「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「ぼくはうみがみたくなりました」[ぶどう社](1)

2006年04月28日 19時21分14秒 | 心理
 
 きのうの記事(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/33025085.html)に書いた、元シナリオライターのレインボーおやじさん作の、自閉症の少年を主人公にした小説です。

 とても優しい空気の漂うお話で、自閉症の理解へといざなう作品です。

 レインボーおやじさんらしい柔らかい心が全編を包み、暖かい気持ちになれました。

 僕にはなかなか書けない世界です。

 ロードムービー風な流れを縦糸に、三崎から城ヶ先あたりの風景もムードを盛り立てています。

(僕の父母のお墓が三崎なので、付近の情景は目に浮かびます。)

 主人公の自閉症の少年・淳一のモノローグが随所に散りばめられ、自閉症の人の内心が分かるようです。

 無垢な口ぶりが好ましい印象を与えてくれます。

 この内心の言葉のお陰で淳一に感情移入ができ、“変わった存在”の少年を第3者から見るという構造を免れています。

 好きだった人の死をきっかけに看護師になろうと思った(それも重大な志からではなく)、明日美の視線で描いているのは秀逸な構成だと思います。

 普通の少女が自閉症を理解していく経緯が描かれて、共感できるし分かりやすいものだと感じました。

(続く)
 
コメント
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