「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

言い争う前に認めること

2013年03月05日 20時25分50秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの人は無意識のうちに、

 自分の感情に合うように 事実をねじ曲げることがあります。

 その時、 事実はどうなのかと議論しても、

 問題の本質 --ボーダーの人の感情-- を 見失うだけです。

 ボーダーの人の事実について 言い争わず、 彼らの感情に対処しましょう。

例. 

事実: 10代の娘はボーダーで、 母親は友人が尋ねてくると 時々ワインを飲む

感情: 母の友人が来ると、 娘は無視されたように感じ、

   抑うつ的になり、 怒りを覚える

娘にとっての事実: 自分のネガティブな感情に 責任を持たない

   感情を母のせいにし、 母はアルコール依存症だと思い込む

  (ボーダーの人にとっては、 それで説明がつけば、 それが正しくなる)

 アルコール依存症だと言われたら、 母は当然 自分を弁護するでしょう。

 娘の見捨てられ不安という 本当の問題は取り上げられません。

 娘にとっての事実に 反論する前に、 その感情を話題とすることで、

 娘の事実を 共有することができるでしょう。

 娘の感情を 充分に表現させます。

 重要なのは 感情だけなのです。

娘 「ママは酔っぱらいだわ!」

母 「怒っているみたいね。

  母親が面倒を見なかったら、 恐いし困るわね」

娘 「ママがアル中だって 言いふらしてやる」

母 「ママがそうだと 思ってるみたいね。

  あなたは 自分の感情や意見を 持つ権利がある。

  でもママも 気持ちや考えを 持っていいわよね」

娘 「ママの友だちは嫌いよ」

母 「彼女たちと過ごすのは楽しいのよ。

  あなたと過ごすのも楽しいの。

  昨日も買い物に行ったじゃない?  覚えてるでしょ」

娘 「そうね。 でもあの人たちと お酒を飲んでほしくない」

母 「あなたが嫌がってるのは 分かってるわ」

 母は、 酒を飲むことと酔っぱらうことが 同じだとは同意せずに、

 娘の気持ちを 鏡のように映し出しています。

 娘を当惑させている 本当の問題について、 娘の考えや見方を 無視することなく、

 自分の考えや見方を 表現できたのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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