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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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10年、20年、30年。
中国観察
/
2005-10-22 18:43:43
唐突な話ですが、インタビューというのは本来、喰うか喰われるかの戦いです。人間力の勝負といってもいいでしょう。
取材者というのは往々にして報道者を兼ねるものです。要するにインタビューしてきたことを自分で記事にする。インタビュー自体がメインという記事なら別ですけど、そうでなければ、あるテーマに基づいた記事を作るための一環としてインタビューをする訳です。
より不遜にいうと、取材される人の思惑はどうあれ、インタビューなんて記事の内容や説得力を高めるための「刺身のツマ」でしかありません。だからこちらが欲しい内容を喋ってくれればそれでいいんです。そもそもこちらが主題を設定して臨んでいる訳ですし。
……もし私が取材者であれば、きっとそういう不遜極まりないインタビュアーになっていたと思います(笑)。
――――
それはともかく、取材者と被取材者の喰うか喰われるかという話。人間力の勝負といいましたが、これはごく当たり前のことで、例えばインタビューされる人の話す内容をインタビュアーが理解できなければどうにもなりません。
逆に、インタビュアーの質問レベルが低くても被取材者からいい回答を引き出すことができない。極端な話、大人と子供の会話のようになってしまいます。
つまり、被取材者に対して互角に戦えるか、どうか。相手の力量に近い人間力を持つ記者にインタビューさせないと思うような取材が成立しないのです。
――――
以上は、前回のエントリーにコメントを寄せて下さった「ユキ」さんの文章に触発されてふと考えたことです。
「ユキ」さんは小泉首相に対するインタビュー、その一問一答の記事を紹介して下さいました。確かに某巨大掲示板の東亜板にもスレが立っていますね。以下はその記事です。リンクは切れてしまっているようです。
――――
小泉総理大臣の靖国神社参拝でさらに悪化した日中・日韓関係について小泉総理は19日夜、記者団の質問に答え、両国と何の障害もなく対話を続けられる関係を作り上げるためには、10年から30年が必要だとの認識を示しました。
記者「会談がキャンセルされては『対話』も進められないのでは?」
首相「いや、これは十分、進められます。短期的な視点ではなくて、長期的に考えたほうが良い」
記者「長期的とは?」
首相「10年、20年、30年」
また、「小泉総理自身の靖国参拝が、関係改善に向けた対話に影響を与えているのではないか」との質問に対し、
「長期的には大きな問題ではない」
と改めて靖国参拝の影響を否定しました。
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/poli_news5.html?now=20051021123025
――――
もしこの記者が「10年、20年、30年」という答を聞いて「うへぇ」と内心呆れてしまったのなら、まさに大人と子供の会話ということになります。煙に巻かれたと感じたのなら、首相に取材するには人間力がまだまだ足りないということです。要するに小泉首相に喰われてしまっている訳です。
記事(ニュース映像)のリード部分にある
「両国と何の障害もなく対話を続けられる関係を作り上げるためには、10年から30年が必要だとの認識を示しました」
という物言いが視聴者に「うへぇ」と呆れてもらおうという目的があるなら、さすがはテレビ朝日ということになりますね。
「中国が困りそうなインタビューです」
と「ユキ」さんは仰っていますが、正にその通りで、中国側はこの一問一答に、大袈裟にいえば戦慄したことだろうと思います。
「10年、20年、30年」という長いタームで日中関係を捉えようとした政治家が戦後日本にこれまでいたかどうか。
あるいはいたかも知れませんが、様々な批判や圧力に屈することなく「10年、20年、30年」という意識に基づいて実際に行動したのは、恐らく小泉首相が初めてでしょう。行動とは、もちろん靖国神社参拝その他のことを指しています。
――――
別に感傷的な話にまとめようとしている訳ではありませんけど、小泉首相は2003年2月、鹿児島県知覧町の知覧特攻平和会館を見学した際、黙然とひとつひとつの展示物を見学しつつ涙を流し、
「特攻隊の彼らの心を思うと、何でもできるね」
と、呟くように言ったそうです。上の話とは何の関係もないのですが、毅然と、敢然と、あるいは苦悩しつつも出撃し散華した特攻隊員たちが脳裏に思い描いた「日本」も、5年や10年といった短いタームのものではなかったのではないか、と思います。
