日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 きのう(8月30日)、中国政府つまり北京の中央政府である国務院の大幅な閣僚入れ替えが発表されました。10月15日開幕と決まった党大会を前に行われた世代交代です。

 派閥力学とか汚職絡みで云々、という色彩も多少はあるかも知れません。例えば金人慶・財政部長が「私的な理由による辞表を受理」されて辞任、というのは女性絡みのスキャンダルではないか、いや汚職関連らしい、などという憶測が香港紙に出ています。

 もっとも金人慶は国務院発展研究中心の副主任職へとスライドしており、このポストも一応閣僚待遇(正部長級)ではあります。とはいえ財政部長に比べれば同じ閣僚待遇でも格下ですから、いうなれば降格人事。でも「私的な理由による辞表を受理」しておいて閣僚待遇のポストに残したのですから、金人慶はいずれかの政治勢力から保護されたのかも知れません。

 ――――

 これまで人工衛星設計の主務や有人宇宙船プロジェクトのサブリーダーなどを歴任し中国における宇宙関連事業の若き牽引役として注目されていた張慶偉・中国航天科技集団総経理が国防科工委主任へと昇格したのもトピックです。

 最近、軍内部では「二砲」(戦略ミサイル主管部門)の鼻息が荒いようですし衛星破壊ミサイル実験なども行われています。そんな折も折、国防科工委のトップに衛星事業のホープを持ってくるというのは、やはり何らかの意図を感じさせます。……ええ、ロケットつながり。

 ちなみにこの張慶偉は1961年生まれで当年とって46歳。閣僚級としては初の60年代出身者ということでも注目されています。まあ5年前の党大会でも最年少中央委員として話題になりましたし、指導部のおぼえめでたいテクノクラートといったところでしょう。

 ――――

 私に直接関係しそうなものを強いて挙げるとすれば国家安全部でしょうか(笑)。あり得ない話ではありますが、万に一つ、中国当局が私のこの大毒草ブログをチェックしているとすれば、たぶん中国大使館勤務の「国安」の担当でしょうから。

 留学中に聞いた話ですが、国家安全部の人間は留学生を受け入れている大学など外事関連の部門には必ずひとりはいるそうです。ただしそれが誰なのかは秘されているため周囲にはわからないとのこと。隠密かいっ。こちとら御家人でい。……ってどっちも下級幕臣。orz

 余太はともかく、新たに部長へ就任した耿惠昌は副部長からの昇格で、日本通・米国通として知られているとのこと。耿クンよろしくねーと言ってみるテスト(笑)。

 ――――

 最も注目すべき人事は中央ではなく山西省で行われました。于幼軍・山西省長が辞任したのです。

 山西省といえば、闇レンガ工場での少年工多数を含む強制労働事件。本来、省政府のトップとしてその責を負うべき于幼軍は北京に出向いて状況報告&自己批判したり記者会見を開いて全容解明に全力を挙げると宣言したり人民に謝罪したりで、気がつけば当事者と地元当局の非を鳴らす弾劾者へと変身していました(笑)。

 ●大甘判決が浮き彫りにしたもの。(2007/07/18)

 于幼軍は省長を辞任したものの「他の職に転ずる」との一句がついており、それが中央のポストとの噂が流れていることからすると、これは更迭ではなく昇格人事。栄転です。

 前掲エントリーでもふれましたが、于幼軍は胡錦涛直系の共青団出身人脈、いわゆる「団派」のホープ。それで保護されたという一面もあるでしょう。

 ――――

 もっとも「団派」だから全てが許される、という訳ではありません。2004年秋に四川省で発生した10万人規模の漢源農民暴動、これを当局は武装警察ないし正規軍2個師団を投入して鎮圧したといわれていますが、このとき四川省のトップだった省党書記の張某さん、この人はその後中央に戻されたものの、あてがわれたのは閑職だったと記憶しています。国家指導部入りへの登竜門をパスできなかったのではないかと。

 于幼軍が栄転で中央入りするとすれば、それは「団派」であることに加え、闇レンガ工場事件でみせた鮮やかなダメコン技(笑)が中共の統治者基準に照らせば「お見事」だった、ということでもあるのでしょう。

 ちなみに于幼軍の後を継いで山西省長に就任したのは孟学農・元北京市長。この人も「団派」なんですが星回りが悪く、2003年に北京市長に就任したと思ったら例の中国肺炎(SARS)隠蔽事件で解任。このときは江沢民系の衛生部長がクビを飛ばされていますから、一種のバランス人事ということもあって辞めさせられたのかも知れません。

 ところが雌伏4年にしていきなり省長就任です。北京市長解任に無能属性があったのならこの復活劇はなかったでしょう。共青団人脈すなわち胡錦涛派がじわじわと勢力を広げているのを象徴する人事、ともいえそうです。

 ――――

 いまちょっと忙しくて上っ面をなぞっただけのような内容になってしまい申し訳ありません。一難去ったと思ったら今度は別口から急な仕事が押し寄せてきた上に、こうした数々の人事異動や曹剛川・国防部長の来日などもあって昨日は拾うべき記事が当社比2倍ほどもあり、まだ収集作業も完了していないのです。

 ……あ、他にも物価問題の記事が多いです。それから乱高下しつつも右肩上がり基調である中国の株式市場に証券筋あたりから「そろそろ気をつけろ」警報が一斉に出されています。目を通したい記事が色々あるのですが当分その時間がありません。残念無念であります。

 それにしても閣僚人事というのは日本でいえば内閣改造。非共産党員が閣僚に昇格したことが大きなニュースとしてくどくどしく報道されるお国柄に、日本との距離の大きさというか別世界ぶりをみる思いがします。

 ま、カビ臭い旧世代がいまだに執行部のヒナ壇に並んでいる、なんていう中共もビックリの政党もあったりしますけど。




コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )





 前回の後日談のようなものです。

 中国国内メディアにおいて、日本関連ニュースでひとつの話題についてこれだけたくさんの情報が湧き出てくるのは、たぶん温家宝・首相の訪日以来ではないかと思います。

 ただし今回はネガティブ。「自由と繁栄の弧」という、中国包囲網ともいえそうな外交戦略が本格始動したことで危機感を強めている、ということなのでしょう。

 関連ニュースと評論で私が拾った記事を並べてみます。



 http://news.sina.com.cn/w/2007-08-21/224813713046.shtml
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/22/content_6582496.htm
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-08/22/content_6583971.htm
 http://world.people.com.cn/GB/1029/42354/6160366.html
 http://news.sina.com.cn/w/2007-08-23/112313727460.shtml
 http://news.sina.com.cn/w/2007-08-23/212512438123s.shtml
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-08/23/content_6593054.htm
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/23/content_6588957.htm
 http://news.xinhuanet.com/herald/2007-08/23/content_6589461.htm
 http://news.sina.com.cn/w/2007-08-24/110612443398s.shtml
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-08/24/content_6600231.htm
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-08/24/content_6599957.htm
 http://news.sina.com.cn/w/2007-08-24/234012445014s.shtml
 http://news.xinhuanet.com/mil/2007-08/24/content_6596055.htm
 http://news.sina.com.cn/w/2007-08-24/170713737629.shtml
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/24/content_6594141.htm
 http://news.xinhuanet.com/mrdx/2007-08/24/content_6596513.htm
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/24/content_6595859.htm
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/24/content_6595620.htm
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/24/content_6595510.htm
 http://www.chinamil.com.cn/site1/xwpdxw/2007-08/24/content_929401.htm
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-08/25/content_6602070.htm
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-08/25/content_6603659.htm
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/25/content_6600384.htm
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-08/25/content_6602004.htm
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/25/content_6601447.htm
 http://news.sina.com.cn/pl/2007-08-25/105613742093.shtml
 http://news.xinhuanet.com/mil/2007-08/25/content_6600979.htm
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/26/content_6606072.htm
 http://news.sina.com.cn/pl/2007-08-26/105413746219.shtml
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-08/26/content_6605006.htm
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/27/content_6611312.htm
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/27/content_6609627.htm
 http://news.xinhuanet.com/herald/2007-08/27/content_6610516.htm




 これだけの記事を読まされる身にもなってほしいものです。8割方が論評記事。だから長文。ただただ疲れます。

 大雑把な言い方をしますと、

 ●これは「中国包囲網」だ。警戒すべし。
 ●たぶん「中国包囲網」を狙っているのだろうけど、うまくいく訳がない。
 ●日本はこんな外交戦略が通用すると思っているのだろうか。
 ●こういう牽制策に釣られちゃいけない。
 ●でも実際ASEANとかインドとかとの関係強化に進んでいるし。
 ●あとインドも日本との関係強化には積極的みたいだし。
 ●それに日米豪印で首脳会談やったり軍事演習やったりするみたいだし。

 ……といった内容です。中国指導部が安倍晋三・首相の今回の外遊を非常に嫌がっていることがわかります(笑)。危機感を強めているともいえます。「靖国神社参拝」を公約に掲げた小泉純一郎・前首相よりも、現実的影響のある「自由と繁栄の弧」を掲げ、それを実行に移した安倍政権の方が手強くみえるのかも知れません。

 とはいえ日中関係の薄っぺらい友好ムードを壊したくないため真っ向から安倍批判をせず、「自由と繁栄の弧」政策批判に重点が置かれている、とは前回指摘した通りです。

 ただ、理由はそれだけではないように思います。これまた前回と多少重複しますが、「自由と繁栄の弧」政策は安倍政権の公約という以前に、日米安保の公約なのです。「共通戦略目標」に明記されていますから。また同じリンクを引っ張りだしておきますね。
 
 ●言葉にならない?――中国、日米「2+2」に無反応。(2007/05/05)【※注】

 日米両国の掲げた安全保障上の公約であり、それに豪州も絡んできているところが中国がチクチクと痛みを感じる真の理由ではないかと。公約に掲げただけなら多寡をくくっていられますし、日本単独の戦略であれば嘲笑する余裕もあるのでしょうが、その背後に米国があり、豪州の影もチラつく。これは中国にとって穏やかではありません。

 この「2+2」の「共通戦略目標」では日本とNATOの協力関係をより広く深いものにしようともうたわれています。この公約が実行に移されたとき、中国はどんな反応をみせるのか楽しみです。

 ともあれ今回の安倍首相による外遊は、日本の外交戦略だけではなく日米安保の公約を本格始動させた,という点が中国を戦慄させているのだと思います。

 ――――

 ところで安倍内閣改造のニュースは中国でも速報されています。如何せん論評記事が未だ十分に出揃っていないので「速報した」としかいえませんけど、日本の内閣改造に中国がかくも高い関心を示すのも珍しいことです。

 今朝の香港紙(2007/08/28)にざっと目を通してみましたが、「小泉時代の閣僚が復活した」「新味に欠ける」といった反応が中心でした。麻生幹事長、町村外相、高村防衛相に注目が集まっていたのはお約束です。

 町村外相が今回はどういう姿勢で臨むかによりますが、安倍首相-麻生幹事長ということでこれまでの基本路線、特に対中関係を含めた外交戦略に変化はないとみていいでしょう。「自由と繁栄の弧」路線を継続する訳です。まあ安倍政権というより日米安保での合意事項ですから当然ではありますけど。

 以前、当ブログでは「小泉首相&安倍幹事長&麻生外相」を「超攻撃的3トップ」と表現したことがありますが、今回はそれに及ばずとも、「ツートップにトップ下1枚」という前がかりな攻撃的布陣といえるのではないかと思います。誰がどのポジションに就くのかはこれからのお楽しみです。

 日中関係でいえば、小泉前首相がぶっ壊して構造改革に道をつけたのを継承し、より実務的に新しい日中関係の構築へと進んでいくことになります。「靖国神社」というキーワードで括られがちな小泉政権の対中路線でしたが、そういう象徴的なイベントを以て、

「日本には日本の価値観がある」
「譲れないものは譲れない」

 というメッセージを発した、つまり対中関係の構造改革の端緒を開いたのが小泉政権だったと私は考えています。安倍政権はこの路線に沿いつつ、「日米安保の公約」をサクサクと実務化していってほしいものです。


 ――――


 【※注】ちょっとだけ自慢させて下さい。私はコソーリ活動で前掲エントリー(言葉にならない?――中国、日米「2+2」に無反応。)の濃縮版を某地の新聞に発表したところ、香港の掲示板に転載される一方、台湾独立支持者のブログ複数で好意的に紹介され、「この人は中共が最も目にしたくない文章を書いた」という褒め言葉まで頂戴しました(笑)。そしてしばらくしたら何と中国国内の掲示板にも転載されて今度は脊髄反射の嵐(笑)。いやーコソーリ活動にはこういう楽しさがあるのでやめられません。




コメント ( 17 ) | Trackback ( 0 )





 中国の空母建造についてのエントリーが続きましたが、前回も引用した『参考消息』の記事、

「北京五輪閉幕後に2隻着工の予定」

 というものですが、想像図つきで掲載されていたのを発見。これは『参考消息』からの転載ではなく、元ネタであるカナダの軍事専門誌『漢和防務評論』から直接引っ張ってきたようです。

 ●「千龍網」(2007/08/20/14:16)
 http://mil.news.mop.com/jq/gn/p/2007/0820/141652257.shtml

 想像図がイイです。スキージャンプ方式は採らずに、米国同様カタパルトを装備する模様です。おおお。その向こうにはイージス艦とおぼしき艦艇が。空母の舷側に記されている「81」は人民解放軍の誕生日たる「八一建軍節」にかけたものと思われます。心憎いです。……まあこれ脳内妄想的なイラストなんでしょうけど。

 よく糞青(自称愛国者の反日信者)どもの集まる掲示板で、米空母の写真を加工して国旗を五星紅旗(中国国旗)にコラした画像などを目にしますが、これもまあ似たようなものでしょう。

 ――――

 さて今回は引用が多くなりそうですけど諒とされたし。

 インドを訪問した安倍晋三・首相がパール判事の長男と対面しました。首相の意向によるものだったそうです。まずは日本の主要各紙の報道をば。



 ●訪印の首相、東京裁判・パル判事の長男と面談(読売新聞 2007/08/23/21:47)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070823ia21.htm

