天安門事件の失地回復を進める一方で足場を強化した1年といえる。

 内政面では、冷戦構造崩壊による危機感から政治的引き締めが続く一方、経済では改革再開を決定。

 4月の全人代では、第8次5ヵ年計画と国民経済・社会発展十10ヵ年計画を策定。しかしその内容は、改革派と保守派、また分権化をめぐる中央と地方の対立を反映。肝心の部分では「適当」「適度」「慎重」の連発が目立つ「玉虫色」に終わった。

 夏には華東水害が発生。その救済支出は財政赤字を悪化させ、改革再開の時期もずれ込んだ。

 9月末の中央工作会議は、経済引き締めの終了を確認し、企業改革の方向を決定。その構想の多くは全人代で示されていたが、8月のソ連激変でイデオロギー重視の声が高まっていただけに、経済最優先の「お墨付き」としての意味は大きく、これ以降、改革派による巻き返しが強まった。10月には李鵬、袁木が深セン、上海の証券取引所を視察し、株式市場を保守派が認知した。

 人事面では、改革・保守の両派に配慮したバランス人事の中で、胡啓立らが復活。「安定」最優先のため、朱鎔基副首相らの政治局入りなど異論の多い重要人事は見送られたが、天安門事件直後の顔ぶれと比べればかなり変化している。一方で広東省のボスである葉選平など、地方の実力者を中央入りさせることで地盤から引き離すという「中央対地方」を反映した人事が出てきたことは注目される。

 なおこれは、改革で強まった地方の発言力が政治面にも及んできたことの表れであり、両者の対立関係の改善は、今年先送りされた最大の課題ともいえる。

 ◆今年の主要人事

   新 職 名    氏 名
 副首相          鄒家華
 副首相          朱鎔基
 政協副主席        葉選平
 機械電子工業部副部長   胡啓立
 民政部副部長       閻明復
 国家計画委副主任     艾杏文
 党中央台湾工作弁公室主任 王兆国
 上海市長         黄菊
 上海党委書記       呉邦国
 河南省長         李長春
 新疆ウイグル自治区主席  克尤木巴吾東
 建設部長         侯捷
 交通部長         黄鎮東
 公安部長         陶駟駒
 浙江省長         葛洪升
 遼寧省長         岳岐峰
 河北省長         程維高
 福建省長         賈慶林
 広東省長代理       朱森林
 広東省党委書記      謝非




 基本的には荒れることのなかった一年でした。ただ秋口には保守派の牙城『人民日報』の
「姓資・姓社」論に対して改革派が上海の『解放日報』を拠り所に「皇甫平論文」で「思想解放」を呼びかけ反撃し論争を展開するなど、「安定優先」とはいいながら、年末にかけて改革派が力を盛り返しつつある印象が残っています。

 とはいえ、改革派が政局を転換させて主導権を握れるかどうかは当時はまだ先行き不透明な部分がありました。9月の中央工作会議で引き締め政策の終了と改革路線再開の合意がなされ、李鵬と袁木(懐かしー)が深セン、上海の証券取引所を視察することで本来資本主義的とされた株式市場を認知したのはトピックではありました。

 しかし、李鵬首相(当時)とその後ろ盾である保守派長老たちは、
保守派主導による改革開放政策を行うことで「改革の推進者」という立場を確立し、実際には改革派が望むような政策を阻む気配がありました。

適度に改革を進める」
慎重に改革を進める」

 という但し書きつきであることが、保守派主導の改革開放路線ということになります。

 この「改革派 vs 保守派」の主導権争いに決着がつかないでいることが人事面に反映された観があますが、同時に独立王国然としていた広東省のボスである葉選平を中央に引き抜いてその影響力を骨抜きにする、といった「中央 vs 地方」を示す動きが出てきたことは注目されます。当時は江沢民制権がまだ不安定な時期で、上海も「浦東開発」に着手しようかという時期。「上海閥」の台頭など、誰も予測できなかったことでしょう。

「両者の対立関係の改善は、今年先送りされた最大の課題ともいえる」

 と当時の私は書いていますが、この1カ月後にトウ小平が南方視察によって人生最後の権力闘争を発動し、政治勢力としての保守派が事実上潰滅し、
「今年先送りされた課題」が一気に片付けられるとは夢にも思っていませんでした。

 ――――

 なお、ちまちましたことですが、広東省のボス・葉選平の異動に対応して広東省当局が人事面で新たなシフトを採ろうとしていることを、私が敏感に予測して珍しく的中させています(ちょっとだけ自慢)。



 ●広東省、近く省長人事か……葉選平氏の動向に注目(1991年12月24日)


 広東省では先月、韶関市の党委員会書記である高祀仁氏が広州市党委書記に転出した。国営企業管理に精通する同氏の昇格については、省当局による企業改革始動への下準備とする観測がある。だが、この人事でむしろ注目したいのは、前任者の朱森林氏が代理省長職に専念することになった点である。

 広東省長職は前任の葉選平氏が全国政協副主席に転出して以来、空席となっている。葉氏は言わずと知れた広東省のボス的存在。その昇格には、中央の指令を必ずしも貫徹せずに独自の経済発展を進めようとする同省の牙を抜く狙いがあり、それを裏付けるかのように、葉氏は副主席就任後も同省を離れようとしない。

 しかし、今回朱氏が市党委書記の職を譲ったことは省長への正式就任を示唆するものであり、そうなれば葉氏の動向にも何らかの変化があるものと思われる。

 今年、同省の人民代表大会は異例の1月開催。この会議上、朱氏の省長就任が決まるのかも知れない。


 ――――


 ●広東省人代、空席続いた省長を選出(1992年1月10日)


 広東省の第7期人民代表大会第5回会議が8日から開催され、昨年度の省経済・社会を総括するとともに、今年度の年間計画を審議。国内総生産(GDP)が前年同期比10%増、工業成長同12%、農業成長同5.5%などの経済統計も発表された。また、空席が続いていた省長に現省長代理の朱森林氏を選出した。

 なお、前省長の葉選平氏は全国政協副主席就任後も同省にとどまり、北京へ赴こうとしない。今回の人事で、春の全人代を控えた同氏の動向が注目される。




 葉選平というのはやはり広東省を地盤としていた葉剣英の息子で、父親の地盤をそっくり引き継いだ形で広東省に君臨していました。このころ広州に行くと、あちこちに葉選平が揮毫したものを目にすることができ、その影響力の大きさを実感できたものです。

 保守派が政治勢力として存在感を示していた時代が、……いや「改革派 vs 保守派」という対立の図式が、事実上この年をもって終焉を迎えることになります。


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「上」の続き)


