アメリカでは「ジャーニー・オブ・ホープ」という試みがなされています。
被害者遺族たちと加害者家族たちが団体で旅行をし(直接の被害者と加害者は含まれません)、互いの苦しみを理解しあうというものです。
また「メディエーション」(仲裁,和解)という制度もあります。
双方が希望すれば、コーディネーターが中にはいって、被害者や被害者遺族が加害者と対面する制度です。
加害者は被害者の痛みを目の当たりにすることによって、罪の重さを知らされることになります。
被害者団体の全国組織もいくつかあり、充実した活動をしています。
加害者が死刑になっても、被害者遺族の傷は消えません。
人間の心の傷は、人の心によってしか癒されることは決してないのです。
本当に必要なのは加害者の処刑ではなく、遺族の傷をケアすることでしょう。
日本でも、がんで家族を亡くした遺族をはじめ、喪失体験をした人々の「分かち合い」(ピア・カウンセリング)が各地で開かれています。
しかし殺人事件の遺族の「分かち合い」はあまり聞きません。
同じ体験者同士の自助グループでのサポートシステムや、カウンセリングなどの心理療法を早急に整えることが望まれます。
(続く)