「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「解毒作用」と「エモーショナル・リテラシー」/「アミティ」(8)

2006年04月12日 21時35分31秒 | 死刑制度と癒し
 アミティでは自分の体験を語ることによって、感情の発散の仕方を学び、

 体の中にたまった毒素を「解毒」していく試みを行ないます。

 体験を表現し訴えるためには、まず自分の体験に「名前」をつけることが必要になります。

 自分の感情や情緒をあるがままに受け止めて、言葉で表現する力、それが「エモーショナル・リテラシー」です。

 多くのレジデントが、この能力を身につけるのに何年もの時間を要するのです。

 その際、似たような体験をしたスタッフが、

「お腹がよじれるような感じ?」「誰かに助けてって言いたかったんじゃない?」

 と、言葉を補っていきます。

 そして、本人の口から自分自身の言葉が出てくるまで、辛抱強く待つのです。

 ときには何日も、何ヶ月もかかることさえあるといいます。

 ある女性のレジデントは言いました。

「変わることは難しい。

 でも、ここにいる仲間は私が失敗することを許してくれる。

 そのことを責めないで支えてくれた。

 私を新しい人生へと導いてくれたのは、社会ではかつて『凶悪犯』という烙印を押された人々だったんです。」

(続く)