 中央政府(国家発展改革委員会=発改委)による石炭の確保・輸送に関する緊急措置は要するに、

「どの地区もつべこべ言わずに石炭を集めろ。集めたら発電所に急いで運べ」

 というものです。この通知には、

「石炭産出地区においては、炭坑会社が法に則って生産活動を行い、市場を混乱させるような行為をせず、しっかりと社会的責任を果たすよう地元当局が指導せよ」

 という一節もあります。ずいぶんと高飛車で現場の反発を呼びそうですね。士気昂揚と督励のため、温家宝・首相が例の10年着古したジャンバー(自称)を羽織って炭坑視察、なんてこともあるかも知れません。

 むろん、中央レベルでも色々と手配りをしています。まず鉄道部は旅客列車・貨物列車を問わず必ず石炭貨車を編成に加えるとの措置に動きました。電力消費量が高いながら雪害で石炭輸送に苦労している江西省、湖南省、湖北省、四川省、また北京市や天津市が優先対象とのこと。

 交通部は海外向けの輸送船を急ぎ抽出して国内の石炭運輸へと回すそうです。具体的には中遠集団が11隻の投入を手配済み。また中海集団がタンカー4隻を改造して石炭運びに回すとのことで、うち2隻はすでに輸送任務についている模様。……でも河川が凍結したり記録的な低水位だったりするのに、航路は十分に確保できているのでしょうか。むしろその方が心配です。

 ●「新浪網」(2008/01/24/04:35)
 http://news.sina.com.cn/c/2008-01-24/043514813879.shtml

 ――――

 ちょっと気になったのはこの記事の最後の一段。



 また、南寧鉄道局は本日から全ての列車編成に石炭貨車を加えることで、湖南、湖北、江西、四川などの発電用石炭の逼迫状況を迅速に緩和する。鉄道部はその一方で、発改委の要求に基づき安定した輸送量を保証するとともに、石炭輸送費以外の様々な名目による不法な料金徴収を厳禁とするとした。鉄道部は発電用石炭の供給と価格安定が徹底されているかをチェックするべく、すでに専門調査チーム4組を各地に派遣している。




 なるほど供給不足となれば、石炭をどの地区にどれだけ運搬するかは輸送する側のさじ加減ひとつ。常に需要に比して少ない資源をどう配分するかが中国の改革開放政策における一大痛点であり、その配分役の党官僚による決定は袖の下次第で左右される、というのが中国における最も基本的な汚職のカタチです。虎視眈々と機会を狙っている車掌さんたちもいることでしょう。

 中央にもムシのいい部分があります。「生産能力過剰」だの「安全基準以下」だのといって全国各地の炭坑をどんどん閉鎖させていたのに、降って湧いたような石炭不足に態度を一変。

「各産出地区は炭坑の安全生産能力を高め、管理下の炭坑を一律操業停止にするなどといった消極的なやり方を断固改めること」

 という一節が発改委の別の通達?の冒頭に出てきます。炭坑を閉めろ閉めろと言っていたのに、今度は鮮やかに掌を返してこの言いざま。

「石炭産出地区においては、炭坑会社が法に則って生産活動を行い、市場を混乱させるような行為をせず、しっかりと社会的責任を果たすよう地元当局が指導せよ」

 という前述の高圧的な一節とともに、

「ふざけるな!」

 と地方当局の怒りの火に油を注ぐことになるのは必定かと思われます。

 ●「新浪網」(2008/01/24/07:16)
 http://news.sina.com.cn/c/2008-01-24/071613317836s.shtml

 ――――

 この通達の中にも興味深い部分が。



 この通達は、石炭産出地区が「全国はひとつの碁盤」という考え方を強化し、地方保護主義を克服して、省内と省外への供給を等しく重視すると保証した上で、まずは省外への発電用石炭供給保障活動を重点的にやり遂げることを要求する。市場を分割したり省外への供給を制限するなどといったことは一律不可であり、石炭価格以外の各種費用を不法に徴収してもいけない。石炭業界は需給逼迫の機に乗じて高値をつけたり滅茶苦茶に値上げをしてはいけない。さもなくば法に拠って処罰されることになる。




 出ました
「地方保護主義を克服して」の一節。資源が深刻な供給不足に陥ると必ず登場するフレーズです。「省内と省外への供給を等しく重視すると保証」せよ、とした上で、

「まずは省外への発電用石炭供給保障活動を重点的にやり遂げることを要求する」
「石炭業界は需給逼迫の機に乗じて高値をつけたり滅茶苦茶に値上げをしてはいけない」

 と、中央の通達は実に念入りです。地方当局の行動原理に照らして、しっかりと念を押す必要があるとみたのでしょう。まあ車掌さんだって目を輝かせるような絶好の機会ですから、地方当局やそれと癒着している石炭業界がやりたい放題に走る可能性は十分、というよりやりたい放題に走らない方がおかしいくらいです。上述したように上意下達式の中央からの高圧的な通達に翻弄され腹を立てているだけに、

「よーしオレ流の『科学的発展観』を胡錦涛に教えてやるとするか」
「温家宝に市場経済の実地教育をしてやれ」

 くらいの意気込みはあるでしょう(笑)。胡錦涛の実権掌握度が盤石とはいえないだけに(ええ、盤石ではないのです)、ここで各地方当局が稼ぎどきとばかりに面従腹背が横行するようだと社会不安のタネになりかねません。

 電力供給量が十分でないために時限停電の中で迎える旧正月、雪害などによる交通の混乱が農産物の出荷に影響して価格高騰、といった事態が一部の地域で生じる可能性があります。いや、少なくとも大雪の影響で農作物の生産が打撃を受けていることは想像に難くないため、一時的な値上がりは必至でしょう。

 これに対し、石炭産出地区は往々にして資源供給元という裏方の役回りばかり振られているため、繁栄を謳歌する地域に対する感情的なシコリがあります。

 今回の事態に際しては当然ながら自分の縄張り内の発電所へと石炭を優先供給しますから電力不足などどこ吹く風。野菜など農産物も消費地である省外に供給することを地元当局が制限したりして自らの殻に閉じこもります。というよりむしろ積極的な「割拠」「地方保護主義」が現出します。

 現出させてしまえば農産物など鮮度を問われる産品の価格上昇とともに、過剰な需要を調整するべく電気料金の引き上げが行われるかも知れません。こうなると広範な商品のコスト増大につながりますから物価高が一層深刻になります。胡錦涛としては避けたいところでしょうが、さてどうなることやら。

 ――――

 ところで今回の電力不足騒動、常ならぬ大雪という意外な状況が引き起こしたものではありますが、各地の火力発電所が備蓄していた石炭の分量が軒並みわずか1週間前後だったというのは何やら仕込みの気配が……と漠然と考えていたら、恰好の記事が出てきました。陰謀論です(笑)。

