日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)




 小泉首相と・温家宝首相の会談が実現する運びとなってたようですね。
 この件、事前報道での日本側は突き放したような素っ気ない風でしたよね(※1)。再掲載しますと、

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 ●<日中首相会談>靖国問題の進展望めず見送られる方向に(毎日新聞)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041125-00000113-mai-pol
 「政府は靖国問題の進展が望めない中、あえて2カ国間の会談を行う必要がないと判断したとみられる」

 ●日中首脳会談見送りへ 外務省首脳が見通しか(共同通信)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041125-00000217-kyodo-pol
 「中国がどうしてもやりたいと言ってくれば別だ」(外務省首脳)

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 ところが中国側はヤル気を見せていました。こちらも改めて掲載しましょう(『中国青年報』2004/11/25)。
 http://zqb.cyol.com/gb/zqb/2004-11/25/content_994812.htm

 この報道で武大偉外務次官は、
「会談が実現する可能性は実現しない可能性より大きい」
 と語っていますから、上の「中国がどうしてもやりたいと言ってくれば別だ」ということになったのでしょう。

 『中国青年報』によると会談は東シナ海の資源紛争&EEZ画定作業の件が主題で、まずEEZで協議した上で、解決できないならそれを棚上げにし、ガス田の共同開発をやろう、というムシの良い肚積もり(それをスプラトリー諸島をめぐる紛争に対するモデルケースにもしたいらしい)のようですが、上の共同の記事では、
「北朝鮮の核開発問題や日中関係改善に向けた協力などについて議論するとみられる」
 となっており、はっきりとはしていません。

 新華網の特集報道(2004/11/28)でも、
 http://news.xinhuanet.com/world/2004-11/28/content_2269662.htm

「温総理はラオス滞在中、中日韓首脳会談、ASEAN+中国(10+1)首脳会談及びASEAN+中日韓(10+3)首脳会談に出席するほか、一部関連国との首脳会談に臨むことになる」
 と述べられているのみで、胡錦涛のときと異なり、未だ中国国内のメディアで「日中首脳会談をやる」と報じたところはありません(もちろん、私の見落としがあるかも知れませんが)。

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 ただ、新華社報道のいう「ASEAN+中国(10+1)首脳会談」は中国にとっては理想的な結果にならなかったようです。

 中国・ASEAN共同文書、軍事交流はトーンダウン(読売新聞)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041127-00000201-yom-int

 この報道によると軍事交流の活発化に関する部分が草稿に比べかなり消極的なものになっているようです。
 半島国家及びその周辺地域にとっては、根元の大陸に軍国主義国家があるのですからそりゃ脅威でしょうね。先日の原潜事件が微妙な影を落としているのかどうかは、わかりませんが。

 ――――

 さて日中首脳会談は30日、まだ少し間がありますから、胡錦涛のときのように、会談直前になって中国メディアが一斉に靖国問題を提起する可能性はあります。
 ただ自分で頼んで開いてもらった首脳会談で温家宝が靖国問題を云々するようだと、江沢民のときのように日本の世論は硬化するでしょう。

 唯一気になるのは中山文部科学相の教科書問題についてのナイスな発言(※2)を新華社が異例の早さ(※3)で報じていたことです。日本国内でどういう扱いになるのかも気になりますが。

 あとは明日以降の中国メディアによる事前報道に注目しておく必要がありますね。――まあ注目しなくても首脳会談は開かれる訳ですけど、それじゃチナヲチになりませんので。


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 【※1】「『なんちゃって反日』?」(2004/11/26)
 【※2】『読売新聞』4面(2004/11/28)。中山氏は27日のタウンミーティングの席上、「日本の歴史教科書は極めて自虐的なもので満ち満ちていた時があった。やっと最近になり、いわゆる従軍慰安婦とか、強制連行とか(の記述)が減ってきたのは本当に良かったなと思っている」「悪かったことは反省をしなければいけないが、すべて悪かったという自虐史観に立って教育はしてはいけない。自分たちの民族や歴史に誇りを持って生きていけるような教育をすることが大事だ」と語った。
 【※3】某巨大掲示板よりもずっとずっと早かったです(笑)。



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 すみませんうっかり忘れていました。
 とは、人民解放軍の機関紙『解放軍報』に出た論評記事が、アレンジを経た新バージョンで新華網に掲載されたという件です(※1)。
 速報したまま放ったらかしにしていました。申し訳ありません。

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 さて、元々の『解放軍報』バージョンですが、

「党の与党たる地位は生来のものではなく、また永遠に保障されたものでもない」

 と、タイトルからして危機感に溢れています。「党」とはもちろん中共のことです。
 内容もなかなかビンビン来るものがあります。東欧諸国やソ連などの社会主義政権の崩壊を例にひきつつ、

「長期間にわたって人民を満足させるような仕事ができず、民衆によりよい生活をさせられないような執政党が、時代と人民によって淘汰されるのはごく当たり前のことだ」

 と喝破するのです。そして毛沢東、トウ小平、江沢民ら代々の指導者が提唱した理論をしっかりと学びつつ、胡錦涛が新たに打ち出した「執政能力の強化」を実現しなければならない、としています。

 また、党員は与党の一員であるとの自覚を持って、「人民のために」(為人民服務)を常に念頭に置かなければならないとし、同時に官僚主義、形式主義、また汚職といった不正を克服しなければならない、と説きます。そして、それらを克服できれば、中共は人民大衆から愛され、支持され、永遠に政権党としての地位を保てるだろう、と結んでいます。

 逆にいえば、官僚主義、形式主義、汚職が全国に蔓延しているから、このような危機意識と緊張感を強調する文章が出てくるのでしょう。

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 この論評が『解放軍報』に掲載されたのが11月10日。ええ、例の中国原潜による日本領海侵犯が報じられた日です。それだけに、

「長期間にわたって人民を満足させるような仕事ができず、民衆によりよい生活をさせられないような執政党が、時代と人民によって淘汰されるのはごく当たり前のことだ」

 というくだりが謎めいて見えてしまいます。

 胡錦涛を応援して「執政能力の強化」を叫んでいる、と素直に読むべきか。
 それともデモ、スト、暴動が続く最近の社会状況を見かねて、指導部に苦言を呈しているのか。
 ――あるいは、
「こんなことやってると、愛想つかしちゃうよ。クーデターやっちゃうよ」
 という警告なのか。

 まあ、私なんかにはわかりっこありませんけど。

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 さて冒頭にも書いたように、真意がわからぬまま、この文章がアレンジを施されて新華網に掲載されました。11月19日のことです。
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2004-11/19/content_2237988.htm

 前にも書きましたが、このグレードアップには正直、驚きました。
 が、誰が何の目的でこの文章を拾い上げ、国営通信社のサイトに掲載したのか?――ということについては、「アレンジ前」と「アレンジ後」を読み比べることで、想像がつきます。胡錦涛に近い筋の仕事でしょう。

 ●「アレンジ前」に出ていた指導者の名前のうち、胡錦涛以外は全てカットされている。
 ●全体的に胡錦涛の唱える「執政能力の強化」により傾いた文章になっている。

 といった印象なのです。「執政能力の強化」に焦点を絞り込むために、リライトに近い形で改められている部分もあります。
 だからなのでしょうか、原文は署名論評だったのが、アレンジ後は『解放軍報』からの転載とも書かれることなく、単に新華網発の記事ということになっています。でもタイトルはそのままです。パクリということにはならないんでしょうか?

 何はともあれこの文章、四中全会から2カ月が経過したところで胡錦涛が気合いを入れ直し、当時の公報に引き続き、危機感と緊張感を強いることで党内及び国民に改めて鞭を入れた観があります。

 ええ、もし中国が極楽泰平の世を謳歌している真っ最中で、「勢如旭日」(イケイケドンドンの勢い)でノリまくっているのであれば、こんな文章にはまずお目にかかれないでしょう。


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 【※1】「速報:軍機関紙の『謎の評論』、新華網に進出!」(2004/11/20)
 【※2】「原潜出現は崩壊の予兆?」(2004/11/11)



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 反政府系ニュースサイト「大紀元」で未確認情報を拾いました。
 四川省でデモ発生とのことです。
 短い記事なので訳します。

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 ●四川省で物価上昇に抗議する1万人規模のデモ、鉄道線路封鎖も
 http://www.epochtimes.com/gb/4/11/27/n729980.htm

 【大紀元11月27日電】読者から本サイトへの緊急投書によると、四川省大竹県、渠県で1万人を超える地元住民によるデモが発生、収入の伸びを上回る急激な物価上昇が家計を直撃し、生活苦に陥っていると抗議した。
 デモ隊はその後、鉄道線路を封鎖。この線の運行を数時間中断させた。
 地方政府は緊急会議を開いて対策を検討、各商店に対し商品の価格据え置きを求める行政命令を発した。これにより、現時点における当地の物価水準は以前よりやや低いレベルで落ち着いている。
 事件の詳細については現在調査中。

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 なにぶん未確認情報ですからこのデモの真偽は不明ですが、最近も年金生活者のデモが安徽省や内蒙古自治区で起きています(※1)。
 となると、思い当たるのはただひとつ、現地ではどうも国家統計局の発表(5%台)を大きく上回る物価上昇が発生しているのではないか、ということです。
 最近中国当局が「物価は年末にかけて落ち着く」と再三声明を出していますが、物価上昇の実勢が統計発表を上回っているのが事実なら、なるほどと頷けます。
 水不足に加えて石油高騰ですから、水道料金も電気料金も上がっているでしょうし。

 1988年のスーパーインフレのときでもこんな騒ぎにはならなかったんですけどねえ。商品の買い争い(オイルショック下の日本におけるトイレットペーパー騒動のようなもの)はありましたけど。


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 【※1】「安徽省でデモ発生!」(2004/10/24)
     「速報:安徽省のデモ、3日連続に!」(2004/10/25)
     「安徽省の老人デモ詳報(上)」(2004/10/26)
     「安徽省の老人デモ詳報(下)」(2004/10/26)
     「お爺さんお婆さんデモの続報?」(2004/10/28)
     「内蒙古でデモ&大学生に不穏な動き」(2004/11/04)



