「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

心子の“旅立ち”

2006年04月26日 19時33分53秒 | 心子、もろもろ
 
 心子は、ホテルの最上階で最高級のペントハウスに泊まり、最後の夜を過ごして、夜明けに宙に舞ったのです。

 現場のホテルを目の当たりにすると、やはり痛ましく、いたたまれない気持ちがこみ上げてきました。

 でも、僕は彼女が「旅立った」のだと思っています。

 苦しみも悲しみもない世界へ、ちょっと魂を休めに……。

 彼女は、辛いことばかり多かったこの世で、力の限り生き抜いたのです。

 本当に精一杯頑張った、よくやったね、と言ってあげたい……。

 そして、苦しんだ分だけ、この次はいつの日かきっと、もう少し幸せな、生きやすい人生に、生まれ変わって来てほしいと思います。

 ホテルの近辺には、色鮮やかなつつじが咲き乱れていました。

 花々が咲いては枯れ、また再び華開くように、人も命を繰り返すのでしょう。

 その時、また心子と逢えたら、なんて……。