 ●発電用石炭不足、実は電力業界の値上げアピール?…業界筋(新華網 2008/01/24/08:22)
 http://news.xinhuanet.com/fortune/2008-01/24/content_7483926.htm

 解説者は広東省の電力業界筋。雪害は天災だけれども、電力企業はこれ幸いとばかりにそれを利用して、半ば積極的に「電力不足」の状況をつくり出し、物価高のなか一向に許可される気配のない電気料金の値上げを中央に迫る狙いがある、というものです。

「燃料費が国際的に高騰している中、心優しい政府が国内での値上げを許さないため、私営(?)の小型発電所は発電すれば赤字になってしまい、操業停止ということがあるみたいです」

 という「上」で紹介した「シンセン在住」さんのコメントと一脈通じるところがあります。

 大雪で断線したり高圧鉄塔が倒れたり変電所が潰れたりして、その復旧作業にあたる最前線の面々は真剣でしょうけど、電力業界としては思わぬ「電力不足」を値上げカードにしたいという思惑があり、

「あまり必死にならない方が政府に対して薬になる」

 とのこと。中央の通達とは裏腹に、電力業界は石炭不足にも慌てていないそうです。こういう状況となれば流通段階で売り惜しみをする業者が出てくるのは確実。いや実際にそういうことが行われているそうですが、でも必死になってそこで高値で買い付けるより、むしろ相手が売るのを惜しみに惜しんでくれて、惜しみすぎて売り抜けるチャンスを逸してくれれば買い叩けるからオイシイそうで。

 それを待ちつつ中央が必死に石炭を手当てしてくれるのをのんびりと眺めていれば電力不足もいよいよ深刻となり、やがて政府も電力業界の意図するところを察するだろうというものです。

「値上げしてくれなきゃ電気止めちゃうよ」

 と開き直っている訳で、開き直ることができるのは、電力業界は各地区とも寡占ないしは独占体制が成立しているからです。

 ――――

 いま中国で問題になっている様々な「格差」や「不公平」のうち、最近は
「業種間格差」というものが注目されるようになってきました。

 物価高ですからベースアップ、つまり給料が増えることへの期待感が高まるなかで、寡占・独占状態にあぐらをかいて、他の業界に比べて社員がひどく優遇されているカネ余り業界があります。

 そのひとつが電力業界です。業種間格差は給与に福利を加えると年功・年齢の同じ者同士で最大6倍くらいにもなるそうです。

「あいつらの給料まで上げる必要があるのか」

 という議論が行われるようになっています。改革開放政策の骨子は競争原理の導入と分権化にあり、多くの業界ではそのために激しい生存競争や淘汰が進められてきました。

 ところが電力業界のような公共事業となると、国策と絡む部分もあって、無闇に市場開放したり新規参入を許すことは難しくなります。そこで寡占・独占のまま据え置かれ、淘汰される恐れのない環境に安んじてきた、という面が電力業界にはあります。社員の給与や福利が手厚いのは競争のない分野で往々にして生じがちな「どんぶり勘定」のようなもの。

 こうした寡占・独占業界は、改革開放政策の既得権益層といっていいでしょう。デベロッパーと癒着しての開発事業で甘い汁をたっぷりと吸った地方当局などと同様に、中央から手を突っ込みにくい、「割拠」する「諸侯」といえます。「上海閥」「広東閥」といった地縁つながりとは別に、特定の業界が「諸侯」として存在するようになったところに、改革開放政策の深化とともに、この政策で生まれた闇の深さを感じます。

 中央=胡錦涛制権からみれば、「全国はひとつの碁盤」という考え方に従わない敵対勢力ということになります。超格差社会を改善せんとする胡錦涛の構造改革に対する抵抗勢力に他ならないからです。

 ●胡錦涛報告は「控えめな宣戦布告」@十七大02(2007/10/15)
 ●胡錦涛、科学的発展観そして中国そのものについて@十七大04(2007/10/18)

 要するに今回の混乱を政治的に捉えれば、「胡錦涛制権 vs 上海閥」と同様に「構造改革派 vs 抵抗勢力」という図式で、胡錦涛制権と抵抗勢力のひとつである電力業界の初バトルと位置づけていいかも知れない、ということです。

 どうも筆が走り過ぎたきらいが無きにしもあらず、ではありますが、寡占・独占業界への風当たりが最近強まっていた折だけに、ちょっと妄想してみた次第です。




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 さあ大変です。中国の中部地区を中心に常ならぬ大雪で交通や電力供給に影響が出て当局大慌て&野菜価格がハネ上がるかも。……という話題を湖北省・武漢市の大停電を実例に先日とり上げたばかりですが、この異常寒波はどうやら半端なものではないらしく、沿海・内陸部を含む多くの地区を電力難に陥れています。

 雪害そのものもさることながら、雪で送電施設がオシャカになったり高圧電線がブチ切れたり、あるいは交通が遮断されて発電用の石炭を発電所に輸送できない。……などといった特に被害が深刻な地区がタイトルに掲げた通り「13省市」あります。香港紙『東方日報』(2008/01/24)が報じたところによると、

 上海市、天津市、安徽省、浙江省、江西省、陝西省、湖北省、湖南省、重慶市、四川省、貴州省、広西チワン族自治区、雲南省。

 となっていますが、同じ香港の最大手紙『蘋果日報』(2008/01/24)だと同じ「13省市」でも広東省が含まれていたりして実際のところはよくわかりません。

 とにかく広範囲で大雪が降って、寒い寒いと住民は暖房使いまくりで電力消費量が真夏のピーク時に近づく勢い。ところが前述したようにその大雪で電力供給が影響を受け、需要に追いつかない状態のため供給制限(停電)に踏み切った地方当局が少なからずある模様。制限する以前に送電施設が雪にやられて送電がストップしている「停電事故」が発生しているところもあります。

 まあ実例を並べてみましょう。



 ●貴州省の多くの地区が2級停電状態に(新華網 2008/01/24/13:19)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-01/24/content_7486774.htm

 「2級停電状態」がどれほどのものなのかわかりませんが、かなり緊迫した状況のようです。ここでは電力需要が高まる以前に大雪で電線が切れたり鉄塔が倒れたり、変電所が潰れたりしているとのこと。「停電事故」を主とする混乱のようです。

 省当局では省外への送電をストップして全て省内向けにするとともに、大口利用者への電力供給を全て停止。同時に一般利用者に対しても時限停電などの措置を発動しています。22日午後から23日かけて、一時は省内17県が停電するという大変な状況だったようですが、24日10時の時点で電力供給が回復していない県を10県にまで減らすことができたとのこと。

