死刑存置論者の根拠のひとつに、死刑制度による犯罪の抑止効果があります。
しかし、死刑制度があるために凶悪犯罪が減るというのは、統計学的に証明できたことがありません。
逆に、犯人が死刑を恐れ、事件の発覚を免れるために、被害者の殺害に至ってしまうこともあるといいます。
殺人犯は、実際には恐怖に駆られて殺人を犯してしまったという、臆病な人間も多いそうです。
また、冤罪による死刑は、他の刑と違って全く取り返しがつきません。
日本の量刑では、極刑である死刑の次は無期懲役です。
しかし無期懲役は15年もすれば仮釈放になり、死刑との間があまりにも離れすぎています。
誤審の恐れを逃れるためにも、仮釈放のない絶対的終身刑の設置が求められます。
そもそも人を殺してはならないという社会で、“正義”として人を殺すという根本的な矛盾があります。
死刑囚の家族の悲しみや、自らの手で人の命を絶たなければならない、死刑執行人の苦悩もあります。
死刑制度は新たな悲劇を生んでいきます。
(続く)