「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「ハビリテーション」/「アミティ」(7)

2006年04月11日 18時46分24秒 | 死刑制度と癒し
 
 レジデントたちには、「リハビリテーション」ではなく、「ハビリテーション」が必要だといいます。

 リハビリテーションとは元の状態に回復することを言いますが、彼らは元々普通の状態を獲得できなかった人たちで、

 「ハビリテーション」=「ゼロから学び直すこと」をしなければなりません。

 「矯正」や「懲罰」という前に、未熟な精神を「育ててあげる」という養育的配慮が必要なのです。

 あるレジデントは、2年間のプログラムを経ましたが、いまだに泣いたことがなく、なぜ人が泣くのか理解できないと言いました。

「哀しいという感情も愛するという感情も、まだよくわからない。

 でも、今がんばって理解しようとしているところなんだ」と微笑みました。

幼児期のトラウマは、これほどまで人間の精神を破壊してしまいます。

 そしてアミティのプログラムは、その荒廃した砂漠に、希望という種を植えていく作業なのです。

(続く)
 
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