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 江沢民はなぜ9月の四中全会で軍権を手放し、引退したのか。

 ――なんて話を今さら蒸し返すつもりはありませんし、真実も私たちが垣間見ることのできない闇の中です。

 でも、憶測でいいと言うのなら私の邪推を。

 ●江沢民あるいは上海組は党内で人気が低下していた。
 ●胡錦涛の党内における支持率が江沢民より明らかに高かった。
 ●胡錦涛を可愛がる長老(江沢民より年上)が江沢民に引退を迫った。トウ小平遺族の支援もあった筈。

 で、経歴に傷をつけることなく天寿を全うするならここで引退するしかない、と江沢民に痛感させたと。

 本当のところは、わかりません。

 ただ公式に発表されていることとして、江沢民は9月1日付で党中央政治局に辞職願を提出し、党軍事委員会主席のポストから離れることが了承されています。

 これとほぼ同じ時期(8月30日)に反日サイトの総本山「愛国者同盟網」が当局によって閉鎖に追い込まれ、その他3サイトの掲示板が一時休止処分を喰らった。――というのは牽強付会……ですか。そうですか。

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 ただこれは偶然ではなかろう、というものもあります。

 胡錦涛の広報紙『中国青年報』が9月1日付で大きく報じたニュース、「万源追星事件」がそれです。

 http://news.sohu.com/20040901/n221826348.shtml

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 ごく簡単に言いますと、四川省の山間部に位置する万源市が、赤字財政のうえ貧困地区とされるほど困窮しているのに、バカ高いギャラを払ってイベントに有名歌手を呼んだ、というものです。

 同紙の報道によると、

 ●万源市の財政収入は年間約4000万元で、2002年の財政赤字は1.6億元余り、という貧困地区。
 ●それなのに、万源防衛戦勝利記念活動たるイベント(8月7日)に何と約2000万元を投入。
 ●ゲストには有名歌手の宋祖英などスターが招かれ、宋祖英は4曲歌ったギャラが42万元(地元農民の年収の210倍)。
 ●万源市当局は重要文件を各所に回してチケットをさばくことが政治活動であると位置付け、多くの者が強制的にチケットを買わされた。
 ●地元の公務員は月収約400元のうち5分の1近くを強制的に支出させられた。

 このうち、宋祖英側からギャラは42万元よりはるかに低い金額だったとの抗議があり、『中国青年報』は9月6日付に訂正記事を出しています。

 が、その一方で同紙は、四川省のトップである張学忠・党委書記らが同紙の記事を見て容易ならぬ事態に驚き、すぐに調査チームを現地に派遣することを決定したと報道。また、地元紙からの引用として、四川省安岳県が万源市の轍を踏まぬようイベントへの有名人出演を慌ててキャンセルした、などの続報を伝えています。

 http://news.sohu.com/20040906/n221891889.shtml

 ――――

 で、これが一体何なのかというと、「江沢民に対する胡錦涛の勝利宣言」だと観測筋は捉えています。というのも、

 ●有名歌手・宋祖英は江沢民の大のお気に入りで、江沢民が招かれるイベントにはほとんどゲスト出演していた。
 ●報じたのが胡錦涛が掌握する『中国青年報』。
 ●記事が掲載されたのは、江沢民が辞表を提出した当日。
 ●さらに言うと、調査チーム派遣を命じた四川省のトップ張学忠・党委書記は、チベット自治区の党委副書記を務めた経歴があり、胡錦涛と苦楽を共にした経験を持つ、いわば胡錦涛派のホープ(例の漢源暴動で一時農民の人質になっちゃった人ですね)。

 別に宋祖英が非難された記事ではないのですが、スキャンダルに彼女を絡ませて報じたということ自体が江沢民の顔に泥を塗るに等しい行為となるようです。

 ――――

 さて、その話を今さらどうして?ということになる訳ですが、調査チームによる取り調べが終わり、万源市のトップ、林朗党委書記に厳重警告処分が下ったようです。

 「新華網」が11月23日付でそのことを報じています。

 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2004-11/23/content_2251405.htm

 ――――

 話はそれだけです。

 ただ、この時期にこういう記事が出るのは単なる偶然なのか、それとも……と一応考えない訳にはいきません。

 あるいは胡錦涛から江沢民に対する、

「御老人、最近ちと火遊びが過ぎるのではないですか?」

 という警告かも知れないじゃないですか。もちろん本当のところはわかりませんが、元々の記事が政治的性質を持っていたものだけに、続報が出るとやはり気になるのです。

 答えは出ませんが、気になるままに書き留めておきます。



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 変な標題ですが、私は真面目です。――いやなに日中首脳会談後の中国の姿勢についてです。
「靖国神社参拝は日中関係の発展を阻害する最大の要因」
 と高らかに宣言したのだから、何か始まるのかな……と半ば期待していたのに、本気度が足りなすぎです。
 政治キャンペーンていうのはコース料理のようなものでしょう。
 それなのに出てくる料理ひとつひとつがショボすぎます。

 ――――

 ちょっと時系列で見てみましょう。

 10/22 日中首脳会談で胡錦涛が「小泉首相の靖国神社参拝は日中関係の発展を阻害する最大の要因」と発言。
 10/23 外交部の章啓月・報道官が同じ発言。
 10/24 『中国青年報』、「日本に親近感なし」が大幅増(53.6%)との民意調査結果を発表。
 10/25 「新華社」、「人民網」など主要メディアが『中国青年報』の記事をこぞって転載。
 10/25 靖国訴訟関連のニュース(小泉首相の参拝を公式的なものと判断?)。

 ――――

 これでは地下の江沢民に会わす顔がありますまい……て江爺はまだ死んでませんけど、この程度の内容じゃ糞青(反日信者)も煽れないでしょう。
 上の動きを一連のものと捉えるなら、過去の反日キャンペーンと異なる点が少なくとも2つあります。

 ――――

 ●日本側のアクションを捉えて始まったものではない。

 集団売春とか西安の事件のように、日本側に起因する何かが起きて自然に盛り上がったものではありません。毒ガスが見つかったという類のものでもない。
 胡錦涛が、
「小泉首相の靖国神社参拝は日中関係の発展を阻害する最大の要因」
 と発言したといってもねえ……。胡錦涛にとっては初の言及なんでしょうけど、中国国内ではその手の論評がこれまでにもしばしば出ていましたから、新鮮味に欠けます。小泉首相が参拝したことに即反応した訳でもありませんし。
 だから別にそれを聞いて世論が奮起するとか、怒りに燃えるといったことにはならない。実に可燃度の低いネタ振りです。その後に続くネタも、明らかにパワー不足。

 ――――

 ●厳密にいえば「反日」ではない。

 と、私は思うのですが、如何でしょう?
 中国の対日政策における荒技が江沢民時代の「反日」から、この時点ではっきりと「反小泉」に絞られた、と思うのです。「反靖国」ではありません。小泉首相が参拝するから一緒に取り上げられているだけで、狙いはあくまでも小泉首相。
 とはいえ、別に小泉首相が上海で買春したとか泥酔して中国人を蹴殺したという訳ではないですから、糞青もノリにくいでしょう。せいぜい例の豚や犬や猿をモデルにした「小泉アイコラ」がまた出てくる程度ではないかと。

 ――――

 糞青も盛り上がり切れない――というところがポイントで、連中はこれで溜飲を下げることはあっても、反日世論形成へと走り出させるほどの推進力はないでしょう。指導部もその線を狙ってやっているように思います。しかしこの程度では、中国社会に充満する悪性ガスを抜くことは望めないでしょう。所詮は「なんちゃって反日」(反小泉)ですから、「リアル反日」ほどの効果はなく、そもそも中国社会の現状に照らせば「リアル反日」でもロクなガス抜きにはならないでしょう。

 さて小泉首相を叩く一方、中共は日本国内で中国からの呼びかけに相和してくれそうな勢力の育成に励むことになります。民主党のジャスコとか旧社会党系とかはもちろん、靖国参拝にいい顔をしない公明党も気をつけないといけません。小泉政権が意外に長く続いているなか、親中派や社民党のような勢力が退潮著しい。そういう新局面においての宣伝工作をどうするか、中共はいま模索している最中ではないかと思います。まあ、これは余談ですけども。

 ――――

 それにしても、胡錦涛も言っちゃいましたからねえ、靖国神社参拝の件。立つ瀬がなくならなければいいのですが。もっとも最近の報道を見るに、靖国神社に参拝しないことが首脳会談の前提条件ではないようです。
 11月25日付の『中国青年報』(胡錦涛の広報紙)によると、アセアン+日中韓の首脳会議で、中国側は小泉首相と温家宝首相の会談をセットしたい模様。
 http://zqb.cyol.com/gb/zqb/2004-11/25/content_994812.htm

 武大偉外務次官によると、
「会談が実現する可能性は実現しない可能性より大きい」
 とのこと。それで何の話をするのかといえば、東シナ海の資源紛争&EEZ画定作業の件らしいです。まずEEZで協議した上で、解決できないならそれを棚上げにし、ガス田の共同開発をやろう、というもので、相変わらずムシが良すぎる(笑)。

 ――――

 で、日本側の反応はといえば、

 ●<日中首相会談>靖国問題の進展望めず見送られる方向に(毎日新聞)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041125-00000113-mai-pol

 ●日中首脳会談見送りへ 外務省首脳が見通しか(共同通信)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041125-00000217-kyodo-pol

 上の記事は、
「政府は靖国問題の進展が望めない中、あえて2カ国間の会談を行う必要がないと判断したとみられる」
 と指摘していますし、下の記事では外務省首脳の話として、日中韓3カ国の首脳会談が予定されていることを指摘、
「日中韓があるから(日中首脳会談は行わなくても)いいんじゃないかと思っている」
「中国がどうしてもやりたいと言ってくれば別だ」
 と述べたそうです。また、日中外相会談もセットされないとの見通しのようです。