 【コルカタ(インド東部)=中沢謙介】安倍首相は23日午前(日本時間23日午後)、日本の首相として初めてコルカタを公式訪問し、同市内のホテルで、第二次大戦後の極東国際軍事裁判(東京裁判)のインド代表判事を務めたパル判事の長男、プロシャント・パルさん(81)と面会した。

 首相は「お父様は、今も多くの日本人の尊敬を集めている」と述べ、判事団でただ一人、被告全員の無罪を主張したパル判事への敬意を伝えた。

 同判事は東京裁判後も3度来日し、亡くなる前年の1966年にはパルさんも同行、首相の祖父、岸信介元首相と親交を深めた。パルさんはその時の写真を首相にプレゼントし、「首相も岸さん同様、日印関係発展に尽くされると確信する」と感慨深げに語った。

 首相はこの後、同市内で、戦前に日本政府も支援したインド独立運動の英雄、チャンドラ・ボースの記念館を訪れ、両国関係に思いをはせた。





 ●安倍首相、パール判事長男と面会 「日印関係基礎築く」(Sankeiweb 2007/08/23 21:42)
 http://www.sankei.co.jp/seiji/shusho/070823/shs070823000.htm

 【コルカタ=杉本康士】インド訪問中の安倍晋三首相は23日午前(日本時間同日午後)、コルカタ市内のホテルで、極東国際軍事裁判(東京裁判)で判事を務めた故パール判事の長男、プロシャント・パール氏と面会し、東京裁判で被告全員の無罪を主張したパール判事の業績をたたえた。

 パール判事は東京裁判に対する意見書で、戦勝国が事後法により敗戦国を裁くことに疑問を提起し、原爆投下を批判した人物。首相は冒頭、「お父さまは今でも多くの日本人の尊敬を集めている。日印関係の基礎を築かれた一人だ。パール判事のご遺志は日印関係を発展させることだったと思う。今日、日印関係は大変強化されている」と語りかけた。
(中略)

 安倍首相は、東京裁判で有罪判決を受けたいわゆる「A級戦犯」について、国会答弁で「国内法的に、戦争犯罪人ではない」と明言している。首相には今回の面会を通じ、A級戦犯の合祀(ごうし)を理由に首相の靖国神社参拝を批判する中国とはまったく異なるインドの対応を際立たせることで、アジアには多様な歴史認識が存在することを浮き彫りにする狙いもあった。

 首相は、先の大戦で日本とともに戦った「インド独立の英雄」であるチャンドラ・ボースの記念館なども視察した。




 ●首相、東京裁判のパル判事の長男と面会(asahi.com 2007/08/23/20:30)
 http://www.asahi.com/politics/update/0823/TKY200708230283.html

 インドを訪問中の安倍首相は23日昼(日本時間同日午後)、極東国際軍事裁判(東京裁判)で連合国側判事を務めたインドの故ラダビノッド・パル判事の長男プロサント・パル氏(81)とコルカタ市内で面会した。首相は「判事は多くの日本人から今も尊敬を集めている。ご遺志は日印関係を発展させることだったと思う」と述べた。

 判事は東条英機元首相ら25人のA級戦犯について、全員の無罪を判事11人の中でただ一人主張した。プロサント氏との面会は首相の強い希望で実現。同行筋によると、東京裁判をめぐるやりとりはなかったという。
(中略)

 東京裁判について、首相は昨年10月の衆院本会議で「我が国は裁判を受諾しており異議を述べる立場にない」と答弁。ただ、かつて裁判のあり方に疑問を唱える立場を取っていたため、今回の面会が注目されていた。

 22日のインド国会での演説では「極東国際軍事裁判で気高い勇気を示されたパル判事は、たくさんの日本人から今も変わらぬ尊敬を集めている」と評価。ただ、日本政府関係者は「判事は戦中の日本軍の行為は厳しく批判している」として、今回の面会が東京裁判に疑念を示したり否定したりすることにつながるものではないと強調している。





 ●安倍首相:インド訪問 祖父をたどる旅 故パール判事長男と懇談(毎日新聞東京朝刊 2007/08/24)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/asia/news/20070824ddm005010042000c.html

 【コルカタ中澤雄大】インド訪問中の安倍晋三首相は23日午前(日本時間同日午後)、コルカタ市内のホテルで極東国際軍事裁判(東京裁判)で判事を務めた故パール氏の長男プロシャント・パール氏(81)と懇談した。

 「日印関係の礎を築いたお父さまは、今でも多くの日本人の尊敬を集めている。ご子息にお目にかかれて感慨深い」。白い民族衣装をまとい、判事の面影を残したプロシャント氏と握手した首相は喜びを表した。

 パール判事は戦勝国が敗戦国の指導者らを裁く東京裁判のあり方を批判し、被告全員の無罪を主張。A級戦犯容疑者だった首相の祖父、岸信介元首相も1966年に判事の3度目の来日を招請し、翌67年に亡くなった判事を弔うためにコルカタを訪ねている。没後40年の節目に祖父の足跡をたどることで、変わらぬ歴史認識など「安倍カラー」を国内の保守支持層向けに打ち出す狙いがあるようだ。




 パル判事なのかパール判事なのか、歴史上の人物なのに表記がまちまちなのが不思議です。それにしてもさすがは朝日、「日本政府関係者」なる人物(誰それ?)を登場させて「いかにも」なコメントを語らせています。まあ、いつものことですから(笑)。

 中国の反応はむろんネガティブ。下記2本の記事が「お手本」のようです。ちなみにタイトルは異なっていますが、この2本の記事の内容は全く同じです。

 ●安倍首相、東京裁判での戦犯無罪論者の遺児と対面(新浪網 2007/08/24/11:06)
 http://news.sina.com.cn/w/2007-08-24/110612443398s.shtml

 ●安倍首相、第二次大戦の親日判事を賞讃(新浪網 2007/08/24/12:27)
 http://news.sina.com.cn/w/2007-08-24/122712443596s.shtml

 経緯については以下のように書かれています。



 1946年1月19日、連合国によって極東国際軍事裁判所が設立され、同時に「極東国際軍事裁判憲章」を発表。同裁判が平和に対する罪、戦争犯罪、人道に対する罪を犯した日本のA級戦犯を裁く権利があるとした。裁判団は米国、中国、英国、ソ連などの11名による判事により構成されており、パール判事は当時まだ英国の植民地だったインドの代表である。

 1948年11月12日、裁判は25名のA級戦犯に対し判決を下した。「戦争狂人」東條英機ら7名が絞首刑となり、16名が無期懲役、2名が有期懲役。判決内容は11名の判事による投票で決定された。パールはこの判決内容に異議を唱えた唯一の判事である。その理由は、第二次大戦が勃発した時点では国際法上には平和に対する罪、人道に対する罪という罪名が存在しておらず、事後法によって犯罪を追及することはできないとし、このため「法理」の面から25名のA級戦犯は全員「無罪」だと主張した。

 パール判事のこの「ロジック」は他の10名の判事の賛同を得られなかった。国際司法界もまた、こうした考え方は国際法における戦争犯罪の発展の経緯と潮流を無視したものだと等しくみなした。




 「戦争狂人」とはすごい表現です。それから「法理」「ロジック」がカッコ付きになっているのは、理屈の内にも入らない、取るに足らないデタラメだ、という気分によるものでしょう。パール氏が判事11名の中で唯一の国際法の専門家であることなんて、もちろん書かれてはいません。要するに選挙での泡沫候補のような、「基地外判事がひとり混じっていた」という扱いです。

 だいたい「中国」って蒋介石の「中華民国」で中共じゃありませんし。……この記事には、

「韓国と日本のメディアはこの行動に懸念を表明」

 とあるのですが、キムチはともかく日本の主要紙の反応は上の通りです。懸念?お約束の「中国の反発は必至だ」すら登場していないんですけど。

 ……まあこの程度なら「はいはいワロスワロス」なんですが、中共党中央機関紙『人民日報』の電子版である「人民網」がトンデモ記事を掲載していました。『人民日報』にも出たかどうかはわかりませんけど。

 ●反対論を無視、安倍首相が第二次大戦の親日インド判事の遺児と対面(人民網 2007/08/23/16:44)
 http://world.people.com.cn/GB/1029/42354/6160366.html

 「英国による植民地統治に反対する過激派で、ガンジーを主とする穏健派と折り合わずにインドを離れ、ナチスドイツに援助を要請、その後日本へ赴いて英軍に抵抗するインド国民軍を結成。天皇を支持した」

 として異物扱いのチャンドラ・ボース記念館を安倍首相が訪問したのと抱き合わせになっている記事です。核心の部分はこちら。



 安倍はまた戦後の極東国際軍事裁判のインド判事パール博士の息子と会見した。パールは同裁判において日本の戦犯を死刑にすることに反対した唯一の判事である。

 安倍は他のアジア諸国の反発を招く可能性に顧慮せず、その遺児と会うことに執着した。安倍の祖父も同裁判において被告となったものの、最終的には戦犯とされなかった。パール博士はそのために重要な役割を担ったという。

 パールの息子によれば、
当時、パールは同裁判の合法性とその審判の規則に疑義を呈する一方、安倍の祖父と交友関係にあることついては隠していたという。



 パール判事と岸信介・元首相がいわゆる東京裁判以前からお友達だった、というのは初耳です。

 そうだったんですか?皆さん御存知でしたか?さもなくば東京裁判にまつわる重大なる新事実発覚ということになるのですが。……そもそもパール判事は「死刑に反対」ではなく、「全員無罪」を主張したのでは?

 ともあれ何といいますか、後半ロスタイム終了直前にゴールキーパーまで攻撃参加するかのような、ものすごいパワープレーです(笑)。

 こういう内容の記事をいやしくも『人民日報』の電子版に出してしまうあたりが中共クオリティ。しかもトップページに並べたメインニュース扱いです。そうでなきゃ私は見落としていましたから。

 ――――

 一方でこの基地外記事、中共のフラストレーションを感じさせるものでもあります。

 これが小泉純一郎氏の首相時代であれば叩きに叩いたことでしょう。ところが安倍首相の訪中を機に日中関係には薄っぺらい融和ムードが流れています。

 胡錦涛政権はこれを維持しないと差し支えることが色々出てくるので安倍首相に対し非難攻勢をかけられません。せいぜい選挙で負けたとか支持率が落ちたとか閣僚の失態とかいうニュースで、

「やばいよタモさん安倍ちゃんピンチだよ」

 といった空気を漂わせるのが精一杯。

 ところが安倍首相は今回の外遊でASEANやインドとの関係強化を打ち出しています。支持率は落ちていても、麻生外相が提唱した「自由と繁栄の弧」という基本外交方針は崩していません。

 重要なのは、これはまた今年5月に外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2+2)を開催した際、「共通戦略目標」に盛り込まれた内容とも一致していることです。

 ●言葉にならない?――中国、日米「2+2」に無反応。(2007/05/05)

 ――――

 胡錦涛政権にしてみれば中国包囲網が形成されていくようにみえる筈です。中国が支配したいASEANへ日本が接近することや、中国のライバルたるインドと親密度を強めることにもイライラでしょう。

 本当なら正面きって全力で「安倍叩き」をしたいところですけど、それができないので「安倍ちゃんピンチ」ニュースや「自由と繁栄の弧」政策批判報道を流したりして我慢するしかありません。ところが今回、「人民網」がちょっと筆を滑らせてしまったようです。

 「安倍首相がパール判事の息子と対面」というのは、胡錦涛政権にとっては「歴史問題」です。日中関係を悪化させない程度で容喙しておかないと、国内の反対勢力に攻撃材料を与えかねないことになります。

 それで前掲の「新浪網」に出た「お手本記事」のようになったのでしょうけど、『人民日報』電子版(人民網)が自らの立場を忘れて?つい突っ走ってしまったように思います。

 「新華網」がこの記事を転載するようになると面白いのですが、転載したら転載したで、一方でかねてから持ち上げている安倍首相夫人に関する好意的なニュースを流してバランスをとったりするのではないかと思います(笑)。

 最後にパール判事が「被告は全員無罪」とする判決を主張した意見書の結語を。



 時が熱狂と偏見とをやわらげた暁には また理性が虚偽からその仮面を剥ぎとった暁には

 その時こそ正義の女神はその秤を平衡に保ちながら

 過去の賞罰の多くに そのところを変えることを要求するであろう




パール判事の日本無罪論 (小学館文庫)
田中 正明
小学館

このアイテムの詳細を見る


首相の靖国神社参拝は当然です!―そこが知りたい19のポイント

明成社

このアイテムの詳細を見る





コメント ( 9 ) | Trackback ( 0 )





 今日も今日とて仕事に追われています。御家人(二四型甲)です。きのう息抜きに散歩した際ふと老舗の呉服店に立ち寄ったら掘り出し物があって喜々として購入。零戦でいえば機体はそのままですが武装のバリエーションが増えたので「甲」をつけておきます。

 仕事は前後半90分が終了して延長戦突入前、つりかけた足をトレーナーにほぐしてもらっているところです。忙しいといっても旧正月手前の年末進行よりは楽ですし、馴れ合いで仕事をしているような取引先なのでそのくらい気を抜くことは許されます(と私は勝手に考えていますw)。

 年末進行は副業が特に苛酷でコラム原稿を落とすと雑誌全体の制作作業に支障をきたすのでマジで必死です。落としても自社広告でカバーしてくれるでしょうけど、正月号という縁起物ですから顔見世興行に穴をあける訳にはいかないのです。

 そういうプレッシャーがない分、また心安い相手でもあるので日本の仕事は忙しくてもまだ楽です。もちろんゲームクリエイターと違って締め切り厳守はお約束。もうすぐマスターアップです。

 李登輝さんのオーラを間近で浴びてから日課になった墨堤散歩、墨堤とはいえ狭義でいうとずっと川下の方ですし、散歩といってもありていはウォーキングもどきで海坊主がヘルシアウォーター片手に必死の形相&汗だくで歩いているのですが、これも当然のように休んでいません。

