一週間ばかり、中国と直接関係のないことに首を突っ込んでおりました。本業は相変わらずダラダラやっていますが、単発の副業仕事が入ってそれに没頭。
納期守って約束通りの仕事をしたら、作業の割には過分な報酬を頂きました。折しも配偶者は香港へ帰省中。おおお、これぞ正に天与の機。……てな訳で大散財。デジカメだのストロボだのプリンターだの外付けハードディスク2台……などを購入して仕事環境の向上を実現しました。
それからカレン族・Lさんとの「朝食会」が盛り上がっています。互いにやることがあり頻繁に開けるものでない分、毎回とも密度の濃い内容です。
Lさんのお陰で、私はミャンマー(ビルマ)の軍事政権に弾圧されている少数民族という視点から中国を眺めるという稀有なポジションを持つことができました。LさんはLさんでカレン族としての思いが強く、また日本在住ゆえ日本人にもっと事態を知って欲しいという気持ちがあったようで、互いに渡りに船といったところでしょうか。
Lさんによると、軍事政権は中国からの資金・武器援助によって装備の強化を進めており、最近は難攻不落と信じられていたカレン族の一拠点が、中国からもたらされた火器および化学兵器による軍事政権側の攻勢で陥落してしまったそうです。お決まりの人権弾圧も厳しくなるばかりとのこと。
日本人としては、中国がミャンマーを事実上属国化し、インド洋に出やすい港湾を租借することに神経質にならざるを得ません。その港に潜水艦や空母戦闘群を配備することで、中国は周辺海域における存在感を高められることになります。インド洋で通商破壊戦も行うことができるようになりますし、シーレーンという観点に立てばミャンマーは台湾と同等の価値を持つといっても過言ではないでしょう。
……そんなことを語り合っているうちに、
「御家人さんをカレン族の正月を祝う集まりに招待します。12月にやります。一緒に行きましょう」
とLさんが言い出し、いやでも私は外国人だし……などと言っているうちにLさんはミャンマーの家で留守を守っている奥さんに連絡し、Lさんの分も含む民族衣装2着が日本に届けられてしまった次第。うーん嬉しいのですがいいのでしょうか。
ともあれ、それなら私はカレン族の士気を高めるためのお土産を準備しないと、と考え、イラストレーターというソフトと組み打ちをしている間に一週間が過ぎていました。
取っ組み合ったついでにかようなロゴめいたものも作ってしまいました。「大毒草」とは御家人ブランドとでも申しましょうか、とにかくジャンルを問わず私の制作物全てに本来掲げるべき商標のようなものです。
ロゴ下の一節が気になるところでしょうが……ええ、そのまんまの意味です。あとは解釈次第(笑)。最近は外で活動することが増えてきたので、そのための名刺を制作する破目となりました。
デモとかOFF会に出たときにも便利ですし、コソーリ活動用の日本人名もつい最近、風水師のY老師に新たにつけてもらったので、衣替えのタイミングもちょうどよかったです。
――――
この一週間、自宅で仕事をしている間は私が贔屓とする「いきものがかり」の新しいシングルを聴いたりしていたのですが、それよりもニコニコ動画にハマってしまっています。
例によって「初音ミク」、ということになりますけど、この話題はずいぶん前に1回やって(あのときは盛り上がりましたね)、ちょっと前にニコニコ動画関連でもう1回、さらに最近も「初音ミク」メインで1回やっております。私自身は1回目のときに「オサーンホイホイ」を教えてもらい「HMO」さんの作品にのめり込んでしまいました。オケが安定していますし「高橋ミクヒロ」な調教上手にも魅かれたのです。
そのうちにCD発売=メジャーデビューを果たした「doriko」さんの楽曲が表現する「透明感&まっすぐ感&切なさ満点」に傾倒してしまいました。
いずれも歌い手は「初音ミク」なのですが、ニコニコ動画には「~を歌ってみた」というものもあり、これは「初音ミク」の部分を肉声で歌う、要するにカラオケ披露のようなものです。
