蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

“救助の巡査部長死亡”-痛ましい殉職!でも何故即、首相弔問なのだろう…-

2007-02-13 08:29:47 | 時事所感
2月12日(月)晴れ。暖。

  夜のNHKのニュースでも報じていた、下記の記事、
『救助の巡査部長死亡=東京都板橋区の東武線事故
2月12日16時0分配信 時事通信
 東京都板橋区の東武東上線ときわ台駅で、線路に侵入した女性を助けようとした警視庁板橋署の宮本邦彦巡査部長(53)が電車にはねられた事故で、重体だった宮本さんが12日午後2時25分、治療を受けていた同区内の病院で死亡した。最終更新:2月12日17時30分』を読んで、目頭が熱くなった。

 最近、耳目にするのは、日銀総裁、大臣をはじめ、談合贈収賄・税金飲み食い知事、破廉恥市議会議員、…学校の先生等の不祥事公務員の事ばかりである。
 そんな中で、自殺願望の女性を必死に翻意させようと職務熱心な警察官が電車に跳ねられて死亡するという痛ましい事故だ。

 当の女性は大したことも無くてすみ、必死で止めようとした警察官の方が死んでしまうとは、神様も何と理不尽なことをなさるものかと嘆ずるほかはない。
 しかも、この警察官、直前には近所の子供の自転車の故障をなおしてあげたばかりとか。その母親がレポーターのインタビューで涙してしていた。この警察官は近所でも評判の、優しいお巡りさんだったらしい。
 これが、公務員の本来の姿ではないか。
 身を賭して、その使命のあり方を示してくれたのだ。

 この国は、様々な組織の底辺でこのように寡黙に自己の職責を精一杯果たしていてくれる多くの人々がいるお陰で、何とかもっているのではなかろうか。
 
 新聞やTVのメディアも悪事を働いた輩ばかりを、取り上げるのでなく、普段から黙々と誠実にその職責を果たしている人々にも、時にはスポットをあててみてはどうだろうか。何も命を捨てたときだけとりあげるのでなく…。

 政務調査費で破廉恥慰安旅行に興ずる市会議員がいる一方で、ゴミの問題とあれば、女性の身ながら清掃作業車に同乗して実態を見聞し、困っている山奥暮らしの親子があれば、事の当否は別として、身銭を切って支援の手をさしのべる議員さんもいらっしゃるのである。

 改めて宮本巡査部長のご冥福をお祈りすると共にご遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。
 
―追記―
 ところで、このニュース、夜のNHKで見ていて驚いたのは、安倍総理大臣が早々と板橋警察署に弔問に訪れた姿だった。

 総理大臣がお出ましになるぐらいなら、警視総監や石原都知事はどうしたのだと問いたくなる。
 東京都に勤務する警察官の身分は、都の職員であり、任命権者は都知事の筈ではなかったか。それとも殉職で即刻、何方かお偉い天の声で三階級特進の手続きがとられて、警視昇進、国家公務員扱いとなったということだろうか。

 このところ、支持率急降下の首相周辺が、人気浮上のためとあれば、鵜の目鷹の目の結果ではと穿った下司の勘ぐりは、山家の隠居の僻目だろうか。
 
 それにしても、山家の隠居でさえ首を傾げる素朴な疑問に、目の前を首相が通ったからといって、ただレンズに捉えて放映すればいいというものではないのではないか。
 一言の説明、コメントがあってしかるべきではないのだろうか。
 それとも、この頃のメディアの方々は、何を見てもなんの疑問もお持ちにならないのだろうか。
 


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
胸が痛みます。 (さくら)
2007-02-13 20:21:36
故宮本巡査部長は本当に地域の方から愛され尊敬されていたようですね。
自殺しようとした女性を恨みたくなります。

この女性が「命」の大切さに気づき、気を取り直してしっかり生きていくことが亡くなった宮本巡査部長に対する礼儀だと思います。

わたしも近くなら花をお供えに行きたい気持ちです。

公務員の不祥事ばかり目につく中、この痛ましい事故は悲しいけれど「まだこんな立派な方もいたんだ」ということがわかりました。

蛾遊庵様の言われるように『普段から黙々と誠実にその職責を果たしている人々にも、時にはスポットをあててみてはどうだろうか。何も命を捨てたときだけとりあげるのでなく』には大賛成です。

「悪い連鎖反応」は多いですが「良い連鎖反応」もありえると思いますので。

安倍総理のことは知りませんでした。何だか場違い?ですね。AERAによると「やる事なす事すべて裏目」と安倍総理改造計画が出てました!