 歩くと嘘のように体重が落ちていくので、自分はよほど余計なものを体内にため込んでいるのだなと思います。いやこれは死にかけている予兆ではないか、などといったことは考えないようにしています(笑)。一応医者の許可をとって歩いているので大丈夫でしょう。たぶん。

 ――――

 さて、中共系メディアがタイトルの通り空母空母の大連呼と相成りました。きのう(8月21日)のことです。これは人民解放軍の海軍史の転換点ともいえるのではないかと思い、簡単に関連記事だけをピックアップしておきます。

 ●海洋経略の新趨勢に注目し、海軍変革の推進を(新華網 2007/08/21/10:23)
 http://news.xinhuanet.com/mil/2007-08/21/content_6574579.htm

 人民解放軍の機関紙『解放軍報』に掲載された論文ですが、ある意味記念碑的な価値を持つものではないかと思います。

「経済のグローバル化は海洋を世界的な物流・輸送の場としてだけではなく、人類が今後も発展していく上で資源やエネルギーを提供してくれる広闊な領域にした」

 という一節が冒頭にありますが、そういう能書きはともかく、国際社会における「極」のひとつとして覇を称えるには制海権・制空権が必要不可欠、という当たり前のことに中国がようやく気付いた(笑)、あるいは制海権・制空権確保に動けるだけの余裕が生まれたことを示したものとして画期的です。

 むろん似たようなことは以前からたびたび言及されてはいましたが、今回の論文は「制海権・制空権とるぞ宣言」といった色を帯びているところに新しさを感じます。専門家ではなく一般国民に向けて書かれたかのような内容です。そのために噛んで含めるような部分もあり、至れり尽くせりとなっています。

 ――――

 そして航空母艦の話になります。

 短期間に似たような話題の記事を集中豪雨的に流して一種のキャンペーンを張るというのは中共の常套手段。7月には党大会に向けた意思統一・異論排除を目的に胡錦涛礼賛報道が一定期間続けられました。

 今回は空母です。1日だけの大洪水となるのかどうかはわかりませんが、集中豪雨であることは確かです。大雨を降らせているのは国営通信社である新華社(その電子版が新華網)。要するに当局の意思を感じます。ただし使われている記事は全て『北京日報』から引っ張ってきたものです。

 ●航空母艦の道(新華網 2007/08/21/16:52)
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/21/content_6576921.htm

 空母の歴史を紹介する豆知識的な内容です。空母ことはじめ、ということで日本海軍の『鳳翔』も登場しますし、航空主兵を全世界に知らしめた真珠湾攻撃やミッドウェー海戦も出てきます。

「第二次大戦中の改装空母(特設空母)は米軍が122隻、英軍が69隻、日本軍が28隻」

 なんて記述もあります。そのあとは現代の話となり、米海軍の空母戦闘群の編成とか空母の名前などに言及しています。

「大国たるには空母を持たなきゃ」

 と言いたいのかも知れません。

 ――――

 ●米英仏が新空母建設(新華網 2007/08/21/16:51)
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/21/content_6576918.htm

 これは空母のハイテク化が進んでいる、米英仏がその先頭を走っている、という記事です。

「中国もうかうかしちゃいられないよ」

 との読後感を与えるためのものかと思います。文末に「世界各国現役空母一覧表」なるものが付されており、保有国、保有数、排水量、種別(大中小)、搭載機数が並んでいます。米国12隻、ロシア1隻、英国2隻、フランス1隻、ブラジル2隻、イタリア1隻、スペイン1隻、インド1隻、タイ1隻とのこと。

「海洋大国を目指すなら中国も空母を持たなくちゃ」

 と言いたいようです。

 ――――

 ●今後10年で中国周辺海域の空母は18隻に(新華網 2007/08/21/16:45)
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-08/21/content_6576879.htm

 最後はお約束の内容です。

「日本が『準空母』5隻で遠洋艦隊再編を目論んでいる」

「ロシアが6コ空母戦闘群の編成を目指す」

「インドは3コ空母戦闘群編成を計画」

「韓国が軽空母3隻の建造を計画」

「小型だがタイも空母を持っている」

 ということで、「中国も空母を持たないと出し抜かれる」「周辺国の状況から空母は絶対必要」という陰の結論に落ち着きます。

 ――――

 ……とまあ、かような詰め合わせセット。その先触れとして前回紹介した、

 ●中国の空母プロジェクト始動、まずは2隻建造……『漢和』報じる(人民網 2007/08/20/10:04)
 http://military.people.com.cn/GB/8221/72028/76059/76404/6136290.html

 という外電専門紙『参考消息』の非常に具体的な記事があります。同紙が色物系外電紹介路線に転じたのならともかく、私が留学していた当時のように、

「『参考消息』に出たから本物だろう」

 というポジショニングを守っているのなら、

「それじゃパパ空母造っちゃおうかなーそろそろ」

 ということになります。国民に向けたメッセージであることがミソ。きょう(8月22日)以降の関連報道にも注目していきたいところです。

 ――――

 それにしても平和を象徴するスポーツの祭典・オリンピックの北京開催を来年に控えているのに随分剣呑ですね。軍拡路線はともかく、この時期に平気で空母空母と唱える剣呑さは軍部主導であるゆえかと思います。

 いまから建造したって間に合う訳ではありませんけど、台湾問題に対する一種の焦りも反映しているのかも知れません。




コメント ( 22 ) | Trackback ( 0 )





 サッカーの試合で、プレーが止まっている間に選手がタッチラインのところへ走ってきて水分補給をします。いまそんな間合いでこれを書いています。相変わらず忙しいのです。何となくムカついています。香港サイドが制作作業に追われていて日本側との間に立つ私も忙しいというならともかく、今回は私だけ忙しいのが腹立たしいのなんの。

 依頼側も御家人(二四型)の扱いに慣れていて前金で振り込んで来ました。これを突き返すと角が立って後の仕事がやりにくくなるのを見透かしたものと思われます。畜生めい。ちなみに二四型というのは日本の業界からみて私の服装&髪型が1回、重量が3回変化したことを示すものです。……てそんなことはどうでもよろしい。

 ともあれこのニュースに驚かされました。



 ●中国、太平洋の東西分割提案か 米軍は拒否(Sankeiweb 2007/08/20/01:05)
 http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070820/usa070820001.htm

 17日付の米紙ワシントン・タイムズは、キーティング米太平洋軍司令官が最近訪中して中国軍事当局者と会談した際、中国側が、太平洋を東西に分割し東側を米国、西側を中国が管理することを提案したと報じた。米側は拒否したという。提案の詳細には触れていない。

 米太平洋空軍のへスター司令官は「空間を誰にも譲らないのが、われわれの方針だ」と記者団に述べ、西太平洋地域を米軍の影響下に置く必要性を強調した。

 米政府内の親中派の間では提案に前向きな受け止めもあったが、国防当局は西太平洋の覇権を中国に譲り渡す「大きな過ち」だと主張。日本などアジアの同盟国との関係を台無しにしかねないとして断ったという。(共同)




 とりあえず事実確認が必要です。共同電でソースがワシントン・タイムズとありますが、この米紙の記事に当たられた方は御一報下さい。私は英語が不得手でいけません。

 中国国内でもこのニュースは流れていますけど、こちらでは事実無根の嘘っぱち扱い。

 ●「中国が太平洋の東西分割提案」と米国がガセネタをリーク(中国日報環球在線 2007/08/20/16:06)
 http://www.chinadaily.com.cn/hqzg/2007-08/20/content_6034242.htm

 嘘っぱち扱いすることに「必死だなw」と感じられる内容です。余りに必死なので事実っぽく思えてしまうほどです(笑)。

 まあここではとりあえず事実、という仮定のもとに話を進めます。

 前回のコメント欄で「損政好」さんがこの記事について、

「ついに、本音が出たようです」

 と評されていました。正にその通りなんですが、問題は本音の出し方です。まるで19世紀の中国に対する列強諸国のような姿勢ではありませんか。赤色帝国主義、てなところでしょうか。

 私の脳裏にとっさに明滅したのは2005年の「反ファシズム戦争勝利60周年記念式典」何たらの前後に胡錦涛・国家主席が多用していた、

「落伍就要挨打」

 という言葉です。「立ち後れれば喰い物にされる」という意味ですが、裏を返せば「今度はこっちがやる番だ」という時代錯誤的な凄みをきかせた言葉といえるでしょう。

 ちなみに第二次大戦を「反ファシズム戦争」とすることで米英仏蘭露の中国に対するかつての狼藉はチャラにされ、「敵」は日本とドイツに限定されます。そのうちドイツについては「しっかり反省し謝罪した。みそぎは済ませた」というのが中国の姿勢ですから、要するに日本だけが悪者という訳です。

 話が逸れましたがアナクロという点について。時代錯誤的な手法を臆面もなく持ち出すのは一党独裁政権らしい図々しさです。にわか成金っぽいとも思います。しかしその押し出しには実力行使が伴いますから脅威です。しかもタチの悪いことに、日本をはじめ多くの国が共有し得ない価値観を振りかざしています。要するに対話が成立しにくい国が中国です。

 今回のニュースの真偽を措くとしても、例えば東シナ海の資源紛争はどうでしょう。

「なんちゃって対話を続ける一方で行うべき実務をサクサクと進めていく」

 という点において、日本は中国に見事に先んじられています。チェンバレンの真似でもしているのでしょうか?

 ――――

 今回のニュースの真偽を措くとしても、と改めていいます。中国が太平洋進出の野心を隠そうともしなくなったことがここ数年で顕著になっているのは周知の通りです。軍拡路線だけでなく、空母建造を目指す姿勢すら堂々と打ち出しています。

 ●ちょいと外向きになったキナ臭さ――解放軍報八一社説。(2007/08/02)

 やや迂遠な話になりますが、中国に『参考消息』という新聞があります。外電を集めて掲載する内容で、一般的に同紙に掲載された外電の内容は当局のお墨付き(中国当局が暗に記事内容を事実と認めている)、という含みがあります。

 私が上海に留学していた当時は、わざわざホテルまで香港紙を買いに行くような特別な事態(民主化運動勃発とか北京市に戒厳令施行とか天安門事件とか)を別とすれば、この『参考消息』と短波ラジオのNHK、VOA、BBCが日常における有力な情報源で、あとは『人民日報』や『解放日報』の行間を読むしかありませんでした。

 で、これは偶然なのかどうなのか、その『参考消息』が「中国が太平洋分割提案」のニュースが流れたのと同じ8月20日に、中国の航空母艦建造に関するニュースを掲載しているのです。

 ●中国の空母プロジェクト始動、まずは2隻建造……『漢和』報じる(人民網 2007/08/20/10:04)
 http://military.people.com.cn/GB/8221/72028/76059/76404/6136290.html

 『漢和』とは中国の軍事関連情報に詳しいカナダの専門誌『漢和防務評論』で、香港や台湾のメディアが中国の軍事関連ニュースを報じる際に頼りとしている雑誌です。で、『参考消息』によると中国の空母建造計画は北京五輪の終了後に建造が正式にスタートし、この第1期計画で2隻を建造する予定とのこと。ちなみに空母とは呼ばれずに「特種大型軍用船舶」という隠語が使われるそうです。

 北東アジアから東南アジアにかけての覇権を狙っているということでしょうか。むろんそのためには西太平洋における制海権・制空権が必要であり、だから空母、という話になります。

 中国は自国の成り上がりを「和平崛起」(平和的台頭)と称しています。「中共語」における「平和」とは「中共による制圧下での非戦時状態」ということは以前書いた通り。ですから「和平崛起」と称しつつ軍拡路線まっしぐらで自前の空母まで持とう、というのは至極当然のことなのです。

 ●何この団体?中国にやるカネがあるなら中越沖地震の被災者優先だろーが。(2007/07/22)

 ――――

 私にとって当ブログは単なる娯楽です。もとより読者がいることは想定していなかったのですが、妙なことになってしまい、有り難くも皆さんからコメントを頂くまでになってしまいました。そうなると何らかの意味づけが必要かなと思い、「素人による中国観察」が表看板ではありますが、実質的には、

 ●中国・中共政権・中国人に対するより正確な認識を一人でも多くの日本人に持ってもらう。
 ●先人から受け継いだ「日本」を健やかに育て成熟させて次世代にバトンを渡す。
 ●できることなら中共政権崩壊をリアルタイムで眺めてみたい。

 といった内容になっています。『参考消息』を含む今回のニュースに接して、いよいよ来やがったな、と思いつつ、危機感をより強めなければいけないなと考えています。

 日常生活においても警戒感を忘れないことです。コンビニのバイトでも大学の留学生でも中国人多すぎです。油断するなという意味で「中国人を見たら110番」という言葉を改めて掲げておきます。




コメント ( 13 ) | Trackback ( 0 )





 間が空いてしまい申し訳ありません。別に「サカつく3」に没頭していたのではないのです。あれは8月15日までで打ち切り。あのゲーム、以前ハマっていたときにほぼしゃぶりつくした観があるので、再開当初は楽しかったのですが、かつて費消した時間を思うと気が遠くなりそうで結局三日坊主に終わりました。

 ありていにいえばプチ夏休みが終わったということです。終わっただけならともかく、いきなり私個人の仕事が猛然と押しかけてきました。香港や台湾からの話なら断ることもあるのですが、日本側からの、しかも業界内の要請とあらば、香港の業界に戸籍謄本を置いている私としては、今後の円滑な関係構築を考えて承けざるを得ません。

 それにしても締め切り早すぎ(怒)。そんな訳で唐突に多忙です。いまは記事集めが精一杯。当ブログにて構ってやりたいネタがわんさかあるのに、それもままならずフラストレーションがちょっとたまっています。

 ――――

 御存知の方も多いでしょうが告知1件。きょう(日曜日)の夜9時からテレビ朝日系列で、人間魚雷回天と学徒出陣組を描いた映画「出口のない海」が放映されます。御覧になったことのない方は是非是非。

