「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

現代の心の障害(4)

2006年03月14日 19時05分19秒 | ボーダーに関して
 
 近代は快適さや簡便性を求め続けて、ボタンひとつで何でもできるようになり、日常生活から辛抱が乏しくなってしまいました。

 人同士の生身の触れ合いも薄れ、親密な人間関係を築きにくくなっています。

 そのうえ価値観が混乱,相対化して、生きる上の「核」を作ることが多難な時代です。

 枠組が曖昧で、アイデンティティを確立しにくく、「中心を喪失した時代」とも言われています。

 時代の急激な変動,欲望をあおる消費市場,何が正しいのか分からない情報の洪水,自己を埋没させる管理システム。

 それらのなかで現代人は、主体性やトラブルに対処する力,自分を制する力,悩む力などが弱まり、全体に境界例的気質が増しています。

 混迷した今日にあって、自己同一性(アイデンティティ)や自律性をいかに育てていけるかということを、改めて考察する契機にしてみるべきかもしれません。

(続く)