 ……って、まだ半分も復旧していないことになりますね。


 ――――


 ●湖北省で高圧鉄塔3基倒壊、三峡から外部への送電ルートで(新華網 2008/01/24/09:23)
 http://news.sina.com.cn/c/2008-01-24/092313318439s.shtml

 武漢市を省都とする湖北省ですが、三峡ダムの発電所から省外への送電ルートにおいて23日9時に第127号、第128号鉄塔が相次いで倒れ、13時ごろには第126号鉄塔も倒壊。三峡発電所から陝西省方面や安徽省方面へつながる重要かつ骨幹をなす電力供給ルートだったのですが、これで送電が全面的にストップ。

 地元電力会社では天候やインフラのメンテナンスなどを考えると復旧まで早くても50日を要するとのことで、この送電ルートに頼っていた地区にとっては厳しい旧正月となります。また湖北省内でも武漢市のように時限停電など電力供給の制限措置がとられる一方、寒波による電力需要の高まりで在庫が急減している火力発電所を稼働させるための石炭の確保に全力を挙げている模様です。


 ――――


 ●急を告げる安徽省、石炭不足に加え電力消費量は冬季最高記録を更新(新浪網 2008/01/24/09:00)
 http://news.sina.com.cn/c/2008-01-24/090013318462s.shtml

 こちらも大変そうです。冬に入って以来寒波の影響で電力需要が右肩上がりの安徽省では、1月15日18時20分の瞬間電力消費量が1151万kwに達し、同省における冬季最高記録を更新。省都の合肥地区では22日11時18分の瞬間電力消費量が166万kwに達してこれも同地区の冬季新記録。

 ところが火力発電所の故障や燃料である石炭の不足のため、現時点における同省の最大電力供給量は1130万kw。このうち沿江発電所は石炭不足のためいつ稼働停止となってもおかしくない状況だそうです。また、石炭不足の他に粗悪炭の影響で故障を起こしている発電所もすでに3カ所。それなのに今年の冬場の電力消費量は例年より3割増ということで、予断を許さない状況にあります。

 そういえば以前、副業の掲載誌が海賊版の流通ルートに乗って中国本土で販売されていたらしく、私のコラムにこの安徽省の山奥の水力発電所に勤務する読者から手紙が届いたことがあります。いまごろ大変なのかも知れません。


 ――――


 ●重慶市の電力網、雪害・氷害の影響排除に全力(新浪網 2008/01/24/09:08)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2008-01/24/content_7486263.htm

 重慶市の電力網は雪と氷で断線などの被害が出ているようです。中でも大動脈であるルートの電線が一時切断されたものの、吹雪のなか行われた復旧工事により22日19時には正常に復したとのこと。記事は画像メインで、

 男たちは その昔 みんな 旅に出かけた  夢がそこに あるかぎり 命ひとつ 燃やして~♪

 という懐かしのCMソングを彷彿とさせるものがありました。


 ――――


 ●上海の消費電力消費量、記録更新連発も供給制限予定なし(新華網 2008/01/24/08:14)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2008-01/24/content_7483803.htm

 上海市でも記録更新です。17日10時35分の瞬間最大電力消費量が1804万kwとこの冬最高をマーク。ただし三峡発電所による電力供給量の40%が確保されているなど、さすがに経済の都はある意味「中国の顔」であるだけに優先されているようです。地元電力会社筋によると、目下のところ電力供給制限などの措置は考えていないとのこと。

 もっとも市内各地区において消費電力のピーク時にバラつきがあることを利用したやりくりなど、それなりに努力もしているようです。

 とはいえ浙江省・桐柏水力発電所からの高圧線が雪で切れるなど市外からの供給に穴が空き始めており、こちらも予断を許さぬ状況にある模様です。


 ――――


 ●時限停電を実施中の広東省、省内の発電力をフル稼働へ(新浪網 2008/01/24/09:08)
 http://news.sina.com.cn/c/2008-01-24/090814816766.shtml

 広東省は雪害により西部からの送電が大幅減。短期的には電力不足がさらに深刻化する見通しです。これを受けた時限停電措置がすでに実施されており、電力消費のピーク時を外した時間帯に供給制限を行うなどして600万kwの節約に成功しているとのこと。また予備や検査中の設備も急ぎ稼働させることで、省内の発電力をフル稼働させて不足分を少しでも補おうという構え。停電のない旧正月を送れるかどうかはちょっと微妙です。


 ――――


 ところで広東省については読者の方から有り難いタレ込み情報が(五香粉さんは確か東莞でしたよね?)。


 ●停電情報(五香粉) 2008-01-23 18:24:03
 そういえば、昨日9時ごろから一時間か二時間ほど、停電しました。普通は事前通知するんだけどな。


 ●供電局曰く(シンセン在住) 2008-01-24 13:45:01
 シンセン郊外でも、この季節には珍しく計画停電のお達しが着ております。電力の供給不足の理由は以下とのこと、
 (1)大雪、大風で送電障害
 (2)水不足で水力発電所が動かせない
 (3)燃料高で発電所が稼動停止

 (1)(2)は以前にも聴いたことはありましたが、(3)は初耳でした。燃料費が国際的に高騰している中、心優しい政府が国内での値上げを許さないため、私営(?)の小型発電所は発電すれば赤字になってしまい、操業停止ということがあるみたいです。(供電局の言い訳臭いですが)



 「五香粉」さん、「シンセン在住」さん、現地の空気感あふれる貴重な情報、ありがとうございました。個人的には「水不足で水力発電所が動かせない」ということに驚いております。m(__)m



 何はともあれ、旧正月を控えた時期だというのに中国のあちこちが尋常でない事態に見舞われていることがわかるかと思います。天意?

 こうした各地の異常事態に接して、北京の中央政府も国家発展改革委員会が石炭の確保・輸送に関する緊急通知を出すなどして対応に努めています。事態が好転するといいですねー。


「下」に続く)




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 中国の国家統計局が今日(1月24日)、2007年の中国経済に関する諸統計(速報値)を発表しました。その中から勝手に拾ってみると、

 ●GDP(国内総生産)は24兆6619億元で前年同期比11.4%増。
 ●全社会固定資産投資は13兆7239億元で同24.8%増。
 ●CPI(消費者物価指数)は通年で同4.8%上昇、伸び幅は同3.3ポイント増。
 ●CPIにおける食品価格は通年で同12.3%上昇。
 ●CPIにおける食品価格(通年)のうち、穀物は同6.3%上昇、肉類・肉類加工品は同31.7%上昇、生卵は同21.8%。
 ●12月のCPIは同6.5%上昇。
 ●都市部住民の一人当たり可処分所得は1万3786元で同17.2%増、物価上昇分を差し引くと同12.2%増。
 ●農村部の一人当たり純収入は4140元で同15.4%増、物価上昇分を差し引くと同9.5%増。
 ●穀物総生産量は5億150トンで同0.7%。
 ●2007年末時点の国民貯蓄残高は17兆2534億元で同1兆967億元増。