 私の中では評価点の高い作品です。映画版を観てから原作の『出口のない海』を読むとなおよろしいです。

 もちろん原作の方が細かい描き込みがありキャラも立っているのですが、映画は映画で原作にない見所を用意してくれていて、それぞれが単体の物語として成立しているところがすごいです。映画版が原作に引きずられていないのです。脚本の腕なのだろうなあと思います。

 まあベタなストーリーなのかも知れませんけど、「回天」をあそこまで詳細に描いた映画は他にありません。その点だけでも一見の価値ありだと思います。

 ――――

 中国の話も少ししておきますと、まず建設中の橋が落ちて人がたくさん死にましたね。確認されただけで60名を超えている模様です。今年はスマッシュヒットがないなあ、と思っていたら炭鉱事故ではなく橋がポキポキポッキーという意表に出てきました。新垣結衣ちゃん例の踊りをお願いします。恩師に電話したら落ち着いたもので、

「亡くなった人は可哀想ですけど、まあ中国はああいう国ですから」

 とデフォ扱い(笑)。まあ法の前において人はみな平等とはいえど、「身價」(商品価値としての命の値段)には天地の差があります。それまでにかけられたコストがそれぞれ違う訳ですから当然です。初詣の靖国神社に出てくる猿回しで巧緻な芸を見せてくれるニホンザルのADポール君>中国国民3人、てのは確実。

 そしてこの橋ポッキーは明らかに人災なんですよねー。人災というのもデフォ。……とは、想定内の出来事だったのが橋に鉄筋が全く使われていなかったことです。誰だ予算を着服したのは(笑)。おかげで中国全土で橋梁工事にストップがかけられて材質検査、すでに完成している橋でも55トン以上の負荷をかけるなとの緊急通達が発せられました。

 「現場付近ではまだ伝染病の発生などは確認されていない」なんて新華社電も流れていて何やら大変そうです。まあでも伝染病が発生しても隠蔽するでしょうね。そもそも「まだ伝染病の発生などは確認されていない」という記事がわざわざ出てくるところが怪しげです。

 ――――

 それから山東省の炭坑で浸水事故が発生してます。こちらは目下のところ170名以上が行方不明とのことで、レンガ橋ポッキーを超える記録的ヒットになりそうです。大雨による洪水で坑内に大量の浸水が……ということですけど、これも人災ですよ多分。治水を怠っていることと本来機械に任せる作業を人間にやらせているという2点において、人災疑惑が濃厚だと私は思います。

 それにしても今年は大雨・洪水が多くて「百年一遇」(百年に1度)という中国語がタイトルを飾る記事がやたら目につきます。「兩百年一遇」というのも目にしました。やっぱりこれって何かの兆しなんでしょうか。

「ちなみに独裁国家でオリンピックをすると10年以内に国が滅びますが、今回そのジンクスが破られるのかある意味『期待』しています。」

 という「90」さんのコメントに胸は高鳴る一方(笑)。

 ――――

 これに加えて物価上昇。記事集めをしていると毎日これ関連の話題がわんさか出てきます。確か7月の豚肉の小売価格は前年同期比で約45%増とか。これまた近年まれにみるスマッシュヒットです。

 何がすごいかって春先から中国当局が必死になって手当てしている物価上昇抑制策がほとんど機能していないこと。物価上昇については以前紹介したことがありますが、基本的に食品価格が消費者物価指数を押し上げる要因となっており、その中でも卵と豚肉がMVP。

 「秋口には落ち着く」とか言われてもそれって価格が高止まりってことですよね。「冬に入る前に値下がりする」という観測もありましたが、最近では「価格が安定するのは年末」「春節(旧正月)まではこの状況が続く」とか専門家の予測が素敵に悲観的。余談ながら、古馴染みの中国人学生がいまは経済学の専門家になって「新華網」に論文が出ていました。

 経済学者の間では現在の中国経済を「すでに過熱状態」「インフレ懸念強まる」とする観測とその反対意見が出されていて侃々諤々なんですけど、当局の口から「過熱」認定が出ないのも素敵です。それはなぜかって秋に党大会をやるからでしょう。世代交代や大型人事が行われる中共にとって5年に1度の一大イベント。それを控えたこの時期に縁起の悪い言葉はタブーなのです。

 ほら、あれは2003年でしたか毎春恒例の全人代(全国人民代表会議=立法機関)が開催されるために悪いニュースは封殺、てことで中国肺炎(SARS)が北京で流行していることが隠匿されました。あれと同じで如何なる災禍が見舞おうとも党大会が近づけば報道統制モードになることでしょう。まあ災禍ったってどうせ人災だし。

 ――――

 人災といえば、1975年8月8日に河南省でもんのすごーい大洪水が起きたことを御存知の方はいますか?

 私は香港紙『蘋果日報』のコラムで知ったのですが、専門家が反対するのを押し切って毛沢東が強行した治水策が裏目に出て、大型台風の襲来に伴う大雨であるダムが決壊し、ドミノ倒しのように周辺数十カ所のダムも決壊。

 結局29市・県を呑み込む大洪水となり、死者は23万人にのぼったとの調査結果が1980年代に中国国内の専門家によって出されています。23万人ですよ。

 その8月8日が北京五輪開会式の日だということをコラム子は皮肉っていたのですが、死者23万人ですか。むう。

 ――――

 胡錦涛は「以人為本」(人民本位の政治)などと言っていますけど、本当は「本」とは本位ではなく「成本」(コスト)のことで、民草の生命は資材代わりにどんどん投入するべし、という意味ではないかと思ってしまいます。

 いや、だって実際、中共にはお得意の「人海戦術」があるじゃないですか。前に日本の土建会社が珠江へ売春慰安旅行をした際、地元の業者は売女200余名をたちどころに揃えてみせたでしょ?毛沢東以来の伝統はいまだに健在なのです。




コメント ( 15 ) | Trackback ( 0 )





 予定通り、午前中に靖国神社へ行き参拝してきました。

 暑かったです。もうただただその一言のみ。暑い。暑すぎ。

 自分にも責任があります。7時半から8時くらいに参拝するつもりだったのですが、その前にひとつ片付けておかねばならない仕事がありまして。……5時に起きて取っ組み合っていたのですが予想外に時間がかかってしまい、考えていたより1時間半ほど遅れてしまいました。

 そのために現地に着いてみると朝の気配などカケラすら残っておらず、待っていたのは猛暑と蝉時雨と物々しい警備。参道の両端には観光バスがズラリと並び、その先には毎年恒例の記念式典のために大きなテントが設置されていて、隅っこを伝い歩くようにして二の鳥居にたどり着きました。

 参道を風が抜けているときはそれほど暑さを感じずに済みますけど、あいにく今日はほぼ無風状態、というより湿度も高いのか蒸し風呂同然でした。あちこちに疾患を抱えていて副作用で薬太りしている私はもう汗ダラダラです。

 ……あ、でも上背はある方なのでハンプティ・ダンプティのような丸っこい体型ではありません。それから川べりの散歩が日課となったこの2カ月で10kg近く体重を減らしましたし。ああ、歩いて汗を出す癖が身体についてしまったのかも知れませんね。

 ――――

 閑話休題。二の鳥居から先はいつも通り静かに参拝することができました。団体客が多いため賑わってはいましたけど、初詣のときのように参拝するために行列することはありませんでした。

 普段と同じように我流の所作で参拝を済ませると、予定通りに遊就館直行。館内は冷房が効いています。売店などをうろついて汗を退治してから、カブリモノを先日ゲットした超レアアイテムにスイッチ。喫茶室モードで零戦&海軍カレー&海軍コーヒーと相成りました。

 この喫茶室、平素なら団体客が多くてもみんな2階の展示スペース(有料)に回るので意外に空いているものなのですが、きょうは個人の参拝客も多いため大にぎわい。いつもの席で海軍カレーに舌鼓を打っているうちに老夫婦と相席になりました。……前回



 どうも私は、8月15日の靖国神社参拝に際してお婆さんと縁があるようです。今年もそうなるのでしょうか?



 と書きましたが、このジンクス?が今年も現実のものとなりました。ただし今回はお婆さんだけでなくお爺さんが一緒で、主役はむしろこのお爺さん。

 私は相席となると澄ましていられないタチですから、

「暑いですねえ」

 とまず一言。お爺さんがそれに応じていやあ暑いですね、本当に暑い……などと話しているうちに、身内に戦没者がいるのかという意味のことを尋ねられたので、前回書いたような内容を手短に話すと、お爺さんはお婆さんともども大きく頷いてくれました。

「月に2~3回はここに来ます。私は小さい頃から零戦が好きで。……ほら、これも」

 と、私が喫茶室モードである自分の頭をポンポンと叩いてから調理場の方を指差すと、お爺さんもお婆さんも笑顔になりました。

 で、受けたボールをお爺さんに投げ返してみると、何とお爺さん自身が戦時中は日本海軍に在籍していて、今日は戦友に会いに来たのだと言うのです。

「私は海軍ではフネに乗っていましてね」

 と、お爺さん。当年とって87歳とのことでしたが、背筋はピンと伸びているし杖なしで普通に歩けますし悠々とタバコをくゆらせているあたり、とてもそんな高齢には見えませんでした。

「フネといいますと?」

「巡洋艦です。『高雄』というフネです」

「あっあの重巡の?……ではレイテ沖海戦で潜水艦の魚雷を喰らって」

「おや、よく御存知ですね」

 お爺さんの表情がパッと明るくなりました。

 ――――

「確かパラワン水道でしたね?そのあとシンガポールに戻って」

「あなた、お詳しいですな」

 お爺さんは嬉しそうです。……いや、私は軍ヲタではありません。その道に危うく進みかけた小学生のころに仕入れた知識をたまたま記憶していただけです。

「あのときは、仕方がないので駆逐艦をイッパイつけてもらって、シンガポールに行ったのです。浮きドックで修理しようと」

「あ、イギリス軍が残していったあれですか」

「そうです。ところがB29の空襲で浮きドックが壊れてしまいまして、そのまま戦争が終わるまでシンガポールでした」

 お爺さんがだんだんノッてきました。

「確かあのとき、雷撃したアメリカ軍の潜水艦が戻る『高雄』を追跡していて、途中で暗礁にひっかかって自沈したんですよね」

「お、そんなことまで御存知でしたか。そうです。イッパイだけでしたが」

 ああ、確かに往時の海軍さんだ、と私は内心感動していました。駆逐艦がイッパイ、潜水艦がイッパイ。……「イッパイ」というのは1隻のことなのです。

 ――――

 それからは合間合間に質問をはさみつつ、私はお爺さんの話を傾聴しました。

 お爺さんは航空科の整備兵で、昭和17年、横須賀航空隊でのんびり日を送っていることに退屈してきたとき、ちょうど「高雄の手が足りないから希望者は申告しろ」と上官に言われ、台湾の高雄ならバナナをたらふく食べられるからここより面白いだろう、と思って戦友と願い出て転出したところ、台湾ではなく重巡「高雄」だったこと。

 「高雄」は下駄履き(フロートのついた水上機)の偵察機と弾着観測機を搭載していたこと。

 レイテ沖海戦のときは飛行機が足りなくて、戦艦や巡洋艦の多くは搭載機なしで、搭載していた艦もカタパルトで射出したら陸上基地に向かわせたこと。

 整備兵だったので戦闘中は特に配置もなく手持ち無沙汰だったこと。

 ソロモン諸島の攻防戦当時、内南洋における海軍の一大拠点・トラック島に進出し、陸兵などを満載した重巡戦隊の1隻としてラバウルに向かったこと。

 ところがラバウル入港後間もなく、待ち伏せていた米機動部隊による250機の大空襲に遭遇。「高雄」も二番砲塔の横に被弾して、たまたま二番砲塔がなぜか砲塔出入口を開けたままだったため装薬に引火して誘爆し、二番砲塔配置の砲員が全滅したこと。

 空襲のときは「高雄」から撃ち出される対空砲火が隅田川の花火のようだったこと。

 終戦時は一等兵曹だったこと。

 ……お爺さんの話は尽きませんでした。話題が幸い守備範囲の中で私も適確に相槌を打つことができたので、お爺さんにしてみれば恰好の聞き役だったのかも知れません。身振り手振りを交えつつ、私にのしかからんばかりの勢いで当時の色々なことを話してくれました。

「あの本を持ってくれば良かったですね。1冊差し上げられたのに」

 と、婦人というより姐御といった雰囲気を残すお婆さんが口をはさみました。驚いてお爺さんに尋ねると、自費出版で以前、戦争体験記を出したのだそうです。

 お爺さんとお婆さんは東京在住で、毎年この日には靖国神社に来ているとのことでした。

「いままではね、境内をうろうろしていると海兵団の同期の連中と二人か三人くらいは顔を合わせたもんです。でももうこの歳ですから、最近はなかなか。……戦友会も解散してしまいましたし」

 先刻までの熱弁とは打って変わって、そう話したときだけお爺さんはちょっと淋しそうな顔をみせました。

 ――――

 話が一段落したとき、お爺さんが、

「おい、あれを」

 と言ってお婆さんにバッグから携帯電話を取り出させました。

「これ、みて下さい」

 と携帯電話を受け取ったお爺さんがニコニコしながらストラップを私に示すのです。先端が楕円形のフォトフレームのようになっていました。たぶん戦友との記念写真から自分のところだけを切り抜いたのでしょう、その細長い枠の中には若かりしころのお爺さんが水兵服姿で収まっていたのです。

「これは、一等水兵のころでした。いや、兵長だったかな」

 と話すお爺さんにどこか無邪気で誇らしげな色を感じて、そのとき私は、

「1945年夏、それでも青春だった」

 という、特攻兵器「回天」と学徒出陣組を描いた映画「出口のない海」のキャッチフレーズを思い出していました。

 それから、先月亡くなったばかりの、私に「昔話」や「娘時代の話」を聞かせてくれたお婆さんのことを。



 そのうちに、

「今でも8月15日にはね、靖国神社に昔の格好(軍服)をしてお参りに来てくれる若い人たちがいるんですよ」

 と言うのです。生き残ったお年寄りが軍服姿で整列する映像はニュースで流れたりします。その人たち全て、とは言いませんが、中には戦死していまなお若い姿のままの戦友に会いに来るために、当時と同じ軍服姿で向き合うのが自然であり、礼儀でもあると考えている人は少なくないでしょう。

