(「上」の続き)
そして今回の東アジア選手権。中国チームは初戦で韓国に敗れていますが、これで「フル代表は過去30年間、韓国に勝てないまま」という不名誉な新記録を樹立してしまい、「球迷」(ファン)もメディアも意気消沈していました。
続いて迎えた日本戦。飛車角落ちに加えて金銀も落としたかのようなハンディ十分な日本代表に対し、審判が露骨に味方してさえくれたのに、中国はまるで歯が立ちませんでした。それをまざまざと実見してしまったのですから、ファンもメディアもそりゃ情けなくなることでしょう。
ついでにいえばこの敗戦で、「フル代表は過去10年間、日本に勝てないまま」という記録も達成されてしまいました。フルボッコであります。今回の日中戦を報じた中国国内メディアの大多数がこのことに言及しています。ネット世論も憤っています。
「おれはおれの親父を中国代表監督に就任させるよう強く求める。どうせ誰が監督でも負けるんだから、外国人に高いカネを払う必要はないじゃないか」
という書き込みが大手ポータル「新浪網」で人気を集めていました。確かに監督だけ補強しても余り意味がありません。
「強い業界(プロ)がその強さを維持するためには、ポテンシャルに富んだ新人の補給源となる層の厚いアマチュアの存在が不可欠」
というのは私の持論なのですが、中国の場合はプロリーグの腐りっぷりが著しいと聞いています。アマチュアの方はどうなのでしょう。今回の試合結果を受けてネット上では監督批判の声もたくさんありましたけど、より重要なのはサッカー強国になるためのシステム、要するにアマチュアを含めた業界の構造、体制の問題ではないかと私には思えます。
腕利きの外国人監督を招聘しても勝てずにまた別の外国人監督を探しに回る、ということを繰り返している中国サッカー界からは、それこそ清朝末期における洋務運動の失敗や、日清戦争における北洋艦隊の生き写し、といった印象を受けます。あれから100年以上を経ているのに、本質は何も変わってはいないのではないかと。
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日本の話もしておきましょう。TBSは「君が代」斉唱時に小細工をしたほか、観客のブーイングや審判の露骨過ぎる中国贔屓について「これがアウェーというものです」といった言葉を繰り返し、まるでそれに言及する回数にノルマが設定されているかのようでした。……途中からは、
「前回とは打って変わって、ブーイングはありません」
「非常に清々しい観戦態度です」
などと言ったりもして、これには醜悪の一言に尽きるとしかいいようがありませんでした。
しかし、余りに度を過ぎていたからなのか、ピッチレポーターは半ばキレていましたし、解説者も呆れたのか途中からアナウンサーに同調しなくなりました。このため、特に後半の中継はまことに香ばしいハーモニーを構成していました(笑)。
私自身は国歌斉唱時のブーイングと露骨過ぎる判定だけは問題だと思っています。日本と第三国の対戦ならともかく、地元中国代表の試合なのですから試合中のブーイングは珍しくもありません。アナウンサーがそこまで強調することが逆に余りにも不自然に感じられました。
ただし行われているのはスポーツなのですから、試合中のブーイングも内容によります。ここで某巨大掲示板で拾った書き込みを紹介しておきましょう。
1-0で日本がもうすぐ逃げ切れるかというときラフプレーで中国観客の興奮と荒れようが最高潮に達したとき、後半42分くらいだろうか、一段とボルテージが上がった観衆の興奮した声援が音声で流れたとき、それが中国応援の定番「加油」(ジャーヨー=がんばれ)ではないことが聞き取れた。
はっきりと大声援はいつもの「加油」のリズムで、「殺狗」(シャーゴー)と叫んでいる。こりゃひどいと思った。「殺狗」の意味するところは「犬(日本人)を殺せ!」だ。スポーツの試合で万を超える大群衆がそう叫んでいる。
すると途端に土井アナウンサーがおかしな説明を始めた。「いまの観客の声援の意味は中国監督の批判だそうです……云々」
ははぁーこれはアナウンサー席には日本語の堪能な中国人が同席してるんだな、とすぐに判った。どんな名目・肩書きで日本向け放送の実況現場にその中国人が居るのか知る由も無いが、どんな目的で居るのかは明らかだ。監視と検閲だ。
そいつが興奮した声援の意味を知られまいと間髪入れずに中国語の意味をすり替えて日本人の実況アナウンサーに伝え解説させたのだ。土井アナウンサーが定期的に言い始めるおかしなマナー賛美解説や、中国への遠慮したもの言い、などすぐ脇に監視官が張り付いている、とすれば腑に落ちる。