これは歌う人によって声質や表現力が曲のイメージと見事にマッチしていると素晴らしい作品となります。「いきものがかり」は路上ライブからメジャー昇格となったのですが、歌うのが「初音ミク」であろうと生声であろうと、これはこれで路上ではなく「ネット上ライブ」といっていいでしょう。「doriko」さんその他のような実例もあります。
で、ここからが本題。その「~を歌ってみた」で「HMO」さんと「doriko」さんの作品を見事に歌い上げた人がいます。御存知の方も多いかと思いますが、女性ボーカルの「Φ串Φ」さんです。
私の場合は「HMO」さんの作品「電空少女」でその存在を知って色々聴いてみたのですが、表現力がこの半年で長足の進歩を遂げていて驚かされます。いまは単に上手に歌うだけではなく、楽曲の色に合わせて声に演技させるような技巧さえ身につけてしまっています。恐れ入谷の鬼子母神。
せっかくなので下に置いておきます。とりあえず私の好きな「電空少女」「モノクロアウト」「サンドリヨン」「夢一夜」をば。コメントがうざったい場合は画面右下に出るヒヨコ&吹き出しマークの「COMMENT」をクリックすれば消えます(推奨)。個人的には男性ボーカルとのコラボである「サンドリヨン」がたまりません。
いずれも原曲は「初音ミク」などボーカロイドが歌っているのですが、全てオリジナル曲であることも凄いと思います。
こういうレベルの高いものを作る実力派のアマチュア(同人)がプロに吸収されていきます。
●アマチュアでも高いレベルの人がいる。
●ニコニコ動画のような、アマチュアでも作品を不特定多数の「観客」の前で発表する場所がある。
●新人発掘を狙うプロ(業界)もアマチュアの動向にいつも注目している。
日本のACG業界が強い理由のひとつはここにあると思います。
……という趣旨のメッセージを私は香港に向けて折をみては発し続けているのですが、如何せん仕事仲間も読者もアキバ系止まりで次の段階に進めていません。一般には単に作品を云々するばかりで、業界を成長させる構造や社会的な要因まで考えが及びません。
悪い言い方になりますが、香港でサブカルチャーのメディアなんて賎業に携わっている面々は往々にして一般教養を含めて偏差値低いですし発想も貧弱で他の業界では到底戦力にならない連中。……といったことと無関係ではないでしょう。
わずかに現地メーカーのPCゲームのクリエイターやコミックの同人をやっている読者などが敏感に反応してくれる程度です。
「初音ミクのコスチュームってさ、あのDX7がモデルだって知ってた?」
と本業副業合計20数名の香港人に尋ねたところ、例外なく「それは何ですか?」「DX7って何ですか?」という回答が返ってきたときの無力感といったら……orz。そもそもこいつらの中で何か楽器を使えるのは私だけ。
まあ、いまはどうだか知りませんが、香港は英国植民地時代に教育を受けた連中は五線譜も読めませんし、アマチュアは発表の場すら満足に与えられていません。となれば当然ながら業界にもアマチュア層から新人発掘、という発想には行き着きませんので、さもありなん、といったところです。
アニメ・コミック・ゲームの略称である「ACG」に限っていうなら、東アジアにおいては「とてつもない日本」といっていいと思います。
たまたまレベルの低い香港や台湾で頼まれて文章を書いたら予想外の高い評価を得たことでつい安逸に流れ、何の分野であれその「とてつもない日本」に挑む好機をみすみす放棄した私は自業自得。賎業がお似合いです。……「初音ミク」に限らずニコニコ動画の秀作の数々を観るとどうしても、そのレベルに舌を巻く一方で、後悔に似た苦い思いをせずにはおれなかったりします。
だからといって酒色に溺れるなんてことはありませんが、もしかすると、このブログを書くことが一種の憂さ晴らしになっているのかも知れません。