 ただ若い人のそれはただのコスプレじゃないかと私は思っていたのですが、お婆さんのような捉え方もあるようです。

 ●見せてあげたかった。(2006/10/24)



 あのお婆さんにも「それでも青春だった」という気持ちがあったのかも知れません。あのときお婆さんは、

「ようやく8月15日に小泉さんが来てくれましたね。ありがたいことだなあ、と思いましたよ」

 とも言っていました。甲斐があった、という思いもどこかにあったことでしょう。

 ――――

 以下は帰途、蒸れるような暑さと蝉時雨に包まれた参道を歩きながら考えたことです。

 あの苛酷な時代に青春期を送り散華した人たち、また幸運にも生き延びて「それでも青春だった」と振り返る人たちの多くにとって、靖国神社は「約束の場所」です。これについては、現代の価値観で云々すべきものではないでしょう。外国からの容喙に至っては論外です。

 その靖国神社に総理大臣が参拝することで、せめて日本の最も困難な時代(戦争~敗戦~復興)を背負う破目になった世代の青春に花を手向けてもいいのではないでしょうか。

 国民を代表して感謝と敬意を表することで、日本のために尽くしてくれた先人たちに少しでも報いるのです。

 恥じる必要もためらう必要も何らないでしょう。日本には日本の歴史観がある筈です。また現代の感覚からすれば違和感があっても、当時は当時なりの価値観があり、その時代の人々は好むと好まざるとにかかわらず、それを当然のものとして受け入れざるを得なかったのですから。

 重巡「高雄」乗組だったお爺さんは、わざわざ携帯ストラップまで見せてくれたほどですから、私との会話が楽しい思い出となるかどうかはともかく、決して不快な出来事ではなかったと思います。

 私にとっても、お爺さんとの出会いは間違いなく貴重な記憶として残るでしょう。……ただそれと同時に、拭いきれないやるせなさのようなものを、改めて胸の中に抱え込んでしまったような思いが、いま私の中にあるのです。




コメント ( 10 ) | Trackback ( 0 )






 よく晴れた空の下、まだ朝の気配を残す静かな参道を、蝉時雨を浴びつつ歩くというのはいいものです。

 都心でありながら近くに高層ビルが少ないこともあって、靖国神社から見上げる空は意外に広くて大きくて、青空がまたよく似合う場所でもあります。

 今年も好天であれかし、と願っています。



 と書いてから1年が経ちました。一昨年がそういう清々しい空気に包まれていたのです。参拝の後に立ち寄った喫茶店では先日亡くなられたお婆さんと縁を結ぶことができました。

 昨年は悪天候のうえ小泉純一郎・首相(当時)の参拝に出くわしてしまったため散々でしたけど、今度は栃木県から朝一番で上京してきたというお婆さんと一緒になりました。

 どうも私は、8月15日の靖国神社参拝に際してお婆さんと縁があるようです。今年もそうなるのでしょうか?とりあえず暑さで熱中症になるのを案じて参拝を断念した恩師から「私の分もお祈りしてきて下さい」と頼まれています。

 8月10日に閉店した馴染みの床屋で常に私の担当だった「尊攘さん」も行くそうですから、会うことができたらいいな、と楽しみにしています。

 今年は天気に恵まれそうですね。報道陣は肩透かしの気分かも知れませんけど、あの清々しく爽やかな雰囲気のなか参拝できると思うと、何だか遠足前夜のような気持ちです。

 私は午前の早い時間に参拝を済ませて、例によって零戦&海軍コーヒーを楽しんでから帰ろうと考えています。

 ――――

 日本の近代化に尽くした人たち、その過程で戦没した人たち、そして大東亜戦争で心ならずも戦死された人たちや戦争に巻き込まれて亡くなられた民間人の人たち、そして戦争を生き抜き戦後の復興に尽力された人たち。……いまなお健在の人たちも含めて、いまの日本を私たちに遺してくれた先人たち全てに心から、

「ありがとうございました。本当にありがとうございました」

 と感謝と敬意を表したいと思います。皆さんのおかげで現在の日本があり、繁栄を享受している自分がいます。

「それは違う」

 という声が挙がることでしょうけど、私にとっての靖国神社は「みたま」だけに祈りを捧げるだけでなく、そういう場所なのです。

「ありがとうございました。本当にありがとうございました」

 と祈念する一方で、先人の方々からバトンを渡された私たちはどうあるべきか、ということにも思いを馳せたいと考えています。私にとっての靖国神社は、自分が日本人であることを再確認し、そのことに向き合う場でもあるのです。

 8月15日だけでなく、毎回足を運ぶたびに祈り,思いをこらすのです。日本人の生活とは切り離せない、春夏秋冬を身体いっぱいに浴びながら。

 ――――

 心に沁み入る絵本『お父さんへの千羽鶴』の「あとがき」に、次のような一節があります。



 折り鶴を集めて作る千羽鶴は、仕上げるまでに大変な手間と時間がかかりますが、それでも作り上げる根気というのは、願いや思いの強さによるものです。

 あの人の病気が治りますように。
 あの人が無事でいますように。
 あの人の願いが叶いますように。
 あの人が安らかに眠りますように。

 そんな祈りの込められた千羽鶴は、自分のためではなく、他人への祈りから作られます。

 その祈りの対象は、今生きている愛する人から、会ったことのない故人まで、実に様々ですが、いずれの千羽鶴も、自分の時間、つまり寿命の一部を割いて,私心なく他人の幸せを祈って作られるものなのです。




 私もまた、千羽鶴を折るような心持ちで、普段と同じように、明日、靖国神社に行こうと思います。


 ――――


お父さんへの千羽鶴
ときた ひろし
展転社

このアイテムの詳細を見る



ピアノは知っている―月光の夏
毛利 恒之,山本 静護
自由國民社

このアイテムの詳細を見る



月光の夏

ポニーキャニオン

このアイテムの詳細を見る



出口のない海

ポニーキャニオン

このアイテムの詳細を見る



出口のない海 (講談社文庫)
横山 秀夫
講談社

このアイテムの詳細を見る





コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )





 暑中お見舞い申し上げます。m(__)m

 以前当ブログにも登場したことのある配偶者の従妹・翠ちゃん(Midori、20歳学生ミシェル・リー系美人)が先日電話してきまして、私と北京語の稽古を行いつつ、

「暑い暑い」

 の一辺倒。今年の香港は特に暑いそうです。冬も私が住んでいたころよりずいぶん暖かくなったそうで、

「暖かいから、せっかく買ったコートとかの冬物を着る機会がない」

 と嘆いていました。

「東京は雪、降ったりするの?」

 と尋ねられたので考えてみると、いまの東京は私が学生のころに比べると降雪日が大幅に減って、積雪なんて年に1~2回あるかないか、といった感じです。

 雪が降ると大喜びするのは配偶者でして、まれに積雪があると深夜の裏通りに出て、こっそりと二人だけ雪合戦に興じたりします。

 ――――

 それにしても、香港ほどの湿度でないものの、東京もなかなか暑いです。屋外を歩くときは「いや香港はこんなもんじゃなかった」と自己暗示をかけつつ汗を拭います。

 香港は冷房をギンギンに効かせているので有名です。私がいた当時の香港人には「冷房ギンギン=空気清浄」という妙な迷信があって、恐らく16~20度くらいにセットされていたかと思います。日系企業では日本人社員(特に女性)が「冷房強すぎ」と反発して、天井から段ボール紙を垂らしている光景をよく見かけました。ヒラヒラ揺れているあれは、冷気よけという訳です。

 私はあの「ギンギン」に慣れてしまったので、東京の地下鉄やデパートの冷房がヌルくていけません。でも「ギンギン」ゆえの香港の室内と屋外の温度差の激しさは苛酷の一言。仕事で出たり入ったりする人にとっては相当身体に負担がかかるだろうと思います。

 香港の日系企業……といっても私の場合、東京での社員募集でたまたま採用されて香港に渡るきっかけをつくった会社しか知らないのですけど、冷房ギンギンとは反対にローカルスタッフ(香港人)たちから苦情が出るのはタバコです。

 私の勤めた会社は仕事の機能上、オフィスに入ると日本人と香港人のテリトリーが左右に分かれているのですけど、左側の日本人テリトリーは常に紫煙がたなびいていて薄く霧がかかったような風情があります(笑)。喫煙室とか喫煙車両のようなものです。

 日本人スタッフは男女を問わず、大半が喫煙者でした。ある日、私と机を向かい合わせている女性の先輩が釜飯の釜を私との境界線上にドンと置いて、

「御家人君、これが私とあなたの灰皿だからね」

 と豪快に言われて驚いたのも懐かしい思い出です。

 ――――

 というのは、いま香港では新法が施行されてレストランでは全面禁煙。飲茶でのタバコもダメ、中華レストランもダメ。ちなみにカラオケ店でもダメです。庶民が日常的に利用する茶晩廳も多分ダメでしょう。

 分煙を徹底させずに一足飛びで全面禁煙ですから、ちょっとやり過ぎのように思います。

 一部の仕事仲間がこのために悲鳴を上げています。

「御家人さん、どうしてくれる」

 と苦情の電話をかけて寄越してくる奴もいます。一理あるのでこちらはニヤニヤするばかりです。……とは、連中と香港で一緒に仕事をしていたころ、喫煙者が少数派だったので、

「タバコも吸えない奴にいい文章など書けやしない。コーヒーに砂糖やミルクを入れる奴もダメだ。モノにならない」

 と常々冗談を飛ばしていたら、真に受けて私のスタイルを真似る馬鹿がわらわらと出現しまして、いまではすっかりヘビースモーカー。

「日本は香港よりはまだマシだ。だから一日一善を心がけろ。陰徳を積むのだ。さすれば来世は日本人に生まれることができる」

 と、私は同情しつつ話をまぜっ返してしまいます。

 ――――

 ……雑談めいてしまいまして申し訳ありません。事件です。役人が武装した眷属を引き連れて怨恨のある家とその近所を襲撃して重軽傷9名。ところがこの横暴が「民」の怒りを買って暴動に発展しなかったのは、被害者と加害者が親戚関係で、今回のケースは官民衝突ではなく、いわば身内同士の争いだったからです。

 現場は広東省河源市龍川県の新田鎮。広州紙『新快報』によると、同県巖鎮の�連邦・人民代表副主席が8月5日午前1時半ごろ、スタンガンや電気警棒、鉄パイプや刀などで武装した妻子や親戚など15名を引き連れて、従兄弟の家とその近所を襲撃。

 虚を衝いた夜襲に防戦することもできず、被害者側は一方的に斬り立てられて重軽傷者9名を出す事件となりました。

 襲撃側を指揮したのが役人、という点は偶然そういう役職だったということで、上述したように本質は身内での喧嘩。「官」が事件のポイントではありません。

 注目すべきは�連邦が夜襲を行った動機です。「祖屋」というのは一族の先祖を祀るお堂なのか本家の建物という意味なのかわかりませんが、被害者側が道路工事を行ったことで、この「祖屋」の「龍脈」が傷つけられたというのです。

 ――――

 「龍脈」というのは風水用語です。私とは長い付き合いの風水師のお爺さんからの受け売りですが、「龍脈」とはいい「気」を持ってきてくれるモトダネとなる重要なポイント。これが傷つけられると、つまり建設工事などによって地形が乱されると「龍脈」がダメージを受け、当然ながらいい「気」をもたらす効果に悪影響が出るのです。

 今回は一族にとっての「龍脈」が問題となっていますが、一都市、一国家にもそれぞれ「龍脈」があります。風水師のお爺さんによると、いま香港の「龍脈」は香港島東部の北角(ノースポイント)一帯にあり、日本の場合は富士山が「龍脈」に相当するそうです。

 香港のビクトリア湾、これは外海から水が入ってきて湾内を一巡して抜けていく地形になっていますが、「水」というのは風水では「財」であり、簡単にいうとおカネ。ですから「財」が目の前をゆっくりと回っていくことになり、流しそうめんのような地形と違って、容易に富をつかみ取りできる訳です。風水師のお爺さんはこういう地形を「吃水」と呼んでいました。

 東京の場合は富士山という「龍脈」から近い上、東京湾がビクトリア湾同様に「吃水」を構成しているため経済的繁栄に恵まれやすく、また関東平野という広い後背地が手に入れた財貨を貯めて逃がさない効果をもたらしており(蔵風)、都市としてはそのカナメであるポイント(東京の場合は皇居)が的を得た位置にあることも首都たるにふさわしい風水なのだそうです。

 変な話題に入ってしまっていますけど、香港ではこの風水が広く信じられており、マンションを買うときやオフィスを選定する際に風水鑑定を行うのは半ば常識です。

 ビクトリア湾の埋め立て工事によって「吃水」の効果が減じられたとか、現在の行政長官(香港のトップ)の官邸が英国統治時代の総督府に比べ風水的に見劣りしていることが香港の衰退を招いたといった話が半ば真面目に論じられます。開業前から御難続きだった香港ディズニーランドがオープンしてからもトラブルが相次いだとき、香港紙は一斉に風水師からコメントをとったりしました。



 この風水、唯物論を奉じる中共政権としては「封建迷信」であり、大っぴらに風水鑑定を行うことも未だにできないのですが、庶民レベルでは「風水信仰」が復活しており、しかも暴力沙汰になるほど深く信じられていることが今回の事件で明るみになりました。

 実際、風水師のお爺さんのところにも中国国内から鑑定依頼がよく来るそうです。「奴らはカネ払いが悪い」とお爺さんは消極的ですけど。

 「封建迷信」として排斥されていた風水が、統治機構の末端ないしは庶民レベルで大真面目に扱われるようになっている、というのは当ブログでしばしば指摘する中共政権の「枝葉からの立ち腐れ」を政治制度とは別の方角から暗示しているかのようです。

