「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

犯罪者たちの心の癒し/「アミティ」(2)

2006年04月06日 17時35分21秒 | 死刑制度と癒し
 
 加害者が正しく甦生し、罪を償ってやがて社会復帰し、人々に貢献できるようになることが、最終的に求められることではないかと思います。

 そのためにはどうすればよいのでしょう? 

 アメリカでひとつの試みがなされています。

 「アミティ」。

 ラテン語で友情,友愛の意味を示す言葉で、犯罪者などの甦生を目指す、非営利の民間団体です。

 「治療共同体」と呼ばれる心理療法的なアプローチで、犯罪者が自分の生き方を見直し、

 新しい人生に向かい合うためのプログラムを実践しています。

 彼らがなぜ犯罪を犯すようになったのかを、子ども時代にまで遡って見つめると、

 多くの犯罪者が何らかの虐待を受けていたことが浮かび上がってきます。

 彼らはその辛い記憶を無意識に抑圧してきたために、他人への共感や反省が生まれにくい精神が作り出され、

 犯罪や自傷行為に至ってしまうのです。

 犯罪者が自分の過去を直視し、自身の傷を受け止めていくという作業によって、

 彼らの病んだ心を生まれ変わらせていきます。

 それは予想以上に苦しい過程です。

 しかしその結果、アミティ経験者の再犯率は、一般受刑者の3分の1に減り、

 再び犯罪を犯したとしても罪の内容が軽くなる傾向にあるといいます。

 全米で最も効果のあるプログラムとして注目されているのです。

(続く)