 私は素人ですから何かいい感じじゃないのかな、と思うだけです。日本側がどこか突き放したような態度なのがいいです。これで先の中国原潜による領海侵犯事件が、ASEAN各国の対中認識に何らかの影響を与えていれば、言うことないんですけどね。



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 私は香港に多くの知己がいるのですが、何だか最近、香港で日本脳炎が話題になっているようです。

「日本脳炎殺入香港」

 なんてタイトルを地元紙の記事で見かけると、友人たちのことを思い出します。連中が「日本脳炎」でふと私のことを思い出したりしていたら、嫌ですねえ。――いや、「最近元気?」というメールが何人かから相次いで届いたもので、そう邪推しているのです(笑)。

 SARSも新型肺炎とか沙士とか呼ばずに、

「中国肺炎」

 と呼ぶべきでしょう。あの病気の伝染と被害の拡大において中国が果たした役割は非常に大きいのですから、敬意を込めて「中国肺炎」と呼んであげないと。

 ――――

 それはそうと、サッカーW杯のアジア地区一次予選で中国が敗退しましたね。――すでに旧聞に属する出来事ですが、あれはすごい試合でした。

 詳しいことは忘れましたが、確かクウェートと中国が最後の試合でともに勝利した場合、総得点で勝負が決まるという状況だったと思います。中国はクウェートより2得点少なかったので、最後の試合で大勝する必要がありました。もちろんクウェートも同じことを考えていたことでしょう。

 で、中国の最終戦の相手は香港。これは最高の相手に恵まれました。香港代表といえば以前タイかどこかを相手に選手が買収されて問題になったことがあるチーム。しかも一応同じ中国人同士(というと嫌な顔をする香港人もいますが)ですから中国チームに激しい敵意を持ちづらいという事情があります。

 それでも、広州の試合会場は警官2500人を動員した厳戒態勢で、不測の事態に備えていたとのこと。かれこれ20年前にやはりサッカーの中国vs香港で、香港が勝って暴動のような騒ぎになった前例があるのです。

 ――――

 結果から言えば、中国は7-0で香港に圧勝。しかしクウェートがマレーシア相手に6-1で勝利したため、総得点でわずか1点及ばず、中国は涙をのんで予選敗退となった訳です。

 7-0ですか(笑)。

 口の悪い香港人から、

「八百長だ」
「わざと手を抜いた」

 などという批判が出たのは自然なことでしょう。香港は最近中国と何試合かして、いずれも僅差で敗れているのです。7-0なんて、ありえない。当然の発想です(クウェートの方も怪しいですけど)。

 何でも試合中に中国の選手が攻め上がると、中国サポーターからは、

「香港の兄弟、手加減頼むぜ」

 などという声が飛んだそうです。

 ――――

 この試合にはポイントとなる場面がありました。試合後半に香港の選手が自陣ペナルティエリア内で痛恨のハンド。中国にPKを与えてしまったのです。

 振り返ってみれば、これこそが正に玄機でした。香港のGK笵瞬業(敬意を表して名前を出します)が見事にPKをセーブしたのです。

 試合終了後にクウェート戦のスコアが出て中国の予選敗退が確定すると、観客席からはどんどんゴミが投げ入れられたそうです。中国サポーターは相変わらずで、アジアカップで経験値が上がった訳ではないようですね。でもこれは民度が低いのですから仕方ありません。幸い暴動は起きませんでした。

 ――――

 中国のサッカー掲示板なども試合後はアジアカップ並にすごかったようです。PKを防いだ笵選手を歴史に残る大罪人(千古罪人)だとか売国奴だとか。あと審判はクウェートに買収されているとか。7点も貰っておいてそれはないだろ、とツッコミたくなりますね。

 中国の好きな物言いを借りるとしましょう。

「大局的見地に立って考えるとすれば、香港チームの行いはまことに本位主義的で、全く愛国的ではなかった」

 ということになるのでしょうか(笑)。そう書いた中国のメディアはなかったと思いますが、本音はそんなところでしょう。

 ――――

 「一国家二制度」(一国両制)といいますが、中国当局は今年になって、

「『一国』は『両制』に優先するから云々」

 との理屈を作り上げ、民主化を求める香港の動きに掣肘を加えてきました。「一国」と「両制」の間で利害得失がぶつかり合うときは、常に「一国」が優先されるのだそうです。

 中央政府のこの認識に照らせば、たぶん0-10ぐらいで負けてあげるのが香港チームに課せられた使命であり、それでこそ「大局的見地に立って愛国主義を貫いた」、ということになるのでしょう。

 香港のマスコミでこの試合について一時期騒がれたのは、単に八百長くさいというだけではなく、一国家二制度の本質を図らずもサッカーが鮮やかに示してしまったからだと思います。

 同時に、香港の本質がいまなお「植民地」であることを、今回の試合を観ることで少なからずの香港人が改めて悟ったことでしょう。

 悲劇は、イギリスに代わる新しい統治者が、民度においても社会の成熟度においても、どうみても香港より四半世紀以上は遅れている「未開国」だということです。

 ――――

 なお、香港のラジオ局のトーク番組(インターネットで聴けるのです)によると、香港に戻った代表チーム監督は、

「中国チームが他の試合でもあれぐらい頑張れば、予選なんか簡単に突破できたのに」

 と皮肉っています。ごもっともです。

 とりあえず中国サポのみなさん、試合会場にはサッカーを観るために行きましょう。――て言っても中国人にサッカー観戦なんて、まさしく「豚に真珠」ですよね。



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 またまた日中首脳会談です。三連発ですみません。
 でもいま書いておかないと鮮度が落ちてニュースとしての価値がなくなってしまうので、ご了承の程を。

 ――――

 首脳会談については紙資料が手元にたくさんあります。といっても、当日(22日)の夕刊5紙(読売、日経、東京、毎日、朝日)に翌日の朝刊6紙(上記5紙+産経)ですが。

 朝刊購入後に帰宅してネットで中港台三地のニュースサイトを一通り回りました。これは資料集めでもあり、中共が渋い顔をするようなニュースが出ていないかを探すためでもあります。

 後者はもちろん「棲息地その1」におけるコピペネタ、つまり中共に対する「善意の活動」(笑)のための材料集めです。前回、前々回で紹介した新華社電にない内容が含まれていることが第一ですが、小泉首相が靖国参拝に関する持論を述べて参拝継続を示唆した(胡錦涛をいなした)ことに言及していないものは不合格です。

 とりあえず該当したものは下記の4本でした。

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 台湾には期待していたのですが結果はいまひとつでした。
 ●「両国互いに譲らず、楽観できない日中関係」(中央社)
 http://tw.news.yahoo.com/041123/19/16oyf.html

 同じく台湾。東京特派員電で日本の夕刊各紙とニュース番組をまとめたような内容。
 ●「小泉・胡錦涛会談、原潜と神社で応酬」(聯合報)
 http://tw.news.yahoo.com/041123/15/16om2.html

 これは日本、とはいえ中共御用達の共同ですが、一応条件を満たしている記事の中国語版。
 ●「注目・日中会談、中国側が小泉首相の靖国参拝を批判」
 http://china.kyodo.co.jp/2004/nicchuu/20041122-46.html

 香港は反日報道に偏しているのですが、『明報』が珍しく中立的な記事を出しました。
 ●「胡錦涛国家主席、歴史に向き合うよう促す/小泉首相は不戦を誓うための参拝だと反論」
 http://hk.news.yahoo.com/041122/12/16ypv.html

 ――――

 で、上記4本のうち『明報』の報道に目を引く内容がありました。
 小泉首相が中国原潜の領海侵犯問題を切り出したら、胡錦涛が遺憾の意を表明したとというのです。
 日本紙の報道を確認したのですが、胡錦涛が遺憾の意を表明したと書いてある記事はありません。わずかに、

「中国原潜について首相は、日中外相会談で李肇星外相から遺憾の意が示されたことを確認したうえで、『今後、再発防止がとくに重要だ』と中国側の対応を求めた」(『朝日新聞夕刊』2004/11/22)

 という記事があったのみで、胡錦涛が遺憾の意を表明したというのは見つかりませんでした。

 ――――

 一応注目できる内容だったので、某巨大掲示板のいつもとは違う板の関連スレにそのことを書き込みました。

 ――――

 これ日本じゃ報道されてませんよね?
 何せ香港紙ですから勇み足とか誤報の類かも知れませんが。
 賞味期限切れた月餅とか食べたのかな。


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 と末尾に加えておきましたら、

 ――――


 香港紙の記事をまともに取ったらいけないでしょ。
 ガセネタ満載ですから。w


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 との反応が返ってきました。どうせ相手は「知ったか太郎」だ、まだ若輩なのだろうから放っておこうと思ったのですが、やはり『明報』のために弁護してやろうと思いまして、下記のようなレスをつけました。

 ――――


 ええ、そうなんですよ。中国関連の政治記事とかを読んでいますと、聞いたことのない部門名やらポストやらが出てきたりするんです。それが1面トップだったりするので、夜中に電話して(記者は夜仕事していますから)確認すると記者の単純なミスだったとか、そういうことが色々ありますね。

 まあ『明報』は割としっかりしている方ですが、仰る通り香港紙ですし、特に中国返還以降は衰退の勢とまらずといったところです。いい記者がどんどん抜けちゃいまして。

 ただ今回の件、この記事の原潜問題で胡錦涛が遺憾の意表明ってやつですが、『明報』の記者が外務省の千葉明氏という人からとったコメントらしいのです。で、ぐぐったら確かにその名前の人がいまして。

 まあ真偽は私にもわからないんですけど。


 ――――

 全く年甲斐のないことです(反省)。でも私のレスの中に出てくる、
「聞いたことのない部門名やら(中略)夜中に電話して確認すると云々」
 というのは実話です。もちろん日本から国際電話をするのではなく、仕事で香港に住んでいたころの話ですが、どうも中国情報に関しては疑問点をはっきりさせないと気になるので、何度かそういうことがあるたびに電話で問い合わせたりしたものです。
 どの記者も懇切丁寧に対応してくれたことはいい思い出になっています。それを機に一緒に飲茶したり、興味深いニュースが出てきたとき意見交換したりするようになった人もいます。