 中国本土の中国国民が、本来の「中国人」へと本卦帰りしつつあることを思わせるものでもあります。

 ともあれベタ記事的事件ではありながら、興味深く示唆に富んだ出来事として注目してみました。




 ところで、風水ネタは風水師のお爺さんとの付き合いや合作を通じて私の中に随分とため込んであります。そういう生半可な知識に照らしていうと、日本でもてはやされている「風水」はデタラメに近いものがあります。……なんてことを以前どこかで雑談していたら、風水師のお爺さんと私の合作で是非、という出版企画が持ち上がったことがあります。

 当時は書き手となる私が忙しかったので企画は立ち消えになりましたが、お爺さんはいまでも「風水本」に野心を燃やしていますし(笑)、香港の日系企業から鑑定依頼が来るといまでも私のところに交通費(エアチケット)&ホテル代込みで通訳のオファーが入ります(あれは儲かる話なのですが本業副業があるため時間を割けません)。

 執拗なのはたぶん私と組むと商売がうまくいく相性だからでしょう(真剣)。

 風水師のお爺さんは「野心」のほかに東京観光もしたいそうですから、興味のある方は私のところまで企画を持ち込んで下さい。従来の風水本とは一線を画す内容を考えていますので、場合によっては話に乗ります(笑)。

 いや、私にとっては単なる冗談ですけど、色々お世話になったお爺さんを喜ばせてあげたい気持ちもありますので。

 ……何の話かわからないエントリーになってしまったので、ポイントを囲みにしておきます(笑)。これ、看過できない兆しではないかと個人的には考えています。




コメント ( 13 ) | Trackback ( 0 )





 皆さん御存知の通り私は東京に住んでいます。中国にいません。衛星放送で中国のテレビを観る環境にもありません。

 ですから現地の空気や生活感覚、まあ中国社会に対する一種の手触りのようなものを感じ取ることは全くできません。このあたりは現地在住の皆さんにコメントでフォローして頂きたいところです。m(__)m

 ただ、少しだけ察することはできます。というのは、インターネット上に出てくる記事の分量というのは物理的に毎日大体同じだからです(土日は少なめ)。新聞には紙面というスペース、またテレビには時間&視聴率という制約があるように、ネット上のニュースサイトでもマンパワーその他によって扱われる情報の量にはやはり限りがあります。

 要するに、そういう分量(記事の本数)に制約のある中で扱われているニュースのジャンルや内容から、ああいまはこれが旬のネタだとか、胡錦涛が攻勢に出ているとか、あるいは庶民の不満がいま何に向けられているか、ということを邪推するという訳です。

 ――――

 さて、きのう8月8日は来年のこの日に北京五輪の開会式が行われるということで、賑々しくカウントダウンイベントが開催された模様です。党中央の機関紙である『人民日報』も縁起のいい言葉を散りばめた記事を掲載して華を添えています。

 ●「新華網」(2007/08/08/23:34)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-08/08/content_6497832.htm

 ●「新華網」(2007/08/08/23:34)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-08/08/content_6490857.htm

 ……でも、それだけなんです。8月8日の記事漁りでとにかく目立ったのは、中央銀行である中国人民銀行の今年第二四半期の経済状況に関するレポート。これに物価高などのルポや研究者の論文も加わって、記事数も分量も圧倒的でした。

 北京五輪カウントダウンや五輪ムードを押し流す勢いで、いまの中国経済は警戒水域ひいては危険水域に入りつつある、という認識が金融当局にもあり、庶民にもあり、研究者にもある、ということです。

 ともあれ8月8日におけるトピックは「北京五輪」ではなく「中国経済に黄信号」。庶民レベルでは、

「オリンピックよりとにかくこの物価高を何とかしてくれ」

 という空気なのかなと思った次第です。

 ――――

 ここからが本題。8月6日、カウントダウンに先立って国務院新聞弁公室が北京五輪組織委員会による記者会見を執り行いました。記者との一問一答はこちらを。

 ●「新浪網」(2007/08/06/11:37)
 http://news.sina.com.cn/c/2007-08-06/113713603527.shtml

 新華網がそこから一部を引き抜いて記事に仕立てています。中国国民の観客としてのマナー(中国人選手に対してだけでなく、外国人アスリートのハイレベルなパフォーマンスや健闘にも拍手喝采することができるか)とモラル、また各種サービスの環境やレベルなどが北京五輪運営における最大の課題だ、という北京五輪組織委員会の蒋効愚・執行副主席の発言です。

 以下は前回のエントリーの一節。



 このまま北京五輪になだれ込むのですから大変なことになりそうです。というよりそうなることは確実でしょう。中国当局もそれを認識していて、

「北京五輪の運営上の最大の懸念は中国人観客のマナーだ」

 と、当の北京五輪組織委員会の蒋効愚・執行副主席が記者会見で語っています(笑)。

 ●「新華網」(2007/08/06/16:48)
 http://news.xinhuanet.com/sports/2007-08/06/content_6482960.htm

 この発言に私は一種の怒りを感じたのでこれについては稿を改めて書くつもりです。



 という訳でいまそれを書いている訳ですが、私がこの発言を読んで怒りのようなものを感じたのは2点。

 まずは「観客のモラルとマナー、各種サービスのレベル」と、いけしゃあしゃあと言ってのける厚顔さです。

 だってそうじゃないですか。もともと愚妹だった中国人(中国本土)の民度を低いままで維持するべく「愚民教育」を行ってきたのは他ならぬ中共政権。この点において中国国民は被害者といっていいでしょう。

 五輪は別としても、マナーの悪さやモラルのひどさ、それにサービスの質の低さを放置しておいて、「観客に懸念」との責任転嫁は言うも言ったりです。

 第二点。「最大の課題は観客のマナー」ってふざけるな、ということです。観客を云々するより、そもそも五輪という世界的なスポーツの祭典を行える環境を北京市は有しているのか。

 まずは競技ありきなんですから、選手たちがその実力を遺憾なく発揮できるような環境を用意することが大前提。ところが中国といえば様々な環境汚染や食の安全が国内的にも問題視されているのです。この問題の解決こそ「最大の課題」ではないでしょうか。

 ――――

 以前紹介したように、当局の食品品質監督部門が北京五輪でのサポートにあたる、ということがわざわざ全国ニュースとして国営通信社(新華社)から配信されるのですから何をか言わんやであります。

 あれはベタ記事でしたけど、そういう短信が邪推をしたくなるようなエッセンスを含んでいることが、中国国内発の報道ではままあります。

 ちなみに、日本が1964年に東京オリンピックを開催する際、やはり選手村の「食」については関係者が尽力しました。

 でもそれは外国から来る選手たちに違和感を持たせないような、口に合った各国の料理を提供できるか、という点に心を砕いたのであって、「食の安全」について慌てふためいたのではありません。

 もちろん、当時の日本で「食の安全」が国民的関心を呼んだこともありませんでした。

 「当時」って、40年以上も前の話なんですけどね。

 ――――

 前掲した記者会見では、海外プレスから「食の安全」をはじめ中国人の民度や環境問題、さらにスーダンのダルフール紛争に絡んでスピルバーグが芸術顧問を辞退する話など、結構厳しい質問が飛んだのですけど、北京五輪組織委員会の回答は、

「大丈夫。いまその問題改善について努力しているところだから、前途は明るい。心配ない」

 といった調子のものばかりでした。

「政治問題をオリンピックに絡めるのはやめてほしい」

 という回答もありましたが、これまた「お前が言うな」でしょう。人権弾圧を平然と行い、海外の虐殺事件にまで手を貸している中共政権です。しかも選挙の洗礼を浴びていない一党独裁制。

 サッカーの日本チームには官製ブーイングを企てたり反日を叫んで暴れる中国人サポーターを警察当局が事実上放置したりしているというのは、正しくスポーツに政治問題を絡めた行為に他なりません。

 中国流の愛国主義、そして中華思想と形式主義と事大主義が北京五輪を支配することになるだろう、と記者会見の一問一答を読み終えて私は感じました。

 考えてみれば、これほど民度の低い社会でオリンピックが開催されるのは初めてではないでしょうか。何はともあれ、五輪史上稀にみる醜悪な大会になりそうです。……もちろん、開催できれば、の話ですけど。




コメント ( 23 ) | Trackback ( 0 )





 ああ奉天ではなく瀋陽でしたね。恩師と電話しているといつも「長春」は「新京」、「瀋陽」は「奉天」とごく自然に恩師が口にするので私にも伝染してしまったようです。

 サッカーといえば前回書いた通りいまの私は「サカつく3」です。当ブログを始める直前までハマっていました。もちろんチナヲチ(素人の中国観察)を始めてしまったので続編は購入していません。それから私はトルシエジャパンのメンバーに思い入れがあるので、当時のデータを基にしてある「サカツク3」が私には馴染みます。

 対戦チームも日本代表のメンバーで作成して保存してあります。システムは3-5-2で戦術はサイド攻撃、もちろんフラット3でゾーンディフェンス。監督はモディリアーニで育成し終えてからトムシエに改めました(笑)。

 ツートップのFWは中山とEDIT選手。決定力不足を補うべく育成したこのEDIT君には80年かけました。私はロベルト・バッジョが好きなのでEDIT君もその傾向を反映させて、ドリブル突破とFK技術が最高レベルで決定力がそのひとつ下。「世界屈指のFW」という対戦コメントとなります。

 どの選手も育成の限りを尽くしましたので、中国代表と試合させると6-0くらいで勝ちます(笑)。

 ……などと楽屋ネタに走ってしまいすみませんです。m(__)m。

 実際の瀋陽での試合については皆さんからコメントが寄せられており、私が云々するよりも痒いところにまで手が届く内容ゆえ引用させて頂くことにします。


 ●U-22 瀋陽での審判 (sinar沖縄) 2007-08-03 15:03:03

 もう既に始まっているようです。国際戦なのに審判全員中国人。日本のサポーターは目立たないようにと警告が出ている。ここで騒ぎが起こればオリンピック赤信号。

 クラブマッチでも日本チームの宿舎でエレベータが故障したりいろんな事が起きてたようです。日本の報道は報じてません。




 ●Unknown (正成) 2007-08-03 21:00:22

 さあ,審判まで中国人で構成される完全なアウェーの中国五輪代表vs日本五輪代表のサッカーの試合が今日ですよ。あまりに民度が低いために日本の地上波テレビが中継を拒否したようです。どうなることやら・・・




 ●U22 (tondekita) 2007-08-03 22:40:06

 いまU22のサッカーをやっております。相変わらず開会式では君が代の時、観客はブーイング、以前と一向に変わっておりません。とりあえずご報告まで。




 ●Unknown (Unknown) 2007-08-04 08:12:07

 何が起こるか、より、どう隠滅するかですね。例のサッカー試合は、地上波では一部カットしたとか言われていますし。ディレイ放送もありそうですね。生放送なのに。




 ●昨日のU22 (tondekita) 2007-08-04 11:17:21

 引き分けに終わりましたが、やはりかなり日本に厳しい審判でした。日本の選手はたびたび訴えていましたが、当然のことながら受け入れられません。攻撃のリズムが断ち切られていました。正直言って中国隊は馬力はあるが、ボールコントロールがもう一つの感じがしました。

 昨日は途中で寝てしまいましたが、これからは全部見て感想を報告します。




 ●Unknown (中華好き(台湾・香港限定)) 2007-08-04 13:55:57

 終了後、日の丸を掲げて応援していた日本のサポーターに観衆から紙コップが投げつけられる事件が発生して日本のサポーターは公安の送迎で帰ったそうですね。ドローに終わったからこの程度で済んだ、とも言えそうです。あの環境でドローに持ち込んだ日本は凄いですが。

 にしても日本からのサポーター100人ってサッカーのためなら死んでもいい、って人たちでしょうかね。きちんとこのニュースを流さないとネットを知らない人たちは状況を甘く見てオリンピックを見に行くような気が。




 ●Unknown (正成) 2007-08-04 19:28:28

 >例のサッカー試合は、地上波では一部カットしたとか言われていますし。ディレイ放送もありそうですね。生放送なのに。

 夜中の日テレ系は見ていませんが,ネットでのCCTV5と日テレ系の衛星G+では,G+のほうが2分早かったようです。つまり国内向けの放送のほうが不測の事態にそなえてディレイをしていたのかもしれませんね。




 ●Unknown (ながさと) 2007-08-04 20:04:03

 今回の中国vs日本の試合は、日本の選手にとっては色々な意味で経験になったと言えると思います。しかし、「北京オリンピックの開催国たる中国とって、本当に強化になったのか?」そんな視点が欠けているのが、中国人の致命的な欠陥でしょうね。





 皆さん、貴重な情報や御感想、ありがとうございました。m(__)m

 試合中継のディレイってすごいパワープレイですね(笑)。ともあれ中国人観客のレベルが2004年のサッカーアジアカップ当時に比べて進歩していないことが明らかとなった次第です。

 このまま北京五輪になだれ込むのですから大変なことになりそうです。というよりそうなることは確実でしょう。中国当局もそれを認識していて、

「北京五輪の運営上の最大の懸念は中国人観客のマナーだ」

 と、当の北京五輪組織委員会の蒋効愚・執行副主席が記者会見で語っています(笑)。

 ●「新華網」(2007/08/06/16:48)
 http://news.xinhuanet.com/sports/2007-08/06/content_6482960.htm

 この発言に私は一種の怒りを感じたのでこれについては稿を改めて書くつもりです。

 ――――

 さて試合当日の私は中国国内の大手ポータルサイトのサッカー掲示板で待機しておりました。

 最近のU-22中国代表は日本チームとホーム&アウェイで対戦。まず自分たちのホームで日本チームを迎え撃った試合で2-0と完封されて面子丸潰れ。このため日本に乗り込んでの試合には陣容を改め、A代表経験者も多数参加させて雪辱を期したのですが、これまた2-0で日本の勝利。