返信する
本当に惜しいかたです。 (蛾遊庵徒然草)
2007-02-13 23:13:56
 さくら様、今晩も早速にコメントありがとうございました。

 故人の日頃の仕事振り、人柄を、今朝のアサスパでも報じていましたが、聞けば聞くほど惜しい方のようですね。
そして、こういう方が、53歳で巡査部長のままだったとはの思いです。
 国家公務員上級職試験に合格して警察庁にはいれば、たちまち警部補から初めて、30歳そこそこで警察署長とか。
 その人たちは何をやったでしょうか。全部とは言いませんが、捜査ミスの頬被り。裏金作りの見て見ぬ振り。
 公務員試験の欠陥が、現在の日本のトップエリートのモラルの数々の崩壊現象にあらわれているのではないでしょうか。
 筆記試験本位の断片知識や建前論の丸暗記で合格させるような試験ではいつまでたっても駄目でしょう。
 
 故宮本巡査部長は、命を張って、二階級特進、それで警部だそうです。警視以上の国家公務員ではありません。
 安倍総理の弔問の不自然さ、今日のブログでも軒並み、皆さん同様の指摘をされているようです。
 このようなのを、衆目の一致するところと言うのでしょう。

 
返信する
Unknown (さと)
2007-02-14 11:26:16
危険を顧みず人命救助に当たった宮本巡査部長を、総理として、日本人として本当に誇りに思います」と安部総理は弔問で言われたとか、私は素直に総理が弔問したことは遺族に対しても、一命を救われた女性に対してもよかったと思います。
人気急落中の総理の人気取りかもしれませんが、遺族には故人の行為が誇らしく、家族の今後の支えになるのでは?
命を救われた女性もこの先、心して生きていかねばと思ってくれるといいと思いました。
ご冥福をお祈りしたいと思います。
市井に働く立派な人はたくさん居ます。
仕事に忠実なおまわりさん、見習ってほしいものです。
悲しく、嬉しい複雑な気持ちです。

返信する
さと様、おっしゃるとおりです。 (蛾遊庵徒然草)
2007-02-14 13:46:13
さと様、コメントありがとうございます。
<私は素直に総理が弔問したことは遺族に対しても、一命を救われた女性に対してもよかったと思います。
人気急落中の総理の人気取りかもしれませんが、遺族には故人の行為が誇らしく、家族の今後の支えになるのでは?
命を救われた女性もこの先、心して生きていかねばと思ってくれるといいと思いました。>とのこと。

その通りだと思います。

私も後段の総理の弔問については、書こうかどうか迷いました。しかし、世の中にはこれまでにもいくたりか大きく報じられることもなく、殉職された方もあったのではないでしょうか。
また、今回は、首相の足元の東京でしたから直ぐに行けたでしょうが、これが、北海道や沖縄だったらどうでしょうか。
総理の身体は一つです。その職務は、全国民に均しく公平に誠実でなくてはならないと思います。
総理と言う立場にある方の行動は、いきなり個人と向き合う立場ではないのではないでしょうか。そのために行政組織があり、それぞれの役割が定められているのではないでしょうか。

今回の場合、先ず行くべきは知事であり、警視総監であり板橋区長さんではないかと思ったのです。
むしろその方たちの姿がみえないことこそ、問題ではないのかと感じたのです。それがいきなり総理大臣でした。そこに何か不自然なものを感じてしまったのです。

 今、念のため警視庁に確認したところ、一般の警察官の任命権者は警視総監だそうです。都知事は給与支払権者ということだそうです。
 ちなみに日時は確認しませんでしたが、警視総監もすでに弔問にいかれたそうです。

 ということは、警視総監の弔問は当然であり、ニュース価値がなく、総理大臣の異例に属する弔問だったからニュースとして報じられたということかもしれません。
 
 長々と理屈っぽいことを、またまた書いてしまい申し訳ありません。

 今回の場合、静かに立派な行為だったなと素直に故人のご冥福をお祈りするだけでよかったのかもしれません。
 しかし、小さいときから生来の屁理屈こねで祖母からも、「全くこの子は口が多いよ」と呆れられた可愛げの無さは、一向に変わらなくて、自分でも困っております。ご寛容のほどお願いいたします。
返信する

コメントを投稿