懐かしい人たち、忘れ得ぬ人たちの面影を慕いつつも、その一方で自らの生命を投げ出して護らんとした日本と日本人の「未来」というのは、いまを生きる私たちにつながるような、次世代、そのまた次世代といった長い時間を見据えたものではなかったかと思うのです。
――――
さて、ここからは現実的な話に戻ります。前回の
「ひょっとして反日を煽る情報戦勃発?」
で持ち出した、中国人女子留学生が酔った私服の警官に殴打されるなどしたニュース、きょうの『香港文匯報』(2005/10/22)が一応続報めいたものを出しています。
ただ具体的な進展や「反日」気運に火をつけるようなニュースがあった訳ではなく、
駐日中国大使館が事実確認に動いている
というだけです。つまりまだ事実かどうかもわからない、と。
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0510220027&cat=002CH
私が確認した限りでは、中国国内メディアはこの続報を流していません。
何だか尻すぼみに終わりそうな気配です。主要反日サイトに立ったこの「事件」に関するスレッドも、閲覧者は多いのですがレスがほとんどつかないため沈んでいく一方の状態です。
当局の規制が入ったような気がしないでもありません。思えば大手ポータルの「新浪網」(SINA)のニュースサイトのあちこちに合計5本も出たこの「事件」の記事ですが、そのいずれにも
【評論】
欄、つまりニュース付属掲示板がありませんでした。これではネット世論が盛り上がりません。盛り上がらないようにしたのかも知れません。
――――
日本側の報道からも威勢のいいリアクションは見い出せません。
●6カ国協議で進展目指す=靖国参拝の影響ない-中国(時事通信 2005/10/20/19:02)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051020-00000117-jij-int
●上海市、反日デモへの不参加呼びかけ(読売新聞 2005/10/19/20:36)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051019i213.htm
●靖国参拝で抑制報道を指示(静岡新聞 2005/10/21/20:03)
http://www.shizushin.com/national_international/2005102101002729.htm
●反日サイトの上海警察批判が削除…当局抑え込み?(読売新聞 2005/10/21/23:46)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051021it14.htm
●首相靖国参拝中国反応 反日行動影潜める 当局、取り締まり強化(西日本新聞 2005/10/22)
http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/morning_news030.html
●北京などで反日デモ警戒 首相参拝後初の週末(共同通信 2005/10/22/12:25)
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2005102201000878
――――
ちょっと意地悪していいですか?
そういう記事ばかりが出てくる中で、『毎日新聞』に出た以下の論評を書いた記者が「10年、20年、30年」と語る小泉首相に比べれば、いかに日中関係について貧弱な視点と眼力しか持ち得ていないかを如実に示しています。
●靖国参拝:中韓両国との関係改善シナリオ崩れる(毎日新聞 2005/10/19/20:03)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/asia/news/20051020k0000m030071000c.html
それでもブロか?恥を知れ。……いや別に私が言ったのではなく、そういう声がいま遠くで聞こえただけです(笑)。まあしかし普段の「不摂生」がそのまま出てしまったような記事ですね。
この記事だけを槍玉に挙げては可哀想なので、「新華網」に掲載された
「日本の各大手紙が小泉首相の靖国参拝を譴責」
というタイトルの記事も改めて出しておきましょう。中国語ですけど。ちなみに「大手紙」とは
『日本経済新聞』『朝日新聞』『毎日新聞』
のことだそうです(笑)。
http://news.xinhuanet.com/world/2005-10/18/content_3637836.htm
修業がまるで足りませんね、とは思いません。いまはもうマスコミに全てを頼らなくてもいい時代ですから、記者の皆さんはどうぞ心ゆくまで不摂生を心がけて下さい。どうせリーマンだから根性据わっていないでしょうし。
……いや別に私が言ったのではなく、そういう声がいま遠くで聞こえただけです(笑)。
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