本来火曜日にする話ではないのですが、私のような完全夜型生活者にとって有り難いのが日曜日です。朝の7時半から「報道2001」「日曜討論」「サンデープロジェクト」と政治系の番組が続きます。
私にとっては仕事が終わって、仕事をしながら集めた記事を整理しているか、整理した記事に拠って当ブログに取り組んでいる時間帯ですが、なるべく見逃さないようにしていました。
ところが一昨日(10月23日)は記事が上ネタ満載でした。しかもトンチキの極秘訪中について書くのにあれこれ考えていて、うっかり3本とも逸してしまいました。しまったと思えど時すでに遅しです。来週はちゃんと観ようと思いつつそのまま寝たのですが、翌24日の香港各紙をみてビックリしました。
町村外相、「サンプロ」で色々話したんですか?……本来火曜日になってから持ち出す話題でもないのですが、ふれておかなければならないものなので、賞味期限切れを承知でいきます。
――――
その香港各紙(2005/10/24)のメインタイトルだけ並べてみます。
●小泉・胡錦涛会談での激語合戦を暴露――日本外相「もう中国の言いなりにはならない」(蘋果日報)
●町村外相、中日関係は不平等だと妄言――専門家「日本の対中路線強硬化を示すもの」(明報)
●日本側、小泉首相の靖国参拝は国益に合致するものと表明(星島日報)
●靖国参拝を支持、不服従を明言――町村外相、中国に外交面での宣戦布告(太陽報)
●「外国には屈服しない」日本外相が見苦しい弁明(香港文匯報)
香港のマスコミはこと歴史問題となると中共史観で足並みが揃います。新聞も反中共色を帯びた『蘋果日報』から中共の御用新聞である『香港文匯報』まで御覧の通り。
これは強制ではなく、香港人は底流に反日感情があるためこうなるのです。民度+小中華思想(大香港主義)の発露のようなもので、例えば香港人は中共史観で極彩色に染め上げられた南京何たら事件の映画などを「史実」と捉えているフシがあります。
表面的には日本文化を積極的に受け入れているのでわかりませんが、何事かあると上のようになるのです。私のみた限りでは、日本のマスコミで香港紙のこの狂態を報じたものはありませんでした。ということで、鮮度落ちに構わず眺めてみましょう。
――――
「テレビ朝日の取材を受けた町村外相が」などとなっているので「サンプロ」なんでしょうが、『蘋果日報』によると、
「小泉首相の靖国参拝は日本の国益に合致している」
「外圧に屈することはない」
「日本は今まで中国に従順すぎた。これからは平等な関係を確立していくべきだ」
と語り、また昨年の小泉・胡錦涛会談では激論が交わされたことを明かし、
「これ(激論)はいいことだ。互いに相手の考え方がわかるのだから」
と述べたようです。他紙の内容も概ね似たようなものになっています。
――――
それにしてもセンセーショナルなタイトルを好む香港紙とはいえ、「もう中国の言いなりにはならない」「宣戦布告」など今回は飛ばしに飛ばしています。『蘋果日報』はメイン記事の後に解説記事が続いて、
「1972年の国交正常化以来、最も深刻な状態」
「原因は日本が歴史問題や台湾との関係を適切に処理しないからだ」
という武大偉・外務次官(前駐日大使)の発言を紹介した上、「中国人民に対する重大な挑発だ」という靖国参拝当時に王毅・駐日大使(※1)が出した声明を引用。さらに専門家の声として中国国内メディアによく顔を出しては底の浅い対日論をぶって回っている金熙徳・中国社会科学院日本対外関係研究室主任を登場させています。胡錦涛総書記や温家宝首相らが日本に得点を稼がれる一方なのは、こういう手合いをブレーン扱いしているのも一因だと思うのですが……どうかそのまま重用してやって下さい(笑)。
解説記事はさらにもう1本。これは地元香港の中文大学・アジア大平洋研究所の王家英・助教授に取材しているのですが、
「日本がかような強硬姿勢である以上、中国側のリアクションも決して弱腰にはならず、やはり強硬的な態度に出るのは確実だ。王毅駐日大使を召還して抗議を示すという可能性すらある」
と、これまた専門家らしからぬ御発言。時あたかも経団連の極秘訪中が日本で報じられ、それが香港でも比較的大きく取り上げられたばかりです。そこで「大使召還」まで持ち出すとは恐れ入りました。あるいは扇情的な報道において他紙の追随を許さない『蘋果日報』ですから、敢えて「色物芸人」を取り揃えたのかも知れません(笑)。
他紙の報道も濃さでは『蘋果日報』に一歩譲ったとはいえ、やはり似たり寄ったりでした。
――――
じゃあ香港は大騒ぎだろうといえば、そんなことはないんです。騒いだのはマスコミだけで、香港市民はいたって平静。靖国参拝当日もそうでした。日本総領事館へ抗議に訪れた団体がいくつかありましたけど、あれはマスコミへの露出を狙った一種の選挙運動のようなものですから。単なる騒ぎ屋です。
実例があるのです。香港の民主化で騒ぎ日本の歴史問題でも騒ぎ、天安門事件(1989年)の名誉回復運動でも騒ぐという香港では有名な騒ぎ屋、いや活動家である梁国雄(通称「長毛」)が、昨年の立法会議員選挙に立候補して見事当選、しかも得票数上位でしたから、それに続こうという思惑があっても不思議はありません。
でも「長毛」は議員になっても騒ぎ屋のスタイルを変えないところがいいです。先月も胡錦涛政権における香港・マカオ問題担当の曽慶紅・国家副主席(江沢民の大番頭格)が香港を訪問し、立法会議員を招いたパーティーを開催した際、議員なのでやはり招かれていた「長毛」は本領を遺憾なく発揮。曽慶紅が挨拶を始めようとした途端に、
「平反六四!」(天安門事件の名誉回復を!)
と叫びつつ着ていたGジャンをパッと脱ぐと、これまた「平反六四」「莫忘六四」(天安門事件を忘れるな)など中国国内でのNGワードが大書されたTシャツ(笑)。即刻警官に四肢を抱え上げられて退場させられましたが、「長毛」は宙を飛びつつもなおスローガンを叫び続けていたそうです。
他にも曽慶紅の宿泊先だか視察先だかにダンボールで作った手製の棺桶(笑)を仲間の活動家とともに運び入れようとして警官に阻まれたりもしています。最終日は香港ディズニーランドの開業日で曽慶紅はそのセレモニーに出席して香港を離れました。このときも「長毛」は会場に乱入しようとしたものの、またも警官に四肢を抱え上げられて御退場。それでも「長毛」は宙を飛びつつもなお……(以下略)。
馬鹿だけど変に実があるところが面白い、といいますか、「長毛」はある意味有権者の期待に最も応えている立法会議員といえるでしょう(笑)。
……すみません余談に流れてしまいました。orz
――――
【※1】王毅がMr.ビーン似という御説にも頷けますが、私はむしろ腹話術の人形に見えてしまうのです。>>hrさん。
(「下」に続く)
| Trackback ( 0 )
|
|