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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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分水嶺。(下)
中国観察
/
2005-10-07 00:22:38
(
「上」
の続き)
対日政策についてはどうでしょう。胡錦涛政権はその発足当初の動きからみるに、江沢民時代のような歴史問題をことさら言い立てるようなことをせず、未来志向の現実路線を志向していたように思います。むろん中国側が常に主導権を握った形で、というのはお約束です。
小泉首相の靖国神社参拝に反対するのもお約束。ただしその件で騒ぎ過ぎて中国国民を刺激しないような配慮もとられました。
ネット上の反日言論規制
がそのひとつですし、胡錦涛や温家宝が日本からのゲストを相手に
靖国問題を口にしても、中国国内メディアにはそれを報道させなかった
のもそうです。
昨年11月のAPECにおける小泉・胡錦涛会談の直前まで、
外交部報道官が「靖国」という固有名詞を避けていた
のも配慮といえるでしょう。靖国問題には反対だけど、そのことを日中首脳会談開催の前提条件にしない、というスタンスです。
――――
ただ、そうした胡錦涛路線を「手ぬるい」と感じていた向きも少なくなかったと思われます。でも試用期間だからもう少し様子をみてやろう、という意見が大半だったのでしょうが、軍部の一部は抑え切れずに突っ走ってしまいました。それが昨年11月10日の中国原潜による日本領海侵犯事件ではないかと思います。少なくともそれが予定された行動でなかったことは、
事件に対し中国側が周章狼狽
したことに表れています。
もうひとつ挙げるとすれば、同じ時期に
『解放軍報』に出た胡錦涛政権に対する軍部の警告とも思える記事
です。これは「上」で紹介したように、後にアレンジを加えられて国営通信社のウェブサイト「新華網」に転載されました。そのアレンジによって、転載後はむしろ胡錦涛による党員への「往復ビンタ」のような色合いになっていますが、元々は軍の機関紙から出た記事。本来の意図が奈辺にあるのかはいまでも不明のままです。
小泉・胡錦涛会談は、こういう状況の中で行われたのです。胡錦涛にしてみれば、「試用期間」内に行われる重要なテストのひとつということになるでしょう。
――――
で、昨年11月22日に行われたその日中首脳会談(小泉・胡錦涛会談)ですが、どうも中国側にとって納得のいく内容ではなかったらしく、
新華社の報道にも腐心した形跡が
ありありとみてとれます。胡錦涛にとっては試用期間中の重要なテストで及第点をとれなかった、ということになるのだろうと思います。
最大の問題は恐らく靖国神社参拝の件でしょう。それまで中国国内の報道ではタブーに近かったこの問題に初めて真っ向から斬り込んだ胡錦涛に対し、小泉首相はフーン(AA略)と受け流し、「まあこっちにもこっちの考えがあるからさあ」と逆に参拝継続を示唆されてしまいました。
――――
そのあとが間を置かずに開かれた小泉・温家宝会談(2004/11/30)です。日本側は「別にやらなくたって……」と気乗り薄だったのに、
中国側の強い要望によりセッティングされた
、というのがミソのような気がします。「中国必死だなw」というところですが、必死なのは「試用期間中」だった胡錦涛政権でしょう。胡錦涛の失策を温家宝が挽回するつもりだったのではないでしょうか。
ところがこの2回目の首脳会談も日本側は腰が強かったですね。結局温家宝も「靖国は参拝しません」との言質をとれませんでした。そればかりか会談直前に小泉首相から、
「中国もODAはそろそろ卒業だね」(2004/11/28)
などとジャブを飛ばされる始末。藪蛇ですねこれでは。結局、2度にわたる日中首脳会談では合格点をもらえず、胡錦涛の対日路線に疑問が呈されることとなります。
――――
あるいは胡錦涛政権の「試用期間」そのものにダメ出しとなったのか……このあたりから軍部が焦れていると思えるような記事が出てきます。その理由のひとつには胡錦涛政権の出来不出来だけではなく、日本が12月に入って「新防衛大綱」を発表したこともあるでしょう。恐らく急進派からは、
「日本があんなものを出してくるのも胡錦涛政権が弱腰だからだ」
という批判が出ていたかと思われます。すでに党中央軍事委員会主席を引退した
江沢民を軍部が現職の胡錦涛より重んじていることを感じさせる記事
もありました。それが12月12日及び13日のことです。
――――
このあたりが「分水嶺」、つまり胡錦涛政権が外部からの圧力により方針転換を余儀なくされた時期なのだろうと思います。というのは「新華網」が12月17日、久しぶりに反日電波ゆんゆんの特集記事を掲載したからです。他にも日中関係に関する論評(関係悪化の責任は日本にある!的内容)が2本。
この論評記事2本は数日前までに書き上げられたことがわかります。特集も似たようなものでしょう。そういう記事の執筆・掲載にゴーサインが出た時点が「分水嶺」ということになります。
「数日前に書き上げられたことがわかる」というのは、これらの記事が掲載されたのが12月17日で、その前日(16日)に台湾の李登輝・前総統が年末に訪日するということが日本政府から発表されているからです。中共、特に軍部にとって台湾問題は靖国参拝よりも重要であり、しかも李登輝訪日となれば極めてゆゆしき事態です。それなのに、その翌日に掲載された上述の論評記事2本には李登輝氏のことが全く出てきません。要するに16日以前に書かれたものなのです。
残る反日電波ゆんゆんの特集記事、こちらには何とか間に合わせたという形で李登輝氏訪日のニュースを滑り込ませていますが、その無理矢理なレイアウトからみて李登輝氏の件はやはり想定外、つまり16日以前から制作されていた特集記事といえるでしょう。
重要なのは「李登輝氏訪日」という中共にとっての大事件よりも前に、反日電波特集のような記事が準備されていたことです。胡錦涛政権の初期にはまず許されないであろう内容のこの特集は、胡錦涛路線に修正が加えられたからこそ掲載されたものだと思います(
◆
)。
――――
それ以降は「李登輝氏訪日」のニュースから受けたインパクトの大きさを証明するように「反日電波」及び「必死だなw」記事のオンパレードです(
◆
◆
◆
)。
最後に思い切って恫喝までしてみせたのに、全く効果なし(
◆
)。
注目すべきは、タガが外れたかのようなこれら反日電波記事の洪水や恫喝に混じって、糞青(自称愛国者の反日教徒)たちが北京の日本大使館へ3度にわたり実に貧弱なデモを行っていることです(
◆
◆
◆
)。
「愛国者同盟網」ら反日の総本山ともいえる民間組織によるものですが、胡錦涛は政権発足に伴ってこれら実質的な官製団体である有力反日サイトを潰したり、掲示板を閉鎖させたりしているのです。「愛国者同盟網」はサイトごと潰されたのですが、この3回のデモによって復活したことが明らかになりました。
――――
潰した胡錦涛が追い詰められて不本意ながらこの挙に出たのか、それとも「愛国者同盟網」を支持する政治勢力が台頭し、胡錦涛がデモを阻む力を失っていたのか。「分水嶺」という主題については書き尽くしましたので後は余談になりますが、この流れが3月~4月の「反日騒動」、党上層部にとっては「反日に名を借りた倒閣運動」につながっていくことになります。
余談の余談。昔のエントリーを漁っていたらこういう記事がありました(笑)。
毛沢東思想で現代中国を斬る!=懲役3年
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