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 以上、日中首脳会談に関する余談のようなものですが、日本では報じられていない内容ということで、一応書き留めておきます。



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 今日も日中首脳会談の話を。
 一昨日(22日)は新華社の原稿を待ちくたびれてしまいましたが、現時点に至るまで特に新たなニュースもないので(本当はありますが、資料を集める必要があるので)気楽に書かせて頂きます。あ、気楽に書いているのはいつものことですね。

 それにしても一昨日は待たされました。
 私はこの件に関しては野次馬気分が旺盛でしたから、何とか会談当日にここに何か書いておきたかったのですが、第一報を任されている新華社からなかなか原稿が出ません。結局記事が出てすぐ書き始めたのですが、愚鈍ゆえ文章に無駄が多いものですから無用に長くなって、書き終わったら日付が変わっていました。

「太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて行われた小泉純一郎首相と胡錦濤国家主席の日中首脳会談について、中国の国営新華社通信は22日夜、会談終了から12時間以上たって初めて報じた。」
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041122-00000130-jij-int

 ――だそうです。私は22時半に新浪網に出たのを確認したのですが、その時点では新華網、人民網とも記事を掲載していませんでした(新浪網は原稿を受けてすぐ掲載したのだと思います)。昨日書き終えてからのぞいてみたら、新華網でも人民網でもトップニュース扱いでした。

 特に新華網の大見出しは「日中首脳会談、胡錦涛が日中関係に関する指導的思想を示す」(記憶モード)と、誠にいやらしい書き方でした。昨日紹介した会談自体に関する記事もそうでしたが、中国が日本に対して、「これからはこうするんだ。わかったな?」と言って、日本側が「へへーい」と平伏している印象が文面全体から出ていました。

 まあ今回ばかりでなく、中共は周辺諸国(ロシアを除く)に対してはいつもそういう態度ですね。難しいことはわかりませんが、中華意識とでもいうのでしょうか。

 特に日本に対する自尊心の高さとコンプレックスの強さは表裏一体でかつまた病的なほど重症です。近年経済成長著しいといっても、基点が低いですからね。まだ日本を追い抜いた、日本に勝ったという意識なり実感なりが、指導部にも国民にもないのでしょう。
 今回の新華社の記事にも、そういう意識の反映があるように思います。無用なまでに威張っているという感じです。

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 さて、ともかく随分と遅れて出てきた日中首脳会談に関する新華社の記事ですが、某巨大掲示板では、
「遅れた割にはあれこれいじっていない内容だ」
 という趣旨の意見もありました。ちょっと見には確かにいつもと同じように「中国=正、日本=悪」と位置付けたお硬い記事、という印象を受けるのですが、さてどうでしょう。日中会談のニュースだけが遅れに遅れて出てきたのには、やはりそれなりの理由があると思います。

 私は逆に、かなり練れているように感じたんです。字句の選び方も慎重で、文面全体からイメージされる小泉首相と胡錦涛の「対決」の光景が読者にどう映るかまで配慮された、念の入った記事という印象です。

 まず言えることは、この記事は第一に国内向けのものだということです。党内には言葉尻を捉えようと虎視眈々の輩もいるでしょうし、ネット世論の手前「毅然とした強い中国」を演出しないといけません。
 さらには民度の低い市民・農民でもわかるように「中国=正、日本=悪」をくっきりと描き出し、中国が日本に説教をしているという構図にする必要があります。
 それによって読者は溜飲を下げることになるでしょうが、あくまでもその程度に留めさせて、民草が反日気運で盛り上がったりしないようにする。

 ――そういう色々な配慮の上に記事が書かれて、さらにその後にかなり位の高い人(それも複数)のOKが必要だった筈です。党でいえば中央政治局常務委員とか、あるいは一部の長老とか。それらの回覧を経る中で改めて推敲され、ようやく決定稿としてゴーサインが出た、だからああも時間がかかったのではないか、と私は邪推しております。22時半過ぎまで待たされたのもなるほどと思ったのです。

 同時に感じたのは、胡錦涛政権、まだ足場が固まっていないのか小姑が多いのか、とにかく掌握度をあるべき水準にまで高めて本当の胡錦涛色が出るのはこれからだな、ということです。

 ――――

 で、そういう配慮を記事のどこに見るかと問われれば、前回書いたように胡錦涛が小泉首相に説教を垂れているような感じがまずそうなのですが、それよりも、会談では話題にのぼったのに、記事が言及しなかったいくつかの部分にこそ意が用いられているように思います。具体的には次の3つです。

 ●靖国神社に対する小泉首相の参拝の意思表示。
 ●日本側から中国側に対する領海侵犯の再発防止要求。
 ●東シナ海の資源紛争は対話解決を目指すことで日中両国が合意。

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 靖国問題は言わずもがなでしょう。胡錦涛の冗漫な発言に対し、
「誠意を以て受け止める」
 と小泉首相が答えます。ここからが新華社電のふれていないところで、小泉首相はさらに、
「歴史を大切にすることは重要だ。靖国参拝は心ならずとも戦場で亡くなられた方に哀悼の意を示すものだ」
 として、靖国参拝を中止する考えがないことを強調しています(『読売新聞夕刊』2004/11/23)。
 つまり胡錦涛が長々と論じたことを、小泉首相がはねつけた。
「言いたいことはよくわかった。でも参拝はするから」
 と、さすがに国内世論や党内、ひいては軍部に対する統率も考えたとき、これは記事にできなかったのでしょう。胡錦涛が最大の切り札として準備してきた歴史問題、しかも靖国参拝に焦点を絞った必殺技を繰り出したのに、小泉首相にそれをはね返され、逆襲まで受けているのですから。
「これでは子供の使いじゃないか」
 という批判が党内に出ても不思議ではありませんし、
「今度の大将は、どうも弱腰でダメみたいだな」
 という感想を軍部に抱かせることになります。さらには国内に反日気運が再び台頭する可能性があります。現今の社会状況に照らせば、指導部がこの気運に引きずられた場合、政権はおろか中共すらもたないだろう、というのは前回(※1)書いた通りです。

 ――――

 中国原潜による日本領海の侵犯について、これは中国国内では最近の外務省報道官の受け答えにチラリと出てくることを除けば、当初の中国メディアによる速報記事を一切削除することで「なかったこと」にされていますから(※2)、今回の記事も言及していないのでしょう。
 しかもこれは小泉首相が胡錦涛に説教する構図になりますから、世論、党内、軍部のいずれにとっても面白くない。
 それにしてもあの原潜事件はどういう指揮系統のもとで発生したのか、非常に興味があります。
 少なくとも中央は事件が発覚してしばらくは慌てていて、手元に情報がないことを図らずも暴露していましたからね。
「メディアの報道で知った」
 という回答がそうですし、
「事態の推移を関心を持って見つめている」(※3)
 というのは第三者視点で、軍部が独走したのかどうかはともかく、党中央や軍権を握っている筈の党軍事委員会主席・胡錦涛の預かり知らぬところで事件が起きたことを示唆しています。
 ともかくこういう具合の悪いことは伏せてしまうというのは中国語でいうところの「報喜不報憂」で、今回もその例にならったものでしょう。

 ――――

 で、最後に「東シナ海の資源紛争は対話解決を目指すことで日中両国が合意」ですが、合意事項なんですから記事に盛り込んでもよさそうなものです。
 それをしなかったのは、「対話解決」を善しとしない、つまり、
「日本なんかに構わずどんどんやっちまえ」
 という強硬論が、党内及び軍部でそれなりの勢力を持っている証左かと思います。
 もちろん、民草も弱腰外交は望んでいないでしょうが、資源紛争といっても尖閣諸島の領有権争い(※4)を含むEEZ境界線の画定が本質ですから、軍部なり軍部に影響力のある党内の勢力に鑑みて記事ではカットされた、というところではないでしょうか。
 もちろんこの問題は現在進行形ですからいずれニュースとして中国国内にも報じられるのでしょうが、いまわざわざそれに言及しなくてもよかろう、という判断によるものでしょうか。

 ――――

 結果として、お約束の台湾問題と二国間問題ではない六カ国協議を除けば、新華社電の伝える首脳会談は歴史問題で終始したということになります。首脳会談で胡錦涛が靖国問題に言及したことを受けて、外交部スポークスパーソンの章啓月女史からも胡錦涛発言をなぞって、
「靖国問題が中日関係の改善を阻害している最大の要因」
 という言葉が飛び出しました。「靖国神社」は今まで禁句だっただけに(※5)、章さん今日はさぞかし気分が晴れたことでしょうねえ。
 ただし前回も指摘したように、「靖国カード」は小泉政権発足以降はそれまでの威力を失い、同時に参拝されることで中国国内の強硬論に政権が引きずられたり、党内及び軍部での求心力に大きく影響したりする、まあ諸刃の刃のようなものです。今回そのカードを切ったことが日中関係及び中国政治に後々どう影響してくるかは興味深いところです。
 それにしても首脳会談に臨むにあたって中国側に歴史問題しか持ちネタかないというのは、中国外交の怠慢(同時に日本外交の変化)を示すように私は思うのですが、どうでしょうか。

 以下は床屋の政談ですが、小泉首相、
「靖国問題を中国側が持ち出すのは明白な内政干渉だ。その話題を提起すること自体、日中共同声明をはじめとする日中間の取り決めに明確に違反している。直ちに撤回しろ」
「原潜事件は国際法違反だ。謝罪と責任者の処罰を求める」
「東シナ海の資源紛争で中国側がこれ以上誠意のない態度を続けるなら、こちらにも考えがある」
 ぐらいは言ってほしかったですねえ。私だって溜飲を下げたかったのに。


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 【※1】「中共お手製の首脳会談報道」(2004/11/23)
 【※2】http://news.xinhuanet.com/zhengfu/2004-11/12/content_2208576.htm
 【※3】「貴重なる周章狼狽」(2004/11/13)
 【※4】中国側が勝手に妄想してそう言っているだけですね。尖閣諸島が日本の領土であることは明白な事実であり、領有権争いなどはもとより存在しません。
 【※5】「日中首脳会談――章啓月女史の奮闘」(2004/11/20)