 ……となっています。その他の数値や詳細はこちらへ。

 ●国家統計局HP(2008/01/24/10:00)
 http://www.stats.gov.cn/tjfx/jdfx/t20080124_402460060.htm

 ――――

 物価高は歳末だけでなく旧正月以降も続くように思うのですが……まあいいや。2007年通年でのCPIは前年同期比4.8%の上昇ということで、11月下旬に国家統計局が予測した、

「4.5%~4.6%台」
「これは依然として受け入れられるレベル」

 を軽く超えてしまいました。

 ●怪走する中国経済、走れば走るほど「割拠」。・上(2007/12/20)

 予想外の物価上昇だから1月に入ってからの輸出規制や価格統制令などの「戒厳令」的な非常措置を打ち出したのでしょうか。「責任者出て来い!」となれば、この非常措置を次々に繰り出した温家宝・首相ということになるでしょう。下の記事にみられる温家宝の腰の低さがそれを反映したものかどうかはわかりませんけど。



 ●「まだ国民の期待に応え切れていない」、温首相が低姿勢で就任5年を回顧―中国(Record China 2008/01/21/13:30)
 http://www.recordchina.co.jp/group/g14897.html

 2008年1月19日、中国新聞社の報道によると、国務院第11回全体会議の席上、温家宝(ウェン・ジアバオ)首相は就任以来5年間を振り返り、「改革は進んだものの、まだ国民の期待に応え切れていない」との趣旨の発言をした。敢えて国民に“低姿勢”を打ち出すことで、五輪イヤーの政局運営を円満に進めたい狙いと見られる。

 温首相はまず、成果面として「国民経済の安定的かつスピーディーな発展、経済効率の向上を達成してきた」と強調した。農村、企業、金融、税、外国貿易、行政管理体制の改革も進み、市場経済が新たな段階に入ったと分析。また就業、社会保障、教育、衛生、文化などの社会事業も伸展し、国民生活も向上した、と振り返った。

 その上で温首相は、「国民の期待と政府の仕事ぶりにはまだまだ大きな差があり、今後も多くの難題が待ち構えている」と政府に与えられた課題の重要性を指摘した。(翻訳・編集/KT)




 ちなみに2007年12月のCPI上昇率は6.5%。前月の6.9%よりは減速しているようにみえますが、実際はそうではなく、単に前年同期である2006年12月の基数が高かったため、というのは以前指摘した通りです。

 ●物価上昇は今年もハイペース。(2008/01/16)

 要するに事態は改善されておらず、それゆえに今年1月に入ってから非常措置が続々と打ち出された訳です。物価についていうなら、

 ●CPIにおける食品価格(通年)のうち、穀物は同6.3%上昇、肉類・肉類加工品は同31.7%上昇、生卵は同21.8%。

 というのがやはり目を引きます。2007年の予想を遥かに超えた物価上昇の立役者が食品価格、というのは以前から指摘されてはいたものの、肉類・肉類加工品が3割高というのはやはり尋常ではありません。肉類を引っ張ったのが豚肉ですが、これについて国家統計局は、

 ●2006年の豚肉価格が低かったため養豚業者の生産意欲を減退させた。
 ●疫病による数的減少。
 ●飼料となる穀物価格の高騰。

 などの理由を挙げています。生産意欲や疫病については対策を打てるとしても、飼料高騰は世界的な流れですから今年の豚肉価格も先行き不透明感が漂います。

 ――――

 まあ豚肉はともかく、その高騰を続ける穀物価格が今年の中国の物価動向を左右しそうです。2007年の物価動向を眺めてみても、シーズンを通じて活躍した豚肉に対し、中盤から急伸してきたのが穀物価格と油脂価格。

 御存知のように中国も1月1日から一年限定で穀物・穀物製品の輸出関税引き上げ(穀物製品については総量規制も)という緊急措置がとられています。価格統制令で値上げ事前申請という許可制も導入されました。

 その
穀物生産が前年比0.7%増と伸び悩んでいることに留意すべきかと思います。大豆生産の主力基地といえる東北地区で大幅な減産だったように、品目別などの詳細がわかればもう少し云々できるかも知れませんが、穀物や小麦粉、油脂などの価格上昇ペースが昨年を上回る可能性は大です。というより豚肉価格が落ち着かなければ、これらの品目が2008年の物価高の牽引役になるのではないかと。

 それから電気・ガス・水道といったエネルギー価格も今年はもう少し伸びることになりそうです。国による補助を廃止して価格を市場に委ねるといった価格改革が年内に行われる予定ですが、踏み切れるかどうか、ちょっと怪しくなってきました。

 ちなみに香港の最大手紙『蘋果日報』(2008/01/24)によると、広州あたりでは調理器具が
「プロパンガス&ガスコンロ」に代わり「練炭&七輪」が復活しつつあるそうです。

 15リットル入りプロパンガスボンベが2007年初めには1本70~80元だったのが、今年初めには130~140元へと急騰。このため
「ガスを使うのはお札を燃やしているようなもんだ」という声が広がり、昔懐かしの練炭が庶民レベルでもてはやされているとのこと。安上がりですが一酸化炭素中毒が続出するのではと懸念する声もあるようです。

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 今回発表された統計は事前にあれこれ予測や噂が飛び交っていたことからGDP成長率から固定資産投資、CPIまでほぼ想定の範囲内でサプライズといえるほどのものは特にありません。それでも注目するとすれば、

 ●都市部住民の一人当たり可処分所得は1万3786元で同17.2%増、物価上昇分を差し引くと同12.2%増。
 ●農村部の一人当たり純収入は4140元で同15.4%増、物価上昇分を差し引くと同9.5%増。

 ……まずはこれです。可処分所得と純収入ではモノサシが違うので単純な比較はできませんが、都市部と農村部の格差拡大を示唆しているように思います。そもそも農民の純収入のうち純粋に農業関連によるものはどのくらいあるのか、逆にいうと都市での出稼ぎ分がどのくらいの比率を占めているのかは興味があるところです。……それから、

 ●2007年末時点の国民貯蓄残高は17兆2534億元で同1兆967億元増。

 これを挙げておきます。物価上昇幅が金利を上回るため「銀行に預けていては目減りする一方」と預金を取り崩して株式売買などの財テクに走るのが「預金の引っ越し」などと呼ばれて都市部では一種のトレンドとなりました。これをみる上で前年の統計を引っ張り出してみると、

