日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 チナヲチ(中国観察)をやる上での必須条件のひとつは継続することだと思います。要するに情報収集を毎日欠かさずやらなければなりません。いまはネットで古い記事をある程度掘り起こすこともできますが、それ以前の紙媒体に頼っていた時代は新聞を買い損ねたらもうそこまでです。

 何が言いたいかといえば、東京を留守にしていたので私はここ数日、マトモな形で中国情報に接していません。一種の時差ボケです。いまその穴埋めをしようとしているのですが、仕事もあってなかなか思うようにはいきません。

 で、とりあえずニュースを扱うのは明日(10月31日)以降ということにして、前々回のコメント欄で「いとのこ」さんから頂いた御質問(下記)について馬鹿なりに考えてみました。回答になるかどうかは甚だ疑問なのですが。

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 この記事については?(いとのこ)2005-10-28 04:04:54

 よく行く「中国という隣人」の
 ttp://blog.goo.ne.jp/aquarellisute/e/89f23c11d144b16614857cb1b212ccc6
 で出てたのですが、
 ttp://gb.chinabroadcast.cn/2201/2005/10/21/145@748507.htm
 と、言う記事があるところで削除されてたという。
 ご家人さん的にはどんなところか拝聴してみたく投下。
 削除された割には結構あちこち残ってるみたいなんですが。

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 当ブログのコメント欄でお馴染みの「aquarellisute」さんのブログですね。削除云々については「aquarellisute」さんが再解釈をなさっているので、私は記事そのものについて考えてみることにします。

 まずは「aquarellisute」さんと「いとのこ」さんに感謝です。実は私、こんなサイトがあること自体知りませんでした。毎度のことながら素人の悲しさです。発信元は「世界新聞報」、いわゆる「北京放送」の電子版みたいなものなのでしょうか(エスペラント語のページもありますね)。

 http://gb.chinabroadcast.cn/2201/2005/10/21/145@748507.htm

 で、この記事から受けた印象ですが、一言でいえば「燃料志向の粗悪記事」ですね。

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 「燃料志向」とは言うまでもなく「反日」煽りを狙った可能性が高いということです(煽りでなければ記者が義憤?したもの)。いま中国マスコミの第一線で駆け回ったり記事を書いているのは悪名高き「江沢民チルドレン」です。たぶんデスクあたりまでは完全にその世代でしょう。

 みんながみんなそうだとは言いませんが、この業界は「問題意識」(笑)の強い連中が多いので、「糞青」(自称愛国者の反日教徒)の比率が高くなります。まあ反日記事を書いてそれで給料をもらっているのですから「珍獣」(プロ化した糞青)と言うべきですか。政府批判ができないから「反日」で憂さ晴らし、といった手合いも少なくないでしょうけど。

 要するに珍獣の書いた記事です。たぶん小泉首相による靖国神社参拝(10月17日)に憤激し(笑)、さらにそれに対する中国政府の弱腰(外相会談キャンセル、ではなく延期w)にも我慢がならず、熱き血潮ををたぎらせてしまったのではないかと思います。頭に血が上った状態で書いた記事、といっていいでしょう。

 その証拠に、この記事に出てくる王毅・駐日大使の抗議も李肇星・外相の抗議も参拝当日の17日に行われています。孔泉・外交部報道局長による定例会見は翌18日。それなのにこの記事が出たのは21日でしょう?何を今さらなのです。要するにこれは旧聞であってニュースではありません。

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 記事いわく、その定例会見には多くの日本マスコミが押し掛け、会見がスタートして13分目に飛び出した「外相会談延期」という報復措置(ショボすぎ)に揃いも揃って慌てふためき、相争って携帯電話で日本に報告したということになっています。

 実際にそうであったのかどうかはともかく、なぜこのあたりの描写が妙に丹念なものになっているかというと、糞青にここで溜飲を下げてもらうためです。

「へっ慌ててやがる、ザマーミロ小日本」

 てなところでしょうか。たぶん記者も溜飲を下げているところでしょう。

 実際「愛国者同盟網」「中国民間保釣連合会」など大手反日サイトの掲示板では「外相会談拒否」に「よくやった!」というレスがたくさんついていました。これは糞青の知的水準を示す出来事で、ある意味重視すべき事態です。だって私のような素人でしかも外国人が「キャンセルでなくて延期じゃん」と指摘できる(その正否はともかく)のに、糞青どもは「延期」の報道だけで舞い上がってしまっているのですから。