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 日中首脳会談が行われました。夕刊はどこもトップで扱っていましたね。

 じゃあ中国側は?……と夕方から待っていたのですが、新華網は沈黙したままです。こういう大きなニュースや国家指導者(いまなら胡錦涛)の重要講話などは、「統一発稿」と言いまして、第一報は国営通信社・新華社の原稿が各メディアに掲載されるものなのです。

 ところが、出ないんですねえ新華社からその原稿が。

 別に制作上の時間が足りない訳じゃないんですよ。上述したように日本では夕刊に間に合っているんですから。

 きょう日中首脳会談が行われるということは事前に報道されていますから、中国でもみんな知っている。メディアとしてはその結果を一刻も早く読者に伝える責任があります。

 大手ポータルの新浪網などは待ち切れなくなったんでしょう、午後から20日付の古い関連ニュースを出しています(笑)。記者の苛立ちが見えるようで同情しますね。

 http://news.sina.com.cn/c/2004-11-20/17084297429s.shtml

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 22時半ごろ。

 ようやく出ました。新華網発の記事を新浪網が掲載したものです(※1)。

 http://news.sina.com.cn/c/2004-11-22/21194314591s.shtml

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 さてこの記事、タイトルは、

「胡錦涛国家主席が小泉首相と会見、歴史問題は避けて通れぬと発言」

 という感じです。

 内容はバカらしくて訳す気になれません。ほとんど胡錦涛の独演会状態で、この記事における小泉首相は専ら聞き役、大中国を代表する胡錦涛に小日本が説教されているような感じでもありますが、むろんそういう効果を狙ったのでしょう。

 で、タイトル通り話は歴史問題に及び、胡錦涛は、

「両国の政治関係が袋小路に入ってしまっているのは日本の指導者が靖国神社を参拝しているからだ」

 と決めつけます。でもさすがに「参拝をやめろ」とまでは言いません。

「靖国神社の問題を考えるとき、日本の指導者は被害国の人民の感情、それに日中友好という大局を考慮しないといけない」

 と、いつも参拝後に出てくる抗議声明の調子です。ちなみに報道によると、胡錦涛が直接小泉首相に靖国問題を切り出したのは、これが初めてだそうです。本来、「靖国」カードとは中国側にとってそれほど効果のある、必殺技的なものだったのです。

 まあ、そういう時代もあった、ということで。もう少し当局発表たる新華網の記事を眺めていきましょう。

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 この記事によれば、小泉首相は胡錦涛の「演説」に対して、

「中国側の立場は十分理解している」

 と言ったことになっています。あとは日本政府は「一つの中国」政策を奉じ、台湾独立を支持しないと改めて語ったとのこと。
「奉じる」(原文は「奉行」)という単語を持ってくるあたり、なんだか日本を属国扱いですね。

 で、最後の一行は、

「両国の指導者はその他の共に関心のある問題についても意見交換を行った」

 と、これで終わりです。

 ええ、東シナ海の資源紛争や中国原潜による日本領海侵犯は、この記事では「その他大勢」扱いで最後の一行にまとめられてしまっているのです。中国側に実に都合よく書かれています。

 領海侵犯に至っては国際法違反なんですが、胡錦涛は小泉首相がこの問題に言及しても無反応だったそうですね。孔泉・外交部報道官によると
「外交ルートを通じてすでに解決されている問題」だそうです(会談後に開かれた記者会見)。胡錦涛は資源紛争にも無反応。驚きましたねえ。まさに前回言った通り、

「中国は多少垢抜けているようにみえても、服を脱いだら北朝鮮」

 なのです。

 ――――

 ところで、この種の記事というのは往々にして事実無根のでっち上げた内容は少なくて、多少の誇張はあっても事実から大きく逸脱していないことが多いです。

 ただし、一方でかなり重要な部分を報じていない(隠す)、というところがポイント。

 まあどこの国のマスコミも同じようなものですが、比較にならないほどの程度差というものがあります。その好例がまさに中国で、非常に堂々とそれをやります。ふだん愚民を相手にしていると面の皮も厚くなるのでしょうか。

 例えば小泉首相に
「中国側の立場は十分理解している」と言わせていますが、これは「誠意を以て受け止める」と言ったことに基づくものだと思います。ただその後に続く小泉首相の発言、

「参拝は不戦の誓いをするため」
(『読売新聞夕刊』2004/11/22)

 は、これまた都合よく省かれています。

 ――このように、何を伝えたかではなく、何を報じなかったを考えるのが中国の新聞の基本的な読み方のひとつといえるかと思います。以前の中国人には情報が少ない分そういう能力がちゃんと身についていました(※2)が、いまの若い世代はどうも駄目ですね。私が「江沢民が中国の民度を落とした」という所以です。

 ――――

 とにもかくにも、これが新華社が時間をかけて苦慮し呻吟したあげく、何とかひねり出した日中首脳会談に関する第一報です。

 何に苦慮し呻吟したかって?もちろん、
どう書けば胡錦涛に傷がつかず、国内世論も変な方向に行かないで済むか、ということです。

 だって日本で報じられているような内容がはっきり伝わったら大変なことになりますよ。

「問題はお前が靖国に参拝することだ。来年はやめろ」

 という胡錦涛に対し、小泉首相は、

「やーだよ」

 と言った訳ですから。さらに小泉首相は、

「東シナ海で勝手な真似をするな」
「原潜の領海侵犯はこれっきりにしろよ」

 と斬り込みます。胡錦涛は沈黙を以て報いたとはいえ、誰が見ても日本側が攻め込んでいるような印象です。

 一方の中国はどこか情けなくみえてしまう。持ちネタも「歴史問題」だけ。少なくとも反日信者にとっては容認できない構図でしょう。

 でもこれで来年、小泉首相が靖国神社を参拝しようものなら、胡錦涛の中国国内における威信は地に墜ちてしまいます。胡錦涛は「靖国」を提起したことで大きなリスクを背負い込んだといえるでしょう。

 もし提起しなければ?――まず世論に叩かれますね。党内でも批判めいた声が出るでしょう。同時に政敵が蠢動するかも知れませんし、何より軍部の掌握が難しくなってしまう。

 かように、過去には日本を苛める恰好の外交カードだった「靖国問題」が、いまや通用しなくなったばかりでなく、逆に内政面(自国民向け)におけるアキレス腱になってしまっているのです。

 ――――

 江沢民時代の中国は、はっきりと「反日」という矢を日本に向けていた訳ですが、胡錦涛政権が成立してから現在までの2カ月で、胡錦涛はそれを少しずつ修正していき、反日度を抑制させた上で現実的な対日外交を展開できるところまで持ってきた、と私は考えています。

 でも、日本メディアが報じた日中首脳会談の内容を中国国内で公表したらどうでしょう?この2カ月で積み上げたものが一気に崩されてしまうかも知れません。

 そしてネット世論が再び狂ったように「反日」と騒ぎ立てる。もしそれに引きずられて胡錦涛政権が「反日」に戻ったら、胡錦涛や温家宝だけでなく、中共自体がもう駄目でしょう。以前にもしばしばふれていますが、中国社会には「反日」をやるような余裕がもう残っていないと思うのです。

 例えて言いますと、「反日」は生活か趣味かといえば、「反日」を叫んでも生活がよくなる訳ではないので、趣味の部類に入ると思います。

 然るに最近、暴動、スト、座り込み、労働争議などが頻発しているということは、もうそんな趣味にカネと時間を割けるような社会状況ではないことを示すものでしょう。

 みんな生活がかかっています。それなのにリスク承知で政治行動に出るというのは、それだけ「生活」自体が切羽詰まった状況になっているからだと思います。

 そんな状況で「反日」を叫ぶ連中がいて、万一それが衆望を担ってしまったとすれば、そのときにはもう運動が変質してしまっていて、スローガンも「反日」とは全く違ったものにすり変わっている筈です。

 ――――

 しかしまあ、うまく繕ってみても、結局はバレてしまうでしょうね。

 実は、ずっと待っていたのに小泉首相との会談のニュースだけが記事にならないので、私は中共が1~2週間だんまりを決め込むつもりなのかと思いました。

 前例があるのです。

 先の中ロ首脳会談に伴って行わた国境線画定作業が完了した際、中国がロシアに対して大幅譲歩したと世論が反発するのを恐れて(と私は思います)、しばらくその具体的な内容を公表しませんでした。

 なかなか第一報が出ないので、今回もそうするつもりなのか、と思っていたのです。

 まあ「ボルシチコンボ」(※3)のように、頬かむりしたところで外部からどんどん情報が流れてきますから、すぐに内情が明らかにされてしまうとは思いますが。

 あるいはそのために小さな動揺が生じるかも知れませんが、基本的には乱されることなく、胡錦涛はその本質である「強権型政治」「準戦時態勢」(私見ですが)の確立に向けて次々と手を打っていくことでしょう。

 もちろん、手が打てなかったら、もうそこまでです。

 ――――

 さて、ポイントは来年ですね。小泉首相はまた元日に靖国神社を参拝するのか、もう少し後にするのか、それともズバリ8月15日か。個人的には夏以降(8月15日を含む)を希望します。

 そのころには中国経済も先が見えて、荒れる要因が社会に充満しつつあるでしょう。

 そこへきて最良のタイミングを計っていたかのように、小泉首相が靖国神社に参拝する。そのときの社会状況によっては、「点火薬」になるかも知れません。

 ちょっとだけ期待。


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 【※1】新華網自身の元ネタを参照したかったのですが、どこに置いたのか、これを書いている時点では記事がみつかりませんでした。

 【※2】反右派闘争とか文化大革命とかの政治運動で自分がやられないように情報をよく吟味して党中央にどんな風が吹いているのかを探った、というのもあるでしょう。

 【※3】「『日本人集団買春+ボルシチコンボ』に政争の香り?」(2004/10/16)参照。



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 標題の通り、20日夜、またまたそういう事件が起きたようです。

 新華網の報道によると、衛星テレビ放送への電波ジャックは20日の20:05:54からスタート。「法輪功を宣伝する内容の悪意ある妨害が発生した」そうで、局側は15分以上経過した20:18:56に衛星による中継を停止。たぶん「しばらくお待ち下さい」のような画面になったのでしょうが、妨害活動は日付の変わった21日00:35まで続き、この間4時間にわたって放送が中断されたことになります。

 香港紙『明報』
 http://hk.news.yahoo.com/041121/12/16xgn.html
 新華網
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2004-11/21/content_2244000.htm

 「法輪功を宣伝する内容」がどういうものか、だいたい想像はつきますが見てみたかったですねえ。やっぱり江沢民とか登場したのでしょうか?(笑)例によって顔を踏んづけられてたりして(※1)。

 ――――

 私は過去10年余りチナヲチをしていなかったので法輪功のことってよく知らないのですが、ニュースサイト持ってて、テレビ局持ってて、こういう電波ジャックまでできるなんて大したもんですね。いまweb上での反政府系ニュースといえば、法輪功臭のある「大紀元」が中心的存在になっている観がありますし。

 あ、濃さにおいては他の追随を許さぬ存在である「Secret China」も忘れてはいけません(笑)。

 それにしても、15分も電波ジャックによる宣伝ができる力があるなら、いっそのこと中国各地のデモ・暴動・労働争議情報なんて流せばもっといいと思うのですが、打倒中共みたいな活動には興味がないのでしょうか?