 ●2006年末時点の国民貯蓄残高は16兆1587億元で同2兆544億元増。

 と、確かに貯蓄残高の増加ペースがほぼ半減しています(2兆544億元→1兆967億元)。この傾向が今年も続くのかどうかについても注目したいところです。




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 1991年というのは、中国政治における権力闘争が「改革派 vs 保守派」という形で行われていた時代の終末期にあたります。

 当時の権力闘争は経済運営をめぐる主導権争いという形で行われていました。改革派が導入する改革開放路線の新政策に対し、

「それは資本主義的だ。社会主義国のやることではない」

 と保守派が掣肘を加えてその実施に抵抗する、というものです。主に利権を争う現在の対立の構図からみればまだしも健康的だった、といえます。

 最高実力者だったトウ小平が改革開放路線を支持していたため基本的には改革派優位の政情ではありましたが、新政策の導入で混乱が発生したり政策そのものが失敗に終わると「それみたことか」と保守派が反攻に出て、経済運営の主導権を奪回したりしました。その過程で新政策の担当者などが解任されたり干されたり、といった人事面に影響が及んだこともあります。

 保守派の反撃をしばしば許してしまったのは、当時のトウ小平が長老連の筆頭格ではあったものの、カリスマといえるほどの絶対的指導力を有していなかったからでしょう。1980年代当時、『争鳴』『九十年代』など香港の政治月刊誌、また民主化運動組織が出していた月刊誌『中国之春』などにおいては、

「毛沢東のようなカリスマではなく、トウ小平はバランサーにすぎない」

 という見方が一般的でした。そのトウ小平が「カリスマ」へと昇格するのは、1989年の天安門事件を事実上、陣頭指揮して自ら血しぶきを浴びたことで凄みを増すとともに、軍部に対する掌握力を高めてからです。

 ――――

 とはいえ、1988年夏のスーパーインフレを機に政策運営の主導権を奪回した保守派は経済引き締め路線を敷き、翌年の天安門事件を契機に政治的引き締めも大幅に強化しました。この過程で改革推進路線の旗頭だった趙紫陽やそのブレーンなどが次々に失脚し、改革派にとっては「冬の時代」となります。

 改革開放を掲げていたトウ小平がこの時期におとなしくしていたのは、第一に学生や知識人による民主化運動に終始否定的だったことによるものでしょう。天安門事件に対する西側諸国の経済制裁で中国経済が打撃を受けており、改革再加速を行う余裕がなかったことにもよります。

 より大きな理由は、東欧の共産党独裁政権国家やソ連が次々に崩壊していくという「非常時」だったからだと思います。トウ小平は経済面の改革政策には非常に前向きでしたが、政治改革については中国共産党の一党独裁体制を弱体化しかねないとして常に消極的でした。迂闊に大きく舵を切って取り返しのつかない事態になっては困る、という思いがあったのではないでしょうか。

 しかし、それも天安門事件から2年余りを経た1991年の秋になると政情も経済もそれなりに落ち着いてきていました。そして翌1992年1月にトウ小平が突如として経済特区・深セン市を視察に訪れ、周辺各地を回りつつ改革再加速の大号令である「南巡講話」を発表することで保守派主導の政局が一大転換。改革派が再び主導権を握る一方、保守派は政治勢力としての力を事実上喪失してしまうこととなります。

 というものの、実際にはその手前の時期である1991年秋に改革開放路線の復活ということで中国指導部がほぼ合意していたということは見逃してはならない事実だと思います。



 ●改革路線の復活、来春「引き締め」終了を宣言か(1991年11月4日)


 中国が3年近くに及ぶ経済引き締め策の終了を来春の全人代で宣言し、改革推進路線が再び復活することを親中国系月刊誌、『紫荊』が明らかにした。

 同誌が権威筋の話として伝えたところによると、中国指導部は引き締め政策の目標が基本的に達成されたとして、来年春に開催される全人代でこの政策の終了を正式に宣言する見通し。

 緊縮政策は「治理・整頓」と呼ばれ、経済環境の調整、経済秩序の整頓を目的に88年末から実施。当面の急務として、

 ●不合理な産業構造の是正
 ●国営企業の効率向上
 ●インフレ抑制
 ●経済過熱抑制
 ●国営企業の活性化
 ●基本的なマクロコントロール機能の確立

 ……の6つを掲げていた。もっとも、このうち多くの問題については、価格改革(不合理な価格体系の是正)をはじめとする制度改革の深化によって初めて改善の見通しが立つものであり、指導部が国営企業活性化を経済政策の最重要課題に据えた時点で実質的な方向転換が行われていたといえる。

 政府筋によれば、中国指導部は、88年当時の経済過熱期に引き締め措置をとらなければインフレがさらに昂進し、ここ数年来の厳しい国際情勢下における経済運営が一層困難になっていたという認識で一致。引き締め政策の正しかったことを改めて確認した。

 しかし、中国経済の状況をみる限り、「目標が基本的に達成された」という指導部の認識には、政治的混乱を伴わずに政策を転換させるための妥協的産物という色彩が濃厚。問題の主因である需要超過構造の改善にはメスを入れないまま(これも改革深化を待つしかない)。現在、これによる影響が経済面に出始めている。

 同誌によれば、来年は適当な速度による経済成長を維持する一方、金融緩和などの措置で総需要を徐々に増大させる方向に進み、経済改革の深化が図られることになる。しかし、引き締めの反動による経済過熱の出現は過去に何度となく発生しており、今回においても、これまで安定していた物価が上昇に転じたことや工業の急成長といった状況がその可能性を強く示唆している。




 親中誌の記事に当時の私は敏感に反応したようです。改革派が上げたアドバルーンかなとも思ったのですが、
「いやアドバルーンを上げられるまでに回復していることこそ重要」と判断したような記憶があります。当時の親中系の新聞や雑誌は天安門事件で編集部が総入れ替えになったりして、改革派の広告塔のようなポジションは失われていましたし。

 ただ当時の私はそれと同時に、
改革復活といっても根っこの病巣にメスを入れないとまた同じことが起こるよ、とも指摘しています。結局中国はその部分への対応が不十分なまま現在まで突っ走ってしまい、その尻拭いで胡錦涛や温家宝が苦労している訳ですが、私のこの指摘は卓見でも何でもなく、当時,私と同じように中国情勢を眺めていた者にとってほぼ共通した見方だと思います。

 ともあれ保守派主導の状況下ゆえ、「改革開放の復活」といっても様々な枠がはめられ、慎重に慎重に歩んでいこう、という条件つきではありましたが、その中で改革派が再び台頭する気配を示していたことは重要です。

