「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

心子のまぶたに……

2006年04月21日 22時35分51秒 | 心子、もろもろ
 
 ある日、心子の両まぶたに小さな傷跡ができていました。

「どうしたの?」

 僕が聞くと、一瞬ためらって心子は答えました。

「……カッターで刺したの。

 世の中、汚いことばっかりだから、何も見えないほうがいいと思って。

 血がドバァー」

 僕は落胆して、ため息をついてしまいました。

「もう、そんなことしないで……」

「だって絶望しちゃうんだもん」

 寝ても覚めても、心子は死と隣り合わせのなでした。
 
コメント
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