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 四川・漢源暴動のときに思ったのですが、各地で暴動が起きれば中共が治安部隊をあちこちに派遣するでしょう。それはそれで中共を奔命に疲れさせるという効果があるとは思うのですが、一戦交えれば悲しいかな各個撃破されて鎮圧されるのがオチ。

 それなら、むしろ法輪功がそういう決起した、あるいは決起しそうな民衆を組織化しつつ資金を与えて、各地から揃って北京へ陳情(上訪)に向かわせればいいと思うのです。これすなわち大挙上洛。

 どうせ中国全土に地下ネットワークがあるのでしょうから、好景気に浮かれていたころならともかく、現在のような社会状況なら効果があるのではないでしょうか。上訪活動は合法的な行為ですし、デモなどのように事前に許可を得る必要もありません。

 だって視察に来た中央の高官が乗る車を取り巻いて足止めにし、跪いて直訴するほどですから(※2)、農民に慕われている温家宝の名前を出して、北京まで行けば温家宝首相が会ってくれるそうだ、総理自らが実情をよく聞いて善処してくれるそうだ――と煽れば、旅費ももらえることだし、その気になる農民が何十万か百万近くはいると思うのです。

 あとは生活苦の定年退職者とか労働争議やリストラに直面している労働者が道々合流してくるでしょう。凄いことになるんじゃないでしょうか。あ、もちろんプレス帯同で。

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 あとやるとすれば、不満を抱える農村とか労働争議の起きている工場に工作員を潜入させてオルグ活動を展開することでしょうか。――て、よく考えたらそれって中共が政権とる前にやっていたことじゃないですか(笑)。

 どこからかまた毛沢東みたいなのが出てくるんですかねえ。

 それで中共を打倒して、新国家成立を宣言。でもしばらくしたら本業を脇に置いて屑鉄作らせたりとか、雀根絶運動とか、あとは何とか語録とかいう手帳を振り回してバカ騒ぎとか。あの手帳、今度は何色になるのでしょう。

 まあ与太話(※3)ということで。


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 【※1】http://phone.souqi.net/down/uploads/girlstepanimationgfixed.swf
 【※2】「広東省掲陽市で暴動、建物や消防車など全焼」(2004/11/14)
 【※3】ええ、冗談として書いた訳ですが、これがもし中国で、私が中国国内在住の中国国民であれば、たとえシャレで書いたものであっても、海外のサイトに発表したものだとしても、まず間違いなく「煽動国家政権転覆罪」の政治犯にされるでしょう。さらに「反革命」なる罪状がつくかも知れません。これは真面目な話。中国とはそういうところです。「見た目は多少垢抜けてるけど服を脱いだら北朝鮮だった」ぐらいに思っておくといいかと思います。



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 9月の四中全会で江沢民が政治の第一線から引き下がり、名実共にした胡錦涛政権が成立した訳ですが、この新政権になってから政策が大きく変わったもののひとつに、反日度のレベルダウンがあります(反日をやめたとか、親日に転じたという訳ではありません。念のため)。
 具体的には、ネットにおける反日言論やマスコミの無用な反日報道を抑制するというもので、そういう内部通達が関係各部門に回ったのだと思いますが、内部文書だけに私たちが目にすることは不可能です。

 ただ、『読売新聞』(2004/10/03)が先月に、また最近では『毎日新聞』(2004/11/09)が報じたように、メディア監督部門の責任者がそれを示唆あるいは明言しています。

 ――――

 これを機に、いわゆる反日サイトや天下国家を語る板(反日基調)において、反日言論が激減しました。

「根拠のない反日言論、罵倒だけの反日は即削除」

 とするよう各掲示板にお達しがあったようで、それだけで反日スレが激減するというのは、これまで反日信者である糞青が、いかにマトモな反日スレを立ててこなかったことの証左といえるでしょう。

 で、前にも書いたように(※1)、自称愛国者の癖に中国社会の病弊には見て見ぬふりをし(本当に見えていないのかも知れませんが)、反日叩きを専らとしていた糞青に、小さな変化が生まれつつあります。元々ちゃんとした「反日」さえ立論できなかった連中が、反日のお預けを喰らって、ようやく自分の社会に目を向け始めたということです。
 ええ、もちろんごくわずかな変化でしかありませんが、統治者にとっては面倒なことでしょう。ですから最近、ネット統制がより強化されている訳です。まずは基点潰しということで、ネットカフェ取り締まりに力が入れられています。強制閉鎖された反日サイトもあります。

 ――――

 以上はネット世論の話ですが、マスコミにも無用な反日報道はやめろとのお達しが届いている訳です(※2)。

 中国のマスコミの内情には詳しくありませんが、常識的に考えて、第一線に飛び出して記事を書く記者というのは、20代半ばぐらいから30歳ぐらいが主力でしょう。25歳なら15年前は10歳。30歳でも15歳です。――あ、天安門事件(六四)のときの年齢のことです。

 要するに、システムとして反日教育なり反日キャンペーンなりが実施された時期に育った「江沢民チルドレン」(私は「亡国の世代」と呼んでいますが)がマスコミの最前線にいる訳です。

 ウズウズしていると思うんですよ。反日記事が書きたくて。それが止められているし、新聞・雑誌などの紙媒体はネットと違って紙面に掲載されるまでにいくつもの関所をくぐらないといけませんから、書いたとしてもどこかで没にされてしまう。

 フラストレーション、たまっていると思うんです。

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 例えば最近、日本人観光客(57)が中国で事件を起こしました。あっまた「団塊の世代」かよ――なんて言ってはいけません(笑)。さてこの男性、中国国内の報道によると、酒に酔ってホテルに戻った後、今度は窓から屋根へと登り始め、ついにてっぺんまで行くとそこで何やら喚き出したそうです。うるさくもあり、危険でもあります。みんなで口々に降りるよう言うのですが、そこは酔っ払いだけに言うことなんか聞きやしません。
 そこである中国人が屋根に上がって彼を連れ戻そうとしたのですが、例の男性、今度はその中国人に蹴りを2発。これが見事に決まって、中国人がアイヤーと言ったかどうかは知りませんが、転落、重傷、病院で死亡です。

 その初審が最近ありまして、被告の日本人は「故意傷害」罪で懲役12年の実刑判決です。
 http://news.sohu.com/20041112/n222959070.shtml

 日本なら過失致傷ではないかと思いますし、12年は重すぎるようでもあります。被告人は控訴するようですが、上に書いた事件経過が事実であれば、こういうのは死刑でも構いませんね。

 で、この事件と事件後の裁判、どう報道されたかというと、特に目立つ扱いも受けず、他の中国人の犯罪案件と並んでごく普通に報じられました。淡々とした感じです。その気があれば日本における酔漢の犯罪、中国に来る日本人観光客のマナーの悪かった事例、そして集団売春と特集のひとつくらい組めそうですが、そうならなかったのはお達しがあったからでしょう。

 若手記者、フラストレーションがたまっていると思うんです。で、ここからは私の神経過敏かも知れませんが、次のような記事が出てきます(あ、ようやく前フリが終わりましたね)。

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 ●北京一狂本田連撞5人 司机棄車逃逸尚未帰案
 http://news.sohu.com/20041102/n222795763.shtml

 11月1日の朝、北京でわずか6kmの間に5人を轢いた上逃走するという悪質なひき逃げ事件が発生し、犯人は車(ホンダ製)を捨てて逐電。指名手配されましたが、その後どうなったかは知りません。で、その事件に中国新聞網(華僑向けの通信社・中国新聞社のニュースサイト)がつけたタイトルが、上記のものです。
 犯人は車を乗り捨てて逃走しているので、ホンダかどうかなんて全く関係ないと思うのです。字数が制限されるタイトルなのだから、もっといい書き方がある筈です。――と思っていたら、地元紙『北京晨報』は下記のような見出しです。

 ●北京一狂司机6公里連撞5人 車主搶鑰匙被推開
 http://news.sohu.com/20041102/n222812723.shtml

 これが普通の報道というものでしょう。わざわざホンダを見出しに持ってくるところに、記者の鬱屈した感情をみてとるのは……やっぱり私の考え過ぎかも知れませんね。
 まだあります。

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 ●北京一肇事司机抜槍恐嚇受害人 為日産気槍
 http://news.sohu.com/20041102/n222793752.shtml

 これも交通事故ですね。車で人をひいた犯人が、被害者に銃を抜いてみせて脅した、というもので、その銃が「日本製空気銃」だった、というものです。「日産」(日本製)をタイトルに加えた意図が奈辺にあるのか、知りたいものです。ちなみにこれは『北京娯楽信報』。