 中国語であれば
「取消」(キャンセル)を使ってもいいのに中国政府はなぜより穏当な「推遅」(延期)を選んだのか。取りあえずそこで立ち止まって意味合いを考えるべきなのに、それができない。新聞の行間が読めなくなったという点で、中国の若い世代の民度はそのひとつふたつ前の世代より深刻に低下していると指摘せざるを得ません。まあ糞青レベルの知能を若い世代の代表とするのは不穏当かも知れませんけど。

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 「粗悪記事」とも書きましたが、これは上述したようにニュースではなく、タイムラグがかなりあるので配信されても扱いに困ってしまうからです。しかも一応「燃料」(煽り目的)なのに、煽り自体も実に中途半端、というか幼稚です。「取消」より「推遅」を選んだ指導部の意図を慮れば、これを大きく扱うことはためらわれるところでしょう。あるいはそれ以前の問題として、粗悪炭(大袈裟に煙を吐く割に火力に乏しい)なのでスルーされるケースが多かったのかも知れません。ちなみに国営通信社のサイト「新華網」では一顧だにされていません。

 町村外相が王毅に頭を下げているかのような構図の写真ですが、記事の発信元である「世界新聞報」では明らかに意図的に選んで使ったのでしょう。稚気です。記事が記事ですから(笑)。転載先で写真が使われていないケースがあるのは、単に編集者が美術部隊(割付役)と相談して、

美術「これじゃレイアウト崩れるよ」
(少なくとも右端には置けない構図の写真です)
編集「じゃ写真なしでいいから」

 という会話が行われたように思います。そうではなく
「これ余りにオトナ気ないよ」という分別のある判断が行われたケースも考えられますし、分別ある判断を必要とした、つまり党中央の腰の弱さ(対日姿勢)と定まらなさ(政情不安)を考えて取りあえず使うのをためらったのかも知れません。

 「粗悪」である理由をもうひとつ挙げれば、発信元の「世界新聞報」で使われたこの写真が来歴不明ということもあります。キャプションはあっても、撮影者が明記されていません。これは中国のネット報道でも「よくあること」ではありません。そういう基本もなっていない。うさん臭い訳です。

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 以下はこういうケースで私がしばしば引き合いに出すものですが、日中関係の原点は
「日中共同声明」など3つの政治的文書(中国語では「『中日聯合聲明』等三個政治文件」)ということになっています。中国側からの抗議でこれが引っ張り出されるほど怒りのメーターが上がっているという目安のようなものです。

 一例として、2003年末に森喜朗前首相が台湾を訪問して李登輝氏らと会見したときの抗議声明は、

「『中日共同声明』など中日間で取り交わした3つの政治的文書の
基本原則を遵守するよう要求する

 であり、「違反した」「背いた」とは言っていません。これが昨年末の李登輝氏来日に際しては、

「『中日共同声明』など中日間で取り交わした3つの政治的文書の
基本原則に背いたもの

 とヒートアップしています。李登輝氏訪日は森氏訪台よりも外交上の重大事、と中共政権がみている証拠です()。

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 ところが今回を含め首相就任以来過去5回行われた小泉首相の靖国参拝、これに対する中国政府の抗議声明にはこの「『中日共同声明』など中日間で取り交わした3つの政治的文書の……」が出てきたことがありません。前回もそうですし今回もそうです。今回の参拝当日に出た中国外相の声明も、

「小泉首相は自らの過った行為によってもたらされる深刻な政治状況についての責任を負わなければならない」

 と、ここまでです。例のフレーズが出て来ないのは、小泉首相の靖国参拝が「『中日共同声明』など中日間で取り交わした3つの政治的文書」に照らしても、その精神にも基本原則にも背いてないからでしょう(笑)。