中国発の放送はたとえ日本のTV局の生放送だろうがこういう破廉恥なことが平然と行われているのだ。そしてそういう実態は日本のマスコミ自身も隠蔽し、結果、加担しているのだ、ということがはっきりと実感できた実に嫌な一瞬だった。
これ、私も観ていたのですが「殺狗」だとは気付きませんでした。この場面で「加油」とは珍しく健康的だなあとぼんやり思いつつ、アナウンサーの監督批判云々という言葉に「それは違うだろ」と違和感を覚えていたのです。
本当に「殺狗」であれば「豚は腐っても豚」という言葉を改めて持ち出すほかありません。極端に硬直的な教育プログラムも含めて、中国社会の民度の低さが成せる業、と表現する他ないと思います。まあ「豚は腐っても豚」ですし、サッカーではなく「足球」ですし。……要するに「越えられない壁」なのです。
【追記】この「殺狗」はどうやら誤りのようです。正しくは「謝亞龍,下課!」。中国代表の余りの不甲斐なさに憤慨した重慶のサポーターによる、地元出身で中国代表の実質的責任者である中国サッカー協会の謝亞龍・副主席に対する「帰れ」コールだった模様。まあ「君が代」へのブーイング時点で「民度の低さが成せる業」であり、観客はすでに「豚は腐っても豚」状態なのですが、問題のコールが「殺狗」ではないことを強調しておきます。(2008/02/22/04:07)
●『成都商報』(新華網 2008/02/21/08:12)
http://news.xinhuanet.com/sports/2008-02/21/content_7638641.htm
ところで先日のエントリーにて、
ところが今回の東アジア選手権において、日本代表チームは日本サッカー協会の意向によって食品は全て現地調達。飲料水だけは持ち込むことを許されたそうです。
自国の代表チームにコンディション維持のため極力良好な環境を準備するのが協会の仕事だと考えていたのですが、どうやら違うようです。
大会が豚社会で開かれることを承知の上で、しかもその豚社会が4年前のアジア大会でブーイング&プチ騒乱までやらかした反日傾向の強い前科持ちであることも承知の上で、それでも敢えて無策で通したというのは、牟田口廉也とか辻政信の生まれ変わりみたいな人間が協会を仕切っているのでしょうか。
食の安全が保証されていない場所へ送り出して「アウェーに慣れろ」では、ガダルカナルやインパールと同じではありませんか。無茶な部分は大和魂で何とかしろとでも?嗚呼ここにも豚がいたとは……。orz
と私は書きました。ここでいう「豚」とは「人間以下の畜生」という意味です。……で、この畜生が盛んに「日中友好」と唱えていたのを思い出して改めて嫌な気分になったので、日本サッカー協会に電凸してみました(笑)。「御」は私であり「サ」は財団法人日本サッカー協会のなかのひとです。
御「昨日の試合について、川淵キャプテンからコメントは発表されているのでしょうか?」
サ「まだ発表されていません。今後コメントを出すかどうかについても未定です」
御「毒餃子問題などが起きていることもあって、川淵キャプテンは大会前に『日中友好』ということを盛んに強調されていましたが、昨日の試合では中国選手のラフプレー、審判の偏向裁定、君が代斉唱時のブーイングなど『日中友好』とはかけ離れた行為が相次ぎました。これについて協会の見解をお伺いしたいのですが」
サ「いまのところ協会としての見解というものは出しておりません。これについては、こういう電話があったということを報告させては頂きます。その上で考えるということになるので、いまのところは何も申し上げられません」
御「中国といえば食品の安全について日本など海外はもとより中国国内でも問題になっているのですが、そういう環境に水だけを持ち込ませて食事は現地のものを食べろ、というのは日本代表チームをバックアップする姿勢には思えません。食の安全が保証されていない場所へ選手を送り込んで食糧は現地調達、アウェーに慣れろ、という方針は如何なものでしょうか?」
サ「これについても、先ほどと同じように上に報告させては頂きますが、いまのところお答えすることはできません」
御「ところで、こういう電話は結構かかって来ているのでしょうか?」
サ「はい、選手の身体を気遣うといった内容のものが」
いまは「なでしこジャパン」の勝利を祈りつつ、畜生たる糞淵三郎氏のコメントを心待ちにしています。逃げるんじゃねーぞ糞淵。マスコミもしっかり追及するように。甘やかしちゃいけません。
危ないかも知れないモノを食べさせられた上に、光化学スモッグで紫色に霞がかった試合会場で「足球」を見舞われた選手たちが可哀想じゃないですか。