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 最後に、謎めいた文章を。タイトルは適当に訳したので雑です。

●雅趣があり礼節もある日本人の酒 「乾杯」のかけ声は飲み干す意味に非ず
http://news.sohu.com/20041119/n223075701.shtml

 これは『人民日報』の文章が一昨日、捜狐に転載されたのを拾ったものです。研修で東京に行った作者が日本人と酒のかかわり合いを紹介するという一件紀行文風で、日本や日本人をくさすところもないのですが、最後までその調子でいったかと思うと、ラスト1行で唐突に、

「日本人は酒を愛するが、政治の場であれビジネスの場であれ、日本人が間抜けなことをやらかしたことはない」

 と言い捨てて終わるのです。どうもこの一行が書きたくて延々と日本の酒文化礼讃を書いたようでもあります。
 これには当の中国人も判断がつきかねているらしく、記事付属の掲示板では「日本文化の礼讃者だ」という者もあれば、結語を捉えて「その通りだ。日本人には決して油断してはならない」という者もいました。

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 深読みしすぎかも知れませんが、私自身はこれらの事例、フラストレーションのたまった反日記者が鬱憤を散じているものだと思うのです。如何でしょうか?
 重要なことを付言しますと、一昨日あたりから、無用な反日報道ではないのですが、反日に偏してバランスを欠いた記事がマスコミに出始めています。気になる兆候です。


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 【※1】「『日本叩き』に当局が圧力、メディアに加え反日サイトにも(上)」(2004/10/16)
     「漂う糞青に変化?盗んだバイクで走り出せ!」(2004/10/17)
     「副作用」(2004/10/24)
 【※2】「『日本叩き』に当局が圧力、メディアに加え反日サイトにも(下)」(2004/10/16)
     「踏ん張る胡錦涛、『反日』抑制は続行中?」(2004/10/22)
     「抵抗勢力」(2004/10/23)



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 とりあえず速報しておきます。

 「原潜出現は崩壊の予兆?」(2004/11/11)の末尾でふれた『解放軍報』の評論ですが……などと言っていても仕方がないので、まずその部分を改めて掲載します。

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 ところで今回の件(中国原潜による領海侵犯)と関係あるのかどうかは知りませんが、人民解放軍の機関紙『解放軍報』(10日付)に興味深い論評が出ています。
 http://www.chinamil.com.cn/site1/xwpdxw/2004-11/10/content_63421.htm

「長期間にわたって人民を満足させるような仕事ができず、民衆によりよい生活をさせられないような執政党が、時代と人民によって淘汰されるのはごく当たり前のことだ」

 などと書かれているこの論評、果たして胡錦涛の唱える「執政能力の強化」に和しているのか、それとも最近の社会の混乱を見かねて胡錦涛ら現指導部に苦言を呈した、ひいてはある種の警告?――とあれこれ考えさせられる文章です。真意はどこにあるのか未だわかりませんが、わからないままに書き留めておきます。

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 で、この評論、真意は未だにわからないままですが、何とアレンジが施されたバージョンで新華網に掲載されました!
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2004-11/19/content_2237988.htm

 このグレードアップには正直、驚いております。誰が何の目的でこの文章を拾い上げ、国営通信社のサイトに掲載したのか。

 実は一昨日あたりからちょっと気になる動きがありまして、気のせいかも知れないけど今度ここに書いておこう……と思っていた矢先なんです。もちろんそれはそれ、これはこれで関連性を持つものではないかも知れませんが。

 まあ、驚いた頭で物事を考えても用をなさない(平素でも愚鈍なのに)ものです。
 とりあえず仕事も片付いたので、寝ます。



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 APECでやるみたいですね、日中首脳会談。

 といっても会談にはまだ間があるようですから、中国外交部の記者会見をここ1カ月ばかり振り返ってみることにしますか。

 以下、緑色は記者、青は外交部報道官の章啓月女史です。

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●10月11日

「靖国問題が解決されない限り、日中首脳会談はないのですか?」

「わが国は以前からずっと日本との関係を非常に重視していまして
(中略)……日本側が『歴史を教訓にして、未来へ向かって前向きに』の精神に基づいて(中略)……具体的な努力を示してほしいと(後略)
 
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2004-10/12/content_2082563_2.htm

 ――靖国問題について真正面から質問してきた記者に対し、外交部側は歯切れの悪い回答です。歯切れが悪いのは、この件に関して「靖国神社」という単語を使うことが許されていないからでしょう。

 「具体的な努力を示すこと」が恐らく靖国参拝中止を意味するのだと思いますが……御苦労様です。

 ――――

●10月19日

「日本の小泉首相がきのう国会で、靖国神社を参拝するのは日本が戦没者を哀悼するというやり方だ、哀悼の仕方は各国によって異なる、中国がなぜ参拝に反対するのか、その理由が理解できない、と発言しました。この件に関する中国側のコメントをお願いします」

「中国側は以前からずっと、中日関係の政治的な基礎はあの時期の歴史を正確に認識し向き合うことだと考えています。日本の指導者が中日関係という大局に鑑み、中国人民の感情を傷つけるような言行を慎むよう願っています。この問題をどう処理するかは中日関係が前向きに発展できるかどうかに影響を及ぼします。日本の指導者には慎重に事に当たってほしいところです」

http://news.xinhuanet.com/zhengfu/2004-10/20/content_2113546.htm

 ――王毅が駐日大使に就任したころですね。そのための挨拶回りや記者会見を王毅がしている間に、小泉首相は上の発言。王毅ひいては中国にとって、顔に泥を塗られた気分でしょう。

 が、いよいよ「靖国」を前面に押し立てて迫る記者に対し、章女史は抽象的な言い回しに終始します。

 もちろん前回同様、「靖国神社」を口にすることはできません。

 どうしてかって?多分そのカードを切ったら最後、中国の手元には何もなくなってしまうからでしょう。

 ――――

●11月11日

「で、今度のAPECでの首脳会談はあるんですか?」

「両国首脳の接触や会談は中日関係にとって重要ですが、我々としては、日本側がそのために良好な雰囲気と条件をつくり出してほしいと考えています」

「いまは両国間の雰囲気が悪いから、首脳会談を行うことはできない?」

「さっきお答えした通りです。同じことを2度繰り返したくはないですね」

 http://news.xinhuanet.com/zhengfu/2004-11/10/content_2197930.htm

 ――このあたりからAPECでの首脳会談が焦点になってきます。原潜で領海侵犯をしておきながら、「日本側が」云々とは盗人猛々しい理屈です。最後の発言も冷たいですねえ。章啓月女史、虫の居所が悪いのでしょうか?今日の体育は見学ですか?

 ――――

●11月12日

「APECの期間中に日中の首脳が会談するかどうかについて、中国政府はもう何らかの決定をしてます?」

「前回も言いましたが、中日両国首脳が国際会議の期間中に会談するかどうか、これは双方の努力によるものです。我々としては、日本側がそのために良好な雰囲気と条件をつくり出してほしいと考えています」

http://news.xinhuanet.com/zhengfu/2004-11/12/content_2208576.htm

 ――相変わらず日本側に要望するばかりなのですが、一方で「これは双方の努力によるものです」という一句が目をひきます。原潜問題で風向きが悪くなってきたのを反映しているのでしょうか。

 ――――

●11月16日

「APECの期間中、中日両国の首脳会談は行われますか?もし会談が行われなかったら、中日関係はより悪化するということでしょうか?」

「会談の問題については、もう何度も言っていますが、我々中国側は、両国首脳の接触や会談を重視しています。ただそのためには良好な雰囲気と条件が必要です」

http://news.xinhuanet.com/zhengfu/2004-11/17/content_2226998.htm

 ――何度も同じことを尋ねられる章さんも大変ですねえ。でも、ここにきて「両国首脳の接触や会談を重視しています」がついに来ましたね。「首脳会談、本当はやりたいんだけどさ」ってことのようです。「ただそのためには良好な雰囲気と条件が必要です」とは言うものの、日本側の努力が肝心という従来の物言いは消えています。

 ――――

●11月18日

「日本政府はAPEC期間中の22日に日中首脳会談が行われると明らかにしていますが、この件について、中国側からのコメントをお願いします」

「日本のメディアがその件に非常に注目していることはわかっています。中国側としては、両国首脳の接触や会談を重視しています。ただ何度も言っているように、首脳会談には良好な雰囲気と条件を整えることが必要です。それについて、両国の外交当局が話し合いを重ねているところです」

「首脳会談には良好な条件が整うことが必要、とのことでしたが、現在の状況はその条件を満たしていると考えますか?」

「中日関係をどうやって安定的かつ前向きに発展させるか、これについて中国側の立場は非常に明確です。中国は日本と長期にわたる安定的な善隣友好関係を築いていくことを重視しています。「歴史を教訓に、未来へ向かって前向きに」という精神に基づいて関連する問題を処理していくべきだと思います。両国首脳の会談を実現するにあたっては、良好な雰囲気と条件を整えることが必要だと考えます」

http://news.xinhuanet.com/zhengfu/2004-11/19/content_2235597.htm

 ――これが現段階で最新の記者会見です。一気に雰囲気が高まったという感じですね。こうして時系列で並べてみると、中国側の対日姿勢の微妙な変化がわかって面白いです。

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 で、どうやら19日の日中外相会談などによると会談実現の運びとなるようですね。

 章女史は首脳会談の実現について、「良好な雰囲気と条件を整える」ことが肝心、と再三力説していましたが、その機は熟したということなのでしょうか(笑)。

 19日の人民網及び新華網から関連記事を出しておきましょう。どちらも中国に都合よく書かれた内容なので読まない方がいいかと思いますが、首脳会談開催を暗示した内容となっています。

 ●中日会談:小泉氏がこの善意に応えんことを待つ(人民網)
 http://www.people.com.cn/GB/shizheng/1026/2999640.html

 ●李肇星外相が日本外相と会談(新華網)
 http://news.xinhuanet.com/world/2004-11/19/content_2236852.htm