 そんな訳で最近は「サッカーで抗日だ」なんていう馬鹿はサッカー掲示板では見かけることが少なくなっていました。といっても、

「どうせ負けるのだからサッカーに期待するのはやめよう」

 という意味でスポーツに「抗日」をおっかぶせるという発想が消えたという訳ではありません。

 ――――

 そして今回の試合。自国開催で審判も全て中国人という「そこまでするか」という状況にもかかわらず、0-0のスコアレスドローに終わりました。

 すると私がのぞいていたサッカー掲示板では、試合後に興味深いスレが次々と立ちました。「そこまでするか」というお膳立てを非難したり、そこまでしてもらって勝てなかった中国代表の情けなさを嘆じたりする内容のものが続出したのです。

「審判が公平に笛を吹いていれば明らかに日本が2-0で勝った試合だった」

「審判の『愛国主義』精神は中国人の面子を丸潰れにした」

「審判に助けてもらってようやく0-0かよ」

 ……などなど。あとは技術的に日本と中国の差がいかに大きいかを指摘したり。そういえば先日のアジアカップのときには、

「中村俊輔が中国チームにいてくれれば」

 なんて声もありました。

 ――――

 どうも「サッカーで抗日は無理」ということで糞青(自称愛国者の反日信者)どもが掲示板から消えたことで、純粋なサッカーファンの声が表に出た格好です。

 掲示板のスレは流れてしまったりしましたが、「新浪網」の関連記事掲示板でも似たような反応を目にすることができます。

 http://comment4.news.sina.com.cn/comment/skin/default.html?channel=ty&newsid=6-12-3080318

 ただし、こうした反応は新たな傾向とはいえないと思います。どうせ北京五輪ではオリンピック熱に浮かれてしまい、「愛国主義」精神が全てを覆い尽くすことになるのではないかと。

 本来の愚妹さに加え一党独裁制で磨き上げられた中国社会の民度とはそういうものです。




コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )





 昨年までとはちょっと違う状況に戸惑いつつも楽しんでおります。

 現在プチ夏休み状態。……日本側がお盆に集中することなく替わりばんこに夏休みをとるのですが、実は偶然ながらうまいことにポッカリとスケジュールに空白の数日間が生まれました。それならと副業も、

「新企画の準備が忙しいんだ仕込むのに少し時間をくれ」

 とか何とか理由をつけて強行休載に突入。

 休んでいるならブログを更新しろ、せめてコメントにレス付けろ、とお叱りを頂きそうです。申し訳ありませんちょっとだけのんびりさせて下さい。m(__)m

 ――――

 実は偶然ながらうまいことに、心電図ピー状態の続いていたプレステ2が蘇生したのです。

 するってーと最近日本のサッカーが元気のないことに切歯扼腕していた私は当然ながら以前ハマっていた「サカつく3」に手を出す、ということになります。手を出してしまえばもう廃寝忘餐。

 ええ、つまりはそういう次第です。ちなみに、厳密には蘇生ではありません。先日仕事で会った際、気安い関係筋の方に、

「うちのプレステ2ですけどね、1年過ぎたら調子悪くなって今は死んでます。これやっぱ何とかタイマーとかいうやつですか?」

 と苦情を述べたらフォッフォッフォッフォッフォッ。新品プレステ2が拙宅にやって参りました。でもこれで3台目。まあ、あと1年は動いてくれるでしょう(笑)。

 中国方面では香ばしいネタが集まりつつありますけど、どうか暫しのご猶予を。北戴河で胡錦涛や温家宝や曽慶紅なんかが「ウイイレ」とか「サカつく」で対戦して党大会人事を決めていたら……ってんなわきゃーない。

 ――――

 でも実は毎日出歩いています。昨日は恩師と突発オフ開催(普段は電話なので)。靖国デートです。遊就館のカノン砲の説明文に見入っていた背中に声をかけたら恩師ビクーリ。

 恩師とはほぼ毎日電話し合っていますけど、会うのは映画鑑賞デート以来ですから。

 最近ちょっと辛いことがあったと聞いたので、久しぶりに顔を見せたのですが、恩師が両手で私の手を黙って握ったかと思ったら、今度は眼鏡をとって目頭を押さえるのです。先生そんな大袈裟な、泣くこたーないでしょう、と言いながら喫茶室に入りました。

 零戦を眺めつつ色々な話をしました。思いがけずとてもうれしい出来事も。そのあと外に出て、境内のセミの声や、キラキラと輝くような照葉樹、それから玉砂利の上を歩く感触をゆっくりと楽しみました。恩師に明るい表情が戻ったのが私にとっては何よりでした。

 ――――

 今日は先月下旬に亡くなられたお婆さんのやっていた喫茶店を訪ねました。8月15日に立ち寄る予定でしたけど、万一お盆休みだったら困るからです。また靖国神社に別件で用事もありましたし。

 ●もっと、色々話していたかったです。(2007/08/01)

 息子さんであるマスターに近くの御自宅まで案内してもらって、お線香をあげさてせ頂くことができました。あのいつもの笑顔をたたえたお婆さんの遺影を目にしたら、恥ずかしながら涙があふれてきて始末に困りました。

 もう会えない、というのは本当に淋しいことですね。

 ――――

 そのあとは別件、ということで今日も靖国神社。お礼を申し述べるためです。私にとっては超レアアイテムをゲットできましたので。

 前述した「思いがけずとてもうれしい出来事」というのがそれです。

 U就館内のU店長のUさん、お手を煩わせてしまいましたが、私のわがままを快く聞き入れて下さり、色々御手配頂いて私の願いをかなえて下さいましたこと、本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。

 昨日午前に頂いたので、午後は早速それを使って配偶者を連れて近所の喫茶店へ。私はもう大得意でした。

「トッホォホォホォホォホォッ、この額の天下御免のカブリモノ、御家人プチ夏休み男と知っての仕打ちかタハッ・タハッ・トホォホォ・トホォホォ・トホォッ(おじょーずー)」

 ……てなところです。

 ――――

 今日の帰りの地下鉄は空席が多かったのですが、向いのシートでマンガを読んでいた若い男性2人組のうち、茶髪ロンゲがウトウトし始めたかと思うと、何とおもむろに靴を脱いでシートに横になって昼寝を始めました。

 足を折り曲げているのは当人なりに気を遣っているつもりでしょうが、その靴下の先が隣で本を読んでいるオジサンに触れそうになるのでオジサンも落ち着かない様子です。そもそもシートは横になる場所ではありません。

 私は喧嘩がからっきし弱いので逆ギレされたらやだなー、と思いつつ、でもこれは言わなければいけない、看過するから日本人の行儀が悪くなるのだ、と思って席を立ちました。

 寝入りっぱなのロンゲの前に立ち声をかけて「ちゃんとお座りなさい」云々と説いたところ、素直に本来の姿勢に戻して靴を履き、普通の居眠りに移りました。めでたしめでたし。

 口うるさい海坊主の相手をするのは面倒だと思ったのかも知れませんね(笑)。中国のような民度ならともかく、日本人まで畜生道に堕ちるのだけは御免被りたいところです。

 ――――

 大鳥居から地下鉄・九段下駅の1番出口まで蝉時雨を浴びつつ歩いていたらなぜか急に「母子受精」と「レーダーマン」と「諦念プシガンガ」が聴きたくなったので、いま戸川純のCDを流しつつこれを書いています。

 せっかくの休みなんですけど何だか気ぜわしくて。これからまた「サカつく」です。すみません。




コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )





 ファンサイトではもう話題になっているのかも知れませんが、ここはそういうブログではないので大多数の読者の皆さんにとってはニュースかと思います。

 ジェイ・チョウ(周杰倫)のことです。

 台流の担い手のひとりであり、中国本土でも大人気。アイドルかと思ったらミュージシャンでした。曲は作れるし歌えるし、特に羨ましいのはピアノがとても上手なこと。

 で、ミュージシャンかと思えば俳優もこなすんですね。……と思っていたら今度は映画監督をやったそうです。監督兼主演で脚本の一部も担当。若いのに大したものです。個人的には父親役の黄秋生に期待。ビルから放り投げられて停車していた車の屋根にドスン、なんてシーンがないことを祈るのみです(笑)。

 私はジェイ・チョウのファンでも何でもありませんけど、当ブログは多少彼を贔屓にしています。以前から駄文にお付き合い頂いている方なら御存知でしょうけど、母方のお祖母さんと彼の絆が、そのまま日本と台湾を結ぶ糸を象徴しているかのようなエピソードがあるからです。あれは心温まる実にいい話でした。

 ●お祖母さん孝行の話。(2006/02/09)

 ――――

 ところが、そのジェイ・チョウがテレビでの発言をめぐり、中国本土の糞ブロガーたちに叩かれて炎上しかけているそうです。

「第二のレイニー・ヤン」

 と表現している報道もあります(レイニー・ヤン=楊丞琳)。

 ●楊丞琳の問題発言?例の病気でしょ。もちろん「中国人」の。(2007/04/09)

 ちなみに、このエントリーの後段にジェイ・チョウ叩きの捏造インタビュー(たぶん)も登場します。

 ジェイ・チョウには、

「大陸のファンには僕の音楽を理解できない」

 という発言もあったとかなかったとか。真偽はともかく、ネット上ではそういう発言があった、という説が流れていて、火種は元からあったようです。

 ていうか中国本土の人間が糞レベルなだけなんですけどね。どうしようもなく低能。無藥可救。

 問題はこいつら低能のくせに水は飲むし飯は食うし服も着れば靴も履くことです。まとめてパッと消えていなくなってくれないものでしょうか。そうすれば地球に優しくて二重マル。

 ワープですよワープ。畠山桃内じゃなかったデスラー総統の惑星あたりに飛んでいってほしいところです。

 ――――

 すみませんジェイ・チョウの話でした。

 今回は噂ではなく実話です。中国のテレビ(厳密にはフェニックスTV?)のトーク番組「魯豫有約」にゲストで登場した際に「問題発言」があったということでブログや掲示板でのジェイ・チョウ叩きが始まったとのこと。

 その問題発言というのが実に馬鹿らしくて。女性司会者が雑誌に掲載されている雷鋒(知らない人はググレカス)の写真を示して、

「この人知ってる?」

 とジェイ・チョウに問いかけたのが発端。中国問題専攻の学生じゃあるまいし台湾人がそんなこと知る訳ねーだろボケ。……てな訳でシェイ・チョウも知らない様子で写真をまじまじと眺めて、

「クールだね」

 と外交辞令。その後に、

「この人も、歌を歌えるの?(=歌手)」

 と、この一言が問題発言となりました。ムービーでどうぞ。

 http://ent.163.com/07/0802/09/3KSP4JQR00031H2L.html

 18分あたりからが問題のシーンです。

 ――――

 収録はギャラリーにファンが詰めかけた状況で行われましたので、「問題発言」にブーイングなど出る訳がありません。ただ女性司会者はオトナですからその場を丸く収めようと必死。ジェイ・チョウの無邪気な問いかけに、

「(雷鋒は)ええ、部隊ではきっと歌を歌っていたと思う。あなたの歌とは違うタイプのものだけど」

 とうまく収拾したものの、このジェイ・チョウの発言に糞青(自称愛国者の反日信者)系のブロガーなどが一斉に反発。

「雷鋒を知らないとは何事だ」
「歴史に対する彼の無知っぷりは空恐ろしい」
「奴はわが国の歴史を知らな過ぎる。大陸の日本に対するあの民族的怨恨が何に起因するかさえ知らない」

 ……などなど。こいつらの言う「歴史」って要するに中共史観のことでしょう?「わが国」っていうのは台湾も中国に含めているんでしょうね。言わずもがなではありますが、台湾で中共史観が通用すると無邪気に信じているこの連中の方が無知(笑)。

 ただこうした馬鹿どもに反駁する向きもあって、

「ジェイ・チョウが雷鋒を知らないのは文化的差異(台湾で生まれ育ったということ)によるものだ。どうして彼が雷鋒を知っていなければダメなんだ?そんなこと言っていたら台湾の芸能人はみんな不合格になってしまう」

 といった真っ当な声も出ています。興味のある方は関連掲示板をドゾー。

 http://comment.ent.163.com/star_ent_bbs/3KSP4JQR00031H2L.html

 ――――

 個人的感想。「雷鋒を知らない」発言に怒った連中というのは基地外。

 ……という前に、これはレイニー・ヤン(楊丞琳)に関する上記エントリーでもふれましたが、彼女や今回のジェイ・チョウに対する反発は、まずは中共史観を受け入れていないことにあるのでしょう。中国本土の価値観を共有できない者は、昔風にいえば「華」ではなく「夷」な訳です。

 それから、レイニー・ヤンは自他ともに認める「哈日族」。ジェイ・チョウにもお祖母さんとの間に日本を介したエピソードがあります。糞青系ブロガーにしたら、たぶんこれも非常に気に食わない要素ではないかと愚考する次第。

 まあ基地外の頭の中なんてものは常人に推し量れるものではありません。その基地外も三千年という歳月で磨き上げられている訳で(笑)。

 それにしてもこのトーク番組のギャラリーであるジェイ・チョウのファンたちをみていると、

「大陸のファンには僕の音楽を理解できない」

 と仮にジェイ・チョウが本当に言ったとしても、不思議ではないように思います(笑)。




コメント ( 14 ) | Trackback ( 0 )





 言わなくてもいいのに、わざわざ念を押されるとかえって不安になるニュースがあります。

 ●農業部蔬菜品質監視センター、北京五輪の食の安全をサポート(新華網 2007/08/02/21:32)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-08/02/content_6467126.htm

 わざわざ「サポートする」ことを全国ニュースにするほど現地の状況はひどいのかい、と思ってしまうではありませんか。実に味わい深い読後感を残す記事です(笑)。

 ちなみにこの「品質監視」を自称する部門、「蔬菜」とありますが対象は野菜だけではなく、肉類や水産品まで食の素材全般を監視対象としているようです。

 あくまでも「自称」しているだけですし、監視しているとしても、党中央から「合格にせい」と言われたら腐臭を放つ豚肉や農薬漬けの野菜でも合格させてしまうこと請け合い。一党独裁制とはそういうものです。