 この改革派台頭の気配はトウ小平が演出したものなのか、偶然そういう流れになっていたのかは私にはわかりませんが、トウ小平の南方視察にとっての足場固めになったことは確かです。



 ●改革派が再び優位に、八中全会近づく中国。……今後の政局に展望(1991年11月8日)


 八中全会の開催を控え、改革派と保守派の水面下での争いが活発になってきた。10月以来、江沢民、李鵬、李瑞環といった指導者たちが国内各地を訪問しているが、こうした動きも多分に八中全会を意識したものであり、その際の発言にはそれぞれの政治的立場を反映して、改革の速度・内容について微妙な違いがみられるのが興味深い。

 8月のソ連激変で危機感を強めた保守派は、『人民日報』や雑誌『求是』を使って攻勢をかける。上海の『解放日報』が改革推進のために思想解放を呼びかけたのに対しては「姓社・姓資」(資本主義的な改革政策は行わない、という意見)を以て反論し、『求是』は趙紫陽を「個人独裁による全面的西洋化を企んだ」と名指し批判。

 改革は必要だが、「四つの基本原則」(社会主義の道、人民民主独裁、共産党の指導、マルクス・レーニン主義と毛沢東思想)の枠から外れてはならず、またこれを軽視してはいけないというのが保守派の主張だ。先月末には『光明日報』が「力を結集して経済建設を行い、決して政治を無視してはならない」という文章を掲載した。

 しかし最近では、9月末に開かれた中央工作会議で経済の引き締め政策終了を決定し、経済改革の再推進が確認されたのを転機として、「経済建設が最重要任務」とするトウ小平の主張をタテにした改革派の勢いが目立つようになった。李瑞環は上海視察の際に「習慣勢力や主観・偏見」を打破しない限り改革の深化は望めないと語って思想解放を訴え、「姓社・姓資」を批判。江沢民は4日に新華社を視察し「人民を党の総目標へと導くことが報道部門の使命だ」と発言、「政治」を強調する一部新聞・雑誌へ暗にクギを刺した。

 楊尚昆もこうした動きと歩を同じくし、喬石は政治体制改革(行政改革程度だが)の必要性にも言及。また社会主義建設における「科学技術」の重要性が盛んに強調されるが、これも保守派の「イデオロギー重視」に対する批判とみられる。先月28日付『人民日報』が掲載した文章には「空論を唱えても始まらない」という一節がある。この文章の題は「決まったからにはすぐ実施、実施するからには成功を」。中央工作会議後の保守派の抵抗に向けたものだということは明らかである。

 もちろん、こうした動きによって強硬な外交姿勢や国内の政治的引き締めがすぐに緩和されるということはない。一方で李鵬ら保守派は、かつて趙紫陽が提唱した改革案の一部を自らが実施することで、今後も経済政策の主導権を保とうという動きをみせている。

 しかし、八中全会を間近にしたこの段階で改革派が力を取り戻したことの意味は大きい。同会議は、今後10年間の中国の方針を定める会議とされる「十四大」(第14期中国共産党大会、来年開催)の予備会議とも位置づけられており、天安門事件以来の厳しい政治情勢にようやく光が差し始めた観がある。




 2005年春の反日騒動に名を借りた政争もそうでしたが、中国政治における主導権争いは、争う当事者が往々にして大手メディアを押し立てて、自らの意見を代弁させる形で行われます。要するにメディア同士が相反する見方の論文を掲げて論争を展開するといったものです。

 この時期に保守派は『人民日報』を前面に出し、また保守派理論家の牙城であった雑誌『求是』を使って改革派が資本主義的な政策を打ち出さないよう盛んに牽制していました。
「姓社・姓資」とは、

「その政策の名字は社会主義か,資本主義か」

 という意味で、資本主義的な政策なら断固許容できない、というニュアンスを含んでいました。これに対し改革派はそういう建前にとらわれていては前に進めない、という意味で
「思想解放」を主張。物事には柔軟な思考で対処すべきだという意味で、これは「白い猫でも黒い猫でもネズミを捕るネコは良いネコだ」というトウ小平の「白猫黒猫論」そのものです。

 そして、その「思想解放」を唱える論文を次々に掲げて『人民日報』と論争を展開していた改革派の拠り所が上海の『解放日報』です。その論文の書き手が上海を流れる黄浦江とトウ小平の名前をもじって「皇甫平」というペンネームでした。

 この論争、この時点ではまだ最終的な決着はついていませんが、改革派指導者がそれを支持するという意思表示を視察などの行動を以て示すようになっいます。このあたりにトウ小平の影を感じなくもありません。ただトウ小平に言わせれば、江沢民以下の意思表示は、

「まだまだ手ぬるい」
「もっと思い切りやれ」

 といった、「お前らそれでも改革派か」といった感想だったのではないかと思います。それでも野次馬の私からみると、改革派の前途が開けてきたという印象がありました。

 NHKの松平さん風に言うとすれば、「その時,歴史は動いた」のその時まであと79日、ということになります(笑)。


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 何の根拠もない感覚なのですが、中国社会が何やら劇的な段階に入りつつあるようなゾクゾク感というか戦慄のようなものを感じつつ,最近は日課の記事集めをしております。……改めて申し上げますが、私が単にそう感じているだけで、何の根拠もありません。

 それを承知の上でいうとすれば、1月1日から穀物・穀物製品の輸出関税引き上げを中国政府が実施したあたりから、何やら流れが変わったように感じられます。



 いやー物価高で悩める中国がとうとう「なりふり構わぬモード」に入りましたね。価格統制令など行政の干与による押さえ込みがそれです。自称市場経済による調節メカニズムや金融政策をいじくったくらいでは実効らしいものが一向に現れず、一方で物価問題が半端じゃない深刻な状況に至りつつインフレ懸念が高まってきたということで毎度お決まりのパワーブレー突入です。ある意味、激変。

 どういうことかといえば、もし20年前の「改革派 vs 保守派」といったころ、つまり権力闘争が現在のような利権ではなく経済政策面で行われていた時代なら温家宝・首相は失脚していたかも知れません。失脚まではなくても任期満了となる3月の全人代で首相解任。解任されずに首相再任となっても巻き返せない限りマリオネット状態。この2008年1月の時点で経済運営の主導権を保守派に奪われて干されていたことでしょう。




 と前回の冒頭に書きましたけど、むろんこれには前例があって、例えば1988年秋の趙紫陽(当時総書記)や1992年春の李鵬(当時首相)などは「干された」状態になっています。ちなみにいうと、趙紫陽が干されて、保守派が政策運営の主導権を握ったことで危惧した改革派の官僚や知識人があれこれ動いたことが、翌1989年に天安門事件で終息する民主化運動の重要な伏線となりました。