 ――――

 こうした流れをみてきて印象的なのは、本来色々あった筈の日本をいじめるカードが、気がついたら中国にはもう「靖国」しか残っていなかった、ということです。

 その「靖国カード」にしても切るに切れないで、結局は首脳会談開催の前提条件にも使えなかった(現時点の情報によれば)。だって小泉首相がまた参拝すれば意味を持たなくなるばかりか、中国国内における胡錦涛政権への支持率がガタンと落ちること請け合いですからね(靖国参拝を止められなかった、という理由で)。カードというより、アキレス腱。

 それから、ひとつには日本が従来と違って毅然とした態度を見せたこと。

 もうひとつは日本国内で中国に和する勢力が退潮の一途をたどっていること。

 この2つの変化も現在の日中関係に深く影響しているように思います。

 考えてみれば今年は中国にチョンボが多かったですね。尖閣上陸者の逮捕、アジアカップ、東シナ海での資源紛争、原潜の領海侵犯……など、日本側を利する出来事が多かったように思います。

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 何か「ゆく年くる年」モードになりつつあるようなので、気合いを入れ直す意味で燃料を投下しておきます。

 ●対中関係における日本の本末転倒(中国青年報)
 http://zqb.cyol.com/gb/zqb/2004-11/18/content_990229.htm

 はい、胡錦涛御用達の広報紙『中国青年報』に出た評論です。内容は、まあ章女史が口を濁した部分を言いたいだけ言っているという感じですね。プロの記者が書いているとすれば、若手で電波ゆんゆんな江沢民チルドレンが書いたんだろうなあ……というのが率直な感想です。

 でも腐っても『中国青年報』ですからねえ。現時点で日中首脳会談を行うことに賛成しない向きもある、つまり指導部内での意思統一がなされていない、と読むことができなくもありません。

 この文章が指導部内の主流意見なら、首脳会談は中国がドタキャンすることになるでしょうね。

 あくまでも、「もしこの文章が指導部内の主流派の声を代弁しているなら」、ですけどね。

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 ちなみに上の文章を基に『毎日新聞』が記事を書いています。

 ●<原潜領海侵犯>「日本は騒ぎ過ぎ」中国青年報
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041118-00000129-mai-int

 あの原文をどう読むとこういう記事になるのか、理解に苦しみます。




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 ひょっとするといまの中国人民にとってのトレンドなんでしょうか?

 いや、暴動・デモ・スト・座り込みの類です。最近本当に多い。重慶・万州区の暴動とか、河南省の民族衝突とか、何だか随分前のことのように思えませんか?

 その多くは政府による土地の強制収用にまつわるトラブルが原因ですね。
 土地を取り上げておいて、ロクに補償金を出さない。役人がその一部を懐に入れてしまったり、開発業者と結託して評価額を不当に抑えたりして、農民に渡すカネが雀の涙になってしまう。それで文句でも言ってきたものなら、これまた役人と結託している公安さん武警さんの出番。殴る蹴るを繰り返して農民の陳情しようとする意思を無理矢理潰してしまう。

 あと移転先がひどい場所で耕作に不適で、農民は仕方なく民工(肉体作業者)になるしかない。重慶・万州区は三峡ダム建設に伴い泣く泣く農業から転じた移住者が、たくさん住んでいる街だそうです。

 で、そういう事例が沿海部・内陸部を問わず頻発していることは、これまで紹介してきた通りです。

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 あとは民工への給料未払いとか遅延による事件。
 最近新華網に出ていた記事なんですが、天津が何やら自慢してるんですよ。
 http://news.xinhuanet.com/fortune/2004-11/14/content_2216659.htm

 大意だけ訳しておきますと、2003年末までの民工に対する給与未払い分合計12.09億元を、天津市は全国に先駆けて8月31日にまでに解消した、ということです。

 いや先駆けてって言われても……それって自慢することなんでしょうか?

 12.09億元が民工たちが手にすべき給与の何%になるかは知りませんが、天津市が胸張って高らかに宣言しているところをみると、半年以上遅延するケースが一般的なんでしょうね。

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 で、こうした民工問題、これも農民絡みですね。民工といっても色々な職種がありますが、最も典型的なのは建築業でしょう。それについて中国海員建設工会全国委員会というのが調査を行っています。
 http://news.xinhuanet.com/fortune/2004-11/10/content_2201328.htm

 それによりますと、建築業に従事する農民は約4000万人、これは民工になっている農民の3割以上で、建築業の最前線においては9割以上が農民だそうです。
 その特徴たるや何かといえば、
 ●年齢はふつう18~50歳、このうち30歳前後が6割以上。
 ●初級中学(中学)以下の学歴保有者が6割以上。
 ――とのことで、学がないため、まとまって何かやろう(組織活動とか)とする意識が低く、自分の権益を守るという意識に乏しい(守る術を知らない)。このため損をする目に遭うことが多いそうです。ロクに契約を結んでいないケースも相当あるとか。

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 各地の農民が自発的に政治的活動に出る――暴動、デモ、陳情などですが、これは驚くべきことです。規模と発生地の広範さからみて、中国建国以来初めての事象といっていいのではないでしょうか。
 中共の基盤が揺らいでいる訳です。
 このうえ都市部に出ている民工が団結して組織的に動き出したら、一体どうなってしまうのでしょうか。楽しみですねえ(笑)。

 まあ農村の問題にせよ民工の問題にせよ、現状の経済モデルで改革・開放を続けていけば必ずぶつかる性質のもので、胡錦涛政権は成立早々、その難題に直面する破目になっている訳です。まあ誰がやっても解決不可能だと思いますけどね。
 簡単にいえば、今までの経済成長は農村と農民を犠牲にすることで成立してきたものです。農村と農民を大事にしてしまうと、従来の成長システムが一挙に崩れてしまう。外資も逃げる。

 「世界の工場」といっても、内実は「世界の組み立て工場」にすぎませんからね。プレステ2とかが好例です。チップとか大事なところはみんな日本で生産して、それを中国に持っていって組み立てる。中国は組み立てるだけですから、現状のままだとチップを作れるような域にはいつまで経っても到達しようがない。

 ちょっと筆が滑りましたが、胡錦涛政権はそういう際どさの上に成立しているものなのです。海外の中国知識人が集まる論壇で、「末代総書記」(ラストエンペラーみたいな意味です)と揶揄されるのも無理のないところです。



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  折角だからもうひとつ王毅ネタいきますか。就任後初めて総理大臣官邸に赴き、小泉首相に挨拶したときの話です。

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 政府関係者によりますと、この中で、王毅大使は、小泉総理大臣が就任以来、毎年靖国神社を参拝していることをとり上げ、
「A級戦犯が合祀されている靖国神社に政治指導者が参拝することは認められない」
 として、来年以降、靖国神社への参拝を取りやめるよう求めました。これに対し、小泉総理大臣は、
「日本では亡くなった人はみな神様、仏様になるという思想がある。両国の死生観の違いだ」
 として参拝を続ける考えを示し、要求を拒否しました。
 http://www3.nhk.or.jp/news/2004/11/13/d20041113000018.html(リンク切れ)

 ――――

 私は外交上の習慣とかわかりませんが、顔見せ・挨拶である初回からこんなに斬り込んでもいいものなんでしょうか。王毅君かなり焦っているみたいですね。応対する小泉首相は何やらふわふわした回答で、やっぱり王くんごときと比べれば役者が一枚上のようです。
 まあ、靖国問題が再燃したら胡錦涛政権としても内政上とても困ったことになるんでしょう。そう思わせる王くんの詰め寄りぶりでした。
 もうひとつあります。

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 山崎拓首相補佐官は9日、都内で中国の王毅駐日大使と会談した。
 席上、王大使は小泉純一郎首相の靖国神社参拝について「総理に靖国神社を参拝されては困る」と述べ、改めて不快感を示した。
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041109-00000381-jij-pol(リンク切れ)

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 これが事実なら大きく踏み込んだ発言です。通訳を介しての会見だったのかどうかは知りませんが、
「参拝されては困る」
 なんて、これじゃ抗議じゃなくて哀願ですからね。本当に「困る」って言ったのかどうか。
 まあ困っていることは事実でしょうが。
 本当に「困る」と言ったとして、その話が中国内に広まったら、これは面白いことになるかも知れませんね。

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 で、これに続くコメントが例の原潜事件にまつわるもので、原潜については一言もふれずにまた靖国問題を持ち出した、というもの(※1)。王くん王くん、君って本当に外交官?

 例えていえば、車で人を轢いておきながらそのことは棚に上げて、加害者のくせに被害者に向かって「お前がクリスチャンなのは許せない。改宗しろ」とか言うようなものでしょう。

 何だか中国も随分焼きが回っているようですね。
 でも報道によると今度小泉首相と胡錦涛が会うそうじゃないですか。
 会っても不思議ではないですね。外交部の定例記者会見では靖国には全く触れられていませんから、靖国参拝をやめることが首脳会談開催の前提条件ではないのです。
 まあ北京の外交部がそういう方針でも、胡錦涛政権にしてみたら、靖国という内政を不安定にする要因がなくなれば有り難いでしょうからね。
 出先の王くんはいろいろ働かないと駄目なんでしょうけどね。

 ――――

 そこで提案がある。王くんよく聞きたまえよ。
 中国といえば実事求是を旨とする国で、かのトウ小平も「実践は真理を検証する唯一の基準だ」とか言っているんだから、いっそのことまず靖国神社に行ってみなさい。いや参拝までしなくてもいい。私みたいに零戦を眺めながら遊就館で海軍コーヒーを飲むなり海軍カレーを食してごらんなさい。
 何なら私が零戦について解説してあげてもいい。零戦開発に血のにじむような努力を重ねた技術者たちの執念と、この名機を手に入れんがために(慣熟するために)日夜激しい訓練を重ねた搭乗員たち……君の日本に対する理解が深まる筈だ。
 で、話はそれからだ。
 まあ君が何と言おうと、回答は「内政干渉はやめろ」なんだけどね。


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 【※1】「王毅よ、田舎町でビール飲んでる場合か?」(2004/11/17)



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