 北京五輪と聞くと、「本当にやるのかなあ」という感想が私には浮かびます。別に何の確証もないんですけど、来年のいまごろ、北京でオリンピックが開催されるということにリアリティを感じられないからです。



 ●米のスピルバーグ監督、北京五輪の芸術顧問辞退を示唆(読売新聞 2007/07/28/00:54)
 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070727i115.htm

 【ワシントン=大塚隆一】米映画監督スティーブン・スピルバーグ氏のスポークスマンは、中国がスーダンのダルフール紛争に対する姿勢を変えない限り、同氏は来年の北京五輪の芸術顧問を辞退するかもしれないと語った。

 米ABCテレビ(電子版)が26日報じた。

 米国では、中国がスーダン政府による虐殺を黙認しているなどとの批判が強まっている。同氏のスポークスマンは「数週間のうちに決断する。我々の主要な関心は虐殺をやめさせることにある」と語った。




 下りちゃえ下りちゃえ。芸術顧問ってどんな仕事だか知りませんけど、開会式の演出を担当する張芸謀がプレッシャーで煮詰まりかけているそうですから、スピルバーグが下りたら円形脱毛症ぐらいにはなるかも。

 悩んだ末にまたミニスカチャイナドレスのお姉さんたちを登場させて北朝鮮ばりのマスゲーム。手にした白黒のパネルを一斉にかざしたら巨大な江沢民の顔が出現する、なんて趣向だったら嫌だなー。

 ……胡錦涛?ああ胡錦涛は顔が濃くないからダメ。ていうか開会式は全世界にテレビ中継されるでしょう?胡錦涛の顔が浮かび上がったらテレビを観ている子供たちが引きつけを起こしそうだし。

 温家宝が作り笑顔を開くのをgifアニメ風に表現するのもいいかと。ただこれだと視聴者に癲癇を起こす人が出るかも。

 ともあれどうせ国威発揚の政治的イベントなんだから、むしろ開き直ってそれに撤しちゃった方が醜悪ながらも潔いのではないかと。

 ――――

 その北京五輪。もし開催されたのなら、史上稀にみるひどいオリンピックになることについては太鼓判が押せます。

 まずは観客の民度の低さ。2004年夏のサッカーアジアカップでみせた反日ブーイングを御記憶の方も多いかと思いますが、その後も改善された気配はなし。北京市は毎月11日を「市民が自発的に行列する日」と定めているほどです。要するにマトモに行列すらできない連中。都市住民、しかも首都にしてこれですから。

 観客の民度が低いのは政府の民度が低いから。当然のように中国選手を勝たせるための官製ブーイングやえこひいき裁定、ドーピング疑惑でのライバル蹴落としなどが行われても不思議ではありません。

 ただそれ以前の問題として、選手村の食の安全確保すら不安が払拭できないままです。払拭できないから前掲記事のようなニュースがわざわざ流される訳で。

 食の安全だけでなく、大気汚染の深刻さも折り紙付きです。競泳のプールに張られる水の質も心配。そもそも北京はアスリートたちを招いて競技を開催する環境にはないでしょう。



 ●北京五輪で世界新はムリ!? JOCが報告(サンケイスポーツ/iza 2007/07/29/11:52)
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/71847/

 日本オリンピック委員会(JOC)が28日、都内に各競技団体の強化担当者を集めた会議で、五輪開幕まであと約1年に迫った北京での大気汚染や食の安全への懸念が相次いで報告された。

 JOC情報医科学委員会の和久貴洋委員は、深刻な大気汚染で競技に影響が出て、「五輪では世界記録樹立は不可能」とする英国の専門家の予測を紹介。英国と豪州は五輪直前まで現地入りしないことを挙げ、中国の大気汚染対策も「功を奏するかわからない」と悲観的な見通しを示した。

 北京の事情に詳しい専大の大矢根淳教授(災害社会学)は「2時間の競技なら日本から行って帰ってきた方がいい」と助言した。中国が国際的な批判を受けている食品の安全性について、専門家からは「勝つためには(選手村の外で)飲食しない方がいい」との意見が出た。




 何やらすごいことになりそうですねこれは。最後に登場する北京の事情に詳しい専門家の守備範囲が「災害社会学」というのも悪い冗談のように思えます(笑)。

 とりあえず、選手団に持たせるために「正露丸」ならぬ「征支丸」を製造すること。それから、

「勝つためには(選手村の外で)飲食しない方がいい」

 と言うなら中国選手と同じものだけ食べること。……むしろそれよりも、選手村の外に日本選手団専用の和洋とりまぜたレストラン(食材は水に至るまで全て日本から取り寄せる)の開設が急務でないかと。できればその一角に日本のコンビニも持ち込んでしまえばモアベター。

 ところが日本選手専用食堂を開設してみたら、輸入食材が税関で因縁つけられて北京に届かなかったり、自称「自発的反日デモ」(笑)で暴徒化した糞どもに建物が破壊されたりして。一党独裁制とはそういうものです。嫌だなー。




コメント ( 20 ) | Trackback ( 0 )





 きのう8月1日は人民解放軍の誕生日たる「建軍節」。正確な由来は周恩来や朱徳らが1927年の8月1日、江西省・南昌で国民党に対して武装蹶起したことによります。

人民解放軍にとって一年における最大の節目がこの「八一建軍節」。節目の中の節目ですから、機関紙である『解放軍報』が必ず社説を掲載します。

 いわゆる「八一社説」、これが軍の所信表明のようなものと位置付けられており、プロのチャイナ・ウォッチャーはもちろん、私のような中国観察の真似事(チナヲチ)に興じる素人も必ず一読する重要文書です。

 ……と毎年書いていることを今年もコピペしました。気がつくと当ブログも満3年を越えて、4年目に入っています。皆さん、これからもどうぞよろしく。m(__)m。

 ――――

 当ブログでは2005年、2006年にもこの「八一社説」と組み打ちしています。

 ●兵隊さんが揺れてます。――解放軍報八一社説。(2005/08/03)
 ●今年は「科学的発展観」の連呼。――解放軍報八一社説。(2006/08/02)

 いずれも実にわかりやすい内容でした。一言でいえば「必死だなw」です。

 2005年の「八一社説」には、軍は「党の絶対的指導」に従え、という表現が類する文言を含めると何と23回も登場しました。2004年はたった4回。それだけ「胡錦涛同志を総書記とする党中央」ないしは「胡錦涛同志を主席とする党中央軍事委員会」に従わない勢力が軍内部には多かった、ということでしょう。要するに胡錦涛による軍権掌握が不十分であるため、「党の絶対的指導」を強調するのに必死だったということです。

 これが2006年の「八一社説」になると一変して、「党の絶対的指導」云々はわずか5回。軍権掌握が前年より進んだことを示唆しています。そしてこの年の「八一社説」の目玉は、胡錦涛の提唱する「科学的発展観」が文中で連呼されたこと。必死に強調されている以上、当時は「科学的発展観」が軍隊にまだあまり浸透していなかったのでしょうが、軍部、特に『解放軍報』を掌握している主流派、あるいは軍の大勢が一応胡錦涛擁護に回った、と感じさせる内容でした。

 ――――

 そして今年2007年の「八一社説」。

 ●新たな歴史のスタートラインにおいて再び輝きを生み出そう(解放軍報 2007/08/01)
 http://www.chinamil.com.cn/site1/xwpdxw/2007-08/01/content_904711.htm

 結論からいってしまうと、昨年、一昨年にみられた「必死だなw」型の傾斜が消えているのが第一の特徴。必死になる必要がさほどなくなったということで、胡錦涛と軍主流派による軍部の掌握にほぼ成功したことを示しているように思います。

 ただ同盟しているかのような胡錦涛と軍主流派の間の上下関係、つまりイニシアチブを握っているのはどっちか、というのは判然としません。胡錦涛は今年も昇格人事と予算の大盤振る舞いで軍部の心を引き寄せようとしています。一方で軍内部に対する会計監査に力点を置くといった表明が最近行われており、アメとムチで軍権掌握を進めようとしている気配がしないでもありません。

 会計監査や汚職摘発は政敵を葬るために常用される手段ですから、非主流派をこの方法で叩き潰したり、口うるさい老将軍を引退に追い込んで「若手抜擢」という大義名分で人事刷新を図りつつあるように思います。

 今年は建軍80周年ということで、自画自賛的な縁起のいい文言を散りばめた分だけ紙幅に余裕がなくなり、そのことも「八一社説」からある種の傾斜が失われている理由のひとつでしょう。

 ――――

 「党の絶対的指導」云々は今年も叫ばれていますが、連呼されている訳でもなく枕詞のようなものになっています。それからこうした節目節目の文章では必ず言及される一節、

「『軍隊の非党化・非政治化』や『軍隊の国家化』などの誤った思想の影響を断固排除」

 という文言は今回も登場していて、

「『軍隊の非党化・非政治化』や『軍隊の国家化』などの誤った思想観点を断固排除し、思想的にも政治的にも行動する上でも党中央と高度に一致し、一切の行動は党中央、中央軍事委員会と胡主席の指揮に従うことを自覚せよ」

 となっています。この「軍隊の非党化・非政治化」及び「軍隊の国家化」という言葉が示す具体的内容が私にはわかりません。

「党中央に従わない動き」

 を示す隠語なのか、具体的に何事かの動きが軍内部にあるのか。御存知の方は是非ご教示下さい。

 ――――

 ところで上述の、

「『軍隊の非党化・非政治化』や『軍隊の国家化』などの誤った思想観点を断固排除し、思想的にも政治的にも行動する上でも党中央と高度に一致し、一切の行動は党中央、中央軍事委員会と胡主席の指揮に従うことを自覚せよ」

 の続きは、

「党が新たに創造した理論で全軍を武装し、科学的発展観を国防と軍隊建設の重要指導方針とすることを堅持し……」

 となっていて、胡錦涛イズム(科学的発展観)が大事にされていることがみてとれます。この「科学的発展観」が舞台の中央に躍り出たような印象を与えるのも今年の「八一社説」の特徴です。

 中共政権は毛沢東、トウ小平、江沢民ときて胡錦涛で4代目になります。前3代について「八一社説」は、

「毛沢東の軍事思想、トウ小平の新時期軍隊建設思想、江沢民の国防と軍隊建設思想」

 と、それぞれに指導理論があったことを示し、いずれも時代の変化に伴ってマルクス主義軍事理論を刷新してきたものだとしています。

 ――――

 では4代目の胡錦涛はというと、

「党の十六大(2002年の第16回党大会)以来、胡主席は内外の形勢の新たな変化を深く分析し、新たな状況下での国防と軍隊建設を強化することに関する一連の重要論述を行ってきた」

 とし、これが毛沢東、トウ小平、江沢民の指導理論を継承しつつ、より発展させたものだ、となっています。

 この「毛沢東、トウ小平、江沢民の指導理論を継承しつつより発展させたもの」が前述した「党が新たに創造した理論」であり「科学的発展観」で、現時点における軍隊のバイブルという訳です。

 どういうことかといえば、昨年の「八一社説」ではまだ不明確だった江沢民の指導理論のポジショニングを毛沢東・トウ小平と並べることで、いわば「過ぎ去った時代の古い指導理論」扱いにしているということです。

 この江沢民の指導理論と胡錦涛イズムの間に明確な線引きを行い、「江沢民」を過去に追いやったことも今年の「八一社説」の特徴かと思います。

 ――――

 さて、今年の「八一社説」には以前のような傾斜がみられないと書きましたが、その代わりに文章からにじみ出てくるのは一種の緊張感です。それはたぶん、今秋に第17回党大会、そして来年春には台湾の総統選挙が行われることに起因しているのでしょう。

 そもそも今年の「八一社説」のタイトルが、

「新たな歴史のスタートラインにおいて再び輝きを生み出そう」

 となっています。その「新たな時代」にふさわしいものとして胡錦涛イズムが強調され、江沢民の指導理論が押し入れにしまわれてしまった訳ですが、この「新たな歴史」つまり新時代における人民解放軍の使命について「八一社説」は、

「我々は新世紀の新段階における歴史的使命を忠実に履行し、国家の主権、安全、統一と利益の発展を維持かつ保護し……なければならない」

 とわかりやすく解説しています。要するに単なる国防だけではなく、台湾を統一し、尖閣諸島や南シナ海のスプラトリー諸島を奪取して完全に手中に収め、一方で海洋権益の保護と拡大に努める、ということです。……この、ちょっと外向きにメッセージを送るが如き内容も今年の「八一社説」の特徴のひとつに数えるべきだと思います。

 ――――

 その背景として、十数年にわたる軍拡路線によって人民解放軍が装備の近代化や情報化の進展に自信を持ち始めているということがあるでしょう。これは文章全体から漂ってくる気配でもありますが、一方で最近は軍の将官などによって「空母保有論」が公然と語られ始めてもいます。当の8月1日にもこの通り。

 ●中国は空母を建造する基本能力を具備している(新浪網 2007/08/01/11:47)
 http://mil.news.sina.com.cn/2007-08-01/1147457759.html

 この対外拡張志向ともとれかねない姿勢を明確に打ち出し、それが「八一社説」にも反映されたというところに私はキナ臭さを感じています。折から人民解放軍はロシアで共同軍事演習に入っており、一方で曹剛川・国防部長は、

「我々は台湾独立を制止する覚悟も能力も準備もできている」

 と語ったばかりです。

 ●「新浪網」(2007/07/31/19:43)
 http://news.sina.com.cn/c/2007-07-31/194313565925.shtml

 ここ数年は主として胡錦涛と軍部の力関係の目安として読んでいればよかった「八一社説」が、対外拡張志向をチラつかせるようになったことについて、私たちはこれを重大な変化と受け止め、危機感を持つ必要があるのではないか……と愚考する次第です。




コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )



« 前ページ