きのうの記事(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/33025085.html)に書いた、元シナリオライターのレインボーおやじさん作の、自閉症の少年を主人公にした小説です。
とても優しい空気の漂うお話で、自閉症の理解へといざなう作品です。
レインボーおやじさんらしい柔らかい心が全編を包み、暖かい気持ちになれました。
僕にはなかなか書けない世界です。
ロードムービー風な流れを縦糸に、三崎から城ヶ先あたりの風景もムードを盛り立てています。
(僕の父母のお墓が三崎なので、付近の情景は目に浮かびます。)
主人公の自閉症の少年・淳一のモノローグが随所に散りばめられ、自閉症の人の内心が分かるようです。
無垢な口ぶりが好ましい印象を与えてくれます。
この内心の言葉のお陰で淳一に感情移入ができ、“変わった存在”の少年を第3者から見るという構造を免れています。
好きだった人の死をきっかけに看護師になろうと思った(それも重大な志からではなく)、明日美の視線で描いているのは秀逸な構成だと思います。
普通の少女が自閉症を理解していく経緯が描かれて、共感できるし分かりやすいものだと感じました。
(続く)