 もっとも現在は経済政策をめぐる「改革派 vs 保守派」といった権力闘争の時期ではありませんから温家宝が直ちにどうなるということはないでしょうし、その気配めいたものも目下のところありません(保身感覚に富んだ温家宝としてはババを引くのが明らかな今後5年の首相を務めることは避けたいところでしょうが)。

 あるとすれば3月に開催される全人代(全国人民代表大会=なんちゃって国会)で行われる首相による「政府活動報告」において経済の現状をどう表現するか、「通貨膨張」(インフレ)という言葉をありのままに危機感を伴う形で織り込むのか、あるいは織り込まず別の表現で済ませるのか、といったあたりで経済官僚が揉めているかも知れない、といったところでしょう。

 ただ党上層部において現状を「失政」と認識する動きが広まれば、胡錦涛・総書記の指導力が未だ盤石ではないだけに(ええ、盤石ではないのです)政情がやや不安定になるかも知れません。物価高だけでなく不安定な株価とか農村と都市の格差とか業種間格差とか、また金融引き締めが奏功していないとか地方の固定資産投資が減速していないということが槍玉に挙げられるのではないかと思います。

 ――――

 とりあえず経済の流れは変わったということができるでしょう。上述したように行政の干与による押さえ込みという「なりふり構わぬモード」に入ったことで、やや極端にいえば戒厳令状態ということになります。そこへ来て世界同時株安。

 中国の場合(A株)は単純にそのあおりを受けたという訳ではないようですが、ともかくこの2日間はドカンドカンと大幅に続落して、昨年10月には6000台をめぐって推移する動きを示したこともある上海株価指数は、昨日(1月22日)には4559.75にまで落ち込みました。単純に時価総額でいうと、上海市場は昨日だけで1.8兆元がパッと消えてしまったことになります。

 以前のエントリーでふれましたが、中国において株価暴落は経済問題ではなく都市部における社会問題。暴落して経済がどうなる、というよりも、暴落で投機狙いの個人投資家が逆ギレして騒ぐことの方が当局にとっては怖いのです。

 「リスクは自分持ち」という観念が欠落している(自分だけは大丈夫と信じている)傾きがあるこの連中がいまなお増殖中。物価上昇幅より銀行の利息が低いため預金を取り崩して財テクに走るという流れが止まっていません。過去にも暴落でデモが発生したり、ネット上の掲示板で素敵に反革命なスレッドが立ったりしています。

 ●怖いのは暴落ではなく逆ギレ。(2007/11/10)
 ●温家宝、とりあえず農村視察で「庶民派」を再演出しておけ。(2007/11/25)

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 そういう状態のところに、まあ泣きっ面に蜂とでもいいましょうか、常ならぬ大雪で華中・西南地区が影響を受けているようです。簡単にいうと、中国を東部・中部・西部と分けたうちの中部地区、河南省や湖北省や湖南省あたりがこの大雪で電力消費量が激増して大変なことになっている模様。



 ●オリンピックなんか110年早い? (クマゼミ) 2008/01/22/20:43:35

 只今中国の湖北省の大都市で大規模停電中。大雪降雪中の停電!就業者数を自画自賛している場合ではないのではないの?




 というコメントを昨日頂きました。「クマゼミ」さんが現地ご在住なのかどうかはわかりませんが、今朝(2008/01/23)の香港紙の報道によるとシャレにならない状況のようです。

 湖北省・武漢市は人口800万という華中地区最大の都市で、ちょっと前にその武漢あたりの長江が低水位で大変、ということを当ブログでも紹介しましたけど、今度は大雪。現地の交通に深刻な影響が出ているようです。

 そして電力問題。寒い寒いということで武漢市の電力消費量が1日当たり461万KWに達し、2006年夏に達成した最高記録に迫る勢いだとか。発電用の石炭備蓄量は通常の半分である7日分しか残っておらず、地元当局は1月中旬から企業など大口利用者に対する電力供給制限措置に踏み切っていたのですが、それでも全市の需要に照らせば60万KW足りないということで、とうとう1月22日から一般世帯も対象とする大規模停電を断行する破目となりました。

 この停電措置、市内をいくつかに区分けして、毎日1~3地区を代わりばんこに電力供給を止めるというものです。住宅地の場合は1日2時間以内とのことですが、企業に対しては8時~21時を停電とする、とバッサリ。工場はともかく、ショッピングセンターなどもこの範疇に含まれているようですから、市民生活に影響が出るのではないでしょうか。旧正月期間中(2月7日~)もこの状況は改善されない見通しだそうです。

 地元当局によると、冬場の電力制限は2005年に一度行われたことがあるものの、今回のような大規模な措置は前例がないとのこと。同じような措置は湖南省、四川省、江西省、重慶市など各地で実施されている模様です。……というのはあくまでも中国国内メディアによる報道に準じていますので、実情はどうなっているのか、どういう影響が出ているのかなど具体的なことはよくわかりません。皆さんの現地報告をお待ちしております。m(__)m

 ●『明報』(2008/01/23)
 http://hk.news.yahoo.com/080122/12/2nlqn.html

 ――――

 ところで、こうした常ならぬ大雪や雨の影響によって農産物価格にも影響が出始めているようです。香港の親中紙『香港文匯報』が報じたところによると、農産物価格,特に野菜などが急騰しているとのこと。

 商務部が22日に明らかにしたところによると、全国の食用農産物卸売市場価格は1月14~20日の一週間で前週に比べ1.2%上昇しており、これは昨年12月初めより4.7%高、昨年7月初めに比べると12.2%高にもなるそうです。商務部がチェックしている主要産品58品目のうち、前週より値上がりとなったのは51品目に及ぶとのこと。以下はいずれも前週比の値上がり幅です。

 ●野菜類 5.1%
 ●豚肉  0.5%
 ●牛肉  2.0%
 ●羊肉  0.4%
 ●大豆油 1.1%
 ●菜種油 0.9%
 ●コメ  0.2%
 ●小麦粉 0.3%

 ●『香港文匯報』(2008/01/23)
 http://paper.wenweipo.com/2008/01/23/CH0801230006.htm

 関係筋によると、こうした値上がりは天候の回復につれて落ち着く見通しとのこと。ただし消費の高まる旧正月に備え、商務部は備蓄肉類の投入を決めたほか、各油脂メーカーに供給量を増やすよう指導する一方、地方当局に対しても備蓄品の投入を呼びかけているそうです。

 ともあれこうした物価高の影響で深セン市の食品価格が急騰しているとか、珠海市在住の香港人によるとスーパーは「香港より高い」とか、また豚肉が高騰を続けることを受けて子豚泥棒が横行し、これに備えて豚小屋で寝る養豚業者が出るなど前代未聞の状況が現出しています。




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