「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「ぼくはうみがみたくなりました」[ぶどう社](2)

2006年04月30日 10時39分20秒 | 心理
 
 レインボーおやじさんの息子・大輝くんは淳一よりも重症で、実際にはもっと大変なことが沢山あったのだろう思います。

 日頃の文章などからもそういうことを表には感じさせないのが、レインボーおやじさんの人柄なのでしょう。

 僕などはどうしても深刻に描いてしまう性癖があって、それが読者に抵抗を感じさせることもあるのかも知れないのですが。

 若い男性が淳一に食ってかかるシーンがありますが、現実にはそのように悲しいでき事が一杯あるのではないかと思います。

 個人的には、自閉症の人や家族の苦労,周囲の人の無理解によるトラブルの実態などを、もっと知りたいとも思ったりしてしまうのですが。

 でもそういうことをも、苦労とは思われないのがレインボーおやじさんなのかも知れません。
 

 淳一が園長たちをボートの所へ連れて行き、渡し舟に乗せるエピソードでは、一般人には知られない自閉症の人の優しさや純粋な気持ちなどが、感動と共に伝わりクライマックスに向かってきます。

 自閉症の人は新しいでき事に対応するのが苦手なのだと僕は思っていたのですが、このようなこともありうるのかもしれません。

 レインボーおやじさんは、あってもいいんじゃないかという気持ちも込めて書かれたそうです。

 大輝くんへのレクイエムともなった「ぼくはうみがみたくなりました」ですが、関心のある方は読んでみてください。
 
コメント
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