 牽強付会のパワープレイで無理矢理こじつけてもいいのでしょうが、それができない理由が中国側にはあるということです。それが何なのか、例えば経済問題だったり政治的なお家事情だったりという詮索は主題から逸れますのでここでは措きます。

「(駐日中国大使館の)新聞処筋が明らかにしたところによると、王毅大使の今回の抗議は最もランクの高いもの。過去に似たような事件が発生した際には大使館から(日本の)外務省次官クラスに対して抗議を行っていた。今回は大使が自ら町村外相に抗議したことで、中国政府による抗議の厳しさを際立たせている」

 と問題の記事には書いてありますが、ウソをついてはいけません(笑)。最高ランクなら
中国政府による駐日大使召還があるじゃないですか。たぶんこれも中国側の弱腰を取り繕っているのでしょうけど、虚言はいただけませんねえ。という訳で、「中国人民に対する重大なる挑発」なんて王毅声明は日本にとって痛くも痒くもありません。

「『中日共同声明』など中日間で取り交わした3つの政治的文書に……」

 も口に出来ない時点で王毅も李肇星も孔泉もヘタレです。思い切って口に出してもいいのですが、昨年の李登輝氏の一件同様、いくら恫喝しても手札がないから結局は吠えることしかできません。それで「もうおしまい?」(2005/01/09)みたいなことになります。

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 だからなのかどうか、今回の参拝に対する中国メディアの反応は実に抑制されていましたね。現今の社会状況や経済状況、また胡錦涛政権の基盤の弱さを反映したものでしょうが、李登輝氏訪日に関する一件で学習した部分もあるかと思います(日本が動じなかったという点です)。

 いずれにせよ、そういう状況が不満で珍獣記者がつい鬱屈を散じた、というのが「粗悪炭」が唐突に出現した実情ではないかと私は思います。

 抑制されているといえば、例の「香港は燃えているか?」(2005/10/25)で香港各紙が揃って騒ぎ立てた町村発言も「新華網」以下中国国内メディアは地味に扱って流してしまいました。そのうち蒸し返されるかも知れませんけど、もし本当に蒸し返されたら、そのときは党上層部で軍部も含めた政治的変動(主導権争い)が起きていると考えていいでしょう。



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 更新が滞ってしまい申し訳ありません。ちょいと御江戸を離れて上方の方へ行っておりました。

 香港や台湾から東京へ出張していたころはともかく、現在のように自宅で仕事をすることが多くなってしまうとモバイルも何もあったもんじゃありません。

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 ちょうど仕事で行く用事があったのと、香港誌の編集長が来ていたのでちょいと副業の打ち合わせなどを。いや香港人に嫌われる拡声器を紙媒体に置こうかなと思いまして。ただ嫌われすぎて不買運動などを起こされても編集長が可哀想なので、そこら辺の擦り合わせに検討を重ねました。

 紙媒体の業務用拡声器(これも副業)、実はすでにひとつ持っていまして、最近書く気がしないので放ってあるのです。

 これは一種の専門誌?なのですが、最近号を入手して目次を見たら私の拡声器が「今回は休載」となっていたので笑ってしまいました。もう2年ぐらい書いていないのに(笑)。こちらも復活させないとならないようです。

 そんな訳で少し忙しくなりそうです。ああそういえばまた年末進行の季節がやって参りました。旧正月までは地獄が続きます。

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 そういえば鳥インフルエンザがいよいよ中国上陸を果たしたようですね。香港紙をざっとみて回ると早くも「当局が隠蔽している」モード全開なので笑ってしまいました。まあ香港も渡り鳥が憩う場所のひとつなので他人事ではないのでしょう。

 今回も中国肺炎(SARS)のとき同様、WHOにタイミングよく渡航自粛勧告のようなものを出してもらいたいところです。靖国パンチでよろめいたところにbird-fluキック。さらに渡航自粛勧告の踵落とし。それにしてもイベントが続くものですねえ。やっぱり日頃の行い、ってやつでしょうね。

 ともあれ東京に戻ってきましたのでまず取急ぎの御一報。月曜にはブログへの復帰を果たしたいです。



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